JP2005166307A - 接点装置およびその当接部材 - Google Patents

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稔 米林
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貴久 山本
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Kiyomoto Maeno
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Abstract

【課題】接点装置の当接部材を導電性ゴムとする場合に、良好な性能が得られるような材質・形状とする。
【解決手段】弾性部材によって付勢され、被当接体24に押しつけられる接点装置の当接部28を、導電性フィラーを含有する導電性ゴムによって形成する。この場合、被当接体24との当接面の端縁28eには角R(R≧0.1mm)を形成し、JIS A硬度を60以上95以下とする。
【選択図】図9

Description

本発明は、弾性部材を用いて接点部材を被当接体に押し当てる構成を有する接点装置に関する。
図12に、従来の接点装置70を示す。この接点装置70は、二つの部品等の間で導通を確保する場合に、その接続部分に用いられる。図12の接点装置70は、一方の部品72に固定される固定部74と、固定部74内に移動自在に収容され導体からなる可動接触子76と、同じく固定部74内に移動自在に収容され導体からなるスプリング78と、を備える。可動接触子76は、スプリング78によって付勢され、もう一方の部品80の接点に当接される。そして、スプリング78、可動接触子76、および固定部74が導通路として機能し、二つの部品72,80間(各々に設けられる導体パターン72a,80a間)で導通が確保される。この種の接点装置は、二つの部品間で電気的な接続のための結線作業が不要になるというメリットがあり、特に、二つの部品間の距離が変動したり、個体差(ばらつき)があったりする場合に有効である。この種の接点装置としては、例えば特許文献1に開示されるものが知られている。
実開平4−88690号公報
さて、この種の接点装置では、可動接触子に導電性ゴムが用いられる場合がある。発明者らは、導電性ゴムからなり、平面状の当接面を有する可動接触子について研究を重ねたところ、導電性ゴムの硬度、当接面の角Rの大きさ、ならびに導電性ゴムに充填する粒状導電性フィラーの粒径等が、所定の条件から外れたときは、当接に伴う変形により、導電性ゴムに亀裂が生じたり、粒状導電性フィラーが導電性ゴムから脱落したりして、所望の導通性能が得られなくなる場合があることを見出した。
本発明にかかる当接部材は、弾性部材によって付勢されて被当接体に押しつけられる接点装置用の当接部材であって、導電性フィラーを含有する導電性ゴムからなり、被当接体との当接面の端縁には角R(R≧0.1mm)が形成されており、JIS A硬度が60以上95以下である。
また、本発明にかかる当接部材は、弾性部材によって付勢されて被当接体に押しつけられる接点装置用の当接部材であって、直径dの粒状導電性フィラーを含有する導電性ゴムからなり、被当接体との当接面の端縁には角R(R≧0.1mm)が形成されており、R≧2・dである。
また、上記本発明にかかる当接部材では、さらに、JIS A硬度が60以上95以下であるのが好適である。
また、本発明にかかる接点装置は、基体部と、上記基体部に装着された弾性部材に付勢されて被当接体に押しつけられる当接部材であって、請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の当接部材と、を含む。
また、上記本発明にかかる接点装置では、さらに、上記基体部に設けられたガイド部にガイドされて所定区間内で被当接体に対して接離自在となる中間体であって、上記弾性部材に直接的に付勢されることなく、上記当接部材と係合して当該接点部の可動範囲を規制する中間体を備えるのが好適である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる接点装置10の一例を示す外観図、図2は、図1のA−A断面図、図3は図2のB−B断面図である。
