JP2005194495A - 樹脂粒子の製造方法およびトナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のトナーは、主として樹脂材料で構成される分散質が、分散媒中に微分散した分散液6を用いて製造されるものである。分散液供給部4内に投入された分散液6は、ヘッド部2に供給される。ヘッド部2は、分散液6を貯留する分散液貯留部4と、分散液6を吐出する吐出部とを有している。分散液貯留部21内の分散液6は、圧電素子の圧電パルスにより、吐出部から固化部3に吐出される。吐出された分散液6は粒状をなしている。固化部3において、分散液6は、搬送されつつ、分散媒が除去されることにより、分散液6を構成する分散質由来の複数個の微粒子が凝集した凝集体9となる(分散媒除去工程)。その後、得られた凝集体6に、分散媒除去工程での処理温度より高い温度で熱処理を施すことにより、トナー粒子が得られる(溶融接合工程)。
【選択図】図1
Description
このような電子写真法で用いられるトナーの製造方法としては、粉砕法、重合法、スプレードライ法が用いられている。
また、従来のスプレードライ法(噴霧乾燥法)では、一般に、溶媒に溶解したトナー製造用の原料を、高温雰囲気下に噴霧するため、溶媒の揮発が急激に進行し、中空粒子が発生し易いという問題点があった。
本発明の樹脂粒子の製造方法は、樹脂材料を含む分散質が、分散媒中に微分散した分散液を用いて、主として樹脂材料で構成された樹脂粒子を製造する方法であって、
前記分散液を微粒子化してヘッド部から噴射し、固化部内を搬送させつつ、前記分散媒を除去し、前記分散質由来の複数個の微粒子が凝集した凝集体を得る分散媒除去工程と、
前記凝集体を構成する複数個の前記微粒子同士を溶融接合する接合工程とを有することを特徴とする。
これにより、均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さい樹脂粒子(特に、トナー粒子)を提供することができる。
これにより、異形状の樹脂粒子、特に、中空粒子が発生するのを効果的に防止することができ、その結果、各粒子間での形状、大きさのバラツキがより小さい樹脂粒子を得ることができるとともに、製造される樹脂粒子を真球度の高いもの(幾何学的に完全な球形に近い形状)にすることが比較的容易にできる。また、トナー粒子の機械的強度(耐久性)も優れたものとすることができる。
これにより、ヘッド部内で分散液を構成する分散媒が揮発し、吐出される分散液の組成(濃度)が経時的に変化するのを効果的に防止することができる。また、ヘッド部の吐出部付近において、吐出される前の(液切れする前の)分散液から分散媒が揮発することにより、吐出部が目詰まりを起こすのを効果的に防止することができる。
これにより、構成成分の劣化、変性を十分に防止しつつ、凝集体を構成する複数個の微粒子同士をより確実に接合することができ、最終的に得られるトナー粒子の機械的強度(機械的安定性)を特に優れたものとすることができる。また、最終的に得られるトナー粒子の円形度(真球度)を、容易かつ確実に比較的大きいものとすることができる。
これにより、微粒子化して噴射(吐出)される分散液を、一滴ずつ間欠的に吐出することができ、また、吐出される分散液の形状の安定性が向上する。その結果、各粒子間での形状、大きさのバラツキの小さい樹脂粒子を得ることができるとともに、製造される樹脂粒子を真球度の高いもの(幾何学的に完全な球形に近い形状)にすることが比較的容易にできる。
これにより、微粒子化して噴射(吐出)される分散液の形状の安定性がさらに向上する。その結果、各粒子間での形状、大きさのバラツキが特に小さい樹脂粒子を得ることができるとともに、製造される樹脂粒子を真球度の高いもの(幾何学的に完全な球形に近い形状)にすることが比較的容易にできる。
これにより、吐出部における目詰まり等を防止しつつ、形状、大きさ等のバラツキが小さい微粒子状(液滴状)の分散液を安定して吐出することができる。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、前記圧電パルスの周波数が1kHz〜500MHzであるのが好ましい。
これにより、吐出される液滴状の分散液の形状、大きさ等のバラツキを十分に小さいものとしつつ、樹脂粒子の生産性を向上させることができる。
これにより、分散質由来の微粒子の溶融接合を、より円滑に進行させることができる。また、凝集体中に比較的多量の分散媒等が含まれる場合であっても、分散媒等の含有量(残存量)を効果的に低減させることができ、さらには、最終的な樹脂粒子中に実質的に分散媒等が残存しないようにすることができる。
これにより、構成成分の劣化、変性を十分に防止しつつ、得られる樹脂粒子の形状の均一性、安定性を十分に高いものとし、さらに、樹脂粒子の円形度を比較的大きいものとすることができる。
これにより、分散媒除去工程で得られる凝集体の形状の均一性、安定性を十分に高いものとしつつ、分散液中に含まれる分散媒を効率良く除去することができ、結果として、樹脂粒子の生産性を特に優れたものとすることができる。
これにより、構成成分の劣化、変性を十分に防止しつつ、得られる樹脂粒子の形状の均一性、安定性を十分に高いものとし、さらに、樹脂粒子の円形度を比較的大きいものとすることができる。
これにより、分散液中に溶存する気体を効率良く除去することができ、異形状の樹脂粒子が形成されるのをより効果的に防止することができる。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、前記脱気工程は、分散液を80kPa以下の雰囲気中に置くことにより行うのが好ましい。
これにより、分散液中における分散質の形状を十分に保持しつつ、溶存する気体をより効率良く除去することができる。
これにより、例えば、分散媒中における分散質の分散性を高めることができ、分散液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのバラツキが特に小さいものとすることができる。その結果、樹脂粒子を、粒子間での大きさ、形状のバラツキが特に小さく、円形度の大きいものとして得ることができる。
これにより、最終的に得られる樹脂粒子中に溶媒等の不要成分が残存するのをより効果的に防止することができる。その結果、樹脂粒子の信頼性は特に優れたものとなる。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、前記分散液は、樹脂材料を含む材料を、少なくとも水を含む液体中に投入することにより調製したものであるのが好ましい。
これにより、比較的容易に分散液を調製することができる。また、固化部において、実質的に有機溶媒を揮発しないようにすることができ、環境に対して悪影響を極めて与えにくい方法で樹脂粒子を製造することができる。
これにより、比較的容易に、分散液中における分散質の粒径を適度な大きさに調整することができ、かつ、分散質の大きさ、形状のバラツキを特に小さいものとすることができる。
これにより、より確実に、分散液中における分散質の粒径を適度な大きさに調整することができ、かつ、分散質の大きさ、形状のバラツキをさらに小さいものとすることができる。
これにより、固形状の分散質を含み、分散質の大きさ、形状のバラツキが特に小さい分散液(懸濁液)を得ることができる。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、前記溶媒の除去は、加熱により行うのが好ましい。
これにより、分散質の大きさ、形状のバラツキを十分に小さいものとしつつ、より効率良く分散質を固化させる(懸濁液を得る)ことができる。
これにより、樹脂粒子を、十分に円形度が高く、各粒子間での特性、形状の均一性が特に優れたものとして得ることができる。また、これにより、分散液の吐出条件をさらに安定化させることができる。
