JP2005187906A - 製鉄スラッジの塊成化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
製鉄スラッジを簡易に塊成化する方法、とくに、均一に混合できて塊成化物の品質にむらがなく、塊成化のためのコストならびに歩留の良好な技術を提案する。
【解決手段】
製鉄工程で発生するスラリー状製鉄スラッジ100質量部(乾量値)に対して、高炉スラグ微粉末を30質量部以上混合し、次いでその混合物を脱水し、その後、乾燥固化させることを特徴とする製鉄スラッジの塊成化方法。
【選択図】 なし
製鉄スラッジを簡易に塊成化する方法、とくに、均一に混合できて塊成化物の品質にむらがなく、塊成化のためのコストならびに歩留の良好な技術を提案する。
【解決手段】
製鉄工程で発生するスラリー状製鉄スラッジ100質量部(乾量値)に対して、高炉スラグ微粉末を30質量部以上混合し、次いでその混合物を脱水し、その後、乾燥固化させることを特徴とする製鉄スラッジの塊成化方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、製鉄スラッジの塊成化方法に関し、とくに金属水酸化物等を含む酸洗スラッジや中和スラッジ等のスラリー状製鉄スラッジを、シャフト炉や転炉、電気炉等の原料として利用可能な塊成化物にする技術に関するものである。
製鉄工程では、例えば、鋼材表面の酸洗処理に際し、金属分が溶出した廃液が発生する。金属分を含むこの廃液は、その後中和処理されるが、このとき前記金属成分が析出した酸洗スラッジや中和スラッジ等の製鉄スラッジを発生する。こうした製鉄スラッジ中に含まれる金属分は、鋼材の種類によっても異なるが、主として鉄であり、その他に、NiやCrなどの有用な金属を含有する。この意味において、前記スラリー状製鉄スラッジから、その中に含まれる金属分を回収して再利用することは有用である。そして、こうした製鉄スラッジを転炉用原料などとして再利用するためには、バインダーを添加してブリケットやペレット等として塊成化する必要がある。
しかしながら、これら製鉄スラッジ中の金属分は、主として水酸化物の形で存在し、微細で親水性が高いため、フィルタープレス等による脱水を行っても、なお多くの水分を含む粘土質のものとなるから、取り扱いが困難である。また、このスラッジは、自然乾燥は困難であるから、ロータリーキルン等の専用の乾燥機を用いて乾燥する必要があり、コスト高になる。
上述した製鉄スラッジを有効利用する技術としては、このスラッジを脱水し、乾燥したものに対し、製鉄工場で発生するダストやスケールを加え、さらにはバインダーを添加して固め、フェロアロイ製造用原料等にする方法が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
これらの方法は、製鉄スラッジをロータリーキルン等の専用の乾燥機を用いてまず乾燥し、その後、乾燥ダストやバインダー等を加えてブリケットやペレットにする方法であるから、設備コストや運転コスト、バインダーコスト等のランニングコストがかかるという問題があった。
これらの方法は、製鉄スラッジをロータリーキルン等の専用の乾燥機を用いてまず乾燥し、その後、乾燥ダストやバインダー等を加えてブリケットやペレットにする方法であるから、設備コストや運転コスト、バインダーコスト等のランニングコストがかかるという問題があった。
そこで、乾燥を省略し脱水工程を経た後の製鉄スラッジに、バインダーを添加することにより、製鉄スラッジの塊成化にかかる費用を安く抑える方法も検討された。この方法は、フィルタープレスで脱水後の製鉄スラッジに、バインダーとしてセメントを添加して混練し、乾燥固化し、その後に粉砕して取り扱いの容易な形状に加工するという方法である。
しかし、この方法は、以下の問題点を抱えていた。
(1)脱水後の製鉄スラッジは、粘土状態である。従って、脱水後の製鉄スラッジとバインダーとを十分に均一混練することは困難である。
(2)脱水後の製鉄スラッジとバインダーとの混練のためには、さらに水分を添加する必要があった。その結果、塊成化物の強度を十分に確保することができなくなり、その反動として、バインダーとして添加するセメントの配合量を増加せざるを得なくなる。
(3)バインダーとして添加するセメントの配合率を増加することにより、固化させることはできるが、すぐに硬くなるため、取り扱いし易い形状へ粉砕することも困難であった。
特開昭52−88519号公報
特開昭52−88520号公報
