JP2005180962A - 電磁流速センサ - Google Patents

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豊 吉田
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Abstract

【課題】ステンレス304製の金属シェルの接液部に銅等の金属が吸着・折出して、センサの感度が変るのを防止する。
【解決手段】配管1に溶接したソケット2に取付金具12を螺合することでセンサ3を配管1に取り付け、センサ3の先端、図示右端を液体10内に挿入する。円筒形の金属シェル4の雄ねじ4cは、絶縁スリーブ13の雌ねじに螺合され、絶縁スリーブ13の外周の雄ねじは取付金具12の雌ねじに螺合する。こうして金属シェル4は絶縁スリーブ13を介して取付金具12に固定される。したがって、配管1とシェル2に対し、センサ3の金属シェル4が電気的に絶縁されるため、銅等の金属が金属シェル4の表面に折出しない。
【選択図】 図3

Description

本発明は挿入方式の電磁流速センサの改良に関する。
配管内を流れる液体の流量を計測するのに、電磁誘導の原理を活用した挿入方式の電磁流速センサが周知であり、配管の口径(サイズ)に関係なく、一定の大きさの小型のセンサを配管に挿入することで流体(液体)の流速を検出できるため、設置が容易で、コストも比較的安いというメリットがあり、近年使用が拡大する傾向にある。
この種の電磁流速センサは、被計測流体が流れる管路へセンサの先端部を挿入して使用する。センサの先端部の外周部は金属製の筒状部(金属シェル)で形成され、この金属シェルが流体に接液して接地電位とされる(例えば特許文献1参照)。
図1は、電磁流速センサの計測原理を説明する縦断面図で、配管1に溶接固着したソケット2に電磁流速センサ3を装着して、円筒形の金属シェル4を含む電磁流速センサ3の先端部(図示右端部)を配管1内に挿入設置している。5は合成樹脂等の電気絶縁材料からなるボデーで、その先端部(図示右端)に2本の電極6,6を備えている。7はコアー、8はヨーク、9はコアー7に巻いた励磁コイルで、励磁電流が流されると、電流の向きに応じた磁束Φが流体中に生じる。流体が紙面に直角な方向に流れると、流速に比例した誘起電圧が電極6,6間に発生し、図示されていないプリアンプで増幅される。
金属シェル4の先端部(図示右端部)は、被計測流体である流体に接続してアース電位とされる。金属シェル4は強度・耐食性や、アースとしての電位安定性の要求からステンレス製とされることが多い。
電磁流速センサを装着する配管、例えばビルの空調システムにおける温水配管では、鉄に亜鉛メッキした亜鉛メッキ管(SGP管)が用いられることが殆どである。空調用の温水配管は、銅管を用いた熱交換器内を通過するため、温水中に銅イオンが溶けている。図1の金属シェル4の接液部に電気メッキの要領で銅が吸着・折出してしまうことになる。このことを、図2の模式図にしたがって以下に説明する。
図で、配管1は鉄管1aの表面に符号1bで示すように亜鉛メッキが施されている。また、配管1に溶接されたソケット2は、鉄2aの表面に亜鉛メッキ2bが施されている。そして、電磁流速センサ3の雄ねじ部分をソケット2に螺合することで、センサ3をソケット2に装着固定している。こうして、センサ3の雄ねじ部分がソケット2の雌ねじを介してソケット2及び配管1と電気的に接続され、センサ3の先端部の金属シェル4もまたソケット2及び配管1と電気的に接続されることになる。
配管1の表面の亜鉛メッキ1bと、ソケット2の亜鉛メッキ2bが、配管1内を矢印Aのように流れる温水10内に亜鉛イオンZn2+となって溶け出ると、亜鉛メッキ1b,2b部分のマイナス電荷(電子)が矢印Bのようにセンサ3側へ移動し、電気的につながっている金属シェル4の表面近くに集まる。このマイナスの電荷を符号11で示す。前述のように温水10内には銅イオンが溶けているので、この銅イオンは、金属シェル4のマイナス電荷11に吸着されて、金属シェル4の表面に銅が折出する。この現象は、金属シェル4の表面が銅メッキされるのと同じことである。
配管1を流れる液体(例えば温水10)には、上記銅イオンに限ることはなく、他の金属イオンが溶けていることがあり、これらが、亜鉛に対して電気化学的に貴なステンレス製の金属シェル4の表面に吸着されて、銅の場合と同様に金属が折出する。図2では、流体中の金属イオンを、銅イオンも含めて符号M+で示している。
