JP2005176628A - 細胞培養用基板と生物活性物質移送シートからなる細胞培養用キット、その製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法 - Google Patents

細胞培養用基板と生物活性物質移送シートからなる細胞培養用キット、その製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005176628A
JP2005176628A JP2003418535A JP2003418535A JP2005176628A JP 2005176628 A JP2005176628 A JP 2005176628A JP 2003418535 A JP2003418535 A JP 2003418535A JP 2003418535 A JP2003418535 A JP 2003418535A JP 2005176628 A JP2005176628 A JP 2005176628A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
culture
region
cell culture
biologically active
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003418535A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4148516B2 (ja
Inventor
Kohei Watanabe
耕平 渡辺
Takeshi Miyazaki
健 宮崎
Osamu Shikame
修 鹿目
Ryoichi Matsuda
良一 松田
Tomoyo Fujiyama
朋代 藤山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2003418535A priority Critical patent/JP4148516B2/ja
Priority to EP04807646A priority patent/EP1694812A4/en
Priority to PCT/JP2004/019289 priority patent/WO2005059086A1/en
Priority to US10/554,211 priority patent/US7419820B2/en
Publication of JP2005176628A publication Critical patent/JP2005176628A/ja
Priority to US12/183,008 priority patent/US7960168B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4148516B2 publication Critical patent/JP4148516B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 簡便な工程で固定化状態および溶解状態の複数の生物活性物質の効果を同時にみることができる細胞培養用キット、その製造方法、およびそれを用いたスクリーニング法を提供すること。
【解決手段】 複数の生物活性物質の組み合わせかつ/または密度が異なる生物活性物質の固定化領域からなる細胞培養用基板および、複数の生物活性物質の組み合わせかつ/または密度が異なる領域からなる生物活性物質を遊離可能な生物活性物質移送シートを用いて細胞培養用キットを構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、細胞に対して生理活性作用を有する一種類以上の生物活性物質の機能、または2種類以上の生物活性物質の組み合わせによる効果を特定する為、あるいは細胞を用いた生理活性物質のスクリーニングに用いることのできる細胞培養用基板および生物活性物質移送シートから少なくともなる細胞培養用キット、その製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法に関する。
近年、動植物の細胞を種々の条件下において培養する研究、あるいは特定の培養細胞による産生物の研究が活発に行われており、特に人工的には合成が不可能であるか、あるいは合成が極めて困難な物質を特定の細胞活動を利用して製造することが多方面において検討されている。また、細胞の増殖・分化に影響を与える物質を特定し、目的に応じて所望の細胞を増殖、分化させようという研究が行われており、細胞工学や医工学の急速な進歩とともに、細胞を用いた超小型バイオセンサーや人工臓器、更にはニューロコンピューターなどが注目を集め、これらに応用すべく活発な研究活動がなされている。
しかしながら前述のように生体外で細胞を利用するには、細胞を望むように配列させ、その増殖、分化や物質産出を制御することが不可欠であるが、細胞を配列させ、その増殖、分化や物質産生を制御する機構が十分解明されておらず、この様な観点で細胞を制御しながら培養することは極めて困難で、前述のような細胞を利用した研究開発の進展の大きな障壁となっている。また、薬剤の感受性に対する個人差に起因する問題を考慮したテーラーメード医療の概念は近年広く認知されてきており、そのニーズは高まっているが、これまでは、特に技術的理由のために、生理活性を持つ物質の影響については個々の物質の機能についてのみ研究されることが多く、複数の薬剤の効果の有無や必要量、組み合わせの効果などを簡便に調べる有効な手法が確立されていない。
細胞の配列を制御する試みとしては、USP5108926号公報のように、インクジェットプリンターを用いて細胞接着性蛋白質を塗布してパターンを形成し、この上で細胞を培養した例がある。この方法では、細胞接着性蛋白質が塗布されたパターン上で細胞を培養することはできるが、その増殖・分化や物質産出の制御を行い、細胞をスクリーニングすることはできない。また、「蛋白質・核酸・酵素」、45巻、727〜734(2000)では、細胞の増殖・分化に影響を与える細胞成長因子を基板上にフォトリソグラフィ技術を用いて固定化し、細胞の増殖・分化に与える影響の検討をしている。しかしながら、細胞成長因子を固定化した基板を細胞のスクリーニング手段として用いておらず、また、フォトリソグラフィ法では、生体内に少量しか存在しないこれら生体物質を浪費し、露光、現像といったプロセスを繰り返さなければならず製造工程が複雑となる。
また、特表2000-512009号公報では、細胞接着性に影響を与える物質を基板上に固定化し、細胞のスクリーニングを行う方法について提案がなされている。ここでは、基板上に設けられた反応性官能基と細胞接着性物質を二価の架橋試薬により固定化している。反応性官能基と細胞接着性物質を結合させる際にフォトリソグラフィを用いており、前述したことと同様の課題が生じるだけでなく、複数の細胞接着性物質を固定化する際には、すでに固定化されている物質と新たに固定化する物質が所望でない位置で二価の架橋試薬で結合されることを回避することは極めて困難で、所望の位置に、細胞接着性物質を配置することは極めて困難である。また、増殖や分化、更には、物質産出に影響する物質を固定化することはなく、細胞を各ウェルに接着性物質により固定化し、培養液により培養される過程で細胞が産生する物質を捉えることで細胞をスクリーニングするものであり、本発明のように細胞の接着性や増殖、分化、生存、未分化状態の維持、細胞死及び物質産出の少なくとも1つに影響する物質をスクリーニングするためのものではない。
また、特開2002-355025号公報では複数の細胞スクリーニング物質を、液滴吐出手段でベース上の所望の領域に配置して固定化し、異なる細胞スクリーニング機能を有する複数の領域を有することを特徴とする細胞スクリーニング基板を形成する方法が開示されている。この発明では細胞スクリーニング物質が培養液中でスクリーニング基板にすべて固定化されているために細胞内に細胞スクリーニング物質が取り込めない場合が多い。従って、この発明は、細胞内に細胞スクリーニング物質が取り込まれることによって、増殖、分化、生存、未分化状態の維持、細胞死及び物質産出の少なくとも1つに影響する細胞をスクリーニングする場合を除き有効な提案である。
また、特開2002-328124号公報は生物活性物質の高次数の組み合わせをスクリーニングすることを目的としているが、該発明ではあらかじめ基板に付与された生物活性物質の作用についての効果を見るものであり、生体内において細胞外基質に固定化された状態で作用する生物活性物質の効果や、細胞の培養過程において、生物活性物質の逐次的な添加により引き起こされる効果についてスクリーニングすることはできなかった。
