JP2005227414A - 光接続デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】送信側発光素子と受信側発光素子の間に最適化されたレンズを配置し、中間領域部を有するレンズの存在により、良好な結合効率で、広い位置ずれ許容量を実現すること。
【解決手段】受信側発光素子と、送信側発光素子の間には前記受信側発光素子の屈折率と同じ程度の樹脂又はガラス等からなる中間領域部を有するレンズとからなること。該レンズと前記送信側発光素子との間に所定距離有する空隙部を設けてなること。前記受信側発光素子を光ファイバ又は矩形光導波路とし、送信側発光素子を光ファイバ, VCSEL又は矩形光導波路としてなること。
【選択図】図1
【解決手段】受信側発光素子と、送信側発光素子の間には前記受信側発光素子の屈折率と同じ程度の樹脂又はガラス等からなる中間領域部を有するレンズとからなること。該レンズと前記送信側発光素子との間に所定距離有する空隙部を設けてなること。前記受信側発光素子を光ファイバ又は矩形光導波路とし、送信側発光素子を光ファイバ, VCSEL又は矩形光導波路としてなること。
【選択図】図1
Description
本発明は、発光素子と光ファイバとを光学的に結合する光接続デバイスに関する。
ここ数年で、情報処理装置が扱う情報量は増大の一途をたどっている。これに伴って、これらの装置を構成している電子回路基板内、基板間での処理速度の高速化が要求されている。しかしながら従来の電気信号においては配線間での信号の干渉や配線距離の長尺かによる伝搬遅延の問題が顕著になりつつある。
このような問題を解決する手段として、電子回路基板間での信号を光化することが注目されてきた。電気信号に比べ、光信号の伝搬には相互干渉の問題がなく、電子回路基板間での信号の光化は高速大容量伝送に適したものである。電子デバイスからの電気信号を基板上に実装した発光素子によりOE変換し、光導波路等の光伝送媒体を通して光検出器へ伝送しOE変化する、いわゆる基板間を光配線化するものである。
電子の配線の一部を光の配線で置き換えることで高速化を実現するものであるが、キャリアである電子と光子の扱いには大きな違いが存在する。光配線の場合、発光素子から出射された光は広がり、直進するといった性質のため、伝搬する導波路等に対する位置合わせが非常に重要となっている。電子回路の場合、ハンダによって接合してしまえば電子の移動は互いの伝送路の位置ずれに関係なく行われ、信号の送受信はなされる。
一方で、光で配線する際の結合には、結合する発光素子と光配線間の簡易的な位置合わせのためにガイドピンが用いられている。これは、発光素子が搭載されている基板側、もしくは、光配線側の両サイドに穴を設け、そこへピンを挿入することにより送信側と受信側の光軸をある程度位置合わせするものである。また、一般的に用いられている光コネクタにおいては、フェルール中心にファイバ径より少し大きな穴を作製してその中心にファイバを固定し、ファイバが固定されたフェルールそのものを一方の穴へ挿入することにより、互いの光軸を一致させている。光コネクタの種類としては、伝送機器用に高精度加工したステンレスフェルールを使用したFCコネクタ、ジルコニアフェルールを使用しワンタッチ脱着を可能としたSCコネクタ、基板実装用のMUコネクタなどがあり、いずれの接続も高い結合効率を実現している。
上記ガイドピンを使用した場合、互いの光軸はある程度一致するが高い光結合効率を得るためには発光素子と光配線間距離を近づける必要がある。また、光コネクタを使用した場合、その高い光結合を実現するために、スプリングやケプラ、カップリングナット等の部品を数多く使用し、それら部品の精度に対する要求も高い。さらに、接続損失の要因となる、端面の粗さ、端面の傾斜、うねりなど光ファイバ端面の不完全性を取り除くために、端面を研磨する必要がある。
そこで発光素子と光ファイバ、もしくは光ファイバ同士間距離が離れていても、高い効率で結合するための改良もされている。具体的には、光ファイバ端面にレンズ形状を作製した先球レンズが用いられている。光ファイバ端面のレンズの作製方法としては、図16(A)に示すように、レンズaを貼り付けたものや、図16(B)に示すように、光ファイバ端面に生成したガラスbの突起をエッチングなどにより加工したもの、図16(C)に示すように、光ファイバ端面を加熱して作製したレンズ形状部cなどがある。これらのレンズa,ガラスb,レンズ形状部cを総称して先球レンズと称する。また、図示しないが、光コネクタにおいても、端面を球面形状に研磨し、反射損失の軽減を実現したものがある。さらに特許文献1の光ファイバ端面のレンズ加工方法でも位置ずれに対して良好な結合効率を得るに至らなかった。
