JP2005202594A - 電子制御装置へのデータ書込みシステムおよび書込み方法 - Google Patents

電子制御装置へのデータ書込みシステムおよび書込み方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来のプログラム書込みシステムでは、ECUへ制御プログラムを書込んだ後の検査で不具合が発見されると、全ての制御プログラムを再書込みしていたので多くの時間を要していた。
【解決手段】 複数の車載電子制御装置用ソフトウェアを保持し、取付けられた車両の識別情報を取得して車外に無線により送信し、車外よりの指示情報を無線により受信し、該指示情報により選択されるソフトウェアを該車載電子制御装置7に書込みするデータ書込装置4と、データ書込み装置4より受信した車両の個別情報により車両を個別に認識して車載電子制御装置7に書込むべきソフトウェアをデータ書込み装置4に無線通信により指示する情報処理端末2とにより電子制御装置へのデータ書込みシステムを構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両制御用のソフトウェアを、車載電子制御装置に記憶させるための電子制御装置へのデータ書込みシステムおよび書込み方法に関する。
近年、車載電子制御装置(以下、ECUとする)のコスト低減等を目的として、複数種類の車両に対して共通のハードウエアを備えたECUを適用可能とし、その全種類共通のECUを車両に組み付けた後に、組み付けられた車両の種類に適合したソフトウェアを、当該ECUに書込むことが行われている。
例えば、ケーブルを介して車両に搭載されるECUにプログラムを転送する構成が知られている(特許文献1参照)。これは、製造仕様に関する情報を保持する第1ECU、およびプログラムの設定を受け入れる第2ECUを車両に組み付け、第2ECUに接続ケーブルを介して車両外部のプログラム設定装置を接続し、このプログラム設定装置により製造仕様に合致するプログラムを選択して第2ECUへ送信するものである。そして、第2ECUにおいて転送されたプログラムと車両の製造仕様との整合性を検証し、整合していなければ警告灯を点滅させるものである。
また、ラジオ波を利用して車載用電子機器に制御データを送信する構成も知られている(特許文献2参照)。これは、車載用電子機器の制御データをラジオ波として受信可能な受信手段と、受信した制御データが有効か否かを判断するデータ識別手段と、有効なデータであると判断した場合にデータを送信する送信手段などを設けてデータを車載用電子機器に書込むものである。
特開2003−216220号公報 特開2003−108383号公報
特許文献1の技術では、確実性および汎用性の高いプログラム送信構成を構成できる。しかし、車両に搭載された第2ECUと車両外部のプログラム設定装置とをケーブルにより接続する必要があり、生産ライン上を移動する車両にプログラムの書込みを行う場合には、ラインの送り速度を低減するか、ラインを停止させる必要がある。さらに、ケーブル配線の管理に労力を必要とするものである。
特許文献2の技術においては、ラジオ波を利用しているため、車載用電子機器においてデータの受信はできるが、送信はできない。そして、同時に複数のデータが送られてきた場合に、同一周波数を利用するために電波の混信が起こる。また、車載用電子機器側において複数のデータの中から対応するデータを判断して受け取ることができない。
さらに、従来のプログラム書込みシステムでは、電子制御装置へ制御プログラムを書込んだ後の検査で不具合が発見されると、全ての制御プログラムを再書込みしていたので多くの時間を要していた。
本発明は、自動車の製造ラインにおいて、車両に搭載される電子制御装置に、予め書込むためのソフトウェアを記憶させた書込みユニットを接続して、この書込みユニットから電子制御装置に直接プログラムやデータなどのソフトウェアを書込むものである。
また、自動車製造ラインにおいて設備と車両とのデータ通信を無線で行う装置において、設備が同時に複数の車両と無線通信を行う場合に、車両ごとに通信するデータの内容が異なるため、どの無線機がどの車両に搭載されているかを紐付ける必要がある。本発明は、無線通信機能に加えて、車両に搭載される電子制御装置から車両特定情報(アイデントナンバー)を読み出して、書込み装置のIPアドレスと関連付け、設備に通知する機能を持った無線通信端末であるソフトウェア書込み装置を用いるものである。