また、特開2003-33177号公報は、多種の薬物・毒物などの化学物質を簡便にアッセイするために複数の領域に分割された細胞アレイを作成し、得られた各領域に生物活性物質を付与して同時に多検体のスクリーニングを行うものであるが、該発明では、培養中の細胞に対して、いちいちディスペンス手段を用いて生物活性物質を付与するために、その工程でのコンタミネーションの危険性や、専用の生物活性物質の付与装置を構築する必要があり、簡便に用いることはできなかった。
米国特許第5108926号明細書 特表2000-512009号公報 特開2002-355025号公報 特開2002-328124号公報 特開2003-33177号公報 「蛋白質・核酸・酵素」、45巻、727〜734(2000)
従って、本発明の目的は、上述の従来例の持つ課題を解消せしめ、簡便な工程で固定化状態および溶解状態の複数の生物活性物質の効果を同時にみることができる細胞培養用キット、その製造方法、およびそれを用いたスクリーニング法を提供し、細胞工学などの研究をさらに発展させ、また細胞を利用した各種デバイスを作製するための基盤となる技術を提供することにある。また、本発明の目的は、これら細胞培養用キットを用いて、細胞に対して作用を持つあらゆる生物活性物質の少なくとも1つに影響する物質のスクリーニングを行う方法を提供するものである。さらに、本発明の目的は、細胞を用いて有用な生物活性物質のスクリーニングを行う方法を提供するものである。
本発明にかかる細胞培養用キットは、
細胞を培養するための培養領域を有する基板と、該基板上に載置可能であり、該細胞領域の覆い領域を有するシート媒体と、を有する細胞培養用キットであって、
前記培養領域及び前記シート媒体の該培養領域に対する覆い領域の両方が、細胞に対して生理活性を有する1種以上の生物活性物質を有し、これらの領域の一方が有する生物活性物質が該領域内に固定されていることを特徴とする細胞培養用キットである。
この細胞培養キットでは、前記培養領域と該培養領域の覆い領域との組み合わせの2以上を有することができる。
更に、この細胞培養キットは、前記培養領域に生物活性物質が固定されおり、該培養領域に対する覆い領域に生物活性物質が培養液との接触により、該培養液中に放出可能に付着しており、前記シート媒体が生物活性物質の該培養領域への移送用シートとなっている構成をとることができる。
本発明にかかる細胞培養キットの製造方法は、上記構成の細胞培養キットの製造方法であって、前記培養領域及び前記覆い領域への生物活性物質の付与に、少なくとも液体吐出手段を用いることを特徴とする細胞培養キットの製造方法である。液体吐出手段としては、サーマルインクジェット方式による吐出手段やピエゾインクジェット方式による吐出手段が好適に利用できる。
本発明にかかる細胞スクリーニング方法は、上記構成の細胞培養用キットを用いた細胞スクリーニング法であって、前記基板に前記シート媒体を載置して、該基板の有する培養領域を該培養領域に対応する覆い領域で覆い、該細胞領域内に配置した培養液中でこれらの領域の一方に固定した生物活性物質と細胞とを接触させて細胞を培養する工程と、これらの領域の他方に付着させた生物活性物質を培養液に供給する工程を、有することを特徴とする細胞スクリーニング方法である。
本発明の細胞培養用キットによれば生物活性物質を簡易な工程で確実に所望の位置に配置することができ、これを用いることで種々の細胞生理活性物質の効果をスクリーニングすることができる。
具体的には、本発明にかかる細胞培養用キットを用いたスクリーニングによれば、スクリーニングの結果、たとえば、細胞の増殖・分化、生存および未分化状態の維持、細胞死または、物質産出に必要な因子を特定でき、細胞を効率的に培養するための方法を決定することが可能となる。また、固相だけでなく、液相のスクリーニング物質も用いることができるので、固定化状態の生物活性物質と、溶解状態の生物活性物質の組み合わせによる、より生体内に近い状態でのスクリーニングが可能である。さらに、固相と液相またはそれらを組み合わせた場合での効果の違いの検討、また、例えば、薬剤や、いわゆる環境ホルモンといわれる内分泌撹乱物質に対する人の感受性を評価することが可能となる。更に、これらの評価結果に基づいて、種々の疾患に対する人それぞれの診断法を決定することが可能となる。また、細胞を用いて細胞に対して生理活性を持つ有用な生物活性物質のスクリーニングを行うことができる。
また、細胞培養用基板および生物活性物質移送シートは液滴吐出手段としてインクジェット法を用いる事ができるため、多種の細胞スクリーニング物質を同時に、また液滴数を制御することによって濃度変化をつけて細胞に作用させることが可能である。また、数種類の細胞スクリーニング物質を混ぜ合わせて精度良く細胞培養液に移送できるため、従来は難しかった多元系の生物活性物質による細胞の増殖・分化、生存に対する効果が正確にわかる。また、生物活性物質の逐次的な添加や、異なる組み合わせへの変更が容易である。従って、これらの生物活性物質により引き起こされる効果についてのスクリーニングも簡便になり、有効な手段と成り得る。また、簡単に製造できるため多量に製造し、細胞スクリーニング用移送シートとして安定に保存し、適宜使用できる。
本発明の細胞培養用キットは、複数の区画に分割された培養領域(区画)を有する細胞培養用の基板と、各培養領域を覆う覆い領域を有するシート媒体と、を少なくとも有して構成されている。培養領域及これに対応する覆い領域の一方に細胞に生理活性作用を有する生物活性物質の少なくとも1種が固定され、他方に生物活性物質の少なくとも1種が培養液に放出可能に固着されている。すなわち、生物活性物質は基板側に固定されていてもよいし、シート媒体側に固定されてもよく、基板側に固定された場合はシート媒体側の生物活性物質は培養液に放出可能な状態で固着され、シート媒体側に固定された場合は基板側の生物活性物質は培養液に放出可能な状態で固着される。
以下、シート媒体側の生物活性物質が培養液へ放出可能に固着され、生物活性物質移送シートとした場合について本発明を説明するが、以下で説明する構成においてシート媒体側に生物活性物質を固定する場合に適用できるものについては生物活性物質を基板側に固定する構成のみに限定されず、シート媒体側に生物活性物質を固定する場合に適用できる。
生物活性物質を基板側に固定する場合のキットは、一種類または複数の生物活性物質を所望の領域に配置して固定化した細胞培養用基板と、一種類または複数の生物活性物質を、シート媒体上の複数の領域に配置した生物活性物質移送シートを有するものである。
前記細胞培養用基板は、各区画に固定化されている生物活性物質の組み合わせが区画によって異なっていてもよい。さらに、前記細胞培養用基板の各区画に固定化されている生物活性物質の密度が区画によって異なっていてもよい。また、前記細胞培養用基板の各区画が、複数の生物活性物質を所望の領域に配置して固定化し、異なる細胞スクリーニング機能を有する複数の領域を有していてもよい。また、2つ以上の各領域から形成される領域群が凹部内に形成されていてもよい。また、2つ以上の各領域から形成される領域群が凸状の壁状構造物により囲まれていてもよい。
また、前記生物活性物質移送シートにおいて、複数の生物活性物質が、シート媒体上から遊離可能であることが好ましい。さらに、生物活性物質移送シートの複数の領域に、生物活性物質の組み合わせが異なる複数の領域が含まれていてもよい。さらに、前記生物活性物質移送シートにおいて、前記複数の領域に、生物活性物質の密度が異なる複数の領域が含まれていてもよい。また、前記生物活性物質移送シートにおいて、シート媒体が少なくとも生物活性物質を保持した領域において伸縮性または可撓性のあるフィルムであってもよい。さらに、前記生物活性物質移送シートにおいて、シート媒体上に生物活性物質を担持する担持層が部分的にまたは全面に形成されていてもよい。また、前記生物活性物質移送シートにおいて、各領域が凹部内に形成されていてもよい。また、前記生物活性物質移送シートにおいて、各領域がシート上に形成された凸状の部分に形成されていてもよい。また、前記生物活性物質移送シートにおいて、各領域、あるいは、2つ以上の各領域から形成される領域群が凸状の壁状構造物により囲まれていてもよい。
また、前記細胞培養用基板および生物活性物質移送シートの製造は、液滴吐出手段により各生物活性物質を、前記細胞培養用基板の複数の区画または各区画内の複数の領域、または/および遊離可能な生物活性物質移送シート媒体上の複数の領域に配置する工程を含む方法により行うことができる。また、前記細胞培養用基板および生物活性物質移送シートの製造方法として、液滴吐出手段として、サーマルインクジェット方式や、ピエゾインクジェット方式による吐出手段を用いることができる。また、前記細胞培養用基板に生物活性物質を固定化するために外部から固定のためのエネルギーを加えてもよい。
