JP2005207321A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、蓄冷器による蓄熱を効率的に活用することのできる内燃機関の制御装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の内燃機関の制御装置は、車両1に搭載された内燃機関2をエアコンディショナー12と協調制御させるものであり、エアコン12で生成した冷熱の少なくとも一部を蓄える蓄冷器17と、蓄冷器17に蓄えられている冷熱量を検出する蓄積冷熱量検出手段18と、車両環境条件(車内温度、車内湿度、外気温度、日射量、エアコン設定温度など)を検出する環境条件検出手段19〜23と、環境条件検出手段19〜23の検出結果に基づいて空調に必要な冷熱量を算出する必要冷熱量算出手段18と、上述した蓄積冷熱量及び必要冷熱量に基づいて内燃機関の運転状態を制御する制御手段3とを備えていることを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の内燃機関の制御装置は、車両1に搭載された内燃機関2をエアコンディショナー12と協調制御させるものであり、エアコン12で生成した冷熱の少なくとも一部を蓄える蓄冷器17と、蓄冷器17に蓄えられている冷熱量を検出する蓄積冷熱量検出手段18と、車両環境条件(車内温度、車内湿度、外気温度、日射量、エアコン設定温度など)を検出する環境条件検出手段19〜23と、環境条件検出手段19〜23の検出結果に基づいて空調に必要な冷熱量を算出する必要冷熱量算出手段18と、上述した蓄積冷熱量及び必要冷熱量に基づいて内燃機関の運転状態を制御する制御手段3とを備えていることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両に搭載された動力源及び補機類を協調制御する内燃機関の制御装置に関する。
下記[特許文献1]には、外部環境に基づいて蓄熱能力を算出すると共に将来の空調負荷を予測し、これらの算出結果及び予測結果に基づいて空調制御を行う装置が記載されている。
特開平9−72580号公報
この[特許文献1]に記載の装置は車両に搭載されたものではないが、車両においてエアコンディショナー(エアコン)で生成した冷熱を蓄積する蓄冷器を用いて空調制御を行う場合には、どのようにして蓄冷器を活用すればエネルギー効率(燃費性能など)を向上させることができるかが重要である。具体的には、いかにして消費燃料が少ないエンジン負荷領域で蓄冷器に蓄冷させることができるか、あるいは、アイドル時や高負荷領域にどれだけエアコンコンプレッサを停止させることができるか、などが重要である。本発明の目的は、蓄冷器による蓄熱を効率的に活用することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の内燃機関の制御装置は、車両に搭載された内燃機関を、該内燃機関の出力を利用して冷熱を生成するエアコンディショナーと協調制御させるものであり、エアコンで生成した冷熱の少なくとも一部を蓄える蓄冷器と、蓄冷器に蓄えられている冷熱量を検出する蓄積冷熱量検出手段と、車内温度、車内湿度、外気温度、日射量、エアコン設定温度のうちの少なくとも一つを含む車両環境条件を検出する環境条件検出手段と、環境条件検出手段の検出結果に基づいて空調に必要な冷熱量を算出する必要冷熱量算出手段と、蓄積冷熱量検出手段によって検出された蓄積冷熱量及び必要冷熱量算出手段によって算出された必要冷熱量とに基づいて内燃機関の運転状態を制御する制御手段とを備えていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、環境条件検出手段の検出結果に基づいて車両の搭乗者が要求する空調レベルを学習する空調要求学習手段をさらに備えており、必要冷熱量算出手段が、必要冷熱量算出時に空調要求学習手段の学習結果を利用することを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、走行経路上の短時間で変動しない非変動的な走行環境状況を取得する環境状況取得手段と、この環境状況取得手段によって取得された走行環境状況に基づいて前記内燃機関の負荷を予測する負荷予測手段とをさらに備えており、制御手段が、負荷予測手段による負荷予測を利用して内燃機関の運転状態を制御することを特徴としている。なお、短時間で変動しない非変動的な走行環境状況とは、交差点(信号)・踏切の有無や道路勾配などに関する情報を指す。また、環境状況取得手段の情報取得手段としては、予め情報が記憶されたものを車両に搭載しておき、これから情報を取得するような場合を含む。