これにより、各粒子間での、形状、大きさのバラツキが特に小さい樹脂粒子を得ることができる。
これにより、適度な円形度を有し、かつ、粒径、形状のバラツキが特に小さい樹脂粒子を効率よく得ることができる。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、前記ヘッド部から吐出される前記分散液の一滴分の吐出量が0.05〜500plであるのが好ましい。
これにより、適度な粒径を有する樹脂粒子を、より確実に得ることができる。
これにより、樹脂粒子製造時における分散液の特長(液切れのよさ等)を十分に発揮しつつ、樹脂粒子の粒径のバラツキをより小さいものとすることができる。
これにより、十分に微細で、かつ、円形度が大きく、粒度分布がシャープな樹脂粒子を比較的容易に得ることができる。
これにより、固化部内において粒状の分散液を効率良く固化させることができるとともに、分散液(樹脂粒子)をより効率良く搬送することができる。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、複数個の前記ヘッド部から前記分散液を吐出するのが好ましい。
これにより、より効率よく樹脂粒子を製造することができる。
これにより、ヘッド部から吐出された粒状の分散液の間隔を保ちつつ、分散液を搬送し、固化させることができる。その結果、吐出された粒状の分散液同士の衝突、凝集をより効果的に防止することができる。
これにより、固化部において、分散液に含まれる分散媒を効率良く除去することが可能となり、樹脂粒子の生産性がさらに向上する。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、複数個の前記ヘッド部のうち、少なくとも隣り合う2つからの前記分散液の吐出タイミングをずらすのが好ましい。
これにより、隣接するヘッド部から吐出された粒状の分散液が固化する前に、粒状の分散液が衝突し、凝集するのをより効果的に防止することができる。
これにより、固化部の内面(内壁)に分散液や樹脂粒子が付着するのを効果的に防止することができる。その結果、異形状の樹脂粒子の発生をより効果的に防止することができるとともに、樹脂粒子の回収効率を向上させることができる。
これにより、樹脂粒子の生産性を十分に高いものとしつつ、得られる樹脂粒子をより円形度の高いものとすることができる。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、前記ヘッド部内における前記分散液の粘度は、0.5〜200[mPa・s]であるのが好ましい。
これにより、分散液の吐出間隔を比較的短くしても、大きさ、形状のバラツキが小さい液滴状の分散液をより確実に吐出することができる。その結果、優れた生産性で、各粒子間での大きさ、形状のバラツキの小さい樹脂粒子を製造することができる。
これにより、異形状の樹脂粒子の発生等を十分に防止しつつ、液滴状の分散液から分散媒を、より円滑に除去することができる。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、前記分散液を加温した状態で、前記ヘッド部から吐出するのが好ましい。
これにより、固化部において、粒状の分散液中に含まれる分散質の凝集(融合)をより円滑に進行させ、得られる樹脂粒子の円形度を特に高いものとすることができる。
これにより、固化部において、粒状の分散液中に含まれる分散質の凝集(融合)をより円滑に進行させ、得られる樹脂粒子の円形度を特に高いものとすることができる。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、前記樹脂粒子は、トナー粒子またはトナー粒子の製造に用いられる粒子であるのが好ましい。
これにより、均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さいトナー(トナー粒子)を提供することができる。
これにより、均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さいトナーを提供することができる。
本発明のトナーでは、平均粒径が2〜20μmであるのが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のバラツキを特に小さいものとし、トナー全体としての信頼性を特に高いものとしつつ、トナーにより形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のバラツキが特に小さくなり、トナー全体としての信頼性がさらに向上する。
本発明のトナーでは、下記式(I)で表される平均円形度Rが0.95以上であるのが好ましい。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、トナー粒子の転写効率、機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、トナーの流動性も向上する。
本発明のトナーでは、各粒子間での平均円形度の標準偏差が0.02以下であるのが好ましい。
これにより、帯電特性、定着特性等の特性のバラツキが特に小さくなり、トナー全体としての信頼性がさらに向上する。
図1は、本発明のトナーの製造に用いられるトナー製造装置の第1実施形態を模式的に示す縦断面図、図2は、図1に示すトナー製造装置のヘッド部付近の拡大断面図である。
まず、本発明で用いる分散液6について説明する。本発明のトナーは、分散液6を用いて製造されるものである。分散液としては、例えば、懸濁液(サスペンション)や乳化液(エマルション、乳濁液、乳状液)等が挙げられる。なお、本明細書中において、「懸濁液」とは、液状の分散媒中に、固体(固形)の分散質(懸濁粒子)が分散した分散液(懸濁コロイドを含む)のことを指し、「乳化液(エマルション、乳濁液、乳状液)」とは、液状の分散媒中に、液状の分散質(分散粒子)が分散した分散液のことを指す。また、分散液中には、固体状の分散質と、液状の分散質とが併存していてもよい。このような場合、分散液中における分散質のうち、固体状の分散質の占める割合が液状の分散質の占める割合よりも大きいものを懸濁液といい、液状の分散質の占める割合が固体状の分散質の占める割合よりも大きいものを乳化液という。また、特に、本発明で用いる分散液は脱気処理が施されたものであるのが好ましい。脱気処理については、後に詳述する。
分散液6は、分散媒62中に分散質(分散相)61が微分散した構成となっている。
分散媒62は、後述する分散質61を分散可能なものであればいかなるものであってもよいが、主として、一般に溶媒として用いられているような材料(以下、「溶媒材料」ともいう)で構成されたものであるのが好ましい。
このような材料としては、例えば、水、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、フルフリルアルコール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物系溶媒、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、アクリルアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
なお、分散媒62中には、上述した材料以外の成分が含まれていてもよい。例えば、分散媒62中には、後に分散質61の構成成分として例示する材料や、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の無機系微粉末、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の有機系微粉末等の各種添加剤等が含まれていてもよい。
