JP2005194117A - 凍結防止硬化材およびそれを含む凍結防止硬化体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 冬季の降雪・降雨による凍結を抑制することができる道路等の表層部分の舗装体として、凍結防止硬化体およびそれに用いる材料を提供する。
【解決手段】 本発明の凍結防止硬化体1は、アスファルト舗装体2の上に、道路等の表層部分として形成されるものであって、開粒度アスファルト混合物3の連続空隙内に凍結防止硬化材4を充填してなる。凍結防止硬化材4は、セメントと、セピオライトの如き繊維状のホルマイト系粘土鉱物と、減水剤とを含む。保水性硬化材4の材料であるホルマイト系粘土鉱物の配合量は、セメント100質量部に対して3〜150質量部である。また、凍結防止硬化体に塩化カルシウム等の塩類を付着させてその効果を更に高めることができる。
【選択図】 図1






Description

本発明は、車道、歩道、駐車場、建造物の屋上等の表面部分を構成する硬化体に関し、特に、冬季に表面凍結を抑制することができる凍結防止硬化体、およびその材料に関する。
従来より、セメント等の材料に、セピオライト等のホルマイト系粘土鉱物を添加して、セメント組成物の物性を向上させることが知られている。
例えば、セメントと、セピオライトの如きホルマイト鉱物と、軽量骨材と、特定のエマルジョン系混和剤とを特定の配合割合で混合してなるグラウト材組成物は、ホルマイト鉱物が吸水性を有することから、ブリーディングの発生を防止することができ、また、ホルマイト鉱物がチキソトロピー性を有することから、良好な保形性および可塑性を有することができる(特許文献1参照)。
またセメントと砂と水とを混練する際に、セメントが水と反応してできる水和物の結晶よりも大きな繊維状物質(例えば、セピオライト等の繊維状粘土鉱物)を添加し混入させることによって、引張り応力が著しく向上したモルタル・コンクリートを得ることができる(特許文献2参照)。上述の特許文献1や特許文献2の技術では、セピオライト等のホルマイト系粘土鉱物は、ブリーディングの発生の防止や、引張り応力の向上等のために、モルタルやコンクリートの材料として用いられている。しかし、従来、セピオライト等のホルマイト系粘土鉱物を含む道路の舗装体及びこの舗装体が凍結防止効果を有することは知られていない。
特開2001−19528号公報(特許請求の範囲、段落番号0013〜0015) 特開平5−238800号公報(段落番号0006〜0009)
冬季には、コンクリート建造物や道路の舗装体が降雪または降雨により気温低下時に凍結し、交通障害が生じる。道路の舗装体等が凍結し、走行車両が車輪に金属性あるいはゴム製などの鎖を巻きつけるなどの装備が必要とされている。そのため、舗装体の表面凍結を防止あるいは抑制し得るような舗装材料が求められている。
そこで、本発明は、冬季に表面の凍結現象を防止あるいは抑制することができる舗装体等の硬化体、およびそれに用いる材料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、セメントと、セピオライトの如きホルマイト系粘土鉱物と、水とを含む凍結防止硬化材を調製したうえで、当該凍結防止硬化材を、開粒度アスファルト混合物の如き多孔質硬化体の連続空隙内に充填させることによって、表面凍結を防止あるいは抑制し得る凍結防止硬化体を得ることができることを見出し、更に所謂寒剤として用いられる金属塩類を浸透状態で付着させることにより、本発明を完成した。すなわち、本発明(請求項1)の凍結防止硬化材は、セメントと、ホルマイト系粘土鉱物とを含むことを特徴としている。本発明の凍結防止硬化材は、ホルマイト系粘土鉱物を含むため、良好な吸水性および保水性を有し、開粒度アスファルト混合物の如き多孔質硬化体の連続空隙気孔を有することとなり、降雨による水分が内部に吸収され、表面に水分が滞留して凍結することを抑制することができる。
前述の凍結防止硬化材において、前記ホルマイト系粘土鉱物の配合量は、前記セメント100質量部に対して3〜150質量部であることが好ましい(請求項2)。該配合量を前記数値範囲内に調整すれば、優れた機械的強度を確保しつつ、ホルマイト系粘土鉱物を配合することによる吸水性および保水性の向上の効果を十分に確保することができる。さらに、凍結防止性能の飛躍的向上に繋がる。