接点装置10は、基体部12、弾性部材14、接点部16、中間体18、および導線20を含み、第一の部品22(例えば、車両ウインドウアンテナ用の信号処理ユニット等)側と被当接体としての第二の部品24(例えば、車両ウインドウ等)側との間で導通路を形成するために用いられる。図1〜3の例では、第一の部品22の導体パターン(図示せず)、導線20、金属リード部26、当接部28、および第二の部品24の導体パターン30が、この順に電気的に接続されて導通路が形成される。
基体部12は、第一の部品22側に固定される。図1〜図3の例では、基体部12は、ボルト挿入穴12aに螺入されたタップスクリュー(図示せず)により、第一の部品22に固定される。なお、基体部12は、絶縁性部材(例えばナイロン樹脂)によって構成するのが好適である。
中間体18は、基体部12に設けられたガイド部にガイドされ、所定区間内で第二の部品24に対して接離自在である。図2および図3に示すように、この例では、基体部12には、ガイド部としてのガイド孔34が設けられている。ガイド孔34は、第二の部品24側に開口を有し、第一の部品22の設置面に対して略垂直となる方向(図3の矢印Cに沿う方向;以下、C方向または上下方向と記す)に伸びる有底孔として設けられている。また、断面は略長穴状である。中間体18は、このガイド孔34に案内され、基体部12の被当接体(第二の部品24)側の端面から出没自在となる。
また、この例では、ガイド孔34の口先(開口端)に、中間体18の脱落を防止する係合爪36が設けられている。また、中間体18の根元側にも係合爪38が設けられている。中間体18の最も上方の位置(上死点)はこれら係合爪36,38の係合によって定まる(図2、3に示される位置)。なお、中間体18の最も下方の位置(下死点)は、中間体18の底部がガイド孔34の底部に当接するまで没した位置または弾性部材14が最も短くなった位置となる。
また、中間体18は、ガイド孔34に緩装されている。すなわち、中間体18の外壁とガイド孔34の内壁との間には所定の間隙があり、この間隙の分、中間体18は、図3の矢印Dの方向(以下、D方向または横方向と記す)に移動自在である。さらに、この間隙は、中間体18がガイド孔34に挿入された状態で、接離方向(略C方向)に対して所定の角度範囲内で傾斜可能となるように設定されている。この間隙の構成および中間体18の傾斜の効果については後述する。
さらに、中間体18は、上底壁および側壁を有する筒状の部材として構成される。そして、上底壁に設けられた窓としての貫通孔40に当接部28が緩挿され、当接部28が第二の部品24側に露出している。この貫通孔40の側壁と当接部28の側壁とが係合することで、中間体18は、接点部16の横方向への動きに連動することになる。したがって、接点部16の横方向の可動範囲は、中間体18の可動範囲によって規制される。
また、当接部28の外壁と貫通孔40の内壁との間には所定の間隙があり、この間隙の分、当接部28は、貫通孔40の軸方向と垂直な方向(図3の姿勢ではD方向)に移動自在である。さらに、その間隙は、当接部28が貫通孔40内に挿入された状態で、貫通孔40の軸方向(図3の姿勢ではC方向)に対して所定の角度範囲内で傾斜可能となるように設定されている。この間隙の構成および当接部28の傾斜の効果についても後述する。
接点部16は、弾性部材14により第二の部品24に向けて(すなわち上方向に)付勢され、当該第二の部品24に押しつけられる。この例では、接点部16は、当接部28、金属リード部26、および絶縁体32を含む。このうち当接部28は、上面側に、略平面状の当接面を有している。また当接部28は、底面側で横方向に張り出す鍔部16aを有している。鍔部16aの上面と中間体18の上底の下面とが係合することで、中間体18は、接点部16の上方向への動きに連動することになる。したがって、接点部16の上方向への可動範囲は、中間体18の可動範囲によって規制される。なお、通常、接点装置10は、多少傾斜する場合はあるが、基本的には第一の部品22側が鉛直下方側となる姿勢で装着されるため、中間体18は、作用する重力によって鍔部16a上に載置される。このため、中間体18は、接点部16の下方向への動きにも連動することになる。
