JP2005225948A - 顔料分散液およびこれを用いたインク組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 顔料と、ポリウレタン樹脂と、1,2−ヘキサンジオールとを、少なくとも含んでなる顔料分散液であって、その顔料分散液の粘度変化が実質的に起こらなくなるまで加熱処理を施してなる顔料分散液とする。
【選択図】 なし
Description
本発明による顔料分散液は、少なくとも、顔料とポリウレタン樹脂と1,2−ヘキサンジオールとを含んでなるものであり、この顔料分散液の粘度変化が実質的に起こらなくなるまで加熱処理を施すことにより得られるものである。顔料分散液を60〜70℃、好ましくは70℃で、3〜7日間、好ましくは3日間加熱処理することにより、顔料分散液の粘度変化が実質的に起こらなくなる。このように粘度変化が起きない程度にまで加熱処理を施した顔料分散液は、高温、アルカリ条件下などの所定環境下に保管された場合であっても、ポリウレタン分子鎖の加水分解が起きにくく、したがって、顔料分散液の粘度の経時変化が起こらないため、顔料分散液を用いてインク組成物を調製する際も、容易にインク組成物の粘度調整を行うことができる。また、このようにして得られたインク組成物は、長期にわたりインクの粘度が変化せずインクの吐出安定性や保存安定性に優れる。ここで、顔料分散液の粘度変化が実質的に起こらなくなる程度とは、顔料分散液を加熱処理する前の溶液粘度をη0、加熱処理後の溶液粘度をηとした場合に、下記式で表される粘度変化率(Δη)が、4%以下であることをいう。
顔料分散液に添加する1,2−ヘキサンジオールは、顔料分散液に対して2〜8重量%であることが好ましい。2重量%未満であると、顔料分散液を加熱処理しても、インク組成物の吐出安定性や保存安定性が十分には得られず、また8重量%を超えると、加熱処理後に調整したインク組成物の光沢性が大きく低下する。
上記ポリウレタン樹脂は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、ウレタン結合および/またはアミド結合と、酸性基、とを有する樹脂であることが好ましい。
本発明による顔料分散液に用いられる顔料としては、無機顔料および有機顔料を使用することができ、それぞれ単独または複数種混合して用いることができる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタンおよび酸化鉄の他に、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックが使用できる。また、前記有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が使用できる。
本発明による顔料分散液は、分散剤として、疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂を含んでなることが好ましい。これら共重合樹脂は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
本発明による顔料分散液は、グリシジルエーテルを骨格とするエポキシ樹脂、またはオキサゾリン基を有する樹脂が、架橋剤として添加されていることが、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点から特に好ましい。ポリウレタン樹脂および架橋剤を添加して架橋反応を行わせることにより、上記共重合樹脂とポリウレタン樹脂とが、架橋剤によって架橋され、顔料の表面を被覆し(カプセル化)、経時安定性向上、低粘度化、密着性向上を促し、顔料分散液を安定化させる。
本発明による顔料分散液は、顔料、ポリウレタン樹脂、1,2−ヘキサンジオール、および顔料分散剤に、必要に応じて中和剤その他の添加剤を配合した後、公知の分散機等により分散処理することにより調製される。本発明においては、前記顔料は、ビーズミルまたは衝突型ジェット粉砕機によって調製された顔料であることがカラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点から好ましい。また、顔料分散液に用いられる水性媒体としては、通常、水が使用される。水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純粋または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
本発明による顔料分散液は、上記顔料と分散剤とを混合して、ビーズミルまたは衝突型ジェット粉砕機を用いて顔料を分散させ、その後、ポリウレタン樹脂を添加し、必要に応じて架橋剤を添加して架橋処理を行い、未処理顔料分散液を調整する。次に、この未処理顔料分散液に所定量の1,2−ヘキサンジオールを添加し、加熱処理を行うことにより得られる。加熱処理は、60〜70℃、好ましくは70℃で、3〜7日間、好ましくは3日間行う。所定量の1,2−ヘキサンジオールを添加して上記加熱処理を行うことにより、顔料分散液が、高温、アルカリ条件下などの所定環境下に保管された場合であっても、顔料分散液の粘度の経時変化が起きにくくなる。したがって、インク組成物を調製する際に、容易にインク組成物の粘度調整を行うことができる。また、このようにして得られたインク組成物は、長期にわたりインクの粘度が変化せずインクの吐出安定性や保存安定性に優れる。
本発明によるインク組成物は、前述した顔料分散液と、水性媒体とを少なくとも含有してなるものである。本発明のインク組成物は、このように、前述した顔料分散液、即ち、未処理顔料分散液に所定量の1,2−ヘキサンジオールを添加し、加熱処理を行ったものであるため、吐出安定性と保存安定性とに優れ、かつ、十分な光沢性および耐擦性を実現することができるものである。また、本発明においては、顔料としてカラー画像用の有機顔料を用いた場合には、特に光沢性が向上したカラー画像を形成することができる。