前述の凍結防止硬化材において、前記ホルマイト系粘土鉱物の好ましい具体例としては、例えば、セピオライトが挙げられる(請求項3)。
前述の凍結防止硬化材において、前記ホルマイト系粘土鉱物としては、好ましくは200%以上の保水率を有するもの(例えば200%以上の保水率を有するセピオライト)が挙げられる(請求項4)。保水率が高いセピオライトは、連続気孔が多いこととなり、この気孔が水分を吸収し、凍結抑止効果につながるものとおもわれる。さらに、セピオライトを含む凍結防止硬化材に吸収される水はこれを補足する細孔構造により凍結温度を低下させる傾向がある。
水を含む凍結防止硬化材は、凍結防止効果をさらに好適に発現するものである(請求項5)。水を含む凍結防止硬化材は、硬化前には流動性を有し、かつ硬化後には吸水性、保水性、凍結防止性等の物性を発現するものである。本発明(請求項6)の凍結防止硬化体は、連続空隙を有する多孔質硬化体(例えば、開粒度アスファルト混合物やポーラスコンクリート等の舗装体)と、該連続空隙内に充填された前記とからなることを特徴としている。このように構成することによって、冬季の雨天時に吸水し保水した凍結防止硬化材が、表面水分を内部に吸収し、表面凍結を防止する。晴天下では、徐々に水分を蒸発させ、凍結防止効果を保持することができる。更に請求項6記載の発明に、塩化アルカリ金属塩類、塩化アルカリ土類金属塩類又は酢酸塩類の中から選ばれた1種以上とを浸透状態で付着させたことを特徴とする凍結防止硬化体である(請求項7)。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の凍結防止硬化材は、セメントと、ホルマイト系粘土鉱物とを含むものである。
本発明で使用するセメントの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント等を使用することができる。
本発明で使用するホルマイト系粘土鉱物は、含水マグネシウム珪酸塩の如き含すると固まる性質)を有するとともに、内部に微細な連続空隙を有することから、優れた吸水性および保水性を有するものである。
ホルマイト系粘土鉱物の形態としては、例えば、繊維状、粉末状、粒状、板状等が挙げられる。
中でも、繊維状のホルマイト系粘土鉱物は、セメント等と共に凍結防止硬化材を調製した場合、硬化前においては、チキソトロピー性(揺変性)を発現するため、凍結防止硬化材の流動性を向上させ、ブリーディングを防止し、しかも、当該凍結防止硬化材を充填させるべき場所(例えば、開粒度アスファルト混合物の連続空隙内)における付着性を高めるとともに、硬化後においては、当該繊維状のホルマイト系粘土鉱物の構成単位である繊維状のものが相互に絡み合ったような形となって、大きな奥行寸法を有する多数の微細な隙間を生じさせ、優れた吸水性、保水性、凍結防止性を付与することができる。
なお、チキソトロピー性(揺変性)とは、剪断抵抗力を大きくすると粘度が小さくなり、逆に、剪断抵抗力を小さくすると粘度が大きくなる性質をいう。
ホルマイト系粘土鉱物の具体例としては、例えば、セピオライト(主成分:含水マグネシウムシリケート Mg8 Si12 O30 (OH2)4 (OH)4・8H2O)、アタパルジャイト(主成分:含水マグネシウムアルミニウムシリケート)、パルゴスカイト(主成分:含水マグネシウムアルミニウムシリケート)等が挙げられる。中でも、セピオライトは、原石を加工する過程で解繊することによって、繊維状の形態とすることができる。そして、繊維状のセピオライトは、セメント等と共に凍結防止硬化材を調製した場合、次のような利点を有する。すなわち、第一に、繊維状のセピオライトを含む凍結防止硬化材は、チキソトロピー性(揺変性)を有するため、優れた流動性(施工作業の容易性)、材料分離抵抗性(ブリーディングの防止)、および付着性(施工後の連続空隙内での定着性)を示す。第二に、繊維状セピオライトの内部の結晶構造が、蜂の巣のようなチャンネル構造になっており、このチャンネル構造中の多数の細長い細孔が、高い吸水力および保水カを発揮するため、繊維状のセピオライトを含む凍結防止硬化材は、吸水性、保水性、加えて凍結防止性に優れる。