また、本実施形態では、当接部28に、ゴム素材に粒状の導電性フィラーを添加した導電性ゴムを用いている。ここで、ゴム素材としては、例えばシリコンゴムやフッ素ゴム、アクリルゴム等を、また、粒状導電性フィラーとしては、銀粒子、銀メッキアルミ粒子等を用いることができる。かかる当接部28は、例えば、ゴム素材としてのシリコンゴムに、導電性フィラー、加硫剤、加工助剤等を練り込んだ材料を、150〜180°Cに加熱した下型上に所定量置き、上から略同温の上型で熱プレスして成形し、最後に外周仕上げを施すことによって得られる。
さて、被当接体と面接触する当接部28(被当接体との面接触を実現する構造を備える図1のような接点装置10に好適な当接部28)について、発明者らが研究を重ねた結果、導電性ゴムからなる当接部28の形状や材質等に関して、以下のような二つの知見が得られた。
[1]導電性ゴムの硬度が低く、かつ当接面の端縁の角R(丸め処理部の半径R)が小さい場合には、被当接体から押圧された際、端縁部から導電性フィラーが脱落したり、導電性ゴムに亀裂が生じたりする場合がある。
[2]導電性フィラーの粒径が大きいほど、当接面の端縁から導電性フィラーが脱落しやすくなり、角Rが小さいほどその脱落が生じやすい。
まず[1]に関しては、角Rを0.1mm以上とし、かつ導電性ゴムの硬度を、JIS K 6301法に記載された方法に準じて測定したJIS A 硬度で、60°以上95°以下とするのが好適であることがわかった。図9は、角Rおよび導電性ゴムの硬度を(a)〜(c)の各条件とした場合に、被当接体との当接(接点装置10で想定される最大押圧力Fでの押圧)によって当該導電性ゴムがどのように変形するかを示した説明図(端縁28e付近の断面図)である。
図9の(a)は、当接部28の当接面の端縁28eに角Rを形成せず、JIS A 硬度を55°とした場合の図である。この場合には、被当接体から押圧されると、端縁28eが当接面に沿って鋭角に側外方に突出し、この部分から、粒状のフィラーが脱落し、所望の導電性能が得られなかった。また、脱落した部分を起点として亀裂が生じるケースが見られた。
図9の(b)は、当接部28の当接面の端縁28eに角Rを形成せず、JIS A 硬度を60°とした場合の図である。この場合には、端縁28eの変形(尖鋭度)は(a)の場合に比べて小さくなるものの、依然として粒状フィラーの脱落が見られ、所望の導電性能が得られなかった。
図9の(c)は、当接部28の当接面の端縁28eに角R(R=0.1mm)を形成し、JIS A 硬度を60°とした場合の図である。この場合には、端縁28eの変形がさらに小さくなり、粒状フィラーの脱落が殆ど無くなり、所望の導電性能が得られた。このような実験を、多種多様な条件下で実施した結果、角Rを0.1mm以上とし、かつ導電性ゴム(当接部28)の硬度をJIS A 硬度で60°以上とするのが好適であることが判明した。なお、このような構成の当接部28には、弾性変形による振動吸収機能が要求される。これについても検証した結果、導電性ゴムの硬度は、JIS A 硬度で95°以下であることが望ましいことが判明した。
次に、[2]に関しては、粒状導電性フィラーの直径をd、当接部28の角Rの半径をRとした場合、R≧2・dとするのが好適であることがわかった。図10は、角Rを(a)〜(c)の各条件とした場合における当接部28の端縁28eの断面図である。ただし、図10では、粒状導電性フィラー60の直径を0.1mmとした場合の例である。これら(a)〜(c)からわかるように、同一直径の導電性フィラー60の場合、角Rが小さいほど導電性フィラー60がゴム部62から外側に露出している領域が広くなっている。発明者らの研究により、この露出している領域が広いほど導電性フィラー60が脱落しやすいことがわかった。
