JP2005179760A - 複合蒸着材および2層膜の製造方法、複合蒸着材の製造方法。 - Google Patents

複合蒸着材および2層膜の製造方法、複合蒸着材の製造方法。 Download PDF

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眞治 古市
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Abstract

【課題】 銅とクロムの複合膜作製で、製膜作業回数を減らしピンホールの少ない、多層
構造の膜が得られる複合蒸着材と膜の製造方法を提供する。
【解決手段】 銅基体の軸領域にクロム粒子を分散させた複合蒸着材を用い、1回の蒸着
で銅からクロムに組成が変化する組成傾斜膜を作製する。組成傾斜膜を熱処理してクロム
を銅表面に析出させ2層の膜を1回の製膜作業で得る。組成傾斜膜を熱処理してクロムが
析出する時、組成傾斜膜のピンホールを減少させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、AC−PDPの列電極、行電極用の金属3層構造等の多層金属膜に関するも
のである。
交流駆動型プラズマディスプレイ(AC−PDP)に金属電極は、大電流容量を得るた
め銅(Cu)が使用されている。銅を保護することと基板への密着性を良くするために、
銅の上下両面にクロム(Cr)を形成し、Cr−Cu−Crの3層構造が多く用いられて
いる。3層構造の金属層をリソグラフィー技術を用いて、電極形状に加工し3層構造の電
極を形成している。その後、ガラスペーストを塗布し約600℃に加熱しガラスペースト
をガラス化して誘電体層を形成している。約600℃に加熱するため、電極材として融点
が約660℃のアルミニウム(Al)を用いず、銅が主に用いられている。
Cr−Cu−Crの3層構造の各々の厚みは、基板との密着性を主眼とする第1層目の
クロムは0.05〜0.1μm、大電流を流す第2層目の銅は1〜4μm、銅の保護を主
眼とする第3層目のクロムは0.1〜0.3μmである。特許文献1には、クロム、アル
ミニウム、クロムを順次スパッターを行い3層構造を得ることが開示されている。特許文
献2には、銅層をめっきで形成する方法が開示されている。
特開平11−233011 特開2003−331736
スパッターは緻密な膜ができるが製膜速度が遅いと言う問題がある。スパッターの方式
にもよるが、銅で1.5μm/時間、クロムで1μm/時間程度であるので、3層の金属
層を得るのに少なくとも数時間はかかってしまう。めっきで銅を付ける場合は、めっき速
度は約0.3μm/分とスパッターに比べ非常に速くすることができるが、めっきは湿式
であるのでめっき作業前処理、後処理等の作業が必要である。1層目のクロムは銅めっき
の導電膜としても使用できるが、少なくとも2回のクロムの製膜が必要である。銅の製膜
速度を上げる方法として、真空蒸着を用いることができるが、真空蒸着膜はスパッター膜
に比べ、密着強度が低いのと疎でピンホールができ易いと言う問題がある。そのため、ク
ロム膜は真空蒸着ではなくスパッターを用いるのが一般的である。銅層をスパッター、め
っき、真空蒸着のいずれで形成するにしても、3回の製膜作業が必要であった。
本発明の目的は、製膜作業回数を減らしピンホールの少ない、多層構造の膜が得られる
複合蒸着材と膜の製造方法を提供することである。
本発明の複合蒸着材は、銅基体と前記銅基体の軸領域に分散されたクロム粒子を備え、
前記銅基体が高蒸気圧の金属であり、前記クロム粒子が低蒸気圧の金属である複合構造を