第三に繊維状のセピオライトが吸水しても、当該セピオライトを含む保水性硬化材の膨張率が小さいことから、多孔質硬化体の連続空隙内で凍結防止硬化材が膨張して応力が発生したり、透水性が低下するおそれが少なく、多孔質硬化体に凍結防止硬化材を充填してなる凍結防止硬化体の耐久性等を向上させることができる。
本発明で用いるセピオライト(特に繊維状のもの)を調製するには、まず、天然鉱物であるセピオライト原石を粗砕機で粉砕した後、さらに微粉砕機(例えば、ハンマーミル、レイモンドミル、竪型ローラミル、ボールミル等)で粉砕し解繊する。解繊後、必要に応じて、水簸、篩分け、および分級の操作のいずれか単独またはこれらの2つ以上の操作の組み合わせによって、繊維形状を有するものの純度を高めるような処理を行なう。こうして得られたセピオライトを用いて、凍結防止硬化材を調製すれば、一層優れた凍結防止効果を得ることができる。
また、充分な凍結防止性能を付与するセピオライトを得るためには、粉砕条件を打撃力から剪断力を主とするものに限定すると効果的である。例えば、チューブミルで粉砕する場合、粉砕媒体に関し、セピオライト原石等に過度の衝撃カを与えず、揉み解すようなセン断力で解繊するものとなるように、条件を限定する必要がある。また、原石を粗砕後、水中で長時問かけて解繊する方法を採ることもできる。
本発明で用いる繊維状のセピオライトの長さ(繊維長)は、14μm以上のものが好適である。繊維状のセピオライトは、粉砕による繊維の折れが少なく、結果的にアスベクト比が大きく、保水性能が大きく、本発明において好適に用い得る材料である。
繊維状のセピオライトを10質量%のスラリーとし、その粘度をB型粘度計で測定すると、ロータが回転し始めて3回転目の粘度は、1,500cPs(センチポイズ)以上である。このように1 ,500cPs以上の粘度を有するスラリー(凍結防止硬化材)は、保水性能、凍結防止性能が高く、好適に用いられる。
本発明において、セピオライトの好適な保水率は、200%以上である。ここで、保水率とは、一定量のセピオライトを秤量し、大型濾紙上に載置した後、セピオライトがブリーディングを発生し始める時点まで水を加えて、その時点における質量の増加量を測定し、その結果算出されるセピオライトに保持された水量(質量)を、当初のセピオライトの質量で除することによって得られる値をいう。なお、水を加える際、濾紙上に挟持する形でセピオライトを支持し、ブリーディングによって発生した水は、一定の圧力を加えて、保持の不完全な水とともに濾紙に沁み込ませることによって除去される。高保水性能は、高水分吸収性能、高凍結防止に繋がる基本的性能である。
本発明において、塩化アルカリ金属類は、塩化カリウム等、塩化アルカリ土類金属塩は塩化マグネシウム等、酢酸塩類は、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等である。これらは、固体では、氷と固溶体を形成しないので、いわゆる寒剤としての機能もあり、低温度でも水溶液状態を保つことができる。従ってこれらは、単独でも凍結防止剤として用いられるが、金属に対する腐食性も懸念されている。また、ホルマイト系粘土鉱物を使用した充填材は、これら金属塩の水溶液を水と同様に吸収、保持する特性があり、これを強力に保持して、腐食性等の弊害を軽減させる。これは、保水性高分子樹脂等に見られない特長である。また、晴天時には、水分のみを除放し安定的に凍結性能を発揮する。
本発明の凍結防止硬化材において、ホルマイト系粘土鉱物の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは3〜150質量部、より好ましくは5〜120質量部、特に好ましくは20〜60質量部である。 該配合量が3質量部未満では、当該凍結防止硬化材を多孔質硬化体の連続空隙内に充填しても、十分な吸水性および保水性が得られないことがある。該配合量が150質量部を超えると、凍結防止硬化材の材料分離が生じ易くなったり、あるいは、曲げ強度等の機械的強度が低下して、多孔質硬化体の連続空隙内に当該凍結防止硬化材を充填することによる剛性及び耐久性の向上の効果を十分に得ることができなくなるなどの問題が生じ得る。
