JP2005200612A - 抗菌性樹脂成形品 - Google Patents

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亮 石井
Takashi Endo
貴士 遠藤
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Abstract

【課題】 ヒノキチオール以外の抗菌性有機化合物をゲスト化合物として含む、層状無機物質を配合した抗菌性樹脂成形品を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂に対し、層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質の層間間隙に抗菌性有機化合物(ヒノキチオールを除く)をゲスト化合物として含む層状無機物質複合体を配合し、溶融成形する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗菌性樹脂成形品、例えば抗菌性を有するプラスチックフィルム、プラスチックシート、プラスチック容器などに関するものである。
各種プラスチックに抗菌性物質を含ませて抗菌性を付与することはよく知られている。そして、抗菌性物質が有機化合物の場合、熱に対して不安定なため、そのままでは熱可塑性樹脂中に配合して加熱成形することが困難であり、熱に対して安定な物質、特に無機物と複合化して配合することが行われている。
例えばイソチオシアネート化合物、ケイ皮アルデヒド、ゲラニオール、ヒノキチオール、オイゲノール、カルバクロール、チモール、ボルネオール、ピネンなどを、シリカ、ゼオライト、セピオライト、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの担体に担持させ、かつ脂肪酸、その誘導体又は高級アルコールにより被覆してプラスチックフィルムに含有させ、これを吸水性シートに積層したドリップ吸収シート(特許文献1参照)、ヒノキチオール、アリルイソチオシアネート、シナモンエキス、カラシエキス、トウガラシエキスなどの抗菌剤を植物性多孔体や無機鉱物多孔体に担持又は包接させて生分解性樹脂に含有させた生分解性樹脂組成物(特許文献2参照)などが知られている。
また、本発明者らも先にヒノキチオールを安定化し、熱可塑性樹脂に配合して成形するために、層間支柱を有する層状粘土成分と、その層間空隙中にゲストとして導入されたヒノキチオール−粘土複合体を用いることを提案している(特許文献3参照)。
特開2000−300227号公報(特許請求の範囲その他) 特開2003−105216号公報(特許請求の範囲その他) 特願2002−174856号(特許請求の範囲その他)
本発明は、ヒノキチオール以外の抗菌性有機化合物をゲスト化合物として含む、層状無機物質を配合した抗菌性樹脂成形品を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、抗菌性有機化合物を安定化した状態で配合した抗菌性樹脂成形品を開発するために鋭意研究を重ねた結果、先に提案したヒノキチオール−粘土複合体を用いて抗菌性を有する熱可塑性樹脂成形品を得る技術は、ヒノキチオール以外の抗菌性有機化合物に対しても同様に適用することができ、使用目的に応じ多種多様の抗菌性樹脂成形品を提供し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂に対し、層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質の層間間隙に抗菌性有機化合物(ただしヒノキチオールを除く)をゲスト化合物として含む層状無機物質複合体を配合し、溶融成形してなる抗菌性樹脂成形品、この抗菌性樹脂成形品において、層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質が第四アンモニウムイオンの支柱をもつ層状ケイ酸塩又は層状酸化マンガンであるもの、抗菌性有機化合物が、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、バニリン、イソチアン酸エチル、ベンゾキノン、フェノール、p‐クロル‐m‐クレゾール、o‐フェニルフェノール、ベンジルブロムアセテート、3,4´,5‐トリブロムサリチルアニリド、N‐(トリクロルメチルチオ)フタルイミド又はN‐トリクロルメチルチオフタルイミドであるもの、及び熱可塑性樹脂と複合体との含有割合が質量比で1000:1ないし1:1の範囲にあるものを提供するものである。
