JP2005209232A - カートリッジの収納装置 - Google Patents

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泰生 柳瀬
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Abstract

【課題】1回の手動操作でカートリッジをターンテーブルに対向させる。
【解決手段】シャーシ5には、カートリッジ6が挿入されるホルダ4が閉じる向きに付勢されて枢支されている。ホルダ4の自由端部には扉体1が枢支1aされ、該扉体1には挿入されるカートリッジ6に接する第1斜面14と、ホルダ4の上昇時にシャーシ5に接する蹴出し片12が設けられている。扉体1は当接面がホルダ4の開口を塞ぐ向きにバネ付勢されている。扉体1は、カートリッジ6の挿入時に、カートリッジ6が当接面を押してホルダ4の開口を露出するとともに、蹴出し片12がシャーシ5を押してホルダ4をバネ体の付勢に抗して持ち上げる扉開き位置と、更なるカートリッジ6の挿入に従って、カートリッジ6が当接面から外れた後に、当接面が開口を塞ぐ向きに戻り、ホルダ4の下降を許す扉閉じ位置との間を移動する。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体であるディスクを内包してカートリッジを収納する装置、具体的には信号の記録又は再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から図16に示すように、記録媒体であるディスク(60)をカートリッジ(6)に収納したものが提案されている。カートリッジ(6)の上面には、シャッタ(63)がスライド可能に設けられ、シャッタ(63)を開くと、ディスク(60)の一部が露出する。カートリッジ(6)の下面には位置決め穴(61)(62)が開設されている。図17は、このディスク(60)を記録媒体として、信号を記録又は再生する装置の側面図である。以下の記載にあっては、カートリッジ挿入方向を前方、排出方向を後方とする。
ターンテーブル(7)を搭載したシャーシ(5)の一端部には、カートリッジ(6)を収納するホルダ(4)の基端部が枢支(4a)される。ホルダ(4)とシャーシ(5)の間には、ホルダ(4)の閉じ姿勢を保つ係止機構(図示せず)が配備されている。シャーシ(5)の前後端部には、カートリッジ(6)の位置決め穴(61)(62)に嵌まる位置決めピン(52)(52)が立設されている。各位置決めピン(52)はカートリッジ(6)の下面を受ける円柱状の受け軸(58)の上面から円錐状の案内突起(59)を突出して構成され、カートリッジ(6)は位置決め穴(61)(62)の周壁が案内突起(59)にガイドされながら下降して、受け軸(58)の上面に載置される。
【0003】
ホルダ(4)の自由端部側は開口しており、該開口からカートリッジ(6)が挿入される。ホルダ(4)の枢支部(4a)にはホルダ(4)を上向き付勢するネジリバネ(49)が嵌められ、ホルダ(4)の側面から突出した軸(47)がシャーシ(5)の側面に開設された円弧孔(48)の上端に接して、ホルダ(4)が上昇し過ぎることを防ぐ。信号を記録又は再生する際には、先ず上昇位置にあるホルダ(4)にカートリッジ(6)を手で挿入する。カートリッジ(6)の位置決め穴(61)(62)が位置決めピン(52)(52)に対向する。この後にホルダ(4)を手で押して下降回動させる。位置決め穴(61)(62)が位置決めピン(52)(52)の案内突起(59)に嵌まり、ディスク(60)がターンテーブル(7)に載置されて、信号が記録又は再生される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記装置にあっては、カートリッジ(6)をターンテーブル(7)に対向させ信号を記録再生せんとする際には、カートリッジ(6)をホルダ(4)に挿入する動作と、該ホルダ(4)を下向きに押す動作を要する。即ち、2回の手動操作が必要である。出願人はこの手動操作を1回にして、使用者の使い勝手を改善することを着想した。
本発明は、1回の手動操作でカートリッジをターンテーブルに対向させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