セメント、ホルマイト系粘土鉱物の合計量100質量部に対する水の配合量は、セメントとホルマイト系粘土鉱物の配合割合によって異なるが、通常、50〜150質量部、好ましくは60〜130質量部である。
本発明の凍結防止硬化材を調製するに際し、減水剤を配合することができる。減水剤を用いることによって、単位水量を増大させずに、凍結防止硬化材の流動性を向上させ、多孔質硬化体の連続空隙内に凍結防止硬化材を充填する際の作業性を向上させることができる。
減水剤の具体例としては、例えば、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤または高性能AE減水剤が挙げられる。減水剤の形態は、液体でも粉末状でもよい。
減水剤の配合量は、減水剤の種類によっても異なるが、通常、セメント100質量部に対して、固形分換算で0 .1〜9質量部である。
なお、減水剤以外の混和剤として、必要に応じて、凝結遅延剤等を用いてもよい。
本発明においては、必要に応じて、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、高炉スラグ、炭酸カルシウム等の無機質微粒子を、混和材として配合することができる。
無機質微粒子の配合割合は、セメント100質量部に対して、0〜40質量部、好ましくは0〜30質量部である。
セメント、ホルマイト系粘土鉱物及び塩類の合計量100質量部に対する水の配合量はセメントとホルマイト系粘土鉱物の配合割合によって異なるが、通常、50〜150質量部、好ましくは60〜130質量部である。
本発明の凍結防止硬化材を調製するには、二軸練りミキサ、パンタイプミキサ、揺動型ミキサ等のミキサに、凍結防止硬化材を構成する上述の各材料を投入して混練すればよい。この際、各材料の投入方法としては、セメント、ホルマイト系粘土鉱物、塩類、減水剤および水を一括して投入する方法や、水以外の材料(具体的には、セメント、ホルマイト系粘土鉱物、粉末状の減水剤)を予め混合してプレミックス材を調製した後、このプレミックス材を水と共にミキサに投入する方法等が挙げられる。
次に、本発明の凍結防止硬化体について説明する。本発明の凍結防止硬化体は、多孔質硬化体の連続空隙内に、上述の凍結防止硬化材を充填してなるものである。ここで、多孔質硬化体としては、例えば、開粒度アスファルト混合物や、ポーラスコンクリート等が挙げられる。
多孔質硬化体として開粒度アスファルト混合物を用いた場合、本発明の凍結防止硬化材は、アスファルト舗装を本体として用いることによるたわみ性と、上述の凍結防止硬化材(セメント質硬化体)による良好な剛性および耐久性とを備えているため半たわみ性舗装体として、特に、道路の交差点、バス停留所、空港等において好適に用いることができる。
多孔質硬化体としてポーラスコンクリートを用いた場合、本発明の凍結防止硬化体は、排水性、植物植栽性等の特性を有し得る舗装体として、特に、歩道、護岸、ビルの屋上等において好適に用いることができる。なおポーラスコンクリートとしては、例えば、粒径10〜40mm程度の粗骨材を含みかつ20〜40%程度の空隙率を有するものを用いることができる。
更に、多孔質硬化体と、該連続空隙内に充填された請求項5に記載の凍結防止硬化材と、塩化アルカリ金属塩類、塩化アルカリ土類金属塩類又は酢酸塩類の中から選ばれた1種以上とからなることを特徴とする凍結防止硬化体は、更に、塩化アルカリ金属塩類、塩化アルカリ土類金属塩類又は酢酸塩類の中から選ばれた1種以上(以下、塩類。)を浸透状態で付着させる。その方法は、充填材を構成するホルマイト系粘土鉱物の含有量に対して所定量の塩類を粉末の状態で、又は水溶液若しくは懸濁液の状態で散布する等の方法で硬化体に浸透させ、付着させる。この場合、ホルマイト系充填材100質量部に対して塩類相当分の50質量部以下を浸透・付着させたときは、特にホルマイト系充填材のみの効果と塩類の単独添加効果以上の凍結防止効果が視認できる。ホルマイト系粘土鉱物がそれに見合うだけの十分の塩類を担持できる塩類量だからである。50重量部以上でも、本相乗効果と塩類単独の凍結防止効果を発現させ、更に、塩類水溶液状態での流出によって失われる塩類の流失速度を減ずることができる。粉末状態で散布された場合は、積雪または降雨によって該塩類が寒剤として溶解し、あるいは溶液状態となって硬化体中に浸透し、付着する。また、当該塩類の水溶液または懸濁状態で付着させることもできる。
