JP2005208411A - 調光素子 - Google Patents

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祐治 山本
Takashi Shibuya
崇 澁谷
Yuriko Kaida
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Abstract

【課題】消色透明、消色散乱、着色透明および着色散乱の4種類の状態、または、消色透明と着色透明の2種類の状態、を切り替えることができる調光素子を提供する。
【解決手段】液晶性を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物(A)を使用し、少なくとも一方が透明な一対の電極付基板と、該電極付基板間に挟持された当該ジアリールエテン化合物(A)を含む液晶性物質と、を有することを特徴とする調光素子。この調光素子は、電場と光を用いることにより、消色透明、消色散乱、着色透明および着色散乱の4つの状態、または、消色透明と着色透明の2種類の状態、を切り替えることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶性を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物を含む調光素子に関する。
ガラスにおける光の透過率を任意に制御したいという要求が高まっている。特に、建築用または自動車用などのガラスにおいては、快適性や省エネルギーの観点から窓から室内への光の流入を制御できるガラスは有用であり、またプライバシー保護の観点から透視性が制御可能なガラスが有用である。
フォトクロミズムを示す材料を用いた調光ガラスは、日差しが強くなれば自然に着色して暗くなり、ブラインドなどを使わなくても自然に日除けができる。すなわち、消色透明状態と着色透明状態を任意に取ることができる。しかし、より高いプライバシー性を求める場合、透明状態に加えて散乱状態を実現できる調光材料が必要とされている。
散乱状態を実現できる電圧駆動型の液晶調光素子は、プライバシー性の高さに加えて清潔さ、操作性、無音性などの特性が着目され、従来のカーテンやブラインドに変わるものとして注目されている(下記特許文献1、2参照)。この調光素子は、通電する電圧を段階的に変化させることにより、徐々に散乱/透明化させたり各種センサーと連動させて半透明状態を所定の時間だけ維持するといったきめ細かなオペレーションも可能であるという特徴がある。
特開平6−57256号公報 特開2000−347222号公報
しかしながら、従来の調光素子は消色透明と消色散乱、または着色透明と着色散乱をそれぞれ切り替えることはできても、これら4種類の状態を任意に取ることはできず、照明効果などを併用することで高透明性や高プライバシー性を保持していた。また場合によっては、消色透明と着色透明の2種類の状態が必要とされることもある。
本発明は前記課題を解決するため、本発明者が鋭意研究を行った結果、液晶性を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物が調光材料として有用であることを見出し、本発明に至った。本発明は、この液晶材料を用いた下記の調光素子である。
少なくとも一方が透明な一対の電極付基板と、該電極付基板間に挟持された液晶性物質とを有し、該液晶性物質の少なくとも一部が液晶性を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物(A)であることを特徴とする調光素子。
本発明の調光素子は、消色透明、消色散乱、着色透明および着色散乱の4種類の状態を切り替えることができる調光素子である。また、場合によっては消色透明と着色透明の2種類の状態を切り替えることができる調光素子である。
本発明の調光素子は電極付基板間に液晶性物質が挟持されてなる構成を有する。この液晶物質は、液晶性を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物(A)(以下、ジアリールエテン(A)という)のみからなるか、または、ジアリールエテン(A)と他の液晶との混合物からなる。他の液晶としては非フォトクロミック性の液晶が好ましい。以下、非フォトクロミック性の液晶を液晶(B)という。また、液晶物質には、ジアリールエテン化合物以外のフォトクロミック性化合物でかつ液晶性を有する化合物が含まれていてもよい。さらに、上記液晶物質には非液晶物質が含まれていてもよく、その場合全体として液晶性を有する混合物であればよい。また、電極付基板間には液晶性物質と高分子物質とが相分離した状態で挟持されていてもよい。
ジアリールエテン(A)は、公知のフォトクロミック性ジアリールエテン化合物に後述メソゲン基を導入した構造を有する化合物である。メソゲン基の存在によりこの化合物は液晶性を有する。ただし、メソゲン基を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物は液晶性を有するとは限らない。本発明におけるジアリールエテン(A)は液晶性を有し、このような化合物は対称性の高い分子構造を有する。
上記ジアリールエテン(A)は誘電率異方性を有し、誘電率異方性の絶対値が0より大きい化合物である。本発明の調光素子において、ジアリールエテン(A)が誘電率異方性を有することにより、電場の印加により電場応答してその配向が変化する。ジアリールエテン(A)の誘電率異方性の絶対値は、0.1以上が好ましく、2〜50が特に好ましい。誘電率異方性の絶対値が0.1以上であると、低い電圧で調光素子を駆動できるので好ましい。
本発明におけるジアリールエテン(A)の誘電率異方性は負であることが好ましい。ジアリールエテン(A)の誘電率異方性が負であると、電場印加時にはジアリールエテン(A)がダイナミックスキャッタリング(動的散乱)を起こし、光を強く散乱する。従って、本発明におけるジアリールエテン(A)の誘電率異方性は負であり、その絶対値は0.1以上が好ましく、2〜50が特に好ましい。なお、誘電率異方性の値(Δε)は(ε‖)−(ε⊥)をいう(ε‖:分子軸(長軸)方向の誘電率、ε⊥:分子軸に垂直方向の誘電率)。
本発明におけるジアリールエテン(A)は、二つのアリール基のそれぞれにメソゲン基を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物であることが好ましい。このようなジアリールエテン化合物は、対称性の高い分子構造を有し、液晶性となりやすい。
本発明におけるジアリールエテン(A)は、エテニレン基(>C=C<)の両側にアリール基を有する化合物であり、エテニレン基に結合したアリール基の炭素原子(α位)に隣接した炭素原子(β位)同士が光の作用により連結する(即ち、エテニレン基を含む環を形成する)ことによりフォトクロミック性を示す。この場合、エテニレン基の他の二つの結合手には水素原子以外の基(例えば、シアノ基やアルキル基)が結合していることが好ましく、特に二つの結合手に2価の有機基が結合してエテニレン基を含む環が形成されていることが好ましい。エテニレン基を含む環としてはヘテロ原子を含んでもよい5〜8員の炭素環が好ましく、ヘテロ原子としては窒素原子と酸素原子が好ましい。環は、5員環または6員環であることが好ましい。ヘテロ原子の数は1または2個が好ましい。環に結合する水素原子はフッ素原子や塩素原子などのハロゲン原子や酸素原子(オキソ基)などの置換基で置換されていてもよく、特にフッ素原子で置換されていることが好ましい。好ましい環は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ジオキソール環、マレイミド環であり、特に、ポリフルオロシクロペンテン環とポリフルオロシクロヘキセン環が好ましく、パーフルオロシクロペンテン環が最も好ましい。
