JP2005197424A - 太陽電池モジュール設置構造体および太陽電池モジュール設置構造体の施工方法 - Google Patents

太陽電池モジュール設置構造体および太陽電池モジュール設置構造体の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低コスト太陽電池モジュール設置構造体を提供する。
【解決手段】 コンクリートブロックを使用した太陽電池モジュール架台を水平面に設置した太陽電池モジュール設置構造体において該太陽電池モジュール架台はバイパスダイオードを内蔵していない太陽電池モジュールを所望の傾斜角で設置する傾斜コンクリートブロックと該傾斜コンクリートブロックを所望の角度に支持する支持コンクリートブロックからなり該バイパスダイオードを内蔵していない太陽電池モジュールが傾斜コンクリートブロックの太陽電池モジュール設置面に固定されバイパスダイオードが太陽電池モジュールに並列接続されてなる太陽電池モジュール設置構造体において直線部をもつ金属製部材の直線部が支持コンクリートブロックに当接して設置面に固定されており該金属製部材に該バイパスダイオードが熱伝導性材料を介して固定されていることを特徴とする太陽電池モジュール設置構造体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール設置構造体および太陽電池モジュール設置構造体の施工方法に関する。
近年、環境問題に対する意織の高まりが、世界的な広がりを見せている。中でも、CO2排出に伴う地球の温暖化現象に対する危倶感は深刻で、クリーンエネルギーヘの希求はますます強まってきている。このような環境の中で、太陽電池はその安全性と扱いやすさから、クリーンエネルギー源として大きく期待されている。太陽電池は光を電気に変換する光電変換層を内部に有し、代表的な材料としては、単結晶シリコン半導体、多結晶シリコン半導体、非晶質シリコン系半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体、I−III−VI2族化合物半導体、等が挙げられる。
これらの太陽電池を利用した太陽光発電システムの形態として、架台に太陽電池モジュールを固定した太陽電池モジュール架台を複数列並べた地上設置型太陽電池モジュール架台を用いた大規模発電システム(数kW〜数MW)程度のものがある。
従来、上記太陽光発電システムを構築する場合、アルミフレーム等の枠体で補強された太陽電池モジュールを鋼材等によって組まれた架台に機械的に固定し、それらを複数列並べ、所望の電力を得るために直並列し、システムを組むことが一般的であった。
図2に一般的な枠付太陽電池モジュール、図3に一般的な架台の例を示す。
図2に示されたような一般的な太陽電池モジュールは、フロントカバー202として、白板ガラス、青板ガラス等の無機ガラス部材、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等からなる部材が好適に用いられる。フロントカバーの厚みは、素材の特性によって異なるが、概ね0.5mm以上が好ましい。バックカバー204としては、上記のフロントカバー用の材料として挙げたものの他、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフッ化ビニル(PVF)等の合成樹脂や、ガラス、金属板等を挙げることができる。枠体205にはアルミニウムなどが用いられる。
封止材203は、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等が好適に用いられる。
また、従来の一般的な枠付太陽電池モジュールの裏面には、端子箱206があり、その内部にはバイパスダイオード207が内蔵されている。
太陽電池モジュール内の太陽電池セルが木の葉や雲等、光を遮る障害物によって影になると、その部分のセルは発電せず、直列接続されている回路の全電圧が逆電圧となって印加され、高抵抗のセルを電流が流れて発熱する。そのような場合、太陽電池セルが故障するおそれがある。これを防ぐために高抵抗となった太陽電池セル、もしくは太陽電池モジュールを流れる電流をバイパスするのがバイパスダイオードである。
通常バイパスダイオードは、太陽電池モジュール内に直列接続されている太陽電池セルの逆耐圧の大きさによって、1〜数直列に1個、太陽電池セルの直列接続体に並列接続されている。接続の仕方は、太陽電池セルの直列体の負極にバイパスダイオードのアノードを、太陽電池セルの直列体の正極にカソードを接続する。挿入される場所は、太陽電池モジュール裏面の端子箱内で前述のように接続され、一般的に太陽電池モジュールにパイパスダイオードを内蔵させて出荷されている。
