JP2005220106A - アメロブラスト前駆細胞を用いた歯周組織再生技術 - Google Patents

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俊博 杉山
Takashi Kameda
隆 亀田
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Abstract

【課題】本発明は、初代培養の性質を維持したまま突発的に不死化したエナメル芽細胞株を樹立し、その産生物質を歯周組織再生に用いるための技術である。
【解決手段】本発明はマウス新生仔下顎大臼歯より不死化に成功したアメロブラスト前駆細胞を用いて生理活性を持つエナメルマトリックスを産生させる技術である。本発明はアメロブラスト前駆細胞により産生された歯周再生治療に利用する種々の精製エナメルマトリックス基質とその誘導体である。本発明はアメロブラスト前駆細胞およびエナメルマトリックス蛋白を用いた歯周治療法である。
【選択図】なし

Description

現在の歯科技術では充分に再生治療することが不可能である歯周の再生分野。
歯の発生においてエナメル芽細胞から産生されるエナメルマトリックスはエナメル質の形成に重要である(エナメル質は95%以上が無機質のハイドロキシアパタイトから構成されている)。発生期におけるエナメル芽細胞の分化は、上皮ー間葉組織相互作用に支配されている。
しかし、エナメル芽細胞の発生学的起源や成熟機構に関しては、未だ不明な点が多い。成熟したエナメル芽細胞は、偏った核の分布を持つ円柱状の細胞である。エナメル芽細胞が分泌するエナメルタンパクの主成分はアメロジェニンである。
アメロジェニンは、選択的スプライシング機構により44〜194アミノ残基を持つ様々な産物として翻訳され、翻訳後のプロセッシングにより約8-27KDの産物を生じることが報告されている。
エナメル質形成におけるアメロジェニンの重要な役割は、ターゲットマウスなどによって解析された。また、エナメル芽細胞はタフテリンやエナメリン等の他のエナメルタンパク質も分泌している。アメロジェニンとタフテリンはエナメル芽細胞の未熟期・成熟期ともに発現しているが、エナメリンは成熟期のみで発現している。
解決しようとする問題点は、in vitroでのエナメル芽細胞の培養法が確立されていないことや持続的な培養が困難なことがあげられる。エナメル芽細胞の初代培養では、エナメル芽細胞特異的遺伝子の発現と石灰化小結節の形成能力が確認されるが、細胞増殖能に限界があり持続的な培養は困難である。
また、ウイルス性癌遺伝子の導入で不死化したエナメル芽細胞に関する報告もあるが、いくつかの特異的遺伝子の発現は確認されたものの、in vitroでの石灰化小結節形成能をもつかは不明である。ウイルス性癌遺伝子による不死化には予期せぬ副作用の可能性が否定出来ないため、信頼性が欠ける。
本発明は、初代培養の性質を維持したまま突発的に不死化したエナメル芽細胞株を樹立し、その産生物質を歯周組織再生に用いるための技術である。
初代培養の性質を維持したまま突発的に不死化したエナメル芽細胞株を樹立した。樹立した細胞(ALC)は長期間の培養において、いくつかのエナメル芽細胞特異的な遺伝子発現(アメロジェニン、タフテリン、およびエナメリン)を維持していた。ALCは、維持培地であるSMEMから分化誘導培地であるDMEMに培地交換すると、石灰化した小結節を形成した。小結節部では、アルカリフォスファターゼ活性が上昇していた。
また、石灰化小結節形成の大きさと数はTGF-β処理により上昇した。ALCをヌードマウスの皮下に移植すると6週間後に異所的なエナメル上皮様構造の形成・軟骨形成・石灰化などが観察された。これらの結果は、ALCがエナメル芽細胞の性質を解析する上での有用なツールであることを示す。また、ALCが歯周再生医療のための細胞源として利用できることを示している。
