JP2005161846A - 印鑑修復方法および印鑑修復装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 印面の欠損部を修復する。
【解決手段】 印面3の部分的に欠損した欠損部6に必要に応じて補強部材7を接着固定する工程と、欠損部6に硬化性充填材の光硬化充填材10を少し多めの量で塗着して充填する工程と、充填した光硬化充填材10に光エネルギーを照射して光硬化充填材10を硬化させる工程と、硬化した光硬化充填材10の表面を研磨して、欠損部6を欠損する前の元の形状に修復する工程で、実印や銀行印などの印鑑1を修復する。
【選択図】図1

Description

本発明は、実印や銀行印、仕事印などの印鑑の印面の割れ欠けによる欠損部を元の状態に修復する印鑑修復方法および印鑑修復装置に関する。
印鑑の印材は本象牙、黒水牛、本柘、黒檀や瑪瑙、琥珀といった高価なものが多く、また、高価な印材を使って日常生活上に重要視されている実印や銀行印などが製作され、販売されている。特に、実印は人生の節目節目で重要な働きをするもので、高価な印鑑が一生ものとして使用されている。
高価な印材は脆いものが多く、落としたりして衝撃を与えると、特に印面の縁が割れ欠けして欠損することがある。印面縁の欠損部は朱肉が付かず、印面縁の印影に欠けを作り、印影の品位を落とす。このようなことから、印面縁の割れ欠けを抑制する印鑑として、印鑑先端部をキャップで保護することや、印鑑の先端部外周にリングを嵌着することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
実開平7−21359号公報(図1)
先端部をキャップで保護した印鑑は、保管時や持ち運び時には印面縁がキャップで保護されて欠損する心配がないが、キャップを外して捺印などする際に落とすと、印面縁が衝撃を受けて割れたり欠けたりすることがあり、万全ではない。また、印鑑先端部外周にリングを嵌着した印鑑は、机上に置くとリングで印鑑先端が机上より浮き、印面縁が欠損する率が少なくなり、また、印鑑先端部外周に付着した朱肉で机上が汚れる心配がない。しかし、落としたりして印鑑先端に衝撃力が加わると、印面縁が欠損することに変わりない。
一般に、印鑑の特に印面縁の欠損は「欠けた方位が持つ特有の病気になる」「金運が逃げる」などと言われて縁起が悪いとされており、実印や銀行印の印鑑においては印面縁に欠損が生じると廃棄して、新たに作り直しているのが現状である。高価な印鑑を、その極一部の欠損で廃棄して作り直すことは、使用者にとって不経済であり、高価で貴重な天然素材を無駄にすることになる。また、実印などの印鑑は一生ものとして長期に亘り使用するもので、使用者にとっては大きな信頼性、愛着を持った印鑑であり、これを廃棄することには使用者に物損的以上に大きな精神的苦痛をもたらす。
本発明は、かかる印鑑分野の不合理的な実情に鑑みなされたもので、印鑑の印面の欠損発生を抑制するのではなく、印面の欠損発生は仕方ないものとして、印面に発生した欠損部を欠損前の元の形状に修復する方法、特に高度な技術、設備を要することなく修復できる印鑑修復方法と、この方法を使用して印鑑を修復する構造簡単で安価な印鑑修復装置を提供することを目的とする。
本発明方法は上記目的を達成するため、印面3の部分的に欠損した欠損部6を欠損する前の元の形状より大きな形状となる量で硬化性充填材10を充填して硬化させる充填工程と、欠損部6で硬化した充填材10を元の形状になるまで研磨する研磨工程を含む。
