JP2005185218A - インスリン作用促進能力の検定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 以下の工程:
(1)ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼと被験物質との接触系内における前記ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの活性を測定する第一工程、及び
(2)第一工程により測定された活性と対照における活性とを比較することにより得られる差異に基づき、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの活性を抑制する能力を指標として前記物質のインスリン作用促進能力を評価する第二工程、
を有することを特徴とする検定方法等の、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの発現又は活性の低下を指標とする、インスリン作用促進能力の検定方法。
【選択図】 なし
Description
一方、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼは、ホスファチジルコリンの生合成酵素であり、S-アデノシル-L-メチオニン(SAM)のメチル基をホスファチジルエタノールアミンのアミノ基に転移させるメチル化反応を触媒する。ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ(以下、PEMTと記す)として、具体的にはホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ2(以下、PEMT2と記す)が挙げられ(非特許文献1を参照)、PEMT2を過剰発現させた場合、肝細胞からのトリグリセライド及びApoB100の分泌量が増加すること等が報告されている(非特許文献2を参照)。
しかしながら、PEMTの発現又は活性と、肝臓等におけるインスリン刺激によるAktの活性化、すなわちリン酸化との関係は知られていなかった。
J.Biol.Chem.268, 16655-16663(1993) J.Biol.Chem.277, 42358-42365(2002)
即ち、本発明は、
1.ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの発現又は活性の低下を指標とする、インスリン作用促進能力の検定方法;
2.以下の工程:
(1)ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼと被験物質との接触系内における前記ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの活性を測定する第一工程、及び
(2)第一工程により測定された活性と対照における活性とを比較することにより得られる差異に基づき、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの活性を抑制する能力を指標として前記物質のインスリン作用促進能力を評価する第二工程、
を有することを特徴とする前項1記載の検定方法;
3.以下の工程:
(1)ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現制御領域を機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子を含有する細胞と被験物質との接触系内における前記レポーター遺伝子の発現量を測定する第一工程、及び
(2)第一工程により測定された発現量と対照における発現量とを比較することにより得られる差異に基づき、前記レポーター遺伝子の発現量を低下させる能力を指標として前記物質のインスリン作用促進能力を評価する第二工程、
を有することを特徴とする前項1記載の検定方法;
4.以下の工程:
(1)ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ遺伝子を含有する細胞と被験物質との接触系内におけるホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現量を測定する第一工程、及び
(2)第一工程により測定された発現量と対照における発現量を比較することにより得られる差異に基づき、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現量を低下させる能力を指標として前記物質のインスリン作用促進能力を評価する第二工程、
を有することを特徴とする前項1記載の検定方法;
5.以下の工程:
(1)ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ遺伝子を含有する細胞と被験物質との接触系内におけるホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの発現量を測定する第一工程、及び
(2)第一工程により測定された発現量と対照における発現量を比較することにより得られる差異に基づき、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの発現量を低下させる能力を指標として前記物質のインスリン作用促進能力を評価する第二工程、
を有することを特徴とする前項1記載の検定方法;
6.インスリン作用促進能力が肝細胞におけるインスリン作用促進能力であることを特徴とする前項1〜5のいずれか記載の検定方法。