しかし、この方法は、以下の問題点を抱えていた。
(1)脱水後の製鉄スラッジは、粘土状態である。従って、脱水後の製鉄スラッジとバインダーとを十分に均一混練することは困難である。
(2)脱水後の製鉄スラッジとバインダーとの混練のためには、さらに水分を添加する必要があった。その結果、塊成化物の強度を十分に確保することができなくなり、その反動として、バインダーとして添加するセメントの配合量を増加せざるを得なくなる。
(3)バインダーとして添加するセメントの配合率を増加することにより、固化させることはできるが、すぐに硬くなるため、取り扱いし易い形状へ粉砕することも困難であった。
上述したように、従来の製鉄スラッジの塊成化技術では、塊成化物の品質が悪くコスト高になるため、そうした問題点の解決が求められていた。
そこで、本発明の目的は、かかる事情に鑑み、製鉄スラッジを簡易に塊成化する方法、とくに、均一に混合できて塊成化物の品質にむらがなく、塊成化のためのコストが低くならびに歩留の良好な技術を提案することにある。
そこで、本発明の目的は、かかる事情に鑑み、製鉄スラッジを簡易に塊成化する方法、とくに、均一に混合できて塊成化物の品質にむらがなく、塊成化のためのコストが低くならびに歩留の良好な技術を提案することにある。
発明者は、上記問題点に鑑み鋭意研究した結果、製鉄工程で発生するスラリー状のままの製鉄スラッジ100質量部(乾量値)に対してまず、高炉スラグ微粉末を30質量部以上混合し、次いでその混合物を脱水し、その後、乾燥固化させることを特徴とする製鉄スラッジの塊成化方法を開発するに至った。
本発明では、製鉄工程で発生する製鉄スラッジの脱水−乾燥固化による塊成化に当り、その脱水工程の前に、スラリー状の製鉄スラッジと高炉スラグ微粉末とを混合することにより、製鉄スラッジと高炉スラグ微粉末との混合が容易かつ均質になり、その均一混合してなる混合物をその後、脱水処理し、さらにその後、乾燥固化をするようにしたから、塊成化物の品質(とくに強度)にむらがなくなる。また、塊成化のための歩留の向上をももたらす。
また、本発明は、高炉スラグ微粉末、即ち、製鉄工程で副産物として発生する高炉スラグを粉砕したものを有効活用しており、塊成化物の製造を安価に行うことができる。
また、本発明は、高炉スラグ微粉末、即ち、製鉄工程で副産物として発生する高炉スラグを粉砕したものを有効活用しており、塊成化物の製造を安価に行うことができる。
以下、本発明に至った経緯と本発明の好ましい実施形態について説明する。
本発明において用いられる製鉄工程で発生するスラリー状製鉄スラッジとは、鋼材の酸洗処理時に発生する、金属分が溶出した酸洗廃液やこの廃液を中和処理した時に発生する中和廃液中に含まれる固形物を溶媒と分離する際に発生する残渣である。前記固形物の成分は酸洗処理する鋼材の鋼種により種々のものになる。また、その固形分を含む残渣の粒子は数μm程度と微細であるが、金属水酸化物の形態のため親水性が強く、これがコロイド状に結合していることが多い。また、これらの処理は、工業的に行われるものであるから、その他に意図しないダスト等もわずかながら含んでいるのが普通である。
本発明において用いられる製鉄工程で発生するスラリー状製鉄スラッジとは、鋼材の酸洗処理時に発生する、金属分が溶出した酸洗廃液やこの廃液を中和処理した時に発生する中和廃液中に含まれる固形物を溶媒と分離する際に発生する残渣である。前記固形物の成分は酸洗処理する鋼材の鋼種により種々のものになる。また、その固形分を含む残渣の粒子は数μm程度と微細であるが、金属水酸化物の形態のため親水性が強く、これがコロイド状に結合していることが多い。また、これらの処理は、工業的に行われるものであるから、その他に意図しないダスト等もわずかながら含んでいるのが普通である。
発明者らの研究によると、製鉄工程で発生する前記製鉄スラッジは、これをバインダーを介して塊成化するとき、脱水処理を施す前のスラリー状態にあるものを用いることが好ましいことがわかった。
とくに、前記製鉄スラッジから、強度が高く成分が均質な塊成化物を得るには、バインダーと製鉄スラッジとが均一に混合されることが望ましい。しかしながら、製鉄スラッジというのは、混合前に脱水すると粘土状態になるから、そうした粘土状態にある製鉄スラッジに対し、バインダーを直接添加して混合しても、これらを均一に混合することは困難である。その解決のためには、バインダーを、脱水処理前のスラリー状態にある製鉄スラッジに対して添加することが有効であることがわかった。
