JP2005226842A - トラクションドライブ式無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトで大きなトルクを効率よく伝達することのできるトラクションドライブ装置を提供する。
【解決手段】トラクションドライブ式無段変速機は、ケーシング10に回転自在に支持された入力軸又は出力軸となる第一の軸7と、第一の軸7に支持され溝幅が可変のV型溝を形成した一対のプーリ部材4と、ケーシング10に回転自在に支持された出力軸又は入力軸となる第二の軸6と、プーリ部材4及び第二の軸6にそれぞれ係合して第一及び第二の軸間(7,6)でトルクを伝達するリング3と、リング3を第二の軸6回りに移動させるための機構とを有する。プーリ部材4に係合するリング3の側面に所定曲率半径の副曲率を付与したり、プーリ部材の側面傾斜角度を変化させることにより、プーリ部材4とリング3間の接触面圧を調整する。
【選択図】 図1

Description

この発明のトラクションドライブ式無段変速機は自動車や各種産業機械において利用される。
無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)は昔から多くの考案がなされている。最近ではハーフトロイダル方式(図4)が注目を集めているが、実用化の方向は金属ベルト方式(図5)である。
町田,今西,「トラクションドライブ式無段変速機パワートロスユニットの開発 第2報−ハーフトロイダルCVTとフルトロイダルCVTの比較−」,NSK Technical Journal No. 670 (2000),日本精工株式会社
トラクションドライブ装置の課題は、コンパクトで大きなトルクを効率よく伝達することである。コンパクトで大きな伝達トルクを得るには、大きな接触力を与えればよいが、接触応力が大きすぎると寿命が短くなる。接触応力を下げるために、接触面積が大きくなるように設計すると、接触部のスピン成分が増え、伝達効率が低下する。
これらの課題をある程度解決しているのが、上述のハーフトロイダル式と金属ベルト方式である。しかし、完全ではなく、それぞれが欠点を持っている。ハーフトロイダル式は、パワーローラが入出力ディスク面に押し付けられた状態で揺動し変速する。ここには大きな接触圧力が作用し、油膜が形成されない場合、焼付きが生じる。これを避けるためには表面粗さを上げなければならないが、大きな球面を高精度に加工するには高コストとならざるを得ない。また、回転方向には凸同士の接触となるため、接触位置によっては大きなスピン成分が生じ、伝達効率が低下する。さらに、構造上軸方向に長く、FF車に搭載するには無理がある。一方、金属ベルト方式は、多くのエレメントを積み重ねて曲がりやすくし、Vプーリに押し付けてトルクを伝達する。基本的にはプーリとベルトは金属接触するため摩耗が避けられない。
本発明の目的は、上述の問題点を解消した、コンパクトで大きなトルクを効率よく伝達することのできるトラクションドライブ式無段変速機を提供することにある。
本発明は、心なし伝達リングとVプーリの組合せによる変速装置であり、心なし伝達リングは外周からガイドローラにより保持される、従来にない構造のトラクションドライブ式無段変速機を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、ケーシング10に回転自在に支持された入力軸又は出力軸となる第一の軸7と、第一の軸7に支持され溝幅が可変のV型溝を形成した一対のプーリ部材4と、ケーシング10に回転自在に支持された出力軸又は入力軸となる第二の軸6と、プーリ部材4及び第二の軸6にそれぞれ係合して第一及び第二の軸間(7,6)でトルクを伝達するリング3と、リング3を第二の軸6回りに移動させるための機構とを有し、プーリ部材4に係合するリング3の側面に所定曲率半径の副曲率を付与することによりプーリ部材4とリング3間の接触面圧を調整したことを特徴とするものである。