ホルダ(4)の基端部には、ホルダ(4)を閉じ方向に付勢するバネ体が取り付けられ、ホルダ(4)の自由端部には扉体(1)が枢支(1a)されている。該扉体(1)には枢支部(1a)に対してカートリッジ排出側に位置して、カートリッジ挿入方向に対して傾いた当接面と、枢支部(1a)に対してカートリッジ挿入側に配備され、ホルダ(4)の上昇時にシャーシ(5)に接する蹴出し片(12)が設けられ、扉体(1)は当接面がホルダ(4)の開口を塞ぐ向きにバネ付勢されている。
扉体(1)は、カートリッジ(6)の挿入時に、カートリッジ(6)が当接面を押してホルダ(4)の開口を露出するとともに、蹴出し片(12)がシャーシ(5)を押してホルダ(4)をバネ体の付勢に抗して持ち上げる扉開き位置と、更なるカートリッジ(6)の挿入に従ってカートリッジ(6)が当接面から外れた後に、当接面が開口を塞ぐ向きに戻り、ホルダ(4)の下降を許す扉閉じ位置との間を移動可能に設けられている。
【0006】
【作用及び効果】
ホルダ(4)にカートリッジ(6)を挿入すると、扉体(1)は回動してホルダ(4)の開口を露出するとともに、蹴出し片(12)によりホルダ(4)がバネ体の付勢に抗して持ち上がる。このまま、カートリッジ(6)を挿入して、カートリッジ(6)が当接面から外れると、当接面が開口を塞ぐ向きに戻る。蹴出し片(12)によるホルダ(4)の持ち上げは解除されて、ホルダ(4)の下降が許され、ホルダ(4)はバネ体により閉じる。
即ち、カートリッジ(6)を挿入すれば、カートリッジ挿入当初はホルダ(4)が開き、カートリッジ挿入後はホルダ(4)が閉じる。これにより、カートリッジ(6)を挿入する1回の手動動作でカートリッジ(6)をシャーシ(5)上のターンテーブル(7)に対向させることができ、従来の装置に比して使用者の使い勝手を改善できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
(全体概略)
以下、本発明の一例を図を用いて詳述する。
図1は、ディスク記録又は再生装置の斜視図である。従来と同様に、ディスク(60)はカートリッジ(6)に収納され、カートリッジ(6)には下面が開口した位置決め穴(61)(62)が開設されている。前側の位置決め穴(61)は前後に延びた長穴であり、後側の位置決め穴(62)は丸穴である。
装置は全体として略直方形に形成され、下ケース(30)に上ケース(3)を開閉可能に設けている。斯種装置は、スロットインタイプと呼ばれ、使用者の上着のポケット等に入れて運搬されることが多いので、全体形状をポケットに収納しやすい略直方形としている。
図1に示す上ケース(3)内には後端が開口したホルダ(4)が、下ケース(30)内にはシャーシ(5)が夫々取り付けられる。ホルダ(4)及びシャーシ(5)は前端面が、夫々上ケース(3)、下ケース(30)に固定され、ホルダ(4)はシャーシ(5)の前端部が枢支(4a)される。ホルダ(4)は枢支部(4a)の近傍に設けられたネジリバネ(49)により閉じ方向に付勢されている。
【0008】
ホルダ(4)の右側面と上ケース(3)、及びシャーシ(5)の右側面と下ケース(30)との間には、夫々空間が形成され、各々の空間内に後記するホルダロック機構及びロック解除機構が配備される。上ケース(3)の後端面は開口し、右側後端部は内向きに折曲されて水平板(31)を形成している。
本例に係わる装置にあっては、カートリッジの挿入及び排出動作に特徴があり、以下に概略を示す。カートリッジ挿入時には図8(c)に示すように、上ケース(3)の上扉体(1)を回動させてホルダ(4)を稍開く。更にカートリッジ(6)を挿入すると、図11(a)、(b)に示すように、ホルダ(4)は第1、第2の2段階の開き位置を経て、図11(c)に示すように閉じる。カートリッジ排出時には、図12に示すエジェクトレバー(100)を回動操作してホルダ(4)を強制的に上昇させ、ホルダ(4)からカートリッジ(6)を取り出す。
【0009】
(カートリッジ挿脱機構の概略)
図1のホルダ(4)の自由端部には、ホルダ(4)の後端開口を覆う横長の上扉体(1)が枢支(1a)され、該枢支部(1a)は上扉体(1)の内側に配備されている。シャーシ(5)には上扉体(1)に対向して下扉体(2)が枢支(2a)されている。両扉体(1)(2)には、カートリッジ(6)の端面が接し、カートリッジ(6)を傷つけないように、表面が滑らかで適当な剛性を有する素材(例えば合成樹脂)にて形成され、ともに枢支部(1a)(2a)に嵌められたネジリバネ(図示せず)により閉じ方向に付勢されている。