ジアリールエテン化合物におけるアリール基としては、インドール−3−イル基、チオフェン−3−イル基、ベンゾ[b]チオフェン−3−イル基などが好ましい。ジアリールエテン(A)において、ジアリールエテン化合物の二つのアリール基には、それぞれ、メソゲン基が結合していることが好ましい。アリール基は、メソゲン基以外に置換基を有することが好ましく、特に2位の炭素原子(前記β位の炭素原子)にはアルキル基やアルコキシ基などの置換基が存在していることが好ましい。ジアリールエテン(A)における上記アリール基にはこれら以外の種々の置換基を存在させることもできる。
ジアリールエテン(A)における二つのメソゲン基結合アリール基は同一であっても異なっていてもよい。しかし、液晶性を発現させるためにはジアリールエテン(A)は対称の分子構造を有することが好ましい。したがって、そのアリール基部分は同一であることが好ましく、メソゲン基もまた同一または充分に同一性の高いものであることが好ましい。
ジアリールエテン(A)におけるメソゲン基は液晶性を発現させるための1価の線状有機基であり、連結基を介して連結した6員環を2個以上有しかつ末端基を有する1価の線状有機基である。メソゲン基はスペーサーを介してアリール基に結合する。スペーサーや連結基は単結合であってもよい。例えば下記式(1)で表される化合物においては、式(c)で表される1価の線状有機基(ただしYを除く)がメソゲン基であり、連結基(Z)を介して連結した6員環(A、B)を2個以上有しかつ末端基(R)を有する。
またこのメソゲン基にはアリール基側にアリール基に結合する2価のスペーサー(Y)が結合する。メソゲン基としては、後述のメソゲン基が好ましく、特に下記式(c)で表される基(Yを除く)が好ましい。スペーサーとしては、アルキレン基、片末端または両末端にオキシカルボニル基を有するアルキレン基、片末端、両末端または炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基、後述する式(c)で表される基のYが好ましく、特に式(c)で表される基のYが好ましい。メソゲン基における6員環の数は2〜4が好ましく、特に2または3であることが好ましい。6員環としては、後述の環A、Bが好ましい。
本発明において特に好ましいジアリールエテン(A)は下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2005208411
式(1)におけるMは、いずれも上記式(a)を表すかまたはいずれも上記式(b)を表し、Xは上記式(c)を表し、kは3〜6の整数を表す。
ただし、R1は、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R2は、水素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。R3は、炭素数が4〜12の置換基を有していてもよいアルキル基または炭素数が4〜12の置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、Yは、単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−を表し、Zは、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−を表し、A、Bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、6員炭素環、含窒素複素6員環または含酸素複素6員環を表し、pは1または2を表す。
式(1)で表される化合物において、kは3または4であることが好ましい。Yは、単結合、−COO−または−OCO−であることが好ましい。Zは、単結合または−C≡C−であることが好ましい。
1は、炭素数10以下のアルキル基やアルコキシ基が好ましく、それらの基はフッ素原子や塩素原子などのハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を有していてもよい。炭素数4以下のアルキル基やハロアルキル基および炭素数4以下のアルコキシ基やハロアルコキシ基が好ましく、炭素数1または2のアルキル基やアルコキシ基が最も好ましい。
2は、好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、アルキル基およびアルコキシ基は炭素数20以下であることが好ましく、置換基としてはフッ素原子や塩素原子などのハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基などが好ましい。水素原子以外としては、特に、炭素数10以下の、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基などが好ましい。
3は、炭素数6〜12のアルキル基やアルコキシ基が好ましく、それらの基はフッ素原子や塩素原子などのハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を有していてもよい。炭素数が6〜10のアルキル基またはアルコキシ基がより好ましく、炭素数が6〜10の直鎖アルキル基または直鎖アルコキシ基が最も好ましい。
環A、環Bは、それぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ジオキサン環が好ましい。これらの環からなる2価の基としては、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基が好ましい。環A、環Bは、それぞれ、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子などで置換されていてもよい。より好ましい環A、環Bで表される2価の基は、いずれも無置換の1,4−フェニレン基である。
式(c)で表される基において、特に、前記Aおよび前記Bがいずれも置換基を有していてもよいフェニレン環であり、YおよびZがいずれも単結合であることが好ましい。
本発明の調光素子の電極付基板間に挟持されている液晶性物質は、上記ジアリールエテン(A)の1種以上のみからなるかまたは他の物質を含む液晶性の混合物からなる。また、本発明の調光素子の電極付基板間にはこのような液晶物質を含むポリマーとの複合体が挟持されていてもよい。
上記液晶性の混合物としては、ジアリールエテン化合物(A)と非フォトクロミック性である液晶(B)との混合物であることが好ましい。液晶(B)は低分子液晶や高分子液晶があるが特に低分子液晶であることが好ましい。この低分子液晶としては周知ないし公知の液晶を使用でき、2種以上の低分子液晶の混合物であってもよい。
低分子液晶としては、特に限定されるものではないが、以下の式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005208411
式(2)において、Φ、Φ、Φ、Φはそれぞれ独立して1位と4位に結合手を有する6員環または4位と4’位に結合手を有する連結6員環を表し、E、E、Eはそれぞれ独立して連結基(単結合を含む)を表し、R、Rはそれぞれ独立に末端基を表し、n、mはそれぞれ0または1を表す。ただし、式(2)で表される化合物における6員環の数は2〜4である。