ここで、印鑑1は本象牙や黒水牛、チタン、樹脂などの印材の円柱状、角柱状、楕円柱状、中空柱状や、スタンプ形のもので、先端面が刻設などで印面3に成形され、この印面3は外周を一周する印面縁4を含む。印面3の欠損部6は、印面縁4と印面縁で囲まれる文字、模様印面の割れ、欠け、ヒビ、摩耗の部分であり、朱肉を付けても鮮明な印影ができない部分である。この印面欠損部6に充填する硬化性充填材10は、プラスチック製の光硬化充填材、熱硬化充填材、自然乾燥型充填材の他、石膏や粘土、石粉などの粉体を凝固剤、接着剤で混練した複合充填材であり、印鑑の印材の種類や印鑑修復時間、印鑑修復の品質に応じて最適のものを選択することができる。例えば短時間で高品質で印鑑修復に使用する充填材としては、プラスチック製光硬化充填材の例えば虫歯治療などに使用される市販品の光重合型コンポジットレジンが適用できる。この光重合型コンポジットレジンは、光硬化性樹脂に光重合開始剤を混合させたものがコストの面で有利であり、さらに、市販のハロゲンランプや紫外線ランプの光照射で数分内の短時間で十分に硬化する点でも望ましい。
硬化性充填材10の印面欠損部6への充填は、ヘラ塗り、チューブによる吐出塗りなどが適切であり、いずれも印面欠損部6の欠損した体積以上の多めの量で、欠損部6の欠損する前の元の形状より少し大きな形状となるように充填する。硬化性充填材10には、印鑑の印材の色と同色となるよう着色剤、顔料を混合させたり、硬化させたときに印材と同程度の硬度となるような無機添加剤を混合させることができる。
印鑑の印面欠損部6に充填した例えば光硬化充填材10に紫外線ランプなどで光エネルギーを集中的に照射すると、光硬化充填材10がその形状を保持したまま短時間で硬化し、印鑑の印材に強固に固定されて一体となる。この硬化した光硬化充填材10を研磨する工程は、荒研磨工程と仕上研磨工程の2工程で行うが、荒研磨してから荒研磨面を光沢のある平滑面にする光硬化性コーティング剤を塗着するようにしてもよい。
本発明においては、印鑑の印面欠損部6を硬化性充填材10で充填する前に、印面欠損部6を研削で拡大する研削工程を加えることができる。例えば、印面欠損部6が小さな欠けやヒビ割れ程度の小面積部分で、硬化性充填材10を十分な量で充填し難い場合や、充填して硬化させても十分な面積、強度で印面欠損部6に固着しないような場合、この印面欠損部6を研削で拡大して欠損部6の面積を増やし、この拡大した印面欠損部6に硬化性充填材10を充填すれば、十分な固着強度が確保できる。
また、本発明方法においては、印面欠損部6に硬化性充填材10に食い込む補強部材を固定して、この補強部材上に光硬化充填材10を塗着することができる。かかる補強部材は、印面欠損部に接着固定したメッシュ状薄物7や、印面欠損部6に打設又は螺設したピン8が有効である。
ここでの補強部材は、印鑑の印材と硬化した硬化性充填材10の固着強度を増大させるもので、印材の種類と印面欠損部6の形状と大きさに応じた種類、形状のものを選択することができる。メッシュ状薄物7は、金属織物や不織布が適用できる。また、ピン8は歯科治療で使用されるようなドゥエルピンやネジピンが適用できる。
また、本発明方法においては、充填工程と研磨工程の間に、充填工程で欠損部6に充填された充填材10を欠損部6より取外して欠損部6と充填材10の互いに接合される表面をプライマー処理してから、再び欠損部6に充填材10を嵌合させて接着する接着工程を設けることができる。
この場合、欠損部6に充填した充填材10をその表層部が凝固する程度まで半硬化させて、この充填材10を欠損部6から型取り的に取り外し、取り外した充填材10と欠損部6の取り外し直前まで互いに接合していた表面を、その表面の接着性を上げるためのプライマー処理をしてから、双方のプライマー処理した表面に接着剤を塗着して、両表面を重ねて欠損部6に充填材10を接着固定する。このような接着工程を設けると、欠損部6と充填材10の固着強度が高く安定して得られ、印鑑修復の品質が尚一層に良くなる。特に、この接着工程は、熱硬化性充填材や、石膏などからなる混合充填材を使用する場合に有効である。
また、本発明装置は上記目的を達成するため、印面3を露呈させて印鑑1を脱着可能に保持する保持部31を有する基体30と、基体30に相対移動可能に連結され、相対移動時に保持部30に保持された印鑑1の印面3を摺動する研磨体50を具備したことを特徴とする。