もしくは、自動車製造ラインにおいて、情報処理端末によりソフトウェアの書込みを行う車両を特定するとともに、対応する電子制御装置のソフトウェアを書込み装置に転送し、書込み装置を対応する車両に取付けて、車両に搭載される電子制御装置にソフトウェアの書込みを行うものである。
上記課題を解決するプログラム書込みシステム及び方法は、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載の如く、自動車製造ラインにおいて車両に搭載される電子制御装置に情報を記憶させるための車載電子制御装置へのデータ書込みシステムであって、データ書込み装置を取付けて車載電子制御装置へのデータの書込みを行うものにおいて、データ書込み可能な車載電子制御装置と、複数の車載電子制御装置用ソフトウェアを保持し、取付けられた車両の識別情報を取得して車外に無線により送信し、車外よりの指示情報を無線により受信し、該指示情報により選択されるソフトウェアを該車載電子制御装置に書込みするデータ書込み装置と、データ書込み装置より受信した車両の個別情報により車両を個別に認識して車載電子制御装置に書込むべきソフトウェアをデータ書込み装置に無線通信により指示する情報処理端末と、により電子制御装置へのデータ書込みシステムを構成する。
請求項2に記載のごとく、自動車製造ラインにおいて車両に搭載される電子制御装置に情報を記憶させるための車載電子制御装置へのデータ書込みシステムであって、データ書込み装置を取付けて車載電子制御装置へのデータの書込みを行うものにおいて、データ書込み可能な車載電子制御装置と、複数の車載電子制御装置用ソフトウェアを保持し、書込みソフトウェア指示情報によりソフトウェアを選択し、車載電子制御装置に選択されたソフトウェアの書込みするデータ書込み装置と、自動車製造ライン管理システムより受信した製造ライン上における車両の個別情報により、車載電子制御装置に書込むべきソフトウェアの指示情報をデータ書込み装置に送信する情報処理端末と、により電子制御装置へのデータ書込みシステムを構成する。
請求項3に記載のごとく、自動車製造ラインにおいて車両に搭載される電子制御装置にソフトウェアを記憶させるための車載電子制御装置へのデータ書込み方法であって、無線通信端末を、車両の制御を行う第一電子制御装置と車両識別情報を保持する第二電子制御装置とを接続する通信手段に接続し、該無線通信端末により車両識別情報とともに無線通信端末の識別情報とを情報処理端末に送信し、車両識別情報より第一電子制御装置に書込むソフトウェアを情報処理端末より無線通信端末に指示情報を送信し、無線通信端末により指示情報に対応するソフトウェアを第一電子制御装置に書込む。
請求項4に記載のごとく、自動車製造ラインにおいて車両に搭載される電子制御装置にソフトウェアを記憶させるための車載電子制御装置へのデータ書込み方法であって、情報処理端末により、自動車製造ライン管理システムから製造ライン上の車両情報を取得して、情報処理端末において取得した車両情報に応じた生産指示情報を選択して情報書込端末に送信し、情報書込端末において、生産指示情報により対応するソフトウェアを選択し、選択したソフトウェアを情報書込端末より車載電子制御装置に書込む。
上記のようなデータ通信システムおよび方法をとることにより、車載電子制御装置へのソフトウェア書込みの確実性が向上するととともに、同時にソフトウェアを書込み可能な
台数を増大させて、製造工程において車載電子制御装置の書込みにかかる時間を短縮して製造にかかるコストを低減できる。また、個別のソフトウェア書込みを容易に行えるので、多品種少数生産にかかる負担を軽減して商品力のある自動車製造を行うことができる。
さらに、既存のネットワーク網を利用して実現しやすく、設備投資にかかる費用を軽減してコストパフォーマンスの高い製造工程を実現できる。
まず、第一の実施形態について説明する。
自動車製造設備と車両とのデータ通信を無線で行う装置において、設備が同時に複数の車両と無線通信を行う場合に、車両ごとに通信するデータの内容が異なるため、どの無線機がどの車両に搭載されているかを紐付ける必要がある。本発明は、無線通信機能に加えて、車両に搭載される電子制御装置から車両特定情報(アイデントナンバー)を読み出して、書込み装置のIPアドレスと関連付け、設備に通知する機能を持った無線通信端末であるソフトウェア書込み装置を用いるものである。
本発明を第一実施例について、添付の図面を用いて説明する。
[全体構成]
図1は第一実施例の全体構成を示す模式図である。