本発明のトラクションドライブ式無段変速機はハーフトロイダル型に比べて次のような利点がある。接触面積を大きくしてもスピン成分が少なく、効率がよい。ハーフトロイダル型のような球面加工が不要である。ハーフトロイダル型より軸方向長さが短く、FF車への適用が容易である。また、金属ベルト式に比べて構造が簡単であり、プーリとの間に油膜ができて金属ベルト式に比べて摩耗がなく、したがって長寿命である。また、リングの側面に所定曲率半径の副曲率を付与することにより接触面圧を調整することができ、エッジロードの発生防止により接触面での早期剥離を防止し、トラクションドライブ式無段変速機の寿命延長を図ることができる。
請求項2の発明は、請求項1のトラクションドライブ式無段変速機において、プーリ部材とリング間の最大接触面圧を3.5〜4.5GPaに調整したことを特徴とするものである。
リングの側面の曲率半径rが大きいと同じ接触力に対し接触面圧が低下し、寿命の低下は避けられる反面、スピン成分が増加して伝達効率の低下を招く。そこで、一つの基準として、最大伝達トルクの作用時の面圧として3.5〜4.5GPaとなるようにするのが適当である。
請求項3の発明は、ケーシングに回転自在に支持された入力軸又は出力軸となる第一の軸と、第一の軸に支持され溝幅が可変のV型溝を形成した一対のプーリ部材と、ケーシングに回転自在に支持された出力軸又は入力軸となる第二の軸と、プーリ部材及び第二の軸にそれぞれ係合して第一及び第二の軸間でトルクを伝達するリングと、リングを第二の軸回りに移動させるための機構とを有し、リングに係合するプーリ部材の側面傾斜角度を半径方向に変化させることによりプーリ部材とリング間の接触面圧を調整したことを特徴とするものである。
トラクションドライブに使われる潤滑油は、高トラクション係数を示すのは明らかであるが、接触面圧が低下するとトラクション係数も下がる。このためには最低限の接触面圧を維持する必要がある。プーリ部材の角度が一定の場合、リングとの接触位置がプーリ部材の外径に近づくと、接触部の周方向長さが長くなり接触面圧が低下する。これを避けるためには、プーリ部材の側面傾斜角度を変化させるとよい。
請求項4の発明は、請求項3のトラクションドライブ式無段変速機において、プーリ部材とリング間の最低接触面圧を1GPaに調整したことを特徴とするものである。
トラクション油が高トラクション係数を発揮する最低面圧として1GPaを与えればよい。押し付け力Pとの関連でこの値も変化する。
本発明は、従来の技術と比較して次のような利点がある。ハーフトロイダル型に比べて接触面積を大きくしてもスピン成分が少なく、効率がよい。ハーフトロイダル型のような球面加工が不要であるため低コストである。ハーフトロイダル型より軸方向長さが短く、FF車への適用が容易である。また、金属ベルト式に比べて構造が簡単であり、低コストである。プーリとの間に油膜ができて金属ベルト式に比べて摩耗がない、したがって長寿命である。また、リングの側面に所定曲率半径の副曲率を付与したり、プーリ部材の側面傾斜角度を変化させることにより、所定のトラクション係数を維持しつつリングとプーリ部材間の接触面圧を調整することができ、接触面での早期剥離を防止してトラクションドライブ式無段変速機の寿命延長を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図2は本発明の実施の形態を示すトラクションドライブ式無段変速機の断面図である。図から理解できるように、軸方向に可動の一対のプーリ部材4からなるV型プーリの溝にリング3を挟んだ構造である。この実施の形態ではリング3は外周に歯車の歯をもっているため、以下では歯付きリングと呼ぶこととする。図2に示すように、ケーシング10内に、互いに平行な入力軸又は出力軸となる第一の軸7と第二の軸6がそれぞれ軸受を介して回転自在に支持されている。この実施の形態では、これらの両軸6,7間でトルク伝達を行い、一方の軸(6または7)を入力軸とすると、他方の軸(7または6)が出力軸となる関係にある。