図2(a)は上扉体(1)の側面図、図2(b)は上扉体(1)の平面図、図3(a)は下扉体(2)の側面図、図3(b)は下扉体(2)の平面図である。上扉体(1)は、庇部(10)の両側部に板片(11)(11)を一体に設けて形成され、各板片(11)にはホルダ(4)との枢支部となる孔(13)が開設されている。板片(11)は、孔(13)を越えて前方に延長されて、蹴出し片(12)を形成している。庇部(10)の下面は第1斜面(14)を形成し、該第1斜面(14)は後記の如く、カートリッジ挿入方向に沿って下向きに傾いている。孔(13)と庇部(10)の間には、係止ピン(15)が外向きに突出している。前記孔(13)は第1斜面(14)の下端よりも下側に位置する。
下扉体(2)は、前記係止ピン(15)に引掛かるロック爪(20)と、該ロック爪(20)の下端部からカートリッジ排出方向に沿って下向きに傾いた突片(21)と、該突片(21)の基端部近傍から下向きに延びたカムフォロア(23)を一体に設けている。突片(21)の後端面は第2斜面(22)を形成し、該ロック爪(20)の下端部にはシャーシ(5)との枢支部(2a)となる軸(24)が外向きに突出している。
【0010】
(ホルダとシャーシの詳細)
図4は、ホルダ(4)とシャーシ(5)の分解斜視図である。本装置には、板状の電池(700)、具体的にはNi−Cd電池が装着される。シャーシ(5)は合成樹脂から構成されるメインシャーシ(50)と、金属板を折曲して構成される電池ホルダ(51)を前後に並べて構成される。電池ホルダ(51)は、メインシャーシ(50)の上面と略同一面内に位置する支持板(55)の右側からフレーム(56)を突出し(図12参照)、支持板(55)の下方及びフレーム(56)の内側に、電池(700)が収納される。電池(700)は、フレーム(56)の後壁とメインシャーシ(50)の後壁との間に挟持される。
【0011】
メインシャーシ(50)上には、ターンテーブル(7)が設けられ、ディスクにビームを照射するピックアップ(70)がターンテーブル(7)に接近離間可能に設けられている。メインシャーシ(50)の前端部両側には、カートリッジ(6)の前端部を支持する軸状の第1、第2受け突起(53)(54)が突出し、支持板(55)上にカートリッジ(6)の後端部の位置決め穴(62)に嵌まる位置決めピン(52)が設けられている。本例にあっては、位置決めピン(52)はカートリッジ(6)の後端部を受ける1本しか設けられていない。
また、第1、第2受け突起(53)(54)及び位置決めピン(52)の受け軸(58)はカートリッジ(6)の下面を受け、ターンテーブル(7)はカートリッジ(6)内のディスク(60)を支持するから、ターンテーブル(7)は第1、第2受け突起(53)(54)及び受け軸(58)よりも高い。
【0012】
仮にメインシャーシ(50)と電池ホルダ(51)の両方を金属板にて形成すると、シャーシ(5)全体が重くなる。また、第1、第2受け突起(53)(54)を絞り加工により設ける必要があり、メインシャーシ(50)の歪みを招来する。メインシャーシ(50)をアウトサート加工して、第1、第2受け突起(53)(54)を設けることも考えられるが、コスト上昇になる。
これに対して、メインシャーシ(50)と電池ホルダ(51)の両方を合成樹脂にて形成すると、シャーシ(5)全体の軽量化が図れるが、電池ホルダ(51)の強度が低下する。電池ホルダ(51)は電池(700)を保持するから、外部からの衝撃により簡単に歪むと、電池(700)が落下する。このため、電池ホルダ(51)を金属板から形成し、メインシャーシ(50)を合成樹脂から形成し、電池ホルダ(51)の剛性を高め、且つシャーシ(5)全体を軽量化している。
【0013】
図4のメインシャーシ(50)と電池ホルダ(51)の右側面に跨って、前後に延びた支持ブラケット(200)が取り付けられ、該支持ブラケット(200)にスライド板(300)が前後移動可能に取り付けられる。
支持ブラケット(200)は、後端部に位置して内向きに折曲した縦板(210)と、該縦板(210)よりも前側に配備され前方に向かって上向きに傾いた持上げ斜面(220)と、該持上げ斜面(220)の前側に位置し下向きに凹んだ案内溝(230)を具えている。
スライド板(300)は後方にバネ(340)付勢され、後端部が内向きに折曲されて、蹴られ板(310)を構成する。スライド板(300)の長手方向の中央部よりも後側には、前方に向かって下向きに傾いた斜端面(320)が形成され、斜端面(320)の前方にはホルダロック機構を構成する爪片(330)が上向きに設けられている。スライド板(300)は後記の如く、カートリッジ(6)を排出する際に操作される。
【0014】