しかも、そのバインダーとしては、粒径が数十μm以上で前記製鉄スラッジの粒径(平均粒径:数μm程度)の10倍程度のものを用いることが好ましく、その理由は、フィルタープレス等による脱水工程において、製鉄スラッジ単独のものよりも水分が抜けやすいからである。
とくに、前記製鉄スラッジから、強度が高く成分が均質な塊成化物を得るには、バインダーと製鉄スラッジとが均一に混合されることが望ましい。しかしながら、製鉄スラッジというのは、混合前に脱水すると粘土状態になるから、そうした粘土状態にある製鉄スラッジに対し、バインダーを直接添加して混合しても、これらを均一に混合することは困難である。その解決のためには、バインダーを、脱水処理前のスラリー状態にある製鉄スラッジに対して添加することが有効であることがわかった。
しかも、そのバインダーとしては、粒径が数十μm以上で前記製鉄スラッジの粒径(平均粒径:数μm程度)の10倍程度のものを用いることが好ましく、その理由は、フィルタープレス等による脱水工程において、製鉄スラッジ単独のものよりも水分が抜けやすいからである。
図1は、製鉄スラッジに、バインダーとして高炉スラグ微粉末を添加して混合し、その後、フィルタープレスにて脱水処理を行った製鉄スラッジの塊成化実験の結果を示す図である。この図からわかるように、スラリー状製鉄スラッジに、平均粒径62μmの高炉スラグ微粉末を添加混合すると、その混合量の増加に伴い、脱水処理を経た後の製鉄スラッジ中の水分含有量は次第に低下する傾向がみられる。すなわち、高炉スラグ微粉末の添加は、製鉄スラッジを塊成化する脱水工程において、水分を効率的に取り除く上で有効に寄与しているといえる。
上述した脱水工程の後における製鉄スラッジの水分を、60%程度以下にすることで、その後に行う乾燥処理が容易となり好適である。ここで、高炉スラグ微粉末とは、高炉水砕スラグを微粉砕したものである。「JIS A 6202;コンクリート用高炉スラグ微粉末」にも規定があるが、本発明では、この規格に囚われる必要はなく、高炉水砕スラグを100μm以下程度に微粉砕したものを使用することができる。
また、バインダーとしては、上記の高炉スラグ微粉末ではなくセメントを用いる方法もある。しかしながら、バインダーとしてセメントを用いると、脱水後約1日で強固な硬化体を形成してしまう。そのため、脱水処理の翌日にハンドリング工程における粉砕処理を行おうとしても粉砕が困難になってしまう。さらに、脱水設備を毎日洗浄しないと、脱水設備内に残留したバインダーとしてのセメントが硬化して固着してしまう問題がある。この意味において、本発明では、バインダーとして高炉スラグ微粉末を使うことにしたのである。
バインダーとしての高炉スラグ微粉末は、潜在水硬性を有しているため、セメントなどに比べるとゆっくり硬化するという性質がある。このゆっくり硬化する性質は、製鉄スラッジの塊成化には好都合である。何故なら、高炉スラグ微粉末の硬化は、消石灰等によるアルカリ刺激を受けることで促進されるが、通常、前記製鉄スラッジの溶媒はアルカリ性であるため、本発明に係る塊成化方法においては、新たにアルカリ刺激剤を添加する必要がないからである。このことは、製鉄スラッジの塊成化に係るコストを低く抑えることに貢献する。つまり、本発明において、バインダーとくに高炉スラグ微粉末に着目した理由もここにある。
図2は、製鉄スラッジ中に含まれる高炉スラグ微粉末の含有比率と塊成化物の圧潰強度との関係を示すものである。塊成化物の圧潰強度は、塊成化物の内で目開き50mmの篩目を通り、目開き20mmの篩上に残る塊成化物から任意の20個の塊を代表サンプルとして選び、これをプレス機で圧下した時に破壊するまでの最大荷重を測定して、20個のデータの内の最大値と最小値を除いた18個のデータの算術平均を求めて、これを圧潰強度とした。この図に示すように、製鉄スラッジの塊成化工程において添加された高炉スラグ微粉末の該製鉄スラッジ(乾量値)に対する比率が増加するに従い、塊成化物の圧潰強度が向上することがわかる。これにより、ハンドリング工程で必要とされる塊成化物の圧潰強度4.0MPa以上にするためには、バインダーの製鉄スラッジ100質量部(乾量値)に対する混合比率を30質量部以上にする必要があることがわかった。