突発的な不死化によりin vitroでの石灰化能等のエナメル芽細胞特異的な性質を維持した細胞株を樹立した。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
マウスエナメル芽細胞は、新生児のC57BL/6Jマウスの下顎骨から臼歯胚を摘出し、I型コラーゲンで表面処理された培養皿上で器官培養することで分離した。使用した培地は、SMEMに10% FBS、L-グルタミン、10ng/ml EGFを添加したものを基本培地とし、37℃、5% CO2の条件下で培養した。培地のカルシウム濃度は0.2mMに調整し、週2回の頻度で培地交換した。培養皿から繊維芽細胞を除去する目的でトリプシン処理を短時間行い、新しい培地を添加した。この処置を培養皿から繊維芽細胞が消滅するまで、適度な間隔で継続した。細胞密度が飽和する前に、新しい培養皿に継代した。PDL(細胞分裂回数の概算)が10に到達した後クローニングを行い、細胞株を樹立した。
RNA抽出とRT-PCR解析は、日本ジーン社ISOGEN kitを使用し、マニュアル通りに培養細胞からtotal RNAを抽出した。その後、RNA分子解析のため、マウスの遺伝子に特異的なプライマーを用いてRT-PCRを行った。PCR産物は1.5%アガロースゲルで電気泳動し、エチジュウムブロマイドで染色した。また、PCR産物はDNAシーケンスあるいは制限酵素処理によって確認した。
培養細胞でのin situハイブリダイゼーション解析のため、アメロジェニンのエキソン2からエキソン7に相当する翻訳部分をプラスミドpcDNA3にクローニングした。アンチセンスプローブ用にEco RIで、センスプローブ用にXhoIでプラスミドを直線化した後に、T7あるいはSp6 RNAポリメラーゼを使用してそれぞれジゴキシゲニンでラベルしたプローブを合成した。ハイブリダイゼーションは、4% PFAで培養細胞を固定した後に行った。
石灰化小結節形成の誘導のため、ALCを60mm培養皿に2×105個播種した。その後、3週間DMEM培地に10% FBS、10ng/ml EGF添加した培地で培養した。さらに3ng/ml TGF-βを添加した培地でも培養した。
培養細胞シートの縦切り切片を観察するため、4% PFAで培養細胞を固定した後、パラフィン包埋した。切片にした後、ヘマトキシリンとエオシンで染色した。また、カルシウム沈着を確認するため、1%アリザリンレッドSで染色した。アルカリフォスファターゼ活性を確認するため、NBT/BCIPで染色した。
ヌードマウスへの移植は、ALC 2×107個をPBS 0.4mlとマトリゲル 0.4mlに混合し、4-6週齢の雌ヌードマウスの右背中の皮下に、0.1mlずつ移植した。6週間後に移植片を4% PFAで固定し、パラフィン包埋した。切片を作成し、ヘマトキシリンとエオシンで染色、あるいは、トルイジンブルー染色、アリザリンレッドS染色した
エナメル上皮細胞株の樹立には不死化ケラチノサイトの樹立方法を応用した。これは、エナメル芽細胞の起源が上皮組織であることを考慮したからである。上皮細胞の増殖を維持し、間葉系細胞などの増殖を抑制する目的で低カルシウム培地を選択した。この培地においては、歯胚から遊走した上皮細胞が優位に増殖した。その反面、繊維芽細胞の増殖は抑制された。
また、未熟な小型上皮細胞はトリプシン処理に対して抵抗性を利用して、弱いトリプシン処理により繊維芽細胞を培養皿から選択的に除去した。培養皿に選択的に増殖した小型の上皮細胞をコンフルエントになる前に継代した。
PDL(細胞分裂回数の概算)が10に到達した後、細胞をクローニングした。さらにクローニングした細胞のPDLが30に到達した時点で不死化したと判断した。いくつかのクローンから、エナメル芽細胞特異的遺伝子を発現している小型・円形形態の細胞株を選択しALCと名付け解析に用いた。ALCは、直径15-20μm培養皿上で敷石状の形態を示す(図1A;Bar=50μm)。ALCの特徴を解析するため、RT-PCRでエナメル芽細胞特異的遺伝子の発現解析を行った。