ここで、基体30は、固定式の印鑑修復専用台や、印鑑修復する人が作業し易いように印鑑の高さ、姿勢が調整できる可動式の印鑑修復専用台で、この基体30の定箇所に保持部31を備える。保持部31は1本の印鑑を保持する、または、複数本の印鑑を各々の印面を面一に揃えて保持する。また、保持部31は、印鑑1の印面3を露呈させた状態で印鑑1の外周面を把持して印鑑1を定位置に保持し、印面3の修復をし易いようにする。研磨体50は、保持部31で保持された印鑑1の印面3に沿って相対移動して印面3を摺動することで、印面3を研磨するもので、印面3に摺動するサンドペーパー、平面やすりなどを備え、印面3から盛り上がる余分な印鑑修復用充填材10や、印面3に付着した汚れを研磨し、切削して除去する。
本発明においては、基体30の保持部31が、印鑑1の外周面が部分的に嵌合される凹部32と、凹部32と反対側の印鑑外周面を押圧して印鑑1を凹部32とで挟持する押え部33を備えた構造とすることができる。
ここでの基体30の凹部30は、印鑑1の外周の略半分が嵌合されるV形溝や角溝の凹溝で、円柱状印鑑や角柱状印鑑などの形状、サイズの大小異なる様々な印鑑が嵌合される。この凹部30とで印鑑1を挟持する押え部33は、印鑑1に当接させた押え板をねじの締め込みで印鑑に押し付ける締め込み機構や、印鑑1を凹部30に向けてばね板で附勢する附勢押圧機構が適用できる。
本発明においては、基体30の保持部31が、印鑑1の印面縁4外周に沿う可撓性当て板34を備えた構造とすることができる。さらに、当て板34に当て板34を印鑑1の外周方向に附勢するばね材41を連接した構造とすることができる。
ここでの可撓性当て板34はばね鋼板のような薄板で、直接に印鑑1の外周面に沿って押し付けられ、当て板34の端面が印鑑1の印面縁4の外周に沿う。そのため、当て板34に沿う印面縁4の箇所に仮に欠けた欠損部6があると、この欠損部6が当て板34で囲まれた形となり、欠損部6に充填した修復用充填材10が印鑑外周面に流出しようとしても当て板34で阻止されて、印鑑外周面に充填材が付着しなくなる。また、当て板34をばね材41で附勢することで、当て板34を各種サイズの印鑑1の外周に常に正常に密着させて沿わせることができる。
本発明方法によれば、印鑑の印面欠損部が硬化性充填材の充填と硬化、研磨で良好な仕上げで修復できて、印鑑業界に次のシステムを採用することが可能となる優れた効果がある。
印鑑の修復は、市販品の硬化性充填材と、これを硬化させる市販品のランプ装置などと、研磨軸などを回転させるだけの簡単な研磨機を用意し、多少の研磨技術を収得すればできるので、一般の印鑑販売者にも印鑑修復ができて、印鑑が修復できるといった概念を世間に普及させることが容易になる。印鑑の購入者は、取り扱い時に印面に欠損が生じても、修復できることから安心して購入することができ、この安心感は特に高価な印鑑の購入時に大きい。光硬化充填材を使用すれば印面欠損が生じた印鑑を数10分程度の短時間で修復することができるので、修復依頼者は長時間預けることなく短時間待つだけで修復された印鑑を受け取ることができ、重要な実印であっても安心して修復を依頼することができる。印鑑の販売者は、修復ができることから保障期間を設けて、販売数を増やすことができる。印鑑業界においては、今まで売りっぱなしになっていた印鑑にアフターメンテナンスという今までになかった概念を導入することができ、印鑑の修復費用で収益を上げることができる。印鑑を修復することで破棄される印鑑が減少して、象牙などの貴重な天然資材の消費無駄を低減させること、また、貴重な天然資材を大切にするといった通念を広く世間に普及させることができる。
本発明装置によれば、印鑑を基体の保持部に位置決め保持して印面を修復する作業が容易になり、また、基体に連接した研磨体を手動操作することで印鑑の印面全体の研磨が一括して短時間で行うことができて、実用性と信頼性の高い印鑑修復装置が提供できる。また、基体の保持部に当て板を設けることで、修理される印鑑の外周面に修復用充填材が付着する心配がなくなり、印鑑修復の作業性と品質を改善することが容易になる。
以下、本発明方法の実施の形態を図1〜図4を参照し、本発明装置の実施の形態を図5〜図8を参照して順に説明する。