本発明で用いるイオン交換性層状無機物質とは、イオン交換性を有し、電荷を帯びた平面構造をもつ巨大高分子層と、その層間に電荷を中和するためのイオンが挿入されている無機化合物を意味する。その中で特に好適なものは、粘土鉱物類、例えばカオリナイト、ハロイサイト、セリサイト、モンモリロナイト、スメクタイト、ヘクトライト、サポナイト、バーミキュライト、雲母、タルクなど及び層状ポリケイ酸、例えばケニアイト、マカタイト、カネマイト、マガディアイト、アイラライトなどである。
本発明においては、このようなイオン交換性層状無機物質に層間支柱を導入して用いられる。すなわち、このイオン交換性層状無機物質に、例えば有機第四アンモニウム化合物、有機ホスホニウム化合物、有機オキソニウム化合物、有機スルホニウム化合物、ピリジニウム化合物、有機アミン化合物のような層間支柱形成物質を作用させると、層間に存在する無機陽イオンが、これらによって置換され、層間の空隙が拡張され、有機化合物分子を受け入れ可能なサイズのミクロ細孔が形成されるとともに、層間の親水性が疎水性に変わり、有機化合物を受容しやすくする。
このような層間支柱形成物質としては、特に一般式
Figure 2005200612
(式中のR1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは、炭素数1〜20のアルキル基、残りは水素原子であり、X-はハロゲンイオン、水酸化物イオンのような陰イオンである)
で表わされる有機第四アンモニウム化合物が好ましい。
この有機第四アンモニウム化合物を層間に導入して支柱を形成させるには、例えば粘土鉱物類又は層状ポリケイ酸を、層状ポリケイ酸の場合はあらかじめ無機酸処理して無機陽イオンをプロトンと交換したのち、有機第四アンモニウムイオン塩の水溶液中に浸漬し、必要に応じて50〜90℃の温度に加温しながら1〜12時間かきまぜて置換反応し、次いで十分に水洗し、乾燥する。このようにして粘土鉱物類又は層状ポリケイ酸1g当り0.01〜0.5gの有機第四アンモニウムイオンを層間支柱として有するイオン交換性層状無機物質が得られる。
そのほかに、層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム又はテトラブチルアンモニウムを層間に導入したビルネサイト(birnessite)型酸化マンガン、[Al134(OH)247+を層間支柱としてもつ層状粘土、[Zr4(OH)82+を層間支柱としてもつ層状粘土、[Fe3O(OCOCH36+を層間支柱としてもつ層状粘土、SiO2−TiO2ゾルを層間に導入した層状粘土などが知られているが、本発明においてはこれらも同様に用いることができる。
次に、上記の層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質にゲスト化合物として導入される抗菌性有機化合物には、例えばケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、バニリン、イソチアン酸エチル、ベンゾキノン、フェノール、p‐クロル‐m‐クレゾール、o‐フェニルフェノール、ベンジルブロムアセテート、3,4´,5‐トリブロムサリチルアニリド、N‐(トリクロルメチルチオ)フタルイミド、N‐トリクロルメチルチオフタルイミド、カルボン、カルバクロール、サフロール、カプサイシン、オイゲノール、リモネン、シネオール、テルピネオール、2,6‐ジメトキシ‐4‐ベンゾキノン、チモール、β‐ピネン、リナロール、シトロネロールなど、防菌、防ばい作用を有する物質としてよく知られた化合物がある。
そのほか、ヒバ油、シナモンエキス、カラシエキス、トウガラシエキス、リモネンエキス、クマザサ抽出物、孟宗竹抽出物などの精油類も用いることができる。
本発明で用いる抗菌性有機化合物をゲスト化合物として含む層状無機物質は、例えば、層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質に貧溶媒を媒質として抗菌性有機化合物と接触させることによって製造することができる。
すなわちn‐ヘキサン、n‐ペンタン、2,2‐ジメチルプロパン又はパーフルオロシクロヘキサンのような貧溶媒に、抗菌性有機化合物を飽和濃度まで溶解した溶液中に層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質を浸漬し、1〜100時間かきまぜたのち、固形分をろ別し、乾燥する。