スライド板(300)と支持ブラケット(200)との間には、押上げレバー(400)が配備され、該押上げレバー(400)は基端部が支持ブラケット(200)に枢支(410)されている。枢支部(410)には、押上げレバー(400)を下向きに付勢するネジリバネ(図示せず)が嵌められ、押上げレバー(400)から突出した小軸(420)が、スライド板(300)の斜端面(320)に接する。後記の如く、押上げレバー(400)はカートリッジ(6)の排出時に上ケース(3)の水平板(31)を押し上げる。
下扉体(2)の軸(24)(図3(b)参照)がシャーシ(5)の側面から突出した支持小片(500)に開設された孔(図示せず)に嵌まって、下扉体(2)の枢支部(2a)を構成する。
シャーシ(5)の下面には、スライド板(300)に接するエジェクトレバー(100)が水平面内を回動可能に設けられ、ホルダ(4)からカートリッジ(6)を排出する際には後記の如くエジェクトレバー(100)を手で回動して、スライド板(300)を前方に押す。即ち、エジェクトレバー(100)はホルダのロック解除機構を構成する。
【0015】
ホルダ(4)の上面には、金属板を折曲して構成されるスライド片(9)が前後移動可能に設けられ、該スライド片(9)の上に、基端部がホルダ(4)に枢支(8a)された押出しレバー(8)が設けられる。
図5は、ホルダ(4)、スライド片(9)、押出しレバー(8)の分解平面図である。ホルダ(4)は上面に透窓(40)を設け、該透窓(40)の周縁部に4本の支持ピン(41)(41)(41)(41)を設けている。スライド片(9)の両側部には支持ピン(41)(41)(41)(41)に嵌まる4つの前後に延びた長孔(92)(92)(92)(92)が開設され、後端部には嵌合ピン(90)が設けられている。
スライド片(9)の両端部からは、小板(93)(93)が下向きに突出し、各小板(93)から外向きにガイド軸(91)が突出している。
【0016】
ホルダ(4)上にて右側の支持ピン(41)(41)の間には、抜止めピン(42)が設けられ、該抜止めピン(42)に押出しレバー(8)の一端部に開設された嵌め孔(80)が嵌まって、押出しレバー(8)の枢支部(8a)を構成する。押出しレバー(8)はホルダ(4)との間に架けられる引張りバネ(86)により反時計方向に付勢される。
押出しレバー(8)の自由端部は下向きに折曲されて、押され片(81)を構成し、該押され片(81)はホルダ(4)の透窓(40)を通って、カートリッジ(6)の移行路内に突出する。押出しレバー(8)にはまたホルダ(4)の嵌合ピン(90)に嵌まるカム孔(82)が開設され、該カム孔(82)は、カートリッジ挿入方向に対して傾いた第1傾斜孔(83)と、曲率中心が嵌め孔(80)の中心に一致する円弧孔(84)と、該円弧孔(84)の一端から嵌め孔(80)に向けて延びた第2傾斜孔(85)を連ねている。
【0017】
ホルダ(4)の右側壁には、透孔(43)が開設され、該透孔(43)の周縁部にホルダ(4)内に進入する折曲部(610)を設けた板バネ(600)が取り付けられる。図5に示す該折曲部(610)からホルダ(4)の左側壁までの距離Lは、カートリッジ(6)の幅に略等しく形成される。尚、ホルダ(4)の左側壁の内側に、カートリッジ(6)の側面が接する突起(図示せず)を設けてもよい。
カートリッジ(6)はホルダ(4)に挿入されると、ホルダ(4)の左側壁と板バネ(600)の折曲部(610)とに挟持されて左右振れを規制される。即ち、ホルダ(4)に挿入されたカートリッジ(6)は、後側の位置決め穴(62)が対応する位置決めピン(52)に嵌まって、前後方向のガタを規制され、ホルダ(4)の前端部により左右ガタを規制される。
図7に示すように、カートリッジ(6)の前側の位置決め穴(61)の周縁は第2受け突起(54)の上面に接し、カートリッジ(6)の前端部左側は第1受け突起(53)に支持される。この点、カートリッジ(6)の前後端部が2つの位置決めピン(52)(52)に嵌まる従来の装置とは異なり、これによって後記の如く、ホルダ(4)の開き量を小さくしている。
【0018】
図6は、上ケース(3)を被せたホルダ(4)を図4のB−B線を含む面にて、下ケース(30)を被せたシャーシ(5)を図4のC−C線を含む面にて夫々破断した断面図である。上ケース(3)の右壁からは枢軸(32)が内向きに突出し、先端部が上扉体(1)の孔(13)を通ってホルダ(4)に嵌まり、上扉体(1)の枢支部(1a)を構成する。
上扉体(1)の下方にて、フレーム(56)からは受け板(57)が内向きに突出し、後記の如く、上扉体(1)の蹴出し片(12)が受け板(57)に接しながら回動して上ケース(3)を開く。前記縦板(210)と受け板(57)の間は開放されて、この隙間に後記するように上扉体(1)の蹴出し片(12)が入り込む。