図1(A)〜(D)と図2(A)〜(D)は、印鑑1の修復過程を示す斜視図と部分断面図を示している。印鑑1は円柱状の本体2の先端面が印面3である。印面3は、例えば「山川」の文字が刻設され、円形の印面縁4で囲まれる。図1(A)には、印面縁4の一部が欠けた欠損部6が示される。欠損部6は、図2(A)に示すように印面縁4の欠けが本体2まで達する大きなもので、これを図1(B)の補強工程、(C)の充填工程、(D)の研磨工程で修復する。
図1(B)の補強工程において、印面3の部分的に欠損した欠損部6に補強部材7を接着固定する。補強部材7は目の荒い硬質の金属メッシュ、不織布が有効で、図2(B)に示すように欠損部6の底面に沿うようにして、図示しない接着剤で接着する。接着剤は市販の瞬間接着剤、又は、後述する光硬化充填材と同質の光硬化接着剤が好適である。
図1(C)の充填工程において、補強部材7の上から欠損部6に硬化性充填材、例えばプラスチック製光硬化充填材10を欠損部6の体積に応じた適量を塗着して充填する。光硬化充填材10は、市販品の光重合型コンポジットレジンが望ましい。ここでは、充填した光硬化充填材10が、欠損部6の欠損する前の元の形状より少し大きな形状となるような量で充填することが重要である。このような充填は、多少の修練を経れば素人でもできるようになる。光硬化充填材10の充填を完了すると、短時間内に図2(C)に示すように紫外線ランプなどのランプ装置20で光硬化充填材10に光エネルギーを照射して光硬化充填材10を硬化させる。この場合、光硬化充填材10の材質、光エネルギーの種類(紫外線、可視光線)と波長によって、光硬化充填材10の硬化速度、保存安定性が選択できる。光重合型コンポジットレジンの光硬化充填材10を市販の紫外線ランプの紫外線を照射すると、10分程度で十分な強度まで全体が硬化する。硬化した光硬化充填材10の底部にメッシュ状補強部材7が食い込んで、光硬化充填材10が印鑑本体2に強固に安定した状態で固定され、一体化される。
図1(D)の研磨工程において、硬化した光硬化充填材10の表面を市販の研磨機(図示せず)、または、後述する図5の印鑑修復装置の研磨体50で研磨して、図2(D)の断面図に示すように欠損部6を欠損する前の元の形状に修復する。この研磨は、印面の刻印に使用される研磨軸を使用すれば、通常の刻印技術をもって実行可能であり、研磨量が少ないことから10分程度の短時間で可能である。また、研磨量が多くなる場合は、荒研磨してから仕上研磨することが望ましい。
図1(D)に示す印鑑1の印面縁4は、見た目に欠損部6が分からないまでに修復される。特に、印面3に朱肉を付けて印影を見ると、印面縁4の印影が全く元の印影と同じであることが実証できた。また、通常の物品欠損部の修復箇所が、再度欠損しやすいといったことが多くあるが、本発明方法で修復した印鑑においては、修復箇所が他の箇所より強固となって、他の箇所より欠損し難くなる。
次に、本発明方法の他の実施の形態を図3(A)、(B)と、図4(A)〜(D)に基づき説明する。
図3(A)は、補強工程の別の形態を示すもので、欠損部6に露呈する印鑑本体2に補強部材のピン8を打ち込み、ピン8の頭部を欠損部6の中央部分に突出させておく。この欠損部6に図3(B)に示すように光硬化充填材10を充填し、光照射で硬化させてから、研磨して欠損部6を元の形状に修復する。このようにしても硬化した光硬化充填材10にピン8が食い込んで、印鑑本体2との結合力が強化され、補修部分が後で脱落したり欠損する虞がなくなる。このようなピン8は、図1(B)に示すメッシュ状補強部材7と共に欠損部6に使用してもよい。