Φ〜Φが1位と4位に結合手を有する6員環である場合、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基およびトランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基が好ましい。特に好ましくは、1,4−フェニレン基とトランス−1,4−シクロヘキシレン基である。Φ〜Φが4位と4’位に結合手を有する連結6員環である場合、上記6員環の任意の2種が結合した連結6員環が好ましい。特に、4,4’−ビフェニレン基、トランス,トランス−ビシクロヘキサン−4,4’−ジイル基およびトランス−シクロヘキシルベンゼン−4,4’−ジイル基が好ましい。なお、式(2)で表される化合物における6員環の数は2〜3であることが好ましい。
上記6員環に結合している水素原子の1または2個は、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基などの置換基に置換されていてもよい。この置換基としてはフッ素原子、シアノ基、フルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。置換基が結合する6員環は1,4−フェニレン基が好ましく、その場合、1個の置換基が結合する場合は2位または3位に、2個の置換基が結合する場合は2位と6位、3位と5位または2位と3位に結合していることが好ましい。
〜Eはそれぞれ独立に連結基を表し、連結基としては、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−O−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−C−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N(O)−、−N(O)=N−などが好ましい。単結合以外の連結基は1分子中に0〜2個が好ましく、特に0または1個が好ましい。特にEが単結合かまたは単結合以外の連結基であり、他が単結合であることが好ましい。
、Rはそれぞれ独立に末端基であり、末端基としては、ハロゲン原子、シアノ基または鎖状有機基であることが好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。鎖状有機基の炭素数は12以下が好ましく、特に8以下が好ましい。鎖状有機基としては、鎖状炭化水素基、炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する鎖状炭化水素基、フッ素原子を有する鎖状炭化水素基、結合末端にエーテル性酸素原子、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基などの結合基を有する鎖状炭化水素基(以下、結合基含有鎖状炭化水素基という)、フッ素原子を有する結合基含有鎖状炭化水素基などが好ましい。なお、鎖状炭化水素基は短い分岐を有していてもよく、その分岐が結合した炭素原子は不斉炭素原子であることが好ましい。
上記鎖状炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基があり、アルケニル基およびアルキニル基の不飽和結合は複数であってもよい。鎖状炭化水素基としては炭素数6以下のアルキル基とアルケニル基が好ましい。炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する鎖状炭化水素基としてはアルコキシアルキル基などがあり、炭素数6以下のアルコキシアルキル基が好ましい。結合基含有鎖状炭化水素基としては、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基などがあり、炭素数6以下のアルコキシ基とアルコキシカルボニル基が好ましい。フッ素原子を有する鎖状炭化水素基としてはトリフルオロメチル基などのパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルケニル基、ジフルオロメチル基などの部分フッ素化アルキル基などがあり、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基と部分フッ素化アルキル基が好ましい。フッ素原子を有する結合基含有鎖状炭化水素基としては、トリフルオロメトキシ基などのパーフルオロアルコキシ基、パーフルオロアシル基などがあり、炭素数4以下のパーフルオロアルコキシ基が好ましい。
とRの少なくとも一方はアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアルコキシアルキル基から選ばれる鎖状有機基であることが好ましい。RとRの一方がこの鎖状有機基でない場合、それはフッ素原子、シアノ基、フッ素原子を有する鎖状炭化水素基、フッ素原子を有する結合基含有鎖状炭化水素基(特にフッ素原子を有するアルコキシ基)であることが好ましい。
なお、本発明におけるメソゲン基としては下記式(3)または式(4)で表される1価の有機基が好ましい。これらのメソゲン基は、前記式(2)で表される低分子液晶の末端基の一方を除いた1価の有機基である。場合によっては、両末端基が除かれた2価の基がメソゲン基となることもありうる。
Figure 2005208411
液晶(B)は上記低分子液晶に限られず高分子液晶であってもよい。高分子液晶としては、側鎖型高分子液晶が好ましく、例えば液晶性を有する付加重合性化合物の重合体がある。この付加重合性化合物としては、メソゲン基と重合性不飽和基とを有する化合物がある。例えば、アクリロイルオキシ基やメタクリロイルオキシ基などの付加重合性の不飽和有機基と上記のような1価のメソゲン基とが直接にまたはスペーサーを介して結合した重合性化合物、2価のメソゲン基の両側にスペーサーを介して付加重合性の不飽和有機基が結合した不飽和有機基を2個有する化合物などがある。このスペーサーとしては、アルキレン基、炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するオキサアルキレン基、メソゲン側にエーテル性酸素原子を有するオキシアルキレン基やポリオキシアルキレン基などが好ましい。スペーサーの炭素数は10以下が好ましい。側鎖型高分子液晶としてはこれ以外に1価のメソゲン基を有するジオールとジカルボン酸との(または、1価のメソゲン基を有するジカルボン酸とジオールとの)ポリエステル、メソゲン基を有するモノエポキシドの開環重合体、メソゲン基を有する2官能性シラン化合物の縮重合物などがある。
高分子液晶は常温で液晶性であることを必要としない。常温よりも高い温度下で液晶性を示す高分子液晶であってもよい。なお、ジアリールエテン化合物(A)と高分子液晶との混合物は、あらかじめ製造した高分子液晶とジアリールエテン化合物(A)とを混合することにより得られる。また、重合性化合物とジアリールエテン化合物(A)との混合物を重合してジアリールエテン化合物(A)含有効分子液晶を製造することもできる。
ジアリールエテン(A)と上記液晶(B)との混合物における誘電率異方性は負であることが好ましい。液晶混合物の誘電率異方性が負であると、液晶が水平配向をしている調光素子において、電圧印加時には液晶性混合物が動的散乱を起こすため光を強く散乱する。また、この液晶混合物の誘電率異方性の絶対値は1以上が好ましく、2〜50が特に好ましい。誘電率異方性が負でその絶対値が1以上であると、低い電圧で調光素子を駆動できるので好ましい。
前記液晶(B)の誘電率異方性は正であってもよいが、液晶混合物の誘電率異方性を負とするためには液晶(B)の誘電率異方性は負であることが好ましい。液晶(B)が2種以上の液晶の混合物である場合にはその一部の液晶は誘電率異方性が正の液晶であってもよい。液晶(B)が前記式(2)で表される低分子液晶やその他の式(3)や式(4)で表されるメソゲン基を有する化合物である場合、分子短軸方向に極性基を有する液晶が誘電率異方性が負の液晶となりやすい。即ち、6員環の2位と3位の一方または両方に、フッ素原子、シアノ基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基などの極性基を有する液晶が誘電率異方性が負の液晶となりやすい。この6員環としては1,4−フェニレン基が好ましい。