特開2001−305382
しかしながら、上記先球レンズは高い結合効率が得られるものの、互いの光軸が一致している必要がある。先球レンズに位置ずれした光が入射した場合、図16(A),(B)及び(C)に示すように、集光したとしても光はクラッドpへ入射してしまい、二度とコアqを伝搬しないからである。光コネクタなどの互いの光軸が高い精度で合う構造を設け、先球レンズを使用することにより、高い結合効率は実現できるが、前述したようにコネクタを構成する部品の数が多いため、必然的にその実装面積は大きくなってしまう問題点がある。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的(技術的課題)は、光ファイバを有する光コネクタなどの光接続部において、広い位置ずれ許容量と高い結合効率を実現した光接続デバイスを提供するものである。
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、
受信側発光素子と、送信側発光素子の間には前記受信側発光素子の屈折率と同じ程度の樹脂又はガラス等からなる中間領域部を有するレンズとからなり、該レンズと前記送信側発光素子との間に所定距離有する空隙部を設けてなる光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。さらに、前記受信側発光素子を光ファイバ又は矩形光導波路とし、送信側発光素子を光ファイバ, VCSEL又は矩形光導波路としてなる請求項1記載の光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。また、本発明においては、前記受信側発光素子、前記送信側発光素子、前記中間領域部、前記空隙部及び前記レンズを略直列状に設けてなる請求項1又は2記載の光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。
受信側発光素子と、送信側発光素子の間には前記受信側発光素子の屈折率と同じ程度の樹脂又はガラス等からなる中間領域部を有するレンズとからなり、該レンズと前記送信側発光素子との間に所定距離有する空隙部を設けてなる光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。さらに、前記受信側発光素子を光ファイバ又は矩形光導波路とし、送信側発光素子を光ファイバ, VCSEL又は矩形光導波路としてなる請求項1記載の光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。また、本発明においては、前記受信側発光素子、前記送信側発光素子、前記中間領域部、前記空隙部及び前記レンズを略直列状に設けてなる請求項1又は2記載の光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。
また、本発明においては、前記中間領域部の長さを、前記レンズの曲率半径の約2倍以上としてなる請求項1、2又は3記載の光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。さらに、本発明においては、光ファイバの先端及び該先端周囲に設けたコネクタ部に形成した穴状部と、ロッド付きレンズと、キャップ部とからなり、前記穴状部に前記ロッド付きレンズのロッド部が挿入され、前記キャップ部下端が前記コネクタ部上端に貼着され、前記キャップ部箇所に設けた送信側発光素子と前記ロッド付きレンズとの間で且つ前記キャップ部内に空隙部を有し、前記ロッド部の長さを、前記ロッド付きレンズの曲率半径の約2倍以上としてなる光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。