図3は、高炉スラグ微粉末を用いて製鉄スラッジを塊成化した場合において、脱水処理後の経過日数と塊成化物の圧潰強度との関係を示した図である。この図が示すように、スラリー状製鉄スラッジに高炉スラグ微粉末を添加すると、時間の経過とともに強度が次第に増加するが、6日間乾燥した時点について見ると、強度は未だ大きくないので、破砕も容易であり便利である。そして、約2週間が経過すると、強度はほぼ一定となり、目標の圧潰強度である4.0MPaまで硬化することがわかった。
この実施例に用いた製鉄スラッジとしては、ステンレス工場で発生した表1に示す組成のものを使用した。なお、表1の組成は製鉄スラッジの水分を除いた固形物の組成であり、Fe、Ni、Cr等は水酸化物や酸化物として存在しているが、金属分として表記した。
この製鉄スラッジを脱水処理を施す前に、表2に示す組成の高炉スラグ微粉末と混合した。混合物中の高炉スラグ微粉末は、製鉄スラッジ100質量部(乾量値)に対し0〜60質量部で変化させて実験を行い、脱水後の製鉄スラッジに含有される水分と硬化後の圧潰強度を測定した。
なお、圧潰強度は、塊成化物の内で目開き50mmの篩を通り、目開き20mmの篩上に残る塊状物から任意の20個の塊を代表サンプルとして選び、これをプレス機で圧下した時に破壊するまでの最大苛重を測定して、20個のデータの内最大値最小値を除く18個のデータの算術平均を求めて、これを圧塊強度とした。
なお、圧潰強度は、塊成化物の内で目開き50mmの篩を通り、目開き20mmの篩上に残る塊状物から任意の20個の塊を代表サンプルとして選び、これをプレス機で圧下した時に破壊するまでの最大苛重を測定して、20個のデータの内最大値最小値を除く18個のデータの算術平均を求めて、これを圧塊強度とした。
その結果を図1、図2に示した。フィルタープレスで脱水する際の圧力は、0.4MPaで一定とした。図1に示すように、高炉スラグ微粉末を添加することにより、脱水後の製鉄スラッジ中の水分が低下することがわかった。圧潰強度については、図2に示すように、上記高炉スラグ微粉末配合比率の増加に伴って上昇し、その比率は、製鉄スラッジ100質量部(乾量値)に対して30質量部のとき、目標の4.0MPaを超えることがわかった。
なお、高炉スラグ微粉末は、通常石灰等のアルカリを添加しなければ強度が発現しない。しかし、本発明例の場合、製鉄スラッジの溶媒がアルカリ性であることから、アルカリ刺激剤の添加を行わないで塊成化できた。このアルカリ刺激剤を使わないで塊成化したものについての圧潰強度の経時変化を図3に示した。この図からわかるように、時間の経過に伴い圧潰強度が次第に上昇し、ほぼ2週間で一定となった。この塊成化物について、1週間経過した時点で粗破砕を行ったが、バインダーとしてセメントを用いたものに比べて容易に粉砕できた。
上記のようにして製造した塊成化物をコークス充填層型溶融還元炉の炉頂から炉内に装入して、原料として使用したが、特に問題は発生せず、有価金属の回収に有効であることがわかった。なお、本技術の考え方は、上記スラッジの塊成化以外にも適用が可能である。
本発明を適用することで、製鉄工程で発生する金属成分を含めスラッジを簡便な操作で塊成化することができ、上記製鉄スラッジの他製鉄所から発生する各種の副産物のリサイクル技術に応用できる。
Claims (1)
- 製鉄工程で発生するスラリー状製鉄スラッジ100質量部(乾量値)に対して、高炉スラグ微粉末を30質量部以上混合し、次いでその混合物を脱水し、その後、乾燥固化させることを特徴とする製鉄スラッジの塊成化方法。
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JP2003432744A JP2005187906A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 製鉄スラッジの塊成化方法 |
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JP2003432744A JP2005187906A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 製鉄スラッジの塊成化方法 |
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JP2003432744A Pending JP2005187906A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 製鉄スラッジの塊成化方法 |
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