JP2005161247A - 電解法によるシアン化合物除去方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】陽極4a及び陰極4bの両方にアルミニウムイオンが主として溶出する電極を使用した電解槽2にシアン化合物を含有する被処理液1を供給し、電極4a,4b間に通電すると共に表面に浮上した物質5を除去することによりシアン化合物を除去する電解法によるシアン化合物除去方法で、被処理液1にシアン化合物と反応して塩を析出する金属イオンを添加した状態で、そして/又は、被処理液1にカチオン系界面活性剤を添加した状態で電極4a,4b間に通電する。
【選択図】 図1
Description
しかし、特に、鉄等と安定なシアン錯化合物を含む被処理液からシアン化合物を除去する場合、上記のような電解酸化法でシアン錯化合物を分解することは非常に困難であり、実質的に使用不可能である。
しかしながら、凝集沈殿法を用いる場合、薬剤添加量が多く薬品代が高くつく、薬剤を添加するために多量の汚泥が発生する、攪拌が必要なために騒音が発生する、といった問題があった。また、大規模な設備が必要となるため、狭い場所で発生する被処理液や、短期間に少量だけ発生する被処理液には適用するのが困難であるという問題があった。
この特許文献に記載された電解による浮上分離法によれば、通常、シアン化合物、特に、鉄等の金属との錯体を形成しているシアン化合物は、鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオンなどと安定な塩を生成することが知られており、被処理液中のシアン化合物を除去するに際し、前記のような金属イオンを添加し、塩として析出させて分離しようとするもので、鉄を溶出する電極を陽極として使用することが提案されている。
そして、上記特許文献に記載されているように、鉄を溶出する電極を陽極として用いてシアン化合物を含む被処理液の処理を試みたところ、被処理液中のシアン化合物は除去できたものの、生成した析出物が浮上せず、被処理液下部に沈降してしまうため、析出物の分離が困難であるという問題が明らかになった。
さらに、アルミニウムを溶出する電極を陽極として用いることにより被処理液中のシアン化合物を除去することを試みたところ、析出物が浮上し、シアン化合物もかなり除去できたが、ごく低濃度までシアン化合物を除去することが困難であるという問題が明らかになった。
すなわち、単に、アルミニウムを溶出する電極を用いるだけでは、低濃度までシアン化合物を除去することが困難であり、その理由は、シアン化合物とアルミニウムで生成される塩が不安定であるためと予想した。そして、安定した析出物を得るため、シアン化合物と反応して安定した塩を析出する金属イオンを添加したところ、後述する実験結果からも明らかなように、シアン化合物の除去率が向上することが確認された。
そして、その析出した金属シアン化合物は、アルミニウムイオンが生成するフロック及び電極において発生する気泡に付着されて、被処理液の水面へ確実に浮上するので、シアン化合物を非常に低濃度になるまで除去でき、有害なシアン化合物を含有する排水の処理を効率よく行うことができる。
そして、その結合物は、上述したように、アルミニウムイオンが生成するフロック及び電極において発生する気泡に付着され、さらには、界面活性剤に付随して、被処理液の水面へ確実に浮上するので、シアン化合物を非常に低濃度になるまで除去でき、有害なシアン化合物を含有する排水の処理を効率よく行うことができる。
そして、その金属シアン化合物や結合物は、上述したように、アルミニウムイオンが生成するフロック及び電極において発生する気泡に付着され、かつ、界面活性剤に付随して、被処理液の水面へ確実に浮上するので、シアン化合物を非常に低濃度になるまで除去でき、有害なシアン化合物を含有する排水の処理を効率よく行うことができる。
本発明に係る電解法によるシアン化合物除去方法は、シアン化合物を含む被処理液からシアン化合物を浮上させて除去するもので、例えば、バッチ式に処理する場合には、図1に示すような電解処理装置が、また、連続式に処理する場合には、図2に示すような電解処理装置が使用される。
そして、電解槽2内の被処理液1に金属イオンを添加する金属イオン添加手段6と界面活性剤を添加する界面活性剤添加手段7が備えられ、電解により被処理液1の表面に浮上した浮上物質5を除去することにより、被処理液1中のシアン化合物を除去するように構成されている。
なお、金属イオン添加手段6と界面活性剤添加手段7に関しては、いずれか一方の添加手段のみを設けることも、両方の添加手段を設けることも可能である。
ただし、この連続式電解処理装置では、電解槽2の下方に被処理液1を連続的に供給する被処理液供給手段8が連通接続され、その被処理液供給手段8に対して金属イオン添加手段6と界面活性剤添加手段7が接続されていて、被処理液供給手段8を通流する被処理液1に金属イオンと界面活性剤を添加供給するように構成されている。もちろん、この連続式電解処理装置においても、金属イオンと界面活性剤のいずれか一方のみを添加供給するように構成することができる。
浮上物質除去手段11としては、例えば、浮上物質5を掻き集めるレーキのようなものが適用可能であるが、殊更、特別な除去手段を設けることなく、浮上物質排出路9からのオーバーフローによって自然に除去するように構成することもできる。
なお、この連続式電解処理装置においては、電解槽2内に陽極4aと陰極4bからなる電極が複数対配置され、必要に応じて、浮上物質5を上方へ案内する複数枚のガイド板12なども設けられている。
そして、金属イオン添加手段6から被処理液1に添加される金属イオンは、シアン化合物と反応して塩を析出する金属イオンであれば何でもよいが、鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオン、金イオンのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
また、界面活性剤添加手段7から被処理液1に添加される界面活性剤は、カチオン系界面活性剤であり、カチオン系界面活性剤の中でも、特にセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)が好ましい。