自動車製造ラインにおいて、情報処理端末2には生産指示データベース1が接続しており、情報処理端末2により無線通信端末4へのソフトウェア選択の指示が行われるものである。このソフトウェアは、各車両ごとに設定されるものであり、車両に搭載されるECUに書込まれるものである。なお、ここにおいてソフトウェアとは1つのECUに対して書込みが必要となる一連のECUの制御プログラムおよび制御用データを包含する電子情報の示すものである。
無線通信端末4にはECUが搭載された車両に応じてソフトウェアを書込むべく、予め複数種類のソフトウェアが記憶されている。情報処理端末2は、無線通信端末4に対して、記憶されているソフトウェアの内いずれのものをECUに書込むかを指示するものである。各車両と書込むべきソフトウェアとの対応は、情報処理端末2が接続されている生産指示データベース1を参照することにより認識可能となる。
自動車製造ラインのECUのソフトウェア書込み工程で、無線通信端末4を車両8に搭載されたECUに接続する。無線通信端末4において車両の情報を取得して、無線通信端末4を特定する情報とともに車両の情報を、情報処理端末2に送信するものである。
これにより、情報処理端末2において無線通信端末4が接続した車両を認識できる。そして、情報処理端末4において、無線通信端末4に記憶されているソフトウェアの内、いずれのものを車載ECUに書込むべきかを指示するものである。
複数個の無線通信端末4は情報処理端末2とネットワークにより接続されているものであり、情報処理端末2と個々の無線通信端末4とは個別に通信可能に構成されている。情報処理端末2は複数個の無線通信端末4・4・・と同時に無線通信ができるものであり、複数個の無線通信端末4が同時に情報処理端末2からの指示を取得することができるものである。
無線通信端末4と情報処理端末2とは、電波もしくは赤外線などにより通信を行うものである。このため、情報処理端末2とケーブルなどにより接続する必要がなく、自動車の製造ラインにおいて簡素な作業環境を整えることができ、ECUへのソフトウェア書込み工程が他の作業にあたえる影響を最小減にとどめることができる。
無線通信端末4には情報処理端末2および他の無線通信端末4とを区別する固有の情報が保持されており、この情報により情報処理端末2は個々の無線通信端末4・4・・に個別の指示を与えることができるものである。無線通信端末4・4・・を個々に特定するものとしては、既存のネットワークプロトコルの手法を利用することができる。
例えば、情報処理端末2および無線通信端末4・4・・がインターネットプロトコルを用いたネットワークを構成している場合には、IPアドレスにより無線通信端末4を特定できるものである。無線通信端末4および情報処理端末2にIPアドレスを付して、ネットワークを構成して通信を行うことにより、既存のネットワークへの導入を容易に行うことができる。なお、無線通信端末を特定するものとしては、IPアドレス以外にもMACアドレス等のネットワーク上で特定できるものであればよい。
無線通信端末4としては、情報の無線送信および受信が可能な無線通信端末であればよく、例えば、無線LANカード内蔵のPDA(Personal Digital Assistants/Personal Data Assistants)などの外付け機器、G−BOOK(サービス名)もしくはETC(無線通信を利用した料金支払い方法)に対応した車載機器などを利用することができる。また、無線通信端末4において送信と受信が同一機器にすることも可能であり、送信と受信とを別体にすることも可能である。
また、無線通信端末4はメモリエリアを有しており、情報処理端末2から送信される指示情報に対応する書込みデータを予め保存するものである。
[車内構成]
次に、図2から図3を用いて、車両内部および自動車生産ラインにおけるデータの流れについて説明する。
図2は製造ラインと車内電子装置との通信構成を示す図であり、図3は無線通信端末によるECU書込み構成を示す図である。
情報処理端末2には生産指示データベース1が接続されており、生産指示データベース1より生産指示が送信される。生産指示は、車両のフレームナンバー情報と、このフレームナンバーに関連付けられた指示情報とからなるものであり、例えば、表1に示されるものである。各車両フレームナンバーに対してそれぞれECUに書込むデータを示す指示記号が関連付けられている。この生産指示の情報に基づいて情報処理端末2は無線通信端末4に指示を与えるものである。
Figure 2005202594
無線通信端末4は車両8に搭載される。車両8には第一ECU7および第二ECU6とが取付けられており、車内ネットワーク網であるCAN(Controller Area Network)通信網5に接続している。第一ECU7は車両の主な制御を行うためのものであり、無線通信端末4は第一ECU7にソフトウェアの書込みを行うものである。
