JP2005221763A - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 液晶滴下貼り合わせ方式を用いた液晶表示装置の製造方法において液晶層が押され続けることによって発生する不都合、例えば、液晶がシールを侵食することを防止する。
【解決手段】 基板上にパネル部シールを形成する工程(P18)と、パネル部シールを取り囲むための外周シールを基板上に形成する工程(P18)と、基板上に液晶を滴下する工程(P5)と、一対の基板を真空環境下で貼り合わせる工程(21)と、貼り合せ後の一対の基板を真空環境から解放する工程(P22)と、パネル部シールを硬化させる工程(P23)とを有する液晶表示装置の製造方法である。一対の基板を真空環境から解放した時点(P22)からパネル部シールの硬化が完了した時点(P23)までの時間T0を5分以内に設定する。真空解放からパネル部シールの硬化までが短時間であるので、パネル部シールに液晶が進入したり、パネル部シールが広がることを防止できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 基板上にパネル部シールを形成する工程(P18)と、パネル部シールを取り囲むための外周シールを基板上に形成する工程(P18)と、基板上に液晶を滴下する工程(P5)と、一対の基板を真空環境下で貼り合わせる工程(21)と、貼り合せ後の一対の基板を真空環境から解放する工程(P22)と、パネル部シールを硬化させる工程(P23)とを有する液晶表示装置の製造方法である。一対の基板を真空環境から解放した時点(P22)からパネル部シールの硬化が完了した時点(P23)までの時間T0を5分以内に設定する。真空解放からパネル部シールの硬化までが短時間であるので、パネル部シールに液晶が進入したり、パネル部シールが広がることを防止できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶滴下貼り合せ方式、の液晶表示装置の製造方法に関する。
一般に、液晶表示装置は、一対の基板をシール材によって貼り合せ、それらの基板間に形成される間隙内、いわゆるセルギャップ内に液晶を封入することによって形成される。このとき、従来の液晶表示装置の製造方法では、シール材の一部に液晶注入用の開口を形成しておき、一対の基板をそのシール材によって貼り合せてパネル構造体を形成した後に、シール材の一部に設けた上記の開口を通してシール材によって囲まれる領域、すなわちセルギャップ内に液晶を注入していた。
このような従来の液晶表示装置の製造方法に対して、最近、液晶滴下貼り合せ方式と称される液晶表示装置の製造方法が提案されている。この製造方法では、液晶注入用の開口を持たない環状のシール材を一対の基板の一方に形成し、そのシール材によって囲まれる領域内又は他方の基板の対応する領域内に必要量の液晶を滴下し、その後にそれらの基板を貼り合わせて液晶パネルを形成する。つまり、この製造方法によれば、一対の基板の貼り合せが完了したときには、セルギャップ内に液晶が封入された状態になっている(例えば、特許文献1参照)。
また、このような液晶滴下貼り合わせ方式の液晶表示装置の製造方法において、一対の基板を大気圧によって押圧してセルギャップを均一化する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この製造方法では、液晶に接するシールとしてパネル部シールが形成され、そのパネル部シールを取り囲むように外周シールが形成される。そして、これらのシールを硬化させる際には、外周シールの硬化後にパネル部シールを硬化させることが記載され、さらに、外周シールの硬化からパネル部シールの硬化までの所要時間は5分から120分に設定することが記載されている。
一般に、液晶滴下貼り合わせ方式の液晶表示装置の製造方法では、例えば、図2(a)に示すように、ガラス、プラスチック等から成る基材12b’の表面にパネル部シール9及び外周シール29を形成する。また、シール以外の要素、例えばスイッチング素子、カラーフィルタ、電極等を基材上に形成することにより、基板が形成される。スイッチング素子が形成される側の基板は一般に素子基板と呼ばれる。また、カラーフィルタが形成される基板は一般にカラーフィルタ基板と呼ばれる。パネル部シール9及び外周シール29は、素子基板及びカラーフィルタ基板の一方または両方に形成される。これらのシールは、同一基板上に形成しても良く、あるいは、別々の基板上に形成しても良い。
液晶滴下貼り合わせ方式の液晶表示装置の製造方法では、一方の基板上であってパネル部シール9によって囲まれる領域内に必要量の液晶を滴下し、その後、その基板ともう一つの基板とを真空中で貼り合せる。すると、図2(b)に示すように、一対の基板11a’及び11b’がパネル部シール9及び外周シール29によって貼り合わされて成るパネル構造体が形成される。貼り合わせを真空中で行うことにより、パネル部シール9と外周シール29との間には、真空に保持され続ける領域である真空領域Vが形成される。
液晶滴下貼り合わせ方式の液晶表示装置の製造方法では、真空中で貼り合わされた一対の基板は、その後、大気圧に解放される。こうして一対の基板が大気圧に解放されると、真空領域Vの圧力と大気圧との間の差分の圧力Eが一対の基板の外側に加わる。この力Eは図3(b)に示すように液晶層13を加圧し、さらに図3(a)に示すようにパネル部シール9を加圧する。加圧された液晶層13は、図3(b)に示すように、これに接触するパネル部シール9をさらに加圧する。また、加圧されたパネル部シール9は、図3(a)に示すように、液晶層13及び真空領域Vをそれぞれ押し付ける。
以上の加圧関係は、図2(b)のパネル構造体をスクライブ線Gに沿ってスクライブ、すなわち切断することによって真空領域Vが大気圧へ解放されるまで続けられ、これにより、液晶層13及びパネル部シール9が押し続けられる。この結果、液晶層13とパネル部シール9との界面では、液晶がパネル部シール9を侵食したような領域が形成されることがある。また、パネル部シール9と真空領域Vとの界面では、パネル部シール9が真空領域V内で広がり続けることがある。
