JP2005199139A - 排ガス浄化触媒及びその製造方法、並びに車用排ガス浄化触媒装置 - Google Patents

排ガス浄化触媒及びその製造方法、並びに車用排ガス浄化触媒装置 Download PDF

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Abstract

【課題】貴金属そのものの活性を向上させるとともに、高温時における活性の低下を防止することにより、自動車始動時又はアイドリング時の低温(400℃以下)運転中においても十分な性能を発揮する排ガス浄化触媒を提供する。
【解決手段】Pd酸化物がAl酸化物に担持され、上記Pd酸化物がAPdO(A:アルカリ土類元素)である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、排ガス浄化触媒及びその製造方法、並びに車用排ガス浄化触媒装置に係り、特に、自動車等の内燃機関の低温運転時に排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を同時に効率よく浄化、低減させることのできる排ガス浄化触媒の製造技術に関する。
排ガス(例えばCO、HC、NO、NO等)の浄化には、貴金属元素(Pt、Rh、Pd、Ir)が高性能を示すことが知られている。このため、排ガス浄化触媒には、上記貴金属元素を用いることが好適である。通常、これらの貴金属は、La、Ce、Ndなどの添加剤とともに、高比表面積担体のAlに混合又は担持されて用いられる。一方、様々な元素を組み合わせることができるペロブスカイトなどの複合酸化物は、極めて多様な性質を有する。このため、排ガス浄化触媒には、上記複合酸化物を用いることが好適である。さらに、複合酸化物に貴金属を担持すると、貴金属の性質が大きく変化することも知られている。このような見地から、複合酸化物に貴金属を担持した排ガス浄化触媒では、さらに好適な排ガス浄化性能が得られる。
このような排ガス浄化触媒は種々開発されており、例えば、貴金属の凝集による活性点の低下等によって貴金属が劣化することに鑑み、ペロブスカイトを担持担体とすることで、貴金属の凝集速度を低下させる技術が開示されている(特許文献1参照)。また、貴金属がPdの場合にはNO還元反応の活性種であるPdOが還元されて低活性のPdに変化することに鑑み、Aサイト欠陥型ペロブスカイトを用いることで、PdOの還元を抑制する技術が開示されている(特許文献2参照)。さらに、貴金属は、通常はAlなどの担体上に、単独又は貴金属の組み合わせで用いられるが、自動車などの過酷な使用条件下では、凝集による活性点の減少により大きく活性が低下する。この問題を解決する方法として、貴金属を貴金属以外の元素との複合酸化物として用いる方法が提案されている。特にPdに関しては、希土類元素とPdとの複合酸化物の技術が開示されている(特許文献3〜8参照)。
特開平5−86259号公報(特許請求の範囲) 特開2003−175337号公報(特許請求の範囲) 特開昭61-209045号公報(特許請求の範囲) 特開平1-43347号公報(特許請求の範囲) 特開平4-27433号公報(特許請求の範囲) 特開平4-341343号公報(特許請求の範囲) 特開平7-88372号公報(特許請求の範囲) 特開平10-277393号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、従来の排ガス浄化触媒は、自動車の走行時等の特に高温(400℃以上)運転中においては、排ガス中のCO、HC、NOx(NO、NO等)を浄化する十分な性能を発揮するものの、自動車始動時又はアイドリング時等の低温(400℃以下)運転中においては、十分な性能を発揮するとはいえないのが現状である。
このように、低温運転時に十分な排ガス性能を発揮できない理由は、以下のとおりである。即ち、従来の排ガス浄化触媒においては、Pt、Rh、Pdなどの貴金属が、高比表面積を有するAl上に担持されて用いられている。Alは高比表面積であるため、貴金属は高分散状態で担持されるという利点がある。しかしながら、Alは安定化合物であり、担持された貴金属に対して相互作用を及ぼすことがないため、貴金属そのものの活性は向上しない。このため、低温運転時に十分な性能を得ることができない場合がある。