図3は、一般的な鋼材を用いた太陽電池モジュール用架台であり、太陽電池モジュールを所定の角度に固定するための部材である。太陽電池モジュールは架台上に固定金具などによって固定することができる。301は太陽電池モジュール、302は、モジュール取り付けアングルフレーム、303はアーム、304はベース材、305はアンカーボルト、306は基礎、307は横材、308は金具である。
このタイプの太陽電池モジュール設置構造体の特徴は、太陽電池セルをアルミフレームなどの枠体に組み込むことによって構造上の強度を保たせ、表面をガラス、裏面を樹脂などによって太陽電池セルを樹脂封止することで十分な電気絶縁性、耐候性を確保するとともに、基礎にアンカーを打ち込むことによって、架台自体の耐風圧強度を増した構造としている点にあり、現在最も一般的なものとして、広く普及している。例えば、特許文献1(特開平05-118106号公報)の図6を参照。
特開平05-118106号公報
太陽光発電システムの最も大きな課題のひとつは、発電コストの低減である。特に、太陽光発電システムが電力市場へ本格導入されるためには、コスト低減は必須であり、従来の火力発電、または原子力発電並のコストを実現する必要がある。しかし、経済産業省の総合資源エネルギー調査会需給部会中間報告(平成10年6月11日)にて報告されているように、日本国内の電力料金と比較して太陽光発電システムのエネルギーコストは、2.5〜6倍であり、本格導入のためには、抜本的な低コスト化が必要である。
そこで、本発明者はこのような状況に鑑み、以下の点に注目した。
(1)太陽電池モジュールの簡略化
一般的に太陽電池モジュールの被覆材、枠体、ジャンクションボックスなどの外囲体とケーブル、コネクター、バイパスダイオードなど太陽電池セル以外の部材の全体に占めるコストの割合は50%弱もあり、大きな割合を占める。よって、これに係るコストを削減することができれば、太陽電池モジュールのコストを大幅に下げることができる。
そこで、本発明者は、以下のような太陽電池モジュールを使用することにした。
すなわち、従来の太陽電池モジュールに付設していた端子箱、およびそれにともなうケーブル、コネクター、バイパスダイオード及び枠体を取り除いた太陽電池モジュールである。
さらに、フロントカバー、バックカバーの材料としてガラスを用いずに、樹脂のみを用いて太陽電池セルの受光面、非受光面を耐候性被覆することにした。
(2)架台の低コスト化
本発明に用いる架台は、従来のような鋼材を用いた組架台ではなく、図4にしめすような、空洞コンクリートブロックを用いた太陽電池モジュール架台である。図4(a)は、空洞コンクリートブロック、図4(b)は、それらを並べて太陽電池モジュール架台を形成した図である。401は所望の傾斜角で太陽電池モジュールを固定する傾斜コンクリートブロック、402は傾斜コンクリートブロックを所望の傾斜角403に支持する支持コンクリートブロック、404は太陽電池モジュール設置面である。
このような架台にすれば、安価なコンクリートブロックを並べるだけなので、低コストで太陽電池モジュール架台を構築することができる。
本架台の形成手順は、通常設置面に糸を張ったり、墨だししたりして、その線上に支持コンクリートブロック402を並べていき、次に端の傾斜コンクリートブロックを所望の角度で設置し、それに沿って傾斜コンクリートブロック401をならべていく手順を踏む。
(3)バイパスダイオードの共通化
大規模発電所用太陽光発電システムを構築する場合は、多くの太陽電池モジュールを使用することになるが、バイパスダイオードが各太陽電池モジュールに一個もしくは、数個接続されているよりも、複数の太陽電池モジュールを並列接続して、それに対してバイパスダイオードを並列接続する方が、使用するバイパスダイオードの個数を減らすことができるので、コストを下げることができる。
例えば図5(a)に示すように、従来であれば太陽電池モジュール毎にバイパスダイオードを設けていたのであるが、図5(b)のように太陽電池モジュール群を並列接続し、バイパスダイオードを接続してアレイを構築すれば、バイパスダイオード数を減らすことができる。
しかしながら、上記の太陽電池アレイを構築しようとするとき、以下のような問題点があることがわかった。