パネル部シール9が真空領域V内で広がり続けると、液晶層13の層厚、すなわちセルギャップは最適な寸法よりも狭くなって、表示特性が低下するおそれがある。また、液晶がパネル部シール9を侵食すると、表示特性の低下や、信頼性の低下が生じるおそれがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、液晶滴下貼り合わせ方式の液晶表示装置の製造方法において液晶層が押され続けることによって発生する不都合、例えば、液晶がシールを侵食することによって発生する表示特性の低下や信頼性の低下、を回避することを目的とする。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、一対の基板の一方または両方にパネル部シールを形成する工程と、前記一対の基板の一方または両方の基板に前記パネル部シールを取り囲む外周シールを形成する工程と、前記一対の基板の一方または両方の基板に液晶を滴下する工程と、前記一方の基板と前記他方の基板とを真空環境下で貼り合わせる基板貼り合せ工程と、貼り合せ後の前記一対の基板を真空環境から解放する工程と、前記パネル部シールを硬化させる工程とを有する液晶表示装置の製造方法において、前記一対の基板を真空環境から解放した時点から前記パネル部シールの硬化が完了した時点までの時間が5分以内であることを特徴とする。
この構成において、パネル部シールは液晶に接触するシールである。一般に、このパネル部シールは、1つの大きな面積の基材、いわゆるマザー基材の上に、複数個形成される。そして、上記の外周シールは、それら複数のパネル部シールを取り囲むように形成される。なお、「外周シールが複数のパネル部シールを取り囲む」というのは、一対の基板を貼り合せた状態においてのことである。従って、パネル部シール及び外周シールを形成する際には、両者を同一の基板上に形成しても良いし、あるいは、両者を別々の基板上に形成しても良い。
また、上記構成中、液晶を滴下する基板に関しては、一対の基板のうちの任意のいずれか一方であっても良いし、あるいは、一対の基板の両方であっても良い。また、上記の「真空」とは、完全な真空の場合はもとより、真空に近い減圧状態も含むものである。
また、上記構成中、「前記一対の基板の一方または両方の基板に液晶を滴下する」とは、
(1)シールが形成されている基板に液晶を滴下する場合には、シールによって囲まれた領域に液晶を滴下することであり、他方、
(2)シールが形成されていない基板に液晶を滴下する場合には、基板を貼り合わせて液晶パネルになった時にシールによって囲まれることになる領域に液晶を滴下することである。このことは、これ以降の説明においても同様である。
(1)シールが形成されている基板に液晶を滴下する場合には、シールによって囲まれた領域に液晶を滴下することであり、他方、
(2)シールが形成されていない基板に液晶を滴下する場合には、基板を貼り合わせて液晶パネルになった時にシールによって囲まれることになる領域に液晶を滴下することである。このことは、これ以降の説明においても同様である。
上記構成の本発明にかかる液晶表示装置の製造方法によれば、一対の基板を真空環境から解放した時点からパネル部シールの硬化が完了した時点までの時間を5分以内という短時間に設定したので、一対の基板が大気圧、あるいはその他の圧力によって加圧され続けても、液晶層厚すなわちセルギャップを一定に保持し続けることができる。また、液晶がパネル部シールを侵食することを防止できる。そして、これらのため、液晶表示装置の表示特性及び信頼性を高く維持できる。
次に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法において、前記パネル部シールは光硬化型樹脂によって形成され、さらに、前記パネル部シールを硬化させる工程は光照射によって行われることが望ましい。光硬化型樹脂は熱硬化型樹脂に比べて短時間で硬化することができる。例えば、数分程度で硬化作業を完了できる。従って、パネル部シールを短時間で硬化させようという本発明に関しては、パネル部シールを光硬化型樹脂によって形成することが望ましい。
次に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法において、前記パネル部シールは熱硬化型樹脂によって形成され、さらに、前記パネル部シールを硬化させる工程は加熱によって行われることが望ましい。液晶表示装置を構成する一対の基板はパネル部シールによって互いに貼り合わされる。この場合、一対の基板にはパネル部シール以外に、遮光膜、反射膜、その他光の透過を阻害する要素が形成されることがある。この場合には、パネル部シールを光硬化型樹脂によって形成した上で光照射によってそのパネル部シールを硬化させようとしたとき、パネル部シールの全部に光が当たらず、硬化が不完全になるおそれがある。これに対し、パネル部シールを熱硬化型樹脂によって形成した上で、加熱によってそのパネル部シールを硬化すれば、パネル部シールを希望通りに硬化させることができる。
次に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法において、前記パネル部シールは光硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂の両方を含んで形成され、前記パネル部シールを硬化させる工程は光照射及び加熱によって行われることが望ましい。こうすれば、上述した光硬化型樹脂が持っている長所と、上述した熱硬化型樹脂が持っている長所とを併せて有する液晶表示装置の製造方法を提供できる。
次に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、前記一対の基板の一方にセルギャップ保持用の粒状のスペーサを置く工程を有することが望ましく、さらにこの場合、該スペーサの平均粒子径は液晶層厚に対して+0.1μm以内であることが望ましい。
本発明の製造方法では、パネル部シールは5分以内という短時間で硬化する。このため、大気圧等によって加圧された一対の基板によって液晶層が押し縮められる寸法は小さい。それ故、液晶層の層厚を規定する要素であるスペーサは、その粒径を余り大きく設定しない方が良い。本発明者の実験によれば、スペーサの平均粒子径を液晶層厚に対して+0.1μm以内に設定したところ、希望の液晶層厚の液晶表示装置を安定して製造できることが分かった。