また、ジアリールエテン(A)と前記液晶(B)との混合物における屈折率異方性(Δn)(Δn=n−n、n:異常光屈折率、n:常光屈折率)は、0.2以下が好ましく、0.15以下がより好ましい。屈折率異方性が0.2以下であると電圧印加時に、調光素子の光の散乱が少なくなるため好ましい。屈折率異方性を小さくするには、シクロヘキサン環などの飽和炭素環を有する低分子液晶を少なくとも1種含む液晶化合物を用いるのが好ましい。従って、前記液晶(B)の少なくとも一部は、その分子構造中に飽和炭素環を有する液晶であることが好ましい。
本発明において、ジアリールエテン(A)と液晶(B)の混合物におけるジアリールエテン(A)の割合は特に限定されるものではない。前記のようにジアリールエテン(A)は単独であってもよく、混合物中にごく少量(0.1質量%程度)存在していてもよい。特に限定されるものではないが、液晶(B)が低分子液晶の場合、ジアリールエテン(A)と液晶(B)の混合物に対するジアリールエテン(A)の割合は0.1〜100質量%が適当で、1〜100質量%が好ましい。ジアリールエテン(A)の割合が少なすぎる場合は、ジアリールエテン(A)のフォトクロミック性がもたらす効果(光に照射による着色変化や着色の程度など)が充分発揮されない。
本発明において、ジアリールエテン(A)と併用しうる他の物質としては上記液晶(B)に限られない。例えば、二色性色素などの液晶と併用される色素、ジアリールエテン(A)以外のフォトクロミック性液晶、液晶性を示さないフォトクロミック性色素などの色素を使用できる。また、液晶物質の粘度を調節し得る粘度調整剤、誘電率異方性を変化させる誘電率異方性調整剤、屈折率異方性を変化させる屈折率異方性調整剤、安定剤、その他の添加剤を添加することもできる。これら添加剤の配合量は、その添加剤を配合する目的により変り得るものであるが、ジアリールエテン(A)と液晶(B)と添加剤の合計に対して25質量%以下、特に10質量%以下、が好ましい。このような添加剤とジアリールエテン(A)との混合物やさらに液晶(B)を含む混合物における誘電率異方性は負であることが前記と同じ理由で好ましい。この混合物の誘電率異方性の絶対値は1以上が好ましく、2〜50が特に好ましい。誘電率異方性が負でその絶対値が1以上であると、低い電圧で調光素子を駆動できるので好ましい。
本発明の調光素子における電極付基板間には液晶性物質と高分子物質とが相分離した状態で挟持されていてもよい。この電極付基板間に挟持されるものを以下(液晶性物質と固体高分子物質との)複合構造体という。この複合構造体は、重合して固体高分子物質となりうる液状重合性化合物と非重合性の低分子液晶(ジアリールエテン(A)を含む)の混合物を重合して得られ、液状重合性化合物の割合が多い場合には固体高分子物質中に低分子液晶が微粒子状に分散した複合構造体となり、低分子液晶の割合が多い場合には多孔性固体高分子物質中の連続した空間内に低分子液晶が充填されている構造の複合構造体や低分子液晶中に固体高分子物質が糸状に析出している構造の複合構造体となる。液状重合性化合物としては、例えば、アルキルアクリレートやアルキレングリコールのジアクリレートなどのメソゲン基を有しない重合性化合物、アクリロイルオキシ基を1個または2個と1価または2価のメソゲン基とを有する重合性化合物などがある。このうち、メソゲン基を有する重合性化合物は液晶性を有していても、液晶性を有していなくてもよい。液晶性を有する重合性化合物は、側鎖型高分子液晶となる重合性化合物である。メソゲン基を有するが非液晶性の重合性化合物やメソゲン基に類似の環構造を有する非液晶性の重合性化合物は、低分子液晶との親和性が良好で、より均質な複合構造体を得やすい。
複合構造体は、電極付基板間で電圧印加の下で、液状重合性化合物と非重合性の低分子液晶の混合物を重合して得られたものであることが好ましい。電圧印加により低分子液晶を配向させ、この配向を維持した状態で固体高分子物質が形成されると、複合構造体中の液晶の配向が容易となり、電圧のオンオフによる調光の切替が速くなり、また透明、不透明の光透過性の差が大きくなりやすい。また、重合性化合物の重合は光重合が好ましいが、場合によっては熱重合等によっても重合を行うことができる。好ましくは、電極付基板間に液状重合性化合物と低分子液晶の混合物を充填し、電圧印加の下で光重合により目的の調光素子を製造することが好ましい。
複合構造体を製造するための液状重合性化合物と非重合性の低分子液晶の混合物における低分子液晶の割合は50質量%以上が適当であり、65〜95質量%であることが好ましい。液状重合性化合物としてメソゲン基を有する化合物を使用する場合は、低分子液晶の割合は75質量%以上が好ましい。
本発明の調光素子に用いる基板の材質は、ガラスまたは樹脂が好ましい。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルイミド、セルローストリアセテート系樹脂などの透明な樹脂が好ましい。2枚の基板のうち片方はアルミニウムや誘電体多層膜が形成された基板などの反射板であってもよい。
本発明における基板には、透明電極を積層させるのが好ましい。透明電極としては、ITO膜やSnO膜が好ましい。また、透明電極を積層させる基板は、透明基板であることが好ましい。
本発明の調光素子は、少なくとも一方が透明な一対の電極付き基板を有する。透明な電極付き基板とは、透明な基板に透明な電極を積層させたものである。
本発明における電極付き基板の液晶性物質と接する面には、必ずしも必要ではないが液晶が水平配向するための処理がなされていることが好ましい。該処理方法としては、液晶を水平に配向させるものであればとくに限定されず、公知周知の方法が挙げられる。例えば、基板表面を直接研磨する方法、基板表面に樹脂の薄膜を設けた後ラビングする方法、配向剤を基板表面に設ける方法などが挙げられる。
本発明における、2枚の基板の間隔は、スペーサーの大きさによって適宜選択できる。該基板間隔は、1〜20μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。基板間隔が1μm以上であると、コントラストが高くなるため好ましい。また、基板間隔が20μm以下であると、透過率が高いため好ましい。
本発明の調光素子の作成方法は、注入むらや挟持むらが発生せず、不純物の混入がなくかつ均一の厚さで積層できる方法であれば特に限定されないが、例えば次のような方法が挙げられる。基板がガラス製である場合、2枚の電極付きのガラス基板を用意し、基板の電極側に配向処理を施す。一方の基板の電極側に、直径1〜20μmの樹脂ビーズなどのスペーサーを散布し該基板を、それぞれ電極側が向かい合うようにして重ねる。該重ねた基板の外周部をエポキシ樹脂などのシール剤で封止してセルを作成する。次に、本発明における液晶性物質をセルに封入する。液晶性物質を封入する方法としては、セル作成の際にあらかじめ基板外周部のシール剤の1ヶ所に注入口を設けて、該注入口から物質を真空注入する方法、該シール剤の2ヶ所以上に切り抜き部を設け、該切り抜き部のうちの1ヶ所以上を物質に浸漬し、浸漬していない切り抜き部より吸引する方法が好ましく挙げられる。
基板が樹脂製である場合の調光素子の作成方法は、電極側が向かい合った配向剤処理がされた2枚の電極付きの樹脂フィルム基板を2本のロールで挟むと同時に、該基板間にスペーサーが均一に分散した液晶性物質を注入する。該ロールにより、均一な基板間隔を保持したままセルを作成する方法や、ガラス製基板と同様の方法で作成する方法が好ましく挙げられる。