第一ECU7は、制御プログラムを書込むためのメモリを備えており、このメモリには、例えば、フラッシュメモリやEEPRONやEPROMといったような、書込んだ情報を書き換えることが可能なROMが用いられる。
第二ECU6には、車両8に組み付けられた状態において、その車両のフレームナンバーが記憶されている。
第一ECU7にデータ等を書込む際には、図3(a)に示すごとく、第一ECU7と第二ECU6が取付けられた車両のCAN通信網5に無線通信端末4を接続する。そして、図3(b)に示すごとく、第二ECU6よりフレームナンバーを取得し、図3(c)に示すごとく、無線通信端末4が情報処理端末2にフレームナンバーを送信して、書込むソフトウェア選択のための指示を受信する。情報処理端末2の指示に従い、図3(d)に示すごとく、無線通信端末4により第一ECUへのソフトウェアの書込みが行われ、書込みが終了すると、図3(e)に示すごとく、無線通信端末4が車両8のCAN通信網5より取り外される。これにより、無線通信端末4は新たな車両のECUへソフトウェアの書込みを行うものである。
なお、無線通信端末4と第一ECU7とを通信ケーブル等により接続して、ソフトウェアの書込みを行うことも可能である。この場合には、CANを利用することなく第一ECU7への書込みを行うことができるものである。
第一ECU7へのデータを書込みにおいて、無線通信端末4はCAN通信網5に接続することにより、第一ECU7と第二ECU6とに接続可能となるものである。そして、第二ECU6より車両8のフレームナンバーを取得可能となるとともに、第一ECU7にソフトウェアを書込み可能となる。
無線通信端末4はCAN通信網5に接続すると、第二ECU6よりフレームナンバーを取得して、無線通信端末4の自身のIPアドレスとともに情報処理端末2に送信する。
無線通信端末4よりフレームナンバーとIPアドレスとを受信した情報処理端末2においては、生産指示データベース1より取得したフレームナンバーと指示記号との情報および、フレームナンバーとIPアドレスとの情報を関連つける。例えば、表2のように、フレームナンバーと第一ECUへの書込みデータ指示記号と無線通信端末のIPアドレスとを関連付けた表を作成する。
Figure 2005202594
無線通信端末4には、複数のソフトウェアが記憶しており、情報処理端末2の指示により、記憶されたものから1つのソフトウェアを選択して第一ECU7にソフトウェアの書込みを行うものである。例えば、無線通信端末4においては表3に示すように、書込み指示記号と過去込みソフトウェアと関連付けがなされている。
これにより、無線通信端末4に情報処理端末2より指示情報を送信すると、指示情報に対応するソフトウェアを第一ECU7に書込むものである。
Figure 2005202594
[情報通信処理]
次に情報通信処理過程について、図4を用いて説明する。図4は情報通信過程を示す図である。
まず、生産指示データベース1おいて、処理10により、情報処理端末2へフレームナンバーと関連付けられた指示情報とが送信される。
製造ラインの車両に無線通信端末4が取付けられると、処理11により、無線通信端末4が第二ECU6にフレームナンバーを要求する。第二ECU6は処理11の要求に応じて処理12により、フレームナンバーを無線通信端末4に送信する。フレームナンバーを受信した無線通信端末4はフレームナンバーと自身のIPアドレスとを、処理13において、情報処理端末2に送信する。
情報処理端末2においては、処理10により受信したフレームナンバーと指示情報との情報セットと、処理13により受信したフレームナンバーとIPアドレスとの情報セットより、フレームナンバーに対応するIPアドレスに指示情報を処理14において送信する。
指示情報を受信した無線通信端末4は、処理15において、指示情報に対応するソフトウェアを選択して、処理16においてソフトウェアを第一ECU7に書込むものである。
上記の送受信の過程において、送信情報に対してSUMチェック値などを返信することにより、通信されたデータが正確であることが確認でき、通信における確実性が向上するものである。また、無線通信端末4のIPアドレスと車両フレームナンバーとの紐付けを行うことができるので、同時に複数の車両に対しての通信を行うことができる。
複数の無線通信端末4との通信を行う情報処理端末2において、無線通信端末4への書込み指示を指示記号などの情報量の少ない指示情報により行うので、情報処理端末2の負荷を軽減でき、複数の無線通信端末4・4・・と通信する場合においても安定した処理を行うことができる。