次に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、前記一対の基板の一方にセルギャップ保持用のスペーサをパターニングによって形成する工程を有することが望ましい。また、この場合、パターニング手法は、フォトリソグラフィー法に基づいた処理とすることが望ましい。このようなスペーサは、例えば、基板上に立った状態で柱状に形成される。柱状には、円柱状、角柱状等がある。また、この種のスペーサは、基板上に分散される球状のスペーサに比べて、押されたときにつぶれる量が少なく、液晶層厚を希望の値に調整する作業が容易である。また、パターニングによって形成されるスペーサは、画素領域を外れる所に形成することが望ましい。こうすれば、表示に影響する領域にはスペーサが存在せず、表示に乱れが生じることを防止できる。
(液晶表示装置の製造方法の第1実施形態)
以下、本発明に係る液晶表示装置の製造方法を、スイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor)素子を用いた半透過反射型の液晶表示装置を製造する場合を例に挙げて説明する。なお、本発明がその他任意の構造の液晶表示装置を製造する際に適用できることはもちろんである。
以下、本発明に係る液晶表示装置の製造方法を、スイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor)素子を用いた半透過反射型の液晶表示装置を製造する場合を例に挙げて説明する。なお、本発明がその他任意の構造の液晶表示装置を製造する際に適用できることはもちろんである。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法を説明するのに先立って、まず、本発明方法によって製造する液晶表示装置について説明する。図4は、その液晶表示装置の一例の断面構造を示している。図5は、図4において矢印Aで示す部分を拡大して示している。図6は、図5において上側に図示された素子基板を矢印B方向から見た場合のその素子基板の平面的な構成を示している。図7(a)は、図6において矢印Cで示す部分を示している。図7(b)は、図7(a)のTFT素子の断面構造を示している。図8は、図4の液晶表示装置の電気的な等価回路を示している。
なお、以上の各図において、液晶表示装置を構成する複数の要素の相互の寸法比は、それらの要素の構造を分かり易く示すために、実際の寸法比とは異ならせてあることに注意を要する。
図4において、液晶表示装置1は、液晶パネル2に液晶駆動用IC3、偏光板4a,4b、そして照明装置6を装着することによって形成されている。照明装置6は、光源としてのLED(Light Emitting Diode)7と、そのLED7から発生する光を液晶パネル2へ導く導光体8とを有する。液晶パネル2は、矢印D方向から見て方形の環状であるシール材9によって貼り合わされた一対の基板、すなわち素子基板11a及びカラーフィルタ基板11bを有する。なお、方形とは、正方形又は長方形のことである。
素子基板11aとカラーフィルタ基板11bとの間であってシール材9によって囲まれた間隙、いわゆるセルギャップ内に液晶が封入されて液晶層13が形成される。符号15で示すスペーサは概ね球形に形成されており、セルギャップが均一な寸法を維持するように機能する。照明装置6から光が発生すると、その光が液晶層13によって画素領域ごとに変調され、素子基板11aの側に像を表示することができる。すなわち、観察者は矢印D方向から表示を観察する。
素子基板11aは、ガラス、プラスチック等によって形成された透光性を有する基材12aを有する。この基材12aは、矢印D方向から見て方形状に形成されている。基材12aの液晶側の表面には、下地層14が形成され、その上にスイッチング素子としてのTFT素子16及びドット電極17が形成され、その上に配向膜18aが形成される。配向膜18aには液晶層13内の液晶分子を配向させるための配向処理、例えば、ラビング処理が施される。偏光板4aは、基材12aの外側の表面に貼着等によって装着される。
カラーフィルタ基板11bは、ガラス、プラスチック等によって形成された透光性を有する基材12bを有する。この基材12bは、素子基板11a側の基材12aと同様に、矢印D方向から見て方形状に形成されている。基材12bの液晶側の表面には、反射膜19が形成され、その上に遮光膜21が形成され、その遮光膜21によって囲まれる領域に着色要素22が形成され、それらの上にオーバーコート層23が形成され、その上に電極24が形成され、その上に配向膜18bが形成される。配向膜18bには液晶層13内の液晶分子を配向させるための配向処理、例えば、ラビング処理が施される。偏光板4bは、基材12bの外側の表面に貼着等によって装着される。
着色要素22は、光の3原色、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)や、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色光を選択的に透過する要素であり、これらの着色要素22によってカラーフィルタが構成される。これらの着色要素22としてR,G,Bを用いた場合、各色着色要素22は図4の矢印D方向から見て所定の配列、例えば、図9(a)に示すようなストライプ配列、図9(b)に示すようなモザイク配列、又は図9(c)に示すようなデルタ配列に並べられる。
図4において、素子基板11aを構成する基材12a上に形成された複数のドット電極17は、矢印D方向から見て、縦方向及び横方向へマトリクス状に並べられる。また、個々のドット電極17は、図6に示すように、略方形状に形成される。一方、図4において、素子基板11aに対向するカラーフィルタ基板11b側の電極24は、複数のドット電極17の全てに対向する面状の電極として形成される。図5及び図6に示すように、個々のドット電極17と面状の共通電極24とが対向する領域が表示の最小単位である表示用ドット領域Dを構成する。そして、R,G,Bの3つの着色要素22に対応する3つの表示用ドット領域Dによって1つの画素が形成される。なお、着色要素22を用いることなく白黒のモノクロ表示を行う場合には、1つの表示用ドット領域Dによって1つの画素が形成される。
図5において、個々の表示用ドット領域Dに対応して、反射膜19に開口26が設けられる。これらの開口26は、図4において、照明装置6から発生した光を図5の矢印L1のように通過させる。この透過光L1により、透過型の表示が行われる。一方、太陽光、室内光等といった外部光は矢印L0で示すように素子基板11aを透過し、次いで反射膜19で反射する。この反射光L0により、反射型の表示が行われる。つまり、表示用ドット領域Dのうち、反射膜19が存在する領域が反射領域Rであり、開口26が存在する領域が透過領域Tである。