分散質61は、通常、少なくとも、主成分としての樹脂またはその前駆体(以下、これらを総称して、「樹脂材料」とも言う)を含む材料で構成されている。樹脂の前駆体としては、例えば、当該樹脂のモノマー、ダイマー、オリゴマー等が挙げられる。
以下、分散質61の構成材料について説明する。
樹脂(バインダー樹脂)としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、後述するトナー製造装置の固化部において、分散質61中の原料を重合反応させることによりトナーを製造する場合には、通常、上記の樹脂材料のモノマー、ダイマー、オリゴマー等を用いる。
また、分散質61を構成する樹脂のガラス転移点は、50〜70℃であるのが好ましい。これにより、後述する分散媒除去工程において、好適な凝集体9を効率良く得ることができる。なお、分散質61を構成する樹脂材料が複数種の樹脂材料(樹脂成分)で構成されたものである場合、樹脂のガラス転移点として、これらの各成分の重量基準の加重平均値として求められる値を採用することができる。
また、分散質61を構成する樹脂の融点は、90〜150℃であるのが好ましい。これにより、後述する接合工程を効率良く行うことができる。なお、分散質61を構成する樹脂材料が複数種の樹脂材料(樹脂成分)で構成されたものである場合、樹脂の融点として、これらの各成分の重量基準の加重平均値として求められる値を採用することができる。
分散質61中には、その成分の少なくとも一部を溶解する溶媒が含まれていてもよい。これにより、例えば、分散液6中における分散質61の流動性を高めることができ、分散液6中における分散質61を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのバラツキの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られるトナー(トナー粒子)は、粒子間での大きさ、形状のバラツキが小さく、円形度の大きいものとなる。
また、溶媒は、前述した分散媒62との相溶性が低いもの(例えば、25℃における分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、分散液6中において、分散質61を安定した状態で微分散させることができる。
例えば、溶媒としては、水、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、フルフリルアルコール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物系溶媒、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、アクリルアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。この中でも特に、有機溶媒を含むものであるのが好ましく、エーテル系溶媒、セロソルブ系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、芳香族複素環化合物系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化合物系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒、ニトロ系溶媒、アルデヒド系溶媒から選択される1種または2種以上を含むものであるのがより好ましい。このような溶媒を用いることにより、分散質61中において、比較的容易に、前述したような各成分を十分均一に分散させることができる。
ワックスの軟化点は、特に限定されないが、50〜180℃であるのが好ましく、60〜160℃であるのがより好ましい。
分散液6中における分散剤の含有量は、特に限定されないが、3.0wt%以下であるのが好ましく、0.01〜1.0wt%であるのがより好ましい。
分散助剤は、分散剤と併用するものであるのが好ましい。分散液6が分散剤を含むものである場合、分散液6中における分散助剤の含有量は、特に限定されないが、2.0wt%以下であるのが好ましく、0.005〜0.5wt%であるのがより好ましい。
前記磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、分散液6中には、分散質61以外の成分が、不溶分として分散していてもよい。例えば、分散液6中には、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の無機系微粉末、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の有機系微粉末等が分散していてもよい。
分散液6中における分散質61の平均粒径は、特に限定されないが、0.05〜1.0μmであるのが好ましく、0.1〜0.8μmであるのがより好ましい。分散質61の平均粒径がこのような範囲の値であると、最終的に得られるトナー粒子は、十分に円形度が高く、各粒子間での特性、形状の均一性に優れたものとなる。
分散質61が液状(例えば、溶液状態、溶融状態)のものである場合、分散媒62中に微分散した分散質61の平均粒径を、比較的容易に、上記のような範囲の値にすることができる。また、分散質61が液状のものである場合、各分散質61間での形状、大きさのバラツキを特に小さいものとすることができるため、最終的に得られるトナーは、各トナー粒子間での形状、大きさのバラツキが特に小さいものとなる。
また、分散液6が乳化液(エマルション)である場合、当該分散液6は、O/W型エマルション、すなわち、水性の分散媒62中に、油性(ここでは、水に対する溶解度が小さい液体のことを指す)の分散質61が分散したものであるのが好ましい。これにより、各粒子間での形状、大きさのバラツキが小さいトナーを安定的に製造することができる。また、分散媒62に水性の液体を用いることにより、後述するようなトナー製造装置の固化部における有機溶媒の揮発量を少なく、または実質的に有機溶媒を揮発しないものとすることができる。その結果、環境に対して悪影響を極めて与えにくい方法でトナーを製造することができる。
まず、水または水との相溶性に優れる液体(水溶性の液体)に、必要に応じて分散剤および/または分散媒を添加した水性溶液を用意する。
一方、トナーの主成分となる樹脂またはその前駆体(以下、これらを総称して、「樹脂材料」とも言う)を含む樹脂液を調製する。樹脂液の調製には、例えば、樹脂材料に加えて前述した溶媒を用いてもよい。また、樹脂液は、樹脂材料を加熱することにより得られる溶融した液体であってもよい。
まず、水または水との相溶性に優れる液体に、必要に応じて分散剤および/または分散媒を添加した水性溶液を用意する。
一方、樹脂材料を含む、粉末状または粒状の材料を用意する。
また、分散液6は、以下のような方法(第3の方法)によっても、調製することができる。
まず、少なくとも樹脂材料を分散してなる樹脂分散液と、少なくとも着色剤を分散してなる着色剤分散液とを調製する。
所定時間、攪拌することにより、樹脂材料、着色剤等が凝集した凝集物が形成される。その結果、前記凝集物が分散質61として分散した分散液6が得られる。
また、上記のような分散液の調製方法において、樹脂材料(結着樹脂)を含む混練物を用いてもよい。すなわち、上述した第1の方法、第3の方法での「樹脂材料」として、樹脂材料を含む混練物を用いてもよいし、第2の方法での「粉末状または粒状の材料」として、樹脂材料を含む混練物を用いてもよい。これにより、例えば、トナー粒子を、各構成成分がより均一に混ざり合ったものとして得ることができる。特に、トナーの構成成分として、分散性、相溶性に劣る2種以上の成分を含む場合であっても、上記のような効果を得ることができる。なお、混練物としては、例えば、樹脂成分以外の成分(例えば、着色剤、ワックス、帯電制御剤等の成分)を含むものを用いることができる。これにより、上記のような効果はさらに顕著なものとなる。