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の制御装置において、環境状況取得手段が、車両外部との通信手段を備えており、該通信手段によって非変動的な走行環境状況又は短時間で変動し得る変動的な走行環境状況を取得することが可能であることを特徴としている。通信手段としては、専用の通信インターフェースを有し、それ自身で通信機能が完結しているものの他、携帯電話などを利用するものもここに言う通信手段に含む。また、いわゆるVICSや光ビーコン、FM通信などの利用もここに言う通信手段による通信形態に含まれる。さらに、短時間で変動し得る変動的な走行環境状況とは、上述した非変動的な走行環境状況に対して、気象(天候)や渋滞状況などに関する情報を指す。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の内燃機関の制御装置において、運転者のアクセルペダル操作、ブレーキ操作、ギヤシフト操作、ステアリング操作のうちの少なくとも一つを含む運転操作状況を検出する操作状況検出手段と、環境状況取得手段によって取得された非変動的な走行環境状況及び操作状況検出手段によって検出された運転操作状況に基づいて、走行環境情報に対する運転操作状況を学習する操作状況学習手段とをさらに備え、負荷予測手段が、操作状況学習手段による学習結果を利用して内燃機関の負荷予測を行うことを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5の何れか一項に記載の内燃機関の制御装置において、環境状況取得手段が、目的地を設定することで目的までの経路を決定し、決定した経路に基づく走行環境状況を取得する機能を有していることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、車両環境条件に基づいて必要冷熱量を算出すると共にすでに蓄えられている蓄積冷熱量も検出し、この両者に基づいて内燃機関の運転状態を制御する。即ち、必要冷熱量と蓄積冷熱量とからどの程度の冷熱を発生させる必要があるのか、また、どの程度の冷熱量を蓄冷器に蓄えておくことがエネルギー効率上効果的かを判断し、これに基づいて内燃機関の負荷領域を決定する。このようにすることで、エネルギー効率よく内燃機関を制御することができる。例えば、燃料消費率の少ない負荷領域をできるだけ使用するようにすれば燃費向上を実現できる。
請求項2に記載の発明によれば、空調要求学習手段によって、検出した車両環境条件と要求される空調レベルとの関係を学習する。そして、この学習結果を、必要冷熱量算出手段による必要冷熱量算出時に利用することで、必要冷熱量の算出精度を向上させることができ、エネルギー効率をより一層向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、環境状況取得手段によって取得した非変動的な走行環境状況[交差点(信号)・踏切の有無や道路勾配など]を利用して、負荷予測手段が内燃機関の負荷を予測する。そして、この負荷予測を利用して内燃機関が制御されるので、エネルギー効率をより一層向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、環境状況取得手段が車両外部との通信によって非変動的又は変動的な走行環境状況を取得することが可能であるので、走行環境状況の情報量が増え、負荷予測手段による負荷予測精度をより一層向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、走行環境情報に対する運転操作状況を学習しておき、この学習結果を、負荷予測手段による負荷予測に利用することで、負荷予測精度をさらに向上させることができ、エネルギー効率をより一層向上させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、環境状況取得手段が、目的地への経路に基づく走行環境状況を取得することができるので、より長い区間にわたる必要冷熱量の算出又は内燃機関の負荷予測を行うことが可能となり、必要冷熱量の算出精度又は内燃機関の負荷予測精度をより一層向上させることができ、エネルギー効率をより一層向上させることができる。
本発明の制御装置の一実施形態について以下に説明する。本実施形態の制御装置を有する車両の主要構成部を図1に示す。車両1を駆動させる駆動力は、内燃機関であるエンジン2によって生成される。エンジン2自体は公知の一般的なエンジンである。図示されていないが、エンジン2の出力は、トランスミッションやディファレンシャルギアを介して駆動輪に伝達され、車両1を駆動する。空燃比制御や燃料噴射量制御、点火時期制御などのエンジン2に関する制御は、エンジン用の電子制御コントロールユニット(ECU)3によって総合的に制御されている。