7.インスリン作用促進能力がAkt蛋白質リン酸化促進能力であることを特徴とする前項1〜6のいずれか記載の検定方法;
8.ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼが哺乳動物由来であることを特徴とする前項1〜7のいずれか記載の検定方法;
9.インスリン作用促進能力を評価するための指標を提供する試薬としての、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの使用;
10.前項1〜8のいずれか記載の検定方法により評価されたインスリン作用促進能力に基づき、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの発現もしくは活性を抑制する物質をインスリン作用促進能力を有する物質として選抜することを特徴とするインスリン作用促進物質の探索方法;
11.前項10記載の探索方法により選抜された物質またはその薬学的に許容される塩を含有してなる組成物;
12.前項10記載の探索方法により選抜された物質またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とするインスリン作用促進剤;
13.ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とするインスリン作用促進剤;
14.ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質が3−デアザアデノシンであることを特徴とする前項13記載のインスリン作用促進剤;
15.肝細胞に、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの活性を阻害するために薬理学上有効な量のホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質を接触させることを特徴とするインスリン作用促進方法;
等を提供するものである。
本発明検定方法において用いられるホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼは、下記の3段階の反応を連続して触媒する酵素である(以下、PEMTと記すこともある。)。
1.ホスファチジルエタノールアミン(PE) + S-アデノシル-L-メチオニン(SAM) → ホスファチジルモノメチルエタノールアミン(PMME) + S-アデノシルホモシステイン(AdoHcy)
2.PMME + SAM → ホスファチジルジメチルエタノールアミン(PDME) + AdoHcy
3.PDME + SAM → ホスファチジルコリン(PC) + AdoHcy
前記で改変されるアミノ酸の数については、少なくとも1残基、具体的には1若しくは数個、又はそれ以上である。かかる改変の数は、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ活性を見出すことのできる範囲であれば良い。
また前記欠失、付加又は置換のうち、特にアミノ酸の置換に係る改変が好ましい。当該置換は、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似した性質を有するアミノ酸への置換がより好ましい。このような置換としては、例えば、1)グリシン、アラニン;2)バリン、イソロイシン、ロイシン;3)アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、4)セリン、スレオニン;5)リジン、アルギニン;6)フェニルアラニン、チロシンのグループ内での置換が挙げられる。
本発明における配列同一性は、80%以上であればよいが、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
PEMT2として、具体的には、配列番号2及び3で示されるヒトPEMT2(GenBank accession No. NP680477, NP009100)、配列番号5で示されるマウスPEMT2(GenBank accession No. NP032845)、及び配列番号7で示されるラットPEMT2(GenBank accession No. NP037135)等を例示することができる。
具体的には、配列番号1で示されるヒトPEMT2遺伝子(GenBank accession No. NM_007169, NM_148173, NM_148172)、配列番号4で示されるマウスPEMT2遺伝子(GenBank accession No. NM_008819)、及び配列番号6で示されるラットPEMT2遺伝子(GenBank accession No. NM_013003)等を例示することができる。
本発明において、PEMT遺伝子の発現制御領域としては、例えばPEMT遺伝子の転写開始部位上流約1kb、好ましくは約2kbを用いることができる。(Biochim. Biophys. Acta 1532, 105-114(2001))
ここでAkt蛋白質は公知であり、その構造や機能については、Molecular Medicine Vol.36, 110-115(1999;中山書店)に記載されている。
(I)PEMTの酵素活性を指標とする検定方法
本発明検定方法は、(1)PEMTと被験物質との接触系内におけるPEMTの活性を測定する第一工程、及び(2)第一工程により測定された活性と対照における活性とを比較することにより得られる差異に基づき、PEMTの活性を抑制する能力を指標として前記物質のインスリン作用促進能力を評価する第二工程を有する。