有し、1回の蒸着作業で蒸着膜の蒸着初期の組成は高蒸気圧の銅がリッチであり、蒸着終
期が低蒸気圧のクロムがリッチとなる組成傾斜蒸着膜を得るものである。
同一の真空度において、低温で蒸発する金属を高蒸気圧の金属と言い、高温にしなけれ
ば蒸発しない金属を低蒸気圧の金属と言う。銅とクロムでは、銅が高蒸気圧の金属でクロ
ムが低蒸気圧の金属となる。つまり、同一の真空度では、銅、クロムの順で蒸発に必要な
温度が高くなると言える。
本発明の複合蒸着材を蒸発させると、蒸気圧の差により1回の蒸着作業で、蒸着初期は
銅がリッチで蒸着終期はクロムがリッチとなる組成が傾斜した膜が得られる。蒸着条件を
検討することで、蒸着初期は銅100%蒸着終期はクロム100%と、銅からクロムに組
成が変化する組成傾斜膜を得ることができる。蒸着初期から中期、中期から終期にかけて
は銅とクロムの含有比率はほぼ連続的に変化させることができる。
銅の軸部分に分散させるクロム粒子の形状は、球状、楕円状、6面体や8面体もしくは
これ以上の多面体状、板状、フレーク状、針状、個々の形状に規則性が見いだし難い不定
形、またはこれらの組合せ形状のものを用いることができる。また、単体の粒子ではなく
、複数の粒子を結合させた粒子を用いてもよい。ただし、蒸着材における蒸発速度など均
一性を保持し、組成の均一な蒸着膜を形成するためには、ほぼ類似の形状であって粒径の
分布が均一である粒子からなる粉末を用いるほうが好ましい。
複合蒸着材の軸領域にクロム粒子を分散させる度合いは適宜選択可能である。すなわち
、複合蒸着材軸領域断面に一様にクロム粒子を分布させた構造とすることが好ましい。こ
こで、複合蒸着材軸領域断面とは、複合蒸着材の長手方向に直交する向きで切断した断面
のことをいう。これらの軸領域は、長手方向においても粒子の分布が一様であることが好
ましい。
複合蒸着材の軸領域に分散させるクロム粒子の重量は、複合蒸着材重量の10〜60%
とすることができる。クロムと銅の比率は電極の厚み、電気抵抗等で決めることができる
。しかし、クロム粒子の重量を余り多くすると、複合蒸着材の製作時軸領域を形成する銅
パイプの厚みが薄くなるため、冷間線引き時に切断してしまう畏れがある。また、電気抵
抗が大きくなり電極としての機能が低下する。
本発明の複合蒸着材において、クロム粒子の粒径が、少なくとも単位体積中の粒子の7
0%以上について、30μm以下である。さらに望ましくは、クロム粒子の粒径が、10
μm以下であることとする。クロム粒子の平均粒径が0.1〜100μmの範囲にあるこ
ととしてもよい。さらに、クロム粒子の分散性を向上させるためには、平均粒径を0.1
〜40μmの範囲とすることが望ましい。クロム粒子の径を規定することにより、粒子の
表面積を確保しバインダー(つなぎ)の役目をする銅粒子との、結合面積を増やすことに
よりクロム粒子の脱落を防止することができる。 また、クロム粒子と銅粒子を混合した
混合粉末の見かけ比重(嵩密度)を大きくすることができ、複合蒸着材の軸領域の寸法の
安定化につながる。
本発明の複合蒸着材を用い、1回の蒸着作業で蒸着膜の蒸着初期の組成は高蒸気圧の銅
がリッチであり、蒸着終期が低蒸気圧のクロムがリッチとなる組成傾斜蒸着膜を作製し、
真空中で加熱することで銅とクロムが分離した2層膜を作製することができる。
蒸着初期が銅リッチで蒸着終期がクロムリッチな組成傾斜蒸着膜を、1x10−1Pa
程度の真空中で500〜600℃以上で1時間程度加熱すると、銅中のクロムが押し出さ
れるように銅表面にクロムを析出させることができる。クロムを析出させることで、銅か