第二の軸6には入力側又は出力側となる歯車2が固定してある。歯車2は歯付きリング3と噛み合っている。歯付きリング3の側面の断面形状はV型プーリ4の溝の断面形状と実質的に一致している。歯付きリング3は、歯車2の歯と噛み合う歯と、平滑な円筒状ガイド面8を有し、前記ガイド面8にてガイドローラ1と接する。歯付きリング3のガイドには、図示するように歯付きリング3の外周面と接して転動するガイドローラ1を採用するほか、歯付きリング3との接触荷重は小さいため、歯付きリング3と滑り接触する滑り軸受(シュー)を採用してもよい。図1に示すように、この実施の形態では四つのガイドローラ1を設けてあり、図2にそのうちの2つ、つまり、歯車2の両側に配置した一対の円板で構成されるガイドローラと図1において最上部のガイドローラの断面を示してある。歯車2の両側に配置した一対の円板で構成されるガイドローラは第二の軸6に回転自在に固定されている。それ以外のすべてのガイドローラ1はそれぞれ回転自在にアーム13に支持されている。したがって、ガイドローラ1相互の位置関係は固定的である。これらのガイドローラ1のうち、図1の左端に現れているガイドローラ1は歯付きリング3の軸方向の振れ防止の役割も持たせる。アーム13は第二の軸6と同軸に、ケーシング10のスリーブ17に旋回自在に支持されている。
第一の軸7はスプライン軸部12を有し、このスプライン軸部12に一対のプーリ部材4をスプライン嵌合させてある。プーリ部材4は第一の軸7の軸方向に移動可能である。各プーリ部材4は溝幅調節機構9を備えている。溝幅調節機構9は、第一の軸7と同軸に支持された一対のフェイスカム21,22と、スラスト軸受15とを含む。一対のフェイスカムのうち、可動フェイスカム21は第一の軸7の軸方向に移動可能で、かつ、スラスト軸受を介してプーリ部材4と接している。固定フェイスカム22はケーシング10に固定されている。
一対のフェイスカムは、相対回転により、接近または離反するように、斜面で接触している。この斜面間にボールを介在させることにより移動が滑らかとなる。図3に例示したフェイスカム21,22はらせん状の斜面にて接触しており、可動フェイスカム21が回転すると固定フェイスカム22と接近または離反する。したがって、可動フェイスカム21の回転に伴い、その回転方向によって、スラスト軸受15を介してプーリ部材4を相互に接近する向きに移動させ、または、プーリ部材4が相互に離反する向きに移動するのを許容する。
アーム13に歯車23を固定し、アーム13の旋回軸と同軸に支持させてある。また、可動フェイスカム21は外周に歯を有し、図2に符号20で示す噛み合い部にて歯車23と噛み合っている。したがって、可動フェイスカム21はアーム13の旋回と連動して回転する。ケーシング10内のスリーブ17上にあり、アーム13の旋回に連動して回転する歯車23が、噛み合い部20を介して回転力を左右にある可動フェイスカム21に伝える。この動作により、プーリ部材4の軸方向移動に連動して、ガイドローラ1群が中心O1周りに旋回し、歯付きリング3をプーリ部材4に接触させながら接触点を移動させることができる。
一対の歯車23が連結部18によって互いに一体化しており、したがって、一対の歯車23は同期してのみ回転する。その結果、図2の左右の溝幅調節機構9における可動フェイスカム21が同じ方向に回転する。図2の右側の溝幅調節機構9と左側の溝幅調節機構9とではフェイスカム21,22の配置が逆になっているため、可動フェイスカム21が同じ方向に回転すると、それらは互いに逆方向に移動することになる。このようにして、一対のプーリ部材4が接近または離反する方向に移動し、溝幅が変化する。