また、本発明においては、光ファイバの先端及び該先端周囲に設けたコネクタ部に形成した穴状部と、ボールレンズと、キャップ部とからなり、前記穴状部に光学接着充填剤が充填され、前記キャップ部下端が前記コネクタ部上端に貼着され、前記キャップ部箇所に設けた送信側発光素子と前記ロッド付きレンズとの間で且つ前記キャップ部内に空隙部を有し、前記光学接着充填剤の長さを、前記ロッド付きレンズの曲率半径の約2倍以上としてなる光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。さらに、本発明においては、光ファイバと、該光ファイバの先端に設けられた円柱状レンズと、キャップ部とからなり、該キャップ部下端が前記コネクタ部上端に貼着され、前記キャップ部箇所に設けた送信側発光素子と前記円柱状レンズとの間で且つ前記キャップ部内に空隙部を有し、前記円柱部の長さを、前記円柱状レンズの曲率半径の約2倍以上としてなる光接続デバイスとしたことにより、前記課題を解決した。
請求項1の発明においては、送信側発光素子と受信側発光素子の間に最適化されたレンズを配置することにより、中間領域部を有するレンズの存在により、良好な結合効率で、広い位置ずれ許容量を実現できる。また、請求項2の発明においては、より高い結合効率で、広い位置ずれ許容量を実現できる。さらに、請求項3の発明においては、請求項1又は2の発明と同等な効果を奏する。また、請求項4の発明においては、さらに良好な結合効率で、広い位置ずれ許容量を実現できる。また、請求項5の発明においては、特に、ロッド付きレンズの存在にて、良好な結合効率で、広い位置ずれ許容量を実現できる。また、請求項6の発明においては、特に、ボールレンズ及び光学接着剤の存在にて、良好な結合効率で、広い位置ずれ許容量を実現できる。また、請求項7の発明においては、特に、円柱状レンズの存在にて、良好な結合効率で、広い位置ずれ許容量を実現できるものである。
図1は本発明の光接続デバイスでの第1実施例を模式的に示した図であって、集光のための半球状のレンズと裁頭円錐とが結合されてロッド付きレンズ3として設けられた構成である。光ファイバ1の端面に、前記ロッド付きレンズ3のロッド部3a端が重合され、前記光ファイバ1の端部及びロッド部3a箇所を覆うようにコネクタ部2が設けられている。該コネクタ部2の外端にはキャップ部4が固着されている。該キャップ部4の内部は、ロッド付きレンズ3のレンズ表面との間に空隙部5が形成され、且つキャップ部4の内部の奥には送信側発光素子としてのVCSEL6が設けられている。
かかる構成において、VCSEL6から出射した光は、広がりながら空隙部5なる自由空間を伝搬し、ロッド付きレンズ3によって集光される。集光された光は、ロッド付きレンズ3内のロッド部3aを通り、受信側発光素子としての光ファイバ1へ入射する。このとき、送信側発光素子としてのVCSEL6が受信側発光素子としての光ファイバ1上に設けたロッド付きレンズ3と位置ずれして配置された場合、出射した光は集光とともに方向が補正され、受信側発光素子としての光ファイバ1へ入射する。このロッド部3aの領域の長さは、送信側発光素子としてのVCSEL6が位置ずれした際に、ロッド付きレンズ3によって補正された光が受信側発光素子としての光ファイバ1の中心まで到達するよう調整する。受信側発光素子が光ファイバ1の場合を考えると、ロッド付きレンズ3の中心からずれた位置に光が入射した場合、ロッド付きレンズ3によって方向が補正されるが、ロッド付きレンズ3と光ファイバ1間の距離が短いと、補正されても光ファイバ1のクラッド1bに入射してしまう。ロッド部3aを設けたことで、補正された光は光ファイバ1のコア1aへ入射することができる。
図1において、ロッド付きレンズ3から受信側発光素子としての光ファイバ1までのロッド部3a領域がテーパー状になっているが、これはレンズ径によって異なる。受信側発光素子がφ125μmの光ファイバ1の場合、ファイバ先端にレンズを作製した先球レンズにおいて、レンズ直径は最大で125μmと決まってしまうが、コネクタ形状にすることにより、レンズ径は自由に選択できる。
図3(A),(B),(C),(D)は第1実施形態の製造方法を示した模式図である。図3(A)のようにコネクタ部2を光ファイバ1の先端に取付け、次いで、図3(B)のように、前記コネクタ部2にレーザなどによって前記光ファイバ1の先端径下端とするテーパー状のホール10を成形する。レンズはロッド部3aを有するロッド付きレンズ3を挿入する。このとき、該ロッド付きレンズ3と光ファイバ1間に間隙が生じ、加工時に生じるファイバ端面の凹凸によって光が散乱する懸念があるが、レンズ固定時にレンズと同じ程度の屈折率を有する樹脂などの光学接着剤11を介して固定することにより〔図3(C),(D)参照〕、光の散乱を抑えることができる。また、本製造方法を用いることにより、市販の完成品である光コネクタの端面をレーザなどによりホール加工し、レンズや樹脂を挿入することによって、先球ファイバタイプの光コネクタが製造できる。