また、超臨界状態にある二酸化炭素を媒質として層間支柱を有するイオン交換性無機物質とゲスト化合物とを接触させることによっても層状無機物質複合体を製造することができる。
この二酸化炭素の超臨界状態は、二酸化炭素を温度35〜50℃、圧力10〜20MPa、好ましくは温度35〜45℃、圧力10〜17MPaに維持することによりもたらされる。すなわち耐圧密閉容器内に二酸化炭素を導入し、いったん冷却して二酸化炭素を液化した後、温度を徐々に上げて温度31℃以上、圧力7MPa以上に維持すると超臨界状態になる。このようにして得られる超臨界状態の二酸化炭素は気体のような流動性と液体に近い密度、溶解性を有している。
超臨界状態の二酸化炭素が抗菌性有機化合物と接触すると、抗菌性有機化合物は、超臨界二酸化炭素に溶解する。そして、超臨界二酸化炭素が、その低い粘性、小さい表面張力、高い拡散性により、層間支柱を有する層状粘土の微細な空隙のすみずみまで浸透するに伴い、抗菌性有機化合物もそれらの空隙に運ばれる。
抗菌性有機化合物が空隙のすみずみにまで行き渡った後に圧力を低下させると、超臨界二酸化炭素の密度が低下し、それに伴い抗菌性有機化合物の溶解度が低下し、抗菌性有機化合物は空隙の各部に一様に析出し、吸着される。このようにして吸着された抗菌性有機化合物は層間に強く担持される。
このようにして得られるイオン交換性層状無機物質に担持された抗菌性有機化合物は、層間支柱によって有機親和性になった層間空隙に取り込まれ、シリケート層に包摂されることにより、抗菌性有機化合物の沸点以上の温度においても安定な状態を維持する。
抗菌性有機化合物を沸点以上にまで加熱すると、すべて蒸散するため、熱可塑性樹脂に配合したものを融解して成形することはできないが、本発明の抗菌性有機化合物−層状無機物質複合体を用いると、通常の圧縮成形、流し込み成形、押し出し成形、射出成形、発泡成形などの方法で、抗菌性有機化合物含有熱可塑性樹脂成形品とすることができる。
層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質に抗菌性有機化合物が固定された複合体を配合しうる樹脂製品の素材としては、特に制限はなく、汎用されている熱可塑性樹脂の中から任意に選ぶことができる。このような熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリブテン‐1、ポリメチルペンテン‐1、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリ乳酸、アイオノマーなどのほか、ポリイソプロピレン、ポリブタジエンのような熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
この抗菌性有機化合物−層状無機物質複合体は、粉末として得ることができるので、通常の無機充填剤と同様にして熱可塑性樹脂に配合し、成形することができる。この際の配合割合としては、熱可塑性樹脂1000質量部当り1質量部ないし1000質量部、すなわち質量比1000:1ないし1:1の範囲内で選ぶのが好ましい。
これよりも抗菌性有機化合物−層状無機物質複合体の割合が少ないと、抗菌性有機化合物の特性が十分に発揮されなくなるし、またこれよりも抗菌性有機化合物−層状無機物質複合体の割合が多くなると、得られる成形品の機械的強度が低下し、実用性を失う。
なお、抗菌性有機化合物の性能を十分に発揮させるためには、得られる熱可塑性樹脂成形品中の抗菌性有機化合物含有量が0.1ないしは5質量%の範囲になるように調整するのが好ましい。
本発明の成形品を製造する際に用いる成形用組成物には、熱可塑性樹脂と抗菌性有機化合物−層状無機物質のほかに、所望に応じ熱可塑性樹脂に慣用されている添加剤、例えば可塑剤、安定剤、充填剤、補強剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、高分子系改質剤、相溶化剤などを適時配合することができる。
本発明の抗菌性樹脂成形品の形状は、特に制限されず、例えば、シート状物、粒状物、繊維状物、糸状物、棒状物、管状物、板状物などにすることができる。