脱気処理の方法として減圧法を用いる場合、分散液が置かれる雰囲気の圧力は、80kPa以下であるのが好ましく、0.1〜40kPaであるのがより好ましく、1〜27kPaであるのがさらに好ましい。脱気処理時における雰囲気圧力がこのような範囲内の値であると、分散液6中における分散質61の形状を十分に保持しつつ、溶存する気体を効率良く除去することができる。
トナー製造装置1は、上述したような分散液6(特に、脱気処理を施した分散液6)を吐出するヘッド部2と、ヘッド部2に分散液6を供給する分散液供給部4と、ヘッド部2から吐出された分散液6が搬送される固化部3と、製造された凝集体9を回収する回収部5とを有している。ヘッド部2から吐出された分散液6は、固化部3において分散媒61が除去される。その結果、分散質61由来の複数個の微粒子が凝集した凝集体9が得られる(分散媒除去工程)。分散媒除去工程は、後述する接合工程より温和な条件で行うのが好ましい。これにより、ヘッド部2から吐出された液滴状の分散液6の形状(略球形状)を保持しつつ、分散媒62を除去することができ、得られる凝集体9は比較的円形度の大きいものとなる。
分散液供給部4は、ヘッド部2に分散液6を供給する機能を有するものであればよいが、図示のように、分散液6を攪拌する攪拌手段41を有するものであってもよい。これにより、例えば、分散質61が分散媒中に分散しにくいものであっても、分散質61が十分均一に分散した状態の分散液6を、ヘッド部2内に供給することができる。
分散液貯留部21には、上述したような分散液6が貯留されている。
分散液貯留部21に貯留された分散液6は、圧電素子22の圧力パルス(圧電パルス)により、吐出部23から固化部3に吐出される。
このように、本発明では、吐出液として分散液を用いる点に特徴を有する。これにより、以下のような効果が得られる。
吐出部23が略円形状のものである場合、その直径(ノズル径)は、例えば、5〜500μmであるのが好ましく、10〜200μmであるのがより好ましい。吐出部23の直径が前記下限値未満であると、目詰まりが発生し易くなり、吐出される分散液6の大きさのバラツキが大きくなる場合がある。一方、吐出部23の直径が前記上限値を超えると、分散液貯留部21の負圧と、ノズルの表面張力との力関係によっては、吐出される分散液6が気泡を抱き込んでしまう可能性がある。
また、ヘッド部2の吐出部23付近(特に、吐出部23の開口内面や、ヘッド部2の吐出部23が設けられている側の面(図中の下側の面))は、疎水化処理が施されているのが好ましい。これにより、例えば、分散液6の分散媒62が主として水で構成されたものである場合に、上記のような撥液性をより好適に発揮することができ、上記のような効果がより顕著なものとして現れる。疎水化処理の方法としては、例えば、疎水性材料(例えば、前述した撥液性を有する材料)で構成された被膜の形成等が挙げられる。ところで、水は、各種液体の中でも比較的高い粘性を有するものであるが、このような水を分散媒62の構成材料として用いても、分散液6が吐出部付近に付着すること等による不都合の発生が効果的に防止される。したがって、ヘッド部2の吐出部23付近に疎水化処理が施されていると、有機溶媒を実質的に含まない、または、ほとんど含まない分散液6を好適に用いることができ、環境に対して悪影響を極めて与えにくい方法でトナーを製造することができる。
この圧電素子22は、振動源として機能するものであり、振動板24は、圧電素子(振動源)22の振動により振動し、分散液貯留部21の内部圧力を瞬間的に高める機能を有するものである。
このように、分散液6の吐出(噴射)を、圧電体222の振動による圧力パルスで行うことにより、分散液6を一滴ずつ間欠的に吐出することができ、また、吐出される分散液6の形状が安定する。その結果、各粒子(各トナー粒子)間での形状、大きさのバラツキの小さい樹脂粒子(トナー)を得ることができるとともに、製造されるトナー粒子を真球度の高いもの(幾何学的に完全な球形に近い形状)にすることが比較的容易にできる。
また、分散液の吐出に圧電体の振動を用いることにより、より確実に分散液を所定間隔で吐出することができる。このため、吐出される粒状の分散液同士が、衝突、凝集するのを効果的に防止することができ、異形状の粉末の形成をより効果的に防止することができる。
また、ヘッド部2から吐出される分散液6の粘度は、特に限定されないが、例えば、0.5〜200[mPa・s]であるのが好ましく、1〜25[mPa・s]であるのがより好ましい。分散液6の粘度が前記下限値未満であると、吐出される粒子(粒状の分散液6)の大きさを十分に制御するのが困難となり、最終的に得られるトナー粒子のバラツキが大きくなる場合がある。一方、分散液6の粘度が前記上限値を超えると、形成される粒子の径が大きくなり、分散液6の吐出速度が遅くなるとともに、分散液6の吐出に要するエネルギー量も大きくなる傾向を示す。また、分散液6の粘度が特に大きい場合には、分散液6を液滴として吐出できなくなる。
各ヘッド部2は、ほぼ同時に分散液6を吐出するものであってもよいが、少なくとも隣り合う2つのヘッド部で、分散液6の吐出タイミングが異なるように制御されたものであるのが好ましい。これにより、隣接するヘッド部2から吐出された粒状の分散液6が固化する前(凝集体9になる前)に、粒状の分散液(液滴)同士が衝突し、これらが凝集するのをより効果的に防止することができる。
また、ガス噴射口7からガスが噴射されることにより、各ヘッド部2から吐出される粒子の間に気流カーテンが形成され、例えば、隣り合うヘッド部から吐出された各粒子間での衝突、凝集をより効果的に防止することが可能となる。
また、このようなガス流供給手段10を有すると、ガス流の供給量を調整すること等により、吐出部23から吐出された分散液6の固化速度等を容易にコントロールすることも可能となる。
分散液6中に含まれる分散質61の粒径は、通常、得られる凝集体9(吐出される粒状の分散液6)に比べて、十分に小さいものである。したがって、得られる凝集体9は、十分に円形度の大きいものとなる。
また、上記のように、本発明では吐出部23の面積を極端に小さくする必要がないので、比較的容易に、各ヘッド部2から吐出される分散液6の粒度分布を、十分にシャープなものとすることができる。その結果、最終的に得られるトナーも、各粒子間での粒径のバラツキの小さいもの、すなわち、粒度分布がシャープなものとなる。
トナーの製造時において、ハウジング31内は、所定範囲の温度に保たれているのが好ましい。これにより、製造条件の差による各トナー粒子(凝集体9)間での特性のバラツキを少なくすることができ、トナー全体としての信頼性が向上する。また、例えば、ハウジング31内は、その長手方向(分散液6、凝集体の搬送方向)に、互いに異なる温度の複数の領域を有していてもよい。これにより、異形状の凝集体9(トナー粒子)が発生するのを防止しつつ、より円滑に分散媒62を除去し、凝集体9(トナー粒子)の生産性の向上等を図ることができる。
また、図示の構成では、ハウジング31内の圧力は、圧力調整手段12により調整される構成となっている。このように、ハウジング31内の圧力を調整することにより、吐出された分散液6中の分散媒62を効率良く除去することが可能となり、トナーの生産性が向上する。なお、図示の構成では、圧力調製手段12は、接続管121でハウジング31に接続されている。また、接続管121のハウジング31と接続する端部付近には、その内径が拡大した拡径部122が形成されており、さらに、凝集体9等の吸い込みを防止するためのフィルター123が設けられている。