また、自動車運転時においては、Pdが活性の大きなPdOの状態で存在することが望ましい。しかしながら、Al上に担持されたPdは、初期はPdOの状態で存在していても、高温時(900℃以上)に金属状態のPdに還元され、Pdが凝集することにより活性点が減少し、活性が大きく低下するという問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、貴金属そのものの活性を向上させるとともに、高温時における活性の低下を防止することにより、自動車始動時又はアイドリング時の低温(400℃以下)運転中においても十分な性能を発揮する排ガス浄化触媒及びその製造方法、並びに車用排ガス浄化触媒装置を提供することを目的としている。
本発明者等は、自動車始動時又はアイドリング時の低温(400℃以下)運転中においても十分な性能を発揮する排ガス浄化触媒について、鋭意、研究を重ねた。その結果、Pdと少なくとも1種のアルカリ土類元素とを含むPd複合酸化物を、Al酸化物に担持した場合には、高い低温活性が得られるとの知見を得た。即ち、上記Pd複合酸化物は、高温において不安定なPd酸化物と、安定なアルカリ土類元素の酸化物とが複合化した化合物である。このため、上記Pd複合酸化物においては、Pdの酸化状態が安定化され、化合物表面の酸化状態はPd2+が大部分となり、排ガス浄化に好ましい状態になる。従って、高い排ガス浄化活性が得られる。また、上記Pd複合酸化物は、1100℃程度まで酸化物の状態を維持することが可能であるため、高い耐熱性を有する。さらに、上記Pd複合酸化物は結晶化度の高くないアルカリ土類元素とPdとが複合化した化合物であるため、生成したPd複合酸化物は結晶化度の低い粒子となり、その結果、Pdの分散性が高くなる。これにより、活性点が多くなり、高い排ガス浄化活性が得られる。
本発明(第1発明)は、上記知見に基づいてなされたものである。即ち、本発明(第1発明)の排ガス浄化触媒は、Pd酸化物がAl酸化物に担持されており、上記Pd酸化物がAPdO(A:アルカリ土類元素)であることを特徴としている。
また、本発明者等は、上記Al酸化物を、前駆体塩のカルボン酸錯体重合物を焼成することにより得たLnAlO(Lnは、希土類元素であり、例えば、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm等が挙げられる。)という示性式のペロブスカイト型複合酸化物とした排ガス浄化触媒においては、高温耐久後の低温運転時における活性をさらに向上させることができるとの知見を得た。即ち、APdO(A:アルカリ土類元素)なる組成のPd複合酸化物をLnAlOなる組成のAl酸化物に担持した本発明の触媒においては、Pd複合酸化物に含まれるアルカリ土類元素のイオン半径と、LnAlOに含まれる希土類元素のイオン半径とが類似している。このため、これらの2つの酸化物の接触面が、アルカリ土類元素又は希土類元素を介して固溶し合うことにより、Pd複合酸化物のモビリティが低下し、高温時のPd複合酸化物粒子同士の凝集が抑制されるため、Pd複合酸化物のPdへの分解を抑制する効果がある。よって、本触媒においては、高温耐久後に高いレベルで高活性を維持することができる。
本発明(第2発明)は、上記知見に基づいてなされたものである。即ち、上記排ガス浄化触媒(第1発明)においては、上記Al酸化物がLnAlO(Ln:希土類元素)であること(第2発明)が望ましい。
さらに、本発明者等は、LnAlOの中でも、例えばLaAlOは、結晶系が三方晶又は菱面体晶であり、ペロブスカイトのBサイトがAlであるため、電気的不安定さが大きく、LaAlOに隣接しているPd複合酸化物は、単独で存在するPd複合酸化物に比して電気的な揺らぎが大きくなっているとの知見を得た。このため、担持されたPd複合酸化物の表面においてPdの酸化状態は、大部分でPd2+となっている。この状態は、排ガス浄化に好ましい状態であるため、高い低温活性が得られる。なお、本発明者等は、この触媒が1000℃程度の使用条件にさらされた後でも、高い低温活性が得られることも確認した。
本発明(第3発明)は、上記知見に基づいてなされたものである。即ち、上記排ガス浄化触媒(第2発明)においては、上記Al酸化物の結晶系が三方晶又は菱面体晶であること(第3発明)が望ましい。
加えて、本発明者等は、LnAlOを作製する際、カルボン酸等を含む構成元素の硝酸塩水溶液を蒸発乾固させて得たカルボン酸錯体重合物を経ることにより、LnAlOが単相で生成し、さらにPd複合酸化物を担持した際にLnAlOの表面が、Pd複合酸化物と相互作用し易い形態になるとの知見を得た。これにより、LnAlOにPd複合酸化物を担持した排ガス浄化触媒では、高い低温活性が得られる。
