JP2005164257A - コンクリート構造物の劣化判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、コンクリート構造物の硫酸腐食環境における劣化の進行を有限要素法により予測計算する場合における各要素の劣化判定方法であって、
各要素ごとに、
硫酸と水酸化カルシウムによる硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張と、
硫酸カルシウムと三酸化アルミニウムとによるエトリンガイトの生成反応における体積膨張とを合計し、
合計膨張量が空隙量を越えたとき、
当該要素は浸食されてコンクリート構造物から剥離したものと判定することを特徴とするものである。
【選択図】 図2
Description
硫化水素によるコンクリートの腐食は、主に下水道施設に顕著に表れ早急な対策が必要になっている。しかし耐久性照査に結びつく研究事例は塩害・中性化に比較して非常に少ない。
このようにして進行するコンクリート構造物の劣化を有限要素法を用いて予測計算する場合に、各要素において、硫酸カルシウムやエトリンガイトの生成がどのような段階になったときに、当該要素が浸食されたものと判定するかという判定基準が求められていた。
コンクリート構造物の硫酸腐食環境における劣化の進行を有限要素法により予測計算するコンクリート構造物の劣化判定方法であって、
各要素ごとに、
硫酸と水酸化カルシウムによる硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張と、
硫酸カルシウムと三酸化アルミニウムとによるエトリンガイトの生成反応における体積膨張とを合計し、
合計膨張量が空隙量を越えたとき、
当該要素は浸食されてコンクリート構造物から剥離したものと判定することを特徴としている。
そして、請求項2の発明は、
コンクリート構造物の硫酸腐食環境における劣化の進行を有限要素法により予測計算するコンクリート構造物の劣化判定方法であって、
各要素ごとに、
以下の手順1−1、1−2、1−3によって硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張を計算する処理と、
以下の手順2−1、2−2によってエトリンガイトの生成反応における体積膨張を計算する処理と、
以下の手順3によって、コンクリート構造物から剥離したとみなす要素を判定する処理とを含んでいることを特徴としている。
手順1−1;珪酸カルシウム濃度と水酸化カルシウム濃度の合計CSTを計算する。
手順1−2;前記合計濃度の初期濃度CS0に対する変化割合
(CS0−CST)/CS0を計算する。
手順1−3;前記変化割合に硫酸と水酸化カルシウムによる硫酸カルシウムの生成 反応における体積膨率eSHを乗算して、硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張を計算する。
手順2−1;アルミン酸三石灰の濃度CATの初期濃度CA0に対す る変化割合
(CA0−CAT)/CA0を計算する。
手順2−2;前記変化割合に、硫酸カルシウムと三酸化アルミニウムとによるエト リンガイトの生成反応における体積膨張率eEHを乗算して、エトリンガイトの生成反応における体積膨張を計算する。
手順3;体積膨張の合計がコンクリートの空隙率μCSを越えたとき、当該要素は浸食されてコンクリート構造物から剥離したものと判定する。
請求項2の発明において、
前記手順2−1、2−2によってエトリンガイトの生成反応における体積膨張を計算する処理を行ってから、
前記手順1−1、1−2、1−3によって硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張を計算する処理を行うようにしてもよいことは当然である。
各要素において、硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張と、エトリンガイトの生成反応における体積膨張との合計膨張量が空隙量を越えたときに、当該要素は浸食されてコンクリート構造物から剥離したものと判定するので、確実な予測計算が可能となった。
そして、請求項2の発明によれば、
各要素において、
硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張と、エトリンガイトの生成反応における体積膨張との合計が、コンクリートの空隙率を越えたとき、当該要素は浸食されてコンクリート構造物から剥離したものと判定するので、確実な予測計算が可能となった。
まず、本発明の有限要素法によるコンクリート構造物の劣化判定方法では、硫酸腐食によるコンクリートの劣化の全体的なメカニズムを以下のように解析して予測計算を行う。
セメント水和物はアルカリ環境下では比較的安定しているが、酸性環境下におかれると不安定になり分解する。硫酸腐食環境下でのコンクリートの劣化は下記に示すような順序で進むと言われている。
下水中に含まれる硫酸イオン(蛋白質)は嫌気性条件下で硫酸塩還元細菌の作用に より硫化水素に還元される。
下水中の硫化水素は下水より気相中に放出される。
気相中に放出された硫化水素はコンクリート壁面付着水(結露、飛沫水)の中で再溶解 し好気性条件下で硫黄酸化細菌により硫酸に酸化される。
硫酸はコンクリート中の水酸化カルシウム、珪酸カルシウム水和物(C-S-H)と反応し て硫酸カルシウムを生成する。
コンクリートが中性化すると二酸化炭素と反応して硫酸イオンを細孔溶液中に溶出する。したがって、硫酸による化学的腐食の場合はエトリンガイトを介して硫酸の濃縮・遊離が行なわれると指摘されている。
(1)硫酸によるコンクリートの腐食劣化に関係する化学物質は、二酸化炭素(CCO)、硫酸(CHS)、硫酸カルシウム(二水石膏CCS)、水酸化カルシウム(CCA)、珪酸カルシウム水和物(C-S-H CCH)、エトリンガイト(CET)、アルミン酸三石灰(CAL)の7種類と仮定する。
(2)硫酸による化学的腐食は腐食物質がコンクリート内に拡散しセメント水和物と反応することによって起こり、拡散はFickの第2法則に従い反応は1次反応である仮定する。
(3)二酸化炭素、硫酸および硫酸カルシウムは拡散する物質として取り扱い、他の化学的物質はコンクリート中に固定され移動しないものとする。
(4)複塩であるエトリンガイトはコンクリートが中性化すると二酸化炭素と反応し炭酸カルシウム、アルミン酸および硫酸カルシウムに分解し硫酸イオンが細孔溶液中に溶出する。このことから、化学的腐食のモデル化では硫酸カルシウムを模擬的に弱い拡散を示す物質として仮定する。各化学的物質の濃度変化を式8〜式13に示す。
以上の仮定において、硫酸の濃度変化を式9に示した。ここでは、拡散浸透項に水酸化カルシウムおよび珪酸カルシウム水和物との反応項で考慮した。また右辺第4項はエトリンガイトと炭酸ガスの反応により硫酸カルシウムを生成する項であるが、生成された硫酸カルシウムは硫酸イオンを細孔溶液中に溶出するため、式9の硫酸の濃度変化を表す式に付け加えた。
二酸化炭素 :CCO
硫酸 :CHS
硫酸カルシウム :CCS
水酸化カルシウム :CCA
珪酸カルシウム水和物 :CCH
エトリンガイト :CET
アルミン酸三石灰 :CAL
各物質の反応速度定数
硫酸と水酸化カルシウム KA
硫酸と珪酸カルシウム KB
二酸化炭素と水酸化カルシウム KC
硫酸カルシウムとアルミン酸三石灰(エトリンガイトの生成) KD
二酸化炭素とエトリンガイト(エトリンガイトの分解) KE
硫酸環境下でのコンクリートは表面から硫酸および二酸化炭素がコンクリート内に拡散浸透する。
二酸化炭素はコンクリート中の水酸化カルシウム、硫酸は水酸化カルシウムおよび珪酸カルシウム水和物と反応し炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムを生成する。
この硫酸カルシウムは低pH領域では容易にコンクリートから脱離する。この脱離は、本発明においては、コンクリートの空隙と硫酸カルシウムの膨張率、および後述するエトリンガイトの膨張率で評価し、空隙が硫酸カルシウムおよび後述するエトリンガイトの膨張で消失したとき発生するものとする。反応生成物の脱離による硫酸拡散境界の移動は要素を削除することにより行なう。
また、エトリンガイトが生成された部分においてコンクリートが中性化していればエトリンガイトは二酸化炭素と反応し、再び硫酸カルシウムを遊離し、溶出した硫酸は拡散現象によりコンクリートの深部へ移動し、アルミン酸三石灰と反応しエトリンガイトを生成するものとする。したがって、エトリンガイトを介して硫酸イオンの濃縮・遊離が表現する。