図6において、素子基板11aの基材12a上の略全面に形成された下地層14の上に直線状のゲート電極線31が複数本、互いに平行に形成される。また、それらのゲート電極線31の個々につながるように通電パターン32が形成される。この通電パターン32は各ゲート電極線31に電流を供給する。
ゲート電極線31とドット電極17は、TFT素子16によって接続されている。TFT素子16は、図7(a)及び(b)に示すように、下地層14の上に次の各層、すなわち、ゲート電極33、ゲート絶縁膜としての陽極酸化膜34、もう1つのゲート絶縁膜としての窒化膜36、チャネル部真性半導体膜としてのa−Si(アモルファス・シリコン)膜37、コンタクト部半導体膜としてのN+a−Si(ドープド・アモルファス・シリコン)膜38,38、そして、チャネル部保護用窒化膜39の各層を順次に積層することによって形成されている。
図6において、基材12aの表面には、ゲート電極線31に直交する位置関係で直線状のソース電極線41が複数本、互いに平行に形成される。これらのソース電極線41は、図7(a)及び図7(b)に示すように、N+a−Si膜38の片側(図7(b)の左片側)の上に積層される。また、N+a−Si膜38のもう一方の片側(すなわち、図7(b)の右片側)の上に、ドット電極17が積層される。
上記構成のTFT素子16は、例えば、次のようにして形成される。すなわち、まず、図6において、基材12aの上にスパッタリング等によってTa2O5を一様な厚さに形成して下地層14を形成する。次に、周知のパターニング技術、例えば、フォトリソグラフィー処理及びエッチング処理から成るフォトエッチング処理によって下地層14の上にTa(タンタル)をパターニングして複数の直線状のゲート電極線31、及びそれらのゲート電極線31から張り出すTFT素子用のゲート電極33、及び各ゲート電極線31をつなぐ通電パターン32を形成する。
その後、基材12aを化成液、すなわち陽極酸化処理溶液に浸漬し、さらに通電パターン32に所定の電圧を印加することにより陽極酸化処理を実行し、これにより、図7(a)及び図7(b)に示すように、ゲート電極33及びその他のパターン上に陽極酸化膜34を形成する。
次に、図7(b)において、個々の陽極酸化膜34の上に、例えばCVD法によってSi3N4をパターニングしてゲート絶縁膜36を形成する。次に、a−Siを一様な厚さに堆積し、さらにその上にN+a−Siを一様な厚さに堆積し、さらにフォトエチング等によってN+a−Siをパターニングしてコンタクト部半導体膜38を形成する。さらに、a−Siをパターニングしてチャネル部真性半導体膜37を形成する。
その後、Si3N4を周知のパターニング技術を用いてパターニングしてチャネル部保護膜39を形成する。さらに、ITO(Indium Tin Oxide)をその一部がN+a−Si膜38に重なるように且つ所定のドット形状にパターニングすることによって、複数のドット電極17をマトリクス状に形成する。さらに、Al(アルミニウム)をその一部がN+a−Si膜38に重なるように且つ互いに平行に配列するようにパターニングすることによってソース電極線41を形成する。
図4に戻って、素子基板11aはカラーフィルタ基板11bの外側に張り出す張出し部46を有する。この張出し部46の表面には、図6の素子基板11a上のゲート電極線31につながる配線47aと、ソース電極線41につながる配線47bと、カラーフィルタ基板11b上の共通電極24につながる配線47cとが周知のパターニング技術、例えばフォトエチング処理によって適宜のパターンで形成される。また、張出し部46の辺縁には、外部回路との間で電気的な接続をとるための外部接続用端子48が同様のパターニング技術によって形成される。
素子基板11aとカラーフィルタ基板11bとを貼り合わせているシール材9の中には導電粒子49がランダムな分散状態で混ぜられている。図4では、楕円球状の導電粒子が描かれているが、これは図面を分かり易く描く上での便宜的な描かれ方であり、実際には、球状又は円柱状の導電粒子49がシール材9の幅内に複数個含まれる。素子基板11aの張出し部46上に設けられた配線47cと、カラーフィルタ基板11b上に設けられた共通電極24との間の電気的な接続は、シール材9内に含まれる上記の導電粒子49によって行われる。
外部接続用端子48と配線47a,47b,47cとの間には、ACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)等といった導電接合材を用いてCOG(Chip On Glass)技術に基づいて液晶駆動用IC3が実装される。もちろん、その他任意の実装技術、例えば、TAB(Tape Automated Bonding)技術を用いることもできる。
液晶駆動用IC3には、図6のTFT素子16を駆動するための、図8に示す走査線駆動回路51及びデータ線駆動回路52が含まれる。走査線駆動回路51は図6のゲート電極線31につながり、それらの線に走査信号を伝送する。一方、データ線駆動回路52は図6のソース電極線41につながり、それらの線にデータ信号を伝送する。走査信号はTFT素子16のゲートへ送られ、データ信号はTFT素子16のソースへ送られる。TFT素子16がON状態になると、対応するドット電極17への通電が成されて対応する表示用ドット領域D内の液晶への書き込みが行われる。また、引き続いてTFT素子16がOFF状態になると、書き込まれた状態が保持される。この一連の書き込み動作及び保持動作により、液晶の配向が光透過及び光遮断の間で制御される。
以上の構成より成る液晶表示装置は、太陽光、室内光等といった外部光を用いた反射型表示と、図4の照明装置6を用いた透過型表示とを、希望に応じて選択して実行する。反射型表示が選択された場合には、図5において、外部光L0が素子基板11a及び液晶層13を透過してカラーフィルタ基板11bへ入り、反射膜19で反射して再び液晶層13へ供給される。一方、透過型表示が選択された場合には、図4のLED7が点灯し、LED7からの光が導光体8によって液晶パネル2へ供給される。供給された光L1は、図5において、反射膜19に表示用ドット領域Dごとに設けた開口26を透過して液晶層13へ供給される。
以上のようにして反射型表示及び透過型表示のそれぞれの場合に液晶層13へ光が供給される際、液晶層13はドット電極17及び共通電極24によって表示用ドット領域Dごとに印加電圧が制御され、その内部の液晶分子の配向が制御される。液晶層13へ供給された光は上記の配向制御により変調され、この変調された光が図4の素子基板11a側の偏光板4aを選択的に通過することにより、図4の観察側に文字、数字、図形等といった像が表示される。