本発明(第4,5発明)は、上記知見に基づいてなされたものである。即ち、上記排ガス浄化触媒(第2,3発明)においては、化合物群(OH基又はSH基を有する炭素数2〜20のカルボン酸、炭素数2又は3のジカルボン酸、及び炭素数1〜20のモノカルボン酸)から選ばれた少なくとも1種を構成元素の硝酸塩水溶液へ添加する工程を経て製造されたこと(第4発明)が望ましい。また、このような排ガス浄化触媒(第4発明)においては、上記硝酸塩水溶液を蒸発乾固させて、カルボン酸錯体重合物を作製する工程と、上記カルボン酸錯体重合物を焼成する焼成工程とを経て製造されたこと(第5発明)がさらに望ましい。
ここで、OH基又はSH基を有する炭素数2〜20のカルボン酸としては、オキシカルボン酸、及び該酸のOH基の酸素原子を硫黄原子に置換した化合物が挙げられる。これらのカルボン酸の炭素数は、水への溶解性の観点から2〜20であり、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6である。また、モノカルボン酸の炭素数は、水への溶解性の観点から1〜20であり、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6である。
さらに、OH基又はSH基を有する炭素数2〜20のカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、メルカプトコハク酸、チオグリコール酸、乳酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、アロクエン酸、グルコン酸、グリオキシル酸、グリセリン酸、マンデル酸、トロパ酸、ベンジル酸、及びサリチル酸等が挙げられる。モノカルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、及びラウリン酸等が挙げられる。これらの中でも、酢酸、シュウ酸、マロン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリオキシル酸、クエン酸及びグルコン酸が好ましく、シュウ酸、マロン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリオキシル酸、クエン酸及びグルコン酸がさらに好ましい。
次に、本発明の排ガス浄化触媒の製造方法(第6発明)は、上記排ガス浄化触媒(第1〜5発明)を好適に製造するための方法であって、APdO(A:アルカリ土類元素)なる組成式のPd酸化物がAl酸化物に担持されている排ガス浄化触媒を製造するにあたり、化合物群(OH基又はSH基を有する炭素数2〜20のカルボン酸、炭素数2又は3のジカルボン酸、及び炭素数1〜20のモノカルボン酸)から選ばれる少なくとも1種を構成元素の硝酸塩水溶液に添加する工程を含むことを特徴としている。
このような排ガス浄化触媒の製造方法(第6発明)においては、上記硝酸塩水溶液を蒸発乾固させて、カルボン酸錯体重合物を作製する工程と、上記カルボン酸錯体重合物を焼成する焼成工程とを含むこと(第7発明)が望ましく、焼成工程における焼成温度が、1000℃以下であること(第8発明)がさらに望ましい。
以上のような排ガス浄化触媒及びその製造方法は、本発明の概要であるが、本発明者等は、上記発明(第1〜8発明)の具体的な用途について鋭意検討し、本発明の排ガス浄化触媒は、内燃機関の中でも特に車用に使用することが好適であるとの知見を得、下記の第9発明を完成した。
即ち、本発明(第9発明)は、Pd酸化物がAl酸化物に担持されており、車から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化触媒において、上記Pd酸化物がAPdO(A:アルカリ土類元素)であることを特徴としている。
先ず、本発明の排ガス浄化触媒の構成要素であるPd酸化物をPdと少なくとも1種のアルカリ土類元素を含むPd複合酸化物とした場合に、その複合酸化物によって奏される効果について、説明する。
Pd複合酸化物は、不安定なPd酸化物と、非常に安定なアルカリ土類元素の酸化物とが、複合化した化合物である。例えば、PdOの場合、PdO表面はPdとPd2+との2つの化学状態をとり得る。しかしながら、Pd複合酸化物では、アルカリ土類元素により酸化状態が安定化された結果、化合物最表面の化学状態はPd2+の割合が多くなる。PdとPd2+とではPd2+の方が高活性であるため、Pd複合酸化物では、高い排ガス浄化活性が得られる。