上述した第一実施例において、車両通信ネットワークとしてCANを用いて説明を行ったが、利用できるものとしてはCAN以外の他の通信方式(ISO通信、MOST、LINなど)を利用することも可能である。さらに、無線通信端末4に通信ケーブルを付属させてECUとの接続を行うことも可能である。
また、無線通信端末に書込むデータを予め記憶させておく構成を説明したが、情報処理端末に書込むデータを記憶させておき、無線通信端末においてそのデータを受けて、書込みを行うことも可能である。
無線通信端末の例として、送受信一体型の無線機について説明したが、送信と受信とを分け(送信側としてG−BOOKに対応した機器を用い、受信側にETCに対応した機器などを利用する)、通信負荷を軽減することも可能である。
さらに、生産指示の方法としては、上述の生産支持データベース1からのデータ送信のほかに、バーコードを利用して生産支持情報を入力する方法、作業者の目視などにより生産指示情報を入力する方法、IDタグを利用した方法などをとることも可能である。車両の識別においても、フレームナンバーのほかに、ボディーナンバーや組み立てナンバーを利用することができるものである。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
第2実施例においては、ECUへのソフトウェア書込み端末として携帯可能なものを利用し、この携帯書込み端末にソフトウェア書込み前に確定生産順序に従って、情報処理端末から書込みデータをダウンロードしておくものである。そして、対象車両に携帯端末を導入して、ECUへのソフトウェア書込みが完了するまで車両に搭載する。書込みが完了した後に携帯書込端末を回収し、携帯書込み端末内のデータを消去し、携帯書込み端末を再利用するものである。
このように書込み作業を行うことにより、車両組み立てのメインラインなどの生産ライン上においても、確定生産順序に従って、容量の大きなデータの書込みを行うことができる。このため、容量の大きなデータについて、データを記憶したユニットの組み付け以外に、組み立てラインにおけるデータの書込みを行うことができる。また、この書込み構成において、ダイアグ通信やCAN通信を経由して書込みを行うことができるので、ダイアグ通信やCAN通信に接続されているECUであれば、どのECUにもデータの書込みを行うことができ、同じ工程で複数のECUに書込みを行うことができる。
第2実施例について、図5および図6を用いて説明する。図5は第2実施例の構成を示す模式図であり、図6は携帯書込端末を車両に搭載した状態を示す図である。
[全体構成]
第2実施例のデータ通信構成において、情報処理端末22には車載ECU24へのソフトウェア書込工程を行う車両の情報が認識されている。情報処理端末22は、自動車製造ラインを制御するシステムにコンピュータネットワークを介して接続されており、自動車製造ラインの確定生産順序を認識可能となっている。自動車製造ラインを制御するシステムにおいて、個々の車両の製造ラインにおける位置と、工程順序とが認識されている。これにより、情報処理端末22において、車載ECU24へソフトウェア書込工程に導入される車両情報を認識可能となっており、どのような車両がどのような順番でソフトウェア書込工程に導入されるかを認識できるものである。
情報処理端末22には情報通信用のコネクタ22b取付けられており、コネクタ22bに接続した記憶装置と情報の送受信を可能としている。情報処理端末のコネクタ22bには携帯書込端末23のコネクタ23bを接続して、ソフトウェア書込工程に導入される車両に対応する情報が携帯書込端末23に書込み可能に構成されている。
携帯書込端末23には、1つもしくは複数のソフトウェアが記憶されている。そして、車両情報に対応して、適合するソフトウェアを選択し、車載ECU24にソフトウェアの書込みを行うものである。
車両28はコンベア25上に配設されており、自動車製造ラインを制御するシステムによって製造ライン上を移動するものである。車両28には車載ECU24が取付けられており、車載ECU24にはコネクタ24bが取付けられている。車載ECU24は、コネクタ24bと携帯書込端末23のコネクタ23bとを接続することにより、携帯書込端末23からソフトウェアの書込みが行われるものである。
[書込み構成]