図4は、印鑑1の印面縁4に小さな欠損部6ができた場合の修復方法を説明するものである。図4(A)と図4(B)に示すように、印面縁4に本体2に達しない小さな欠損部6ができた場合、この欠損部6でも印影に欠けを生じさせるので修復することが望ましい。そこで、印面欠損部6に光硬化充填材を充填する前に、図4(C)に示すように小さな印面欠損部6を研削で本体2に達する大きさに拡大する(研削工程)。その後、図4(D)に示すように拡大した欠損部6に光硬化充填材10を充填し、光硬化させたから研磨する。このようにすれば、始めの欠損部6が小さくて光硬化充填材の確実な充填が難しくても、拡大することで確実な充填が容易にできるようになり、信頼性のよい印鑑修復ができるようになる。
以上の実施の形態における硬化性充填材である光硬化充填材は光エネルギーの照射で短時間で十分な強度に硬化することから、実印や銀行印のような印鑑の修復に適する。また、硬化性充填材に熱硬化プラスチックを使用しても、短時間で硬化するので実印や銀行印の修復に適する。
また、硬化性充填材に自然乾燥型プラスチックの充填材や、石膏などの複数種類の粉体の混合充填材を使用して印鑑修復する場合は、充填材が十分に硬化するまでに数時間以上を要することがある。このような硬化時間の長い充填材の場合は、印鑑の欠損部に充填した充填材を半乾燥させて、欠損部から取り外し、乾燥させながらプライマー処理して接着剤で接着するようにすれば、修復時間を短縮させることができる。かかる硬化時間の長い充填材は、印鑑修復する業者に預けても問題とならない認印のような印鑑において有効である。
次に、図5〜図8に示す印鑑修復装置を説明する。
図5に示す印鑑修復装置は、図5鎖線で示す印鑑1を所望する姿勢で着脱自在に保持する基体30と、基体30に保持された印鑑1の印面を一括して研磨する研磨体50で主要部が構成される。基体30は、印鑑修復する人が作業し易いように印鑑の高さ、姿勢が調整できる可動式の印鑑修復専用台で、所定箇所に保持部31を有する。保持部31に適宜に1本の印鑑1が位置決めしてセットされる。保持部31は、印鑑1の印面3を露呈させた状態で印鑑1の外周面を把持して印鑑1を定位置に保持する。研磨体50は、保持部31で保持された印鑑1の印面3に沿って相対移動して印面3を摺動することで、印面3を研磨する。研磨体50は、基体30に支軸65で揺動回転可能に連結された矩形平板状の揺動体51と、揺動体51の裏面に張設された平坦なサンドペーパー52を有し、サンドペーパー52が印鑑1の印面3を摺動して研磨する。
基体30の保持部31の具体例を図6に示すと、保持部31は、矩形の第1ブロック30aの上面に門形の第2ブロック30bを連接した構造で、第1ブロック30aの上面中央にV形溝の凹部32が形成され、第2ブロック30bの門形内の空間nに押え部33が第1ブロック30aに接近離反する方向で往復動可能に配置される。第1ブロック30aの上面に凹部32を横切る方向で薄いばね鋼板の当て板34が設置される。押え部33は、第2ブロック30bに螺装されたジャッキボルト36の先端に連結された押え板35を備える。ジャッキボルト36は、第2ブロック30bから突出する後端部に回転操作用のハンドル部材37を有し、ハンドル部材37でジャッキボルト36を正逆回転させると押え板35が空間nを上下に平行移動する。
当て板34は、図6で左右に長い帯板であり、凹部32を横切る部所34bの端面が凹部32の端面に面一に揃えてある。当て板34の図6の左端部34aが直角に屈曲され、この屈曲端部34aが第1ブロック30aの側面にビス止めされる。当て板34の図6の右端部34cが第1ブロック30aの上面から側方に延在して、その先端がばね材41とリンク42を介して調整ねじ43に連結される。調整ねじ43は、第1ブロック30aと第2ブロック30bの側面に固定した円筒状のキャップ45の先端部に固定した固定ナット44に螺装される。当て板34は常時は図6に示すように直線状に張設された状態にあり、ばね材41で図6の右方向に附勢される。
第2ブロック30bと研磨体50が共通の支軸65の先端部に回転可能に連結される。支軸65は、図5に示すような長尺な丸棒で、基端部が固定台60の固定柱62に連結ブラケット63を介して連結される。連結ブラケット63は、2種のブラケットを連結したもので、止めねじ64、65を緩めることで支軸65が図5の矢印で示すように上下平行移動と上下に揺動して、基体30の高さ、角度が任意に調整され、止めねじ64、65を締め付けると基体30が調整された高さ、角度で固定されて、後述する印鑑修復の作業が行われる。なお、固定台60は作業台61上を移動可能にしてあり、作業台61によっては固定台60に永久磁石を内蔵させて作業台61上の任意の位置に安定して取付けられるようにしてある。
