JP2005213324A - 易接着ポリプロピレンフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】帯電防止性や、ヘイズ等の光学特性を良好に保ちつつ、滑り性も良好に保ってブロッキングの問題を発生させずに、従来とは異なる特定の物質による改質により、必要最小強度でのコロナ放電処理にて接着力の改善を可能とした易接着ポリプロピレンフィルムを提供する
【解決手段】少なくとも帯電防止剤と酸変性されたエチレン系樹脂とを含むことを特徴とする易接着ポリプロピレンフィルム。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも帯電防止剤と酸変性されたエチレン系樹脂とを含むことを特徴とする易接着ポリプロピレンフィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、易接着ポリプロピレンフィルムに関し、とくに印刷性を改善した易接着ポリプロピレンフィルムに関する。
プラスチックフィルムは静電気が帯電し易いので、加工品へのゴミ付着等により製品価値を大幅に低下させる。この対策として、ポリプロピレンフィルムの製造においては、帯電防止剤等、いわゆる界面活性剤を添加してゴミの付着量を減少させる努力がなされている。しかし、界面活性剤は内部に練り込まれてもフィルムの表面に析出して表面濃度が高くなる傾向がある。更にポリプロピレンフィルムの製造においては、フィルムの表面にコロナ放電処理等を施して表面を活性化することにより各種接着性を改善することも行われている。
接着力を強くするにはコロナ放電処理の強度を強くすることが一般的である。しかし、強処理すれば、内部に練り込まれた界面活性剤は更に表面に析出し、フィルム表面の濃度が高くなって、所謂低分子物が多く析出する。このようなフィルム表面に印刷した場合、インキの接着力は明らかに低下して、実用性にそぐわない製品に仕上がることがある。更に困ることには、コロナ放電処理の強度を強くすることによって、ロール状に巻きとられたフィルムはフィルムとフィルムの巻層間がブロッキングして作業性を大きく損なうことがある。このような傾向は水性インキで印刷する場合、更に問題が大きくなる。
上述した諸問題の内、各種用途、各種二次加工のためにまず解決しなくてはならないのはフィルム間のブロッキング防止である。ブロッキング対策として、通常、各種の無機、有機微粒子が添加されている。そして、コロナ放電処理強度を強くする場合には、これら微粒子の添加量を増量することで対処している。しかし、添加量を増量すると、フィルムに要求される光の透過性やヘイズ等の光学特性が悪化する。すなわち、微粒子の添加により、所謂スリップ性は改善されても、フィルムに要求される他の特質が悪化するのである。
無機、有機系微粒子のうち、特に無機微粒子は経日と共に大気中の水分を徐々に吸水して、フィルム中ではミクロボイドとして、光の散乱を大きくし、ヘイズが低下する。この特性は無機微粒子の種類によっても異なるので、材料の選択が限られた範囲からの選択となる。また、有機系のスリップ剤(易滑剤)や耐電防止剤等の、両者或いは何れか一方を添加することがポリプロピレンフィルムの製造においては常識になっている。しかし、有機系のスリップ剤や耐電防止剤等の添加は、特にコロナ放電処理強度を強くすることが要求される場合、上述のごとく接着力の低下とへイズの低下は免れることができない。
ブロッキング防止やへイズの低下防止をはかりつつ、ゴミ付着防止性(帯電防止性)や接着性を向上する技術として、ポリプロピレンフィルムを酸変性ポリプロピレンで改質する技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。このように酸変性ポリプロピレンによる改質は知られているものの、ポリプロピレンは本来極性基ができにくいので、接着力を良くするにはカルボン酸基を可能な限り多く作る必要がある。しかしそうすればフィルムのへイズが高くなるため、結局、酸変性ポリプロピレンの添加量には限度があり、期待したほどの効果は得られていない。
特許第3267688号公報
特許第3267735号公報
そこで本発明の課題は、帯電防止性や、ヘイズ等の光学特性を良好に保ちつつ、滑り性も良好に保ってブロッキングの問題を発生させずに、酸変性ポリプロピレンとは異なる物質による改質により、必要最小強度でのコロナ放電処理にて接着力の改善を可能とした易接着ポリプロピレンフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る易接着ポリプロピレンフィルムは、少なくとも帯電防止剤と酸変性されたエチレン系樹脂とを含むことを特徴とするものからなる。