エンジンECU3には、クランクポジションセンサ4、シフトポジションセンサ5、アクセルポジションセンサ6、エアフロセンサ7、スロットルポジションセンサ8、車輪速センサ9、ブレーキマスタシリンダ圧センサ10なども接続されている。クランクポジションセンサ4は、エンジン2のクランクシャフトの回転位置を検出するもので、エンジン回転数を検出することも可能である。シフトポジションセンサ5は、トランスミッションのギヤ段を検出するものである。オートマチックトランスミッションであれば、制御ECU(エンジンECU3やトランスミッションを制御するECUなど)が変速信号を出力するのでこれに基づいてギヤ段を検出すればよく、いわゆるセンサではない場合もあり得る。
アクセルポジションセンサ6は、車両1の運転者によるアクセルペダル操作量、即ち、アクセル開度を検出する。エアフロセンサ7は、吸気通路上に配設され、吸入空気量を検出する。本実施形態のエンジン2はいわゆる電子制御式スロットルバルブを有しており、スロットルポジションセンサ8はこのスロットルバルブの開度を検出する。電子制御スロットルバルブであるため、アクセルペダルとスロットルバルブとは機械的に直結されておらず、アクセル開度とスロットル開度とは別々に検出される。車輪速センサ9は、各車輪に取り付けられており各車輪の回転数を検出する。この検出結果からは、車両1の車速を検出することが可能である。
また、ブレーキマスタシリンダ圧センサ10は、ブレーキのマスタシリンダ圧を検出するものであり、ここでは運転者のブレーキ操作状態を検出する。なお、ブレーキ機構を総合的に制御するブレーキECUが設けられる場合は、ブレーキマスタシリンダ圧センサ10はブレーキECUに接続されるのが通常である。このような場合も、ブレーキECUとエンジンECUとは互いに接続されて協調制御を行うため、ブレーキマスタシリンダ圧センサ10の検出結果はエンジンECU3によって取得し得る。
エンジンECU3は、車両1に搭載されたナビゲーションシステム11とも接続されている。ナビゲーションシステム11は、道路・地形情報やその他の情報(施設情報など)を記憶したハードディスクやDVDディスクなどの記憶媒体を内蔵している。この記録媒体内の情報は、短時間で変動しない非変動的な交差点(信号)・踏切の有無や道路勾配(地形)などに関する情報(走行環境情報)である。また、ナビゲーションシステム11は、通信機能(通信手段)を備えており、気象(天候)や渋滞状況などの短時間で変動し得る走行環境情報を車両1の外部から取得することもできる。なお、通信機能によって、上述した非変動的な走行環境情報を取得しても構わない。
通信機能としては、専用の通信インターフェースなどのように、それ自身で通信機能が完結しているものであってもよいし、携帯電話などを利用するものであってもよい。さらに、いわゆるVICSや光ビーコン、FM通信などもここに言う通信機能の一つである。また、目的地を設定すれば、推奨経路と共にこの経路の全区間にわたる走行環境情報を取得することも可能である。なお、車両1の自車位置は、GPSやジャイロなどを用いて検出し得る。エンジンECU3は、ナビゲーションシステム11から上述した走行環境状況を情報として取得することができる。ナビゲーションシステム11は環境状況取得手段として機能している。
車両1は、エアコンディショナー(エアコン)12を有している。エアコン12は、冷熱源となる熱交換器13によって冷却された空気や、温熱源となるヒータコア(図示せず)によって暖められた空気をブロアファン14によって車室内に導入させ、車室内の冷暖房(あるいは除湿)を行う。ヒータコアには、エンジン2の冷却液が分岐して循環されており、冷却液の持つ熱が利用されている。エアコン12は、コンプレッサ15、コンデンサ16及び蓄冷器17からなる冷媒の循環系を有している。また、蓄冷器17と熱交換器13との間に、もう一つの循環系が形成されている。
コンプレッサ15はエンジン2の出力の一部を用いて冷媒を圧縮する。圧縮された冷媒は、コンデンサ16で熱を奪われて液化し、蓄冷器17に内蔵された一体化されたエキスパンジョンバルブで霧状にされて気化しやすくされる。冷媒はさらに、蓄冷器17において気化され、このときの気化熱によって蓄冷器17内部の蓄冷材が冷却される。蓄冷器17は、内部の蓄冷材の温度を低く保つことで冷熱を蓄積している。蓄冷器17から出た冷媒はコンプレッサ15によって再度圧縮され、上述したコンプレッサ15−コンデンサ16−蓄冷器17を繰り返し循環する。