本発明の調光素子において、平面形状の素子、小面積の素子などの場合は、基板の材質はガラスである方が、基板の光の透過率が高いため、良好な調光素子が得られるので好ましい。しかし、非平面形状の素子または大面積の素子、すなわち建築用、自動車用などの調光素子を作成する場合は、基板の材質は樹脂である方が、軽量かつ柔軟性のある素子が得られるため好ましい。該樹脂製基板の素子は、合わせガラスに挟む等、他の部材と複合させて使用されうる。
本発明の調光素子は、消色透明、消色散乱、着色透明、着色散乱の4種類の状態を任意に取ることができるものであることが好ましい。電極付き基板間に挟持された液晶性物質は液晶性を示す温度、すなわち融点〜透明点で一軸に配向しているのが好ましい。また、側鎖型高分子液晶を含む液晶性物質などの常温で固体の液晶性物質は、液晶性を示す温度、すなわちガラス転移点〜透明点で一軸に配向しているのが好ましい。また、液晶性物質を室温まで徐冷しても消色透明状態を保持し、室温から液晶性を示す温度まで加温しても最初の消色透明状態を保持するのが好ましい。液晶性物質が液晶性を示す温度において、電場を印加すると消色透明/着色透明状態から消色散乱/着色散乱状態へと変化するのが好ましい。電場をOFFにすると消色透明/着色透明状態に戻るのが好ましい。消色散乱/着色散乱状態で電場を印加したまま室温まで温度を下げて電場をOFFにしても消色散乱/着色散乱状態が保持されるのが好ましい。また消色散乱/着色散乱状態から、室温まで急冷しても消色散乱/着色散乱状態が保持されるのが好ましい。室温で消色散乱/着色散乱状態から液晶性物質が液晶性を示す温度まで電場を印加しながら加温しても消色散乱/着色散乱状態が保持されるのが好ましい。消色透明/消色散乱状態で紫外光を照射すると液晶性物質が光異性化を起こし、着色透明/着色散乱状態となるのが好ましい。この状態で強い可視光を照射すると液晶性物質が光異性化を起こし、消色透明/消色散乱状態へ戻るのが好ましい。
消色透明状態から着色散乱状態へは、電場を印加しながら紫外光を照射すると変化するのが好ましい。また、着色散乱状態から消色透明状態へは、電場をOFFにして強い可視光を照射すると変化するのが好ましい。着色透明状態から消色散乱状態へは、電場を印加しながら強い可視光を照射すると変化するのが好ましい。消色散乱状態から着色透明状態へは、電場をOFFにして紫外光を照射すると変化するのが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、該実施例により本発明は何ら限定されない。また、合成例は、液晶性を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物の製造例である。なお、透過率(Tv)、ヘイズ値(Haze)は以下の方法で測定した値である。
透過率(Tv)、ヘイズ値(Haze)の測定方法:電極間の電圧が0Vと130Vである調光素子において、JIS R3212に記載の方法にしたがってヘイズメータを用いてヘイズ値を求めた。また、透過率はHITACHI製U−3210スペクトロメーターを用いて透過率を測定し、可視光透過率(Tv)を算出した。
(合成例1)
(1−1)2−メチルベンゾチオフェン(化合物1a)の合成
1000mlの三つ口フラスコにベンゾチオフェン25.0g(186.5mmol)とテトロヒドロフラン500mlを加え、−60℃以下に保ち、2.6Nのn−ブチルリチウム75.0ml(195.0mmol)を1適ずつゆっくり滴下した。その後、テトラヒドロフラン30mlで滴下ロートを洗い、反応液に加えて30分間撹拌した。温度を−60℃以下に保ちながらヨウ化メチル14.3ml(230.0mmol)をゆっくり滴下した。1時間撹拌後、室温に戻しながらメタノールを加えた。反応後、反応液をチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液150mlに開け、ジエチルエーテル300mlで3回抽出し、洗浄、乾燥の後、溶媒を減圧留去した。得られた反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物1aを24.7g(収率89.5%)を得た。
(1−2)3−ブロモ−2−メチルベンゾチオフェン(化合物1b)の合成
1000mlの三つ口フラスコに上記で得られた化合物1aの24.7g(166.9mmol)と酢酸500mlを加え、その後、室温で臭素9.30ml(183.6mmol)をゆっくり滴下した。5時間撹拌後、食塩水を加えた。反応後、反応液をクロロホルム300mlで3回抽出し、炭酸ナトリウム飽和水溶液で中和した後、チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、乾燥の後、溶媒を減圧留去した。得られた反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物1bを34.2g(収率90.7質量%)得た。
(1−3)1,2−ビス(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン(化合物1c)の合成
1000mlの三つ口フラスコに上記で得られた化合物1bの34.2g(151.3mmol)とテトラヒドロフラン600mlを加え、−60℃以下に保ち、2.6Nのn−ブチルリチウム64.0ml(166.4mmol)を1適ずつゆっくり滴下した。その後、テトラヒドロフラン30mlで滴下ロートを洗い、45分間撹拌した。温度を−60℃以下に保ちながらパーフルオロシクロペンテン5.85ml(76.0mmol)をゆっくり滴下した。2時間撹拌後、室温に戻しながらエタノールと水を加えた。これをエーテル抽出し、1.2N塩酸、水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過により除去し、エーテルを留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、再結晶により精製して化合物1cを得た。化合物1cの収量は25.8g、収率は36.4質量%であり、NMRの分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=2.21(s,3H,Me)、2.49(s,3H,Me)、7.16〜7.70(m,8H,aromatic proton)。
(1−4)1,2−ビス(6−アセチル−2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン(化合物1d)の合成
1000mlの三つ口フラスコに上記で得られた化合物1cの25.8g(55.1mmol)とニトロベンゼン500mlを加え、室温で30分間撹拌した。その後、塩化アセチル22.2g(284.01mmol)、塩化アルミニウム38.7g(284.01mmol)をゆっくり滴下した。1時間撹拌後、室温で希塩酸を加えた。これをクロロホルムで抽出し、水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過により除去し、クロロホルムを留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、再結晶により精製して化合物1dを得た。化合物1dの収量は24.5g、収率は80.5質量%であり、NMRの分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=2.27(s,3H,Me)、2.54(s,3H,Me)、2.59(s,3H,COMe)、2.66(s,3H,COMe)、7.58〜8.33(m,6H,aromatic proton)。