また、PdOの分解温度が800℃程度であるのに対し、Pd複合酸化物は1100℃においても酸化物の状態で安定的に存在する。従って、Pd複合酸化物は高い耐熱性を有する。これは、高温において酸化物の形態が安定でないPdが、酸化物の形態が安定なアルカリ土類元素と複合化することによって、バルク内のPd−Oの結合が強固になったためである。そして、Pd複合酸化物は、結晶化度の高くないアルカリ土類元素とPdとが複合化した化合物である。このため、生成したPd複合酸化物は結晶化度の低い粒子となり、Pdの分散性が高くなる。これにより、活性点が多くなり、高い排ガス浄化活性が得られる。さらに、アルカリ土類元素とPdとの複合酸化物をLnAlO(Ln:希土類元素)なる組成のAl複合酸化物に担持したものにおいては、Pd複合酸化物に含まれるアルカリ土類元素のイオン半径と、LnAlOに含まれる希土類元素のイオン半径とが類似している。このため、これらの2つの酸化物の接触面が、アルカリ土類元素又は希土類元素を介して固溶し合うことにより、Pd複合酸化物のモビリティが低下し、高温時のPd複合酸化物粒子同士の凝集が抑制されるため、Pd複合酸化物のPdへの分解を抑制する効果がある。よって、本触媒においては、高温耐久後に高活性を維持することができる。
次に、本発明の排ガス浄化触媒の構成要素であるAl酸化物を、Alと少なくとも1種の希土類元素とを含むAl複合酸化物(例えば、LnAlO)とした場合に、その複合酸化物によって奏される効果について、説明する。
LnAlO上にPd複合酸化物を担持した本発明の排ガス浄化触媒においては、高温運転時にPd複合酸化物のPd金属への還元を抑制する効果がある。Ln(希土類元素)は、酸化物の状態でその形状を様々に変化させることが知られている。例えば、LaにPdを担持した触媒を高温にさらすと、PdとLaとの接触部からLaがPd粒子上に移動し、Pd粒子がLaに埋まった形状となり、さらにPd表面に微小なLaが移動することが知られている(Zhang et al., J.Phys.Chem.,vol.100,No.2,P.744-754,1996)。本系(LnAlO)においても、上記挙動によりLnとPdとが複合化し、Pd複合酸化物のPd金属への還元を抑制する。この効果により、本発明の排ガス浄化触媒においては、高温耐久後の低温(400℃以下)運転時における高活性を維持することができる。
また、LnAlOのうち、例えばLaAlO等の特徴は、結晶系が三方晶又は菱面体晶であること、及びペロブスカイトのBサイトがAlであることである。三方晶とは、図1に示すように、理想的な立方晶の単位格子からc軸方向に格子が変化し、さらにa軸とb軸との間の角度が120°である結晶系である。即ち、三方晶は、理想的な立方晶ペロブスカイトから大きく歪みを生じた結晶系であり、この結晶系においては、構成する原子間の電子の存在状態が極めて不安定となる。次に、菱面体晶とは、図2に示すように、三方晶を異なる基本軸で表した場合の結晶系であり、三方晶と構造自体は同じである。図3は、Pd複合酸化物を担持するLaAlO等の結晶系の違いを裏付ける資料としてのXRDスペクトルである。即ち、LaAlO及びNdAlOと、GdAlOの構造をみると、同図に示すように、LaAlO及びNdAlOの結晶系は三方晶又は菱面体晶であり、一方、GdAlOの結晶系は三方晶又は菱面体晶ではなく、斜方晶であることが判る。
なお、LaAlO及びNdAlOは、ペロブスカイトのBサイトがAlであるため、Al−Oの結合は共有結合性が強い。このため、通常イオン結合性の強いペロブスカイト結晶中に、なんらかの電気的偏りを生じさせている。以上のように、結晶系が三方晶又は菱面体晶であること、及びペロブスカイトのBサイトがAlであることから、LaAlO及びNdAlOなるペロブスカイトは、排ガス浄化用触媒として既知のLaFeO等に比して、電気的不安定さが大きい。
このような電気的不安定さから、LaAlO又はNdAlOに隣接しているPd複合酸化物は、単独で存在するPd複合酸化物に比して電気的な揺らぎが大きくなっている。この結果、担持されているPd複合酸化物の表面におけるPdの酸化状態はその大部分がPd2+となる。表面Pdの酸化状態は、Pd2+及びPd(金属状態)の二種類の存在が知られており、Pd2+の方が排ガス浄化には高活性である。即ち、Pd複合酸化物をLaAlO又はNdAlOに担持した本発明の排ガス浄化触媒は、Pd表面がPd2+の状態であり、高活性である。また、1000℃程度の使用条件にさらされた後でも、低温(400℃以下)運転時に高活性を維持することができる。