【0019】
(扉体及びホルダの開き動作)
図8(a)、(b)、(c)は上ケース(3)内のホルダ(4)にカートリッジ(6)を挿入せんとする状態を示す側面図であり、図9(a)、(b)及び図10(a)、(b)はカートリッジ挿入時のスライド片(9)と押出しレバー(8)の動作を示す平面図である。図9(a)、(b)、図10(a)、(b)ではネジリバネ(49)の図示を省く。
カートリッジ挿入時には、図8(b)に示す如く、先ず上扉体(1)が開いてカートリッジ(6)のホルダ(4)内への進入を許し、次にホルダ(4)及び上ケース(3)が第1の開き位置まで開く。この後にホルダ(4)及び上ケース(3)は、更に第2の開き位置まで開いてから閉じる。このホルダ(4)を2段階に開く理由は、後記する。
【0020】
待機状態
図8(a)に示すように、カートリッジ(6)が未だ挿入されない待機状態では、下扉体(2)のロック爪(20)は上扉体(1)の係止ピン(15)に引掛って、上扉体(1)が不用意に開くことを防止する。また、上扉体(1)の蹴出し片(12)はシャーシ(5)の受け板(57)に接する。
図9(a)に示すように、スライド片(9)は最も後側に位置し、スライド片(9)の嵌合ピン(90)は第1傾斜孔(83)の左端部に嵌まっている。前記の如く、押出しレバー(8)の押され片(81)はホルダ(4)の透窓(40)を通ってカートリッジ(6)の移行路内に突出している。
【0021】
カートリッジ挿入時
(ホルダ第1の開き位置)
図8(b)に示すように、ホルダ(4)にカートリッジ(6)を挿入すると、カートリッジ(6)の前端部は、当初下扉体(2)の第2斜面(22)上にて枢支部(2a)の下側に接する。下扉体(2)は枢支部(2a)を中心にバネ付勢に抗して反時計方向に回動し、係止ピン(15)とロック爪(20)の係合が外れる。カートリッジ(6)は、前端部が第2斜面(22)に接しているから、第2斜面(22)に沿って上昇し、上扉体(1)の第1斜面(14)を押す。
上扉体(1)の枢支部(1a)は、第1斜面(14)よりも下側に位置しているから、図8(c)に示すように、上扉体(1)は枢支部(1a)を中心に時計方向に回動する。然るに、上扉体(1)は蹴出し片(12)がシャーシ(5)の受け板(57)に接しているから、蹴出し片(12)が受け板(57)を蹴ることにより、ホルダ(4)は開く。上扉体(1)はホルダ(4)に伴って上昇するから、係止ピン(15)はロック爪(20)の回動移行路から外れる。カートリッジ(6)は開きつつあるホルダ(4)に挿入され、第2斜面(22)に沿って上昇するから、下扉体(2)は第2斜面(22)上にて枢支部(2a)の上側を押され、枢支部(2a)に嵌められたネジリバネにより元の位置に戻る。
【0022】
図11(a)、(b)、(c)は、ホルダ(4)が開く際の状態を示す側面図であり、エジェクトレバー(100)、上ケース(3)及び下ケース(30)を省く。図11(a)は図8(c)の側面図からホルダ(4)が稍開いた状態を示し、上扉体(1)は第1斜面(14)の下端がカートリッジ(6)の上面に接しながら開く。この位置をホルダの第1の開き位置と呼び、また上扉体(1)が開いた扉開き位置でもある。
【0023】
(ホルダ第2の開き位置)
更にカートリッジ(6)をホルダ(4)に挿入すると、図9(b)に示すように、カートリッジ(6)の前端部が押出しレバー(8)の押され片(81)を押し、引張りバネ(86)に抗して枢支部(8a)を中心に時計方向に回転させる。第1傾斜孔(83)の側縁は、嵌合ピン(90)を前方に押し、スライド片(9)を前進させる。
図11(b)に示すように、スライド片(9)の前進により、ガイド軸(91)は支持ブラケット(200)の持上げ斜面(220)に沿って移動し、ホルダ(4)が枢支部(4a)を中心に上昇回動する。上扉体(1)の蹴出し片(12)の先端が、支持ブラケット(200)の縦板(210)に接して、上扉体(1)は更に時計方向に回動する。これにより、上扉体(1)の第1斜面(14)の下端はカートリッジ(6)の上面から外れる。即ち、上扉体(1)は閉じる向きにバネ付勢されているが、この付勢力による摩擦力はカートリッジ(6)に加わらない。この位置は第1の開き位置よりも、ホルダ(4)が開いており、ホルダの第2の開き位置と呼ぶ。
【0024】