ところで、金属のイオン化傾向の順をあらわす一つとして、海水中における腐蝕電位列をあげると、表1のようになる(例えば非特許文献1参照)。表1は飽和カロメル電極照合時の電極電位〔v〕である。
Figure 2005180962
金属が水に触れた場合の電位は、表1のようにステンレスが相対的に高く、以下銅、アルミニウム、亜鉛といった順に低くなっている。表1で電位の違うもの同士を電気的に接続すると、電位の低い方の金属(すなわち電気的に卑の方)が溶け出し、そのことで生まれた電子は、表中の高い電位の金属(電気的に貴という)に集まる。
この状態で、接続された金属の中間の電位を持つ金属が流体中に溶けていると、つまり図2の場合、亜鉛とステンレス304の間の電位を持つ、銅やアルミニウムといった金属が流体中に溶けていると、電子の集まっている電気的に貴な金属、この場合はセンサ3の先端部の金属シェル4(ステンレス304材)の外周に銅やアルミニウムが吸着されて折出する。
特開2003−194842号公報(3頁、図3) 福沢秀刀著「ガルバニック腐蝕の原理とその防止対策」中川防蝕工業株式会社、技資ナンバー357、1990年9月、P4
空調設備では、温水や冷水が流れる熱交換器のコイルに銅パイプを用いたものがある。したがって、亜鉛メッキ配管にステンレス製の金属シェルを備えた挿入方式の電磁流速センサを装着すると、配管とセンサの金属シェルとが電気的に接続され、しかも、流体(温水又は冷水)中に銅などが溶け出しているため、これらの金属が電気的に貴なステンレス製の金属シェルの接液面に吸着・折出して、その結果、センサの電極から見たアースのインピーダンスが変化し、電磁流速センサの感度が変化してしまうという問題点があった。
実際に亜鉛メッキ配管に温水を流した場合、熱交換器のコイルに銅パイプが使用されていた時に、数日という短期間の間に電磁流速センサの感度が約10%低下することを確認した。このとき、センサの先端部の金属シェルの接液部には銅が折出し、黒く酸化していた。
そこで、本発明はこのような金属の吸着・折出を防止することで、前記問題点を解消できる挿入方式の電磁流速センサを提供することを目的とする。
本発明は、電磁流速センサのステンレス製金属シェルの接液部に異種金属が折出しないようにするため、基本的にセンサの金属シェルを流体配管から電気的に絶縁することを最も主要な特徴とする。
請求項1の発明は、センサの先端部外周が筒形の金属製シェルで形成され、被計測流体が流れる配管にセンサを挿入装着したときに、前記金属製シェルの少なくとも先端部が接液する電磁流速センサにおいて、
配管と金属製シェルとを電気的に絶縁する絶縁手段を具備したことを特徴とする電磁流速センサである。
請求項2の発明は、請求項1の電磁流量計において、絶縁手段が、センサを配管に螺着するための取付金具の内周に取り付けた絶縁スリーブであることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2の電磁流量計において、絶縁スリーブが取付金具の内周に螺着されていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項2の電磁流量計において、絶縁スリーブが取付金具の内側にアウトサート成形で作りつけたことを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1の電磁流量計において、センサを配管に螺着するための取付金具を軸方向に2分割し、両者を電気的に絶縁して固着し、センサの先端側に位置する一方に配管への螺合用雄ねじを設け、他方に金属製シェルと螺合する雌ねじを設けたことを特徴とするものである。
配管の亜鉛メッキが溶け出しても、配管と金属シェルとが電気的に絶縁されているため、配管から電子が金属シェルに集まることはない。したがって、温水や冷水等の液体(流体)中に銅などの金属イオンが存在したとしても、これらの金属がセンサの金属シェルに吸着されて折出することはない。その結果、センサの感度変化が防止できる。
本発明を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
図3の実施例はこの発明の好ましい実施の形態で、配管1に溶接したソケット2には雌ねじ2cが刻設されている。取付金具12は図示右端、即ち先端部にテーパ雄ねじ12aを有している。電磁流速センサ3は、ステンレス304からなる全体がほぼ円筒形の金属シェル4の内側に、図1と同様に電気絶縁材料からなるボデー5が配設固着され、2本の電極6,6がボデー5からわずかに流体(例えば温水)10中に突出している。