また、生物活性物質移送シートを用いる場合の細胞スクリーニング法は、前記細胞培養用基板の生物活性物質の固定領域に接触する培養液中で細胞を培養し、さらに、前記生物活性物質移送シートの生物活性物質の領域に培養液を接触させ培養液中に遊離溶解させ、細胞を培養する工程を有する。細胞スクリーニング法は、前記領域と接触する培養液中に前記細胞のスクリーニングに必要な物質を補充する工程を有していてもよい。細胞スクリーニング法は、複数の生物活性物質移送シートを使用することにより、前記細胞のスクリーニングに必要な物質を補充する工程を有していてもよい。この場合、生物活性物質移送シートを培養中に交換して、同じ生物活性物質を同一培養区画に補給してもよいし、異なるシートに交換して異なる生物活性物質を添加して培養条件の変更を行うこともできる。この変更は必要に応じてた回数で行うことができる。また、徐放性の担持層に生物活性物質を配置した生物活性物質移送シートを用い、培養を行う全て、あるいは一部の期間前記シートを培養液中に接触させることにより、培養液中に生物活性物質を緩やかに細胞に対して付与しながら培養を行う工程を有していてもよい。
本発明にかかる細胞スクリーニング法におけるスクリーニングは、例えば、以下の項目の少なくと1つに基づいて行うことができる。
(1)基板上の所望の領域での細胞の形態変化を評価する。
(2)基板上の所望の領域での細胞内に取り込まれた物質の定量を行う。
(3)基板上の所望の領域での細胞内で合成された物質の定量を行う。
(4)細胞を染色して形態評価や物質の定量を行う。
(5)レポーター遺伝子によるシグナルを検出する。
(6)サイトブロットアッセイにより評価を行う。
(7)放射線量測定により物質の定量を行う。
(8)蛍光量測定により物質の定量を行う。
(9)発光量測定により物質の定量を行う。
(10)吸光度測定により物質の定量を行う。
以下に、更に好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明の細胞培養用キットの一例を説明する。図1(A)に示すように、細胞培養用基板1は、複数の区画に分割されたベース(基体)11に1種類以上(図1においては、3種類)の生物活性物質12が所望の区画に配置されており、各生物活性物質12はベース11上に固定化されている。一方、生物活性物質移送シート2は、図1(B)に示すシート21上に2種類以上の生物活性物質22が細胞培養用基板の各区画に対応する所望の位置に配置されている。また、図1(C)に示すように、あらかじめシート上に形成された凸部23上に生物活性物質22を配置することができる。配置には、液滴吐出手段3を用いることができる。細胞培養用基板1を用いて細胞を培養する際に、培養開始前または開始後の任意の時期に、図2(A)に示すように生物活性物質移送シートを細胞培養用基板1を覆うように被せ、裏面からシートを押し下げて培養液4に接触させて培養液中に生物活性物質を遊離溶解させることで、細胞培養用基板上に固定化された生物活性物質12と生物活性物質移送シート上に配置した生物活性物質22を細胞に作用させることで、固定化状態および溶解状態の生物活性物質(12、22)の組み合わせによる高次の効果を見ることができる。また、前述のシート上に形成された凸部23上に生物活性物質22の配置領域を有するシート(図1(C))を用いた場合には、図2(B)に示すように、シート2を細胞培養用基板1を覆うように被せるだけで培養液4に生物活性物質の配置領域を接触させ、遊離溶解させることが可能である。
本発明において用いることができる細胞としては、原核および真核細胞であればどんなものでも用いることができ、たとえば、細菌細胞、酵母細胞、ニューロン、繊維芽細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、グリア細胞、胎性幹細胞、造血幹細胞、肥満細胞、脂肪細胞、原生動物細胞、神経幹細胞、ならびにT細胞およびB細胞を含む免疫細胞などの細胞全体(例えば、形質転換細胞または非形質転換細胞);細胞塊などを適宜選択して使用できる。
また、本発明において生物活性物質12および22は、細胞のベース11上への接着性や、細胞の増殖、分化、生存および未分化状態の維持、細胞死、物質産出、または、細胞内シグナル伝達や遺伝子発現などに影響を与える培養制御用の物質のことをいい、これには、細胞外基質蛋白質や細胞の表面と特異的結合能を有する抗体、サイトカインの他、細胞と結合、あるいは、細胞内に取り込まれ、細胞の増殖、分化、生存および未分化状態の維持、細胞死、物質産出、酵素活性の阻害、または、細胞内シグナル伝達、遺伝子発現などに影響を与える化学物質などが含まれる。これらの物質を、細胞に対する働きや細胞内での局在などを考慮してベース11へ固定化するか、シート21へ配置することを自由に選択することができる。
例えば、細胞外基質蛋白質としては、コラーゲンやフィブロネクチン、ラミニンなどが挙げられる。また、サイトカインの中には、細胞成長因子やホルモンと呼ばれるものが含まれ、細胞成長因子には、神経成長因子(NGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、骨形成因子(BMP)、インシュリン様成長因子(IGF)、腫瘍壊死因子(TNF)などが挙げられる。また、ホルモンとしてはペプチド系のインスリンやカルシトニン、ステロイド系のアルドステロンやプロゲステロン、アミノ酸誘導体系のエピネフリンやチロキシンなどが挙げられる。また、これ以外の化学物質として、アレルギーを引き起こすアレルゲンなどの物質や、いわゆる内分泌攪乱物質と呼ばれる種々の化学物質が挙げられる。また、上記物質に結合し、その物質の細胞内での局在を調べることができるような抗体や、その機能を抑制する中和抗体などがあげられる。
また、生物活性物質12および/または22については、ベース11およびシート21上の領域、あるいは2つ以上の領域から形成される領域群により配置されている生物活性物質12および/または22の組合せが異なっていてもよい。これにより生物活性物質12および22の組合せによる細胞に対する効果の少なくとも1つの違いを見ることができる。
また、生物活性物質12および/または22については、ベース11および/または21上の領域、あるいは2つ以上の領域から形成される領域群により、配置されている生物活性物質12および22の密度が異なっていてもよい。これにより生物活性物質12の密度の変化および/または、22の培養液中での濃度の違いによる細胞に対する生理活性効果の違いを、より詳細に見ることができる。そして、液滴吐出手段を用いることの大きな利点の1つは、このように、1つの固定化領域に任意の割合で生物活性物質を容易に配置することができることである。
生物活性物質12のベース11上への固定化は、共有結合を介してでも、静電引力を介してでも、生物学的親和性を用いてもよい。共有結合を介してベース11上に固定化する場合は、強固な力で生物活性物質12を固定化でき、細胞や培養液などによりその結合力は影響を受けにくく、安定してベース11上に固定化されている。
ベース11およびシート21は、生物活性物質12および22を安定して固定および担持できるものであれば材質や形状はいずれでもよい。具体的には、ガラス基板、プラスチックプレート、プラスチックシート、ポリマーフィルム、紙などを好適に用いることができる。さらにベース11およびシート21は透明であっても、遮光性のものであっても、さらには着色されていてもよい。また、ベース11上に生物活性物質12を固定化するため、あるいは、ベース11上および、シート21上での生物活性物質12および22の安定性を高めるため、ベース11上の一部、あるいは全面を化学物質により処理したり、放射線を照射する処理をおこなったりしてもよい。また、生物活性物質が配置されていない領域に粘着剤や撥水剤が塗布、もしくは印刷されていてもよい。
また、シート21は伸縮性のあるフィルムを用いることができる。たとえば、シリコンゴムなどの合成ゴム、天然ゴム、ラテックス、ポリエチレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリメチルペンテン、パラフィン系フィルムなどが好適に用いられる。シート21上の生物活性物質が配置されている領域を囲むように、細胞培養基板上に形成された壁状構造物を密着させ、該領域が培養液に接触するまで裏面から押下げ、生物活性物質を培養液中に遊離溶解させることが出来る。この場合、伸縮性、弾力性あるいは可撓性があれば密着性がよいので液漏れがしにくいという利点があるため好ましい。
また、シート21上の生物活性物質22は、シートから容易に遊離できるように生物活性物質あるいはシートに化学的処理あるいは静電気的処理などを施すことができる。シート22から生物活性物質を培養液に移送する方法としては、細胞培養用基板1に形成された壁状構造物にシート22を密着させ、培養液を生物活性物質が配置された領域に接触するように、細胞培養用基板およびシートを振っても良いし、シート裏面から棒状の突起物を押し当て、生物活性物質が配置された領域を培養液に接触させてもよい(図2(A))。また、遊離を行う際に、効率よく遊離を行うために、培養液またはシートに振動をあててもよい。また、生物活性物質移送シートは、シート媒体上に生物活性物質を担持する担持層を部分的に、または全面に形成することができる。このことにより、生物活性物質を安定に保持することが可能となる。また、シートは、生物活性物質を担持するための凹部を有し、生物活性物質が凹部内に形成されていてもよい。あるいは、シート媒体において、凸状の壁上構造物を形成し、各領域、あるいは2つ以上の各領域から形成される領域群を囲むことができる。このことにより、液滴吐出手段により配置される液滴の配置を容易にすることができる。また、シートは、生物活性物質を担持するための凸状の部分を有し、そこに生物活性物質を担持してもよい。このこのとにより、生物活性物質が配置された領域を容易に培養液に接触させ、生物活性物質を培養液に移送することができる(図2(B))。