本発明検定方法では、肝臓における糖新生抑制作用及びリポ蛋白質分泌抑制作用、筋肉・脂肪細胞における糖取り込み促進作用、脂肪細胞における脂肪蓄積促進作用等のインスリン作用やAkt蛋白質のリン酸化等の直接的な測定を行うことなく、例えば、PEMT阻害能力を評価するための指標となる阻害率(詳細は後述する)を算出することだけで被験物質のインスリン作用促進能力を評価することができるため、簡便であり、1次スクリーニング等に最適である。
ここで用いられるPEMTとしては、精製されたPEMT、部分的に精製されたPEMT、PEMTを含有するミクロソーム画分等の細胞由来画分、又はPEMTを含有する細胞が挙げられる。例えば、PEMTを含む肝臓組織を単離し、通常の細胞分画法により、PEMTを調製することができ、具体的には、Methods Enzymol., 1992, 209, 366-374に記載された方法等をあげることができる。また、PEMT遺伝子が宿主細胞中で発現できるようなプラスミドを作製し、これを宿主細胞に導入して形質転換し、さらに形質転換された宿主細胞(形質転換体)を培養することで得られる培養物から取得することができる。以下詳細に説明する。
具体的には、まず、ヒト、マウス又はラット等の組織、細胞やこれらに由来する培養細胞などからRNAを調製する。例えば、ラット肝臓を塩酸グアニジンやグアニジンチオシアネート等の強力なタンパク質変性剤を含む溶液中で粉砕し、さらに該粉砕物にフェノール、クロロホルム等を加えることによりタンパク質を変性させる。変性タンパク質を遠心分離等により除去した後、回収された上清画分から塩酸グアニジン/フェノール法、SDS−フェノール法、グアニジンチオシアネート/CsCl法等の方法により全RNAを抽出する。なお、これらの方法に基づいた市販の試薬としては、例えばISOGEN(ニッポンジーン製)、トリゾル試薬(Gibco BRL)等がある。
得られたPEMT遺伝子の塩基配列は、Maxam Gilbert法 (例えば、Maxam,A.M & W.Gilbert, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 74, 560, 1977 等に記載の方法)やSanger法(例えばSanger,F. & A.R.Coulson, J.Mol.Biol., 94, 441, 1975、Sanger,F, & Nicklen and A.R.Coulson., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 74, 5463, 1977等に記載の方法)により確認することができる。
具体的には、大腸菌を宿主細胞とする場合には、例えばプラスミドpUC119(宝酒造(株)製)や、ファージミドpBluescriptII(ストラタジーン社製)等をあげることができる。出芽酵母を宿主細胞とする場合には、プラスミドpACT2(Clontech社製)などをあげることができる。また、哺乳類動物細胞を宿主細胞とする場合には、pRC/RSV、pRC/CMV(Invitrogen社製)等のプラスミド、ウシパピローマウイルスプラスミドpBPV(アマシャムファルマシア社製)、EBウイルスプラスミドpCEP4(Invitrogen社製)等のウイルス由来の自律複製起点を含むベクター、ワクシニアウイルス等のウイルスなどをあげることができる。昆虫類動物細胞(以下、昆虫細胞と記す。)を宿主細胞とする場合には、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスをあげることができる。
ここで用いられるプロモーターは、PEMT遺伝子が導入される細胞で機能可能なものであればよく、宿主細胞が動物細胞もしくは分裂酵母ある場合には、SV40ウイルスプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター(CMVプロモーター)、Raus Sarcoma Virusプロモーター(RSVプロモーター)、βアクチン遺伝子プロモーター、aP2遺伝子プロモーター、又はマウス乳頭腫ウイルス(MMTV)プロモーター等が挙げられる。また、宿主細胞が大腸菌である場合には、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター(lacP)、トリプトファンオペロンのプロモーター(trpP)、アルギニンオペロンのプロモーター(argP)、ガラクトースオペロンのプロモーター(galP)、tacプロモーターもしくはtrcプロモーター等の大腸菌内で機能可能な合成プロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、λファージのプロモーター(λ-pL、λ-pR)等をあげることができる。また、宿主細胞が出芽酵母である場合には、ADH1プロモーター(尚、ADH1プロモーターは、例えばADH1プロモーター及び同ターミネーターを保持する酵母発現ベクターpAAH5 〔Washington Research Fundation から入手可能、Ammerer ら、Method in Enzymology、101 part(p.192-201)〕から通常の遺伝子工学的方法により調製することができる。)などをあげることができる。
尚、発現ベクターにPEMT遺伝子を導入するために用いられる制限酵素も宝酒造等から市販されているものを適宜用いればよい。又、このようなプロモーターをマルチクローニング部位の上流に含む市販のベクターを利用してもよい。