1)本発明で使用するコンクリートブロック架台は、前述の通り、設置面の支持コンクリートブロックを並設する位置の端405に糸を張ったり、墨だししたりして、その線上に支持コンクリートブロック402を並べていき、次に端の傾斜コンクリートブロックを所望の角度で設置し、それに沿って傾斜コンクリートブロックをならべていく。その際支持コンクリートブロック402を直線状にならべていかなければならないのであるが、糸を張ってその線上に支持コンクリートブロックを並べていく方法では、糸が支持コンクリートブロックを並べていく際に簡単に折れる(曲がる)ので、うまく直線状にならべることができず、また、すみ出しして行う方法では同様に、直線上にならべることが困難である。なぜならば、通常作業者は、支持コンクリートブロックをならべていく際にブロック同士を突き当ててならべていくことがおおい。つきあてていくブロック面は必ずしも一直線になっているわけではないので、ブロックを並べていけばいくほど、直線に乱れが出る。
2)バイパスダイオードの発熱
本発明では、太陽電池モジュール数並列に対してバイパスダイオードを挿入するので、通常、バイパスダイオードに流れ得る電流は、太陽電池モジュールのIpm×並列数の電流が流れ得る(最大は、Isc×並列数)。バイパスダイオード選定の方法としては、まずバイパスダイオードの定格電流が、バイパスダイオードに流れ得る電流よりも大きいダイオードを選定することになる。
ただし、ダイオードの定格電流が流れ得る電流に対して十分余裕がある場合はいいが、ダイオードの定格電流が流れ得る電流に対して十分余裕がない場合、バイパスダイオードに電流が流れた際にジャンクション部の温度Tjがそのバイパスダイオードの定格ジャンクション温度を超えないように放熱手段を施さなければならない。
上記の問題を解決しようとすると、
(1)ダイオードに流れる電流に対して十分大きな定格電流をもつダイオードをえらぶ。
(2)バイパスダイオードに市販のヒートシンクなどを付ける。
が考えられる。
しかし、上記(1)、(2)ともに材料費が大きくなってしまうという問題がある。
そこで、本発明の目的は、コンクリートブロック架台の配置方法を簡単にすることと、バイパスダイオードの放熱を同時に達成できるような配置方法、配置構造を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題点に対応するために以下のような手段を用いることが好適であることを見出した。以下にその具体的手段とその作用を説明する。
コンクリートブロックを使用した太陽電池モジュール架台を水平面に設置した太陽電池モジュール設置構造体において、該太陽電池モジュール架台は、バイパスダイオードを内蔵していない太陽電池モジュールを所望の傾斜角で設置する傾斜コンクリートブロックと、該傾斜コンクリートブロックを所望の角度に支持する支持コンクリートブロックからなり、該バイパスダイオードを内蔵していない太陽電池モジュールが、傾斜コンクリートブロックの太陽電池モジュール設置面に固定され、バイパスダイオードが太陽電池モジュールに並列接続されてなる太陽電池モジュール設置構造体において、直線部をもつ金属製部材の直線部が、支持コンクリートブロックに当接して設置面に固定されており、該金属製部材に該バイパスダイオードが熱伝導性材料を介して固定されていることを特徴とする太陽電池モジュール設置構造体である。
また、コンクリートブロックを使用した太陽電池モジュール架台を水平面に設置し、太陽電池モジュールを該太陽電池モジュール架台に設置する太陽電池モジュール設置構造体の設置方法において、該太陽電池モジュール架台は、バイパスダイオードを内蔵していない太陽電池モジュールを所望の傾斜角で設置する傾斜コンクリートブロックと、該傾斜コンクリートブロックを所望の角度に支持する支持コンクリートブロックからなり、直線部をもつ金属製部材を略水平面に固定する工程、該金属製部材の直線部に該支持コンクリートブロックを突き当てて設置面に設置する工程、該支持コンクリートブロックに所望の傾斜角で傾斜コンクリートブロックを接触させて設置面に設置する工程、該傾斜コンクリートブロックの太陽電池モジュール設置面にバイパスダイオードが内蔵されていない太陽電池モジュールを固定する工程、複数の太陽電池モジュールを並列に接続する工程、該太陽電池モジュール並列群にバイパスダイオードを接続し、該金属製部材に熱伝導性の部材を介して固定する工程を含む太陽電池モジュール設置構造体の施工方法である。
本発明の構成によれば、
(1)太陽電池モジュール架台に市販のコンクリートブロックを使用しているので、従来の組み架台よりも、コストが安い。
(2)バイパスダイオードなしの太陽電池モジュールを用いて太陽電池アレイを構成し、バイパスダイオードを数並列に一個太陽電池モジュールアレイに並列接続することによって、太陽電池アレイに使用するバイパスダイオードのコストを低減することができる。