研磨体50は、支軸65を支点にして各ブロック30a、30bの前面に沿って揺動する。この揺動は、揺動体51の前面に突出させた回転用つまみ53を使って手動で行われる。揺動体51の裏面にサンドペーパー52が張設され、サンドペーパー52の両端部が揺動体51の前面側に折り返されて固定用ばね部材54で着脱可能に連結される。図7の鎖線矢印で示すように研磨体50を揺動させると、サンドペーパー52が凹部32の前面近くを相対移動して、凹部32に位置決め固定された印鑑1の印面3を研磨する。
次に、上記の印鑑修復装置による印鑑修復の動作を説明する。
図6の状態で凹部32に印鑑1をセットする。凹部32を横切る当て板34に印鑑1の先端部側面を押し当て、印鑑1で当て板34を凹部32に押し込む。当て板34をばね材41の引張力に抗して凹部32へと変形し、印鑑1の外周面に密着する。前後してハンドル部材37でジャッキボルト36を正回転させて押え板35を下げ、当て板34を介して凹部32に嵌合させた印鑑1に押し付ける。図7に示すように、印鑑1は凹部32のV形面に押え板35で押し付けられて位置決めされる。
なお、凹部32にセットされる印鑑1の形状、サイズが変更されても、ばね材41が当て板34を余裕を持って引っ張るために、当て板34は常に印鑑の外周面に沿う変形をして、印鑑を凹部32に正確に位置決めする。また、印鑑が角柱状の場合でも印鑑外周の1つの角部が当て板34を逆V形に変形させて凹部32に嵌合され、位置決めされる。
図8(A)は図7の段階の印鑑セット時のもので、修復される印鑑1が例えば印面縁4の一部に欠損部6がある場合、この欠損部6が図7の段階で当て板34で囲まれる部位になるようにしておく。印鑑先端部の印面縁4の外周に当て板34が沿って円弧状に変形し、この変形部位34bが印面縁4の外周面に密着して欠損部6を囲う。欠損部6で欠損した印鑑外周面のところに当て板34の内面が位置し、欠損部6で欠損した印面縁のところに当て板34の先端面が面一に位置して、欠損部6が当て板34の先端一部の部位34bで囲まれる。この欠損部6の底には必要に応じて補強部材7を設置するようにしてもよい。図7と図8(A)に示される印鑑1は、図1(B)の段階の印鑑に相当する。
図8(A)のように印鑑セットが行われると、充填材塗着と充填材研磨の各動作が行われる。まず、図8(B)に示すように欠損部6に充填材10を多めの量で塗着する。この場合、欠損部6が当て板34で囲まれているので、欠損部6の体積より少し多めの量の充填材10を塗着すればよい。また、欠損部6の近くの印鑑外周面が当て板34の密着で被覆されているので、欠損部6に充填した充填材10が印鑑外周面に流れて付着する心配がない。その結果、欠損部6に必要量の充填材10のみを充填する作業が容易となり、高価な充填材を余分な量で充填するといった経済的無駄がなくなる。かつ、必要量の充填材10の充填が当て板34の存在で容易となり、充填工程の作業性が改善できる。なお、充填材10を当て板34を乗り越えない程度に塗着するのが望ましいが、当て板34を多少乗り越えて塗着しても、印鑑外周面に付着しないので問題はない。
なお、印鑑の外周面に修復用充填材が付着することの最大の問題は、この付着した充填材を後で研磨、研削して除去する際に印鑑外周面を傷付ける虞があることである。高価な印鑑を修復する際に、印鑑外周面を傷付けては修復の信頼性を損なうことになるが、上記のように当て板を印面縁の欠損部に当てておけば、印鑑外周面に修復用充填材が付着する心配がなくて、修復の信頼性を得ることができる。