歯付きリング3は三つ以上のガイドローラ1で外周から拘束されているため、中心軸がなくても回転が可能である(心なしローラ)。ガイドローラ1はアーム13で連結されており、アーム13を旋回させることによって中心O1回りに歯付きリング3の回転中心を移動させることができる。したがって、歯付きリング3の外周に切られた歯は歯車2と常に噛みあった状態にある。歯付きリング3とプーリ部材4間のすきまが生じないようにプーリ部材4とアーム13を制御すれば、歯付きリング3が中心O1回りに移動することにより、プーリ部材4との接触点が変化し、一定の歯車2の回転数に対し、プーリ部材4の速度を連続的に変えることができる。このようにして、いわゆるCVTが構成される。
プーリ部材4を支持する第一の軸7を入力側とすると、歯付きリング3を押し込んだ状態が減速状態となる。伝達トルクが同じであれば、歯付きリング3を押し込んだときのプーリ部材4による挟みつけ力は大きくすべきで、逆に歯付きリング3とプーリ部材4との接触点大径側にあるときは小さくてもよい。挟み込み力によるプーリ部材4の曲げ応力を考えた場合、大径接触時の挟み込み力を軽減できる、プーリ部材4を入力とするこの方法が、出力とするよりもベターである。
図1に矢印で示す方向にプーリ部材4から回転力が入力されると、プーリ部材4から歯付きリング3に力Fが作用し、ほぼ同じ大きさの力が歯車2から作用する。歯車2からの反力が歯付きリング3をプーリ部材4間に押し込む方向に働くため、伝達トルクの増大に伴い自動的に接触力が大きくなる。
続いて図6に示す実施の形態について説明する。上述の図2の実施の形態では、プーリ部材4をスラスト玉軸受15で支持している。しかし、プーリ部材4にはラジアル荷重が作用するため、軸7に大きな曲げモーメントが作用する。これを避けるためには、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円すいころ軸受その他ラジアル荷重およびスラスト荷重のいずれも受けられる軸受を採用するのが望ましい。図6は深溝玉軸受24を採用した実施の形態を示す。玉軸受24の内輪はプーリ部材4の斜面近傍に取り付け、外輪は送りねじ軸28に取り付けてある。送りねじ軸28には台形ねじなどの雄ねじが切ってあり、一方、ケーシング10には雌ねじを切ったナット26が形成してある。これらのねじがかみ合って、送りねじ軸28の回転運動を直線運動に変換する機構を構成している。送りねじ軸28の径方向ガタは極めて小さく製作してあるので、プーリ部材4のラジアル荷重を高剛性で支えることが可能である。送りねじ軸28としてボールねじを使うことは、回転抵抗も小さいことから本用途に適している。図6では、送りねじ軸28の雄ねじとかみ合う雌ねじを切ったナット26がケーシング10に一体的に形成してあるように描いてあるが、別体であっても機能は同じである。ケーシング10にアルミニウム合金を使い、ボールねじの場合にはねじ部を別体にすると共に高硬度材料が使われる。
送りねじ軸28には歯車30を取り付けてある。そして、図示しない駆動手段により、歯車30を介して送りねじ軸28を回転駆動する。左右の送りねじ軸28が対称に作動して一対のプーリ部材4の離間距離(溝幅)を変え、その結果変速比が変えられる。つまり、送りねじ軸28の回転により、プーリ部材4の中心位置は変化せず、溝幅のみが変わる。このように、送りねじ軸28は、軸方向に移動して一対のプーリ部材4の溝幅を変化させるという意味で、既述のプーリ幅調節機構9に相当する。なお、プーリ部材4と軸7とは、両者に形成した軸方向溝に共通に鋼球を介在させることにより、軸方向の滑らかな相対移動を可能にし、かつ、回転方向には回り止めをしてある。