さらに、蓄冷器17−熱交換器13との間の循環管の内部にも冷媒が充填されており、蓄冷器17に蓄えられた冷熱がこの冷媒の循環によって車室内の熱交換器13に伝えられる。熱交換器13の持つ冷熱は、上述したブロアファン14によって車室内に導入される。蓄冷器17は、エアコンディショナー12で生成させた冷熱エネルギーを蓄積する蓄積手段として機能している。上述した蓄冷器17−熱交換器13との間の循環管に充填される冷媒としては、水や塩水(ブライン)、エチレングリコール溶液などの液体や、二酸化炭素などの気体などが利用される。蓄冷器17は、内部の蓄冷材温度と冷媒の温度とをそれぞれ検出する温度センサが内蔵されている。また、熱交換器13も温度センサを内蔵している。
本実施形態のコンプレッサ15は、外部制御式可変容量型のものであり、外部からの信号(DUTY信号)によって冷媒の圧縮吐出量を連続的に可変制御し得るものである。その構造は、公知の一般的な斜板式のものであり、この斜板の傾きを変えることで容量を変えている。コンプレッサ15は、容量をゼロにして冷媒を吐出させないことも可能であり、クラッチなどを必要としない。コンプレッサ15は、エアコン12の駆動を総合的に制御するエアコンECU18に接続されており、上述した制御信号(DUTY信号)もエアコンECU18によって生成されている。
エアコンECU18には、エアコンの稼働に際して必要な各種情報を検出するセンサ類も接続されている。これらのセンサ類としては、車内温度センサ19、車内湿度センサ20、外気温センサ21、日射センサ22などがある。また、エアコンECU18には、エアコンの操作をする際に搭乗者によって操作される操作パネル23や、送風場所を切り替えるためのダンパを動かすアクチュエータ24も接続されている。操作パネル23によって、設定温度や送風モードなどが設定される。上述したブロアファン14のモータもエアコンECU18に接続されており、その駆動及び風量がECU18によって制御されている。
次に、上述した制御装置によるエンジン−エアコン協調制御について説明する。本制御のフローチャートを図2及び図3に示す。まず、図2に示されるように、エアコン12が作動中であるか否かを判定する(ステップ200)。エアコン12が作動中であるか否かは、エアコンECU18によって把握されている。エアコン12が作動中でなければ、エンジン2とエアコン12との協調させる必要がないため、制御を終える。なお、所定時間毎に繰り返し実行されており、エアコン12の作動状況はこのステップ200によって常時監視されていることとなる。
一方、ステップ200において、エアコン12が作動中であると判定された場合は、車両環境条件を読み込む(ステップ205)。車両環境条件は、車内温度、車内湿度、外気温度、日射量、エアコン設定温度のうちの少なくとも一つを含んでいる。これらの値は、上述した車内温度センサ19、車内湿度センサ20、外気温センサ21、日射センサ22によって検出される。設定温度は、エアコン操作パネル23による操作をエアコンECU18が検出している。即ち、これらのセンサ類等が環境条件検出手段として機能している。
ステップ205に続いて、検出した車両環境条件に対して要求される空調レベルを学習する(ステップ210)。学習結果は、ECU18内の記憶領域に蓄積され、このステップ210によって更新される。この学習結果は、例えば、外気温が○○度で、室内温度が□□度である場合には、エアコン操作パネル23によってエアコンの動作がどのように操作され、どのような要求がなされるか(設定温度や送風モードなど)を過去の実績として学習する。この学習は、追って説明するステップ225又はステップ230における必要冷熱量の算出時に利用される。具体的には、図4(a)〜図4(c)に示されるようなマップを作成し、随時行われる学習によって図4(a)〜図4(c)に示される各係数曲線を修正していく。図4(a)〜図4(c)の各マップは、マップ横軸に示した各種車両環境条件に基づいて、マップ縦軸に示した各係数を求める際に利用される。各係数の利用についてはステップ225についての説明時に説明する。
ステップ210に続いて、走行環境状況を取得する(ステップ215)。この走行環境状況には、上述した非変動的なものと変動的なものとが含まれている。短時間で変動しない非変動的な走行環境状況には交差点(信号)・踏切の有無や道路勾配などに関する情報などが含まれ、短時間で変動し得る走行環境状況には気象(天候)や渋滞状況などに関する情報などが含まれることは上述したとおりである。これらの走行環境状況は、ナビゲーションシステム11によって取得(ナビゲーションシステム11自身が記憶している場合も含む)される。即ち、ナビゲーションシステム11は、環境状況取得手段として機能している。非変動的な環境状況はナビゲーションシステム11自身が記憶しても支障はなく、また、ナビゲーションシステム11の通信機能によって外部から取得することも可能である。変動的な走行環境状況は、通信機能によって車両1の外部との通信によって取得される。