(1−5)1,2−ビス(6−カルボキシ−2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン(化合物1e)の合成
1000mlの三つ口フラスコに上記で得られた化合物1dの24.5g(44.4mmol)とジオキサン200mlを加え、55℃で30分間撹拌した。その後、10%次亜塩素酸ナトリウム溶液、ジオキサン100mlをゆっくり滴下した。その後、80℃まで加熱し3時間撹拌し、亜硫酸ナトリウム水溶液を加えた。これを水へ注ぎ込み、クロロホルムで抽出した。水層に濃硫酸を入れると化合物1eの沈殿が析出した。また、有機層を乾燥させ、クロロホルムを留去し化合物1eを得た。これらを再結晶により精製すると化合物1eの収量は21.1g、収率は85.5質量%であり、NMRの分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=2.25(s,3H,Me)、2.53(s,3H,Me)、7.54〜8.23(m,6H,aromatic proton)。
(1−6)4′−ヘキシロキシ−ビフェニル−4−オール(化合物1f)の合成
500mlの三つ口フラスコに1−ブロモヘキサン10.0g(60.9mmol)、4,4′−ビフェノール27.2g(146.2mmol)、アセトン500ml、炭酸カリウム25.6g(185.2mmol)、ヨウ化カリウム1.4g(8.4mmol)を加え、65℃で12時間撹拌した。反応後、反応液をクロロホルム300mlで3回抽出し、水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過により除去し、クロロホルムを留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、再結晶により精製して化合物1fを得た。化合物1fの収量は12.4g、収率は75.4質量%であり、NMRの分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=0.88−0.93(t,3H,Me)、1.31−1.84(m,8H,CH2 )、3.96−4.00(t,2H,CH2 O)、4.73(s,1H,OH)、6.85−7.46(m,8H,aromatic proton)。
(1−7)1,2−ビス(6−(4′−ヘキシロキシ−4−ビフェニリルオキシカルボニル)−2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン(ジアリールエテン化合物(1))の合成
1000mlの三つ口フラスコに上記で得られた化合物1e21.1g(38.0mmol)と塩化チオニル500mlを加え、65℃で4時間撹拌した。反応後、塩化チオニルを減圧留去した。その後、上記で得られた化合物1fの22.6g(83.6mmol)、トリエチルアミン8.44g(83.6mmol)、トルエン600mlを加え、65℃で12時間撹拌した。反応後、反応液を濾過した後にトルエンを減圧留去し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、再結晶により精製してジアリールエテン化合物(1)を得た。ジアリールエテン化合物(1)の収量は24.7g、収率は61.3質量%であり、NMRの分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=0.86−0.94(t,6H,Me)、1.25−1.83(m,16H,CH2 )、2.33(s,3H,Me)、2.57(s,3H,Me)、3.98−4.03(t,4H,CH2 O)、6.95−8.62(m,22H,aromatic proton)。
ジアリールエテン化合物(1)の構造式を下記に示す。
Figure 2005208411
(合成例2)
(2−1)3,5−ジブロモ−2−メチルチオフェン(化合物2a)の合成
1000mlの四つ口フラスコに2−メチルチオフェン25.4g(0.258mol)と酢酸300mlを加え、氷浴により0℃に温度を保った。次に、臭素82.5g(0.516mol)を滴下漏斗でゆっくりと滴下し、滴下後更に酢酸20mlを加え、滴下漏斗を洗浄した。0℃の温度を保って、30分撹拌した後、氷浴を外し、室温に戻しながら終夜撹拌した。この溶液を炭酸ナトリウムで中和した後、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてエーテル抽出を行い、食塩水で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過により除去し、エーテルを留去した。これをシリカゲルカラムを用いてヘキサンでRf=0.83の成分を展開分離した。これをさらに減圧蒸留により、沸点88〜90℃の成分を分離した。得られた化合物2aの収量は34.7g、収率は52.5質量%であり、NMR分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=2.34(s,3H,Me)、6.86(s,1H,aromatic proton)。
(2−2)3−ブロモ−2−メチル−5−チオフェンホウ酸(化合物2b)の合成
2000mlの三つ口フラスコに上記で得られた化合物2aの34.7g(0.136mol)と無水エーテル500mlを加え、−60℃以下に冷却した。次に、1.6Nのn−ブチルリチウム87.6mlを加え、30分撹拌した。これにトリ−n−ブチルボレート54.6mlを加え、−60℃以下に4時間保ち、室温に戻して更に15時間撹拌し、水を加えて反応を止めた。これに1.2N塩酸を加え、エーテル抽出した。このエーテル相を更に1.0N水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。その後、エーテルを除去し、0℃に保った水相にpH1になるまで濃塩酸を加え、結晶を析出させた。これを吸引ろ過し、減圧乾燥して白色粉末を得た。これを同様にエーテル抽出、水酸化ナトリウム抽出し、濃塩酸中で結晶を析出させたものを乾燥させ、化合物2bを得た。化合物2bの収量は21.6g、収率は72.2質量%であり、NMR分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=2.46(s,3H,Me)、7.35(s,1H,aromatic proton)。
(2−3)4−アイオド−4′−オクチロキシビフェニル(化合物2c)の合成
1000mlの三つ口フラスコに4′−アイオドビフェニル−4−オールを37.0g(0.132mol)、1−ブロモオクタン26.8g(0.139mol)、炭酸カリウム61.6g(0.446mol)、ヨウ化カリウム3.75g(22.6mmol)、無水アセトン500mlを加え、アルゴン雰囲気下、65℃で18時間加熱還流させた。その後、室温に戻し、ろ過により固形分をろ過した後、ろ液のアセトンを留去した。これをシリカゲルカラムを用いてクロロホルム/ヘキサンで展開分離し、再結晶して、化合物2cを得た。化合物2cの収量は49.5g、収率は91.9質量%であり、NMR分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=0.86−0.91(t,3H,Me)、1.25−1.84(m,12H,CH2 )、3.96−4.00(t,2H,CH2 O)、6.92−7.74(m,8H,aromatic proton)。
(2−4)3−ブロモ−2−メチル−5−(4′−オクチロキシビフェニル−4−イル)チオフェン(化合物2d)の合成
