JP2005173209A - 双安定型ネマティック液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 第1の基板に強アンカリングの配向膜が設けられたマスター基板10Aと、第2の基板に弱アンカリングの配向膜が設けられたスレーブ基板20Aとがそれぞれの配向膜側が対向配置され、これら配向膜間にネマティック液晶層30が挟持されてなる液晶セル35が備えられ、駆動電圧に応じて液晶層の液晶分子の配列が双安定状態のうちいずれかの状態に制御されるようにした液晶表示装置であって、マスター基板側にカラーフィルタ13と反射体7が設けられた双安定型ネマティック液晶表示装置1。
【選択図】 図1
Description
従来の双安定型ネマティック液晶表示装置は、上下一対の基板間にネマティック液晶が所定のセルギャップで挟まれ、一方の基板の内面側にプレチルトのある強アンカリング(強い配向規制力)の配向膜が形成され、他方の基板の内面側にプレチルト0の弱アンカリング(弱い配向規制力)の配向膜が形成された液晶セルが備えられたものである。
従来の強アンカリングの配向膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の有機配向膜にラビングしたものが用いられ、弱アンカリングの配向膜としては斜方蒸着法により形成されたSiOx膜、ポリイミド等の有機配向膜に光を照射し改質したもの、或いは溶剤処理したもの等が用いられていた(例えば、非特許文献1〜3参照。)。
なお、強アンカリングの配向膜が設けられた基板をマスター基板、弱アンカリングの配向膜が設けられた基板をスレーブ基板と呼ぶ。
マルチノ ラガード等(Ph.Martinot-Lagarde et al.)、ファスト バイステイブル ネマティック ディスプレイ ユージング モノステイブル サーフェイス アンカリング ブリーキング(Fast Bistable Nematic Display Using Monostable Surface Anchoring Breaking)、ダイジェスト オブ エスアイディー'97(Digest of SID'97) 、1997年、p.41−44 ドゾブ等(I.Dozov et al.)、ファスト バイステイブルネマティック ディスプレイ フロム カップルド サーフェイス アンカリング ブリーキング(Fast Bistable Nematic Display From Coupled Surface Anchoring Breaking )、プロシーディング オブ エスピーアイイー (Proceeding of SPIE) vol.3015、1997年、p.61 ジョウバート等(C.Joubert et al.)、リフレクティブ バイステイブル ネマティック ディスプレイ (バイネム)ファブリケーティッド バイ スタンダード マニュファクチュリング イクィプメント(Reflective Bistable Nematic Displays (BiNem)fabricated by standard manyufacturing equipment)、ジャーナル オブ ザ エスアイデー(Journal of the SID)、11/1,2003年
第1の発明の双安定型ネマティック液晶表示装置は、第1の基板に強アンカリングの配向膜が設けられたマスター基板と、第2の基板に弱アンカリングの配向膜が設けられたスレーブ基板とが、それぞれの配向膜側が対向配置され、これら配向膜間にネマティック液晶層が挟持されてなる液晶セルが備えられ、駆動電圧に応じて液晶層の液晶分子の配列が双安定状態のうちいずれかの状態に制御されるようにした液晶表示装置であって、
前記マスター基板側にカラーフィルタが設けられたことを特徴とする。
前記スレーブ基板は観察側に設けられ、前記マスター基板は観察側と反対側に設けられ、該マスター基板側に反射体が設けられたことを特徴とする。
上記第2の発明の双安定型ネマティック液晶表示装置において、前記マスター基板側にカラーフィルタが設けられていてもよい。
前記強アンカリングの配向膜は極角方向のアンカリングエネルギーが約10−3J/m2以上で、方位角方向のアンカリングエネルギーが10−4 J/m2以上とされ、プレティルト角を有するように形成され、前記弱アンカリングの配向膜は極角方向のアンカリングエネルギーが6×10−5 〜2×10−4J/m2で、方位角方向のアンカリングエネルギーが1×10−5〜5×10−5J/m2とされ、プレティルト角が略0度になるように形成されていることが好ましい。