ステップ215に続いて、上述したナビゲーションシステム11によって目的地の設定がなされているかいないかを判定する(ステップ220)。目的地が設定されていれば、車両の現在位置から目的地までの全経路(ナビゲーションシステム11において設定された経路)までの間に必要となる必要冷熱量を算出する(ステップ225)。この必要冷熱量の算出は、ステップ205において取得した車両環境条件に基づいて行われる。車両環境条件に基づいて必要冷熱量を算出するので、その算出精度を高くすることができる。
特に本実施形態では、必要冷熱量の算出時には、上述した車両環境条件に加えて、ステップ215で取得した走行環境状況に関する情報も加味される。このため、上述した算出精度をさらに高めることが可能となる。さらに本実施形態では、ステップ210において車両環境条件に対する要求空調レベルを学習したが、この学習結果も、ステップ225における必要冷熱量算出時に利用されている。即ち、この必要冷熱量の算出を行うエアコンECU18は、空調要求学習手段としても機能している。このような学習結果を利用することで、必要冷熱量を算出精度をより一層高くすることができる。
本実施形態においては、必要冷熱量Qの算出は次式(I)に基づいて行われ、上述したステップ210での学習結果が反映される。
Q=Q4×(t1+t2+…+tn)=(q1×t1×a1×b1×c1)+(q2×t2×a2×b2×c2)+…+(qn×tn×an×bn×cn) …(I)
ここで、Q4は、空調負荷熱である。また、t1〜tnは冷熱量を算出する全時間を複数の制御時間に区分した際の各単位制御時間である。そして、q1〜qnは各制御時間に対応する単位時間あたりの車内熱負荷であり、ステップ205で検出した車両環境条件及びステップ215で検出された走行環境状況に基づいて算出されている。また、係数a,b,cの値は、図4(a)〜図4(c)を用いて求められた係数であり、ここでは各制御単位毎に求められている。上述した式(I)の演算はエアコンECU18によって行われる。即ち、エアコンECU18は、必要冷熱量算出手段として機能している。
Q=Q4×(t1+t2+…+tn)=(q1×t1×a1×b1×c1)+(q2×t2×a2×b2×c2)+…+(qn×tn×an×bn×cn) …(I)
ここで、Q4は、空調負荷熱である。また、t1〜tnは冷熱量を算出する全時間を複数の制御時間に区分した際の各単位制御時間である。そして、q1〜qnは各制御時間に対応する単位時間あたりの車内熱負荷であり、ステップ205で検出した車両環境条件及びステップ215で検出された走行環境状況に基づいて算出されている。また、係数a,b,cの値は、図4(a)〜図4(c)を用いて求められた係数であり、ここでは各制御単位毎に求められている。上述した式(I)の演算はエアコンECU18によって行われる。即ち、エアコンECU18は、必要冷熱量算出手段として機能している。
一方、ステップ220において目的地が設定されていないと判断された場合は、車両の現在位置及び進行方向(ナビゲーションシステム11によって検出される)に基づいて、その時点から一定時間走行後(あるいは一定距離走行後)までの必要冷熱量を算出する(ステップ230)。この必要冷熱量の算出も、ステップ205において取得した車両環境条件に基づいて行われる。このとき、ステップ215で取得した走行環境状況に関する情報が加味されるのは、上述したステップ225の場合と同様である。さらに、学習された必要冷熱量が利用されるのも、ステップ225の場合と同様である。
ステップ225又はステップ230に続いて、蓄冷器17に蓄えられた蓄冷量が求められる。これに関する説明図を図5に示す。図5に示されるように、蓄冷器17前の冷媒温度をT1、蓄冷器17後の冷媒温度をT1’、その流量体積をM1とし、この冷媒の持つ熱量をQ1とする。同様に、蓄冷器17内の蓄冷材の温度をT2、その体積をM2とし、この蓄冷材の持つ熱量をQ2とする。また、蓄冷器17−熱交換器13間を循環する冷媒の熱交換器13前の温度をT3、熱交換器13後の温度をT3’、その流量体積をM3とし、この冷媒の持つ熱量をQ3とする。さらに、熱交換器13の温度をT4、空調熱負荷は上述したようにQ4とする。