図7に示すように、歯付きリング3は変速用アーム機構32により支持され、シューガイド34を介して、制御された力Pでプーリ部材4に押し付けられている。アーム機構32は、出力歯車2の両側に配置した円板1bからなるガイドローラと、このガイドローラと直径方向で対向する位置に転がり軸受を介して支持されたガイドローラ1と、これらと直交する方向で図中右側に現れているシューガイド34とを具備し、これらによって歯付きリング3の中心位置が拘束される。これらガイドローラの位置は一例であり、必ず90度の角度に配置される必要はない。さらには、3つのガイドローラで決まる歯付きリングの中心位置とプーリ部材4の中心位置の関係は、図7の関係である必要はない。また、アーム機構32は、一対のアームガイド58によって軸方向の位置決めがなされている。また、図8に示すように、歯付きリング3の軸方向振れを抑える幅ガイド42を設けることができる。図6から分かるように、ガイドローラ1は複列の玉軸受で支持されている。
力Pの制御方法として、最も簡単には、図7の場合がそうであるようにばね力を用いる方法があるが、油圧力やモータ(リニアモータを含む)による方法もある。後者は力Pのきめ細かい制御が可能である。図7において、符号38で指してあるのは引張コイルばねである。シューガイド34は、アーム機構32に調心材36を介して取り付けてある。これは、歯付きリング3の二つのガイド面の精度誤差を吸収するためである。調心材36の配置によりティルティングパッド軸受を構成した例を図9に示す。図9に符号Lで示すように、シューガイド中心と調心材中心(支点)とをオフセットさせることにより、軸受すきま内の圧力分布の中心が偏心するので、シューガイド34の負荷容量が向上する。
歯付きリング3とプーリ部材4の接触部は高面圧となる。したがって、エッジロードが生じると早期に剥離が発生する。これの対策として、図10に示すように、歯付きリング3に曲率半径rの副曲率を与えるのが好ましい。曲率半径rが大きいと同じ接触力に対し接触面圧が低下し、寿命の低下は避けられる。しかし、スピン成分が増加し、伝達効率の低下を招く。そこで、一つの基準として、最大伝達トルクの作用時の面圧として3.5〜4.5GPaとなるように副曲率を決めるのが適当である。また、トラクション部は高面圧下で、かつ、接線力が作用する。このような条件下で長寿命を得る材料組成は種々研究されており、トロイダル式の開発成果が利用できる。一般には浸炭鋼が使われるが、水素脆性にも考慮しなければならない。当然ではあるが、表面硬度や硬度分布は軸受と同様の設計技術を使うことになる。硬度としてはHRC60前後が好ましい。表面には200Mpa以上の圧縮応力があることが好ましい。
図11に示すように、プーリ部材4と支持軸受24の内輪端面との間に弾性部材44を介在させることができる。図示していないが、ねじ軸28と支持軸受24の外輪端面との間に配置することも可能である。要するに、プーリ部材4と送りねじ軸28との間の軸方向すきまに弾性部材44を介在させるのである。図11は弾性部材44として皿ばねを採用した場合を例示したものである。本トラクションドライブ式無段変速機を搭載した自動車が一定速度で走行中からステップ上にアクセルが踏まれた場合、シフトダウンして加速が行なわれるのが理想であるが、変速機が応答するまでに遅れが生じる。この遅れを解消する役割を弾性部材44が果たす。この意味で、弾性部材44は応答向上ばねと呼ぶことができる。定常走行から加速されると、歯付きリング3にはプーリ部材4に押し込む力が瞬間的に大きくなる。これにより、伸びていた弾性部材44に圧縮力が作用して弾性部材44が変形し、一対のプーリ部材4の溝幅が広くなる。これは瞬時に高減速比を与えることになり、変速応答が向上する。本トラクションドライブ式無段変速機の変速比を大きく取ると、高減速比においてはプーリ部材4との接触半径が小さくなり、当然、伝達トルクの低下につながる。図示はしないが本トラクションドライブ式変速機を2段に直列に接続すると、この欠点が解消される。
変速比設定センサ64を設けて、歯車30の端面位置を計測することにより、プーリ部材4の溝幅を間接的に計測することができる。プーリ部材4の溝幅は変速比と同等であり、よって、センサ64の信号は変速比となるが、図示しない外部モータによって歯車30を回すと変速が実現する。この外部モータの駆動力制御には目標変速比と実際の変速位置を知る必要がある。