生物活性物質移送シート上に凹部、凸状の壁状構造物、凸状の部分を形成するための方法としては、インジェクション成形、注型成形、チップを熱融着あるいは接着剤によって貼り合わせて成形する方法、金型等でプレス成形する方法などを用いることが出来る。
上記細胞スクリーニング用基板1上に固定されている生物活性物質12と、生物活性物質移送シート2上に配置されている生物活性物質22は同じ生物活性物質によって構成されていても、異なる生物活性物質によって構成されていても、または、一部の生物活性物質が同じでもよい。
上記のような細胞培養用基板1および生物活性物質移送シート2は以下のようにして作製できる。ベース11およびシート21はまず、必要に応じて前述した処理を行ってもよい。具体的には、ベース11または21の洗浄を行い、所望でない物質を取り去ったり、紫外線をはじめとする放射線の照射やコロナ放電を行ったりすることなど様々な化学的物理的処理を行うことができる。また、細胞培養用基板については、ポリマー材料やシランカップリング剤などを必要に応じてベース11上の一部あるいは全面に塗布してもよい。
また、シート21上には、生物活性物質を担持しやすくするための処理を行ってもよい。処理としては、予めシート上に生物活性物質担持層を全面に形成しておいてもよい。例えば、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、デンプン、トラガント、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタアクリル酸コポリマー、アルギン酸ナトリウム、線維素グリコール酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムなどの澱粉類、デキストリン、アラビアガム、カラギナン、カンテン、ゼラチントラガント、結晶セルロースなどの天然高分子やブドウ糖、蔗糖、果糖、キシリトールなどの水溶性化合物が好的に用いられる。これらの材料は、必要に応じてベース11上の一部あるいは全面に塗布してもよい。
担持層の構成を選択することで、担持層に付着した生物活性物質の培養液への徐放性を得ることができる。また、この徐放性は、生物活性物質をシートに付与する際に、生物活性物質を含む液体中に徐放性を付与し得る物質(例えば水溶性のスチレン−アクリル樹脂など)を添加しておくことにより得ることも可能である。生物活性物質を含む液体中に加える徐放性を付与し得る物質の量としては、10質量%以下、好ましくは5質量%以下がよい。
シート21上に担持層を形成する方法としては、上述の如き材料を適当な溶剤に溶解又は分散させて塗工液を調製し、該塗工液をシートに塗工して成膜する方法が挙げられる。塗工方法としては、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、シムサイザー法、スプレーコート法、グラビアコート法、カーテンコーター法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等が挙げられる。以上の如く形成される担持層は、乾燥後の厚みは自由に設定してもよいが、1〜100μm程度となるように形成することが好ましい。
このようなベース11及びシート21上に生物活性物質12を配置する。配置には、液滴吐出手段を好適に用いることができる。液滴吐出手段とは、1滴あたりの体積が100nl以下の液滴、より好ましくは1nl以下の液滴が吐出可能なもので、マイクロピペット、マイクロディスペンサーや、インクジェット法を用いた吐出装置が挙げられる。吐出装置が安価に作製でき、微小な液滴が吐出できる点でインクジェット法を用いた吐出装置を好適に用いることができる。さらにインクジェット法の中でも、サーマルインクジェット法とピエゾインクジェット法を好適に用いることができ、サーマルインクジェット法による吐出装置は、吐出口の微細加工が容易で、生物活性物質12を高密度に配置することができる。また、ピエゾインクジェット法による吐出装置は、圧電素子の変位により、吐出エネルギーを発生させるので、生物活性物質に熱的なストレスを付加することがなく、生物活性物質を安定して吐出できる。
また、液滴吐出手段を用いる場合には、生物活性物質12および22は、液体化するため適切な溶媒に溶解される。溶解される生物活性物質の量としては、10質量%以下、好ましくは5質量%以下がよい。溶剤としては、生物活性物質12および22を安定して溶解させることができるものであればいずれでもよいが、水が好適に用いられる。水の量としては30質量%以上、好ましくは50質量%以上がよい。水としてはイオン交換水(脱イオン水)や生物活性物質12および22を安定して溶解させるため種々の緩衝液を使用するのが好ましい。
また、必要に応じて水溶性溶剤を用いることができる。水溶性溶剤としては、1種類あたり50質量%以下、好ましくは30質量%以下の範囲で添加するのが良い。水溶性溶剤は水に溶解するものであればいずれでもよく、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、 ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2から6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、21-ジメチル-2-イミダゾリン等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用できる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でもジエチレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の低級アルキルエーテルが好ましい。
これらの中でもエタノールあるいはイソプロピルアルコール、又は多価アルコールの低級アルキルエーテル類を添加することによって、サーマルジェットタイプの場合には、インクジェットの吐出口内の薄膜抵抗体上での生物活性物質付与用インクの発泡をより安定に行うことができるため好適に用いることができる。
また、本発明にかかる少なくとも生物活性物質12および22を含む液体には、上記成分のほかに、親水性樹脂の少なくとも1種を含有させることができる。親水性樹脂としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合塩、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合物塩等の、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合物塩、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合物塩、スチレン−メタクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合塩ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合塩、ポリリン酸塩等の陰イオン性高分子、ポリビニルアルコール、メチロール化メラミンポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。本発明においては、これらの樹脂のうちから1種類を選択して、或いは、これらの中の2種類以上を混合して用いることができる。その他のものとして、例えば、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、アラビアゴム、及びアルギン酸ソーダ等の天然樹脂等、多数を列挙することができる。親水性樹脂の量は、10質量%以下、好ましくは5質量%以下がよい。勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、生物活性物質12を生物活性物質移送シートから徐放性を付与して遊離させる場合にも、親水性高分子化合物を添加できる。たとえば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、メタアクリル酸コポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、などが徐放性付与に好適に用いられる。上記親水性樹脂は、1〜10質量%の範囲でより好ましくは2〜5%の範囲で添加する。勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明にかかる少なくとも生物活性物質12および22を含む液体には、上記成分のほかに必要に応じて所望の物性値を持つ溶液とするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、無機塩類、有機塩類等を添加することができる。