細胞への導入法としては、哺乳類動物細胞もしくは昆虫細胞を宿主とする場合には、例えば、リン酸カルシウム法、電気導入法、DEAEデキストラン法、ミセル形成法、エレクトロポレーション法、又はリポフェクション法等を挙げることができる。リン酸カルシウム法としてはGrimm, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 10923-10927等に記載される方法、電気導入法及びDEAEデキストラン法としてはTing, A. T. et al., EMBO J., 15, 6189-6196等に記載される方法、ミセル形成法としてはHawkins, C. J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 13786-13790等に記載される方法を挙げることができる。ミセル形成法を用いる場合には、リポフェクトアミン(インビトロジェン製)やフュージーン(ベーリンガー製)等の市販の試薬を利用するとよい。
上述のようにして得られた前記発現ベクターが導入された形質転換体(以下、本形質転換体と記すこともある。)を培養することによりPEMT遺伝子を発現させることができる。
前記プラスミドの導入処理を施した細胞を、例えば、当該ベクターに予め含まれる選抜マーカー遺伝子を利用し、当該選抜マーカー遺伝子に応じた選抜条件の培地で培養することにより、形質転換細胞を選抜することができる。さらに選抜を続けて、PEMT遺伝子が染色体に導入されてなる安定形質転換体となった当該形質転換細胞を取得してもよい。導入されたPEMT遺伝子が細胞中に存在する染色体上に組込まれたことを確認するには、当該細胞のゲノムDNAを通常の遺伝子工学的方法に準じて調製し、PEMT遺伝子の部分塩基配列を有するDNAをプライマーとして用いるPCRや、PEMT遺伝子の部分塩基配列を有するDNAをプローブとして用いるサザンハイブリダイゼーション等の方法を利用して、ゲノムDNA中のPEMT遺伝子の存在を検出・確認すればよい。
さらに、本発明検定方法の第一工程において、PEMTに被験物質及び基質を接触させる順序は、(a)PEMTと被験物質とを先ず接触させ、一定時間保温した後、2種もしくは1種の基質を添加するような形態、(b)PEMT、被験物質及び2種もしくは1種の基質を同時に接触させるような形態、(c)PEMTと2種もしくは1種の基質とを先ず接触させ、一定時間保温した後、被験物質を添加するような形態、のいずれの形態であってもよい。
また上記(c)の場合には、当該接触系における保温温度として、例えば、0℃〜70℃を、好ましくは4℃〜40℃をあげることができる。
本発明検定方法の第一工程における被験物質の濃度は、例えば、1nM〜10mMで、好ましくは0.01μM〜5mMである。基質の濃度は、例えば、0.01mM〜10mMで、好ましくは0.05mM〜5mMである。
本発明検定方法の第一工程において被験物質と接触させるPEMTの形態は、(i)PEMTの精製物、粗精製物等であってもよいし、また(ii)細胞内に含有されるPEMT(例えば、PEMTのアミノ酸配列をコードする塩基配列からなる遺伝子が導入されてなる形質転換細胞に被験物質を接触させる方法である場合)等であってもよい。さらに細胞は、組織から分離された状態の細胞であってもよいし、また同一の機能・形態を持つ集団を形成している状態の細胞であってもよい。
例えば、上記(i)の場合には、被験物質と接触させるPEMTの濃度は、例えば、1ng/ml以上で、好ましくは10ng/ml以上である。
また上記(ii)の場合には、被験物質と接触させるPEMTの濃度は、例えば、本形質転換細胞の濃度として1x103細胞/ml以上で、好ましくは1x104細胞/ml以上である。
上記(i)の場合には、本発明検定方法の感度を高めるために、例えば、第一工程における接触系内に、Triton X−100等の非イオン性界面活性剤を添加することがよい。例えば、Triton X−100の場合には、その添加濃度は、例えば、0.1mM以上で、好ましくは0.5mM〜2mMである。 上記(ii)の場合には、反応基質として、SAMの代わりにメチオニンを使用することも可能である。
本発明検定方法の第一工程における、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ(即ち、PEMT)の活性を測定する方法としては、PEMT、被験物質及び基質を含有する混合液を一定時間反応させた後、当該反応における原料物の減少量を分析する方法、あるいは、当該反応における生成物の増加量を分析する方法、のいずれの方法でもよい。
まず、125mM トリス−塩酸バッファー(pH 9.2);5mM ジチオスレイトール(以下、DTTと記す);1mM Triton X-100;2mM PE、0.4mM PMMEもしくは0.4mM PDME;及び0.2mM [3H]SAMを含む反応原液に酵素標品を加え全量を0.15mlとした反応液を37℃で保温する。所定時間後に2mlのクロロホルム・メタノール(2:1)溶液を用いて該反応液から脂質成分を抽出し、該抽出液中の反応生成物(PMME、PDMEもしくはPC)を薄層クロマトグラフィー(以下、TLCと記す)を用いて分析・定量する。
あるいは、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ活性を有する細胞(例えば、生体組織から分離した肝細胞等)の培養液に、[3H]SAM又は[3H]メチオニン(細胞内において[3H]SAMに変換される)を添加してそのまま培養し、所定時間後にクロロホルム−メタノール(2:1)溶液を用いて該細胞から脂質成分を抽出後、該抽出液中の反応生成物(PMME、PDMEもしくはPC)をTLCを用いて分析・定量してもよい。