図11は、導電性フィラーの粒径dおよび角Rの種々の組み合わせについて、所定の負荷条件下で導通性能および導電性フィラーの脱落を確認した実験結果である。なお、図11では、粒径がφ0.01mmの実験結果を一点鎖線で、同φ0.05mmの実験結果を破線で、同φ0.1mmの実験結果を実線で結んで示しており、○印は導電性フィラーの脱落が殆ど無く所望の導通性能が得られたケース、×印は導電性フィラーの脱落が生じ所望の導電性能が得られなかったケースを示す。また、この図では、角Rの半径R(mm)を横軸、また導電性フィラー60がゴム部62から露出している露出角(中心角)θを縦軸としている。そして、この図11から、露出角θが略150°(deg)以下であれば、導電性フィラーの脱落が殆ど無く、所望の導通性能が得られることが理解できる。さらに、発明者らの研究により、それらの中でも、特にR≧2・dの場合が、当接部28の端縁28eの変形が少なく、良好な性能が得られることが判明した。
さて、上述したように、この例では、金属リード部26および導線20を導通路として用い、金属導体からなる弾性部材(例えばコイルスプリング)14は導通路として用いないようにしている。これは、導通路として金属導体からなる弾性部材14(特にコイルスプリングの場合)を用いると、そのインダクタンスが、高周波信号の伝送特性に悪影響を及ぼすからである。そこで、この例では、絶縁体32を用いて、弾性部材14と導通路(この例では金属リード部26や当接部28)とを絶縁している。
また、導通路と弾性部材14との距離が近いと、金属リード部26、弾性部材14、およびグラウンド電極(図示せず)という経路で高周波信号が漏洩し、伝送特性に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、この例では、高周波信号が使用周波数帯域において漏洩しないように、絶縁体32によって、導通路(この例では金属リード部26)と弾性部材14との距離を確保している。
図4は、接点装置10の導通路を伝送される信号の周波数と信号強度との関係を、導通路と弾性部材14との距離(弾性部材14の上端と金属リード部26の下端との距離)毎に示す図である。この図4から、当該距離が短い場合には、特定の周波数帯域で信号強度が低下しているが、当該距離が長くなるにつれ、信号強度の落ち込みが少なくなり、伝送特性が改善していることがわかる。弾性部材14の上端と金属リード部26との間の距離は、金属リード部26の面積や形状、介在する部材等の比誘電率、使用する周波数帯域、周囲の金属物等の配置などを考慮して決める必要があり、この例の場合には、さらに、コイルスプリングの直径、線径、巻数、材質、長さ等を考慮して決める必要がある。
また、この例では、図2および図3に示すように、絶縁体32にアーム32aを形成し、弾性部材14の上端と導通路下端(金属リード部26)との間に空隙42が形成されるようにしている。空気の比誘電率は絶縁体32の比誘電率より低いため、このような構成とすることで、導通路と弾性部材14との間の寄生キャパシタンスをさらに低くし、伝送特性をより一層向上することができる。なお、この例では、アーム32aによって空隙42を形成しているが、絶縁体32に空洞を設けることによっても同様の効果が期待できる。
さらに、この例では、図3に示すように、例えば金属板を成形して成る金属リード部26は、横方向外側(図2の矢印E方向)に向けて延伸するアーム26aを備えており、このアーム26aと導線20とが結線されている。接点部16に接続される導線20は、当該接点部16の上下動に伴って伸縮することになるが、このとき、弾性部材14側のより内側の位置で導線20が接点部16に接続されていると、折れ曲がった導線20が弾性部材14に近づくことも考えられる。そこで、この例では、弾性部材14の側端に対して横方向外側となる位置で接点部16と導線20とを結線することで、導線20を弾性部材14から遠ざけ、寄生キャパシタンスが低く維持できるようにしている。また、基体部12に、導線20を係止する係止部12bを設け、この係止部12bによっても導線20の位置を規制するようにしている。こうすることで、接点部16に無理な力が加わってスムーズな上下動が妨げられるのを抑制している。
当接部28および金属リード部26は、絶縁体32のピン32bにより位置決めされた状態で載置されており、当接部28、金属リード部26および絶縁体32は、接点部16として、一体となって横方向および上方向に移動する。また、当接部28は、弾性部材14による上方向付勢力の反力により、その上面から第二の部品24または中間体18から下方向に押されるから、当接部28、金属リード部26および絶縁体32は、下方向にも一体となって移動する。