らクロムに組成傾斜していた膜を銅とクロムの2層膜にすることができるものである。
本発明の複合蒸着材を用い、1回の蒸着作業で蒸着膜の蒸着初期の組成は高蒸気圧の銅
がリッチであり、蒸着終期が低蒸気圧のクロムがリッチとなる組成傾斜蒸着膜を作製し、
空気中で加熱し銅とクロム酸化物が分離した2層膜を作製することができる。
蒸着初期が銅リッチで蒸着終期がクロムリッチな組成傾斜蒸着膜を、大気中もしくは酸
化雰囲気中で500〜600℃以上に加熱することで、銅表面にクロムを析出させるだけ
でなく、クロムを酸化させて絶縁膜を形成することができる。または、蒸着初期が銅リッ
チで蒸着終期がクロムリッチな組成傾斜蒸着膜を、500〜600℃の真空中でクロムを
析出させた後、250℃以上の温度でクロムを酸化させても良い。クロムは銅に比べ酸化
速度が大きいため、低温でクロム表面を酸化させることができる。
本発明の複合蒸着材を用い、蒸着初期が銅リッチで蒸着終期がクロム100%の組成傾
斜蒸着膜を作製した後、250℃程度の温度でクロム表面を酸化させることもできるが、
温度が低いため膜は組成が傾斜したままである。
1回の蒸着作業で蒸着膜の蒸着初期の組成は高蒸気圧の銅がリッチであり、蒸着終期が
低蒸気圧のクロムがリッチとなる組成傾斜蒸着膜を作製し、真空中もしくは空気中で加熱
し、銅とクロムもしくは銅とクロム酸化物を分離させるとともに、蒸着膜のピンホールを
減少させることができる。
蒸着は製膜速度がスパッターに比べ格段に速いと言う利点はあるが、膜の密度が疎で
ピンホールが生じ易いと言う欠点がある。蒸着速度を下げたり、膜厚を上げててピンホー
ルの個数を下げることはできるが、完全に無くすことは難しかった。蒸着初期が銅リッチ
で蒸着終期がクロムリッチな組成傾斜蒸着膜のピンホールの大きさは、数μm径のものが
大半で5μmを超えるようなピンホールは見られない。組成傾斜蒸着膜を真空中で加熱し
、クロムを表面に析出させると析出時にピンホールが埋められ、銅とクロムの2層膜では
ピンホールが殆んどない膜を得ることができる。ピンホールを無くすことで、クロムは銅
の保護膜としての機能が向上するものである。また、クロムを酸化させて酸化クロムとし
ても同様に保護膜としての機能が得られるものである。
本発明の複合蒸着材は、銅粒子とクロム粒子を混合した混合粉末を形成する工程と、前
記混合粉末を銅管の中に充填する工程と、前記銅管に通気性の栓をする工程と、前記銅管
を冷間線引き加工して径を縮小して複合銅線にする工程と、前記複合銅線を分割して複合
蒸着材を得る工程とを備える。
銅粒子はクロム粒子と銅管を一体として接合するバインダー機能を持つ。バインダー機
能を有効に達成するために、クロム粒子の寸法規定範囲に対して、銅粒子の寸法μmや、
銅粒子とクロム粒子の混合比(重量比での比較、すなわちwt%)も規定する必要がある
。銅粒子とクロム粒子の重量比で銅1に対しクロム0.2から4が好ましい範囲である。
クロム粒子よりも銅粒子が少なければ、ペレット状に切断した複合蒸着材の側面からクロ
ム粒子が剥離や脱落することがないとも限らない。逆に、クロム粒子が銅粒子に対して少
なすぎると、バインダー効果は十分であるが、蒸着膜中のクロム膜の厚さが薄くなり、2
層膜として機能が十分に得られないことも考えられる。
そこで、銅粒子の粒径は、少なくとも単位体積中の粒子の70wt%以上について、1
00μm以下とする。さらに望ましくは粒径が70μm以下であることとする。また、平
均粒径を1〜100μmの範囲に設定することとしてもよい。粒子の作製は、ガスアトマ