また、第1実施形態の光接続デバイスの変形例としては、図2に示すように、送信側発光素子としてのVCSEL6に換えて、光ファイバ7を用いたものである。これ以外の構成要素については、第1実施形態の光接続デバイスと同様である。作用については、送信側発光素子としての光ファイバ7が位置ずれした際に、ロッド付きレンズ3によって補正された光が受信側発光素子としての光ファイバ1の中心まで到達するよう調整して、ロッド部3aを設けたことで、補正された光は光ファイバ1のコア1aへ入射することができる。
図4は本発明の光接続デバイスでの第2実施形態を模式的に示した図であって、集光のためのレンズが球状のボールレンズ8を設けた構成であって、該ボールレンズ8とホール10箇所との結合は、ボールレンズ8と同じ程度の屈折率を有する樹脂などの光学接着剤11を介して固定されている。この場合には、光の散乱による減衰を軽減できる。実際の製造方法としては第1実施形態の場合に比較して、前記光学接着剤11は、量的にも多く使用されるが、その他は同様である(図6参照)。また、ボールレンズ8の場合、レンズおよび受信側光学系の屈折率に近い樹脂などの光学接着剤11で封止することにより、使用する曲率部分は上部のみとなり、図1及び図2の光学モデルと同じ扱いが可能となる。
また、第2実施形態の光接続デバイスの変形例としては、図5に示したように、送信側発光素子としての光ファイバ7に換えて、VCSEL6を用いたものである。これ以外の構成要素については、第2実施形態の光接続デバイスと同様である。作用については、第1実施形態の場合と同様に、送信側発光素子としての光ファイバ7又はVCSEL6が位置ずれした際に、ロッド部3aにて補正して受信側発光素子としての光ファイバ1のコア1aへ入射することができる。
図7は本発明の光接続デバイスでの第3実施形態を模式的に示した図である。特に、図1及び2に示すようなロッド部3a領域に第1実施形態のロッド付きレンズ3と同じ程度の屈折率を有する石英ガラスやプラスチックなどの素材で形成した円柱状レンズ9が接着され、該円柱状レンズ9の基部及び光ファイバ1の先端には、コネクタ部2が包むようにして接着剤13にて固定されている。さらに前記コネクタ部2の外端には、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、キャップ部4が固着され、この中には空隙部5が形成され、送信側発光素子としてのVCSEL6又は光ファイバ7が設けられている。
作用については、送信側発光素子としてのVCSEL6又は光ファイバ7が位置ずれした際に、円柱状レンズ9によって補正された光が受信側発光素子としての光ファイバ1の中心まで到達するよう調整して、円柱状ロッド部9aを設けたことで、補正された光は光ファイバ1のコア1aへ入射することができる。また、製造方法は、次の通りである。使用する光ファイバ1の先端に、石英ガラスやプラスチックなどの円柱状レンズ9の素材Mを加熱融着や接着などの方法で接合する。このとき素材Mの長さは取扱性の面より比較的長くしておき〔図8(A)参照〕、円柱状ロッド部9a領域が希望の長さになるように素材Mをカットする〔図8(B)参照〕。そして、前記素材Mの上端を溶解し表面張力を利用する方法や、研磨などの方法により、媒体上に球面を形成する〔図8(C)参照〕。前記コネクタ部2の素材Mは、SUS−340F、コバール若しくはジルコニアフェルールなどがある。
送信側発光素子から出射した光をレンズによって集光し、かつ、位置ずれ時の軌道補正を行うために、レンズの曲率、ロッド部領域の長さ、各発光素子間距離の最適化を行う必要がある。また、前記ロッド部3a、前記光学接着充填剤12、前記円柱ロット部9aを総称して、中間領域部と言うこともある。