通常、トナー粒子や、その製造中間体としての凝集体9は、正または負に帯電している。このため、凝集体9(分散液6)と異なる極性に帯電した帯電物があると、凝集体9は、当該帯電物に、静電的に引き付けられ付着するという現象が起こる。一方、凝集体9と同じ極性に帯電した帯電物があると、当該帯電物と凝集体9とは、互いに反発しあい、前記帯電物表面に凝集体9が付着するという現象を効果的に防止することができる。したがって、ハウジング31の内面側に、粒状の分散液6(凝集体9)と同じ極性の電圧を印加することにより、ハウジング31の内面に分散液6(凝集体9)が付着するのを効果的に防止することができる。これにより、異形状のトナー粉末の発生をより効果的に防止することができるとともに、凝集体9の回収効率も向上する。
上記のような分散媒除去工程の処理時間(分散液6液滴状に噴射されてから凝集体9が回収部5に回収されるまでの時間)は、5〜120秒であるのが好ましく、5〜60秒であるのがより好ましく、5〜20秒であるのがさらに好ましい。分散媒除去工程の処理時間がこのような範囲内の値であると、得られる凝集体9の強度を十分なものとしつつ(回収部9内や、後述する接合工程に供されるまでに凝集体9が分解、崩壊するのを十分に防止しつつ)、トナーとしての生産性を十分に高めることができる。
このように、本発明では、一旦、凝集体を形成した後に、凝集体を構成する微粒子を溶融接合する接合工程を有する点に特徴を有する。これにより、均一な形状を有する(特に、円形度の大きい略球形状の)樹脂粒子(トナー粒子)を、確実に得ることができるとともに、得られる樹脂粒子(トナー粒子)の機械的安定を優れたものとすることができる。すなわち、前述したような分散媒除去工程により、一旦、ある程度の形状の安定性を有し、かつ、円形度が比較的大きい(略球形状の)凝集体を得た後に、接合工程(接合処理)を行うことにより、凝集体の形状、大きさ等を基本的には保持しつつ、凝集体の表面付近に存在する凹凸の程度を緩和し、さらに、凝集体を構成する分散質由来の微粒子同士の結合力(接合強度)を向上させることにより、円形度の大きい略球形状の形状を有し、かつ、機械的安定性に優れた樹脂粒子(トナー粒子)を得ることができる。
接合工程(接合処理)における処理温度は、分散媒除去工程における処理温度よりも高いのが好ましい。これにより、微粒子の溶融接合を、より円滑に進行させることができる。また、凝集体9中に比較的多量の分散媒62等が含まれる場合であっても、分散媒等の含有量(残存量)を効果的に低減させることができ、さらには、最終的なトナー粒子中に実質的に分散媒等が残存しないようにすることができる。
また、接合工程(接合処理)における処理温度の具体的な値は、特に限定されないが、接合工程(接合処理)の処理時間が後述するような範囲内の値である場合、通常、50〜200℃であるのが好ましく、60〜150℃であるのがより好ましい。このような関係を満足することにより、構成成分の劣化、変性を十分に防止しつつ、得られるトナー粒子の形状の均一性、安定性を十分に高いものとし、さらに、トナー粒子の円形度を比較的大きいものとすることができる。
分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
また、外添処理に用いられる外添剤としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、チタニア、酸化亜鉛、アルミナ、マグネタイト等の金属酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、脂肪族金属塩等の無機材料で構成された微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族金属塩等の有機材料で構成された微粒子やこれらの複合物で構成された微粒子等が挙げられる。
以上のようにして製造される本発明のトナーは、均一な形状を有し、粒度分布のシャープな(幅の小さい)ものである。特に、本発明では、真球に近い形状のトナー粒子を得ることができる。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
また、トナーは、各粒子間での平均円形度の標準偏差が0.02以下であるのが好ましく、0.015以下であるのがより好ましく、0.01以下であるのがさらに好ましい。各粒子間での平均円形度の標準偏差が0.02以下であると、帯電特性、定着特性等のバラツキが特に小さくなり、トナー全体としての、信頼性がさらに向上する。
また、トナーは、各粒子間での粒径の標準偏差が1.5μm以下であるのが好ましく、1.3μm以下であるのがより好ましく、1.0μm以下であるのがさらに好ましい。各粒子間での粒径の標準偏差が1.5μm以下であると、帯電特性、定着特性等のバラツキが特に小さくなり、トナー全体としての、信頼性がさらに向上する。
本実施形態は、凝集体(トナー粒子)の製造に用いるトナー製造装置のヘッド部の構成が異なる以外は、前記第1実施形態と同様の構成を有する。
図3は、本実施形態のトナー製造装置のヘッド部付近の構造を模式的に示す図である。
このように、本実施形態では、分散液6として、より粘度の高い材料や、凝集力の大きい材料を用いた場合であっても、凝集体9を所望の形状、大きさにコントロールすることができるので、材料選択の幅が特に広くなり、所望の特性を有するトナーをさらに容易に得ることができる。
例えば、トナー製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、前述した実施形態では、粒状の分散液を鉛直下方に向けて吐出する構成について説明したが、分散液の吐出方向は、鉛直上方、水平方向等、いかなる方向であってもよい。また、図7に示すように、分散液6の吐出方向と、ガス噴射口7から噴射されるガスの噴射方向とが、ほぼ垂直となる構成のものであってもよい。この場合、吐出された粒状の分散液6は、ガス流によりその進行方向が変わり、吐出部23からの吐出方向に対してほぼ直角に搬送されることになる。
さらに、前記第2実施形態では、音響レンズ25と吐出部23との間に、分散液6のみを介在させた構成について説明したが、例えば、図4〜図6に示すように、音響レンズ25と吐出部23との間に、吐出部23に向けて、収斂する形状を有する絞り部材13等を配置してもよい。これにより、圧電素子22が発生した圧力パルス(振動エネルギー)の収束を補助することができ、圧電素子22が発生した圧力パルスをさらに効率良く利用することができる。
また、前述した実施形態では、樹脂粒子としてトナー粒子を製造する方法について説明したが、本発明が適用される樹脂粒子は、トナー粒子に限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、粉体塗料などにも好適に適用することができる。
(実施例1)
まず、結着樹脂としてエポキシ樹脂(ガラス転移点Tg:60℃、融点Tm:110℃):100重量部、着色剤としてフタロシアニン顔料(大日精化社製、フタロシアニンブルー):5重量部、溶媒としてテトラヒドロフラン(和光純薬社製):300重量部を用意した。
一方、分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製、平均重合度n=2700〜7500):10重量部をイオン交換水:590重量部に溶解した水溶液(水性溶液)を用意した。
その後、得られた結着樹脂懸濁液(分散液)に脱気処理を施した。脱気処理は、攪拌した状態の結着樹脂懸濁液(分散液)を、14kPaの雰囲気中に10分間置くことにより行った。脱気処理時における雰囲気温度は、25℃であった。このようにして得られた結着樹脂懸濁液(分散液)中における固形分(分散質)濃度は、10wt%であった。また、結着樹脂懸濁液(分散液)の25℃における粘度は、2mPa・sであった。また、結着樹脂懸濁液を構成する分散質の平均粒径Dmは、0.4μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