イズ法、所定の大きさの固まりを粉砕するボールミリング法等を用いることができる。
2種類以上の粒子を混合させる方法として、粉末を密封容器に入れ不活性ガスを封入し
て、容器を回転、揺動させる混合機、あるいは不活性ガスを封入出来るV型ミキサーを用
いる。不活性ガスを封入するのは粉末の酸化や爆発を防ぐためである。また、密封容器は
金属製のものを用い、容器の一部をアースすることで静電気の帯電を防止し爆発の危険性
を下げる事で、安全に粉末を混合することが出来る。
銅管に混合粉末を充填するには、銅管を地面に対し60度から80度に傾けて保持し、
混合粉末を自然落下で充填することが好ましい。80度から90度の角度に銅管を保持し
、混合粉末を自然落下で充填すると銅管内の空気が抜けず、混合粉末がブリッジを作り空
気溜まりが発生して、完全に充填することが難しい。この状態で振動を与えたり、棒で突
っついても空気溜まりを除去することは難しいものである。また、60度以下の角度で混
合粉末を充填したのち、銅管を略垂直に立てると、混合粉末がブリッジを作りやすく好ま
しいものではない。銅管に混合粉末充填後、銅管に振動を与えたり、棒で突っついたりし
てより充填密度を上げることもできる。
前記銅管に前記混合粉末を充填する際には、冷間加工の工程で混合粉末が漏洩しないよ
うに銅管の開口を閉じる必要がある。この開口部の閉鎖方法としては、銅管の一方を機械
的に潰し縮径し、弾力性と通気性を有する栓を詰めることが良い。ここで、銅管を完全に
潰し密閉することは好ましくなく、栓が抜けない程度に縮径するに留めることが重要であ
る。栓の通気性は、粉末の隙間に含まれる空気を逃がす作用をもたらし、結果として蒸着
材中の残留酸素量を低減させたり、ボイドの発生を防止させる。弾力性は、栓の移動を防
止して、粉末を銅管内に封じることに寄与する。銅管に混合粉末の充填をしたのち、栓を
行い銅管の端部を縮径して栓を固定する。栓はφ20μm程度のステンレス細線を、丸め
て使用する事が望ましい。
銅管の冷間加工には、冷間線引き加工を用いる。線引き用ダイスに前記銅管を通すこと
によって径方向に圧縮し、その径を細くさせて且つ長手方向に伸ばす。この圧縮・伸長に
おいて、銅管や装置自体に対して熱処理の付加は行わないが、冷間工程で圧縮された銅粒
子が塑性をもって流動し、クロム粒子同士の間に入り込むと考えられる。こうして細く線
引きされた銅管とクロム粒子の間に銅粒子が充填され、銅管と銅粒子およびクロム粒子は
一体化し、実質的に銅基体の軸領域にクロム粒子が分散する構造の複合銅線を得る。
分割工程では、ねじ切り、切断などによって複合銅線を所定の長さに切り分けてペレッ
ト状の複合蒸着材を得る。ペレットの端面にできたバリの除去を兼ねてパーツフィーダー
等の自動供給がし易いように面取り加工を行っても良い。または、複合銅線をボビンに巻
取り、ボビン付きで蒸着機にセットする複合蒸着材としても良い。
銅基体と前記銅基体の軸領域に分散されたクロム粒子を備えた複合構造とすることで、
1回の蒸着作業で蒸着膜の蒸着初期は銅がリッチで、蒸着終期はクロムがリッチとなる組
成傾斜蒸着膜が得られる。組成傾斜膜を熱処理することで銅の表面にクロムを析出させ2
層に分離した膜を得ることができる。また、銅の表面にクロムを析出さることで、蒸着膜
に生じたピンホールを無くすことができる。従来、クロム−銅−クロム(もしくは酸化ク
ロム)の3層膜を得るには3回の製膜作業を行っていたが、銅−クロムを1回の蒸着作業
で得られるため、クロムの製膜と1回の蒸着作業で済み大幅な工数の低減が図れる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1a)は本発明の複合蒸着材の一実施態様の斜視図、図1b)に本発明の複合蒸着材