酵素反応における原料物又は生成物の検出には、反応液を、例えば、HPLC、薄層クロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー等により分析する方法等を用いればよい。必要であれば、前記原料物又は生成物を、有機溶媒(例えば、クロロホルム/メタノール(2:1)混合液等)を用いて反応液から抽出してもよい。分析方法としては、例えば、前記原料物もしくは生成物のUV吸光度を測定する方法や、予めラジオアイソトープで標識した前記原料物を用いて放射活性を測定する方法等が挙げられる。
本発明検定方法において、測定された活性と対照における活性とを比較する場合には、異なる2種以上の物質のうち、少なくとも一つの物質がインスリン作用促進能力を有さない物質(例えば、溶媒、バックグランドとなる試験系溶液等のネガティブコントロールであってもよい。)とすることで、他方の被験物質が有するインスリン作用促進能力を評価してもよいし、また前記異なる2種以上の物質のうち、少なくとも一つの物質(例えば、基準物質)が有するインスリン作用促進能力を基準としながら他方の被験物質が有するインスリン作用促進能力を評価してもよい。もちろん両者で評価してもよい。
より具体的には、例えば、本発明検定方法の第一工程が、前記(A)2種の基質(例えば、PDME及びSAM)と被験物質との3者がPEMTと接触する形態の場合で、対照としてネガティブコントロールを用いた場合には、下記の式に従って阻害率を求めるとよい。
阻害率(%)={対照(ネガティブコントロール)値−測定(被験物質)値}x100/対照(ネガティブコントロール)値
そして算出された阻害率によりインスリン作用促進能力を評価すればよい。
また、例えば、本発明検定方法の第一工程が、前記(B)2種の基質のうちの一方(例えば、PDME又はSAM)と被験物質との2者がPEMTと接触する形態(すなわち、被験物質を前記2種の基質のうちの他の一方として取り扱う場合)である場合には、対照としてインスリン作用促進能力を有する物質(基準物質)を用い、対照(基準物質)値と測定(被験物質)値を比較することで、インスリン作用促進能力を評価すればよい。この場合、測定(被験物質)値が対照(基準物質)値よりも高い値であれば、当該被験物質は当該基準物質よりもPEMTの基質として優れていること、すなわち、当該被験物質は当該基準物質よりもPEMTの競合阻害剤として優れていることになる。
PEMTの発現を指標として、インスリン作用促進能力を検定することもできる。具体的には、(1)被験物質の存在下で、PEMT遺伝子を含有する細胞におけるPEMT遺伝子もしくはPEMTの発現量、又はPEMT遺伝子の発現制御領域を機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子を含有する細胞における当該レポーター遺伝子の発現量を測定し、(2)対照における発現量と比較することにより得られる差異に基づき、PEMT、PEMT遺伝子もしくは前記レポーター遺伝子の発現を抑制する能力を指標として前記物質のインスリン作用促進能力を評価することができる。
ここで「PEMT遺伝子を含有する細胞」としては、肝臓組織から調製した肝臓細胞を挙げることができる。ここで、細胞の集合体である組織(例えば肝臓組織片)も、「細胞」の範疇に含まれる。由来動物種としては、ラット、マウス、モルモット等のげっ歯類哺乳動物、イヌ、サル、ヒト等が挙げられる。例えば、ラット肝臓細胞は当業者に公知のコラゲナーゼ潅流法を用いて単離することができる(J Cell Biol., 43:506-520, 1969)。
調製したPEMT遺伝子の発現制御領域を機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子を、通常の遺伝子工学的手法を用いて、当該レポーター遺伝子を導入する細胞において使用可能なベクターに挿入し、プラスミドを作製し、適当な宿主細胞へ導入することができる。レポーター遺伝子に応じた選抜条件の培地で培養することにより、形質転換細胞を得ることができる。
被験物質となりえるものとしては、前記(I)と同じものが挙げられる。また、前記工程(2)における「対照」とは、前記工程(1)の接触系内において、被験物質を接触させない場合を表す。「被験物質を接触させない場合」には、被験物質の代わりに被験物質と同量の溶媒(ブランク)を添加する場合や、PEMTの発現に影響を与えないネガティブコントロール物質を添加する場合も含まれる。
すなわち、本発明検定方法により評価されたインスリン作用促進能力に基づきインスリン作用促進能力を有する物質を選抜すればよい。
例えば、上記(A)の場合であって、対照としてネガティブコントロールを用いた場合には、被験物質のインスリン作用促進能力を評価するための指標となる阻害率が、統計学的に有意な値を示す物質、具体的に好ましくは、例えば、上記の式における阻害率が30%以上を示す物質、より好ましくは50%以上を示す物質を、インスリン作用促進能力を有する物質として選抜する。一方、上記(A)の場合であって、対照としてインスリン作用促進能力を有する物質(基準物質)を用いた場合には、測定(被験物質)値が対照(基準物質)値よりも低い値を示す物質をインスリン作用促進能力を有する物質として選抜する。また、例えば、上記(B)の場合には、測定(被験物質)値が対照(基準物質)値よりも高い値を示す物質をインスリン作用促進能力を有する物質として選抜する。尚、当該物質は、インスリン作用促進能力を有する限り、低分子化合物、蛋白質又はペプチド等のいかなる物質であってもよい。
又、本発明のホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼは、上記のように、インスリン作用促進能力を評価するための指標を提供する試薬として使用することができる。