図8(B)の充填工程が終了すると、充填材10の硬化を待って、次の研磨工程に移行する。この研磨工程は、図8(C)に示すように、研磨体50を手動で揺動させて、サンドペーパー52を印鑑1の印面3に沿って相対移動させ、サンドペーパー52のサンド面を印面3に平行に摺動させる。この動作を研磨体50の往復揺動で繰り返し行うと、印面3から突出する充填材10の不要部分が研磨除去される。また、同時に印面3に付着していた汚れなども綺麗に除去される。この印面研磨は、印面3の全域に対して同時に行われるので、印面研磨が短時間で能率よく行われる。図8(C)の印面研磨の後、市販の研磨機などを使用して欠損部6に残った充填材10の不要部分を除去して欠損部を欠損する前の元の形状に修復する。
上記印鑑修復装置においては、印鑑修復時に印鑑1が基体30に修復し易い姿勢で、かつ、強固に固定されているので、印鑑修復後に印面を掃除したり、例えば機械彫りされた印面を手彫り風にアレンジしたり、印面名の画数変更の作業を行うことも容易となる。
(A)〜(D)は印鑑の修復過程を示す斜視図である。 (A)〜(D)は図1(A)〜(D)の印鑑の印面欠損部での拡大断面図である。 (A)、(B)は他の印鑑修復の過程を示す印面欠損部の断面図である。 (A)は他の印面欠損部を示す印鑑の部分斜視図、(B)〜(D)は印鑑の修復過程を示す印面欠損部の断面図である。 印鑑修復装置の実施の形態を示す側面図である。 図5装置における基体と研磨体の部分断面を含む正面図である 図6の部分の印鑑セット時の正面図である。 (A)〜(C)は、図7の印鑑の各修復過程での部分拡大断面図である。
符号の説明
1 印鑑
2 印鑑本体
3 印面
4 印面縁
6 欠損部
7 補強部材、メッシュ状薄物
8 補強部材、ピン
10 硬化性充填材、プラスチック製光硬化充填材
30 基体
31 保持部
32 凹部
33 押え部
34 当て板
41 ばね材
50 研磨体
52 サンドペーパー

Claims (9)

  1. 印面の部分的に欠損した欠損部に、欠損する前の元の形状より大きな形状となる量で硬化性充填材を充填して硬化させる充填工程と、前記欠損部で硬化した充填材を前記元の形状になるまで研磨する研磨工程と、を含むことを特徴とする印鑑修復方法。
  2. 前記印面欠損部を拡大する研削工程を前記充填工程の前工程に設けたことを特徴とする請求項1記載の印鑑修復方法。
  3. 前記充填工程の前に、印面欠損部に硬化性充填材に食い込む補強部材を固定する補強工程を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の印鑑修復方法。
  4. 前記充填工程と研磨工程の間に、前記充填工程で欠損部に充填された充填材を欠損部より取外して欠損部と充填材の互いに接合される表面をプライマー処理してから、欠損部に充填材を嵌合させて接着する接着工程を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の印鑑修復方法。
  5. 前記印面欠損部が印面縁の割れ欠けで、この印面縁の欠損部をプラスチック製の光硬化性充填材又は熱硬化性充填材で修復することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1記載の印鑑修復方法。
  6. 印面を露呈させて印鑑を脱着可能に保持する保持部を有する基体と、この基体に相対移動可能に連結され、相対移動時に前記保持部に保持された印鑑の印面を摺動する研磨体とを具備したことを特徴とする印鑑修復装置。
  7. 前記基体の保持部が、印鑑の外周面一部が嵌合される凹部と、印鑑の前記凹部と反対側の外周面一部を押圧して印鑑を凹部とで挟持する押え部を備えることを特徴とする請求項6記載の印鑑修復装置。
  8. 前記基体の保持部が、印鑑の印面縁外周に沿う可撓性当て板を備えることを特徴とする請求項6記載の印鑑修復装置。
  9. 前記当て板に当該当て板を印鑑の外周方向に附勢するばね材を連接したことを特徴とする請求項8記載の印鑑修復装置。
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