第2の開き位置から更にカートリッジ(6)を押し込むと、図10(a)に示すように、カートリッジ(6)は押出しレバー(8)を更に時計方向に回動させる。然るに、嵌合ピン(90)は円弧孔(84)内に嵌まっており、押出しレバー(8)が回動してもスライド片(9)は前進しない。ホルダ(4)は第2の開き位置を保つ。
【0025】
カートリッジ(6)を最後まで押し込むと、図10(b)に示すように、嵌合ピン(90)は円弧孔(84)から外れて第2傾斜孔(85)に嵌まる。第2傾斜孔(85)の側縁は嵌合ピン(90)を前方に押し、スライド片(9)を前進させる。
ホルダ(4)が第2の開き位置に達してから、スライド片(9)が前進すると、ホルダ(4)のガイド軸(91)が案内溝(230)の上面開口に対向する。ホルダ(4)はネジリバネ(49)により下向き付勢されているから、図11(c)に示すように、ガイド軸(91)は案内溝(230)を下降する。ガイド軸(91)は爪片(330)の上面に接して、一旦スライド板(300)を前方に押すが、ガイド軸(91)が爪片(330)を通過すると、バネ(340)によりスライド板(300)が戻され、爪片(330)はガイド軸(91)を係止する。ホルダ(4)はシャーシ(5)にロックされる。
【0026】
ホルダ(4)の下降に伴って、上扉体(1)の蹴出し片(12)と縦板(210)との当接が外れて、上扉体(1)は図11(c)に示すように元の位置に復帰して閉じる。この位置を扉閉じ位置とする。即ち、上扉体(1)はカートリッジ(6)の挿入により、扉開き位置と扉閉じ位置との間を回動する。
図10(b)の如く、カートリッジ(6)がターンテーブル(7)に載置されて、信号の記録又は再生がされる。図11(c)の如く、ガイド軸(91)が案内溝(230)に嵌まってホルダ(4)の前後ガタが規制されているから、ホルダ(4)に係合した押出しレバー(8)は動かない。
【0027】
(ホルダを2段階に開く理由)
以下にホルダ(4)が第1、第2の開き位置の2段階を経る理由を説明する。
図15(a)、(b)は、ホルダ(4)の開き位置を簡略化して示す側面図であり、(a)は第1の開き位置を、(b)は第2の開き位置を夫々示す。
第1の開き位置にあっては、ホルダ(4)は、カートリッジ(6)の下面がシャーシ(5)の後端部の位置決めピン(52)を越えるまで開く。前記の如く、ターンテーブル(7)は位置決めピン(52)の受け軸(58)よりも高く形成されており、この第1の開き位置のまま、カートリッジ(6)を挿入しても、カートリッジ(6)はターンテーブル(7)を越えない。
第2の開き位置にあっては、ホルダ(4)は、カートリッジ(6)の下面がターンテーブル(7)を越えるまで開く。このまま、カートリッジ(6)を押し込むと、カートリッジ(6)の前端部下面は第2受け突起(54)に対向する。
即ち、カートリッジ(6)挿入当初はホルダ(4)は僅かに開き、その後大きく開く。仮にカートリッジ(6)挿入当初からホルダ(4)が第2の開き位置まで開いていると、ホルダ(4)が大きく開いている時間は長くなるから、シャーシ(5)に埃等の異物が入り込む虞れが大きくなる。カートリッジ(6)内のディスク(60)は周知の如く、信号が高密度記録されるから、埃等が付着すると誤動作を招来する虞れがある。
本例にあってはホルダ(4)が大きく開いている時間を短くしているから、シャーシ(5)に埃等の異物が入り込む虞れを少なくできる。これにより、埃等の侵入による誤動作を防止している。
【0028】
(カートリッジ挿入時の技術的効果)
また、本例にあっては、カートリッジ(6)の左右ガタをホルダ(4)にて規制していることにより、シャーシ(5)の前端部に設けた第2受け突起(54)に案内突起(59)(図17参照)を設けていない。従って、該第2受け突起(54)の高さは位置決めピン(52)よりも低い。
従来にあっては、図17に示すように、ホルダ(4)はカートリッジ(6)がシャーシ(5)前端部の位置決めピン(52)を越えるまで、開く必要がある。これに対し、本例にあっては、ホルダ(4)はカートリッジ(6)が第2受け突起(54)を越えるまで開けばよいから、開き量は小さくなる。従って、この点に於いても埃等の侵入を防止できる。更に斯種装置は、前記の如く、上着のポケットのような狭い空間内にて使用されることがあり、ホルダ(4)の開き量が小さいと使い勝手が良くなる。
【0029】
また、図16に示すように、カートリッジ(6)の側面とディスク(60)の外周との間には、隙間Fが設けられている。然るに、ホルダ(4)の両側面とカートリッジ(6)の両側面とは隙間が殆どない。従って、ホルダ(4)にカートリッジ(6)を挿入する際には、仮にシャーシ(5)が揺れてもディスク(60)は両側に隙間Fしかずれない。即ち、ディスク(60)はカートリッジ(6)との隙間分しかガタつかない。これにより、ディスク(60)はターンテーブル(7)に装着されやすくなる。