解析では、この判定を要素ごとに行い空隙が埋め尽くされた要素をモデルから削除して侵食量を求める。
要素の削除、すなわちコンクリートの脱離(浸食)の判定は、膨張量/細孔空隙量PJが1を越えた段階で行なう。式15を適用し要素の削除に関する判定を行う。
eSH : 珪酸カルシウムと水酸化カルシウムと硫酸の反応における膨張率
CS0 : 珪酸カルシウムと水酸化カルシウム濃度の合計の初期値
CST : ある時刻における珪酸カルシウムと水酸化カルシウム濃度の合計
eEH : アルミン酸三石灰と硫酸カルシウムとの反応における膨張率
(エトリンガイトの生成による膨張)
CA0 : アルミン酸三石灰の初期濃度
CAT : ある時刻におけるアルミン酸三石灰の濃度
μCS : コンクリートの空隙率
なお、要素の削除、すなわちコンクリートの脱離(浸食)の判定は、膨張量/細孔空隙量PJが1を越えた段階で行なうことに代えて、前記式15を変形することによって、膨張量が細孔空隙量を越えた段階で行うこともできることは当然である。
図3のステップS1においては、下水・汚泥からの硫酸の生成を計算する。ステップS2においては、硫酸と水酸化カルシウムからの硫酸カルシウムの生成を計算する。
このとき、前記式15における右辺の第1項を以下のように計算する。即ち、その時点における珪酸カルシウム濃度と水酸化カルシウム濃度の合計CSTを計算する。そして、前記合計濃度の初期濃度CS0に対する変化割合(CS0−CST)/CS0を計算する。さらに、前記変化割合に硫酸と水酸化カルシウムによる硫酸カルシウムの生成反応における体積膨率eSHを乗算して、硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張量(以下「体積膨張」)を計算する。ステップS2を通過する度に前記体積膨張を計算して累算し、コンクリートの空隙率に対する割合を計算する。
ステップS3においては、要素ごとのpH値を計算する。ステップS4においては、要素のpH値を予め設定されたpH値限界値と比較して、前記pH値限界値を越えている場合にはステップS5へ進み、越えていない場合にはステップS6へ進む。
ステップS5においては、当該要素を削除し、硫酸カルシウムによる浸食量としてカウントする。
ステップS6においては、硫酸カルシウムとアルミン酸三石灰よりエトリンガイトを生成する計算をする。ステップS7においては、要素ごとに、エトリンガイト濃度を計算する。ステップS7においては、前記式15の右辺の第2項を以下のように計算する。即ち、その時点におけるアルミン酸三石灰の濃度CATを計算し、初期濃度CA0に対する変化割合(CA0−CAT)/CA0を計算する。さらに、前記変化割合に、硫酸カルシウムと三酸化アルミニウムとによるエトリンガイトの生成反応における体積膨張率eEHを乗算して、エトリンガイトの生成反応における体積膨張を計算する。さらに前記体積膨張をステップS7を通過する度に計算して累算し、コンクリートの空隙率に対する割合を計算する。
ステップS8においては、エトリンガイト濃度をエトリンガイト限界値と比較して、前記エトリンガイト限界値を越えている場合にはステップS9へ進み、越えていない場合にはステップS10へ進む。
なお、ステップS8においては、ステップS2で計算した、硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張の累算値の、コンクリートの空隙率に対する割合(前記式15の右辺の第1項)と、ステップS7で計算した、エトリンガイトの生成反応における体積膨張の累算値の、コンクリートの空隙率に対する割合(前記式15の右辺の第2項)との和を、1と比較し、1を越えている場合には、ステップS9へ進み、越えていなければステップS10へ進む。
前記式15の評価をステップS4でも行っても良いが、硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張率はエトリンガイトの生成反応における体積膨張率より極めて小さいためステップS8における評価だけで十分である。
ステップS10においては、エトリンガイトと二酸化炭素が反応して硫酸イオンを生成する計算を行なう。