500mlの三つ口フラスコに上記で得られた化合物2bの10.0g(45.3mmol)、テトラヒドロフラン70ml、炭酸ナトリウム水溶液(20質量%)70ml、上記で得られた化合物2cの27.7g(68.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)2.36gを加え、アルゴン雰囲気下、70℃で2.5時間加熱還流させた。その後、室温に戻し、エーテル抽出し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過により除去し、エーテルを留去した。これをシリカゲルカラムを用いてヘキサンで展開分離し、再結晶して、化合物2dを得た。化合物2dの収量は11.9g、収率は57.6質量%であり、NMR分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=0.87−0.92(t,3H,Me)、1.30−1.99(m,12H,CH2 )、2.16(s,3H,Me)、3.97−4.02(t,2H,CH2 O)、6.95−7.60(m,8H,aromatic proton)、6.90(s,1H,CH of thiophene)。
(2−5)1,2−ビス(5−(4′−オクチロキシビフェニル−4−イル)−2−メチルチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン(ジアリールエテン化合物(2))の合成
500mlの三つ口フラスコに上記で得られた化合物2dの11.9g(26.1mmol)とテトラヒドロフラン200mlを加え、−60℃以下に保ち、1.6Nのn−ブチルリチウム17.5ml(27.4mmol)を1適ずつゆっくり滴下した。その後、テトラヒドロフラン10mlで滴下漏斗を洗い、45分間撹拌した。温度を−60℃以下に保ちながらパーフルオロシクロペンテン0.9ml(11.7mmol)をゆっくり滴下した。2時間撹拌後、室温に戻しながらエタノールと水を加えた。これをエーテル抽出し、1.2N塩酸、水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過により除去し、エーテルを留去した。これをシリカゲルカラムを用いて、ヘキサンのみで分離し、再結晶により精製してジアリールエテン化合物(2)を得た。ジアリールエテン化合物(2)の収量は7.0g、収率は31.4質量%であり、NMRの分析結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3 ):δ=0.87−0.92(t,6H,Me)、1.30−1.99(m,24H,CH2 )、1.99(s,6H,Me)、3.97−4.02(t,4H,CH2 O)、6.95−7.60(m,16H,aromatic proton)、7.30(s,2H,CH of thiophene)。
ジアリールエテン化合物(2)の構造式を下記に示す。
Figure 2005208411
実施例1
合成例1で合成されたジアリールエテン化合物(1)[1,2−ビス(6−(4′−ヘキシロキシ−4−ビフェニリルオキシカルボニル)−2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン]はフォトクロミック性と液晶性を有する。この化合物のTcは144℃で、この化合物を約220℃に加熱して溶解した後徐々に温度を下げていくと、ネマチック相とスメクチック相を示した。すなわち、144℃から133℃までネマチック相を示し、133℃から113℃までスメクチック相を発現した。
片面にITO膜(透明電極)が形成された2枚のガラス板を用意し、このガラス板それぞれの片面(透明電極表面)に配向膜用ポリイミドの溶液をスピンコータで塗布し、熱処理し乾燥して配向膜を形成し、次いで形成された配向膜表面をナイロンクロスで一定方向にラビング処理して透明電極付基板とした。配向膜面が向かい合うように2枚の透明電極付基板を接着剤で貼り合わせてセルを作製した。その際、間隔保持材であるガラスビーズを混入した接着剤を用い、セルの間隔を9μmに調整した。なお、以下の実施例、比較例においても同様に作成したセルを使用した。
ジアリールエテン化合物(1)を上記セルに220℃で注入し、ハロゲンランプを10分照射した。このセルを135℃まで徐冷したところ、透明で良好なネマチック液晶性を示し、消色透明状態<1>となった。この時の透過率は85.7%であり、目視で見ても濁りはなかった。この状態で、このセルに電圧を130Vかけると、ジアリールエテン化合物(1)が動的散乱を起こし、消色散乱状態<2>となった。この時の透過率は63.3%であり、目視で見ても濁りが確認された。電圧をオフにすると元の消色透明状態<1>に戻った。消色透明状態<1>の状態から室温まで徐冷すると過冷却のネマチック状態を示し、消色透明状態<3>となった。この時の透過率は78.4%、ヘイズ値は7.4であった。消色透明状態<3>の状態から220℃まで加温し、液晶・結晶を融解させた後、135℃まで徐冷すると消色透明状態<1>へと戻った。
一方、上記消色散乱状態<2>から室温まで電圧印加なしに急冷すると消色散乱状態<4>となった。この時の透過率は6.0%、ヘイズ値は92.3であった。この状態から電圧印加なしに220℃まで加温し、液晶・結晶を融解させた後、135℃まで徐冷すると消色散乱状態<2>へと戻った。これらの状態の分光スペクトルを図1に示す。
また、消色透明状態<1>、消色散乱状態<2>、消色透明状態<3>、消色散乱状態<4>の状態で紫外光を5分間照射すると、それぞれ着色透明状態<5>、着色散乱状態<6>、着色透明状態<7>、着色散乱状態<8>になった。これらの状態で、可視光を5分照射するとそれぞれ消色透明状態<1>、消色散乱状態<2>、消色透明状態<3>、消色散乱状態<4>へ戻った。着色透明状態<5>でこのセルに電圧を130Vかけると、ジアリールエテン化合物(1)が動的散乱を起こし、着色散乱状態<6>へと変化した。電圧をオフにすると元の着色透明状態<5>になった。これらの状態の分光スペクトルを図2に示す。また、これらの状態の透過率とヘイズ値を表1に示す。表1において加温下のヘイズ値は目視観察によるものを示す(以下の実施例、比較例においても同様)。
実施例2
合成例2で合成されたジアリールエテン化合物(2)[1,2−ビス(5−(4′−オクチロキシビフェニル−4−イル)−2−メチルチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン]はフォトクロミック性と液晶性を有する。この化合物のTcは131℃、Tmは100℃で、この化合物(開環体)を約220℃に加熱して溶解した後徐々に温度を下げていくと、131℃でネマチック相を示した。一方この化合物の閉環体は120℃でアイソトロピック相を示す。
ジアリールエテン化合物(2)を前記セルに220℃で注入し、ハロゲンランプを10分照射した。このセルを120℃まで徐冷したところ、透明で良好なネマチック液晶性を示し、消色透明状態<1>となった。この時の透過率は、77.1%であり、目視で見ても濁りはなかった。この状態で、このセルに電圧を100Vかけると、ジアリールエテン化合物(2)が動的散乱を起こし、消色散乱状態<2>となった。この時の透過率は、24.7%であり、目視で見ても濁りが確認された。電圧をオフにすると元の消色透明状態<1>に戻った。この状態で室温まで徐冷すると過冷却のネマチック状態を示し、消色透明状態<3>となった。この時の透過率は77.7%、ヘイズ値は2.8であった。この状態から220℃まで加温し、液晶・結晶を融解させた後、120℃まで徐冷すると消色透明状態<1>へと戻った。120℃でセルに電圧を100Vかけたまま消色散乱状態<2>から急冷すると消色散乱状態<4>となった。この時の透過率は14.3%、ヘイズ値は87.9であった。この状態から電圧印加なしに220℃まで加温し、液晶・結晶を融解させた後、120℃まで徐冷すると消色散乱状態<2>へと戻った。これらの状態の分光スペクトルを図3に示す。