このアンカリングエネルギーの設定値は、本発明の双安定型LCDでは重要で、例えば、強アンカリング配向膜(マスター側)では、極角及び方位角方向のアンカリングエネルギーが上記の値よりも大きいとスレーブ基板側に対し配向影響力が強く働きすぎ、双安定が発現しない。また、上記の値よりも小さい時には、所望の配向が得られずやはり安定した双安定状態が取れない。
一方、弱アンカリング配向膜(スレーブ側)では、極角及び方位角方向のアンカリングが上記の値よりも大きすぎると、やはり準安定状態期間の移行が起きず、双安定状態が得られない。また、上記の範囲の値よりも小さい時には、配向が安定しない。
かかる構成の双安定型ネマティック液晶表示装置において、上記液晶セルの上側又は上下の両側に偏光板が設けられ、該偏光板の偏光軸は前記弱アンカリングの配向膜又は強アンカリングの配向方向に対し+45度又は−45度に設定されていることが好ましい。
図1は本発明の実施形態である反射体内蔵型の双安定型ネマティック液晶表示装置の端部を含む部分断面構造を模式的に示した図であり、図2はこの双安定型ネマティック液晶表示装置を上面側から視たときの各電極と対応する駆動回路の接続構造を示す透過平面図であり、図3はこの双安定型ネマティック液晶表示装置の第1と第2の配向膜のそれぞれの配向方向と、偏光板の偏光軸(光軸)との関係を示す分解斜視図である。
また、この液晶表示装置1には、図2に示すように第1の基板側に設けられた走査電極としての第1の電極層(第1の駆動電極)15を駆動するための走査電極駆動回路(第1の駆動回路)15aと、第2の基板側に設けられた信号電極としての第2の電極層(第2の駆動電極)25を駆動するための信号電極駆動回路(第2の駆動回路)25aと、駆動信号供給手段と電圧制御手段が備えられた制御回路45が備えられている。
スレーブ基板20Aは、透明な第2の基板(他方の基板)20の内面側(液晶層側)に第2の電極層(電極又はITO膜と呼ぶこともある)25と、トップコート膜(絶縁膜)24と、第2の配向膜26とが順に積層形成されている。
スレーブ基板20Aの液晶層30側と反対側(第2の基板20の外面側)には、偏光板28が設けられている。
また、金属反射膜12の膜厚は、80nm〜300nm程度であることが好ましく、80nm〜200nm程度であることがより好ましい。
尚、第1の電極層15と第2の電極層25は互いに平面視直角に向くように配置されて上記の液晶表示装置1がパッシブマトリクス型とされている。
第1の配向膜16のプレティルト角は、液晶層30に用いられる液晶の種類によって異なり、2度から7度程度、好ましくは2度から5度とされる。
この第2の配向膜26としては、斜方蒸着法により形成されたSiOx膜からなるものが用いられる。このような第2の配向膜26の形成方法としては、第2の基板20の表面にSiOを蒸着する際、第1の基板10の法線方向から測った蒸着角度が約60度の条件で行われる。この第2の配向膜26の膜厚としては、50〜200nm程度とされる。
また、第2の配向膜26の材質としては、上記のSiOx膜以外に、グラフト化したポリスチレン膜にラビング処理を施したものを用いてもよく、グラフト化した可とう性の高い高分子鎖により、両基板間の液晶のアンカリングメモリーを完全に除去することが可能である。
第1の配向膜16と第2の配向膜26の配向方向は図3のA又は図3のBに示すように反平行方向(180度異なる方向)とされている。図3中、aは第1の配向膜16の配向方向、bは第2の配向膜26の配向方向である。
液晶層30の電圧保持率が60%未満では、保持率が低すぎて電圧ロスとなってしまい表示を切り替えることができず、また、消費電流が増加しやすく、85%を超えると、連続点灯(連続表示)12時間以上で(液晶材料と配向膜との組み合わせ次第では、6時間程度でも)スイッチング性質の経時劣化が生じ、単一パルスで表示が切り替わりにくくなる。液晶層30の電圧保持率が60%〜70%の範囲では、連続点灯約30時間まで上記スイッチング性質の経時劣化が生じなくなる。また、液晶層30の電圧保持率が70%〜80%又は85%では、連続点灯(連続表示)120時間でもスイッチング性質変化無く、優れた特性が得られる。
上記のように液晶層30の電圧保持率を60%〜85%の範囲にされていると、長時間にわたって同じパターンを表示しても、液晶層中の不純物が配向膜表面に付着して固定され難くなり、不純物イオン等の電荷の偏りを防止でき、焼き付きを防止でき、表示品質を向上できる。
一方配向膜材料に関しては、成膜時或いは成膜後の熱処理条件を変える方法などが適用できる。
また、上記制御回路45は、表示情報出力源と接続されており、また、外部電源または内部電源に接続された電源回路と接続されている。
上記電圧制御手段は、走査電極駆動回路15a、信号電極駆動回路25aに駆動電圧を供給して第1と第2の電極層間の液晶を駆動できるようになっている。