の一実施態様の断面図であって、円柱状の銅基体2と、前記銅基体軸領域に分散されたク
ロム粒子3を有する複合蒸着材1を示した。点線は銅基体軸領域4に相当し、主としてク
ロム粒子が銅粒子中に分散されている領域である。この軸領域4の側面には、クロム粒子
3が露出された部分が存在する。銅基体2中の軸領域4以外の部分は、銅で構成されてい
る。寸法としては銅基体の外径をφ2.0mmとした。点線の軸領域4の径を約φ1.1
mmとして、長さを14mmとした。軸領域4の銅とクロムの重量割合は、1:1として
いる。軸領域の見掛け密度は0.6程度であるので、複合蒸着材1でクロムが占める重量
割合は約10%となった。
次に本実施例で用いた製造方法について図2の工程フロー図で説明する。まず、銅粒子
5とクロム粒子7を同重量不活性ガスを充填した密封容器8に入れて、密封容器8を回転
・揺動させて、銅粒子とクロム粒子を均一に混合した(ステップ1)。不活性ガスを充填
した状態で混合するのは、銅およびクロム粒子の酸化を防ぎ、静電気等による爆発を防ぐ
ためである。混合させた粉末中、銅粒子は平均粒径が75μmであり、クロム粒子は平均
粒径が10μmとした。銅管(パイプ)9は外径φ15.0mmであり、内径φ11.0
mmであり、長さ350mmの中空棒を用いた。銅管の中空部に銅とクロム粒子を充填す
る前に、銅管の特に内表面の油等の付着物や酸化皮膜を除去するために、酸洗い、水洗、
乾燥をおこなった。
次に、銅管9の片方の端をハンマーで叩いて、内径を若干量小さくした。銅管の一方の
端に、綿状に丸めたステンレスワイヤーからなる栓10を詰めて固定した(ステップ2)
。銅管を地面に対し約75度の角度に保持し、銅管の他方の端の開口から銅とクロムを混
合させた粉末を注いだ後、銅管を地面に対し略直角に保持し細い棒で突き固めた(ステッ
プ3)。開口をふさぐように同様のステンレスワイヤーの栓10を詰めてハンマーで叩き
、銅管に粉末を充填させた(ステップ4)。ステンレスワイヤーの栓はφ18μmのSU
S細線を絡ませた構造であり、粉末を固定するに十分な弾力性と、通気性を合わせ持つ。
この通気性は、次の冷間加工工程で銅とクロムの混合粉末の粒子間に存在する空気を排除
させるための通気孔として機能する。通気孔によって粉末内部の空気を除去することは銅
基体と銅粒子、クロム粒子の強固な密着を得るためであり、空気が残ると銅基体と銅粒子
、クロム粒子の間に隙間が出来たり、銅管から銅粒子やクロム粒子が抜け落ちるおそれが
あるためである。
次に銅粒子とクロム粒子を充填させた銅管を伸長させる冷間加工工程を説明する。銅管
の一方の端を頭打ち機と呼称される装置で均一に叩き、線引き用ダイス孔径より小さい固
定部12を形成した。固定部12の長さは約40mmとした。この固定部12を線引き用
ダイス13の孔に通し、引っ張り加重装置14で挟持して引っ張り加重装置を動かし、固
定部に引っ張り加重をかけることで、線引き用ダイスの孔から銅管を引き抜いた(ステッ
プ5)。引き抜きの速度、すなわち伸線速度は約30m/分とした。引き抜かれた銅管の
外径はダイスの孔の径に絞られて小さくなった。この引き抜き工程を線引きと呼称する。
次に、線引き用ダイスを孔の径の小さいものに交換して、同様の引き抜き工程を行って、
銅管の径をさらに小さくした。線引き用ダイス孔径より径の小さい固定部の形成は適時行
った。この工程を繰り返して、外径を徐々に細くさせて銅管を伸長させ、所定の外径の銅