この本発明に係る易接着ポリプロピレンフィルムは、単層のフィルム、積層フィルムのいずれであってもよい。帯電防止剤は通常添加されているから、単層フィルムの場合にはそのフィルム構成材料そのものに、積層フィルムの場合には、スキン層、あるいはコアー層の何れか、又はこの両層が、酸変性されたエチレン系樹脂を含有すればよい。特に、酸変性されたエチレン系樹脂が、少なくとも最表層に配合されていることにより、その表面での優れた接着性が得られる。
この易接着ポリプロピレンフィルムは、さらに、無機系または有機系ブロッキング防止剤を含むこともでき、それによって適切な滑り性を付与してブロッキングの防止をはかることができる。上記酸変性されたエチレン系樹脂は、代表的には、酸変性されたポリエチレンからなる。
より具体的な態様を挙げると、例えば、下記成分A、成分B、成分C、成分Dの組成からなる易接着ポリプロピレンフィルムである。
成分A:主成分をプロピレンとする樹脂または主成分をプロピレンとし従成分をエチレン、ブテン、ヘキセン、その他のα−オレフィンとする共重合樹脂もしくは3元共重合樹脂:100重量部
成分B:平均粒子径が0.4〜4.5μmの無機系または有機系ブロッキング防止剤:0.05〜0.50重量部
成分C:帯電防止剤:0.05〜1.20重量部
成分D:重量平均分子量が500〜20,000の酸変性された低分子量ポリエチレン:0.05〜1.50重量部
成分A:主成分をプロピレンとする樹脂または主成分をプロピレンとし従成分をエチレン、ブテン、ヘキセン、その他のα−オレフィンとする共重合樹脂もしくは3元共重合樹脂:100重量部
成分B:平均粒子径が0.4〜4.5μmの無機系または有機系ブロッキング防止剤:0.05〜0.50重量部
成分C:帯電防止剤:0.05〜1.20重量部
成分D:重量平均分子量が500〜20,000の酸変性された低分子量ポリエチレン:0.05〜1.50重量部
例えば、積層フィルムの場合、スキン層をヒートシール層として使用する場合はエチレン、ブテン、ヘキセン等、その他のα−オレフインとからなる共重合樹脂等を挙げることができる。あるいは、ポリプロピレンホモポリマーよりも融解ピーク温度が低い樹脂をスキン層として使用することもできる。スキン層の厚みは少なくとも片面に1.0〜5.0μm程度であり、この厚みはヒートシールの要求強度によって決定される。
また、帯電防止剤がフィルム表面に発現する速度を速くするように要求される場合、ポリプロピレンホモボリマーにエチレンプロピレン共重合樹脂、あるいは3元共重合樹脂をブレンドすることによって、その目標を達成することができる。コアー層の樹脂には通常結晶性ポリプロピレンホモポリマーが使用される。
コロナ放電処理によってフィルムの表面は活性化されるので、処理強度が強いとフィルム同士がブロッキングする。このブロッキングが強くなるとフィルムが破断することもある。この対策として、表面に凹凸を作ってフィルム同士の接触面積を小さくすることにより、ブロッキングを防止する方法が一般的である。無機、或いは有機系の直径0.4〜4.5μmのブロッキング防止剤を選択してフィルム表面に0.5〜5μmの凹凸を作ることで易滑性を付与することができる。粒径サイズはスキン層の厚みによって決めればよい。更に添加量はヘイズとの関係が大きい。故にへイズと摩擦係数のデータを求めながら品質設計される。無機系の微粒子は表面に多量の孔が存在し、水分が吸着して摩擦係数低下への効果よりも、へイズが高くなって製品価値が低下することもある。
無機系、及び有機系微粒子の添加のみでは高透明フィルムを得るに難しいことがしばしばある。この対策には各種アマイド、或いはアミド系のスリップ剤等、飽和脂肪酸系、不飽和脂肪酸系が使用される。しかし、これらはフィルムの表面に析出した後、常温状態で結晶化が進むものも含まれているので、光の散乱が大きくなる。したがって、添加量は極力少なくすべきであり、添加しなくても良いこともある。アミド系として比較的に多く使用されているのは、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、エルシン酸アミド、オレイン酸アミド等である。
一般に包装グレードのポリプロピレンフィルムには耐電防止剤を添加することが常識的である。これらはスキン層、コアー層の何れかに添加されてもよい。例えば耐電防止剤として、非イオン性(アルコール、エーテル)、アニオン性(カルボン酸、スルフォン酸、フォスフォン酸)、カチオン性(アンモニウム、フォスフォニウム)、そして両性等の耐電防止剤がそれぞれ組み合わされて使用される。更に防曇剤を添加してもよい。