光コネクタ形状の最適化を三次元の光線追跡法を用いて行った実施例を以下に示す。ただし、送信側発光素子をVCSEL6とし、受信側発光素子をマルチモードの光ファイバ1とする。図9は、最適化を行った光学モデルである。パラメータは、VCSEL6のY軸方向の位置ずれ“Y1”μm、レンズの曲率“R”μm、光源の広がり角“θ”deg.である。まず、光源が位置ずれした際に、光ファイバ1へ入射した光が光ファイバ1の臨界角を満たす必要があるため、Rを90μm、100μm、110μmの範囲で変化させた。ロッド長d1は170μm、VCSEL−レンズ端面間距離L1は1000μm、コネクタ内部のテーパ-角θ0は0 deg.一定とし解析を行った。マルチモードファイバの屈折率はコア1.47、クラッド、1.46であり、レンズおよびロッド部3a領域の屈折率は1.5である。VCSEL6の位置ずれY1を変化させ、VCSEL6から出射した光線がどの程度マルチモードファイバへ入射し、マルチモードファイバの出射端に設置したDetectorへ結合したかを解析した。出射した光線は10万本で、Detectorへ結合した光線数N本より次の式で結合効率を算出した。
図10は、θが5deg.(半角,1/e2)で、VCSEL6のY軸方向の位置ずれY1に対する、結合効率の変化である。図11は、θが10deg.(半角,1/e2)で、VCSEL6のY軸方向の位置ずれY1に対する、結合効率の変化である。図12は、θが15deg.(半角,1/e2)で、VCSEL6のY軸方向の位置ずれY1に対する、結合効率の変化である。結果、いずれのデータも、位置ずれY1が30μm間では結合効率の変化は小さく、30μmを超えると急激に結合効率は悪化する。曲率を大きくしていくと30μm以上位置ずれさせた場合の結合効率の減少は緩やかになるが、30μm以内での結合効率が悪い。この解析結果の簡単な説明としては、曲率Rが90μm以下の場合、入射後の光が光ファイバ1の臨界角を越えてしまう。一方130μm以上になると、レンズの集光力が無くなり、広いトレランスは得られない。従って最適な曲率Rは100μm程度と考えられ、位置ずれが30μmまで、最大結合効率とほぼ同じ値を得ることが可能となる。
上記の通り、本光学モデルは発光素子間の接続における位置ずれ許容量を緩和することが期待できる。そこで、レンズを使用しない場合と比べ、どの程度緩和されているかを、同様に三次元の光線追跡法を用いて解析を行った。VCSEL6の広がり角θを5deg.とし、レンズを使用しない場合はVCSEL6とファイバ端面間距離を100μm一定として、前項と同様にY1の位置ずれに対する結合効率の変化を解析した。
図13は、レンズを使用した場合(実線でd1=170μm、間隔の長い点線でd1=0μm)と、レンズを使用しない場合(点線)の、位置ずれY1に対する結合効率の変化を比較したものである。結果、レンズを使用することにより、位置ずれ許容量は広がっていることが確認できる。最大結合効率とほぼ同じ値を得ることのできる位置ずれ許容量は、レンズを使用しない場合±10μmであった。先にも述べた通りレンズを使用することにより、最大結合効率の値は±30μmまで緩和されているため、より粗い調心でも、安定した結合効率を得ることが期待できる。
なお、必要となる領域d1の長さは、170μm以上が好ましい。これは、VCSEL6とレンズ端面間距離L1の変化によって、結合効率が変化するためである。L1は、VCSEL6の発光面上部に突出している駆動用ワイヤとレンズとの接触を防ぐために必要な長さであり、その突出長は100μm〜200μm程度である。そこで、L1が100μm、200μmの時、領域d1の変化に対する結合効率がどのように変化するかを解析した。光源の広がり角θ=5deg.VCSEL6の位置ずれY1=30μm、としている。解析結果を図14に示す。L1が100μmの場合、領域d1の変化に対して、徐々に結合効率が増加し、170μm以上の領域で、ほぼ一定の値を得ている。一方、L1が200μmの場合、150μm以上の領域では、ほぼ同じ結合効率を得ているため、領域d1の必要な長さは170μm以上で、かつ、VCSEL6の駆動用ワイヤと接触しない長さが確保されていればよい。
前記中間領域部としてのロッド付きレンズ3のロッド部3aの長さ、ボールレンズ8を設けた光学接着剤11箇所の長さ又は円柱状レンズ9の円柱状ロッド部9aの長さを、前記各レンズの曲率半径Rの約2倍以上とすることが好適である。この約2倍は、1.6倍から2.4倍が含まれるものである。