また、ディスク装着後は、ホルダ(4)の両側面とカートリッジ(6)の両側面との隙間が殆ど無いことから、ディスク(60)の外周面がカートリッジ(6)の両側面と接することもない。
【0030】
更に、ホルダ(4)の第1の開き位置から第2の開き位置を経て、ホルダ(4)が閉じるまでに、上扉体(1)は縦板(210)に接して、第1斜面(14)の下端がカートリッジ(6)の上面から離れている。上扉体(1)は閉じる向きにバネ付勢されているから、この間に上扉体(1)による摩擦力はカートリッジ(6)には加わらない。従って、カートリッジ(6)には押出しレバー(8)による押圧負荷のみが加わり、カートリッジ(6)挿入時の負荷は軽減される。
【0031】
(カートリッジエジェクト機構)
図12は、シャーシ(5)のフレーム(56)の裏面図であり、図13は、押上げレバー(400)の近傍の側面図である。前記エジェクトレバー(100)はフレーム(56)の端部に枢支(100a)され、下扉体(2)の下方に位置し、反時計方向にバネ(図示せず)付勢されている。エジェクトレバー(100)は上向きに一段盛り上がって凸面(110)を形成し、該凸面(110)の側面はカム面(120)を形成して、下扉体(2)から突出したカムフォロア(23)の近傍に位置している。
【0032】
エジェクト動作
エジェクトレバー(100)の一端部は、スライド板(300)の蹴られ板(310)に接する押し突起(130)を構成する。図12に示すエジェクトレバー(100)を手で時計方向(図12のX方向)に回動させると、押し突起(130)は蹴られ板(310)を押して、スライド板(300)をバネ(340)付勢に抗して前向きに押す。カム面(120)はカムフォロア(23)を押し、図13に示すように、下扉体(2)を枢支部(2a)を中心に反時計方向に回動させる。上扉体(1)と下扉体(2)のロックが外れる。
【0033】
図14(a)、(b)、(c)は、エジェクト動作を示す側面図であり、上ケース(3)及びシャーシ(5)を一点鎖線にて示す。図14(a)に示すように、スライド板(300)の前進に伴い、爪片(330)とガイド軸(91)の係合が外れて、ホルダ(4)の上昇が許される。
スライド板(300)の斜端面(320)が押上げレバー(400)の小軸(420)を押して、押上げレバー(400)を上向きに回動させる。押上げレバー(400)の自由端部は上ケース(3)の水平板(31)を蹴り上げる。上扉体(1)と下扉体(2)のロックが外れているから、上ケース(3)は枢支部(4a)を中心に回動可能であり、ネジリバネ(49)に抗して上昇する。ガイド軸(91)は案内溝(230)から脱出する。
【0034】
ガイド軸(91)と案内溝(230)の嵌合が外れるから、スライド片(9)は後方へのスライドが許される。押出しレバー(8)が引張りバネ(86)により付勢されているから(図10(b)参照)、カートリッジ(6)及び押出しレバー(8)に係合したスライド片(9)は後方に移動する。図10(b)に示すスライド片(9)の嵌合ピン(90)は押出しレバー(8)の第2傾斜孔(85)から脱出して、円弧孔(84)内を移動して図9(b)に示す位置、即ちホルダ(4)の第2の開き位置に達する。図11(b)に示すように、スライド片(9)のガイド軸(91)は、支持ブラケット(200)の斜端面(220)に接する。上扉体(1)は蹴出し片(12)の先端が縦板(210)に接して開き、カートリッジ(6)の移行路を開く。カートリッジ(6)は一部がホルダ(4)から排出される。
【0035】
エジェクトレバー(100)から手を離すと、エジェクトレバー(100)はバネにより元の位置に復帰し、図14(b)に示すように、下扉体(2)も復帰する。スライド板(300)はバネ(340)により後方に移動し、小軸(420)がスライド板(300)から外れた押上げレバー(400)は元の位置に戻る。
スライド片(9)は更に後退して図9(a)に示す位置に戻る。スライド片(9)のガイド軸(91)は、支持ブラケット(200)の斜端面(220)上を後退してホルダ(4)は下降可能になる。
【0036】