線を得た(ステップ6)。ステンレスワイヤーの栓が詰まっている部分を、a−a’,b
−b’で切断し、銅基体の軸領域にクロム粒子を分散させた外径φ2mmの複合銅線15
が得られた(ステップ7)。この複合銅線15を所定の長さに切断加工することで銅基体
の軸領域にクロム粒子を分散させた複合蒸着材1ができた。
冷間の線引き工程で銅管を外径φ15.0mmから外径φ2.0mmまで加工するのに
、1回の線引きで断面積で約10〜25%の減少率としたため、20種の線引きダイスを
使用した。常温かつ大気圧中で冷間線引き加工行ったが、熱間線引き加工することで一回
の線引きでの線引き率を上げ、線引きダイスの数を減らすことは可能であるが、銅管内の
空気中酸素により銅粒子およびクロム粒子の酸化を防止する方策を取る必要がある。この
ことから、減少率を落とし線引き回数を増やす方が、製造する上では容易であると言える
複合蒸着材を用いて、シリコンウェファーの上に銅とクロムの組成傾斜複合膜を形成し
た。蒸着条件は真空度1〜5x10−2Pa、印加電圧3.5〜5.0V、蒸着時間90
秒、蒸着材を載せるトレーはボロンナイトライト(BN)を使用し、約1.5μmの蒸着
膜厚となるようにした。トレーに印加する電圧は、予備加熱3.5V60秒とし、その後
で蒸着する5.0Vに上げる2段階方式とした。蒸着した膜を、1x10−1Paの真空
中で600℃1時間の熱処理を行った。蒸着した膜と熱処理した膜について、オージェ分
析器を用いて膜厚方向の銅とクロムの組成分析を行なった。
図3に蒸着した膜の組成分析結果、図4に真空中で熱処理した膜の組成分析結果を示す
。図の横軸は膜厚方向の分析深さを示しているので、0μmが蒸着終期、1.5μm近傍
で銅が0%となっている個所が蒸着初期に当たる。分析値から酸素を除いてプロットして
いるので、縦軸で銅とクロムの原子%を加算しても100%にならない部分がある。残り
は酸素であるので、実質的には銅もしくはクロムが100%と考えて構わない。蒸着初期
面の酸素はシリコンウェファー表面の吸着酸素、蒸着終期面の酸素は蒸着終了してから分
析するまでに大気中の酸素で酸化したものと考えられる。
図3で、蒸着初期は銅が100%で蒸着中期、終期に向かうに従い銅の含有率が減りク
ロムの含有率が増えて、蒸着終期ではクロム100%となっている。銅からクロムに組成
が連続的に変化した膜となっていることがわかる。クロムが100%の領域は、全体膜厚
の約3%になっている。図4の熱処理後の膜厚方向の組成はクロムが析出したため、蒸着
終期側から約20%の厚みまでクロム100%となっており他は銅である。クロムと銅の
境界部ははっきりしていないが、全体膜厚の数%がクロムと銅の混合領域と見られる。図
示はしていないが、大気中で熱処理した膜の膜厚方向の組成は、図3b)と殆んど変わら
なかった。勿論、クロムの酸化が進んでいるため、縦軸の原子%のクロムピーク値は下が
っている。
蒸着した膜と真空中で熱処理した膜のピンホールの測定結果を述べる。蒸着した組成傾
斜膜のピンホールの数は100mm当たり1〜2個であった。ピンホールの径も1〜2
μmであった。ブラウン管の光反射膜として使われている0.3μm程度のアルミニウム
蒸着膜のピンホール4〜6個に比べ1/3程度と少ない。ひとつは、銅クロム蒸着膜厚が
約1.5μmと厚いためと考えられる。ピンホールはガラスに蒸着した膜の背面から光を
透過させ、測長顕微鏡で数と大きさを測定した。同様に、真空中で熱処理した膜のピンホ
ールを測定したが、100mm当たり0.01個程度であった。0.01個とは10,
000mmで、φ1μm程度のピンホールが1個見つかったものである。熱処理しクロ