(3)直線部をもつ金属製部材の直線部につきあてながら、太陽電池モジュール架台の支持ブロックを設置面に設置していくので、スムーズに設置作業ができるので、施工性がよい。
(4)バイパスダイオードを金属製部材に熱伝導性部材を介して固定するので、バイパスダイオードの放熱が可能になる。
(作用)
本発明の構成によれば、
(1)太陽電池モジュール架台に市販のコンクリートブロックを使用しているので、従来の組み架台よりも、コストが安い。
(2)バイパスダイオードなしの太陽電池モジュールを用いて太陽電池アレイを構成し、バイパスダイオードを数並列に一個太陽電池モジュールアレイに並列接続することによって、太陽電池アレイに使用するバイパスダイオードのコストを低減することができる。
(3)直線部をもつ金属製部材の直線部につきあてながら、太陽電池モジュール架台の支持ブロックを設置面に設置していくので、スムーズに設置作業ができるので、施工性がよい。
(4)バイパスダイオードを金属製部材に熱伝導性部材を介して固定するので、バイパスダイオードの放熱が可能になる。
本発明の太陽電池モジュール設置構造体を説明するための実施の形態を図1を用いて説明する。図1(a)は上面図、図1(b)は側面図である。
101は太陽電池モジュール、102は並列接続用電線、103は傾斜コンクリートブロック、104は支持コンクリートブロック、105はバイパスダイオード、106は金属製部材、107は熱伝導部材、108はケーブルである。支持コンクリートブロック104により所望の角度に傾斜して設置された傾斜コンクリートブロック103に太陽電池モジュール101が固定され、太陽電池モジュール同士が並列接続用電線102によって並列に接続され、バイパスダイオード105が太陽電池モジュールに並列に接続されている。バイパスダイオードは支持部材に接触した金属製部材106に熱伝導部材107によって、固定されている。
(太陽電池モジュール)
太陽電池モジュールの光起電力素子の光活性層の材料としては、多結晶半導体では、Si、C、Ge等のIV族元素、SiGe、SiC等のIV族元素合金、GaAs、InSb、GaP、GaSb、InP、InAs等のIII−V族化合物、ZnSe、CdTe、ZnS、CdS、CdSe、CdTe等のII−VI族化合物、CuInSe2、CuInS2、Cu(In,Ga)Se2等のI−III−VI2族化合物が挙げられる。また、非晶質半導体としては、a−Si:H、a−SiGe:H、a−SiC:H等を挙げることができる。
図6に本発明に好適に用いられる太陽電池モジュールの一例を示す。図6(a)は上面図、図6(b)は、A−A断面図である。
本実施形態の太陽電池モジュールは光起電力素子601を2直列したものを樹脂封止したものである。
光起電力素子601は、裏面電極でもある金属製基板602に形成された半導体光活性層603を有し、半導体光活性層603にて発生した電流を収集するための集電電極604が受光面側に配されている。金属製基板は602としては、ここでは0.15mm厚のステンレス鋼を用い、半導体光活性層603としては、アモルファスシリコンと微結晶シリコンのタンデム構造を、さらに集電電極604としては、60μmφの銅線を導電性ペーストを用いて半導体光活性層603上に固定している。
また、集電電極604は100μm厚の銅製の正極タブ605に接続される。また、正極タブ605と、金属製基板602との絶縁を確実にするために、ポリエステル製の絶縁部材607が配されている。
更に集電電極604の上から、耐候性を持たせるために、アクリルシリコン系の耐候性塗料608を形成している。
光起電力素子を2直列にし、両端の受光面側の両端正極タブ602、裏面側の両端負極タブ606、計4箇所に、φ0.8mmの裸銅線609を鉛フリーはんだで半田付けした。
その後、受光面側にETFE610/EVA611フィルムを、裏面側にEVA/PET612/EVAフィルムを積層し、真空ラミネーターで樹脂封止した。
最後に、φ1.6mmの裸銅単線613を略コの字形状に加工して、正極タブ602、負極タブ603に接続されている裸銅線609にリングスリーブ614で圧着して、電気的に接続している。
本発明で用いられる太陽電池モジュールは、従来の太陽電池モジュールと異なり、バイパスダイオードを太陽電池モジュールに内蔵していない。
(太陽電池モジュール架台)
本発明で呼んでいる太陽電池モジュール架台とは、空洞コンクリートブロックを使用した太陽電池モジュール用架台で、太陽電池モジュールを所定の角度に固定するための傾斜コンクリートブロックと、該傾斜コンクリートブロックを所定の角度に支持するための支持コンクリートブロックからなる。太陽電池モジュールは傾斜ブロック上に固定金具やあるいは直接接着固定するなどして固定することができる。架台が重量の大きなコンクリート材質であるので、地面に置くだけで架台の配置は完了する。