トラクションドライブに使われる潤滑油は、高トラクション係数を示すのは明らかであるが、接触面圧が低下するとトラクション係数も下がる。このためには最低限の接触面圧を維持する必要がある。プーリ部材4の角度θが一定の場合、歯付きリング3との接触位置がプーリ部材4の外径に近づくと、接触部の周方向長さが長くなり接触面圧が低下する。これを避けるためには、図12に示すようにプーリ部材4の角度を変化させるとよい。トラクション油が高トラクション係数を発揮する最低面圧として1GPaを与えればよい。押し付け力Pとの関連でこの値も変化する。
次に、図13および図14に示す実施の形態について説明する。一対のプーリ部材4の離間距離(溝幅)は左右の送りねじ軸28により決められる。高トルクが作用中に減速比を小さくする方向に動作させようとすると、送りねじ軸28の駆動トルクも大きい。ボールねじを使用して、駆動トルクを下げるには、ボールねじの負荷容量の増大を図らなければならない。ねじ径が大きくなったり、長さが長くなる。また、駆動用のモータにも高トルクが要求され、大型化する。
プーリ部材4と送りねじ軸28の端面は共通の油圧室46に面しており、油圧室46はシールSにより密閉してある。トラクションドライブ式無段変速機に使われる潤滑油が油圧ポンプにより加圧されて、左右の油圧室46に供給される。送りねじ軸28の受圧面積に比べてプーリ部材4の受圧面積は小さいので、軸受24の負荷を軽減する効果は少ないが、送りねじ軸28とナット26との間のスラスト荷重の軽減には有効である。また、モータの小型化にも有効である。プーリ部材4を移動させるために、歯車装置により駆動歯車30を介して送りねじ軸28を回転駆動するが、このときの駆動力が減少するように供給される油圧がコントロールされる。駆動力の源として電動モータとすると、このモータ電流がトルクと等価であり制御への利用が容易である。
図14は、油圧力がプーリ部材4にのみ作用するようにした変形例を示す。この場合、軸受24、送りねじ軸28共にスラスト負荷の軽減が可能になる。しかし、油圧が高くなりすぎると、油圧力のみでプーリ部材4の位置が変化するため、油圧制御が複雑になる。
プーリ部材4に働く軸方向力は、トラクションドライブ式無段変速機の伝達トルクと変速位置によって決まる。高い減速位置では歯付きリング3がプーリ部材4間に押し込まれる力も大きくなる。入力トルクはエンジンの吸気マニフォールドの絶対圧にほぼ比例する。よって、センサ64より得られるトラクションドライブ式無段変速機の変速位置と吸気圧を用いることにより、最適な油圧を演算することが可能である。
図15(a)は、図1と類似のトラクションドライブ式無段変速機の構想図であって、図7の構成を線図で表したものである。図7に示した方向にプーリ部材4から歯付きリング3へ回転力を伝達する場合、以下に示すように伝達力に比例した押し付け力を受動的に発生するように設計できる。歯付きリング3に作用するプーリ部材4、出力歯車2、ガイドローラ1からの主な力は図15(a)のようになる。出力歯車への伝達力F3は歯車の接触角をα(一般には20度)、接触部の半径をそれぞれRT、RGとすると、トルクの釣り合いより式1が得られる。
3Gcos20°=F1T (1)
歯付きリング3をプーリ部材4間に押し込む力PSUMは、ガイドローラ1からの押し付け力Pと式1から、cos20°≒1として式2が得られる。
SUM=P+F1T/RG (2)
SUMによるプーリ部材4と歯付きリング3との接触力Qは、プーリ部材4の開き角を2θとすると、式3となる。
2Qsinθ=Psum (3)
トラクション係数をμとすると、2Qμ=F1であるから、式1、式2、式3より、式4が得られる。
1=μ(P+F1T/RG)/sinθ (4)
トラクション係数は潤滑油、温度、すべり率によって変化する。すべり率とトラクション係数の関係は図16のようである。すべり率の増加に伴いトラクション係数は増大するが、数%で最大値μMAXに達する。トラクションドライブ装置ではμMAXになるすべり率以下で動作させる。