このようにすると、熱量Q2は下記式(II)又は式(III)によって示される。式(II)は温度に基づいてQ2を求めるものであり、式(III)は熱量に基づいてQ2を求めるものである。T2startは初期(常温)状態の蓄冷材の温度である。
Q2=(T4−T2)×M2 …(II)
Q2=Q1−Q3−[(T2start−T4)×M2]
=[(T1’−T1)×M1]−[(T3’−T3)×M3]−[(T2start−T4)×M2] …(III)
Q2=(T4−T2)×M2 …(II)
Q2=Q1−Q3−[(T2start−T4)×M2]
=[(T1’−T1)×M1]−[(T3’−T3)×M3]−[(T2start−T4)×M2] …(III)
ステップ235の後、運転者の運転操作状況を監視し(ステップ240)、ステップ215において検出された走行環境状況に対応づけて運転操作状況を学習する(ステップ245)。例えば、車速や道路勾配がある値であるときに、運転者はどのようなシフト操作・アクセルワーク・ブレーキ操作をするのかをシフトポジションセンサ5やアクセルポジションセンサ6、マスタシリンダ圧センサ10などから検出して学習する。即ち、これらのセンサ類が、操作状況検出手段として機能している。そして、検出結果に基づいて学習を行うエンジンECU18が操作状況学習手段として機能している。
この学習結果は、後述するステップ250におけるエンジン負荷予測に反映される。具体的には、図6に示されるようなマップを作成し、随時行われる学習によって図6に示される各係数曲線を修正していく。図6のマップは、マップ横軸に示した運転操作状態(アクセルワーク:アクセル開度)と、マップ中の複数の等ギヤ段曲線(道路勾配に対応すると判断することもできる)とに基づいて、マップ縦軸に示した負荷係数eを求める際に利用される。負荷係数eの利用については次のステップ250についての説明時に説明する。
ステップ245の後、エンジン負荷を予測する(ステップ250)。この予測は、ステップ225(目的地までの全区間)又はステップ230(所定の一定区間)の区間に対応して行われる。本実施形態においては、エンジン負荷TQの算出は次式(IV)に基づいて行われ、上述したステップ245での学習結果が反映される。
TQ=(d1×t1×e1)+(d2×t2×e2)+…+(dn×tn×en) …(VI)
TQ=(d1×t1×e1)+(d2×t2×e2)+…+(dn×tn×en) …(VI)
ここで、t1〜tnはエンジン負荷を算出する全時間を複数の制御時間に区分した際の各単位制御時間である。そして、d1〜dnは各単位時間あたりのエンジン負荷であり、各値はステップ215で検出された走行環境状況(ステップ205で検出した車両環境条件が加味されてもよい)に基づいて算出される。例えば、図7に、道路勾配(車両環境条件の一例)からエンジン負荷を求める際に用いるマップを示す。ここでは、このようなマップ(多次元でも良い)が予め実験などを通して作成されており、このようなマップによってエンジン負荷が求められる。また、係数eの値は、図6を用いて求められた係数であり、ここでは各制御単位毎に求められている。上述した式(VI)の演算はエンジンECU3によって行われる。即ち、エンジンECU3は、負荷予測手段として機能している。
次に、ステップ250で予測したエンジン負荷に基づいて、アイドル域、加速域、定常走行域、減速域毎にコンプレッサ15を駆動させた場合の燃料消費量をマップから算出する(ステップ255)。このとき用いるマップを、図8(a)及び図8(b)に示す。図8(a)は、コンプレッサ15を駆動させた場合に、回転数に対する生成冷熱量を示している。このマップでは、複数の等温度曲線が示されており、外気温によって使用する曲線が異なる。このマップからは、コンプレッサ回転数(即ち、エンジン回転数)に対して生成し得る冷熱量が把握できる。また、図8(a)から分かるように、外気温が低いほど生成し得る冷熱量は多くなる。また、図8(b)は、可変容量型のコンプレッサ15の容量(コンプレッサ作動DUTY比によって制御される)に対する、各負荷領域における燃料消費量を把握できる。
ステップ255の後、必要冷熱量、蓄積冷熱量及び予測した燃料消費量に基づいて、燃料消費量が最小となるように冷熱量の収支スケジュールを設定する(ステップ260)。即ち、予測区間のどの区間で冷熱量をどの程度消費し、あるいは、どの程度生成させるかを決定する。そして、このスケジュールに基づいて、外気温センサ21によって検出される外気温に基づいて補正を行いながらエンジン2とエアコン12とを協調制御する(ステップ265)。エアコン12に関しては容量(制御DUTY比)が制御され、エンジン2に関しては負荷領域が制御される。ステップ265の後は、ステップ200から再度実行される。