その後、凝集体に接合処理を施すことにより、トナー粒子を得た。接合処理は、サーヒュージングシステム(日本ニューマチック工業社製、SFS−3型)を用いて行った。接合処理は、処理温度(熱風温度):70℃、熱風風量:1m3/分、分散風量:0.1m3/分、原料投入速度:0.5kg/時間、吸引風量:10m3/分という条件で行った。また、個々の凝集体(各粒子)についての接合処理時間は、3秒であった。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象の粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象の粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
結着樹脂として、アクリル樹脂(ガラス転移点Tg:52℃、融点Tm:105℃)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(実施例3)
結着樹脂として、ポリカーボネート樹脂(ガラス転移点Tg:55℃、融点Tm:95℃)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
分散液の吐出時における、ガス噴射口から噴射するガス(空気)の温度を110℃とし、ハウジング内の温度(雰囲気温度)を70〜90℃とし、固化部で回収された凝集体に接合工程を施さず、そのままトナー粒子とした以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
結着樹脂として、アクリル樹脂(ガラス転移点Tg:52℃、融点Tm:105℃)を用いた以外は、前記比較例1と同様にしてトナーを製造した。
(比較例3)
まず、結着樹脂としてアクリル樹脂(ガラス転移点Tg:52℃、融点Tm:105℃):300重量部、着色剤としてフタロシアニン顔料(大日精化社製、フタロシアニンブルー):15重量部、帯電制御剤としてサリチル酸Cr錯体(ボントロンE−81、オリエント化学工業社製):3重量部、ワックスとしてカルナウバワックス:9重量部、溶媒としてトルエン(和光純薬社製):300重量部を用意した。
このようにして得られた結着樹脂溶液(樹脂液)を吐出液として用いた以外は、前記比較例1と同様にしてトナーを製造した。
前記実施例1〜3で得られたトナー粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、これらの表面形状を観察した。実施例1〜3のトナー粒子では、その表面に比較的大きな凹凸は認められず、略球形状をなしていることが確認された。一方、各比較例のトナー粒子では、比較的大きな凹凸を有しており、各粒子間での形状のバラツキも大きいことが確認された。
以上の各実施例および各比較例について、トナーの製造条件を表1に示した。なお、表1中、比較例3の分散媒除去工程での条件に関する欄には、固化部内の条件(溶媒除去工程での条件)を示した。
上記のようにして得られた各トナーについて、耐久性、転写効率の評価を行った。
[2.1]耐久性
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーを、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製:LP−2000C)の現像機にセットした。その後、印字しないように、現像機を連続回転させた。12時間後、現像機を取り出し、現像ローラ上のトナー薄層の均一性を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:薄層に乱れがまったく認められない。
○:薄層に乱れがほとんど認められない。
△:薄層に多少の乱れが認められる。
×:薄層に筋状の乱れがはっきりと認められる。
以上のようにして得られた各トナーについて、転写効率の評価を行った。
転写効率は、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−2000C)を用いて、以下のように評価した。
感光体への現像工程直後(転写前)の感光体上のトナーと、転写後(印刷後)の感光体上のトナーとを、別々のテープを用いて採取し、それぞれの重量を測定した。転写前の感光体上のトナー重量をWb[g]、転写後の感光体上のトナー重量をWa[g]としたとき、(Wb−Wa)×100/Wbとして求められる値を、転写効率とした。
これらの結果を、トナー粒子の平均円形度R、円形度標準偏差、体積基準の平均粒径Dt、粒径標準偏差とともに表2に示す。
これに対し、各比較例のトナーは、円形度が特に小さく、比較的大きな凸部を有しているトナー粒子が数多く認められた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
(実施例4)
まず、結着樹脂としてポリエステル樹脂(ガラス転移点Tg:59℃、融点Tm:155℃):100重量部、着色剤としてフタロシアニン顔料(大日精化社製、フタロシアニンブルー):5重量部、溶媒としてテトラヒドロフラン(和光純薬社製):300重量部を用意した。
一方、分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製、平均重合度n=2700〜7500):10重量部をイオン交換水:590重量部に溶解した水溶液(水性溶液)を用意した。
その後、得られた結着樹脂懸濁液(分散液)に脱気処理を施した。脱気処理は、攪拌した状態の結着樹脂懸濁液(分散液)を、14kPaの雰囲気中に10分間置くことにより行った。脱気処理時における雰囲気温度は、25℃であった。このようにして得られた結着樹脂懸濁液(分散液)中における固形分(分散質)濃度は、10wt%であった。また、結着樹脂懸濁液(分散液)の25℃における粘度は、2mPa・sであった。また、結着樹脂懸濁液を構成する分散質の平均粒径Dmは、0.4μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
その後、凝集体に接合処理を施すことにより、トナー粒子を得た。接合処理は、サーヒュージングシステム(日本ニューマチック工業社製、SFS−3型)を用いて行った。接合処理は、処理温度(熱風温度):70℃、熱風風量:1m3/分、分散風量:0.1m3/分、原料投入速度:0.5kg/時間、吸引風量:10m3/分という条件で行った。また、個々の凝集体(各粒子)についての接合処理時間は、3秒であった。
得られたトナー粒子は、含水量が0.3〜0.5wt%、平均円形度Rが0.978、円形度標準偏差が0.016であった。体積基準の平均粒径Dtは、6.5μmであった。体積基準の粒径標準偏差は0.8μmであった。なお、円形度の測定は、フロー式粒子像解析装置(東亜医用電子社製、FPIA−2000)を用いて、水分散系で行った。
ヘッド部内での分散液の温度、各工程での処理温度、処理時間を表3に示すように変更した以外は、前記実施例4と同様にしてトナーを製造した。
(実施例8)
結着樹脂として、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(ガラス転移点Tg:52℃、融点Tm:105℃)を用いた以外は、前記実施例4と同様にしてトナーを製造した。
ヘッド部内での分散液の温度、各工程での処理温度、処理時間を表3に示すように変更した以外は、前記実施例8と同様にしてトナーを製造した。
(実施例12)
結着樹脂として、エポキシ樹脂(ガラス転移点Tg:60℃、融点Tm:110℃)を用いた以外は、前記実施例4と同様にしてトナーを製造した。
ヘッド部内での分散液の温度、各工程での処理温度、処理時間を表3に示すように変更した以外は、前記実施例12と同様にしてトナーを製造した。
(実施例16)
結着樹脂として、アクリル樹脂(ガラス転移点Tg:52℃、融点Tm:105℃)を用いた以外は、前記実施例4と同様にしてトナーを製造した。