本太陽電池モジュール架台を配置していく手順は、まず、支持コンクリートブロックを設置面に複数個配置し、その後傾斜ブロックを配置していくという手順を踏む。
(バイパスダイオード)
バイパスダイオードは、太陽電池モジュール、もしくは太陽電池モジュール内の太陽電池セルの一部が日影になった場合、影になった太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルの光起電力が小さくなり、抵抗が大きくなる。この場合、この太陽電池モジュール、もしくは太陽電池セルに他の直列接続されている太陽電池モジュール、もしくは太陽電池セルより出力されている電圧の総和が逆バイアスとなって、この日影になった太陽電池モジュール、もしくは太陽電池セルに印加され、太陽電池セルが破壊されてしまう可能性がある。
この日影による弊害を防止するために、各々の太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルに並列に接続するのが、バイパスダイオードである。
通常バイパスダイオードは、太陽電池モジュール内に直列接続されている太陽電池セルの逆耐圧の大きさによって、1〜数直列に1個、太陽電池セルの直列接続体に並列接続されている。接続の仕方は、太陽電池セルの直列体の負極にバイパスダイオードのアノードを、太陽電池セルの直列体の正極にカソードを接続する。
本発明に使用するバイパスダイオードは、絶縁型、非絶縁型どちらでも使用できる。非絶縁型のダイオードは、電極と放熱部が共通になっているダイオードである。
非絶縁型ダイオードを金属製部材に接着する際には、ダイオードと金属製部材を絶縁して接着させる。
<バイパスダイオードに選定>
(1)バイパスダイオードの選定の方法は、バイパスダイオードに接続する太陽電池モジュールの並列数から、バイパスダイオードに流れ得る電流を見積もり、その電流以上の定格電流を有するダイオードを選定する方法である。
<バイパスダイオードの熱特性>
(2)バイパスダイオードには、接合部(ジャンクション)に定格接合部温度〔℃〕があり、ダイオードに電流が流れた場合、接合部の温度Tjが定格接合温度を超えないように選定しなければならない。
たとえば、バイパスダイオードに流れ得る電流をI〔A〕、そのときのバイパスダイオードの電圧降下をVd〔V〕とすると、ジャンクション部で発生する熱量Q(W)は、
Q = I × Vd
である。図7に示すような設置構造でバイパスダイオードを設置した場合、バイパスダイオード701のジャンクション部702からケース703までの熱抵抗をRth(j-c)〔℃/W〕、熱伝導部材704の熱抵抗をRth(c-f)〔℃/W〕、金属管705の熱抵抗をRth(f-a)〔℃/W〕、周囲温度をTa〔℃〕とすると、ジャンクション部の温度Tj〔℃〕は、
Tj = Q×(Rth(j-c)+ Rth(c-f)+ Rth(f-a))+Ta
で計算できる。
ここで、Q、Rth(j-c)、Taが判っているので、
金属管の熱抵抗Rth(f-a)が決まれば、使用する熱伝導部材の熱抵抗Rth(c-f)を計算することができる。
逆に熱伝導部材の熱抵抗Rth(c-f)が決まれば、金属管の熱抵抗Rth(f-a)を計算することができる。
(金属製部材)
本発明で用いる金属製部材は、直線部をもつ金属製部材であれば何でも良く、例えば、図8(a)に示す金属線ぴ、図8(b)に示すようなケーブルラック等、ケーブルの支持、保護に用いられる金属管等が好適に用いられる。
材質は、溶融亜鉛メッキ鋼やガルバリウム鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等がある。
(熱伝導部材)
(熱伝導性接着剤)
本接着剤は、バイパスダイオードと金属製部材を接着するために使用する接着剤で、熱伝導性に優れた金属酸化物を配合した、グリース状のシリコーンコンパウンドを含む放熱用シリコーンが好適に用いられる。また、建築用のシリコーン接着剤等を代用することも可能である。
(熱伝導性シート)
熱伝導性シートは、シリコーンゴムを利用した絶縁・熱伝導性シートが好適に用いられる。
本実施例は、空洞コンクリートブロックを太陽電池モジュール架台として用い、太陽電池モジュール設置構造体を構築した例である。以下に詳細を詳しく述べる。
本実施例における仕様は以下の通りである。
<仕様>
1.所用太陽電池容量(太陽電池アレイ出力) Pm 10kW相当