伝達トルクに比例して、プーリ部材4の挟みつけ力が変化することで、摩擦ロスの低減には最適であるから、P=0のときに式4が成り立つことが理想状態である。よって、式4から最適プーリ角度は式5の関係が成り立つときである。ただし、ここでのμはμMAXを採用する。
sinθ=μ(RT/RG) (5)
θが式5の関係よりも小さすぎると、必要以上に接触面圧が上昇し、寿命低下やトルクロスが増える。逆に大きすぎるとトラクション部ですべりが増加し、ここでもトルクロスが増加する。
一般に、潤滑油の最大トラクション係数は潤滑油の種類や温度により変わるが、実用的な最大値μMAXは0.1〜0.07の範囲であり、1>RT/RG>0.8程度であるから、式5より伝達トルクに比例した挟み込み力を与えるプーリ部材4の角度θは7度〜3度となる。
アクセルペダルの踏み込みを戻した場合や車速が上昇した場合には、駆動力(F3)が減少する。このとき、プーリ部材4の溝幅を狭める方向(シフトアップ)に運動すると、Qが増加して歯付きリング3をプーリ部材4の外周へ押し出し、減速比が小さい方向にシフトする。
歯付きリング3は最低3個のガイドローラ1で保持されている。このガイドローラ1によって最低限の力で歯付きリング3をプーリ部材4に押し付けておく必要がある。なぜなら、伝達トルクゼロのときに歯付きリング3が不安定になるからである。この押し付け方法として、ばね力や油圧や電磁力(モータ等)が考えられる。本トラクションドライブ式無段変速機を自動車に適用した場合、プーリ部材4の角度を適切に設計することにより、駆動時には自己予圧が可能であることを示した。しかし、エンジンブレーキ時には、出力歯車2から歯付きリング3に作用する力は、プーリ部材4から離す方向に作用する。この力は主には変速位置によって変わるために、エンジンブレーキが作用中は別の制御機構により制御される。
エンジンブレーキ時には、出力歯車2から歯付きリング3に作用する力は、プーリ部材4から離す方向に作用する。この大きさは駆動時の最大値の1/Bであり、Bの値は5〜10である。エンジンブレーキ時はこの2倍に相当する押し付け力を油圧、他の機構で発生させなければならない。つまり、式4において、P≒2F1T/BRG≒2F1T/BRG、RT≒RGとすると、P=2F1/Bとなる。F1は変速位置により変化し、高減速側で大きくなる。
変速比がDレンジにあるときには積極的なエンジンブレーキが求められていないことになる。よって、このときのPの値は変速比がトップに相当する位置でのF1を採用する。
積極的なエンジンブレーキが求められる場合、たとえば、3速、2速にシフトがある場合には変速レバー位置によるPを付加することになる。
200Nmの最大トルクが本トラクションドライブ式無段変速機に入力される場合を考える。RT=100mmとすると、F1=2000Nとなる。B=10、RT≒RGとするとP=2000×0.2=400N。
図17〜図20に示す実施の形態は、歯付きリング3の支持に転がり軸受を利用したものである。図17および図18に示すように、歯付きリング3の外周には、出力歯車2とかみ合うための複数の歯と、玉が転動するための軌道が設けてある。歯付きリング3を転がり軸受を介して外側から支持するためにひょうたん形(図18)の支持外輪48を使用する。支持外輪48は大小二つの貫通孔を有し、それぞれの貫通孔の内周面には軌道が設けてある。支持外輪48の大径の貫通孔には複数の玉を介して歯付きリング3が回転自在に収容される。支持外輪48の小径の貫通孔には複数の玉を介して内輪50が回転自在に収容される。内輪50は出力軸6に嵌合させてある。図17から分かるように、支持外輪48は、一対のガイドプレート54により軸方向の両側から位置決めされている。なお、軸7の外周にはトラクションドライブ点に強制的に潤滑油を供給するためのらせん状の給油溝56が形成してある。