さらに、LaAlO又はNdAlOを製造する際、カルボン酸等を含む構成元素の硝酸塩水溶液を蒸発乾固させて作製したカルボン酸錯体重合物を比較的低温の800℃で焼成することにより、LaAlO又はNdAlOが単相で生成する。これに対し、LaAlO等を固相反応法等の他の方法で製造した場合には、1700℃の高温で焼成しても単相のLaAlO等は生成しない(希土類の科学、化学同人、足立吟也編著、P.564)。即ち、カルボン酸等を用いることにより、上記低温で単相のLaAlO等を合成することができる。このため、十分な比表面積が得られるとともに、結晶格子表面を活性な状態で用いることができる。本発明の方法により作製したLaAlO等にPd複合酸化物を担持した排ガス浄化触媒においては、十分な比表面積と、LaAlO等とPd複合酸化物との強い相互作用とが得られるため、低温における高活性が実現される。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。
<製造例1>
[担持担体複合酸化物の作製]
所定量の硝酸ランタン六水和物、及び硝酸アルミニウム九水和物をイオン交換水に溶解し、混合水溶液を作製した。次に、所定量のリンゴ酸をイオン交換水に溶解し、リンゴ酸水溶液を作製した。この2つの水溶液を混合して、ホットプレートスターラにのせ、250℃で撹拌子を用いて撹拌しながら加熱し、水分蒸発の後、分解乾固させ、乾固物を乳鉢で粉砕した。これをアルミナ坩堝に移し、マッフル炉にて2.5℃/minで350℃まで昇温し、350℃で3時間熱処理を施した。これにより、リンゴ酸塩、硝酸根を除去した仮焼成体を作製した。仮焼成体を乳鉢で15分間粉砕混合した後、再びアルミナ坩堝に入れ、マッフル炉にて5℃/minで800℃まで昇温し、800℃で10時間熱処理を施した。これにより、LaAlOなる組成のペロブスカイト複合酸化物を作製した。
[Pd複合酸化物の担持]
次に、所定量の硝酸パラジウム二水和物と硝酸ストロンチウム六水和物とをイオン交換水に溶解させ、金属塩混合水溶液を作製した。次いで、所定量のリンゴ酸をイオン交換水に溶解させ、リンゴ酸水溶液を作製した。これら2つの水溶液を混合したものと、所定量のLaAlO粉末とをナス型フラスコに入れ、ナス型フラスコをロータリーエバポレータで減圧しながら、60℃の湯浴中で蒸発乾固させた。その後、マッフル炉にて2.5℃/minで250℃まで昇温し、さらに5℃/minで750℃まで昇温して、750℃で3時間保持した。これにより、SrPdOをLaAlOに含浸担持したSrPdO/LaAlOなる製造例1の触媒粉末を得た。
[活性評価]
次に、得られた製造例1の触媒粉末について、初期及び耐久処理後の活性評価を実施した。評価は、自動車のモデル排ガスを触媒に流通させ、A/F(空燃比)=14.6相当、SV(空間速度)=50000h−1にて行った。耐久処理は、A/F=14.6相当のモデル排ガスにより980℃の耐久温度で20時間行った。これらの結果を表1,2に示す。即ち、表1には、触媒の昇温試験における、CO、HC、NOの50%浄化温度を示す。また、表2には、耐久処理後の触媒の昇温試験における、CO、HC、NOの50%浄化温度を示す。
Figure 2005199139
Figure 2005199139
<製造例2>
製造例1と同様の方法で、BaPdO/LaAl0を製造し、各種活性評価を行った。その結果を表1,2に併記する。
<製造例3>
製造例1と同様の方法で、SrPdO/NdAl0を製造し、各種活性評価を行った。その結果を表1,2に併記する。
<製造例4>
製造例1と同様の方法で、Pd/Alを製造し、各種活性評価を行った。その結果を表1,2に併記する。
<製造例5>
所定量の酸化ランタン、酸化アルミニウムをめのう乳鉢で混合し、アルミナ坩堝に入れ、マッフル炉にて1100℃で10時間焼成し、固相反応法によりLaAlOを作製した。これを用い、製造例1と同様の方法でPdを担持し、Pd/LaAlOを製造した。その後、この触媒について、各種活性評価を行った。その結果を表1,2に併記する。
<製造例6>
製造例1と同様の方法で、SrPdO/GdAl0を製造し、各種活性評価を行った。その結果を表1,2に併記する。