2.太陽電池モジュール 21W/モジュール
寸法 幅360.6mm×長さ503.6mm
3.設置面 コンクリート舗装
4.パワーコンディショナ 10kWインバータ
5.架台 空洞コンクリートブロック 寸法390mm×190mm×100mm
傾斜角 16° 設置方位 真南
6.バイパスダイオード 定格100A 絶縁型 ジャンクション−ケース間熱抵抗Rth(j-c) = 0.35〔℃/W〕
定格ジャンクション温度 150℃
7.金属製部材 アルミニウム合金製ダクト 定尺4m
以下に、本実施例で使用する材料、及び設置方法を記載する。
(金属製部材)
図9に、本実施例で使用する金属製部材を示す。本実施例では、材質がアルミニウム合金製のダクトを用いた。本アルミニウム合金製ダクトは、本体部と蓋部に分かれている。
(太陽電池モジュール)
図10に、本実施例で使用する太陽電池モジュールを示す。図10(a)は上面図、図10(b)は、A−A断面図である。
本実施例における太陽電池モジュールは光起電力素子1001を2直列したものを樹脂封止したものを使用している。
光起電力素子1001は、裏面電極でもある金属製基板1002に形成された半導体光活性層1003を有し、半導体光活性層1003にて発生した電流を収集するための集電電極1004が受光面側に配されている。金属製基板は1002としては、ここでは0.15mm厚のステンレス鋼を用い、半導体光活性層1003としては、アモルファスシリコンと微結晶シリコンのタンデム構造を、さらに集電電極1004としては、60μmφの銅線を導電性ペーストを用いて半導体光活性層1003上に固定している。
また、集電電極1004は100μm厚の銅製の正極タブ1005に接続される。また、正極タブ1005と、金属製基板1002との絶縁を確実にするために、ポリエステル製の絶縁部材1007が配されている。
更に集電電極1004の上から、耐候性を持たせるために、アクリルシリコン系の耐候性塗料1008を形成している。
光起電力素子を2直列にし、両端の受光面側の両端正極タブ1002、裏面側の両端負極タブ1006、計4箇所に、φ0.8mmの裸銅線1009を鉛フリーはんだで半田付けした。
その後、受光面側にETFE1010/EVA1011フィルムを、裏面側にEVA/PET1012/EVAフィルムを積層し、真空ラミネーターで樹脂封止した。
最後に、φ1.6mmの裸銅単線1013を略コの字形状に加工して、正極タブ1002、負極タブ1003に接続されている裸銅線1009にリングスリーブ1014で圧着して、電気的に接続している。
本発明の太陽電池の寸法は、幅360.6mm×長さ503.6mmである。また、本太陽電池モジュールの公称最大出力動作電流は9.21A、公称最大出力動作電圧は2.28V、出力は21Wである。
(パワーコンディショナ)
本実施例で使用するパワーコンディショナは、容量10kWのパワーコンディショナである。本パワーコンディショナの定格直流電圧300Vのものを使用した。
(架台)
図11は、本実施例の太陽電池モジュール設置構造体の上面図(a)及び、側面図(b)である。
本太陽電池モジュール1101は、傾斜コンクリートブロック1103に接着剤で、接着固定する。そして、端子をリングスリーブ1109によって電気接続することによって、東西方向に直列接続している。同様に、1モジュール毎に南北方向に並列接続用電線1102を接続していくことによって、並列接続し、バイパスダイオード1105を接続する。
バイパスダイオード1105は、支持コンクリートブロック1104に接触して設置面に固定された金属製部材1106に熱伝導性材料として、熱伝導性のよい接着剤1107によって固定される。
(施工)
1)太陽電池モジュール数、直並列数の決定
本実施例で使用するパワーコンディショナのDC入力電圧が300Vなので、1ストリング中の直列数を140枚とする。このときの出力電圧は、140×2.28=319.2Vとなり、出力の合計を10kWにするために、140直列したものを4並列する。このときの電流値は、9.21×4=36.8Aになり、ストリングの出力は、11.76kWとなる。
本実施例で使用するパワーコンディショナは、この1ストリングに一台接続して使用する。
2)架台数、架台の配置の決定
太陽電池モジュールの直並列数、太陽電池アレイのストリング数が決定したので、架台に使用するブロック数が決定する。まず、1ストリングあたり使用する傾斜コンクリートブロック、支持コンクリートブロックの個数を計算する。太陽電池モジュール同士を間隔なしで140直列/一列する。太陽電池ストリングの長さは、