本発明探索方法によって選抜された物質はインスリン作用促進能力を有しており、インスリン作用促進剤の有効成分として使用してもよい。
このような物質(即ち、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質)として、例えば、3−デアザアデノシンを挙げることができる。
ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物は、インスリン作用促進剤(即ち、本発明インスリン作用促進剤)として有用であり、その有効量を経口的または非経口的にヒト等の哺乳動物に対し投与することができる。例えば、経口的に投与する場合には、本発明インスリン作用促進剤は錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の通常の形態で使用することができる。また、非経口的に投与する場合には、本発明インスリン作用促進剤を溶液、乳剤、懸濁液等の通常の液剤の形態で使用することができる。前記形態の本発明インスリン作用促進剤を非経口的に投与する方法としては、例えば注射する方法、坐剤の形で直腸に投与する方法等を挙げることができる。
前記の適当な投与剤型は許容される通常の担体、賦型剤、結合剤、安定剤、希釈剤等にホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質またはその薬学的に許容される塩を配合することにより製造することができる。また注射剤型で用いる場合には、許容される緩衝剤、溶解補助剤、等張剤等を添加することもできる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本インスリン作用促進剤の種類、投与形態等によって異なるが、通常は経口の場合には成人で1日あたり有効成分量として約1mg〜約2g、好ましくは有効成分量として約5mg〜約1gを投与すればよく、注射の場合には成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
本発明インスリン作用促進剤の適用可能な疾患としては、例えば、インスリン抵抗性に伴う耐糖能低下、II型糖尿病、高脂血症、高コレステロール血症、高血圧、動脈硬化等の代謝性疾患や、冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞等の心血管障害等の疾患等をあげることができる。
このように、本発明では、肝細胞に、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの活性を阻害するために薬理学上有効な量のホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質を接触させることによりインスリン作用を促進することができる。
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
human liver cDNA library(TaKaRa社製)1μlを鋳型にし、配列番号8で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号9で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド各20pmolをプライマーとして、TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ2U、TaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ添付のバッファー 5μl及びTaKaRa Ex-Taqポリメラーゼ添付のdNTP mixture(2.5mM)4μlを含む50μlの反応液を調製し、94℃で1分間保温した。続けて、94℃、30秒間、65℃、30秒間、72℃、1分間の保温を1サイクルとするPCR反応を40サイクル行った後、72℃で5分間保温した。
得られたPCR反応産物を1%アガロースゲル電気泳動に供した(電気泳動バッファー;トリス−硼酸緩衝液(ナカライテスク製))。電気泳動後、約920bpのDNAバンドをゲルから切り出し、このDNA断片をSambrook, J.、Fritsch, E. F.、Maniatis, T.著:「Molecular Cloning Second Edition」、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989年)に記載されている方法により、プラスミドベクターpT7Blue(Novagen社)のEco RVサイトにクローニングした(pT7Blue−hPEMT2)。クローニングされたDNAの塩基配列を、Taq Dye Primer Cycle Sequencing KitおよびTaq Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ製)を用いてアプライドバイオシステムズ製の373A型のDNAシークエンサーにより決定した。該DNAは配列番号1で示される塩基配列からなり、該塩基配列は、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードしていた。
このようにして配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなる遺伝子を単離した。