手でホルダ(4)からカートリッジ(6)を抜く。ホルダ(4)はネジリバネ(49)により下降し、上扉体(1)の蹴出し片(12)と縦板(210)の当接が外れるから、図14(c)に示すように、上扉体(1)は回動してホルダ(4)の後端開口を閉じる。上ケース(3)及びホルダ(4)は下降し、上扉体(1)の係止ピン(15)は下扉体(2)のロック爪(20)の先端に接して、一旦下扉体(2)を反時計方向に回動させるが、ロック爪(20)の先端部を通過すると、枢支部(2a)のバネにより復帰したロック爪(20)と係合する。上扉体(1)はロックされて、待機状態に戻る。
【0037】
上記記載では、カートリッジ(6)のシャッタ(63)を開閉する機構を省略しているが、この開閉機構はホルダ(4)内に設けられており、周知の構成である。
【0038】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスク記録又は再生装置の斜視図である。
【図2】(a)は上扉体の側面図、(b)は同上の上扉体の平面図である。
【図3】(a)は下扉体の側面図、(b)は下扉体の平面図である。
【図4】ホルダとシャーシの分解斜視図である。
【図5】ホルダ、スライド片、押出しレバーの分解平面図である。
【図6】ホルダを図4のB−B線を含む面にて、シャーシを図4のC−C線を含む面にて夫々破断した断面図である。
【図7】シャーシとカートリッジの平面図である。
【図8】(a)、(b)、(c)はホルダにカートリッジを挿入せんとする状態を示す側面図である。
【図9】(a)、(b)は、カートリッジ挿入時のスライド片と押出しレバーの動作を示す平面図である。
【図10】(a)、(b)は、カートリッジ挿入時のスライド片と押出しレバーの動作を示す平面図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は、ホルダが開く際の状態を示す側面図である。
【図12】フレームの裏面図である。
【図13】押上げレバーの近傍の側面図である。
【図14】(a)、(b)、(c)は、エジェクト動作を示す側面図である。
【図15】(a)、(b)は、ホルダの開き位置を簡略化して示す側面図であり、(a)は第1の開き位置を、(b)は第2の開き位置を夫々示す。
【図16】カートリッジの平面図である。
【図17】従来のディスク記録又は再生装置の側面図である。
【符号の説明】
(1) 上扉体
(4) ホルダ
(5) シャーシ
(6) カートリッジ
(7) ターンテーブル
(9) スライド片
(12) 蹴出し片
(52) 位置決めピン
(60) ディスク
(62) 位置決め穴

Claims (3)

  1. ディスク(60)を収納したカートリッジ(6)が挿入される開口を形成したホルダ(4)と、該ホルダ(4)の基端部を枢支(4a)し、ターンテーブル(7)を搭載したシャーシ(5)とを具えたカートリッジ収納装置に於いて、
    ホルダ(4)の基端部には、ホルダ(4)を閉じ方向に付勢するバネ体が取り付けられ、ホルダ(4)の自由端部の開口には扉体(1)が枢支(1a)され、該扉体(1)には枢支部(1a)に対してカートリッジ排出側に位置して、カートリッジ挿入方向に対して傾いた当接面と、枢支部(1a)に対してカートリッジ挿入側に配備され、ホルダ(4)の上昇時にシャーシ(5)に接する蹴出し片(12)が設けられ、扉体(1)は当接面がホルダ(4)の開口を塞ぐ向きにバネ付勢され、
    扉体(1)は、カートリッジ(6)の挿入時に、カートリッジ(6)が当接面を押してホルダ(4)の開口を露出するとともに、蹴出し片(12)がシャーシ(5)を押してホルダ(4)をバネ体の付勢に抗して持ち上げる扉開き位置と、更なるカートリッジ(6)の挿入に従ってカートリッジ(6)が当接面から外れた後に、当接面が開口を塞ぐ向きに戻り、ホルダ(4)の下降を許す扉閉じ位置との間を移動可能に設けられたことを特徴とするカートリッジ収納装置。
  2. シャーシ(5)にはカートリッジ(6)の後端部に嵌合する位置決めピン(52)が設けられ、扉体(1)の扉開き位置にて、ホルダ(4)はカートリッジ(6)の下面が位置決めピン(52)の上方に位置する請求項1に記載のカートリッジ収納装置。
  3. ホルダ(4)上には、カートリッジ(6)に押されるスライド片(9)がカートリッジ挿脱方向に移動可能に設けられ、シャーシ(5)にはスライド片(9)に係合してスライド片(9)のカートリッジ挿入方向への移動に伴って、ホルダ(4)を上昇させる持上げ部材が設けられ、
    スライド片(9)が持上げ部材に係合したホルダ(4)の開き位置にて、カートリッジ(6)の下面がターンテーブル(7)の上方に位置する請求項1又は2に記載のカートリッジ収納装置。
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