弾性部材14は、この例では、平行に配置された二つのコイルスプリングであり、図3の状態、すなわち、中間体18が最も上方の位置にある状態で、自由長より短くなるように構成されている。そして、接点部16が被当接体(第二の部品24)に当接した状態では、接点部16が下方に押し込まれ、コイルスプリングとしての弾性部材14が伸長する方向の付勢力を発生するように、基体部12下面と被当接体の当接面(導体パターン30の表面)との距離や、接点装置10の各部の寸法が決定される。この付勢力が、当接面における接触面圧の元となる。なお、弾性部材14として一つあるいは三つ以上のコイルスプリングを用いてもよいし、コイルスプリング以外の弾性部材(例えば板ばね等)を用いるようにしてもよい。なお、中間体18は、接点部16と係合するものの、この弾性部材14からの付勢力は作用しないように構成されている。
図5〜図7は、実装された状態(第一の部品22に取り付けられ、接点部16が被当接体としての第二の部品24の被当接面を押圧する状態)における接点装置10の内部部品の配置や姿勢を例示する図であり、図5は、被当接体から接点部16が横方向にオフセットすることなく比較的真っ直ぐ押し込まれた場合の図、図6は、接点部16が横方向(F方向)にオフセットして押し込まれた場合の図、また図7は、接点部16が横方向(G方向)にオフセットして押し込まれた場合の図である。
図5のように、接点部16がほぼ直下方に押し下げられた場合には、中間体18はガイド孔34のガイド方向(C方向)に対して傾斜することなく、図3の姿勢からそのまま下方に移動することになる。図5からわかるように、この例では、接点部16と基体部12との間に中間体18を介在させているので、接点部16の上下方向(C方向)の可動範囲は、中間体18とガイド孔34との重なり合う部分の長さによって決まる。すなわち、接点部16の可動範囲に、中間体18の構造が関与している。従来のように、中間体18が無く、接点部16が直接ガイド孔34にガイドされる構成で接点部16の可動距離を長くしようとすると、接点部16自体を大きくしなければならない。これに対し、本実施形態のように、中間体18を設ければ、接点部16自体を大きくすることなく、接点部16の移動距離を長くすることができるようになる。かかる構造は、接点部16が特殊な材質であったり高価な材質であったりする場合や、弾性部材14のバネ定数などの観点から、接点部16を小型化したい場合に有効である。特に、上述したように、当接部28を導電性ゴムとする場合は、その耐久性の観点から、当接部28はなるべく塊状に、かつ応力集中が生じにくい形状とするのが望ましい。すなわち、かかる中間体18を介在させる構造は、当接部28(接点部16)の形状の自由度が高くなるから、当接部28として導電性ゴムを用いる場合に好適である。
なお、中間体18は、ガイド孔34との間隙δ1の分だけ、傾斜しない姿勢で横方向にオフセットすることができる。さらに、当接部28は、当該当接部28の側壁と中間体18の貫通孔40との側壁との間隙δ2の分だけ、同じく傾斜しない姿勢で横方向にオフセットすることができる。これは、この姿勢での接点部16の横方向の移動量が、それらの間隙δ1,δ2の大きさによって定まっていることを意味する。
一方、図6のように、接点部16が横方向(F方向)にさらに大きくオフセットする場合には(オフセット量:d1)、中間体18はC方向に対して傾斜し、さらに、接点部16は中間体18に対して傾斜することになる。その結果、接点部16は、略平面状の当接面で被当接体に当接している状態を維持したまま、比較的(図5の場合より)長い距離を横方向に移動することができる。これは、上述したように、中間体18が接点部16と横方向に係合するよう構成するとともに、中間体18をガイド孔34に対して傾斜可能とし、さらに接点部16を中間体18に対して傾斜可能とすることで実現される。このような構成とすることで、当接部28の当接面と被当接体の当接面とが、面接触の状態を維持したまま従来より大きくオフセットすることができるようになり、耐摩耗性が向上するとともに、片当たりによる接触抵抗の増大を抑制することができる。