異なるサイズのアメロジェニンmRNAの発現は、ALCが選択的スプライシングにより多種のアメロジェニン産物を発現する能力を維持していることを示している(図1B:レーン2, レーン1はネガティブコントロール)。また、ALCはアメロジェニン・タフテリンを発現し、エナメリンを発現していないことから、未熟な状態を維持していると判断できる(図1B:レーン2)。多くの上皮細胞の成熟が培養液中カルシウム濃度で制御されることから、ALCの培養液中のカルシウム濃度を0.2mM(SMEM)から2.5mM(DMEM)に変化させた。この影響を解析するため、RT-PCRで遺伝子の発現変化を確認したところ、エナメリン遺伝子の発現が誘導されていた(図1B:レーン3)。これは、ALCがエナメル芽細胞として成熟した可能性を示唆する。
さらに、DMEM変換3週間後には、培養皿上で小結節が形成された(図2A;Bar=50μm)。これまでに初代培養されたブタエナメル芽細胞を1ヶ月以上培養すると同様の現象が起きることが報告されている。この結節は強いアルカリフォスファターゼ活性を示し(図2B;Bar=50μm)また、アリザリンレッドSでの染色から内部の石灰化が確認された(図2C;Bar=50μm)。アルカリフォスファターゼ活性の上昇は多くの生体中での石灰化現象で観察される。小結節を断面解析したところ、内部に細胞外基質が蓄積していることが確認された(図2D;Bar=50μm)。さらに、アメロジェニンプローブを用いたin situハイブリダイゼーション解析から結節でのアメロジェニン遺伝子の高発現が確認された(図2E;Bar=50μm)。
多くの細胞種で細胞外基質産生誘導活性を示すTGF-βの効果をALCで解析した。TGF-βは歯牙形成において中間層細胞と象牙芽細胞で発現していることが知られている。TGF-β処理によりアメロジェニン遺伝子の発現は約4倍になった(図1B:レーン3と4の比較)。また、培養皿上での小結節の形成数は約2倍、直径は約2.5倍にまで活性化した(図3に典型例を示す;Bar=50μm)(図4は統計的解析)。以上の結果は、歯牙形成において、エナメル芽細胞のアメロジェニン産生がTGF-βにより制御されうることを示唆する。
ALCの組織形成能を確認するため、マトリゲルを足場としてヌードマウス皮下への移植を試みた。移植6週間後には、核が偏って局在する円柱状の細胞集塊を観察した(図5A;Bar=50μm)。これは、典型的なエナメル上皮の形態に類似していた。本細胞集塊隣接部位での石灰化像は観察されなかったが、移植部での異所的な軟骨形成(図5B;Bar=50μm)・石灰化(図5C;Bar=50μm)が観察された。この現象は、ALCが産生した細胞外基質の効果であると推測される。なぜなら、エナメルマトリックス成分やアメロジェニンのペプチド断片に同様の効果が報告されているからである。マトリゲルのみを移植したコントロールマウスにおいては以上のような現象は観察されなかった。
現在の歯科技術では充分に再生治療することが不可能である歯周の再生が可能になると期待される。in vitroならびにin vivoでの解析から、ALCはエナメル芽細胞の基礎生物学的解析や歯周治療を目指した再生医工学技術の開発にとって非常に有用なツールであると考える。また、歯周組織の再生機構の基礎的研究の解明に貢献できる。
エナメル芽細胞株の樹立と遺伝子発現解析 ALCによる石灰化結節形成 TGF-βによる結節形成の促進1 TGF-βによる結節形成の促進2 ALCのヌードマウスへの移植

Claims (3)

  1. マウス新生仔下顎大臼歯より不死化に成功したアメロブラスト前駆細胞を用いて生理活性を持つエナメルマトリックスを産生させる技術。
  2. アメロブラスト前駆細胞により産生された種々の精製エナメルマトリックス基質とその誘導体。
  3. アメロブラスト前駆細胞およびエナメルマトリックス蛋白を用いた歯周治療法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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