ステップS11においては、時間経過を進め、ステップS1から繰り返す。
このようにして、所定の時間経過に相当する回数繰り返して、ステップS5における浸食量と、ステップS9における浸食量とを合計して、前記所定の時間経過後の劣化を予測する。
次に、実施例1の解析ケースと解析条件を説明する。
硫酸環境下でのコンクリートの腐食劣化に関係する化学物質の分子量を表1に示す。解析ケースと解析条件を表2に示す。
硫酸のモル濃度(mol/l)とpHの関係を表2、図4および図5に示す。硫酸の解離度を0.317として算定した。
そして、硫酸の拡散係数とコンクリートの水セメント比との関係を図6に示す。また、硫酸腐食環境下でのコンクリートの劣化予測にはコンクリートの空隙量が重要なパラメータとなる。セメント水比とコンクリート強度の関係が比例関係にあることから、空隙量もセメント水比と比例関係にあると仮定して、水セメント比と細孔空隙量の関係を図7に示す。
解析に適用するセメント水和物は、表4に示した量に対して水和反応率を乗じた量とする。今回の検討では水和反応率を0.8とした。
解析ケースを表4に示す。パラメータはコンクリート表面の硫酸濃度と水セメント比で硫酸濃度はpH1〜5、水セメント比(W/C)を40、55、70%とした。また、配合の単位水量は185kgと仮定したため単位セメント量は460kg、336kgおよび264kgである。
(1) コンクリート表面の侵食量
表4および表5に示した解析条件における硫酸腐食によるコンクリート表面の侵食深さと中性化深さを表6に示す。計算刻みは5日とし解析時間は30年で、30年後の結果である。また、コンクリート表面の侵食深さを算定するときの要素削除条件にエトリンガイトの膨張圧を考慮する場合としない場合について比較した。
コンクリート表面の硫酸濃度がpH1〜3までは水セメント比が大きくなるにしたがって侵食速度は小さくなっている。また、pH1、水セメント比40%の場合、エトリンガイトの膨張圧を考慮した場合、侵食速度はしない場合に比較して1.5倍(13.21/8.31)の速度になっている。
また、pH4,5,6ではコンクリート表面の硫酸による腐食は表れていない。
pHが小さい程(酸性が強い)また、また水セメント比が小さい程コンクリート表面の侵食深さは大きくなる傾向が表れている。水セメント比が小さいコンクリートはコンクリート中の空隙量が小さく、さらに環境からコンクリート内部に浸透した硫酸と反応するセメント水和物が豊富に存在するため、反応生成物の膨張圧等によりコンクリートの侵食深さが大きくなっている。
図10はコンクリート表面の硫酸濃度がpH1で水セメント比が40,55,70%におけるコンクリートの侵食深さで、エトリンガイトの膨張圧の有無により侵食深さが相当異なっている。
水酸化カルシウムの減少量は二酸化炭素および硫酸との反応による減少量を加算したものである。水セメント比が70%、コンクリート表面のpHが2の場合30年で中性化深さが5.1cmに達している。コンクリート標準示方書から計算される中性化深さ1.5cmと比較すると約3.5倍となっている。
コンクリート表面のpHが2の場合、水セメント比が小さい場合はコンクリート表面の侵食が早くなり、水セメント比が大きい場合は中性化が非常に早くなっている。したがって、pHが小さい硫酸環境下ではコンクリートの劣化は表面の侵食が表れなくても中性化が進行している可能性があり鉄筋の発錆によるコンクリートの劣化が予測できる。
また、pH3程度の硫酸環境下では中性化は通常の中性化より若干早くなる傾向が表れている。
なお、Case22,23の場合の計算結果を図12〜15に示した。
以上のように、本発明によれば、コンクリート構造物の劣化を予測計算することができるのである。
次に、コンクリート構造物の表面を補修した場合の劣化予測方法を説明する。
硫酸劣化に対する断面修復の補修方法を図16に示す。表面被覆は前述した方法と同様である。断面修復による補修は侵食されたコンクリート表面からある深さまで既設のコンクリートを撤去しその上に補修材を設ける。また、補修は補修効果を持続させるため補修材により部材断面厚さの変化を考慮できるように設定した。
(1)解析条件