本発明の凍結防止硬化体の一例の施工方法を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の凍結防止硬化体の一例を模式的に示す断面図である。まず、既設のアスファルト舗装体2の上に、所定の厚さ(例えば、3〜10cm)となるように開粒度アスファルト混合物3を層状に打設して締め固める。これにより、アスファルト舗装体2を基層とし、開粒度アスファルト混合物3を表層とする積層体が形成される。なお、アスファルト舗装体2の材料としては、例えば、「道路工事設計基準」の規格に合致する基層用加熱アスファルト混合物を用いることができる。
次に、開粒度アスファルト混合物3の上面に、本発明の凍結防止硬化材4を供給し、開粒度アスファルト混合物3の連続空隙内に凍結防止硬化材4を自然流下または加圧によって充填する。この際、作業の効率化を図るために、バイブレータ等の充填手段を用いることが望ましい。凍結防止硬化材4の充填作業が終了すると、開粒度アスファルト混合物3の連続空隙内に凍結防止硬化材4を充填してなる凍結防止硬化体1、更にこれに図示していない塩類を浸透状態で付着させて本発明の実施例が完成する。浸透付着は、所定量の塩類を粉末状態で散布することが簡便である。

以下、本発明を実験例に基づいて説明する。
[1.使用材料]
セメント; 早強ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
ホルマイト系粘土鉱物; セピオライト(太平洋セメント社製)
減水剤; ナフタレンスルホン酸系の高性能AE減水剤マイティ150 (商品名;花王社製)
水; 水道水
塩類; 塩化カルシウム二水塩等
[2 .凍結防止硬化材の調製および物性の評価]
セメント、ホルマイト系粘土鉱物、減水剤の各材料を、表1に示す配合割合で混練り容器に入れ、高速ハンドミキサを用いて予め空練りし、プレミックス材を得た。次いで、得られたプレミックス材に水を加えて、再度、高速ハンドミキサで混練し、試料NO.1〜NO.8を調製した。
なお、表1中、セピオライトの添加量を増加させるにしたがって、水の添加量も増加させているのは、凍結防止硬化材(試料NO.1〜NO.8)の流動性(フロー値)をほぼ同じにするためである(表2を参照)。
得られた試料(NO.1〜NO.8)の流動性(フロー値)を、「土木学会コンクリー一ト標準示方書基準編(JSCA)のプレパックドコンクリート用注入モルタル試験方法」中の「流動性試験Pロート法」に準じて測定した。結果を表2に示す。
[3 .凍結防止硬化材の作製および物性の評価]
各試料(NO.1〜NO.8)を4cmx4cmx16cmの型枠内に充填し、24時間後に脱型して、凍結防止硬化材(ペ一スト)の試験体を得た。
脱型後、温度20℃ 、相対湿度65%にて凍結防止硬化材の試験体の気中養生を
行い、材齢7日における圧縮強度および曲げ強度を、「JIS R5201」に
準じて測定した。結果を表2に示す。
また、材齢7日の凍結防止硬化材の試験体を、60℃のエアーバス中で24時間乾燥した後、質量を測定した。次いで、乾燥後の凍結防止硬化材の試験体を、20Cの水中に24時間浸漬し、浸漬後の質量を測定した。エアーバスで乾燥した後の凍結防止硬化材の試験体の質量と、水中に浸漬した後の凍結防止硬化材の試験体の質量とに基づいて、以下の式によって、質量基準の吸水率(%)、および保水性硬化材試験体の単位体積当たりの吸水量(g/cm3)を算出した。
吸水率(質量%)=[(水中浸漬後の試験体の質量)−(乾燥後の試験体の質量)]×100/(乾燥後の試験体の質量)
吸水量(g/cm3)=[(水中浸漬後の試験体の質量)−(乾燥後の試験体
の質量)]×100/(乾燥後の試験体の体積)
結果を表2に示す。