実施例1で精製・単離されたDNA(pT7Blue−hPEMT2)をKpnI及びXbaIで消化し、得られた約950bpの断片をpcDNA3.1(+)(インビトロジェン社製)のKpnI、XbaIサイトにサブクローニングし、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質(hPEMT2(L))を産生させるための発現プラスミドpcDNA3.1(+)−hPEMT2(L)を得た。
一方、配列番号2で示されるアミノ酸配列における第38番目のアミノ酸から第236番目までのアミノ酸で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質(hPEMT2(S))を産生させるための発現プラスミド(pcDNA3.1(+)−hPEMT2(S))は、実施例1において精製・単離されたDNA(pT7Blue−hPEMT2)を、Ssp I及びXba Iで消化し、得られた約850bpの断片をpcDNA3.1(+)(インビトロジェン社製)のEco RV、XbaIサイトにサブクローニングすることで得た。
実施例2で得られたPEMT発現用プラスミド(pcDNA3.1(+)−hPEMT2(L)又はpcDNA3.1(+)−hPEMT2(S))をLipofectAMINE PLUS試薬キット(インビトロジェン社)を用い、当該試薬キットに添付される手順書に従って、McA−RH7777細胞(大日本製薬社)に導入した。該発現用プラスミドが導入されたMcA−RH7777細胞を、10%のウシ胎児血清(以下、FBSと記す。)及び10%のウマ血清(以下、HSと記す。)を含有するDMEM培地(以下、増殖培地と記す。)を用い、37℃、5%二酸化炭素条件下で24時間培養した。培養後、細胞をD−PBS(インビトロジェン社製)で1回洗浄した後、セルスクレイパーによりかき集め、これを遠心分離することにより細胞を回収した。回収された細胞を、50mMトリス−塩酸(pH 7.5)、1mMエチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAと記す。)、150mM NaClを含む緩衝液(以下、緩衝液Aと記す。)に懸濁した。該懸濁液を超音波処理(氷冷下、15秒間×5回)することにより懸濁液中の細胞を破砕した後、得られた細胞破砕液を12000回転(TOMY MRX-150)、10分間、4℃で遠心分離した。得られた上清を細胞抽出液とした。
一方、対照(ネガティブコントロール)として、PEMT発現用プラスミドの代わりにpcDNA3.1(+)(インサートを含まないもの)を用いる以外は上記と同様の方法により、対照用細胞抽出液を調製した。
実施例3にて得られた細胞抽出液50μgを活性測定用緩衝液(125mM Tris-HCl, pH7.5, 1mM TritonX-100, 1mM PDME, 0.5mM [3H]SAM)に添加して全量を100μlとし、37℃で20分間反応させた。500μlのクロロホルム/メタノール(2:1)を添加し、激しく懸濁して反応を止めた。遠心分離後、下層(有機溶媒層)を抽出し、遠心エバポレーターで濃縮乾固後、5μlのクロロホルム/メタノール(2:1)で再懸濁し、該懸濁液全量を薄層クロマトグラフィーにて分離した(薄層プレート:シリカゲル60(メルク社製)、移動相:クロロホルム/メタノール/酢酸/水(50:30:5:2))。プレートをヨウ素染色した後、ホスファチジルコリン(PC)相当部分のシリカゲルを切り取って回収し、液体シンチレーションカウンターで生成した[3H]PCの放射活性を測定した。結果を表1に示した。
実施例2で得られたPEMT発現用プラスミド(pcDNA3.1(+)−hPEMT2(S))をLipofectAMINE PLUS試薬キット(インビトロジェン社)を用い、当該試薬キットに添付される手順書に従って、McA−RH7777細胞(大日本製薬社)に導入した。発現用プラスミドが導入されたMcA−RH7777細胞を、増殖培地を用い、37℃、5%二酸化炭素条件下で24時間培養した。該細胞を、600μg/mlのG418(ナカライテスク社製)を含む増殖培地(以下、選択培地と記す。)で培養し、適宜新しい選択培地に交換しながら2週間培養を続けた。培養後、出現したコロニーを単離し、各々について選択培地を用いて拡大培養を行った。得られた細胞株の各々について、一部を緩衝液Aに懸濁し、該懸濁液から実施例3と同様の方法で細胞抽出液を調製した。該細胞抽出液20μgを用い、実施例4記載の方法(但し、PDMEは0.5mM、[3H]SAMは0.25mMに変更した。また、反応時間は15分とし、クロロホルム・メタノール抽出後の有機溶媒相を直接液体シンチレーションカクテルに添加し、液体シンチレーションカウンターで生成した[3H]PCの放射活性を測定した。)にて、各々の細胞株のホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ活性を測定した。最も活性の高い細胞株をPEMTを安定して発現する細胞株(以下、A4細胞と記す。)として樹立した。
一方、対照(ネガティブコントロール)として、PEMT発現用プラスミドの代わりにpcDNA3.1(+)(インサートを含まないもの)を用いる以外は上記の方法と同様の方法により、対照(ネガティブコントロール)用細胞株(以下、対照細胞と記す。)を樹立した。
対照細胞及びA4細胞の抽出液を用いてホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ活性を測定した結果を表2に示した。