例えば、界面活性剤としては生物活性物質12および22に対して保存安定性等の悪影響を及ぼさないものであればいずれでも用いることができ、例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性剤があり、これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用できる。
細胞培養用基板については、液滴吐出手段によりベース11上の所望の位置に生物活性物質12を配置した後、生物活性物質12をベース11上に固定化する。ベース11上に生物活性物質12を固定化するために、生物活性物質12に予め固定化に必要な処理を行ってもよいし、基板上に予め固定化に必要な処理を行ってもよい。生物活性物質12への処理としては、共有結合に必要なアミノ基、カルボキシル基、ジスルフィド基、エポキシ基、カルボジイミド基、マレイミド基などの官能基を生物活性物質12へ導入してもよく、静電引力を介して結合させるのに必要な金属および無機酸化物微粒子やカチオン性高分子やアニオン性高分子など帯電可能な物質を結合させてもよい。また、生物学的親和性を用いて結合させるために、アビジン分子やビオチン分子を結合させてもよく、抗原分子や抗体分子など生物学的親和力により結合しうる物質を結合させてもよい。また、基板表面に、高分子やシランカップリング剤をコーティングし、共有結合に必要なアミノ基、カルボキシル基、ジスルフィド基、エポキシ基、カルボジイミド基、マレイミド基などの官能基を導入してもよいし、基板表面を帯電させるため、金、銀、白金、鉄などの金属やインジウム錫酸化物、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機酸化物さらにはポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの導電性高分子など、導電体層や半導体層を予め基板表面に形成してもよい。更には生物活性物質12に導入した生物学的親和性を有する物質と結合力を有するビオチン分子やアビジン分子、抗体分子や抗原分子、抗体結合能を有するプロテインAなどの蛋白質をベース11表面に設けてもよい。これら物質を導入することにより、ベース11表面と生物活性物質12の結合力を強固なものにすることができる。
固定化の際には、光をはじめとする放射線照射や、加熱などによりエネルギーを外部から加えてもよい。これらエネルギーを外部から加えることでベース11表面と生物活性物質12の結合を促進することができる。
以上のようにして細胞培養用基板1および生物活性物質移送シート2が作製できる。
作成した細胞スクリーニング用基板1および生物活性物質移送シート2は容器に入れ長期に保存することができる。容器には、乾燥剤や脱酸素剤などと一緒に封入すればより好ましく安定に保管できる。また、簡便にフィルムなどでラミネートしたりすることもできる。
次に前述した細胞培養用基板1および生物活性物質移送シート2からなる細胞培養用キットを用いて細胞を培養する方法について述べる。細胞培養用キットを用いて細胞を培養することにより、細胞が生物活性物質による様々な影響を受けながら培養されることになる。細胞を培養する前に必要に応じて細胞培養用基板およびシート上に放射線や紫外線などを照射したり、アルコール溶液で洗浄することにより殺菌処理してもよい。これにより所望でない微生物などにより培養に悪影響が及ぼされないようにすることができる。
また、細胞培養用基板1および生物活性物質移送シート2からなる細胞培養用キットを用いて細胞を培養している際、生物活性物質移送シートは培養の間ずっと培養液中に浸していてもよいし、途中で除去してもよい。また、一定期間の細胞培養後、所望の領域の培養液中に所望の物質を添加してもよい。これにより細胞に対する生物活性物質の濃度をコントロールしたり、作用させる物質を追加したり、影響を変化させたり、基板上への接着性を変化させたりすることができる。培養液中に所望の物質を添加する方法として複数のシートを時間をずらして培養液に接触させることなどをしてもよい。あるいは、培養の途中に培養液を交換し、異なる生物活性移送シートを用いてもよい。これにより、異なる組み合わせの生物活性物質を培養の任意の時点で作用させることができ、簡便に培養条件の変更をことが可能となる。または、細胞培養後のスクリーニングの際に指示薬など所望の物質を所望の領域に添加してもよい。これにより、スクリーニングを容易に行うことが可能となる。
また、細胞培養用基板1および生物活性物質移送シート2からなる細胞培養用キットを用いて細胞を培養している際、あるいは一定期間の細胞培養後、培養細胞群を基板上から取り外してもよい。これにより、培養細胞が取り除かれた基板を再度利用することができ、また、取り外した培養細胞群を人工的に作製した生体組織あるいはその一部として利用することもできる。具体的な方法としては、培養後のスクリーニング基板をトリプシン処理することにより、培養された細胞群を取り除くことができる。これにより再度基板を利用することができる。この基板の再利用は、生物活性物質を基板に固定したことで、細胞が当該スクリーニング物質を代謝系に取り込めなくしたことによって得られる効果の一つである。また、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)のような温度応答性高分子を予め基板上に塗布し、その上で細胞培養すると、温度を約30℃以下にすれば、培養された細胞群はポリマー表面の水和状態の変化により基板から取り外すことができる。これにより細胞群を生体組織などに利用することができる。
次に前述した細胞培養用基板1および生物活性物質移送シート2からなる細胞培養用キットによって細胞を培養し、細胞および基板上に固定化された物質およびシート上から培養液中に溶解する物質のスクリーニング法について述べる。スクリーニング手段としては前述した細胞培養用基板1上で培養された細胞の形態変化を観察する方法を用いることができる。顕微鏡は、光学顕微鏡はもちろんのこと、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡、蛍光顕微鏡など、細胞の形態が観察可能なものであればいずれでもよい。細胞が培養された細胞培養用基板を前記顕微鏡の観察位置に配置し、顕微鏡観察により細胞の形態を観察する。顕微鏡により細胞形態を観察することのみでスクリーニングが可能であり、簡易な方法で評価を行うことができる。また、評価の際には細胞を染色してもよい。細胞染色を行うことにより、細胞が高密度に増殖した場合や、分化により細胞同士が融合し、多核細胞となった場合などは顕微鏡での観察による評価を容易に行うことができる。
また、形態観察以外にも細胞が基板上に接着し、または増殖や分化をする過程やその結果、細胞によって産出された物質や細胞内に取り込まれた物質を定量し、スクリーニング手段として用いてもよい。ここで、定量対象が直接評価できない場合は、その代替となる物質を定量してもよく、具体的には遺伝子工学の手法を用いて、所望の定量対象となる蛋白質の遺伝子付近に定量可能な蛋白質の遺伝子を組み入れ、その定量可能な蛋白質を定量することで所望の蛋白質を定量してもよい。これら物質を評価することで、基板上に固定化された物質により細胞内でどのような変化が起きているかを詳細に調べることができ、細胞内での情報伝達機構の解明にもつながる。細胞内に取り込まれた物質で評価を行う場合は、予め取り込まれるであろう物質に評価可能な指標を設けておくことも可能で比較的容易に定量が可能である。
これら物質の定量には、放射性化合物より放出される放射線量を測定する方法や、蛍光物質で標識された物質から発せられる蛍光量を測定する方法、更には、発光物質から発せられる発光量を測定する方法や色素の吸光度を測定する方法がある。
放射性化合物より放出される放射線量を測定する方法では、水素、炭素、窒素、リン、硫黄などの生体内に多く含まれる元素の放射性同位元素により置換された化合物を用いて、それら化合物から放出される放射線量を測定する方法が非常に感度がよく、しかも、これら物質は化学的な性質は通常の化合物と変わらないので、細胞の代謝活動に影響を与えず、生体内と同様の現象が観察可能である。
また、蛍光物質による標識は比較的容易で、低分子化合物でもあるので細胞の代謝活動に与える影響が少ない。また、抗原抗体反応を用いた定量法によって細胞で産出された物質などを定量する場合、蛍光物質で標識された抗体は種々市販されており、測定感度も高いので、蛍光測定による評価は有効である。