本発明においては、例えば、酸変性された重量平均分子量が500〜20,000、好ましくは1,000〜2,000の低分子量ポリエチレンを0.05〜1.50部、好ましくは0.5〜1.0部、スキン層、又はコアー層に配合する。酸変性ポリエチレンは不飽和カルボン酸、及びその無水物を化学的に付加させることで合成することができる。本発明に使用した酸変成ポリエチレンの主特性は例えば以下のように例示できる。
・製品の外観:淡黄色粒状
・比重:0.90〜0.97
・溶融粘度(BL型粘度計):2,500〜3,500mPa・s(160℃)
・軟化点(JIS K 2531):103〜115℃
.酸価(JIS K 0070):25〜35
・製品の外観:淡黄色粒状
・比重:0.90〜0.97
・溶融粘度(BL型粘度計):2,500〜3,500mPa・s(160℃)
・軟化点(JIS K 2531):103〜115℃
.酸価(JIS K 0070):25〜35
前述の如く、一般に酸変成ポリプロピレンによる改質は公知技術であるが、ポリプロピレンは本来極性基ができにくいので接着力を良くするにはカルボン酸基を可能な限り多く作る必要がある。故にフィルムのへイズが高くなって酸変性ポリプロピレンの添加量には限りがある。そして、本発明における酸変成ポリエチレンと、公知技術である酸変成ポリプロピレンとについてみるに、同一添加量では明らかに酸変成度が高くなるので酸変成ポリエチレンを同量添加して比較した場合、酸変成ポリエチレンを配合した方がインキの接着力が優れた製品を得ることができる。特に水性インキの場合は、インキ接着力の向上に顕著な効果が認められる。なお、スリップ剤、及び耐電防止剤無添加の製品に応用すれば更に接着力が認められることは言うまでもない。
本発明に係る易接着ポリプロピレンフィルムは、未延伸フィルム、延伸フィルムのいずれの形態にも適用でき、延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれの形態も採用し得る。フィルムの厚みとしては、例えば、未延伸ポリプロピレンフィルムは12μm〜70μm程度、二軸延伸フィルムは10μm〜60μm程度に適応できるが、これらの厚み範囲に限定されるものではない。
本発明に係る易接着ポリプロピレンフィルムによれば、後述の実施例の結果に示すように、コロナ放電処理面の優れた滑り性(ブロッキング防止特性)およびフィルムの優れた光学特性を確保しつつ、高い接着性、特に高い水性インキ接着性を得ることができる。特に、従来の酸変成ポリプロピレンによる改質による効果に比べ、はるかに優れた効果を得ることができる。
以下に、本発明に係る易接着ポリプロピレンフィルムを、二軸延伸フィルム、未延伸フィルムの形態で製造し、従来の酸変成ポリプロピレンによる改質による効果と比較した実施例について説明する。
実施例1、比較例1(二軸延伸フィルム)
フィルム長手方向(MD)/フィルム幅方向(TD)における延伸張力が同一となる延伸温度150℃を設定し、酸変成ポリプロピレンを配合した樹脂(比較例1)と酸変成ポリエチレン(実施例1)を配合した樹脂をそれぞれ用いて、且つ帯電防止剤としてモノグリセライドを0.25%、アルキルアミンベタインを0.45%配合して、MFR2.0のホモポリプロピレン樹脂をコアー層、及びスキン層の原料とした。MD延伸倍率、及びTD延伸倍率を6×6倍で延伸後、厚みが20μmの二軸延伸フィルムを得た。このフィルムを巻き取る前に片面にコロナ放電処理を行った。各種条件及び評価結果を表1に示す。表1に示すように、比較例1のフィルムに比べ、本発明の実施例1に係るフィルムの方が、明らかに、インキ接着性、外観、摩擦係数のすべてにおいて優れている。
フィルム長手方向(MD)/フィルム幅方向(TD)における延伸張力が同一となる延伸温度150℃を設定し、酸変成ポリプロピレンを配合した樹脂(比較例1)と酸変成ポリエチレン(実施例1)を配合した樹脂をそれぞれ用いて、且つ帯電防止剤としてモノグリセライドを0.25%、アルキルアミンベタインを0.45%配合して、MFR2.0のホモポリプロピレン樹脂をコアー層、及びスキン層の原料とした。MD延伸倍率、及びTD延伸倍率を6×6倍で延伸後、厚みが20μmの二軸延伸フィルムを得た。このフィルムを巻き取る前に片面にコロナ放電処理を行った。各種条件及び評価結果を表1に示す。表1に示すように、比較例1のフィルムに比べ、本発明の実施例1に係るフィルムの方が、明らかに、インキ接着性、外観、摩擦係数のすべてにおいて優れている。