補修した場合の解析条件を表7に示す。既設コンクリートは水セメント比が40%で硫酸はpH1の場合である。また、硫酸腐食に対して、拡散係数は中性化、塩害に比較して重要なパラメータとはならないが、今回の検討では補修材としては既設のコンクリートと同様な材料を適用し拡散係数を既設コンクリートの1/100として設定した。
また、補修は新設時から2年および5年後に行い、1年後の補修は1cm、5年後の補修は3cm全体の部材厚を大きくした。
(2)解析結果
断面修復により補修した場合のコンクリート表面の侵食深さを図17に示す。計算において新設時のコンクリート表面を原点としコンクリート表面から深さ方向を正としているため、負の部分は補修により新設時の部材厚が大きくなったことを意味している。
図17より、補修しない場合は約8年で20cmまでコンクリートが侵食されているが補修を2年および5年で施工すると20年後で約11cmとなっている。
硫酸腐食環境下でのコンクリートの劣化予測を目的として硫酸および二酸化炭素の拡散モデルにエトリンガイト、二水石膏、アルミン酸、水酸化カルシウムおよび珪酸カルシウムとの反応モデルを組み込んだ形で化学的腐食に関する劣化予測モデルを構築した。また、化学的腐食の最も特徴であるコンクリート表面の剥離・剥落は二水石膏およびエトリンガイトの膨張とコンクリート空隙からモデル化した。硫酸環境下での劣化予測モデルから次のことが結論付けられる。
(1)コンクリート表面の硫酸腐食による侵食(剥離・剥落)はコンクリート表面のpHが小さい程、水セメント比が小さい程大きくなる。
(2)(1)の結果は水セメント比とコンクリートの空隙量から水セメント比が小さい程コンクリートの空隙が少なくなること、反応生成物の量が多くなることから類推できる。
(3)pH4以上の硫酸環境化ではコンクリート表面の侵食現象は現れない。
(4)しかしながら、硫酸環境下では水酸化カルシウムの減少から求められる中性化現象は促進され、コンクリート表面には劣化現象は表れないが中性化による鉄筋の発錆による劣化が促進される。
このようにして、本発明によれば、コンクリート構造物の表面を補修した場合の予測計算もできるのである。
Claims (2)
- コンクリート構造物の硫酸腐食環境における劣化の進行を有限要素法により予測計算するコンクリート構造物の劣化判定方法であって、
各要素ごとに、
硫酸と水酸化カルシウムによる硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張と、
硫酸カルシウムと三酸化アルミニウムとによるエトリンガイトの生成反応における体積膨張とを合計し、
合計膨張量が空隙量を越えたとき、
当該要素は浸食されてコンクリート構造物から剥離したものと判定することを特徴とするコンクリート構造物の劣化判定方法。
- コンクリート構造物の硫酸腐食環境における劣化の進行を有限要素法により予測計算するコンクリート構造物の劣化判定方法であって、
各要素ごとに、
以下の手順1−1、1−2、1−3によって硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張率を計算する処理と、
以下の手順2−1、2−2によってエトリンガイトの生成反応における体積膨張率を計算する処理と、
以下の手順3によって、コンクリート構造物から剥離したとみなす要素を判定する処理とを含んでいることを特徴とするコンクリート構造物の劣化判定方法。
手順1−1;珪酸カルシウム濃度と水酸化カルシウム濃度の合計CSTを計算する。
手順1−2;前記合計濃度の初期濃度CS0に対する変化割合
(CS0−CST)/CS0を計算する。
手順1−3;前記変化割合に硫酸と水酸化カルシウムによる硫酸カルシウムの生成 反応における体積膨率eSHを乗算して、硫酸カルシウムの生成反応における体積膨張率を計算する。
手順2−1;アルミン酸三石灰の濃度CATの初期濃度CA0に対する変化割合
(CA0−CAT)/CA0を計算する。
手順2−2;前記変化割合に、硫酸カルシウムと三酸化アルミニウムとによるエト リンガイトの生成反応における体積膨張率eEHを乗算して、エトリンガイトの生成反応における体積膨張率を計算する。
手順3;体積膨張率の合計がコンクリートの空隙率μCSを越えたとき、当該要素は浸食されてコンクリート構造物から剥離したものと判定する。
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