本発明の樹脂製品は、抗菌性有機化合物を安定的に、かつ高濃度に保持することができるので、その抗菌性機能が長期安定かつ継続して発現させることができ、例えば紙製品として、抗菌性の要求される種々の分野に適用することができ、医療品、食品用等包装材、各種紙バック等の袋状物、書籍、雑誌等の表紙及び表紙カバー、診察券、クレジットカード等のカード類、ノート、下敷き、ファイル、キャリングケース等の文房具、粘着ラベルに利用しうるし、また皮膚洗浄不織布や、皿、コップ、弁当箱等の食器、インクジェット、粘着テープ、粘着シート等の接着樹脂、エアフィルター、ドリップ吸収シート、メンブレンフィルター等のフィルターなどとして利用することが可能である。
次に、参考例、実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明する。
参考例1
海洋性付着細菌(Pseudoalteromonas carrageenovora)100cell/mlの濃度の溶液100μlを液体培地5mlに植菌し、温度30℃で6時間振とう培養した。次いで、このようにして得た培養基の液体を、同じ液体培地3mlに移植し、さらに温度30℃で3時間培養したのち、遠心分離を行い、菌体と液体培地とを分離した。
次に、この菌体に海水5mlを加え、遠心分離及びその後での海水への懸濁という洗浄処理を2回繰り返したのち、海水で初期濃度3〜5×10-6cell/mlに希釈し、よく撹拌し、28℃で対数増殖初期に達するまで振とう培養した。
別にケイ皮アルコールをプラスチックチューブに採り、海水で希釈し、ときどき振りまぜながら2時間放置したのち、遠心分離して、上澄み液を上記の菌体培養液に加え、常法に従って増殖曲線を作成した。
このようにしてケイ皮アルコールを添加した菌体培養液の光学濃度の経時変化を測定したところ、ケイ皮アルコールを添加しない培養液の光学濃度は、時間の経過とともに増加したのに対し、ケイ皮アルコールを添加した培養液の光学濃度は増加しなかった。
このことにより、ケイ皮アルコールの存在により、菌の増殖が抑制されたことが分る。
同様にして、バニリン、ケイ皮アルデヒド、イソチアン酸エチル、ベンゾキノンについて増殖曲線を作成したところ、同じように海洋性付着細菌に対して抑制作用を有することが分った。
参考例2
モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製、商品名「クニピアーF」)5gとテトラメチルアンモニウムクロリドとを、温度70℃のイオン交換水中に加え、24時間かき混ぜたのち、遠心分離してテトラメチルアンモニウムを層間支柱としたモンモリロナイト(以下TMA−Mntと略記する)を得た。この際の遠心分離は、分離した溶液中に、硝酸銀試験によるクロリドイオンの反応が認められなくなるまで繰り返した。
次いで、回収したTMA−Mntを風乾した。乾燥後、粉砕分級して100〜150μmの範囲の画分を捕集し、さらに減圧下150℃で2時間乾燥した。
次にケイ皮アルコールを所定のn‐へキサンに溶解し、濃度5g/リットルの溶液を調製した。このようにして得たヒノキチオール溶液30mlと前記TMA−Mnt300mgをフッ素樹脂製50ml体積遠心管に入れ、密封し、40℃において撹拌速度200rpmで48時間かき混ぜ、経持的に形成されたケイ皮アルコール−粘土複合体の試料を採取して、可視紫外分光光度計を用いて吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線と対比することにより、導入されたケイ皮アルコールの吸着量を求めたところ、ケイ皮アルコールの吸着量は、140mg/gであった。
次に、ケイ皮アルコールを導入した試料及び比較のためケイ皮アルコールを導入しない試料について、昇温速度10℃/分で500℃まで昇温させて示差熱分析(DTA)及び熱質量分析(TG)を行ったところ、ケイ皮アルコールを導入しないTMA−MntのDTA曲線上には、80℃付近に吸熱ピークが、また316〜417℃に発熱ピークが認められ、TG曲線上にも対応した温度に質量減少が認められる。吸熱変化は、100℃付近で終了していたことから、前者の吸熱は脱水に起因するものであり、また後者の発熱変化は、テトラメチルアンモニウムイオンの熱分解によるものであることが分る。
他方、ケイ皮アルコール−粘土複合体のDTA曲線においては、同じ2個のピークのほかに、さらに223℃から300℃の範囲に発熱のピークが2つ出現した。さらに、TG曲線においては、150℃〜310℃の範囲で、テトラメチルアンモニウムイオンの熱分解とは異なる質量減少が観測された。純粋のケイ皮アルコールが、37.2℃で融解し、206℃までに全てが蒸散することからみて、このヒノキチオール−粘土複合体においては、206℃以上の高温においても安定して粘土内に留まっていることが分る。