図17では、歯付きリング3の軌道と内輪50の軌道を歯付きリング3の中心線上に整列させてあるが、図19に示すように、歯付きリング3の歯と軌道を、歯付きリング3の中心線の両側に振り分けて配置することにより、オフセットを与えてもよい。また、図20は、支持外輪48の支持部を転がり軸受からすべり軸受に変更した例を示す。たとえば、出力軸6と同軸状のスリーブ52を設け、このスリーブ52の外周に回転自在に支持外輪48を嵌合させる。出力軸6上で回転させる場合には転がり軸受機能が必要であるが、スリーブ52上で回転させる場合には摺動速度が遅いのですべり接触で十分である。
トラクションドライブ式無段変速機の構想図である。 トラクションドライブ式無段変速機の断面図である。 aはフェイスクラッチを例示する分解斜視図、bはフェイスクラッチの作動要領を示す側面図である。 従来の技術を示す断面図である。 aは従来の技術を示す断面図、bは斜視図である。 本発明の実施の形態を示す縦断面図である。 横断面図である。 幅ガイドを示す縦断面図である。 ティルティングパッド軸受の断面図である。 (a)は縦断面図、(b)は(a)のb部拡大図である。 弾性部材を介在させた変形例を示す縦断面図である。 プーリ部材の変形例を示す縦断面図である。 別の実施の形態を示す縦断面図である。 変形例を示す縦断面図である。 (a)は構想図、(b)は拡大断面図である。 トラクション係数とすべり率の関係を示す線図である。 別の実施の形態を示す縦断面図である。 横断面図である。 変形例を示す断面図である。 変形例を示す断面図である。
符号の説明
1 ガイドローラ
2 歯車
3 歯付きリング
4 プーリ部材
5 接触部
6 第二の軸
7 第一の軸
8 ガイド面
9 プーリ幅調節機構
10 ケーシング
12 スプライン
13 アーム
15 スラスト軸受
17 スリーブ
18 連結部
20 噛み合い部
21 可動フェイスカム
22 固定フェイスカム
23 歯車
24 アンギュラ玉軸受
26 ナット
28 送りねじ軸
30 歯車
32 アーム機構
34 シューガイド
36 ころ
38 引張コイルばね
40 調芯材
42 幅ガイド
44 弾性部材(応答向上ばね)
46 油圧室
48 支持外輪
50 内輪
52 スリーブ
54 ガイドプレート
56 給油溝
58 変速レバーガイド
60 変速位置センサ
62 圧力センサ
64 変速比設定センサ
S シール

Claims (4)

  1. ケーシングに回転自在に支持された入力軸又は出力軸となる第一の軸と、第一の軸に支持され溝幅が可変のV型溝を形成した一対のプーリ部材と、ケーシングに回転自在に支持された出力軸又は入力軸となる第二の軸と、プーリ部材及び第二の軸にそれぞれ係合して第一及び第二の軸間でトルクを伝達するリングと、リングを第二の軸回りに移動させるための機構とを有し、プーリ部材に係合するリングの側面に所定曲率半径の副曲率を付与することによりプーリ部材とリング間の接触面圧を調整したことを特徴とするトラクションドライブ式無段変速機。
  2. プーリ部材とリング間の最大接触面圧を3.5〜4.5GPaに調整したことを特徴とする請求項1のトラクションドライブ式無段変速機。
  3. ケーシングに回転自在に支持された入力軸又は出力軸となる第一の軸と、第一の軸に支持され溝幅が可変のV型溝を形成した一対のプーリ部材と、ケーシングに回転自在に支持された出力軸又は入力軸となる第二の軸と、プーリ部材及び第二の軸にそれぞれ係合して第一及び第二の軸間でトルクを伝達するリングと、リングを第二の軸回りに移動させるための機構とを有し、リングに係合するプーリ部材の側面傾斜角度を半径方向に変化させることによりプーリ部材とリング間の接触面圧を調整したことを特徴とするトラクションドライブ式無段変速機。
  4. プーリ部材とリング間の最低接触面圧を1GPaに調整したことを特徴とする請求項3のトラクションドライブ式無段変速機。
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