さらに発光物質から発せられる発光量を測定する方法では、発光量は高感度に測定が可能なため、ごくわずかな変化も捕らえることが可能である。スクリーニング物質による接着や増殖、分化、あるいは物質産出に伴って発現される遺伝子が特定されている場合には、その遺伝子付近にルシフェラーゼ遺伝子などを導入しておき、遺伝子発現とともに産出されるルシフェラーゼ量をATPとルシフェリンの添加で生じる発光量により測定する。このことにより、スクリーニング物質による影響を発光量で評価することが可能である。
色素の吸光度を測定する方法では、酵素反応などを併用することにより色素による吸光度の増幅が可能で、微量の物質の定量も可能となる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明のより一層の深い理解のために示される具体例であって、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。なお、特に表示していない限りは「%」は質量基準である。
実施例1
生物活性物質を組み合わせて細胞に作用させるため、以下の方法を用いた。生物活性物質として塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン様成長因子-I(IGF-I)、骨形成タンパク質-2(BMP-2)を用いた。まず、生物活性物質を基板上に固定化するために、ポリスチレン製の96穴の細胞培養用プレートに、以下の方法により、基板に処理を施した。
Poly-L-lysineでコートした培養用基板にTresylchlorideによってトシル化した活性化デキストランの溶液(1.5 mg/ml)を添加し、基板と活性化デキストランを結合させた。次に、bFGFおよびIGF-Iを含む炭酸緩衝液それぞれ用意し、基板に組み合わせ、量を変えて添加し、4℃12時間静置することでbFGFおよびIGF-Iが単独および組み合わせ・密度を変えて固定化された領域および非固定化領域を作成し、細胞培養用基板を作製した。
次に、5%グリセリンおよびBMP-2を20μg/mlと含む溶液を作成し、インクカートリッジを70% エタノールで洗浄後、この溶液を充填した。次に、予め殺菌灯で滅菌した前記96穴プレートの各穴に対応する位置に突起物を有するポリスチレンシートの突起上にBMP-2をキヤノン製インクジェットプリンターPIXUS950iで段階的に密度を変えて配置し、生物活性物質移送シートを作製した。
次に、FBSを2%含むDMEMを培養液として上記の96穴の細胞培養用基板に注入した。
次に、上記生物活性物質移送シートを上記96穴細胞培養用基板の各穴に対応するように被せ、細胞培養用基板の各領域の壁面とシートを密着させた。これにより、突起上に形成された生物活性物質の配置領域が接触し、生物活性物質の溶解を早めるために振動を与え、BMP-2を培養液に溶解させた。次に、細胞培養用基板の各穴に牛胎児血清(FBS)を2%含むDMEM(Dulbecco's Modified Eagle's minimum essential medium)培地に懸濁したマウス骨格筋細胞株C2C12を500個/穴になるように加え、5%CO2を含む湿潤空気中で37℃、96時間培養した。
培養後の細胞培養用基板を光学顕微鏡観察するとbFGF存在領域では細胞が増殖し、IGF-I存在領域では筋分化、BMP-2存在領域では骨分化が濃度依存的に促進されている様子が観察された。次に、培養後の細胞を10%ホルマリンで15分間、メタノールで15分間処理し、蛍光色素 を30分反応させ、DNAを蛍光染色した。700nmでのDNAの蛍光量を測定し、これを増殖の指標とした。また、各区画の細胞群を凍結破砕した溶液中のクレアチンキナーゼ(CK)、アルカリフォスファターゼ(ALP)の酵素活性値を測定し、溶液中の総タンパク量との比で求めた比活性をそれぞれ筋分化、骨分化の指標とした。この結果、固定化されたbFGF、固定化されたIGF-I、および溶解状態のBMP-2の3因子の細胞に与える作用の複合的な解析ができた。
実施例2
生物活性物質としては上皮細胞成長因子(EGF)と神経細胞成長因子(NGF)を用いた。まず、実施例1と同様の手法を用いて、ポリスチレン製の96穴の細胞培養用プレートに、段階的に密度を変えてEGFが固定化された領域および非固定化領域を作成し、細胞スクリーニング用基板を作製した。次に、伸縮性のポリオレフィンシートに担持層としてヒドロキシプロピルセルロースをバーコーターを用いて塗布し、60℃10分間の加熱を行い担持層を形成した。次に、シートにキヤノン製インクジェットプリンターPIXUS 950iを用いてEGFとNGFをシートに配置し、複数の生物活性物質の領域を持つ生物活性物質移送用シートを作製した。これらの細胞培養用基板および生物活性物質移送シートを用いて細胞のスクリーニングを行った。
予め殺菌灯で殺菌した細胞培養用基板に、生物活性物質移送シートを被せ、シートの裏面から突起物を押し当て生物活性物質を含む各領域を培養液面まで押し下げ、軽く振盪させながら15分間接触させ、生物活性物質を培養液中に溶解させた後、2%FBS添加RPMI(Roswell Park Memorial Institute)1640培地に懸濁した神経細胞株PC12を500個/区画加え、5%CO2を含む37℃の湿潤空気中で37℃、48時間培養した。次に、培養液を取り除き、細胞の増殖および分化の程度を評価するために、細胞を固定し、ヘマトキシリン・エオジン染色により細胞を染色し、このようにして調製した基板を光学顕微鏡で観察、細胞の核および細胞の形態を評価した。その結果、固定化状態のEGFは溶解状態のものに比べ、PC12細胞に対して作用が異なることが確認された。これにより、溶解状態の成長因子と固定化状態の成長因子の組み合わせによる細胞に対する効果を簡便に調べることが出来た。
実施例3
ラットにマウスbFGFを抗原として免疫し、2ヵ月後にマウス脾臓細胞を取り出し、ミエローマ細胞と融合することで得られたハイブリドーマから、多数のモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得、そこから96種類のモノクローナル抗体を精製した。次に、培養用基板として、ポリスチレン製96穴プレートにマウスbFGFを200pg/mm2で固定化した。次に、パラフィルム上にヒドロキシプロピルセルロースをバーコーターを用いて全面に塗布し、得られたモノクローナル抗体を前記96穴プレートの各穴に対応する位置にキヤノン製インクジェットプリンターPIXUS 950iを用いて配置したシートを作製した。上記培養基板上にDMEM培養液を75μl加え、さらにシートをかぶせ密着させ、培養液とスクリーニングシートの抗体配置領域に基板を接触させ、抗体を培養液中に移送した。
次に、筋細胞株C2C12細胞を6×104個/ml含むDMEMを各穴に75μl加え、5%CO2湿潤空気中、37℃で培養を行った。48時間後、0.002% の5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)を培養液に加え、3時間後に培養液を取り除き、メタノールで細胞を30分処理した。次に、増殖の状況を評価するために、FITC標識抗BrdU抗体で染色し、さらにHoechst33258を一万倍に希釈し、5分反応させ、核を染色した。余分な染色液をリン酸等張緩衝液で洗った。このようにして調製した基板を蛍光顕微鏡で観察、染色されている核の数を評価した。また、蛍光定量法によりBrdUで標識されたDNAを含む核の数を定量した。
その結果、3つの区画においてBrdUの蛍光が他の区画に比べ低い区画が存在し、その区画に対応するモノクローナル抗体A、B、CがbFGFの増殖促進効果を効率よく抑制する中和抗体であると確認することができた。
実施例4
実施例3において得られた3つの中和抗体のbFGFの機能抑制効果の濃度依存性を調べるために、bFGFをポリスチレン製96穴プレートに異なる濃度で固定化された細胞培養用基板を用意した。次に、パラフィルム上にヒドロキシプロピルセルロースをバーコーターを用いて前面に塗布し、インクジェットプリンターを用いてbFGFの中和抗体A、B、Cを、前記細胞培養用基板の各穴に対応する位置に印字したシートを得た。次に、スクリーニング基板に培養液を75μl加え、スクリーニング用シートをかぶせ、中和抗体の配置領域と培養液を接触させ、攪拌し、中和抗体を培養液中に移送した。次に、筋細胞株C2C12細胞を6×104個/ml含むDMEMを細胞培養用基板の各穴に75μl加え、5%CO2湿潤空気中、37℃で培養を行った。
48時間後、培養液を取り除き、メタノールで細胞を30分処理、乾燥させて固定した。次に、増殖の状況を評価するために、Hoechst33258を一万倍に希釈し、5分反応させ、核を染色した。余分な染色液をリン酸等張緩衝液で洗った。このようにして調製した基板を蛍光顕微鏡で観察、染色されている核の数を評価した。その結果、bFGFの中和抗体が移送された区画において、中和抗体の濃度が高くなるほど細胞の数が少ないことがわかり、bFGFの増殖促進効果が抑制されていることがわかった。また、細胞数の比較から、抑制効果はB、C、Aの順に強いことがわかった。