次に、X線回折法により、40℃、48時間処理した、ケイ皮アルコール吸着前後におけるTMA−Mntの層間距離に対応する001反射のd値を求めたところ、TMA−Mntが1.39nmであるのに対し、1.46nmであった。このことから、ケイ皮アルコールが層間に吸着することによって、TMA−Mntの層間距離は増加したことが分る。
なお、窒素吸着測定によって、ミクロ孔へのケイ皮アルコールの吸着状態を調べた。温度40℃、濃度1g/リットルのケイ皮アルコール−n‐へキサン溶液中において24時間吸着させて得たケイ皮アルコール−粘土複合体を調製した。このとき、ケイ皮アルコールの吸着量は、78mg/gであった。その後150℃で2時間減圧乾燥し、窒素吸着測定によって窒素吸着等温線を測定した。
なお、比較のためにケイ皮アルコールを吸着させる前のTMA−Mntを150℃で2時間減圧乾燥したものについても同じ実験を行った。その結果、TMA−Mntの窒素吸着曲線は、相対圧0.05以下において急激な窒素吸着量の増加を示したが、これはミクロ孔への窒素の吸着に起因する。一方、ケイ皮アルコール−粘土複合体の窒素吸着曲線では、TMA−Mntの吸着量よりも低く、またBET表面積も187m2/g〜13m2/gに低下していた。このことから、ケイ皮アルコールの吸着によりミクロ孔の窒素吸着が阻害されていることが分る。
参考例3
参考例2と同様にしてTMA−Mntを調製した後、分級処理を施し、粒径100〜150μmのフラクションに分別した。
次にバニリンをn‐へキサンに溶解し、濃度1.3g/リットルの溶液を調製した。参考例2と同様にして、バニリン溶液30mlと前記TMA−Mnt300mgをフッ素樹脂製50ml体積遠心管に入れ、密封し、40℃において撹拌速度200rpmで48時間かき混ぜ、可視紫外分光光度計を用いて吸光度を測定し、バニリンの吸着量を求めたところ、バニリンの吸着量は72mg/gであった。
次に、昇温速度10℃/分で500℃まで昇温させて示差熱分析(DTA)及び熱質量分析(TG)を行ったところ、バニリン−粘土複合体のDTA曲線においては、同じ2個のピークのほかに、さらに250℃から350℃の範囲に発熱のピークが出現した。さらに、TG曲線においては、150℃から350℃の範囲で、テトラメチルアンモニウムイオンの熱分解とは異なる質量減少が観測された。純粋なバニリンが、84.9℃で融解し、230℃までに全てが蒸散することからみて、このバニリン−粘土複合体においては、230℃以上の高温においても粘土内に留まっていることが分った。
次に、X線回折法により、40℃、48時間処理したバニリン−粘土複合体の層間距離に対応する001反射のd値を求めたところ、TMA−Mntが1.39nmであるのに対し1.43nmであった。
このことから、バニリンが層間に吸着することによって、TMA−Mntの層間距離は増加したことが分る。
なお、窒素吸着測定によって、ミクロ孔へのバニリンの吸着状態を調べた。すなわち、温度40℃、濃度1g/リットルのバニリン−n‐へキサン溶液中において24時間吸着させて得たバニリン−粘土複合体を調製した。このとき、バニリンの吸着量は65mg/gであった。その後150℃で2時間減圧乾燥し、窒素吸着測定によって窒素吸着等温線を測定した。得られた窒素吸着等温線から、BET表面積を計算したところ、53m2/gに低下していた。このことから、バニリンの吸着によりミクロ孔の窒素吸着が阻害されていることが分る。
樹脂混練試験機(TOYOSEIKI、LABO PLASTMILL MODEL 30C150)を用い、R60型混練ユニットで、温度220℃、毎分60の回転数を保ちながら、ポリプロピレン10gをユニット内に投入し、透明な流動体になるまで混練した。その後、参考例2で得たケイ皮アルコール−粘土複合体(ケイ皮アルコール含有量14質量%)0.81gをユニット内に投入して2分間混練り、ケイ皮アルコール−粘土複合体含有量7.5質量%の成形組成物を調製した。
この際の混練温度が、純粋なケイ皮アルコールが揮発する温度(206℃)以上となったが、混練時にケイ皮アルコールが大量に揮発するようなトラブルはなかった。
このようにして得たケイ皮アルコール−粘土複合体含有ポリプロピレンの粒子約1gを、卓上ホットプレス(TOYOSEIKI)において、温度180℃、圧力570Paで加熱圧縮し、フィルム状のケイ皮アルコール−粘土複合体含有ポリプロピレンフィルムを成形した。この際のフィルムの厚みは約80μmであった。