実施例5にて樹立した対照細胞及びA4細胞を、6穴プレート(住友ベークライト社製)1穴当たり1.0 x 106細胞ずつ撒きこみ、0.5%のFBSを含有するDMEM培地で一晩培養した。翌日、DMEM培地に交換して2時間培養後、100nMのインスリンを含有するDMEM培地に交換して更に30分間培養した。D−PBSで細胞を1回洗浄後、細胞溶解液(100mM Tris-HCl, pH7.4, 100mM NaCl, 1mM EDTA, 1mM EGTA, 1mM NaF, 20mM Na4P2O7, 2mM Na3VO4, 1% Triton X-100, 10% glycerol, 0.1% SDS, 0.5% deoxycholate, 1mM PMSF)100μlを添加して細胞を溶解させた。該溶解液を氷冷下で15秒間超音波処理した後、12000回転(TOMY MRX−150)、4℃、5分間遠心分離を実施し、上清を回収した。該上清13μg相当をSDS−PAGE(第一化学社製、10/20%ゲル)にて分離後、抗リン酸化Akt抗体(Cell signaling社製)及びペルオキシダーゼ標識2次抗体(Cell signaling社製)を用いたイムノブロットを実施した。ECL検出キット(アマシャム社製)を用いてリン酸化Akt蛋白質を検出・定量した。これらの定量値から、PEMTのインスリン作用抑制率((対照細胞の定量値−A4細胞の定量値)/対照細胞の定量値×100)を算出した。結果を表3に示した。
被験物質添加区については、被験物質を添加した状態で培養する以外は実施例6記載の方法と同様に実施し、各々の細胞(対照細胞及びA4細胞)のリン酸化Akt蛋白質量を定量した。一方、被験物質無添加区については、被験物質の代わりに被験物質を溶解している溶媒(ジメチルスルフォキシド。以下、DMSOと記す。)を添加したこと以外は同様の操作を行い、リン酸化Akt蛋白質量を定量した。これらの定量値から、被験物質のインスリン作用促進能力を促進率((被験物質添加区の定量値−被験物質無加区の定量値)×100/被験物質無加区の定量値)として算出した。表4に、細胞内においてホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有することが公知である3−デアザアデノシン(J. Biol. Chem.257(11):6362-6367(1982))の、インスリン作用促進能力を評価するための指標となる促進率を示した。
配列番号9 :PCRのために設計されたプライマー
Claims (12)
- ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの発現又は活性の低下を指標とする、インスリン作用促進能力の検定方法。
- 以下の工程:
(1)ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼと被験物質との接触系内における前記ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの活性を測定する第一工程、及び
(2)第一工程により測定された活性と対照における活性とを比較することにより得られる差異に基づき、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの活性を抑制する能力を指標として前記物質のインスリン作用促進能力を評価する第二工程、
を有することを特徴とする請求項1記載の検定方法。 - インスリン作用促進能力が肝細胞におけるインスリン作用促進能力であることを特徴とする請求項1又は2記載の検定方法。
- インスリン作用促進能力がAkt蛋白質リン酸化促進能力であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の検定方法。
- ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼが哺乳動物由来であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の検定方法。
- インスリン作用促進能力を評価するための指標を提供する試薬としての、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの使用。
- 請求項1〜5のいずれか記載の検定方法により評価されたインスリン作用促進能力に基づき、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの発現もしくは活性を抑制する物質をインスリン作用促進能力を有する物質として選抜することを特徴とするインスリン作用促進物質の探索方法。
- 請求項7記載の探索方法により選抜された物質またはその薬学的に許容される塩を含有してなる組成物。
- 請求項7記載の探索方法により選抜された物質またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とするインスリン作用促進剤。
- ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とするインスリン作用促進剤。
- ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質が3−デアザアデノシンであることを特徴とする請求項10記載のインスリン作用促進剤。
- 肝細胞に、ホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼの活性を阻害するために薬理学上有効な量のホスファチジルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ阻害能力を有する物質を接触させることを特徴とするインスリン作用促進方法。
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