さらに、中間体18のガイド部(ガイド孔34)に対する傾斜量(C方向に対する傾斜角)が大きくなるよう、ガイド孔34の側壁と中間体18の外壁との間の間隙を、第二の部品24側(上側)に向かうにつれて広くするのが好適である。この例では、中間体18を先細形状(テーパ状;上側に向かうほど細くなる形状)としている。ガイド方向に沿って当該間隙が一定であると、中間体18の第一の部品22側への押し込み量が大きくなるほど、中間体18の傾きが小さくなり、接点部16の横方向(F方向)のオフセット量が小さくなってしまう。本実施形態では、上記構成とすることで、中間体18が押し込まれた場合にも、中間体18の傾斜量を確保し、接点部16の横方向のオフセット量が大きくなるようにしている。
なお、本実施形態では、被当接体(第二の部品24)が、第一の部品22に対して平行となっていない場合にも、接点部16と被当接体との間で面接触が維持される。被当接体の傾きの許容範囲は、基体部12に対する中間体18の傾き量と、中間体18に対する接点部16の傾き量との合計として決定される。
また、図7のように、接点部16が横方向(G方向)にさらに大きくオフセットする場合にも(オフセット量:d2)、中間体18はG方向に傾き、さらに、接点部16は中間体18に対して傾斜する。その結果、接点部16は、略平面状の当接面で被当接体に当接する状態を維持したまま、横方向に移動することができる。なお、G方向のオフセット量を大きくするためには、中間体18を先細形状(テーパ状;上側に向かうほど細くなる形状)とすることが望ましい。
図8は、本実施形態にかかる接点装置10を用いた車両用ガラスアンテナ50の概略構成の一例を示す図である。車両用ガラスアンテナ50のアンテナエレメント52は、車両の例えばリアウインドウガラス54の車室側に、印刷等により貼り付けられている。各アンテナエレメント52の一端は、車両のルーフパネル56とリアウインドウガラス54の重合部分Hまで延びている。ルーフパネル56には、アンテナエレメント52で受信した信号を処理するためにアンプをはじめとする処理回路を支持した基板支持ベース58が、例えば、ボルト等で固定されている。なお、重合部分Hには、図示しないカバー等が取り付けられ外部からは見えないようになっている。
基板支持ベース58には、アンプ等の処理回路やアンテナエレメント52の端部に形成された端部接点52aと接触する接点装置10が載置される。したがって、接点装置10とリアウインドウガラス54の端部接点52aとが押圧接触して、アンテナエレメント52と基板支持ベース58の内部回路との間の導通が確保されるように、基板支持ベース58は、ルーフパネル56に対して所定の位置に固定される。なお、図8では、ダイバシティが構成されるよう、実質的に同等の機能を備えるアンテナユニット50a,50bが二系統設けられている。また、アンテナエレメント52の本数や形状は、図示のものには限定されず、その機能等に応じて適宜設定される。なお、図8の例では、基板支持ベース58が上記第一の部品22に相当し、リアウインドウガラス54が上記第二の部品24、すなわち被当接体に相当し、端部接点52aが導体パターン30に相当する。
さて、かかる構成の車両用ガラスアンテナ50では、まず、接点装置10の載置された基板支持ベース58がルーフパネル56上に取り付けられ、次に、リアウインドウガラス54が所定の位置に載置され、固定される。この作業において、取り付け位置の微調整のため、リアウインドウガラス54は、図8のI方向やJ方向などリアウインドウガラス54の面に沿った方向に動かされる場合が多い。ここで、被当接体としてのリアウインドウガラス54は、車両に装着された状態では、接点装置10の接点部16を所定量だけ押し込むことになるから、リアウインドウガラス54は、車両側の装着位置に到達する前に、必ず接点装置10に接触することになる。このため、リアウインドウガラス54は、接点装置10と端部接点52aが接触した状態で、当該方向(接点装置10にとっては横方向)に移動することになる。本実施形態にかかる接点装置10は、上述したように、接点部16(当接部28)と第二の部品24とが面接触した状態で横方向にずれる場合に、摩耗が少なく、かつ片当たりによる接触抵抗の増大が抑制されるから、こうした構成および組み付けが行われる車両用ガラスアンテナ50用の接点装置10としては極めて有効である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、等価な範囲内で種々の変形が可能であることを理解されたい。