まず、携帯書込端末23が情報処理端末22に接続される。携帯書込端末23には、自動車製造ラインの確定生産順序に従って、書込みを行う車両に対応した情報が入力される。情報処理端末22よりの入力が終了した携帯書込端末23は自動車製造ライン上の目的車両に取付けられる。携帯書込端末23は、車載ECU24に接続され、情報処理端末22より入力された情報に従い選択されたソフトウェアの書込みを行う。書込みが終了した後に携帯書込端末23は取り外されて、携帯書込端末バッファ26にストックされる。携帯書込端末バッファ26は携帯書込端末23をためておくためのものである。この携帯書込端末バッファ26より携帯書込端末23が取り出されて、情報処理端末22より車両を特定する情報が入力される。
次に、図7を用いてECUへのソフトウェア書込み工程について、詳しく説明する。
図7はECUへ書込み工程のフローチャートである。
まず、処理31において、情報処理端末22は確定生産順序に従って、書込み記号を取得する。書込み記号は互いに異なり、それぞれECUに書込みを行うソフトウェアに1対1で対応しており、この書込み記号を用いて書込みを行うソフトウェアの特定を行うものである。情報処理端末22の記号取得方法には、生産指示データベース、IDタグ、バーコード、作業者の目視などを利用することも可能である。
次に、処理32において、情報処理端末22と携帯書込端末23とが結合される。情報処理端末22と携帯書込端末23との結合は、情報処理端末のコネクタ22bと携帯書込端末のコネクタ23bとの接続により行うものである。情報処理端末22から携帯書込み端末23には、処理31において取得した書込み記号の情報が送信される。
処理33において、携帯書込端末23は受信した書込み記号より対応するソフトウェアを選択する。携帯書込端末23には、予め書込み記号に対応するソフトウェアが記憶されており、処理32で受信した書込み記号から、対応するECUに書込むソフトウェアを選択する。
処理34において、ライン作業者や、携帯書込端末を車両に組み付ける装置により、携帯書込端末23が情報処理端末22との接続を外され、車両に搭載される。
続いて、処理35において、ライン作業者等により携帯書込端末23が車載ECU24と、通信コネクタにより接続される。そして、携帯書込端末23から車載ECU24へ、ソフトウェアの書込みが行われる。
処理36においては、車載ECUへのソフトウェアの書込みが終了し、処理37において、携帯書込端末23が車両より取り外され、回収される。そして、携帯書込端末バッファ26にストックされる。
なお、上記構成において、携帯書込端末23には、情報処理端末22用の通信アプリケーションおよび車載ECU24用の通信アプリケーションを装備しており、ソフトウェアおよび書込み記号を格納するためのメモリ領域を有するものである。メモリとしては、格納されるデータが頻繁に変更される可能性があるため、不揮発メモリが望ましい。
このように、車載ECU24へのソフトウェアの書込みを自動車製造ライン管理システムよりの情報を利用して行うので、ライン上の作業においてはECUデータの複雑な確認作業を行う必要がなく、容易に車載ECU24への書込みを確実に行うことができる。
次に、本発明の第3実施例について説明する。
第3実施例においては、情報処理端末が生産指示情報より選択したソフトウェアを携帯書込端末に入力して、入力されたソフトウェアを携帯書込端末によりECUに書込むものである。この構成においては、携帯書込端末に必要とされるメモリ領域を必要最小限とすることができ、簡便かつ安価の携帯書込端末を用いてソフトウェア書込みの確実性を向上できる。
図8および図9を用いて、第3実施例について詳しく説明する。図8はエンジン製造に適用した第3実施例の構成を示す図であり、図9は携帯書込端末とエンジンとを接続した構成を示す図である。
第3実施例においては、エンジン46のEFIユニット48内のECUへのソフトウェアの書込みを行うものである。
情報処理端末43には、複数個のECU用ソフトウェアが記憶されており、情報処理端末43に入力された生産指示記号に対応して、ECU用ソフトウェアを選択可能に構成している。情報処理端末43には、携帯書込端末43を接続可能に構成しており、この携帯書込端末に選択されたECU用ソフトウェアを入力可能に構成しているものである。そして、情報処理端末43にはバーコードリーダ44が接続しており、エンジン46に記載されたバーコードを読み取り可能に構成している。情報処理端末43においては、バーコードリーダ44を読み取り生産指示記号を生成する。そして、生成した生産指示記号に対応するECU用ソフトウェアを携帯書込端末43に入力するものである。
携帯書込端末43は、情報処理端末42に接続し、ECU用ソフトウェアを受信した後に取り外されて、エンジン45のEFIユニット48に接続される。接続は、携帯書込端末43のコネクタをEFIユニットのコネクタ48bに接続することにより行うものである。EFIユニット48に接続した携帯書込ユニット43は、エンジン46がベルトコンベア45により搬送される過程で、ECU用ソフトウェアの書込みを行うものである。