表1,2によれば、製造例1〜3の排ガス浄化触媒は、耐久処理前後にかかわらず、優れた50%浄化温度を示す。この理由は、以下のとおりである。即ち、製造例1〜3の排ガス浄化触媒は、全てAPdO(A:アルカリ土類元素)なる組成のPd複合酸化物上をAl酸化物に担持したものであり、これらの触媒には、高温時のPd複合酸化物のPdへの還元を抑制する効果があり、高温にさらされた後でも高活性を維持することができる。また、製造例1〜3の排ガス浄化触媒は、Al酸化物の結晶系が三方晶又は菱面体晶であり、ペロブスカイトのBサイトがAlであるため、電気的不安定さが大きい。このため、LaAlO又はNdAlOに隣接しているPd複合酸化物は、単独で存在するPd複合酸化物に比して電気的な揺らぎが大きくなっている。さらに、製造例1〜3の排ガス浄化触媒では、LaAlO又はNdAlOを作製する際、カルボン酸を含む構成元素の硝酸塩水溶液を蒸発乾固させて得たカルボン酸錯体重合物を経ることにより、LaAlO又はNdAlOが単相で生成し、さらに表面状態がPd複合酸化物を担持した際、Pd複合酸化物と相互作用し易い形態となる。なお、上記混合水溶液の作製に際して、リンゴ酸を使用したが、クエン酸又はシュウ酸を使用した場合においても同様の結果が得られることが判明した。
これに対し、製造例4〜6の排ガス浄化触媒が製造例1〜3の排ガス浄化触媒に比して低温運転時に十分な性能を得ることができない理由は、以下のとおりである。製造例4において、Alは安定化合物であり、担持された貴金属Pdに対して相互作用を及ぼすことがないため、Pdそのものの活性は向上しない。製造例5の排ガス浄化触媒は、Al酸化物の結晶系が三方晶又は菱面体晶であるが、触媒製造時にカルボン酸等を用いていないことから、単相のLaAlOを合成することができない。このため、十分な比表面積が得られないとともに、結晶格子表面を活性な状態で用いることができない。製造例6の排ガス浄化触媒は、Al酸化物の結晶系が斜方晶であるため、構成する原子間の電子の存在状態が三方晶又は菱面体晶ほど不安定にならない。
本発明の排ガス浄化触媒は、近年、排ガス中の窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を同時に効率よく浄化、低減させることが要求される、自動車等の内燃機関に適用することができる。
本発明の排ガス浄化触媒を構成するAl酸化物の結晶系の一例(三方晶)を示す斜視図である。 本発明の排ガス浄化触媒を構成するAl酸化物の結晶系の一例(菱面体晶)を示す斜視図である。 Pd複合酸化物が担持される各種Al酸化物の結晶系の違いを裏付けるXRDスペクトルである。

Claims (9)

  1. Pd酸化物がAl酸化物に担持されている排ガス浄化触媒において、
    前記Pd酸化物がAPdO(A:アルカリ土類元素)であることを特徴とする排ガス浄化触媒。
  2. 前記Al酸化物がLnAlO(Ln:希土類元素)であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
  3. 前記Al酸化物の結晶系が三方晶又は菱面体晶であることを特徴とする請求項2に記載の排ガス浄化触媒。
  4. 化合物群(OH基又はSH基を有する炭素数2〜20のカルボン酸、炭素数2又は3のジカルボン酸、及び炭素数1〜20のモノカルボン酸)から選ばれた少なくとも1種を構成元素の硝酸塩水溶液に添加する工程を経て製造されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の排ガス浄化触媒。
  5. 前記硝酸塩水溶液を蒸発乾固させてカルボン酸錯体重合物を作製する工程と、前記カルボン酸錯体重合物を焼成する焼成工程とを経て製造されたことを特徴とする請求項4に記載の排ガス浄化触媒。
  6. PdO(A:アルカリ土類元素)なる組成式のPd酸化物がAl酸化物に担持されている排ガス浄化触媒を製造するにあたり、
    化合物群(OH基又はSH基を有する炭素数2〜20のカルボン酸、炭素数2又は3のジカルボン酸、及び炭素数1〜20のモノカルボン酸)から選ばれる少なくとも1種を構成元素の硝酸塩水溶液に添加する工程を含むことを特徴とする排ガス浄化触媒の製造方法。
  7. 前記硝酸塩水溶液を蒸発乾固させてカルボン酸錯体重合物を作製する工程と、前記カルボン酸錯体重合物を焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  8. 前記焼成工程における焼成温度が1000℃以下であることを特徴とする請求項7に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  9. Pd酸化物がAl酸化物に担持されており、車から排出される排ガスを浄化する車用排ガス浄化触媒装置において、前記Pd酸化物がAPdO(A:アルカリ土類元素)であることを特徴とする車用排ガス浄化触媒装置。
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