図6のAに示すように駆動電圧印加時の液晶層30(電圧保持率が60%〜85%)の液晶分子の配列がユニフォームな平行配置、すなわち、液晶のツイスト角が0度になるような液晶組織になっている場合(偏光板を通って液晶セル内に入った入射光が反射体で反射した光を液晶層(1/4λとなる液晶複屈折層を45度配置で挟まれている)で偏光方位を90度に変え、偏光板を通過しないようにして暗表示とする場合)、図6のBに示すように上記第1、第2の電極層等の駆動パルス印加手段によって液晶層30にリセットパルスEr1を印加する。このリセットパルスEr1は、第2の配向膜26のアンカリングをリセットできる大きさE2より大きく、第1の配向膜16のアンカリングはリセットできる大きさE1より小さい大きさとすることで、第2の配向膜26のアンカリングをリセットして、ホメオトロピック配向とする。
次いで、図6のCに示すように不安定なホメオトロピック配向を解消するために流体力学的流れ、背流(バックフロー)が生じる(なお、パルス電圧Eは印加しない状態である。)。これにより第1と第2の配向膜の近傍の液晶分子は互いに反対の方向へと回転し、ベンド配向化し、次いで、ベンド配向からより安定なπツイスト配向の組織に遷移する。
この後、バックフローが起きにくいようにパルスをなだらかに切る。このようにすると、液晶層30の液晶分子は弾性結合により、基板平面に倒れこみ、図7のCに示すようにユニフォームな組織へ遷移する。
なお、上記リセットパルスE1、E2 、Er1 、Er2 の大小関係は、E1>Er1>Er2>E2 である。
半透過型にする場合には、観察側と反対側の基板(第1の基板)下面に位相差板及び偏光板の積層体と、光源が配置される。また、この場合、反射体(特に反射膜)には、画素面積に対して所定の面積割合で微細な開口が設けられる。
透過型の場合には、反射体は不要で、観察側と反対側の基板(第1の基板)下面に位相差板及び偏光板の積層体と、光源が配置される。
或いは、反射体をパネル内に内蔵せず、パネル外面(観察側と反対側の基板外面)に反射体を形成したシートを積層することもできる。(この場合、パララックスの点で、下側基板の厚みが薄くされることが望ましい。)
Claims (5)
- 第1の基板に強アンカリングの配向膜が設けられたマスター基板と、第2の基板に弱アンカリングの配向膜が設けられたスレーブ基板とが、それぞれの配向膜側が対向配置され、これら配向膜間にネマティック液晶層が挟持されてなる液晶セルが備えられ、駆動電圧に応じて液晶層の液晶分子の配列が双安定状態のうちいずれかの状態に制御されるようにした液晶表示装置であって、
前記マスター基板側にカラーフィルタが設けられたことを特徴とする双安定型ネマティック液晶表示装置。 - 第1の基板に強アンカリングの配向膜が設けられたマスター基板と、第2の基板に弱アンカリングの配向膜が設けられたスレーブ基板とが、それぞれの配向膜側が対向配置され、これら配向膜間にネマティック液晶層が挟持されてなる液晶セルが備えられ、駆動電圧に応じて液晶層の液晶分子の配列が双安定状態のうちいずれかの状態に制御されるようにした液晶表示装置であって、
前記スレーブ基板は観察側に設けられ、前記マスター基板は観察側と反対側に設けられ、該マスター基板側に反射体が設けられたことを特徴とする双安定型ネマティック液晶表示装置。 - 前記マスター基板側にカラーフィルタが設けられたことを特徴とする双安定型ネマティック液晶表示装置。
- 前記強アンカリングの配向膜と弱アンカリングの配向膜の配向方向は反平行方向とされ、
前記強アンカリングの配向膜は極角方向のアンカリングエネルギーが約10−3J/m2以上で、方位角方向のアンカリングエネルギーが10−4 J/m2以上とされ、プレティルト角を有するように形成され、
前記弱アンカリングの配向膜は極角方向のアンカリングエネルギーが6×10−5 〜2×10−4J/m2で、方位角方向のアンカリングエネルギーが1×10−5〜5×10−5J/m2とされ、プレティルト角が略0度になるように形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の双安定型ネマティック液晶表示装置。 - 前記液晶セルの上側又は上下の両側に偏光板が設けられ、該偏光板の偏光軸は前記弱アンカリングの配向膜又は強アンカリングの配向方向に対し+45度又は−45度に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の双安定型ネマティック液晶表示装置。
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