このように、蓄冷器17に蓄積されている蓄積冷熱量と車両環境条件から予測される必要冷熱量とに基づいて、エンジン2を制御することで効率的な蓄熱(蓄冷)制御を行うことができる。ここでは、高率な蓄熱(蓄冷)制御によって燃料消費量を向上させている。また、上述した実施形態では、車両環境条件に基づいて搭乗者の要求する空調レベルを学習し、必要冷熱量の算出時にこの学習結果を利用することで必要冷熱量の算出精度を向上させ、効率をさらに高めている。さらに、ここでは、走行環境状況も取得してエンジン2の負荷予測を行い、これを利用してエンジン2を制御するので、効率をさらに向上させている(上述した例では燃料消費量を低減させている)。
1…車両、2…エンジン(内燃機関)、3…エンジンECU(制御手段:負荷予測手段)、5…シフトポジションセンサ(操作状況検出手段)、6…アクセルポジションセンサ(操作状況検出手段)、8…スロットルポジションセンサ(操作状況検出手段)、10…ブレーキマスタシリンダ圧センサ(操作状況検出手段)、11…ナビゲーションシステム(環境状況取得手段)、12…エアコンディショナー(エアコン)、13…熱交換器、14…ブロアファン、15…コンプレッサ、16…コンデンサ、17…蓄冷器、18…エアコンECU18(必要冷熱量算出手段:蓄積冷熱量検出手段)、19…車内温度センサ(環境条件検出手段)、20…車内湿度センサ(環境条件検出手段)、21…外気温センサ(環境条件検出手段)、22…日射センサ(環境条件検出手段)、23…エアコン操作パネル(環境条件検出手段)。
Claims (6)
- 車両に搭載された内燃機関を、該内燃機関の出力を利用して冷熱を生成するエアコンディショナーと協調制御させる内燃機関の制御装置であって、
前記エアコンで生成した冷熱の少なくとも一部を蓄える蓄冷器と、
前記蓄冷器に蓄えられている冷熱量を検出する蓄積冷熱量検出手段と、
車内温度、車内湿度、外気温度、日射量、エアコン設定温度のうちの少なくとも一つを含む車両環境条件を検出する環境条件検出手段と、
前記環境条件検出手段の検出結果に基づいて空調に必要な冷熱量を算出する必要冷熱量算出手段と、
前記蓄積冷熱量検出手段によって検出された蓄積冷熱量及び前記必要冷熱量算出手段によって算出された必要冷熱量とに基づいて前記内燃機関の運転状態を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記環境条件検出手段の検出結果に基づいて前記車両の搭乗者が要求する空調レベルを学習する空調要求学習手段をさらに備えており、
前記必要冷熱量算出手段が、必要冷熱量算出時に前記空調要求学習手段の学習結果を利用することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 走行経路上の短時間で変動しない非変動的な走行環境状況を取得する環境状況取得手段と、前記環境状況取得手段によって取得された走行環境状況に基づいて前記内燃機関の負荷を予測する負荷予測手段とをさらに備えており、
前記制御手段が、前記負荷予測手段による負荷予測を利用して前記内燃機関の運転状態を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記環境状況取得手段が、車両外部との通信手段を備えており、該通信手段によって非変動的な走行環境状況又は短時間で変動し得る変動的な走行環境状況を取得することが可能であることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
- 運転者のアクセルペダル操作、ブレーキ操作、ギヤシフト操作、ステアリング操作のうちの少なくとも一つを含む運転操作状況を検出する操作状況検出手段と、
前記環境状況取得手段によって取得された非変動的な走行環境状況及び前記操作状況検出手段によって検出された運転操作状況に基づいて、走行環境情報に対する運転操作状況を学習する操作状況学習手段とをさらに備え、
前記負荷予測手段が、前記操作状況学習手段による学習結果を利用して前記内燃機関の負荷予測を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記環境状況取得手段が、目的地を設定することで目的までの経路を決定し、決定した経路に基づく走行環境状況を取得する機能を有していることを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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