ケイ皮アルコール−粘土複合体含有フィルムの可視紫外吸収スペクトルを測定した。そのスペクトルを図1に(A)として示す。また比較のためにケイ皮アルコール−粘土複合体を加えないポリプロピレンのフィルムについての可視紫外吸収スペクトルを図1に(B)として示す。
両者を比較すれば明らかなように、ケイ皮アルコール−粘土複合体含有フィルムには、ポリプロピレンフィルムには認められない250nmのケイ皮アルコールに由来するピークが存在する。
樹脂混練試験機(TOYOSEIKI、LABO PLASTMILL MODEL 30C150)を用い、R60型混練ユニットで、温度240℃、毎分60の回転数を保ちながら、ポリプロピレン10gをユニット内に投入し、透明な流動体になるまで混練した。その後、参考例3で得たバニリン−粘土複合体(バニリン含有量14質量%)0.83gをユニット内に投入して2分間混練し、バニリン−粘土複合体含有量7.7質量%の成形組成物を調製した。
この際の混練温度が、純粋なバニリンが揮発する温度(230℃)以上となったが、混練時にバニリンが大量に揮発するようなトラブルはなかった。
このようにして得たバニリン−粘土複合体含有ポリプロピレンの粒子約1gを、卓上ホットプレス(TOYOSEIKI)において、温度180℃、圧力733Paで加熱圧縮し、フィルム状のバニリン−粘土複合体含有ポリプロピレンフィルムを成形した。この際のフィルムの厚みは約110μmであった。
バニリン−粘土複合体含有フィルムの可視紫外吸収スペクトルを測定し、そのスペクトルを図2に(A)として示す。また比較のためにバニリン−粘土複合体を加えないポリプロピレンのフィルムについての可視紫外吸収スペクトルを図2に(B)として示す。
両者を比較すれば明らかなように、バニリン−粘土複合体含有フィルムには、ポリプロピレンフィルムには認められない269nmのバニリンに由来するピークが存在する。
本発明の樹脂成形品は、抗菌性を有し、それが長時間にわたって持続するので、医療材料、包装材料、食器材料、文房具、フィルターなどとして広く利用される。
実施例1で得たケイ皮アルコール−粘土複合体含有ポリプロピレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの可視紫外吸収スペクトル図。 実施例2で得たバニリン−粘土複合体含有ポリプロピレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの可視紫外吸収スペクトル図。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂に対し、層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質の層間間隙に抗菌性有機化合物(ただしヒノキチオールを除く)をゲスト化合物として含む層状無機物質複合体を配合し、溶融成形してなる抗菌性樹脂成形品。
  2. 層間支柱を有するイオン交換性層状無機物質が第四アンモニウムイオンの支柱をもつ層状ケイ酸塩又は層状酸化マンガンである請求項1記載の抗菌性樹脂成形品。
  3. 抗菌性有機化合物が、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、バニリン、イソチアン酸エチル、ベンゾキノン、フェノール、p‐クロル‐m‐クレゾール、o‐フェニルフェノール、ベンジルブロムアセテート、3,4´,5‐トリブロムサリチルアニリド、N‐(トリクロルメチルチオ)フタルイミド又はN‐トリクロルメチルチオフタルイミドである請求項1又は2記載の抗菌性樹脂成形品。
  4. 熱可塑性樹脂と複合体との含有割合が質量比で1000:1ないし1:1の範囲にある請求項1ないし3のいずれかに記載の抗菌性樹脂成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007106737A (ja) * 2005-09-16 2007-04-26 Nippon Chem Ind Co Ltd 抗菌剤
WO2007142097A1 (ja) 2006-06-02 2007-12-13 Kaneka Corporation アルミニウム塩含有樹脂粉末、その製造方法、これを含む樹脂組成物、リン吸着剤、抗菌剤及び抗黴剤
JP2012529474A (ja) * 2009-06-12 2012-11-22 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー 窒素含有無機キャリア材料

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