上記一般式(I)で表されるアセチレングリコール系化合物としては、市販されているものを用いることができ、例えば、オルフィンY、サーフィノール82、440、465、STG、E1010(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)などが挙げられ、特にサーフィノール465を用いることが好ましい。
上記一般式(II)で表されるポリシロキサン系化合物としては、市販されているものを用いることができ、例えば、BYK348(ビックケミージャパン製)等を用いることができる。
本発明のインク組成物は、顔料分散液を用いて調製される従来のインク組成物と同様に調製することができる。調製に際しては、メンブレンフィルターやメッシュフィルター等を用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
以下に示す組成からなる混合物を加圧ニーダーに仕込み、室温で10時間混練し、顔料混練物を作製した。
スチレン−メチルスチレン−アクリル酸共重合体 3重量部
(酸価160、重量平均分子量8000、ガラス転移温度75℃)
グリセリン 15重量部
イソプロピルアルコール 4重量部
次に、得られた顔料混合物と下記の各成分とを攪拌機に仕込み、95℃で2時間過熱攪拌し、調整液を作製した。
中和剤(トリエタノールアミン) 3重量部
イオン交換水 55重量部
次に、得られた調整液を、微細化可能ビーズミル(50nmの有機顔料微粒子生成能力を有する)に逐次仕込み、3パス処理し、その後、水酸化ナトリウムでpH8.5になるように調整して、25000Gで5分間遠心処理することにより粗大粒子を除去した。得られた調整液は、固形分23.0%、pH8.3、顔料粒子径(体積50%分散径)100nm以下であった。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(固形分30%) 10重量部
(酸価50、トリエチルアミン中和)
架橋剤 8重量部
(20%グリシジルエーテルを骨格とするエポキシ樹脂:エポキシ当量200)
このようにして得られた顔料分散液に、1,2−ヘキサンジオールを5重量%添加し、十分に攪拌した。得られた顔料分散液を後記の表1に示される条件にて加熱処理を行い、顔料分散液A〜Eを得た。
得られた処理済顔料分散液Aを用いて、下記組成のインク組成物Aを作製した。
グリセリン 10.0重量%
1,2−ヘキサンジオール 5.0重量%
BYK−348 0.5重量%
トリエタノールアミン 0.9重量%
純水 残量
上記と同様にして、処理済み顔料分散液B〜Gに着いても同様にしてインク組成物B〜Gを作製した。
得られたインク組成物A〜Gについて、以下に説明するインク保存安定性の評価を行った。インク保存安定性の評価は、インク組成物をインクパックに50cc封入し、70℃の環境下で6日間放置し、放置前後のインク組成物の粘度を測定し、粘度変化率を算出することにより行った。粘度測定は逆流式粘度管(離合社製)を用いて行い、測定温度は20℃とした。なお、粘度変化率は下記式により算出した。
ここで、η0は放置前のインク組成物の粘度を、ηは70℃の環境下で6日間放置した後のインク組成物の粘度を示す。
Claims (16)
- 顔料と、ポリウレタン樹脂と、1,2−ヘキサンジオールとを、少なくとも含んでなる顔料分散液であって、その顔料分散液の粘度変化が実質的に起こらなくなるまで加熱処理を施してなる、顔料分散液。
- 前記加熱処理が、60℃〜70℃で行われるものである、請求項1に記載の顔料分散液。
- 前記加熱処理が、3〜7日間行われるものである、請求項1または2に記載の顔料分散液。
- 前記1,2−ヘキサンジオールが、顔料分散液に対して2〜8重量%含まれてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記ポリウレタン樹脂が、ウレタン結合および/またはアミド結合と、酸性基とを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記顔料の固形分と、顔料以外の固形分との重量比が、100:20〜100:80である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記ポリウレタン樹脂が、前記顔料に対して、10〜40重量部、含まれてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記ポリウレタン樹脂の酸価が、10〜300である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が、100〜20万である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が、−50〜200℃である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記ポリウレタン樹脂の最大粒径が、0.3μm以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 架橋剤として、グリシジルエーテルを骨格とするエポキシ樹脂、または、オキサゾリン基を有する樹脂を、さらに含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記架橋剤が、カルボキシル基と反応する樹脂である、請求項12に記載の顔料分散液。
- 前記架橋剤が、前記ポリウレタン樹脂に対して1〜50重量%含有されてなる、請求項12または13に記載の顔料分散液。
- 前記架橋剤と前記ポリウレタン樹脂とが反応した後の化合物の平均重量分子量が、1万以上である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 請求項1〜15のいずれか一項に記載の顔料分散液と、水性媒体とを少なくとも含んでなるインク組成物であって、70℃で6日間放置前後の溶液粘度変化率が、4%未満である、インク組成物。
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