503.6〔mm〕×140〔直列〕=70,504〔mm〕
傾斜コンクリートブロックの幅は、190mmなので、
70504/190=371.07
より、372個となる。これが4並列分あるので、ブロック(a)は、1488個/1ストリングとなる。このときの傾斜コンクリートブロックの長さは、70680〔mm〕である。
支持コンクリートブロックの長さは、390mmなので、
70680/390=181.23
より、182個になる。これが4並列分あるので、ブロック数は、728個/1ストリングとなる。
3)バイパスダイオードの放熱
バイパスダイオードは、1モジュールあたり1個並列接続するので、1ストリングあたり、140個必要になる。モジュールなどが影になった場合、通常4並列×Ipm=36.8Aの電流が流れると仮定した。本実施例では、定格100Aのダイオードを選択した。
本バイパスダイオードのジャンクション−ケース間の熱抵抗Rth(j-c)は、
0.35〔℃/W〕である。ダイオードのジャンクション部で発生する熱量Qは、ダイオードに36.8A流れたときの電圧降下が0.8Vなので、
Q=36.8〔A〕×0.8〔V〕=29.4〔W〕
熱伝導接着剤の熱抵抗をRth(c-f)=0.09〔℃/W〕、周囲の温度の最高値Taを40〔℃〕とすると、ダイオードのジャンクション温度Tjは、
Tj=Q×(Rth(j-c)+Rth(c-f)+Rth(f-a))+Ta
であらわされる。このとき、金属製部材の熱抵抗Rth(f-a)は、
Rth(f-a)=(Tj−Ta)/Q−(Rth(j-c)+Rth(c-f))
であらわされる。Tjに定格ジャンクション温度150℃を代入すると、
Rth(f-a)=(150−40)/29.4−(0.35+0.09)=3.3〔℃/W〕
となる。
本実施例では金属製部材として、熱抵抗Rth(f-a)が3.3℃/W以下で、材質がアルミニウム合金の金属ダクトをコンクリート面に固定して使用した。
ダイオードは、ダクトの蓋部に接着固定した。
金属製部材は、1本4mなので、1ストリング当たり19本要する。
(施工手順)
1.架台(ブロックの配置) 金属製部材の設置
まず、設置面に金属製部材を固定した。金属製部材1201のコンクリート面への固定方法は図12に示すように、コンクリート設置面1203にアンカーボルト1202を打つことによって、金属製部材をコンクリート面に東西方向に19本固定した。
本実施例では、金属製部材の本体をコンクリート面に固定したあと、電力取り出し用ストリングケーブル1108を予め通しておき、その後金属製部材の蓋をした。
次に、支持コンクリートブロックを東西方向に182個ならべた。その際、図11に示すように、支持コンクリートブロックを金属製部材に接触させるようにして並べた。
そして最端の傾斜コンクリートブロック1個を支持コンクリートブロックに立てかけ、勾配計を使用して、傾斜角が16°になるよう微調整した。その後、傾斜ブロックを371個、及び次列の支持コンクリートブロック182個を東西方向に並べた。このとき最端の傾斜角16°の傾斜コンクリートブロックにならうようにして並べていき、傾斜ブロックと次列の支持ブロックが図11に示すように、接触するようにして並べていった。同様にして残り3列分も並べた。
(太陽電池モジュールの貼り付け)
次に設置済みの傾斜コンクリートブロック上に太陽電池モジュールを弾性接着剤によって貼り付けた。接着剤は、太陽電池モジュールの裏面全体に塗布するのではなく、裏面の周辺部に適当量を盛って押圧し、傾斜コンクリートブロックに貼り付けた。
(太陽電池モジュール同士の直並列接続作業)
太陽電池モジュール同士の直並列接続作業を図11を用いて説明する。
図に示すように、太陽電池セルの正極タブ、負極タブにはんだで接続されている銅単線φ1.6mm同士を直列方向(東西)方向に、リングスリーブ1109を専用圧着工具でかしめていくことによって、直列作業が完了する。リングスリーブはJIS C 2806 銅線用裸圧着スリーブE-小を使用した。
(バイパスダイオードの接続)
図11に示すように、太陽電池モジュール南北方向に並列接続線をつなぎ、最北のダクトの蓋にシリコーン接着剤(熱抵抗Rth(c-f)=0.09〔℃/W〕)1107を介してバイパスダイオードを接着固定した。
本発明実施形態の太陽電池モジュール設置構造体。 従来の枠体付き太陽電池モジュール。 従来の太陽電池付き架台。 コンクリートブロック架台。 バイパスダイオードの接続方法。 太陽電池モジュール。 バイパスダイオードの熱特性を説明する図。 金属製部材。 実施例1における金属製部材。 実施例1における太陽電池モジュール。 実施例1における太陽電池モジュール設置構造体。 実施例1における金属製部材のコンクリート面への取り付け図。