以下、上記構成より成る液晶表示装置を製造するための、本発明に係る液晶表示装置の製造方法の一実施形態を説明する。なお、本発明方法がこの実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。
図1は、その液晶表示装置の製造方法の一実施形態を工程図によって示している。この工程図において、工程P1から工程P5に至る工程が図4の素子基板11aを形成するための工程である。また、工程P11から工程P19に至る工程が図4のカラーフィルタ基板11bを形成する工程である。また、工程P21から工程P27に至る工程が素子基板11aとカラーフィルタ基板11bとを貼り合わせて液晶表示装置を完成させる工程である。
なお、本実施形態では、1つの素子基板用マザー基材の上に1組の素子基板用要素を形成して素子基板用マザー基板を形成し、他方、1つのカラーフィルタ基板用マザー基材の上に1組のカラーフィルタ基板用要素を形成してカラーフィルタ基板用マザー基板を形成し、それらのマザー基板を貼り合わせて1つの液晶表示装置を形成するものとする。この方法とは別に、1つの素子基板用マザー基材の上に複数組の素子基板用要素を形成して素子基板用マザー基板を形成し、他方、1つのカラーフィルタ基板用マザー基材の上に複数組のカラーフィルタ基板用要素を形成してカラーフィルタ基板用マザー基板を形成し、それらのマザー基板を貼り合わせて複数の液晶表示装置を同時に形成する方法もある。
なお、以下の説明で、切断によって図4の素子基板用基材12aを得る前の面積の大きい基材を素子基板用マザー基材12a’と呼ぶことにする。また、切断によってカラーフィルタ基板用基材12bを得る前の面積の大きい基材をカラーフィルタ基板用マザー基材12b’と呼ぶことにする。
図1の工程P1において、素子基板用マザー基材12a’の上に図7(a)及び図7(b)に示すTFT素子16を形成する。次に、工程P2において、図7及び図4のドット電極17を形成する。TFT素子16やドット電極17を形成する際に、図4の配線47a,47b,47c及び外部接続用端子48を同時に形成することが望ましい。
次に、工程P3において、図4の配向膜18aを形成し、さらに、工程P4において、その配向膜18aに対してラビング処理を行う。次に、工程P5において、図4の液晶層13を形成するために必要となる量の液晶をディスペンサ等を用いてマザー基材12a’上の液晶パネルを形成すべき領域に滴下する。以上により、図4の素子基板11aのための各要素がマザー基材12a’上に形成されて、素子基板用マザー基板11a’が形成される。
以上の素子基板用マザー基板11a’を製造する一方で、工程P11において、カラーフィルタ基板用マザー基材12b’の上に図4の反射膜19を形成し、同時に光透過用の開口26を形成する。次に、工程P12において、図4の遮光膜21を形成し、さらに工程P13において、図4の着色要素22を形成する。これにより、カラーフィルタが形成される。
次に、工程P14において、図4のオーバーコート層23を形成して表面を滑らかにした後、工程P15において、図4の共通電極24をITOによって形成する。次に、工程P16において、図4の配向膜18bを形成し、さらに工程P17において、その配向膜18bに対してラビング処理を行う。
次に、工程P18において、図2(a)に示すように、カラーフィルタ基板用マザー基材12b’上にパネル部シール9及び外周シール29を形成する。パネル部シール9は閉ざされたシール部であり、液晶注入用の開口は設けられない。外周シール29はパネル部シール9との間で後述する真空領域を形成するためのものである。そして、その真空領域は、素子基板用マザー基板11a’とカラーフィルタ基板用マザー基板12b’とを後述のように貼り合わせた後に大気圧との相互作用でそれらの基板に加圧力を発生させるためのものである。従って、パネル部シール9と外周シール29との間の間隔は、必要とされる加圧力が得られるように適切に決められる。
パネル部シール9は、図4のシール材9そのものである。このパネル部シール9は、光硬化型樹脂そのもの又は光硬化型樹脂を含む材料によって形成される。光硬化型樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂を用いることができる。なお、光硬化型樹脂としては、可視光又は紫外線によって硬化する樹脂を用いることができるが、本実施形態では紫外線硬化型樹脂を用いるものとする。また、外周シール29としては、光硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂のいずれを用いることもできる。熱硬化型樹脂としは、例えば、エポキシ系樹脂を用いることができる。
次に、図1の工程P19において、図4のスペーサ15をマザー基材12b’上にランダムにばら撒く。スペーサ15の平均粒子径は、液晶層13の層厚に対して+0.1μm以内であることが望ましい。そしてさらに、それらのスペーサ15をマザー基材12b’上、すなわち配向膜18b上に固着させる。この固着は、例えば、スペーサ15を加熱することによって行われる。以上により、図4のカラーフィルタ基板11bのための各要素がマザー基材12b’上に形成されて、カラーフィルタ基板用マザー基板11b’が形成される。
以上のようにして図4の素子基板用マザー基板11a’及びカラーフィルタ基板用マザー基板11b’が形成された後、図1の工程P21において、それらのマザー基板を真空環境下、例えば真空チャンバ内、において互いに貼り合わせる。なお、貼り合わせ作業を大気中で行うようにしていた従来の製造方法においては、素子基板用マザー基板11a’及びカラーフィルタ基板用マザー基板11b’を個々に真空チャックによって吸着して保持した上でそれらの基板を貼り合わせていた。
しかしながら、マザー基板の貼り合わせを真空環境下で行うようにした本実施形態では、環境が真空であるが故に真空チャックを用いた保持を行うことができない。それ故、本実施形態では、静電チャックを用いてマザー基板を保持した上で貼り合わせの作業を行うことにする。ここで、静電チャックとは、チャック部材に電圧を印加したときに発生するクーロン力を利用してマザー基板を吸着して保持するチャック方法である。この静電チャックを用いることにより、真空環境下であってもマザー基板を支持して貼り合わせ作業を行うことができる。