そして、EFIユニット48への書込みが終了した後に、携帯書込端末43は回収されて、携帯書込端末バッファ49にストックされる。
本発明は、組み立てラインにおけるECUへの書込み工程だけでなく、検査ラインにおけるECUの検査工程(同一性検査などのデータ照合検査など)においても、同様の装置構成として適用できるものである。
そして、自動車のエンジン向上や、パソコンの組み立てラインなど、ベルトコンベアなどでラインが流れ、かつその中でフラッシュロムやEEPROMなどの不揮発性メモリに対して、仕様に応じた書込みを実施する必要がある工程全般について、同様の装置構成で適用できるものである。
第一実施例の全体構成を示す模式図。 製造ラインと車内電子装置との通信構成を示す図。 無線通信端末によるECU書込み構成を示す図。 情報通信過程を示す図。 第2実施例の構成を示す模式図。 携帯書込端末を車両に搭載した状態を示す図。 ECUへ書込み工程のフローチャート。 エンジン製造に適用した第3実施例の構成を示す図。 携帯書込端末とエンジンとを接続した構成を示す図。
符号の説明
1 生産指示DB
2 情報処理端末
4 無線書込端末
5 CAN通信網
6 第2ECU
7 第1ECU
8 車両

Claims (4)

  1. 自動車製造ラインにおいて車両に搭載される電子制御装置に情報を記憶させるための車載電子制御装置へのデータ書込みシステムであって、データ書込み装置を取付けて車載電子制御装置へのデータの書込みを行うものにおいて、
    データ書込み可能な車載電子制御装置と、
    複数の車載電子制御装置用ソフトウェアを保持し、取付けられた車両の識別情報を取得して車外に無線により送信し、車外よりの指示情報を無線により受信し、該指示情報により選択されるソフトウェアを該車載電子制御装置に書込みするデータ書込み装置と、
    データ書込み装置より受信した車両の個別情報により車両を個別に認識して車載電子制御装置に書込むべきソフトウェアをデータ書込み装置に無線通信により指示する情報処理端末と、
    により構成されることを特徴とする電子制御装置へのデータ書込みシステム。
  2. 自動車製造ラインにおいて車両に搭載される電子制御装置に情報を記憶させるための車載電子制御装置へのデータ書込みシステムであって、データ書込み装置を取付けて車載電子制御装置へのデータの書込みを行うものにおいて、
    データ書込み可能な車載電子制御装置と、
    複数の車載電子制御装置用ソフトウェアを保持し、書込みソフトウェア指示情報によりソフトウェアを選択し、車載電子制御装置に選択されたソフトウェアの書込みするデータ書込み装置と、
    自動車製造ライン管理システムより受信した製造ライン上における車両の個別情報により、車載電子制御装置に書込むべきソフトウェアの指示情報をデータ書込み装置に送信する情報処理端末と、
    により構成されることを特徴とする電子制御装置へのデータ書込みシステム。
  3. 自動車製造ラインにおいて車両に搭載される電子制御装置にソフトウェアを記憶させるための車載電子制御装置へのデータ書込み方法であって、
    無線通信端末を、車両の制御を行う第一電子制御装置と車両識別情報を保持する第二電子制御装置とを接続する通信手段に接続し、
    該無線通信端末により車両識別情報とともに無線通信端末の識別情報とを情報処理端末に送信し、
    車両識別情報より第一電子制御装置に書込むソフトウェアを情報処理端末より無線通信端末に指示情報を送信し、
    無線通信端末により指示情報に対応するソフトウェアを第一電子制御装置に書込むことを特徴とする電子制御装置へのデータ書込み方法。
  4. 自動車製造ラインにおいて車両に搭載される電子制御装置にソフトウェアを記憶させるための車載電子制御装置へのデータ書込み方法であって、
    情報処理端末により、自動車製造ライン管理システムから製造ライン上の車両情報を取得して、
    情報処理端末において取得した車両情報に応じた生産指示情報を選択して情報書込端末に送信し、
    情報書込端末において、生産指示情報により対応するソフトウェアを選択し、
    選択したソフトウェアを情報書込端末より車載電子制御装置に書込むことを特徴とする電子制御装置へのデータ書込み方法。
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