本発明の実施形態にかかる接点装置の要部構成の一例を示す外観図である。 図1の接点装置のA−A断面図である。 図2の接点装置のB−B断面図である。 本発明の実施形態にかかる接点装置の絶縁体による信号伝送特性の向上効果を示すグラフである。 図1の接点装置が被当接体と当接した状態の一例を示す図である。 図1の接点装置が被当接体と当接した状態の別の一例を示す図である。 図1の接点装置が被当接体と当接した状態のさらに別の一例を示す図である。 本発明の実施形態にかかる接点装置を用いた車両用ガラスアンテナの要部構成の一例を示す図である。 本発明の実施形態にかかる接点装置に用いられる当接部材の押圧による変形を示す説明図(側面図)である。 本発明の実施形態にかかる接点装置に用いられる当接部材の当接面の端縁においてゴム部から導電性フィラーが露出する様子を示す断面図である。 本発明の実施形態にかかる接点装置に用いられる当接部材において、導電性フィラーの粒径および当接面の端縁の角Rによる導通性能の可否を示す図である。 従来の接点装置を示す図である。
符号の説明
10 接点装置、12 基体部、12a ボルト挿入穴、12b 係止部、14 弾性部材、16 接点部、16a 鍔部、18 中間体、20 導線、22 (第一の)部品、24 (第二の)部品(被当接体)、26 金属リード部、26a アーム、28 当接部、30 導体パターン、32 絶縁体、32a アーム、32b ピン、34 ガイド孔、36,38 係合爪、40 貫通孔、42 空隙、50 車両用ガラスアンテナ、50a,50b アンテナユニット、52 アンテナエレメント、52a 端部接点、54 リアウインドウガラス、56 ルーフパネル、58 基板支持ベース、60 (粒状)導電性フィラー、62 ゴム部。

Claims (5)

  1. 弾性部材によって付勢されて被当接体に押しつけられる当接部材であって、
    導電性フィラーを含有する導電性ゴムからなり、
    被当接体との当接面の端縁には角R(R≧0.1mm)が形成されており、
    JIS A硬度が60以上95以下
    であることを特徴とする接点装置用の当接部材。
  2. 弾性部材によって付勢されて被当接体に押しつけられる当接部材であって、
    直径dの粒状導電性フィラーを含有する導電性ゴムからなり、
    被当接体との当接面の端縁には角R(R≧0.1mm)が形成されており、
    R≧2・d
    であることを特徴とする接点装置用の当接部材。
  3. さらに、JIS A硬度が60以上95以下であることを特徴とする請求項2に記載の当接部材。
  4. 基体部と、
    前記基体部に装着された弾性部材に付勢されて被当接体に押しつけられる当接部材であって、請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の当接部材と、
    を含む接点装置。
  5. さらに、前記基体部に設けられたガイド部にガイドされて所定区間内で被当接体に対して接離自在となる中間体であって、前記弾性部材に直接的に付勢されることなく、前記当接部材と係合して当該接点部の可動範囲を規制する中間体を備えることを特徴とする請求項4に記載の接点装置。
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JP2008060626A (ja) * 2006-08-29 2008-03-13 Kojima Press Co Ltd 車両用アンテナ接続装置
JP2008546164A (ja) * 2005-06-10 2008-12-18 デラウェア キャピタル フォーメーション インコーポレイテッド 可撓性のある内部相互接続部を備えた電気コンタクトプローブ
WO2014203760A1 (ja) * 2013-06-20 2014-12-24 矢崎総業株式会社 端子金具

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