工程P21において素子基板用マザー基板11a’とカラーフィルタ基板用マザー基板11b’との貼り合わせが終了すると、図2(b)に示すように、素子基板用マザー基板11a’とカラーフィルタ基板用マザー基板11b’とがパネル部シール9及び外周シール29によって貼り合わされた構造のパネル構造体が形成される。素子基板用マザー基板11a’上には図1の工程P5で液晶が滴下されていたので、両方のマザー基板を貼り合わせた時点で液晶層13が形成される。また、外周シール29とパネル部シール9との間に真空領域Vが形成される。
次に、工程P22において、図2(b)のパネル構造体を真空環境から解放し、さらにその直後、工程P23において、図2(a)及び図2(b)のパネル部シール9及び外周シール29に対して硬化処理を実行する。ここで、真空環境から解放した直後に硬化を行うというのは、少なくともパネル部シール9が真空環境の解放時点から5分以内の時間T0内で硬化を完了するように硬化処理を行うということである。
本実施形態では、パネル部シール9を光硬化型樹脂によって形成したので、パネル部シール9を硬化させるためには、光照射が行われる。なお、外周シール29を光硬化型樹脂によって形成した場合には、その外周シール29の硬化をパネル部シール9と同時に行うことができる。また、外周シール29を熱硬化型樹脂によって形成した場合には、パネル部シール9の硬化を行う前又はパネル部シール9の硬化を行った後に加熱によって外周シール29を硬化させる。パネル部シール9の硬化と外周シール29の硬化とを別々に行う場合、工程P22における真空環境の解放時点からのT0以内の時間とは、外周シール29が硬化したか否かにかかわらず、パネル部シール9の硬化が完了する時間である。
ところで、工程P22において図2(b)のパネル構造体が大気圧に解放されると、真空領域Vの圧力と大気圧との間の差分の圧力Eが一対の基板の外側に加わる。この力Eは図3(b)に示すように液晶層13を加圧し、さらに図3(a)に示すようにパネル部シール9を加圧する。加圧された液晶層13は、図3(b)に示すように、これに接触するパネル部シール9をさらに加圧する。また、加圧されたパネル部シール9は、図3(a)に示すように、液晶層13及び真空領域Vをそれぞれ押し付ける。
以上の加圧関係の結果、液晶層13とパネル部シール9との界面では、液晶がパネル部シール9を侵食するおそれがある。こうなると、液晶表示装置による表示特性の低下や、信頼性の低下が生じるおそれがある。また、パネル部シール9と真空領域Vとの界面では、パネル部シール9が真空領域V内で広がり続けるおそれがある。こうなると、液晶層13の層厚、すなわちセルギャップは最適な寸法よりも狭くなって、表示特性が低下するおそれがある。
本実施形態では、上記の通り、真空環境からの解放工程(P22)からシールの硬化、特にパネル部シール9の硬化の完了(P23)までの時間T0を、5分以内の短時間に設定したので、パネル部シール9は短時間で硬化する。従って、液晶層13がパネル部シール9を圧迫してもパネル部シール9は変形することなく、また、液晶がパネル部シール9を侵食することもない。
なお、パネル部シール9が硬化するまでの時間を決定する最大の要因は、一対の基板を加圧する力、すなわち、図2(b)に示す加圧力Eである。この加圧力Eは大気圧と真空領域Vとの差圧である。この差圧はパネル構造体の内部にどの程度の容積の真空領域Vを形成するかによって決められる。従って、真空領域Vの容積の大きさの決定にあたっては、パネル部シール9による基板同士の固着力が十分に得られ、しかし、必要以上に大きな荷重が基板に加わらないような加圧力Eを発生させること目標とする。
以上によりシールの硬化が終了した後、図1の工程P24においてブレイク処理を行って、図2(b)のパネル構造体を、例えば矢印Gの所でブレイク、すなわち切断する。これにより、真空領域Vの真空状態が解放される。また、このブレイクにより、図4の液晶パネル2が完成する。その後、工程P25において、図4の液晶駆動用IC3を素子基板11aの張出し部46の表面に実装し、さらに工程P26において、図4の偏光板4a及び4bを装着し、さらに工程P27において照明装置6を装着することにより、液晶表示装置1が完成する。なお、偏光板4a,4bを装着する際、必要に応じて、他の光学要素、例えば位相差板等を装着しても良い。
図1のスペーサ分散工程P19において、分散するスペーサ15の平均粒子径は、液晶層13の層厚に対して+0.1μm以内であることが望ましい。本実施形態では、工程P22において一対の基板を大気圧によって加圧してから工程P23においてパネル部シール9の硬化を完了するまでの時間を5分以内という短時間で行うようにした。つまり、一対の基板が大気圧によって加圧されるようになっても、その後、直ぐにパネル部シール9を硬化させる。このため、一対の基板間の間隔、すなわち液晶層厚、すなわちセルギャップは、それらの基板が大気圧を受け続ける場合でも、大きく変化することはない。それ故、セルギャップを保持するためのスペーサ15は、希望のセルギャップに対して余り大き過ぎないことが望ましい。本発明者の実験によれば、スペーサ15の平均粒子径を液晶層13の層厚に対して+0.1μm以内の範囲に収めるようにすれば、出来上がった液晶表示装置のセルギャップを希望の寸法に正確に設定できることが分かった。
(変形例)
(1)上記の実施形態では、図1の工程P18において、図2(a)及び(b)のパネル部シール9を光硬化型樹脂そのもの又はそれを含む材料によって形成し、外周シール29は光硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂によって形成した。そして、工程P23において、パネル部シール9と外周シール29とを同時又は別々に硬化させた。
(1)上記の実施形態では、図1の工程P18において、図2(a)及び(b)のパネル部シール9を光硬化型樹脂そのもの又はそれを含む材料によって形成し、外周シール29は光硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂によって形成した。そして、工程P23において、パネル部シール9と外周シール29とを同時又は別々に硬化させた。
これに代えて、パネル部シール9を熱硬化型樹脂によって形成し、工程P23においてパネル部シール9を加熱によって硬化させることもできる。このとき、外周シール29は、光硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂のいずれによって形成しても良い。外周シール29を熱硬化型樹脂によって形成した場合には、シール硬化工程P23では、パネル部シール9と外周シール29とを同時に硬化させることができる。