ムを析出させることで、ピンホールを減少させられることが確認できた。
無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)の下部電極は上部にセラミックス誘電体層
が形成されるので、1回の蒸着で銅とクロムの組成傾斜膜もしくは組成傾斜膜を熱処理し
て銅とクロムの2層膜とした膜を使用できる。PDPや無機EL以外にも電極膜として使
用できることは言うまでもない。
本発明の複合蒸着材の斜視図と断面図である。 本発明の複合蒸着材の製造工程フロー図である。 本発明の複合蒸着材を用い蒸着した膜の膜厚方向の組成分析結果である。 本発明の複合蒸着材を用い蒸着した膜を真空中で熱処理した膜の膜厚方向の組成分析結果である。
符号の説明
1 複合蒸着材、2 銅基体、3 クロム粒子、4 軸領域、5 銅粒子、
7 クロム粒子、8 密封容器、9 銅管、10 栓、12 固定部、
13 線引きダイス、14 引っ張り加重装置、15 複合銅線。

Claims (5)

  1. 銅基体と前記銅基体の軸領域に分散されたクロム粒子を備え、前記銅基体が高蒸気圧の
    金属であり、前記クロム粒子が低蒸気圧の金属である複合構造を有し、1回の蒸着作業で
    蒸着膜の蒸着初期の組成は高蒸気圧の銅がリッチであり、蒸着終期が低蒸気圧のクロムが
    リッチとなる組成傾斜蒸着膜を得るための複合蒸着材。
  2. 1回の蒸着作業で蒸着膜の蒸着初期の組成は高蒸気圧の銅がリッチであり、蒸着終期が
    低蒸気圧のクロムがリッチとなる組成傾斜蒸着膜を作製し、真空中で加熱し銅とクロムが
    分離した2層膜の製造方法。
  3. 1回の蒸着作業で蒸着膜の蒸着初期の組成は高蒸気圧の銅がリッチであり、蒸着終期が
    低蒸気圧のクロムがリッチとなる組成傾斜蒸着膜を作製し、空気中で加熱し銅とクロム酸
    化物が分離した2層膜の製造方法。
  4. 1回の蒸着作業で蒸着膜の蒸着初期の組成は高蒸気圧の銅がリッチであり、蒸着終期が
    低蒸気圧のクロムがリッチとなる組成傾斜蒸着膜を作製し、真空中もしくは空気中で加熱
    し、銅とクロムもしくは銅とクロム酸化物を分離させるとともに、蒸着膜のピンホールを
    減少させることを特徴とする2層膜の製造方法。
  5. 銅粒子とクロム粒子を混合した混合粉末を形成する工程と、前記混合粉末を銅管の中に
    充填する工程と、前記銅管に通気性の栓をする工程と、前記銅管を冷間線引き加工して径
    を縮小して複合銅線にする工程と、前記複合銅線を分割して複合蒸着材を得る工程とを備
    えることを特徴とする請求項1に記載の複合蒸着材の製造方法。
JP2003425005A 2003-12-22 2003-12-22 複合蒸着材および2層膜の製造方法、複合蒸着材の製造方法。 Pending JP2005179760A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114231914A (zh) * 2021-11-17 2022-03-25 中国科学院金属研究所 一种铜导体用低互扩散、抗高温氧化涂层及其制备方法

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CN114231914A (zh) * 2021-11-17 2022-03-25 中国科学院金属研究所 一种铜导体用低互扩散、抗高温氧化涂层及其制备方法

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