取付金具12は図2の従来技術と同様に外形が六角形で、この六角部分に工具を嵌めて、テーパ雄ねじ12aをソケット2の雌ねじ2cに螺合することで、センサ3を配管1に装着する。取付金具12の内径の最小径は符号12bで示す部分で、この最小径よりも金属シェル4の外経の小径部はわずかに小さく定めてある。したがって、金属シェル4の外径の小経部4bと取付金具12の内径の最小径12bとの間には円筒形の空間(隙間)が形成されている。13は合成樹脂材料からなる電気絶縁手段としてのスリーブで、全体がほぼ円筒形で、その外周に刻設された雄ねじ部分を取付金具12の内周に刻設した雌ねじにきつく螺着することで、スリーブ13を取付金具12に固着している。そして、金属シェル4の大径部に刻設した雄ねじ4cをスリーブ13の内周に刻設した雌ねじ13cに螺合させ、その回転角度位置を調整することで、電極6,6が、図示のように所定の位置、即ち上下方向に位置し、かつ電極6,6の左右方向の位置が、配管内の所定の位置に挿入されるようにセンサの頭部14を回転させて、センサの左右の位置決めと、センサの金属シェル4の軸線(図示左右方向の軸線)回りの角度位置を決める。所定の位置になったところで、図示されていない止めねじによって、スリーブ13と金属シェル4との相対回動を止め、スリーブ13と金属シェル4との角度位置を固定するようにしてある。
センサの頭部14には電極6,6間に誘起した信号電圧を増幅するプリアンプや、流速に対応した流速信号を電文に変換してコード15を介して外部に送出するための電子回路が収納されている。なお、16は水密を保つために金属シェル4と取付金具12の間に設けたOリングである。
この実施例は、センサ3の取付金具12とスリーブ13だけが図3の実施例1と異なる。そのため、この実施例2は、取付金具12とスリーブ13だけを図4に示す。この実施例では、絶縁スリーブ13が取付金具12の円周にアウトサート成形で作りつけてある点が実施例と異なる。なお、17はOリング溝である。この溝に図3の場合のようなOリング16を取り付ける。
この実施例は、図5に示すように取付金具を左右に2分割し、図示右側の第1の取付金具12Aに雄ねじ12aを刻設し、図示左側の第2の取付金具12Bに雌ねじ13cを刻設した。取付金具12Aと13Aとの間には絶縁板18が介装され、両取付金具をネジ20,20で固着しているが、各ネジ20,20に絶縁カラー19,19がそれぞれ嵌めてあるので、第2の取付金具12Bは、第1の取付金具12Aと電気的に絶縁されることになる。したがって、結果的に雌ねじ13cに螺合する金属シェル4は配管1に対し電気的に絶縁される。
電磁流速センサの計測原理を説明する縦断面略図。 従来技術の問題点を説明するための模式図。 本発明の実施例1の一部縦断面図。 本発明の実施例2の要部を示す縦断面図。 本発明の実施例3の要部を示す縦断面図。
符号の説明
1 配管
1a 鉄管
1b 亜鉛メッキ
2 ソケット
2a 鉄
2b 亜鉛メッキ
3 電磁流量センサ
4 金属シェル
4c 雄ねじ
5 ボデー
6 電極
7 コアー
8 ヨーク
9 励磁コイル
10 流体(温水)
12 取付金具
12A 第1の取付金具
12B 第2の取付金具
12a 雄ねじ
13 絶縁スリーブ(スリーブ)
13c 雌ねじ

Claims (5)

  1. センサの先端部外周が筒形の金属製シェルで形成され、被計測流体が流れる配管にセンサを挿入装着したときに、前記金属製シェルの少なくとも先端部が接液する電磁流速センサにおいて、
    配管と金属製シェルとを電気的に絶縁する絶縁手段を具備したことを特徴とする電磁流速センサ。
  2. 絶縁手段が、センサを配管に螺着するための取付金具の内周に取り付けた絶縁スリーブであることを特徴とする請求項1記載の電磁流速センサ。
  3. 絶縁スリーブが取付金具の内周に螺着されていることを特徴とする請求項2記載の電磁流速センサ。
  4. 絶縁スリーブが取付金具の内側にアウトサート成形で作りつけたことを特徴とする請求項2記載の電磁流速センサ。
  5. センサを配管に螺着するための取付金具を軸方向に2分割し、両者を電気的に絶縁して固着し、センサの先端側に位置する一方に配管への螺合用雄ねじを設け、他方に金属製シェルと螺合する雌ねじを設けたことを特徴とする請求項1記載の電磁流速センサ。
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