また、消色透明状態<1>、消色散乱状態<2>、消色透明状態<3>、消色散乱状態<4>の状態で紫外光を5分間照射すると、それぞれ着色透明状態<5>、着色散乱状態<6>、着色透明状態<7>、着色散乱状態<8>になった。これらの状態で、可視光を5分照射するとそれぞれ消色透明状態<1>、消色散乱状態<2>、消色透明状態<3>、消色散乱状態<4>へ戻った。着色透明状態<5>でこのセルに電圧を100Vかけると、ジアリールエテン化合物(2)が動的散乱を起こし、着色散乱状態<6>へと変化した。電圧をオフにすると元の着色透明状態<5>になった。これらの状態の分光スペクトルを図4に示す。また、これらの状態の透過率とヘイズ値を表1に示す。
実施例3
誘電率異方性が−2.67であるチッソ株式会社製の低分子液晶「5062」にジアリールエテン化合物(2)[1,2−ビス(5−(4−オクチロキシビフェニル)−2−メチルチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン]を5質量%混合し、液晶性混合物(3)を作成した。液晶性混合物(3)のTcは100℃であり、室温でも液晶性を示した。
液晶性混合物(3)を前記セルに130℃で注入し、ハロゲンランプを10分照射した。このセルを室温まで徐冷したところ、透明で良好なネマチック液晶性を示し、消色透明状態<3>となった。この時の透過率は82.7%、ヘイズ値は1.6であった。この状態で、このセルに電圧を50Vかけると、液晶性混合物(3)が動的散乱を起こし、消色散乱状態<4>となった。この時の透過率は9.0%、ヘイズ値は93.3であった。電圧をオフにすると元の消色透明状態<3>になった。また、消色透明状態<3>、消色散乱状態<4>の状態で紫外光を5分間照射すると、それぞれ着色透明状態<7>、着色散乱状態<8>になった。これらの状態で、可視光を5分照射するとそれぞれ消色透明状態<3>、消色散乱状態<4>へ戻った。着色透明状態<7>でこのセルに電圧を50Vかけると、ジアリールエテン化合物(2)が動的散乱を起こし、着色散乱状態<8>へと変化した。電圧をオフにすると元の着色透明状態<7>になった。これらの状態の分光スペクトルを図5に示す。また、これらの状態の透過率とヘイズ値を表1に示す。
実施例4
誘電率異方性が16.4である米国メルク社製の低分子液晶「BL002」にジアリールエテン化合物(2)[1,2−ビス(5−(4−オクチロキシビフェニル)−2−メチルチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン]を5質量%混合し、液晶性混合物(4)を作成した。液晶性混合物(4)のTcは75℃であり、室温でも液晶性を示した。
液晶性混合物(4)を前記セルに130℃で注入し、ハロゲンランプを10分照射した。このセルを室温まで徐冷したところ、透明で良好なネマチック液晶性を示し、消色透明状態<3>となった。この時の透過率は84.8%、ヘイズ値は2.0であった。この状態で、このセルに電圧を50Vかけると、液晶性混合物(4)が基板に垂直に配向し消色透明状態<3>が保持され、消色散乱状態<4>とはならなかった。この時の透過率は85.5%、ヘイズ値は1.0であった。また、消色透明状態<3>の状態で紫外光を5分間照射すると、着色透明状態<7>になった。この時の透過率は36.8%、ヘイズ値は1.3であった。この状態で、可視光を5分照射すると消色透明状態<3>へ戻った。着色透明状態<7>でこのセルに電圧を50Vかけると、液晶性混合物(4)が垂直に配向し着色透明状態<7>が保持され、着色散乱状態<8>とはならなかった。この時の透過率は58.3%、ヘイズ値は0.9であった。これらの状態の分光スペクトルを図6に示す。また、これらの状態の透過率とヘイズ値を表1に示す。
比較例1
液晶性を有しないフォトクロミック性ジアリールエテン化合物として、下記式で表されるジアリールエテン化合物(3)[1−(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルインドール−3−イル)−2−(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)パーフルオロシクロペンテン]を用いて、実施例と同様の試験を行った。
Figure 2005208411
上記ジアリールエテン化合物(3)(Tg=53℃)を前記セルに150℃で注入し、ハロゲンランプを10分照射したところ、消色透明状態<1>となった。この時の透過率は、78.5%であった。目視で見ても濁りはなかった。この状態で、このセルに電圧を130Vかけても変化はなく、消色散乱状態<2>にはならなかった。この状態で室温まで徐冷しても消色透明状態<3>であり変化はなかった。この時の透過率は81.4%、ヘイズ値は0.7であった。また、消色透明状態<1>、消色透明状態<3>の状態で紫外光を5分間照射すると、それぞれ着色透明状態<5>、着色透明状態<7>になった。これらの状態で、可視光を5分照射するとそれぞれ消色透明状態<1>、消色透明状態<3>へ戻った。着色透明状態<5>でこのセルに電圧を130Vかけても変化しなかった。これらの状態の分光スペクトルを図7に示す。また、これらの状態での透過率とヘイズを表1に示す。
Figure 2005208411
本発明の調光素子は、自動車用窓ガラス(フロントガラス、リアガラス、サイドガラス、サンルーフなど。)、列車や航空機などの産業用車両の窓ガラス、ショーウインドウ、オフィスや住宅などの間仕切り、採光制御カーテン、反射板(オフィス用、窓用、照明用、間接照明用など。)、インテリア材料、光学フィルター、光学シャッター、デイスプレイなど幅広い用途に使用することができる。
実施例1で得た調光素子が液晶温度にあるときの吸収スペクトルを示すグラフ。 実施例1で得た調光素子が室温にあるときの吸収スペクトルを示すグラフ。 実施例2で得た調光素子が液晶温度にあるときの吸収スペクトルを示すグラフ。 実施例2で得た調光素子が室温にあるときの吸収スペクトルを示すグラフ。 実施例3で得た調光素子が室温にあるときの吸収スペクトルを示すグラフ。 実施例4で得た調光素子が室温にあるときの吸収スペクトルを示すグラフ。 比較例1で得た調光素子の吸収スペクトルを示すグラフ。

Claims (5)

  1. 少なくとも一方が透明な一対の電極付基板と、該電極付基板間に挟持された液晶性物質とを有し、該液晶性物質の少なくとも一部が液晶性を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物(A)であることを特徴とする調光素子。
  2. ジアリールエテン化合物(A)が、誘電率異方性が負の液晶性化合物である、請求項1に記載の調光素子。
  3. ジアリールエテン化合物(A)が、二つのアリール基のそれぞれにメソゲン基を有するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物である、請求項1に記載の調光素子。
  4. 液晶性物質が、ジアリールエテン化合物(A)と非フォトクロミック性の液晶(B)との混合物である、請求項1、2または3に記載の調光素子。
  5. 液晶(B)が誘電率異方性が負の液晶である、請求項4に記載の調光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012186137A (ja) * 2011-03-04 2012-09-27 Samsung Mobile Display Co Ltd 有機発光ディスプレイ装置

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