また、塩類は、粉末状態での散布、添付、敷設または、水溶液状態もしくは懸濁状態での散布、塗布によって浸透付着をおこなうことができる。凍結防止効果は、例えば、表1に示す組成の塩類の所定量を浸透付着させた硬化体に、氷から調製した人工雪を氷点下5度Cの恒温室中で付着させ、目視により確認した。その結果を表2に示す。
Figure 2005194117
Figure 2005194117
表2から、セピオライトを配合していない比較例1では、吸水率(質量%)および単位体積当たりの吸水量(g/cm3)が小さいことがわかる。そして、塩化カルシウム二水塩を浸透付着させてもその凍結防止効果は十分ではない。一方、セピオライトを配合した実施例1〜7では、大きな吸水率(質量%)および単位体積当たりの吸水量(g/cm3)を得ている。そして、比較例1に見られない大きな凍結防止効果が認められる。なお、凍結防止硬化体で用いられる凍結防止体の標準的な性状は、一般に、材齢7日における圧縮強度で0 .5N/mm2 以上、材齢7日における曲げ強度で1.0N/mm2 以上とされている。実施例1〜7の凍結防止硬化材は、これらの条件を満たしている。実施例1〜7の凍結防止硬化材は、比較例1の硬化材と比べて、開粒度アスファルト混合物の如き多孔質硬化体(具体的には、道路等の表層の舗装体)の連続空隙内に充填した場合に、冬季における降雨、積雪による道路等の凍結防止をすることができる。
本発明の凍結防止硬化材は、ホルマイト系粘土鉱物、塩化カルシウム二水塩等を含むため、優れた吸水性、塩類の保持性を示し、凍結防止効果を有し、開粒度アスファルト混合物の如き道路等の表層を形成する多孔質硬化体の連続空隙内に充填することによって、冬季の降雪・降雨による凍結を抑制する。
本発明の凍結防止硬化体の一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 凍結防止硬化体
2 既設のアスファルト舗装体(基層)
3 開粒度アスファルト混合物(表層)
4 凍結防止硬化材

Claims (7)

  1. セメントと、ホルマイト系粘土鉱物を含むことを特徴とする凍結防止硬化材。
  2. 前記ホルマイト系粘土鉱物の配合量が、前記セメント100質量部に対して3〜150質量部である請求項1に記載の凍結防止硬化材。
  3. 前記ホルマイト系粘土鉱物がセピオライトである請求項1又は2に記載の凍結防止硬化材。
  4. 前記ホルマイト系粘土鉱物が200%以上の保水率を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の凍結防止硬化材。
  5. さらに水を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の凍結防止硬化材。
  6. 連続空隙を有する多孔質硬化体と、
    該連続空隙内に充填された請求項5に記載の凍結防止硬化材とからなることを特徴とする凍結防止硬化体。
  7. 連続空隙を有する多孔質硬化体と、
    該連続空隙内に充填された請求項5に記載の凍結防止硬化材と、
    該凍結防止硬化材が充填された該多孔質硬化体に浸透状態で付着された塩化アルカリ金属塩類、塩化アルカリ土類金属塩類又は酢酸塩類の中から選ばれた1種以上とからなることを特徴とする凍結防止硬化体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100334027C (zh) * 2006-01-18 2007-08-29 内蒙古西水创业股份有限公司 一种抗冻融水泥及其生产方法
WO2015124313A1 (de) * 2014-02-22 2015-08-27 Heidelbergcement Ag Trockenmörtel, mörtelslurry und verfahren zur herstellung von halbstarren belägen
JP2019011218A (ja) * 2017-06-30 2019-01-24 宇部興産株式会社 耐酸性混和材

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