図15(A)は、本発明の光接続デバイスを、同一基板内のチップ間、もしくは基板間光接続へ適用した実施例を示した模式図である。基板とは反対側に発光面を向けて実装(ワイヤボンディング)したVCSEL6から出射した光が、レンズを返して光ファイバ1へ入射し、他のチップやボードに光信号が出力される構成である。図15(B)のVCSEL6は、ワイヤボンディング実装のため、発光面上部に駆動用のワイヤが出ている。VCSEL6と光ファイバ間で高い光結合効率を得るためには、先にも述べたとおり、互いの距離をきわめて近づける必要があるが、発光面上部に出ているワイヤが邪魔になり、互いの距離を近づけられない懸念がある。そこで、本発明の光接続デバイスを使用することにより、互いの距離が離れていても高い結合効率を得ることが期待できる。また、従来の光結合においては、互いの光軸がきわめて重要であり、図15(B)にしたようなガイドピン16に対してピンの作製精度や穴の位置精度に高い要求がある。しかし、本発明デバイスを使用することによって、その位置ずれの許容量は緩和され、ガイドピン16に対する作製精度や穴の位置精度も緩和されることが期待できる。
1,7…光ファイバ、2…コネクタ部、3…ロッド付きレンズ、3a…ロッド部、4…キャップ部、5…空隙部、6…VCSEL、8…ボールレンズ、9…円柱状レンズ、9a…円柱状ロッド部、11…光学接着剤、12…光学接着充填剤である。
Claims (7)
- 受信側発光素子と、送信側発光素子の間には前記受信側発光素子の屈折率と同じ程度の樹脂又はガラス等からなる中間領域部を有するレンズとからなり、該レンズと前記送信側発光素子との間に所定距離有する空隙部を設けてなることを特徴とする光接続デバイス。
- 前記受信側発光素子を光ファイバ又は矩形光導波路とし、送信側発光素子を光ファイバ, VCSEL又は矩形光導波路としてなることを特徴とする請求項1記載の光接続デバイス。
- 前記受信側発光素子、前記送信側発光素子、前記中間領域部、前記空隙部及び前記レンズを略直列状に設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の光接続デバイス。
- 前記中間領域部の長さを、前記レンズの曲率半径の約2倍以上としてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光接続デバイス。
- 光ファイバの先端及び該先端周囲に設けたコネクタ部に形成した穴状部と、ロッド付きレンズと、キャップ部とからなり、前記穴状部に前記ロッド付きレンズのロッド部が挿入され、前記キャップ部下端が前記コネクタ部上端に貼着され、前記キャップ部箇所に設けた送信側発光素子と前記ロッド付きレンズとの間で且つ前記キャップ部内に空隙部を有し、前記ロッド部の長さを、前記ロッド付きレンズの曲率半径の約2倍以上としてなることを特徴とした光接続デバイス。
- 光ファイバの先端及び該先端周囲に設けたコネクタ部に形成した穴状部と、ボールレンズと、キャップ部とからなり、前記穴状部に光学接着充填剤が充填され、前記キャップ部下端が前記コネクタ部上端に貼着され、前記キャップ部箇所に設けた送信側発光素子と前記ロッド付きレンズとの間で且つ前記キャップ部内に空隙部を有し、前記光学接着充填剤の長さを、前記ロッド付きレンズの曲率半径の約2倍以上としてなることを特徴とした光接続デバイス。
- 光ファイバと、該光ファイバの先端に設けられた円柱状レンズと、キャップ部とからなり、該キャップ部下端が前記コネクタ部上端に貼着され、前記キャップ部箇所に設けた送信側発光素子と前記円柱状レンズとの間で且つ前記キャップ部内に空隙部を有し、前記円柱部の長さを、前記円柱状レンズの曲率半径の約2倍以上としてなることを特徴とした光接続デバイス。
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JP2010054676A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Konica Minolta Opto Inc | レンズ組付方法 |
JP2015172680A (ja) * | 2014-03-12 | 2015-10-01 | 住友電気工業株式会社 | 光モジュール及び光結合構造 |
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2004
- 2004-02-12 JP JP2004034435A patent/JP2005227414A/ja active Pending
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