実施例2、比較例2(未延伸フィルム)
エチレン含量3% MFR2.0のエチレンプロピレン共重合樹脂を押出温度220℃で単層に押し出して、厚み30μmの未延伸フィルムを得た。有機易滑剤、及び耐電防止剤は未添加とし、無機微粒子として純粋なSiO2 (粒子平均直径:3.0μm)を0.3%添加した。この条件で酸変成ポリプロピレンを配合した樹脂(比較例2)と酸変成ポリエチレン(実施例2)を配合した樹脂とについて比較した結果を表2に示す。表2に示すように、比較例2のフィルムに比べ、本発明の実施例2に係るフィルムの方が、明らかに、インキ接着性、摩擦係数において優れている。
エチレン含量3% MFR2.0のエチレンプロピレン共重合樹脂を押出温度220℃で単層に押し出して、厚み30μmの未延伸フィルムを得た。有機易滑剤、及び耐電防止剤は未添加とし、無機微粒子として純粋なSiO2 (粒子平均直径:3.0μm)を0.3%添加した。この条件で酸変成ポリプロピレンを配合した樹脂(比較例2)と酸変成ポリエチレン(実施例2)を配合した樹脂とについて比較した結果を表2に示す。表2に示すように、比較例2のフィルムに比べ、本発明の実施例2に係るフィルムの方が、明らかに、インキ接着性、摩擦係数において優れている。
Claims (10)
- 少なくとも帯電防止剤と酸変性されたエチレン系樹脂とを含むことを特徴とする易接着ポリプロピレンフィルム。
- さらに、無機系または有機系ブロッキング防止剤を含む、請求項1の易接着ポリプロピレンフィルム。
- 前記酸変性されたエチレン系樹脂が、酸変性されたポリエチレンからなる、請求項1または2の易接着ポリプロピレンフィルム。
- 下記成分A、成分B、成分C、成分Dの組成からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の易接着ポリプロピレンフィルム。
成分A:主成分をプロピレンとする樹脂または主成分をプロピレンとし従成分をエチレン、ブテン、ヘキセン、その他のα−オレフィンとする共重合樹脂もしくは3元共重合樹脂:100重量部
成分B:平均粒子径が0.4〜4.5μmの無機系または有機系ブロッキング防止剤:0.05〜0.50重量部
成分C:帯電防止剤:0.05〜1.20重量部
成分D:重量平均分子量が500〜20,000の酸変性された低分子量ポリエチレン:0.05〜1.50重量部 - 単層フィルムからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の易接着ポリプロピレンフィルム。
- 積層フィルムからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の易接着ポリプロピレンフィルム。
- 前記酸変性されたエチレン系樹脂が、少なくとも最表層に配合されている、請求項6の易接着ポリプロピレンフィルム。
- 未延伸フィルムからなる、請求項1〜7のいずれかに記載の易接着ポリプロピレンフィルム。
- 延伸フィルムからなる、請求項1〜7のいずれかに記載の易接着ポリプロピレンフィルム。
- 二軸延伸フィルムからなる、請求項9の易接着ポリプロピレンフィルム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004020129A JP2005213324A (ja) | 2004-01-28 | 2004-01-28 | 易接着ポリプロピレンフィルム |
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JP2004020129A JP2005213324A (ja) | 2004-01-28 | 2004-01-28 | 易接着ポリプロピレンフィルム |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012206502A (ja) * | 2011-03-16 | 2012-10-25 | Nitto Denko Corp | 透明導電性フィルムおよびタッチパネル |
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2004
- 2004-01-28 JP JP2004020129A patent/JP2005213324A/ja active Pending
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