ヘッド部内での分散液の温度、各工程での処理温度、処理時間を表4に示すように変更した以外は、前記実施例16と同様にしてトナーを製造した。
(実施例20)
結着樹脂として、エポキシ樹脂(ガラス転移点Tg:60℃、融点Tm:110℃):50重量部と、アクリル樹脂(ガラス転移点Tg:52℃、融点Tm:105℃):50重量部との混合物を用いた以外は、前記実施例4と同様にしてトナーを製造した。
(実施例21〜23)
ヘッド部内での分散液の温度、各工程での処理温度、処理時間を表4に示すように変更した以外は、前記実施例20と同様にしてトナーを製造した。
分散液の吐出時における、ガス噴射口から噴射するガス(空気)の温度を110℃とし、ハウジング内の温度(雰囲気温度)を70〜90℃とし、固化部で回収された凝集体に接合工程を施さず、そのままトナー粒子とした以外は、前記実施例4と同様にしてトナーを製造した。
結着樹脂として、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(ガラス転移点Tg:52℃、融点Tm:105℃)を用いた以外は、前記比較例4と同様にしてトナーを製造した。
(比較例6)
結着樹脂として、エポキシ樹脂(ガラス転移点Tg:60℃、融点Tm:110℃)を用いた以外は、前記比較例4と同様にしてトナーを製造した。
(比較例7)
結着樹脂として、アクリル樹脂(ガラス転移点Tg:52℃、融点Tm:105℃)を用いた以外は、前記比較例4と同様にしてトナーを製造した。
まず、結着樹脂としてエポキシ樹脂(ガラス転移点Tg:60℃、融点Tm:110℃):300重量部、着色剤としてフタロシアニン顔料(大日精化社製、フタロシアニンブルー):15重量部、帯電制御剤としてサリチル酸Cr錯体(ボントロンE−81、オリエント化学工業社製):3重量部、ワックスとしてカルナウバワックス:9重量部、溶媒としてトルエン(和光純薬社製):300重量部を用意した。
このようにして得られた結着樹脂溶液(樹脂液)を吐出液として用いた以外は、前記比較例4と同様にしてトナーを製造した。
前記実施例4〜23で得られたトナー粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、これらの表面形状を観察した。実施例4〜23のトナー粒子では、その表面に比較的大きな凹凸は認められず、略球形状をなしていることが確認された。一方、各比較例のトナー粒子では、比較的大きな凹凸を有しており、各粒子間での形状のバラツキも大きいことが確認された。
以上の実施例4〜23および比較例4〜8(以下、各実施例および各比較例という)について、トナーの製造条件を表3、表4に示した。なお、表4中、比較例8の分散液の条件、分散媒除去工程での条件に関する欄には、それぞれ、溶液(吐出液)、固化部内の条件(溶媒除去工程での条件)を示した。
上記のようにして得られた各トナーについて、中空粒子の存在比率、耐久性、転写効率の評価を行った。
[4.1]中空粒子の存在比率
前記各実施例および前記各比較例で得られた各トナーについて、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、それぞれ、トナー粒子の内部構造の観察を行い、中空粒子の存在比率を、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:中空粒子の存在が全く認められない。
○:中空粒子の存在がわずかに認められるが、その存在比率は1%未満。
△:中空粒子の存在比率が1%以上3%未満。
×:中空粒子の存在比率が3%以上。
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーを、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製:LP−2000C)の現像機にセットした。その後、印字しないように、現像機を連続回転させた。12時間後、現像機を取り出し、現像ローラ上のトナー薄層の均一性を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:薄層に乱れがまったく認められない。
○:薄層に乱れがほとんど認められない。
△:薄層に多少の乱れが認められる。
×:薄層に筋状の乱れがはっきりと認められる。
以上のようにして得られた各トナーについて、転写効率の評価を行った。
転写効率は、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−2000C)を用いて、以下のように評価した。
感光体への現像工程直後(転写前)の感光体上のトナーと、転写後(印刷後)の感光体上のトナーとを、別々のテープを用いて採取し、それぞれの重量を測定した。転写前の感光体上のトナー重量をWb[g]、転写後の感光体上のトナー重量をWa[g]としたとき、(Wb−Wa)×100/Wbとして求められる値を、転写効率とした。
これらの結果を、トナー粒子の平均円形度R、円形度標準偏差、体積基準の平均粒径Dt、粒径標準偏差とともに表5に示す。
これに対し、各比較例のトナーは、円形度が特に小さく、比較的大きな凸部を有しているトナー粒子が数多く認められた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
Claims (44)
- 樹脂材料を含む分散質が、分散媒中に微分散した分散液を用いて、主として樹脂材料で構成された樹脂粒子を製造する方法であって、
前記分散液を微粒子化してヘッド部から噴射し、固化部内を搬送させつつ、前記分散媒を除去し、前記分散質由来の複数個の微粒子が凝集した凝集体を得る分散媒除去工程と、
前記凝集体を構成する複数個の前記微粒子同士を溶融接合する接合工程とを有することを特徴とする樹脂粒子の製造方法。 - 前記分散媒除去工程を、前記樹脂材料のガラス転移点以下の処理温度で行い、かつ、前記接合工程を、前記樹脂材料のガラス転移点以上の処理温度で行う請求項1に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記ヘッド部から噴射される分散液の温度は、前記分散媒除去工程における処理温度とほぼ同等またはそれより低いものである請求項1または2に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記接合工程を、前記樹脂材料のガラス転移点以上で、かつ、前記樹脂材料の融点以下の温度で行う請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 圧電パルスにより、前記分散液を間欠的に吐出する請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記ヘッド部が、前記分散液を貯留する分散液貯留部と、前記分散液貯留部に貯留された前記分散液に圧電パルスを加える圧電体と、前記圧電パルスにより前記分散液を吐出する吐出部とを有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記吐出部は、略円形状をなすものであり、その直径が5〜500μmである請求項6に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記圧電パルスの周波数が1kHz〜500MHzである請求項5ないし7のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記接合工程における処理温度は、前記分散媒除去工程における処理温度よりも高い請求項1ないし8のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散媒除去工程における処理温度をT1[℃]、前記接合工程における処理温度をT2[℃]としたとき、0≦T2−T