(A)〜(C)は液体吐出手段を用いた細胞培養用キットの製造方法の一例を説明するための図である。 (A)及び(B)は細胞培養用キットを用いた細胞培養工程の一例を説明するための図である。
符号の説明
1 細胞培養基板
2 生物活性物質移送シート
3 吐出手段
4 培養液
11 ベース
12 生物活性物質
21 シート
22 生物活性物質
23 凸部

Claims (28)

  1. 細胞を培養するための培養領域を有する基板と、該基板上に載置可能であり、該細胞領域の覆い領域を有するシート媒体と、を有する細胞培養用キットであって、
    前記培養領域及び前記シート媒体の該培養領域に対する覆い領域の両方が、細胞に対して生理活性を有する1種以上の生物活性物質を有し、これらの領域の一方が有する生物活性物質が該領域内に固定されている
    ことを特徴とする細胞培養用キット。
  2. 前記培養領域と該培養領域に対する前記シートと媒体側の覆い領域との組み合わせの2以上を有する請求項1に記載の細胞培養用キット。
  3. 前記培養領域に生物活性物質が固定されおり、該培養領域に対する覆い領域に生物活性物質が培養液との接触により、該培養液中に放出可能に付着しており、前記シート媒体が生物活性物質の該培養領域への移送用シートとなっている請求項1に記載の細胞培養用キット。
  4. 前記培養領域と該培養領域の覆い領域との組み合わせの2以上を有する請求項3に記載の細胞培養用キット。
  5. 前記生物活性物質の種類または2種以上の生物活性物質の組み合わせが異なる2以上の培養領域を有する請求項2〜4のいずれかに記載の細胞培養用キット。
  6. 前記生物活性物質の密度が異なる2以上の培養領域を有する請求項2〜5のいずれかにに記載の細胞培養用キット。
  7. 前記生物活性物質の種類または2種以上の生物活性物質の組み合わせが異なる2以上の覆い領域を有する請求項2〜6のいずれかにに記載の細胞培養用キット。
  8. 前記生物活性物質の密度が異なる2以上の覆い領域を有する請求項2〜7のいずれかに記載の細胞培養用キット。
  9. 前記培養領域が前記基板に設けられた凹部内に形成されている請求項1〜8のいずれかに記載の細胞培養用キット。
  10. 前記培養領域が凸状の壁状構造物により囲まれている請求項1〜9のいずれかに記載の細胞培養用キット。
  11. 前記シート媒体が少なくとも前記覆い領域において伸縮性または可撓性のあるフィルムからなる部分を有する請求項1〜10のいずれかに記載の細胞培養用キット。
  12. 前記シート媒体上に生物活性物質を担持する担持層が部分的にまたは全面に形成されている請求項1〜11のいずれかに記載の細胞培養用キット。
  13. 前記担持層が生物活性物質の徐放が可能、もしくは徐放性を付与した生物活性物質を遊離できる請求項12に記載の細胞培養用キット。
  14. 前記覆い領域が前記シート媒体に設けられた凹部内に形成されている請求項1〜13のいずれかに記載の細胞培養用キット。
  15. 前記覆い領域が前記シート媒体上に形成された凸状の部分に形成されている請求項1〜13のいずれかに記載の細胞培養用キット。
  16. 前記覆い領域が前記シート媒体上に形成された凸状の壁状構造物により囲まれている請求項1〜15のいずれかに記載の細胞培養用キット。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の細胞培養キットの製造方法であって、
    前記培養領域及び前記覆い領域への生物活性物質の付与に、少なくとも液体吐出手段を用いることを特徴とする細胞培養キットの製造方法。
  18. 前記液体吐出手段が、サーマルインクジェット方式による吐出手段である請求項17に記載の細胞培養用キットの製造方法。
  19. 前記液体吐出手段が、ピエゾインクジェット方式による吐出手段である請求項17に記載の細胞培養用キットの製造方法。
  20. 前記生物活性物質の固定を外部から固定用のエネルギーを加えて行う工程をさらに含む請求項17〜19のいずれかに記載の細胞培養用キットの製造方法。
  21. 請求項1〜16のいずれかに記載の細胞培養用キットを用いた細胞スクリーニング法であって、前記基板に前記シート媒体を載置して、該基板の有する培養領域を該培養領域に対応する覆い領域で覆い、該細胞領域内に配置した培養液中でこれらの領域の一方に固定した生物活性物質と細胞とを接触させて細胞を培養する工程と、これらの領域の他方に付着させた生物活性物質を培養液に供給する工程を、有することを特徴とする細胞スクリーニング方法。
  22. 前記培養液中に前記細胞のスクリーニングに必要な物質を補充する工程を有する請求項21に記載の細胞スクリーニング法。
  23. 前記シート媒体を同一または異なるシート媒体と交換する工程を有する請求項21または22に記載の細胞スクリーニング方法。
  24. 前記細胞の形態変化を観察する工程を更に含む請求項21〜23のいずれかに記載の細胞スクリーニング法。
  25. 評価の際に細胞を染色する請求項24に記載の細胞スクリーニング法。
  26. 前記細胞内で合成された物質の定量を行う工程を含む請求項21〜25のいずれかに記載の細胞スクリーニング法。
  27. 前記細胞内に取り込まれた物質の定量を行う工程を含む請求項21〜26のいずれかに記載の細胞スクリーニング法。
  28. 前記放射線量測定、蛍光量測定、発光量測定および吸光度測定の少なくとも1種により前記物質の定量を行う工程を含む請求項26または27に記載の細胞スクリーニング法。
JP2003418535A 2003-12-16 2003-12-16 細胞培養用基板と生物活性物質移送シートからなる細胞培養用キット、その製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法 Expired - Fee Related JP4148516B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003418535A JP4148516B2 (ja) 2003-12-16 2003-12-16 細胞培養用基板と生物活性物質移送シートからなる細胞培養用キット、その製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法
EP04807646A EP1694812A4 (en) 2003-12-16 2004-12-16 BIOLOGICALLY ACTIVE SUBSTANCE TRANSFER SHEET, CELL CULTURE FORM FOR A CELL CULTURE PLATE AND BIOLOGICALLY ACTIVE SUBSTANCE TRANSFER SHEET, RELATIVE PRODUCTION METHOD, AND CELL CULTURE CONDITION SCREENING METHOD USING SAME
PCT/JP2004/019289 WO2005059086A1 (en) 2003-12-16 2004-12-16 Biologically active substance transfer sheet, cell culture kit constituted of cell culture plate and biologically active substance transfer sheet, producing method thereof and method for screening cell culture conditions utilizing the same
US10/554,211 US7419820B2 (en) 2003-12-16 2004-12-16 Transfer sheet for transferring biologically active substance to culture plate
US12/183,008 US7960168B2 (en) 2003-12-16 2008-07-30 Biologically active substance transfer sheet, cell culture kit constituted of cell culture plate and biologically active substance transfer sheet, producing method thereof and method for screening cell culture conditions utilizing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003418535A JP4148516B2 (ja) 2003-12-16 2003-12-16 細胞培養用基板と生物活性物質移送シートからなる細胞培養用キット、その製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005176628A true JP2005176628A (ja) 2005-07-07