(2)また、上記実施形態では、図1の工程P18において、図2(a)及び(b)のパネル部シール9を光硬化型樹脂そのもの又はそれを含む材料によって形成し、外周シール29は光硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂によって形成した。そして、工程P23において、パネル部シール9と外周シール29とを同時又は別々に硬化させた。
これに代えて、パネル部シール9を光硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂の両方によって形成することができる。この場合には、工程P23においてパネル部シール9に光照射及び加熱の両方を同時に付与することにより該パネル部シール9を硬化させる。このとき、外周シール29は、光硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂のいずれによって形成しても良い。
(3)また、以上の説明では、図2(a)に示したように、マザー基材12b’に液晶表示装置の構成要素を液晶表示装置の1つ分だけ形成するようにした。しかしながら、液晶表示装置の構成要素は素子基板側のマザー基材12a’及びカラーフィルタ基板側のマザー基材12b’上に複数組分、形成することもできる。この場合には、それら複数組分の液晶表示装置の構成要素を取り囲むように外周シール29を形成する。これにより、図1の工程P21で素子基板用マザー基板11a’とカラーフィルタ基板用マザー基板11b’とを貼り合わせたとき、複数の液晶表示装置部分の周囲に真空領域Vが形成される。
(液晶表示装置の製造方法の第2実施形態)
図10は、本発明に係る液晶表示装置の製造方法の他の実施形態を示している。この実施形態は下記の点で図1に示した先の実施形態と異なっている。
図10は、本発明に係る液晶表示装置の製造方法の他の実施形態を示している。この実施形態は下記の点で図1に示した先の実施形態と異なっている。
図1に示した実施形態では、工程P19において球形のスペーサ15を基板上にランダムにばら撒いた。これに対し、本実施形態では、図10の工程P16において、基板上にフォトスペーサを形成する。このフォトスペーサにより、図4の液晶層13の層厚、すなわちセルギャップが一定の寸法に維持される。
フォトスペーサとは、フォトリソグラフィー法に基づく処理によってパターニングされたスペーサのことである。このフォトスペーサは、例えば、基板上に立った状態の円筒形状又は角筒形状に形成される。また、その高さは、希望のセルギャップよりもわずかに高い高さ、例えば、希望のセルギャップ、すなわち希望の液晶層13の層厚、に対して+0.1μm以内の範囲に入るような高さにする。
また、フォトスペーサを形成する位置は、表示用ドット領域Dを外れる所とする。フォトスペーサを表示用ドット領域Dを外れる位置に形成すれば、反射型表示及び透過型表示のいずれの場合でも表示に寄与する光がフォトスペーサを通過することがなくなるので、フォトスペーサを設けたことによって表示品質が低下することがなくなる。
フォトスペーサは、一般に、それに荷重がかかったときのつぶれ量が球状のスペーサに比べて小さい。従って、フォトスペーサによってセルギャップを維持することにすれば、セルギャップを希望の寸法に形成するための作業が楽になる。
本発明者は、図1及び図2に示す製造方法を用いて下記条件で図4に示す液晶表示装置を製造し、製造した液晶表示装置の表示品質を判定した。判定は、表示品位及び信頼性の2項目で行った。なお、液晶表示装置の製造にあたっては、図2(b)の真空領域Vが基板全体の80%のもの、40%のもの、20%のものの3種類を製造した。
実験の結果、図11に示す結果が得られた。図11において、『信頼性低下』の項目で、「無し」は、パネル部シールに異常が無かったことを示している。また、「あり」は、液晶がパネル部シールを侵食したことが認められたことを示している。また、『表示品位』の項目で、「○」は、希望のセルギャップに対して得られたセルギャップが±5%の範囲に入っていることを示している。また、「△」は、希望のセルギャップに対して得られたセルギャップが±5〜10%の範囲に入っていることを示している。
図11に示す結果によれば、図1における工程P22から工程P23にかけてのシール硬化時間が長い程、信頼性が低下し、表示品位が低下することが分かる。また、真空領域Vが大きくなる程、信頼性が低下し、表示品位が低下することが分かる。また、図11の表に基づいて判定すれば、図1における工程P22から工程P23にかけてのシール硬化時間を5分以下に設定すれば、真空領域Vの大きさにかかわりなく、良好な信頼性及び良好な表示品位を得られることが分かる。
なお、図1の工程P22から工程P23にかけてのシール硬化時間は、使用されるシール材の粘度によって最適となる時間が増減することが考えられる。例えば、シール材の粘度が高くなれば、最適時間は長くなる。一方、シール材の粘度が低くなれば、最適時間は短くなる。しかしながら、液晶滴下貼り合わせ方式で一般的に使用されるシール材の粘度は5万cps〜60万cpsであり、この粘度のシール材を用いる限りでは、真空領域Vの容積の方がはるかに影響が大きいこと、また、外周シール内に基板貼り合わせ後のセルギャップを規定するようなシリカ球、シリカ製のファイバ等を混入することがあるので、粘度による影響は無視することができる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記実施形態では、スイッチング素子としてTFT素子を用いるアクティブマトリクス方式の液晶表示装置を製造する場合に本発明を適用したが、本発明はスイッチング素子を用いない単純マトリクス、すなわちパッシブマトリクス方式の液晶表示装置を製造する場合にも適用できる。また、本発明は、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode)素子等といった2端子型のスイッチング素子を用いるアクティブマトリクス方式の液晶表示装置を製造する場合にも適用できる。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、液晶表示装置を液晶滴下貼り合せ方式で製造する場合に好適に用いられる。
1.液晶表示装置、 2.液晶パネル、 3.液晶駆動用IC、 4a,4b.偏光板、
6.照明装置、 9.シール材(パネル部シール)、 11a.素子基板、
11a’.素子基板用マザー基板、 11b.カラーフィルタ基板、
11b’.カラーフィルタ基板用マザー基板、 12a,12b.基材、
12a’.素子基板用マザー基材、 12b’.カラーフィルタ基板用マザー基材、
13.液晶層、 14.下地層、 15.スペーサ、 16.TFT素子、
17.ドット電極、 18a,18b.配向膜、 19.反射膜、 21.遮光膜、
22.着色要素、 23.オーバーコート層、 24.電極、 26.開口、
29.外周シール、 31.ゲート電極線、 32.通電パターン、
33.ゲート電極、 34.陽極酸化膜(ゲート絶縁膜)、
36.窒化膜(ゲート絶縁膜)、 37.a−Si膜(チャネル部真性半導体膜)、
38.N+a−Si膜(コンタクト部半導体膜)、
39.チャネル部保護用窒化膜(チャネル部保護膜)、 41.ソース電極線、
46.張出し部、 47a,47b,47c.配線、 48.外部接続用端子、
49.導電粒子、 D.表示用ドット領域、 L0.反射光、
L1.透過光、 V.真空領域、 R.反射領域、 T.透過領域
6.照明装置、 9.シール材(パネル部シール)、 11a.素子基板、
11a’.素子基板用マザー基板、 11b.カラーフィルタ基板、
11b’.カラーフィルタ基板用マザー基板、 12a,12b.基材、
12a’.素子基板用マザー基材、 12b’.カラーフィルタ基板用マザー基材、
13.液晶層、 14.下地層、 15.スペーサ、 16.TFT素子、
17.ドット電極、 18a,18b.配向膜、 19.反射膜、 21.遮光膜、
22.着色要素、 23.オーバーコート層、 24.電極、 26.開口、
29.外周シール、 31.ゲート電極線、 32.通電パターン、
33.ゲート電極、 34.陽極酸化膜(ゲート絶縁膜)、
36.窒化膜(ゲート絶縁膜)、 37.a−Si膜(チャネル部真性半導体膜)、
38.N+a−Si膜(コンタクト部半導体膜)、
39.チャネル部保護用窒化膜(チャネル部保護膜)、 41.ソース電極線、
46.張出し部、 47a,47b,47c.配線、 48.外部接続用端子、
49.導電粒子、 D.表示用ドット領域、 L0.反射光、
L1.透過光、 V.真空領域、 R.反射領域、 T.透過領域
Claims (9)
- 閉じた環状のパネル部シールを介して一対の基板に液晶を挟持してなる液晶表示装置の製造方法であって、
前記一対の基板の少なくとも一方に前記パネル部シールを形成する工程と、
前記一対の基板の少なくとも一方に前記パネル部シールを取り囲むための外周シールを形成する工程と、
前記一対の基板の少なくとも一方に液晶を滴下する工程と、
前記一対の基板を真空環境下で貼り合わせる基板貼り合せ工程と、
貼り合せ後の前記一対の基板を真空環境から解放する解放工程と、
前記パネル部シールを硬化させるシール硬化工程と、
を有する液晶表示装置の製造方法において、
前記一対の基板を真空環境から解放した時点から前記パネル部シールの硬化が完了した時点までの時間は5分以内である
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項1記載の液晶表示装置の製造方法において、前記基板貼り合わせ工程は、前記一対の基板を貼り合わせることにより、前記パネル部シールと前記外周シールとの間を真空領域とすることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
- 請求項2記載の液晶表示装置の製造方法において、前記解放工程と前記シール硬化工程との間に、前記一対の基板の周囲の圧力と前記真空領域の圧力との差の圧力を前記一対の基板に加える基板加圧工程を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
- 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記パネル部シールは光硬化型樹脂によって形成され、さらに、前記シール硬化工程は光照射によって行われる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記パネル部シールは熱硬化型樹脂によって形成され、さらに、前記シール硬化工程は加熱によって行われる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記パネル部シールは光硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂の両方を含んで形成され、
前記シール硬化工程は光照射及び加熱によって行われる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記一対の基板の一方にセルギャップ保持用の粒状のスペーサを置く工程を有し、
該スペーサの平均粒子径は液晶層厚に対して+0.1μm以内である
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項1から請求項56のいずれか1つに記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記一対の基板の一方にセルギャップ保持用のスペーサをパターニングによって形成する工程を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項8記載の液晶表示装置の製造方法において、前記パターニングはフォトリソグラフィー法に基づいて行われることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP (1) | JP2005221763A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008310243A (ja) * | 2007-06-18 | 2008-12-25 | Hitachi Displays Ltd | 液晶表示装置の製造方法 |
-
2004
- 2004-02-05 JP JP2004029486A patent/JP2005221763A/ja not_active Withdrawn
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