1≦200の関係を満足する請求項1ないし9のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散媒除去工程における処理温度をT1[℃]、前記樹脂材料のガラス転移点をTg[℃]としたとき、0≦Tg−T1≦70の関係を満足する請求項1ないし10のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記接合工程における処理温度をT2[℃]、前記樹脂粒子を構成する前記樹脂材料の融点をTm[℃]としたとき、−100≦T2−Tm≦110の関係を満足する請求項1ないし11のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散媒除去工程に供される前記分散液は、脱気処理が施されたものである請求項1ないし12のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記脱気工程は、分散液を80kPa以下の雰囲気中に置くことにより行う請求項13に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散媒は、主として水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものである請求項1ないし14のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散液は、懸濁液である請求項1ないし15のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散液は、樹脂材料を含む材料を、少なくとも水を含む液体中に投入することにより調製したものである請求項1ないし16のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散液は、少なくとも樹脂材料とその少なくとも一部を溶解する溶媒とを含む樹脂液と、少なくとも水を含む水性液とを混合する混合工程を経て調製されたものである請求項1ないし17のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記樹脂液と前記水性液との混合は、前記水性液中に、前記樹脂液の液滴を滴下することにより行う請求項18に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散液は、前記混合工程の後、前記溶媒の少なくとも一部を除去することにより調製したものである請求項18または19に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記溶媒の除去は、加熱により行う請求項20に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散液中における前記分散質の平均粒径は、0.05〜1.0μmである請求項1ないし21のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散液中における前記分散質の平均粒径をDm[μm]、製造されるトナー粒子の平均粒径をDt[μm]としたとき、0.005≦Dm/Dt≦0.5の関係を満足する請求項1ないし22のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散液中における前記分散質の含有量は、1〜99wt%である請求項1ないし23のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記ヘッド部から吐出される前記分散液の一滴分の吐出量が0.05〜500plである請求項1ないし24のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記ヘッド部から吐出される前記分散液の平均粒径をDd[μm]、前記分散液中における前記分散質の平均粒径をDm[μm]としたとき、Dm/Dd<0.5の関係を満足する請求項1ないし25のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記ヘッド部から吐出される前記分散液の平均粒径をDd[μm]、製造されるトナー粒子の平均粒径をDt[μm]としたとき、0.05≦Dt/Dd≦1.0の関係を満足する請求項1ないし26のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記ヘッド部から吐出する前記分散液は、ほぼ一方向に流れるガス流中に放出される請求項1ないし27のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 複数個の前記ヘッド部から前記分散液を吐出する請求項1ないし28のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 互いに隣接する前記ヘッド部の間から気体を噴射しつつ、前記分散液を吐出する請求項29に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 互いに隣接する前記ヘッド部の間から噴射される前記気体の湿度は、50%RH以下である請求項30に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 複数個の前記ヘッド部のうち、少なくとも隣り合う2つからの前記分散液の吐出タイミングをずらす請求項29ないし31のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記固化部に、前記分散液と同じ極性の電圧を印加した状態で、前記分散液を吐出する請求項1ないし32のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記ヘッド部から吐出する前記分散液の初速度は、0.1〜10m/秒である請求項1ないし33のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記ヘッド部内における前記分散液の粘度は、0.5〜200[mPa・s]である請求項1ないし34のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記固化部内の圧力は、150kPa以下である請求項1ないし35のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記分散液を加温した状態で、前記ヘッド部から吐出する請求項1ないし36のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記ヘッド部から吐出された前記分散液を、前記固化部で加温する請求項1ないし37のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記樹脂粒子は、トナー粒子またはトナー粒子の製造に用いられる粒子である請求項1ないし38のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 請求項39に記載の方法を用いて製造されたことを特徴とするトナー。
- 平均粒径が2〜20μmである請求項40に記載のトナー。
- 各粒子間での粒径の標準偏差が1.5μm以下である請求項40または41に記載のトナー。
- 下記式(I)で表される平均円形度Rが0.95以上である請求項40ないし42のいずれかに記載のトナー。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。) - 各粒子間での平均円形度の標準偏差が0.02以下である請求項40ないし43のいずれかに記載のトナー。
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