符号の説明
101,1101 太陽電池モジュール
102,1102 並列接続用電線
103,1103 傾斜コンクリートブロック
104,1104 支持コンクリートブロック
105,1105 バイパスダイオード
106,1106,1201 金属製部材
107,1107 熱伝導部材
108,1108 ストリングケーブル
201 太陽電池セル
202 フロントカバー
203 封止材
204 バックカバー
205 枠体
206 端子箱
207 バイパスダイオード
208 シール材
209 取り付け穴
210 ケーブル
301,501 太陽電池モジュール
302 モジュール取り付けアングルフレーム
303 アーム
304 ベース材
305 アンカーボルト
306 基礎
307 横材
308 金具
401 傾斜コンクリートブロック
402 支持コンクリートブロック
403 傾斜角
404 太陽電池モジュール設置面
405 支持コンクリートブロック端
502 バイパスダイオード
503 ブロッキングダイオード
601,1001 光起電力素子
602,1002 金属製基板
603,1003 半導体光活性層
604,1004 集電電極
605,1005 正極タブ
606,1006 負極タブ
607,1007 絶縁部材
608,1008 耐候性塗料
609,613,1009,1013 裸銅線
610,1010 ETFE
611,1011 EVA
612,1012 PET
1202 アンカーボルト
1203 コンクリート設置面

Claims (7)

  1. コンクリートブロックを使用した太陽電池モジュール架台を水平面に設置した太陽電池モジュール設置構造体において、該太陽電池モジュール架台は、バイパスダイオードを内蔵していない太陽電池モジュールを所望の傾斜角で設置する傾斜コンクリートブロックと、該傾斜コンクリートブロックを所望の角度に支持する支持コンクリートブロックからなり、該バイパスダイオードを内蔵していない太陽電池モジュールが、傾斜コンクリートブロックの太陽電池モジュール設置面に固定され、バイパスダイオードが太陽電池モジュールに並列接続されてなる太陽電池モジュール設置構造体において、直線部をもつ金属製部材の直線部が、支持コンクリートブロックに当接して設置面に固定されており、該金属製部材に該バイパスダイオードが熱伝導性材料を介して固定されていることを特徴とする太陽電池モジュール設置構造体。
  2. 金属製部材が、金属管であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール設置構造体。
  3. 金属製部材が、ケーブルラックであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール設置構造体。
  4. 熱伝導性材料が、熱伝導性接着剤であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール設置構造体。
  5. 熱伝導性材料が、熱伝導性シートであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール設置構造体。
  6. 金属管に蓋部があり、バイパスダイオードが蓋部に固定されていることを特徴とする請求項1乃至5記載の太陽電池モジュール設置構造体。
  7. コンクリートブロックを使用した太陽電池モジュール架台を水平面に設置し、太陽電池モジュールを該太陽電池モジュール架台に設置する太陽電池モジュール設置構造体の設置方法において、該太陽電池モジュール架台は、バイパスダイオードを内蔵していない太陽電池モジュールを所望の傾斜角で設置する傾斜コンクリートブロックと、該傾斜コンクリートブロックを所望の角度に支持する支持コンクリートブロックからなり、直線部をもつ金属製部材を略水平面に固定する工程、該金属製部材の直線部に該支持コンクリートブロックを突き当てて設置面に設置する工程、該支持コンクリートブロックに所望の傾斜角で傾斜コンクリートブロックを接触させて設置面に設置する工程、該傾斜コンクリートブロックの太陽電池モジュール設置面にバイパスダイオードが内蔵されていない太陽電池モジュールを固定する工程、複数の太陽電池モジュールを並列に接続する工程、該太陽電池モジュール並列群にバイパスダイオードを接続し、該金属製部材に熱伝導性の部材を介して固定する工程を含む太陽電池モジュール設置構造体の施工方法。
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