その界面活性剤の添加量は、事前実験により最適濃度を決定すべきであるが、例えば、10〜100mg/Lの濃度となるように添加するとよい。
その電解質や酸性物質の添加時期は、被処理液1を電解槽2へ供給する前後のいずれでもよく、また、ポンプ等の供給手段により自動的に供給し、あるいは、pH自動調整装置によりpHを自動調整しながら供給するなど、種々の添加時期や添加方法を適宜選択して実施することができる。
また、電解槽2における被処理液1の滞留時間は、事前実験により最適な滞留時間を決定すべきであるが、例えば、2〜60分とするのがよい。
さらに、本発明方法は、被処理液1の発生量が少なく、大規模な水処理設備の設置に適さない条件での利用に適しており、例えば、短期間の工事期間中に発生する工事排水の処理や、毎日少量ずつ地下水を揚水して地下水の浄化を行う場所で利用するような場合に非常に有効である。
そして、電解処理した後の処理液は、そのまま排出することもできるが、電解処理によりpHが高くなる場合があり、通常は排出液のpHに関する規制が存在するため、処理液のpHが規制を満足するようにpH調整した後に排出するのが望ましい。
また、浮上物質5についても、上述したシアン化合物が含まれている可能性が高いため、脱水等の減容化措置を施した後、産業廃棄物として廃棄するか、焼却してシアン化合物を無害な形態に分解するのが望ましい。
以下の実施例において、被処理液としては、水道水にフェロシアン化カリウムを0.064mmol−CN/Lとなるように添加した試料水を使用し、特に記載のない場合は、電解質として塩化ナトリウムを3.4mmol/Lとなるように添加したものを用いた。また、特に記載のない場合、初期pHは7.6とする。
実験は、1L容のビーカーに試料水1Lを入れ、アルミニウム電極を幅5cm、深さ6cmだけ試料水に接触させ、30℃の温度で行った。電流値は0.2Aにして電解処理し、電解処理後、遠心分離によって固液を分離し、溶液中の全シアン濃度を測定した。
その溶液中の全シアン濃度は、JIS−K0102「工場排水試験方法」38.1.2全シアン(pH2以下で発生するシアン化水素)に従って蒸留し、全自動シアン測定装置(アナテック・ヤナコ製T−CN501)を使用して、38.4イオン電極法に従い定量した。
図3の結果から、硫酸第一鉄を0.032mmol/L添加すると、添加しない場合と比較してシアン化合物除去効率が約2倍に上昇し、0.128mmol/L添加すると10倍以上に上昇することが明らかとなった。
以上の結果から、鉄イオンを添加して処理することにより、シアン化合物除去効率が大幅に向上することが明らかとなった。
この図4の結果から、アニオン系及びノニオン系の界面活性剤は添加することにより添加しない場合と比較してシアン化合物除去効率が若干低下するのに対して、カチオン系界面活性剤は添加することによりシアン化合物除去効率が上昇することが明らかとなった。
以上の結果から、シアン化合物の除去を目的として電解処理する場合には、カチオン系界面活性剤を添加することにより除去効率を向上させることができるが、アニオン系及びノニオン系の界面活性剤を添加するとむしろ除去効率が低下することが明らかとなった。
この図5の結果から、CTAB添加量が増えるとシアン除去効率が上昇することが明らかとなった。
この図6の結果から、pHが低いほどシアン除去効率は高くなることが明らかとなった。
2 電解槽
3 電源
4a,4b 電極
5 浮上物質
6 金属イオン添加手段
7 界面活性剤添加手段
Claims (10)
- 陽極及び陰極の両方にアルミニウムイオンが主として溶出する電極を使用した電解槽にシアン化合物を含有する被処理液を供給し、前記電極間に通電すると共に表面に浮上した物質を除去することにより前記被処理液中の前記シアン化合物を除去する電解法によるシアン化合物除去方法であって、
前記被処理液に前記シアン化合物と反応して塩を析出する金属イオンを添加した状態で前記電極間に通電する電解法によるシアン化合物除去方法。 - 前記金属イオンが、鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオン、金イオンのうちの少なくとも1種である請求項1に記載の電解法によるシアン化合物除去方法。
- 陽極及び陰極の両方にアルミニウムイオンが主として溶出する電極を使用した電解槽にシアン化合物を含有する被処理液を供給し、前記電極間に通電すると共に表面に浮上した物質を除去することにより前記被処理液中の前記シアン化合物を除去する電解法によるシアン化合物除去方法であって、
前記被処理液にカチオン系界面活性剤を添加した状態で前記電極間に通電する電解法によるシアン化合物除去方法。 - 前記カチオン系界面活性剤がセチルトリメチルアンモニウムブロミドである請求項3に記載の電解法によるシアン化合物除去方法。
- 陽極及び陰極の両方にアルミニウムイオンが主として溶出する電極を使用した電解槽にシアン化合物を含有する被処理液を供給し、前記電極間に通電すると共に表面に浮上した物質を除去することにより前記被処理液中の前記シアン化合物を除去する電解法によるシアン化合物除去方法であって、
前記被処理液に金属イオンとカチオン系界面活性剤を添加した状態で前記電極間に通電する電解法によるシアン化合物除去方法。 - 前記被処理液のpHを7以下に制御した状態で前記電極間に通電する請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解法によるシアン化合物除去方法。
- 前記被処理液のpHを5.5以下に制御した状態で前記電極間に通電する請求項6に記載の電解法によるシアン化合物除去方法。
- 前記シアン化合物が無機シアン化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解法によるシアン化合物除去方法。
- 前記無機シアン化合物が金属シアン錯体である請求項8に記載の電解法によるシアン化合物除去方法。
- 前記金属シアン錯体が鉄シアン錯体である請求項9に記載の電解法によるシアン化合物除去方法。
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