JP4148516B2 JP4148516B2 (ja) 2008-09-10

Family

ID=34780730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003418535A Expired - Fee Related JP4148516B2 (ja) 2003-12-16 2003-12-16 細胞培養用基板と生物活性物質移送シートからなる細胞培養用キット、その製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4148516B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018047682A1 (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 旭化成パックス株式会社 フィルム、フィルム巻回体、フィルム収納体、及びフィルムを用いた容器の保護方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018047682A1 (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 旭化成パックス株式会社 フィルム、フィルム巻回体、フィルム収納体、及びフィルムを用いた容器の保護方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4148516B2 (ja) 2008-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7960168B2 (en) Biologically active substance transfer sheet, cell culture kit constituted of cell culture plate and biologically active substance transfer sheet, producing method thereof and method for screening cell culture conditions utilizing the same
US8148153B2 (en) Substrate for cell culture, producing method thereof and screening method for cell culture conditions utilizing the same
US8709744B2 (en) Manufacturing process for cellular screening substratum, resultant substratum, and method and apparatus for screening
Seo et al. High-throughput approaches for screening and analysis of cell behaviors
Anderson et al. Biomaterial microarrays: rapid, microscale screening of polymer–cell interaction
Barron et al. Laser printing of single cells: statistical analysis, cell viability, and stress
Chen et al. Cell patterning without chemical surface modification: Cell–cell interactions between printed bovine aortic endothelial cells (BAEC) on a homogeneous cell-adherent hydrogel
Goubko et al. Patterning multiple cell types in co-cultures: A review
Othon et al. Single-cell printing to form three-dimensional lines of olfactory ensheathing cells
Cheng et al. Three-dimensional polymer scaffolds for high throughput cell-based assay systems
Schiele et al. Laser direct writing of combinatorial libraries of idealized cellular constructs: biomedical applications
Hasirci et al. Novel surface patterning approaches for tissue engineering and their effect on cell behavior
CA2539670A1 (en) Nanoliter-scale synthesis of arrayed biomaterials and screening thereof
JP4378069B2 (ja) 細胞スクリーニング基板とその製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法および細胞スクリーニング装置
Collins et al. Targeted delivery to single cells in precisely controlled microenvironments
US20050136536A1 (en) Embryonic epithelial cells
JP4148500B2 (ja) 細胞培養用の基体、その製造方法、それを用いた細胞培養法及び細胞培養装置
Mota et al. High throughput screening with biofabrication platforms
JP4148516B2 (ja) 細胞培養用基板と生物活性物質移送シートからなる細胞培養用キット、その製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法
JP4148515B2 (ja) 生物活性物質移送シート、その製造方法、それを用いた細胞スクリーニング法
JP5979698B2 (ja) 細胞接着領域のマイクロパターンを有する細胞固定化基板の製造方法
Buzanska et al. Neural stem cell fate control on micropatterned substrates
WO2023178320A1 (en) Cell culture application methods of using a separation well microplate
Chitsaz et al. High-throughput microcontact printing of proteins in microwell cell culture plates
van Dongen et al. A reagent-based dynamic trigger for cell adhesion, shape change, or cocultures

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080326

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080618

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080623

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110704

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4148516

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120704

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120704

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130704

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees