JP2005154413A - 膜透過性物質の膜透過の制御方法及び膜透過性物質のスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
膜透過性物質の膜の透過性を簡便に調整する方法および膜透過性物質を簡便にスクリーニングする方法を提供する。
【解決手段】
膜と膜透過性物質が接触する局所における膜の曲率を変化させることを含む、膜透過性物質の膜の透過性を制御する方法。本発明はまた被検物質を添加し、その添加の前後における膜の曲率変化及び/又は相変化を検出することによる、膜透過性物質のスクリーニング方法を用いる。
【選択図】 図8
膜透過性物質の膜の透過性を簡便に調整する方法および膜透過性物質を簡便にスクリーニングする方法を提供する。
【解決手段】
膜と膜透過性物質が接触する局所における膜の曲率を変化させることを含む、膜透過性物質の膜の透過性を制御する方法。本発明はまた被検物質を添加し、その添加の前後における膜の曲率変化及び/又は相変化を検出することによる、膜透過性物質のスクリーニング方法を用いる。
【選択図】 図8
Description
本発明は、膜透過性物質の膜の透過性を制御する方法に関する。さらに詳しくは、膜の曲率を変化させることにより、膜透過性物質の膜の透過性を制御する方法に関する。
また、本発明は、膜透過性物質をスクリーニングする方法に関する。さらに詳しくは、被検物質を添加した場合の、膜の曲率の変化および/または膜の相変化を検出することにより、被検物質の膜の透過性を評価し、膜透過性物質をスクリーニングする方法に関する。
生体膜等の膜は、膜で囲まれた内側の正常な生体機能等を発揮できるように、膜の内側と外界を隔てる役割を有する。そして、これらの膜は単に内側と外界を隔絶するのではなく、例えば細胞膜であれば、細胞外との物質、情報およびエネルギーの交換や各種代謝反応を行うための装置を備えている。例えば、細胞膜には特異的な輸送体や受容体が存在し、これらの働きで必要な物質の選択的な取り入れや各種代謝産物の排出が行われている。
ところが近年、これらの特異的な輸送体や受容体によらず、細胞膜等の膜を透過する水溶性の膜透過性物質が知られるようになった。これらの膜透過性物質としては、グアニジノ側鎖、アミジノ側鎖、またはアミノ基を複数個有するペプチド等があり、これらの膜透過性物質を薬剤等と組あわせて、薬剤等とともに生体膜を透過させる、ドラッグデリバリーへの応用が提案されている(特許文献1〜3参照)。
特表2002−502376号公報
特表2003−501393号公報
特表2003−507438号公報
しかし、これらの膜透過性物質として現在知られているものの数は少なく、その利用範囲には制限がある。また、これらの膜透過性物質の透過性を制御するには、膜透過性物質の濃度や適用時間、さらには膜透過性物質そのものの構造を変えることが必要であった。しかし、これらの濃度や適用時間は、透過させる薬物の物性によっては自由に変えることができない場合が多く、さらに膜透過性物質の構造を適用する薬剤の物性にあわせて変更するのは容易でなく、ドラッグデリバリー等に応用するには、簡便な透過度合いの制御方法が求められている。
一方、新規な膜透過性物質を探索することも、透過させる薬剤の透過性制御に有用であるが、こういった膜透過性物質をスクリーニングするための有効な方法は知られておらず、実際に膜を透過させて確認することが必要であった。即ち、透過性物質受容側における被検物質の存在や濃度をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて測定することや、被検物質の一部を放射性同位体元素に置き換えてその放射線を検出すること、また被検物質に蛍光物質を結合させて蛍光強度を測定することなどが必要である。しかし、これらの方法はいずれも煩雑であり、また被検物質の物性によっては、これらの方法を適用できない場合もある。
したがって、膜透過性物質を簡便にスクリーニングする方法が求められていた。
本発明者らは、上記の膜透過性物質の膜透過のメカニズムを解析した結果、次のようにして膜の透過が起こることを解明した。
一般に両親媒性物質(界面活性剤)の自己組織化により生成するミセルやヘキサゴナル、キュービック、ラメラなどの高次構造体は、両親媒性物質の構造および組成、濃度、添加物質の種類と量、温度などに依存する、平衡系での安定構造として規定される。生体膜を含む本発明にかかる膜も両親媒性物質から構成されるラメラ相であり、平衡状態として安定構造を保っている。
通常相平衡系ではラメラ液晶相とキュービック液晶相(V1相)の相違は、パッキングパラメータとして表現される膜を構成する両親媒性物質の親水部と疎水部の幾何学的割合、即ち膜の曲率によって決定されることが理論として確立され、種々の系で実証されている。さらに膜の曲率がゼロのラメラ液晶層に、物質の添加や環境の物理的変化で曲率を正(膜の外側の水溶液相に対し凸)となる条件を与えると、親水基を外側としたキュービック液晶相(V1相)に相転移し、曲率を負(膜の外側の水溶液に対して凹)となる条件を与えると逆方向の疎水基を外側とするキュービック液晶層(V2相)に相転移することが知られている(図1)。ここで、ラメラ液晶相からキュービック液晶相への相変化はわずかな曲率変化で起こり、その相転移に必要なエネルギーは非常に小さい(國枝博信、荒牧賢治、オレオサイエンス,1,179(2001);國枝博信・坂本一民、第6版化学便覧応用化学編II 日本化学会編 丸善株式会社19.4界面活性剤、p−1019(2003))。
ここで、ラメラ相からの転移で生成するキュービック相(V1相およびV2相)は両連続型である。すなわち水相(親水基相)または油相(疎水基相)は系全体にわたって3次元的につながっていて、両相は両親媒性脂質膜で隔てられた構造を有する。このようなキュービック相は結晶学的に分類された表面積を極小とするような3次元周期構造を持ち、生体関連の各種膜組織における存在が確認されている(K.Larsson J.Phys.Chem.1989,93,7304−7314)。
生体膜のような内側と外側を区分するラメラ相である2分子膜において部分的に生じた曲率変化を解消するモデルとしてキュービック相の表面積最小化のための孔を持つメッシュ型と称するモデルが提唱され、モデル脂質系での存在が認められている(図2)(S.T.Hyde,G.E.Schroder,Current Opinion in Colloid Interface Science,8(2003)5−14)。しかしながら、平衡系での多孔化は膜の隔離機能を損なうこととなるため、Larssonはこの問題を回避するモデルを提唱した(図3)。この場合局所的に生じたキュービック相の穴を、親水側の大きい膜タンパク質がふさいで安定化している(K.Larsson J.Phys.Chem.1989,93,7304−7314)。これは、膜にすでに存在するタンパク質による膜の物質透過制御にかかわる重要な機構であって、外水溶液中に溶解している本発明の膜透過物質の透過機構にはあてはまらない。
本発明者らは、本発明における水溶性の膜透過性物質の透過現象が、動的現象としての局所的相転移として説明できることを解明した。すなわち、平衡系としては曲率ゼロのラメラ液晶であっても、局所的には微小時間の中で分子運動による揺らぎにより相転移に至らない範囲での若干の曲率変化を繰り返していることは、良く知られている。ここに膜の曲率を積極的に凸に変化させる水溶性膜透過物質が接触すると、その接触部位では動的揺らぎ現象として、局所的にキュービック液晶相(V1相)への相転移に相当する変化が生ずる。この際、水溶性膜透過物質の添加量が一定量以内であれば、系全体では平衡系としての相転移は起こらない。その結果、膜全体としての脂質2分子膜構造を維持しながらも、局所的に生成したキュービック液晶相部分において膜透過性物質供与側(膜の外側)から膜透過性物質受容側(膜の内側)への物質の透過を可能とするものである。このような膜の曲率の変化のしやすさは膜の種類や透過物質の種類と、それらの相互関係で一様ではない。
従って、これらの膜透過性物質による膜の曲率を変化させる作用をさらに補強すること、または阻害することにより、膜透過性物質の膜の透過性を制御することが可能となる。そこで本発明者らは、かかる知見に基づき、これらの膜の曲率をさらに別の方法により変化させることにより、膜透過性物質の膜の透過性を制御できることを見出し、本発明を完成させたものである。
また、膜の曲率変化を検出することにより、被検物質の膜の透過性を評価することができ、また膜の相変化を検出することにより、被検物質の膜の透過性を評価することが可能となることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成させた。
即ち、本発明は、膜の曲率を変化させることを含む、膜透過性物質の膜の透過性を制御する方法である。
また、本発明は、膜の曲率を、膜透過性物質供与側に対し凸となる方向に変化させることを特徴とする膜の透過性を促進する方法である。
また、本発明は、膜の曲率を、膜透過性物質供与側に対し凹となる方向に変化させることを特徴とする膜の透過性を抑制する方法である。
また、本発明は、浸透圧、温度、電磁場およびpHから成る群より選ばれる1又は2以上の要素を変化させることにより膜の曲率を変化させることを特徴とする、上記に記載の方法である。
また、本発明は、膜の曲率を変化させる物質を添加することを含む、上記に記載の方法である。
また、本発明は、膜で囲まれた胞体を分散させた溶媒に被検物質を添加し、その添加の前後における膜で囲まれた胞体の膜の曲率の変化を検出することによる、膜透過性物質のスクリーニング方法である。
また、本発明は、膜で隔てられた第1と第2のチャンバーに溶媒を保持し、第1のチャンバーに被検物質を添加して、その添加の前後における膜の曲率変化を検出することによる、膜透過性物質のスクリーニング方法である。
さらに、本発明は、膜で囲まれた胞体を分散させた溶媒に被検物質を添加し、その添加の前後における膜で囲まれた胞体の膜の相変化を検出することによる、膜透過性物質のスクリーニング方法である。
本発明によれば、膜透過性物質の膜の透過性を簡便に調整することが可能となり、また、膜透過性物質を簡便にスクリーニングすることも可能となる。
本発明に用いる膜とは脂質2分子膜である(以下単に膜という)。脂質2分子膜としては、天然由来の膜および人工膜のいずれのものも用いることができる。そして、天然由来の膜としては、例えば生体膜を挙げることができる。生体膜としては、細胞膜、核膜、細胞小器官(オルガネラ)を囲む膜、網膜、角質層中の脂質膜、腸管膜、血液脳関門(Blood−Brain Barrier)、血管内膜(例えば内皮・結合組織)、血管中膜(例えば平滑筋、弾性繊維、膠原繊維)、血管外膜(例えば疎性結合組織)等を例示することができる。細胞膜としては、例えば繊維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、毛母細胞、毛乳頭細胞、神経細胞、色素細胞、表皮角化細胞、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞等の細胞を構成する膜を挙げることができる。また、人工膜としては、リポソーム等を挙げることができる。
なお、これらの膜には、例えば脂質2分子膜であれば、脂質の他に、タンパク質、糖鎖等の他の膜構成成分を含んでいてもよい。
また、本発明に用いる膜透過性物質としては、膜を透過しやすい性質を有するものであって、好ましくは脂質2分子膜の曲率を膜透過性物質供与側に対し凸となる方向に変化させる物性を備えた物質である。膜透過物質としては、例えば、グアニジノ側鎖、アミジノ側鎖およびアミノ基からなる群より選ばれる2〜30個の側鎖および/または基を有するペプチドおよび/またはペプトイドであって、アミド結合、ウレタン結合、ポリエステル結合およびポリエーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を有するオリゴマーを含む物質を挙げることができる。そして、これらのペプチド、ペプトイド、またはオリゴマー部分に薬剤などの、膜を透過させたい目的物質を付加することにより、容易に目的物質を膜の内側に透過することができるようになる。本発明においては、膜透過性物質の用語は、膜透過性物質そのものと膜透過性物質に薬剤等の膜を透過させたい目的物質を付加したものの両方を含む意味に用いられる。膜透過性物質の具体例としては、例えば、Tat Peptide(48−60)(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号1))、Penetratin(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号2))、または、(Arg)8(配列番号3)、(Lys)8(配列番号4)およびこれらのアミド化物等、を挙げることができる。さらに、これらの膜透過物質を利用して様々な物質の膜透過促進効果が確認されており、例えばTat(37−72)−Anti−tetanus等が知られている。また、これらのペプチドを構成するアミノ酸は、L体だけでなくD体でも同様の効果が期待できる。さらにD体アミノ酸を利用する事で、血液中、皮膚中での物質の安定性を向上させることが可能である。このような膜透過性物質に付加することが好ましい薬剤としては、インスリン、GLP−1(7−37)、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、各種抗体、サイトカイン、酵素等のペプチド性医薬品や、シクロスポリン等の膜透過性の低い高分子医薬品、皮膚透過率の低い美白剤等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明において膜の透過性を制御する方法とは、膜と膜透過性物質が接触する局所において、該局所における膜の曲率を変化させることにより、膜透過性物質の透過性を向上又は抑制する方法である。詳しくは、後述する被透過膜の物性を変化させる第三の物質を膜透過性物質を含有する組成物に添加する方法、該組成物の浸透圧を調節する方法、あるいは、膜の曲率に影響する物質又は物性を膜透過性物質に組込む方法などが挙げられる。
膜と膜透過性物質が接触する局所とは、例えば、経皮吸収される場合にあっては皮膚表面の角質中の脂質膜や表皮角化細胞、真皮繊維芽細胞、色素細胞を構成する膜上、鼻腔投与により経鼻吸収される場合にあっては、鼻腔粘膜上皮細胞を構成する膜上、点眼の際は角膜、頭皮細胞、毛母細胞、毛乳頭細胞、口腔が口腔粘膜等が挙げられる。
膜の曲率を変化させることには、膜の曲率を膜透過性物質供与側に対し凸となる方向に変化させること及び凹となる方向に変化させることの両方を含み、凸となる方向に変化させる場合には、膜透過性物質の透過性は促進され、凹となる方向に変化させる場合には、膜透過性物質の透過性は抑制される。
本発明の方法において、膜の曲率を膜透過性物質供与側に対し凸となる方向に変化させるとは、膜がその曲率を増加させて膜透過性物質供与側に対して突き出すことのほか、あらかじめ膜透過性物質供与側に対して凹となっている膜の曲率を減少させることの両方の意味を含む。同様に膜の曲率を膜透過性物質供与側に対し凹となる方向に変化させるとは、膜がその曲率を減少させて膜透過性物質供与側に対してくぼむことのほか、あらかじめ膜透過性物質供与側に対して凸となっている膜の曲率を減少させることの両方の意味を含む。
本発明の方法において、膜の曲率を変化させる方法としては、膜で隔てられた溶媒間の浸透圧を変化させるものが挙げられる。即ち、膜透過性物質供与側の浸透圧を膜透過性物質受容側に対して低下させると、膜の曲率は膜透過性物質供与側に対し凸となり、膜のラメラ液晶相のキュービック液晶相(V1相)への局所的な相変化が容易となる。従って、膜透過性物質供与側の浸透圧を低下させることにより、膜の透過性を促進することが可能となる。逆に、膜透過性物質供与側の浸透圧を上昇させることにより、膜の透過性を抑制することが可能となる。
浸透圧を制御する方法としては、膜透過物質供与側に膜透過性物質を含有する組成物を配置し、当該組成物に浸透圧を上昇させる物質を添加する方法および、当該組成物を希釈により浸透圧を低下させる方法が挙げられる。浸透圧を上昇させる物質としては、通常知られている広義の水溶性物質であれば特に限定されないが、たとえば塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの無機電解質、アミノ酸、有機酸、有機アミンなどの有機電解質、蔗糖に代表される各種糖類、尿素などの水溶性非イオン性有機物質、各種水溶性高分子物質等を挙げることができる。この際、膜透過性物質を含有する組成物は、膜透過性物質のほかに、当該組成物を用いる様態に応じて、適宜薬学的に許容されるキャリアー、賦形剤等を含有することができる。
また、本発明の方法において、膜の曲率を変化させる他の方法としては、膜の存在する場における、温度、電磁場、あるいはpHのうちの少なくもとも1つを変化させることが挙げられる。温度や磁場などの物理的環境は、その付与するエネルギーによって膜構成分子の運動性に影響を与える。その結果、単独あるいは浸透圧変化や物質添加を含む他の制御因子との組み合わせによって、より効果的に膜透過性制御が可能である。
また、本発明の方法において、膜の曲率を変化させる他の方法としては、膜の曲率を変化させる他の物質を膜透過性物質を含有する組成物に添加することが挙げられる。膜の曲率を変化させる他の物質としては、膜を構成する両親媒性物質の単一ないしは複数の水溶性部分に接触し、局所的に水溶性部分の空間容積を増大させて曲率を凸にするような物質を挙げることができる。より具体的には、膜表面とイオン性相互作用を持つ物質、水素結合性相互作用を持つ物質、他の物理的相互作用を持つ物質、および膜を構成する両親媒性物質に相互溶解し局所的曲率を凸に変えるような親水性部分の割合の大きな両親媒性物質等を挙げることができる。さらに具体的には、塩化ナトリウム(NaCl)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)などの塩類、グリセリン(glycerin)、1,3-ブタンジオール(1,3-butanediol)、ポリエチレングリコール400(poly (ethyleneglycol) 400: PEG400)などのポリオール類などは膜の曲率を変化させることが知られており(Langmuir 1998, 14, 5775-5781, Langmuir2000, 16, 8269-8269)、これらの化合物から、目的に応じて適宜選択して用いることが出来る。即ち、曲率を凸に変化させる化合物としては、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、1,3-ブタンジオール(1,3-butanediol)、トリフルオロ酢酸ナトリウム(CF3COONa)、n−アセチルチロシン、n−アセチルトリプトファン、n−アセチルシステインなどを選択することができ、曲率を凹に変化させる化合物としては、塩化ナトリウム(NaCl)、ポリエチレングリコール400(poly (ethyleneglycol) 400: PEG400)、グリセリン(glycerin)などを選択することができる。これら局所的に水溶性部分の空間容積を増大させ曲率を凸にするような物質の多くは、同時に水溶性物質として前述の浸透圧を変化させる性質を具備するものが含まれる。
また、本発明の方法において、膜の曲率を変化させる他の方法としては、膜の曲率に影響する物質又は物性を膜透過性物質に組込むことが挙げられる。膜の曲率に影響する物質又は物性を膜透過性物質に組込むとは、例えば、アルギニンのグアニジル基に曲率を変化させる物質を塩として結合させること等であり、これによって膜透過性物質の性能を向上させることが可能となる。
以上記載したように、膜の曲率を変化させることにより、膜透過性物質の膜の透過性を制御することが可能である。
一方、本発明のスクリーニング方法に用いられる、膜で囲まれた胞体とは、リポソーム、細胞、細胞核、細胞小器官(オルガネラ)のように、膜が閉じてその内側と外界とが膜により隔てられたものをさし、例えば、赤血球およびそのゴースト膜あるいは各種リポソーム等を好ましい例として挙げることができる。本発明に用いる膜で囲まれた胞体の大きさとしては、膜の曲率変化を測定できるものであれば特に制限はないが、0.01〜10nm程度のものが好ましい。
本発明のスクリーニング方法に用いられる溶媒としては、膜で囲まれた胞体を分散できるものであれば特に制限はないが、生体における膜透過物質をスクリーニングする場合には、好ましくは親水性の溶媒であり、より好ましくは水、生理的食塩水、体液等を挙げることができる。
本発明において、膜の曲率は以下のようにして測定することができる。まず、膜で囲まれた胞体を溶媒に分散させたものを、光学顕微鏡やレーザー顕微鏡等で観察し、胞体がほぼ球形であればその半径を測定し、その半径の逆数を求めることにより膜の曲率を測定することができる。また、胞体が楕円形・赤血球のように、中央部分がくぼんだ形状・繊維芽細胞のように不定形の場合の曲率は、各種顕微鏡などで得た画像を、通常用いられる画像解析システムに適用して形状パラメーター処理することにより求められる。さらに、胞体が、赤血球のように中央部分がくぼんだものの場合、コールターカウンタを用いてその直径を測定することにより曲率の変化を測定することができる。即ち、例えば浸透圧により赤血球の膜の曲率が変化する場合、浸透圧の変化による赤血球の表面積の変化は小さく、浸透圧の変化により赤血球の体積が大きくなると、その平均的な直径は大きくなる。すなわち、浸透圧変化によりその直径が大きくなることは、その体積が大きくなる事を意味し、体積が大きくなることは赤血球膜の曲率が正の方向に変化していると考えることができる。
本発明のスクリーニング方法の1つの実施形態としては、膜で囲まれた胞体を分散させた溶媒に被検物質を添加し、その添加の前後における膜で囲まれた胞体の膜の曲率の変化を検出するものを挙げることができる。
そして、被検物質を添加後の膜の曲率が添加前の膜の曲率に比べて大きい場合に、被検物質は膜透過性があると判断することができる。
本発明のスクリーニング方法の他の実施形態としては、膜で隔てられた第1と第2のチャンバーに溶媒を保持し、第1のチャンバーに被検物質を添加して、その添加の前後における膜の曲率変化を検出することが挙げられる。本発明に用いられるチャンバーとしては、2つの溶媒を膜により隔てられるものであれば特に制限はない。ここで用いられる膜としては、前記した種々の生体膜の他、LB膜のようにリン脂質を人工的に配向させて2分子膜とした人工膜等を挙げることができる。簡便に調製できる点では、リポソームが好ましい。そして、膜の曲率を顕微鏡等により観察し、第1のチャンバー側に凸となるように膜の曲率が変化した場合は、被検物質は膜透過性があると判断することができる。
本発明の他の実施形態としては、膜で囲まれた胞体を分散させた溶媒に被検物質を添加し、その添加の前後における膜で囲まれた胞体の膜の相変化を検出することが挙げられる。さらに、本発明の他の実施形態として、膜で隔てられた第1と第2のチャンバーに溶媒を保持し、第1のチャンバーに被検物質を添加して、その添加の前後における膜の相変化を検出ことが挙げられる。また、本発明の他の実施形態として、胞体の膜を構成する脂質を水相との2相共存ラメラ層として生成させ、これを用いて相変化を検出する事があげられる。これらの実施形態における膜の相変化としては、具体的には脂質2分子膜から構成されるラメラ液晶相からキュービック液晶相への相変化を挙げることができる。そして、被検物質を添加した後にキュービック液晶相が形成された場合に、被検物質は膜透過性があると判断することができる。
膜の相変化を直接検出する方法としては、形成された相の肉眼的形態から相の帰属を直接判定するための顕微鏡による非偏光あるいは偏光条件下での組織像観察と写真などの保存画像による判定、透過または走査型電子顕微鏡観察、および色素の添加と溶解拡散性観察による相タイプの判定などが挙げられる。また間接的方法として、膜を構成する両親媒性物質の自己組織化構造における周期構造特性を示すX線小角散乱法、中性子小角散乱法、光散乱法や自己組織化構造中における両親媒性物質の運動性、流動性を示す分光学的測定法であるESR(電子スピン共鳴)法、NMR(核磁気共鳴)法、蛍光分光法による判定、ラメラ相からキュービック相への相転移にかかわる物理化学的性質の変化を用いる方法として、DSC(示差熱分析)法による相転移温度測定、熱容量測定などが挙げられる。
本発明のいずれの実施形態においても、溶媒に添加する被検物質の量は、被検物質の物性により適宜決定されるものであるが、一般的には、0.1から30重量%程度を添加することが好ましい。
以下実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、実施例は本発明の説明のために記載するものであり、本発明を限定するものではない。
<試験例1:赤血球の曲率に対する浸透圧の影響>
緬羊保存血(株式会社日本生物材料センター)を5mlチューブにとり、遠心(4℃、3000g、3min)後、上澄みをすて、生理食塩水(5ml)を加え軽く攪拌し、遠心(4℃、3000g、3min)した。そして、この操作を再度行って得た赤血球ペレット(400μl)に等張リン酸バッファ(400μl)を加え、撹拌後、遠心(4℃、3000g、3min)し上澄みを除去した。同様の操作を再度繰り返し、評価用赤血球ペレットとした。細胞計数分析装置(コールターカウンタ Z2型(ベックマン・コールター社製))内の溶液を等張リン酸バッファにて置換後、評価用赤血球ペレットを等張リン酸バッファにて10万倍に希釈し、その直径を測定した。この直径を等張溶液での赤血球の直径とした。次に、低張リン酸バッファ(70%低張)を用いコールターカウンタ内の溶液を置換し、低張リン酸バッファに浮遊させた赤血球の直径を等張リン酸バッファの時と同様に測定した。同様に高張リン酸バッファ(130%高張)を用いて赤血球の直径を測定した。等張、低張、高張リン酸バッファにおける、赤血球の直径の分布図を図4に示す。前述のように、コールターカウンタでは、赤血球の体積を測定し、その体積を球とみなした場合の直径を計算上導いている。ゆえに、直径が増加するということは、その体積が大きくなっていることを示している。赤血球は等張溶液では膜全体として平均的に凹んだ曲率が負の状態にあり、赤血球膜の表面積自体は大きく変化しないので、体積が増加することは、膜全体の凹みが膨らんで膜の曲率を正の方向に傾けたことを意味する。ちなみに、膜の表面積が大きく変化した場合は、膜自体の破壊を意味し、50%以上の低張溶液にすると赤血球の膜が破壊され、完全溶血が引き起こされることとなる。したがって、浸透圧を低張にすることで、赤血球の直径が大きくなり、赤血球の体積増大に伴う赤血球膜の曲率も正の方向に変化したことがわかる。
緬羊保存血(株式会社日本生物材料センター)を5mlチューブにとり、遠心(4℃、3000g、3min)後、上澄みをすて、生理食塩水(5ml)を加え軽く攪拌し、遠心(4℃、3000g、3min)した。そして、この操作を再度行って得た赤血球ペレット(400μl)に等張リン酸バッファ(400μl)を加え、撹拌後、遠心(4℃、3000g、3min)し上澄みを除去した。同様の操作を再度繰り返し、評価用赤血球ペレットとした。細胞計数分析装置(コールターカウンタ Z2型(ベックマン・コールター社製))内の溶液を等張リン酸バッファにて置換後、評価用赤血球ペレットを等張リン酸バッファにて10万倍に希釈し、その直径を測定した。この直径を等張溶液での赤血球の直径とした。次に、低張リン酸バッファ(70%低張)を用いコールターカウンタ内の溶液を置換し、低張リン酸バッファに浮遊させた赤血球の直径を等張リン酸バッファの時と同様に測定した。同様に高張リン酸バッファ(130%高張)を用いて赤血球の直径を測定した。等張、低張、高張リン酸バッファにおける、赤血球の直径の分布図を図4に示す。前述のように、コールターカウンタでは、赤血球の体積を測定し、その体積を球とみなした場合の直径を計算上導いている。ゆえに、直径が増加するということは、その体積が大きくなっていることを示している。赤血球は等張溶液では膜全体として平均的に凹んだ曲率が負の状態にあり、赤血球膜の表面積自体は大きく変化しないので、体積が増加することは、膜全体の凹みが膨らんで膜の曲率を正の方向に傾けたことを意味する。ちなみに、膜の表面積が大きく変化した場合は、膜自体の破壊を意味し、50%以上の低張溶液にすると赤血球の膜が破壊され、完全溶血が引き起こされることとなる。したがって、浸透圧を低張にすることで、赤血球の直径が大きくなり、赤血球の体積増大に伴う赤血球膜の曲率も正の方向に変化したことがわかる。
<試験例2:赤血球の曲率に対する浸透圧の影響>
試験例1と同様にして赤血球ペレットを調製し、70%低張、等張、130高張リン酸バッファに浮遊させた後、顕微鏡観察し(3500倍)、赤血球の形の変化を観察した。結果を、図5に示す。浸透圧を低張にすることで、赤血球は膨らみ赤血球膜全体の曲率は正の方向に傾いたことがわかる。
試験例1と同様にして赤血球ペレットを調製し、70%低張、等張、130高張リン酸バッファに浮遊させた後、顕微鏡観察し(3500倍)、赤血球の形の変化を観察した。結果を、図5に示す。浸透圧を低張にすることで、赤血球は膨らみ赤血球膜全体の曲率は正の方向に傾いたことがわかる。
<試験例3:赤血球へのArgオリゴマーの膜透過に対する浸透圧の影響>
試験例1と同様に評価用赤血球ペレットを調製した。この評価用赤血球ペレットに、膜透過性物質として蛍光物質を付加したフルオレセイン‐GABA‐(Arg)8‐NH2・9CF3COOHまたはローダミン‐GABA‐(Arg)8‐NH2・9CF3COOH(以下、「Argオリゴマー」と、いうことがある。)を1μM含む等張リン酸バッファを添加し、攪拌後、37℃のインキュベータで10分間放置した。10分後、遠心し(4℃、3000g、3min)、上澄みを取り除き、等張リン酸バッファ(400μl)を加えリンスした。この操作を2回行った。上記ペレットに1% トライトンX−100(200μl)を加え、攪拌後、遠心した(4℃、12000g、5min)。上澄み液の蛍光強度をマイクロプレートリーダまたは蛍光分光器にて測定した。等張リン酸バッファの代わりに、70%低張リン酸バッファ、130%高張リン酸バッファを用い同様の実験を行い、それぞれ赤血球内へのArgオリゴマーの取り込み量を測定した。等張、低張、高張リン酸バッファにおけるArgオリゴマーの取り込み量を図6に示す。また、比較対照として、膜透過性物質の代わりに、ローダミンまたはフルオレセインを添加し、同様の操作を行った例を、図6に併せて示す。図6より、Argオリゴマーの赤血球内への透過量は浸透圧を低下させ、赤血球膜の曲率を正の方向に傾けることで、等張時に比較し増加したことがわかる。一方、ローダミンおよびフルオレセインを添加した場合は、浸透圧を変化させても取り込み量がほとんど変化していないことがわかる。
試験例1と同様に評価用赤血球ペレットを調製した。この評価用赤血球ペレットに、膜透過性物質として蛍光物質を付加したフルオレセイン‐GABA‐(Arg)8‐NH2・9CF3COOHまたはローダミン‐GABA‐(Arg)8‐NH2・9CF3COOH(以下、「Argオリゴマー」と、いうことがある。)を1μM含む等張リン酸バッファを添加し、攪拌後、37℃のインキュベータで10分間放置した。10分後、遠心し(4℃、3000g、3min)、上澄みを取り除き、等張リン酸バッファ(400μl)を加えリンスした。この操作を2回行った。上記ペレットに1% トライトンX−100(200μl)を加え、攪拌後、遠心した(4℃、12000g、5min)。上澄み液の蛍光強度をマイクロプレートリーダまたは蛍光分光器にて測定した。等張リン酸バッファの代わりに、70%低張リン酸バッファ、130%高張リン酸バッファを用い同様の実験を行い、それぞれ赤血球内へのArgオリゴマーの取り込み量を測定した。等張、低張、高張リン酸バッファにおけるArgオリゴマーの取り込み量を図6に示す。また、比較対照として、膜透過性物質の代わりに、ローダミンまたはフルオレセインを添加し、同様の操作を行った例を、図6に併せて示す。図6より、Argオリゴマーの赤血球内への透過量は浸透圧を低下させ、赤血球膜の曲率を正の方向に傾けることで、等張時に比較し増加したことがわかる。一方、ローダミンおよびフルオレセインを添加した場合は、浸透圧を変化させても取り込み量がほとんど変化していないことがわかる。
<試験例4:赤血球へのTat Peptide(48−60)(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号1))の膜透過に対する浸透圧の影響>
試験例1と同様に評価用赤血球ペレットを調製した。この評価用赤血球ペレットに、膜透過性物質として蛍光物質を付加したローダミン‐GABA-GRKKRRQRRRPPQ・8CF3COOHまたはローダミン‐GABA‐(Arg)8‐NH2・9CF3COOHを10μM含む等張リン酸バッファを添加し、攪拌後、37℃のインキュベータで10分間放置した。10分後、遠心し(4℃、3000g、3min)、上澄みを取り除き、等張リン酸バッファ(400μl)を加えリンスした。この操作を2回行った。上記ペレットに1% トライトンX−100(200μl)を加え、攪拌後、遠心した(4℃、12000g、5min)。上澄み液の蛍光強度をマイクロプレートリーダまたは蛍光分光器にて測定した。等張リン酸バッファの代わりに、70%低張リン酸バッファ、130%高張リン酸バッファを用い同様の実験を行い、それぞれ赤血球内へのTat Peptideの取り込み量を測定した。等張、低張、高張リン酸バッファにおけるTat Peptideの取り込み量を図7に示す。図7より、Tat Peptideの赤血球内への透過量は浸透圧を低下させ、赤血球膜の曲率を正の方向に傾けることで、等張時に比較し増加したことがわかる。
試験例1と同様に評価用赤血球ペレットを調製した。この評価用赤血球ペレットに、膜透過性物質として蛍光物質を付加したローダミン‐GABA-GRKKRRQRRRPPQ・8CF3COOHまたはローダミン‐GABA‐(Arg)8‐NH2・9CF3COOHを10μM含む等張リン酸バッファを添加し、攪拌後、37℃のインキュベータで10分間放置した。10分後、遠心し(4℃、3000g、3min)、上澄みを取り除き、等張リン酸バッファ(400μl)を加えリンスした。この操作を2回行った。上記ペレットに1% トライトンX−100(200μl)を加え、攪拌後、遠心した(4℃、12000g、5min)。上澄み液の蛍光強度をマイクロプレートリーダまたは蛍光分光器にて測定した。等張リン酸バッファの代わりに、70%低張リン酸バッファ、130%高張リン酸バッファを用い同様の実験を行い、それぞれ赤血球内へのTat Peptideの取り込み量を測定した。等張、低張、高張リン酸バッファにおけるTat Peptideの取り込み量を図7に示す。図7より、Tat Peptideの赤血球内への透過量は浸透圧を低下させ、赤血球膜の曲率を正の方向に傾けることで、等張時に比較し増加したことがわかる。
以上の試験例1〜4より、膜の曲率変化を検出することにより、膜透過性を判定することができることが明らかとなった。したがって、機能未知の物質を被検物質として用い、赤血球の曲率変化を検出することにより、新規細胞膜透過性物質のスクリーニングができることとなる。
また、試験例1〜4より、膜の曲率を膜透過性物質供与側に対して凸となる方向に変化させることにより、膜の透過性を促進できることがわかる。
<試験例5:膜の曲率を正に変化する物質を用いるArgオリゴマー取り込み促進効果>
文献(Langmuir 1998, 14, 5775-5781, Langmuir 2000, 16, 8269-8269)記載の膜の曲率を正に変化する物質である1,3-ブタンジオール(1,3-butanediol)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)を促進物質として添加した際のArgオリゴマー取り込み促進効果を検討した。
皮膚関連細胞(真皮繊維芽細胞)を用い、Argオリゴマーの膜透過促進効果を評価した。真皮繊維芽細胞(Fibrocell、クラボウ製)を6ウェルプレートに3×104(cells/well)にて播種し、D−MEM培地(Dulbecco’s modified Eagle medium、血清10%含有、ペニシリン 50U/ml、ストレプトマイシン 50μg/ml)にて2日間培養した。2日間培養後、6ウェルプレートの各ウェルから培地を取り除き、1,3-ブタンジオールが2.5mM、5mM、10mMになるように調製したD−MEM培地を添加した。5分間インキュベート(37℃、5%CO2)した後、Argオリゴマーを1μMになるように各プレートに添加し、10分間インキュベートした。10分後、培地を吸引除去し等張リン酸バッファにて2回洗浄した。各ウェルに1% トライトンX−100(500μl)を加え、遮光下室温にて、1時間震とうさせ細胞を溶解させた。ピペッティングにてよく攪拌後、各ウェルから96ウェルブラックセルに200μlづつ移し、蛍光分光器(マイクロプレートリーダー、Wallac 1420 ARVOsx)にて485nmで励起し、535nmの蛍光を測定した。1,3-ブタンジオールを添加していない場合に比べ、1,3-ブタンジオールを2.5mM添加するとその蛍光強度が約15%高くなった。チオシアン酸ナトリウムでは2.5mM添加するとその蛍光強度が約10%、10mM添加すると約15%高くなった。1,3-ブタンジオールおよびチオシアン酸ナトリウムは先の文献から、膜の曲率を凸に変化させる化合物であり、この膜の変化がArgオリゴマーの膜透過性を向上させたと考えられる。実験結果を図8、9に示す。
文献(Langmuir 1998, 14, 5775-5781, Langmuir 2000, 16, 8269-8269)記載の膜の曲率を正に変化する物質である1,3-ブタンジオール(1,3-butanediol)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)を促進物質として添加した際のArgオリゴマー取り込み促進効果を検討した。
皮膚関連細胞(真皮繊維芽細胞)を用い、Argオリゴマーの膜透過促進効果を評価した。真皮繊維芽細胞(Fibrocell、クラボウ製)を6ウェルプレートに3×104(cells/well)にて播種し、D−MEM培地(Dulbecco’s modified Eagle medium、血清10%含有、ペニシリン 50U/ml、ストレプトマイシン 50μg/ml)にて2日間培養した。2日間培養後、6ウェルプレートの各ウェルから培地を取り除き、1,3-ブタンジオールが2.5mM、5mM、10mMになるように調製したD−MEM培地を添加した。5分間インキュベート(37℃、5%CO2)した後、Argオリゴマーを1μMになるように各プレートに添加し、10分間インキュベートした。10分後、培地を吸引除去し等張リン酸バッファにて2回洗浄した。各ウェルに1% トライトンX−100(500μl)を加え、遮光下室温にて、1時間震とうさせ細胞を溶解させた。ピペッティングにてよく攪拌後、各ウェルから96ウェルブラックセルに200μlづつ移し、蛍光分光器(マイクロプレートリーダー、Wallac 1420 ARVOsx)にて485nmで励起し、535nmの蛍光を測定した。1,3-ブタンジオールを添加していない場合に比べ、1,3-ブタンジオールを2.5mM添加するとその蛍光強度が約15%高くなった。チオシアン酸ナトリウムでは2.5mM添加するとその蛍光強度が約10%、10mM添加すると約15%高くなった。1,3-ブタンジオールおよびチオシアン酸ナトリウムは先の文献から、膜の曲率を凸に変化させる化合物であり、この膜の変化がArgオリゴマーの膜透過性を向上させたと考えられる。実験結果を図8、9に示す。
<試験例6:膜の曲率を負に変化する物質を用いるArgオリゴマー取り込み抑制効果>
文献(Biochimica et BiophysicaActa (BBA)- BiomembranesVol. 1285, Issue 1, 1996, P109-P122)記載の膜の曲率を負に変化する物質であるシュクロース(Sucrose、蔗糖)を、透過抑制物質として添加した際のArgオリゴマー取り込み効果を検討した。さらに、我々は、細胞膜を構築するリン脂質の主要な構成要素であるレシチン(フォスファチジルコリン)を利用し、レシチン/コール酸ナトリウム系にてキュービック相を構築し、シュクロースを添加することでキュービック相からヘキサゴナル相へ相変化することを確認した(Biochim. Biophys. Acta, 125 (1966) 563-580)。 また、相変化の確認は偏光顕微鏡(polarization microscope)による形状の変化、偏光フィルムによる偏光性の有無(ラメラ相やヘキサゴナル相は偏光性があるので明るく見えるが、キュービック相は暗く見える。)、小角X線散乱(Small Angle X-ray Scattering)により得られるスペクトルパターンの違いから決定した。キュービック相は水22.5wt%、フォスファチジルコリン50.4%、コール酸ナトリウム27.1%の割合で混合し25℃にて形成させた。このキュービック相に3.5wt%以上の割合でシュークロースを添加すると、このキュービック相はラメラ相へと相変化した。この相変化の方向は、膜の曲率が負に変化することで誘導されて起こる事が知られている。即ち、シュクロースが、膜の曲率を負に変化する物質であることが確認された。このレシチン/コール酸ナトリウム系にて膜の曲率を負に変化させるシュクロースを、抑制物質として添加した際のArgオリゴマー取り込み抑制効果を検討した。
皮膚関連細胞(真皮繊維芽細胞)を用い、Argオリゴマーの膜透過抑制効果を評価した。真皮繊維芽細胞(Fibrocell、クラボウ製)を6ウェルプレートに3×104(cells/well)にて播種し、D−MEM培地(Dulbecco’s modified Eagle medium、血清10%含有、ペニシリン 50U/ml、ストレプトマイシン 50μg/ml)にて2日間培養した。2日間培養後、6ウェルプレートの各ウェルから培地を取り除き、シュクロースが2.5mM、5mM、10mMになるように調製したD−MEM培地を添加した。5分間、インキュベート(37℃、5%CO2)した後、Argオリゴマーを1μMになるように各プレートに添加し10分間インキュベートした。10分後、培地を吸引除去し等張リン酸バッファにて2回洗浄した。各ウェルに1% トライトンX−100(500μl)を加え、遮光下室温にて、1時間震とうさせ細胞を溶解させた。ピペッティングにてよく攪拌後、各ウェルから96ウェルブラックセルに200μlづつ移し、蛍光分光器(マイクロプレートリーダー、Wallac 1420 ARVOsx)にて485nmで励起し、535nmの蛍光を測定した。シュクロースを添加していない場合に比べ、シュクロースを添加するとその蛍光強度が2.5mMでは8%、5mMでは19%、10mMでは37%と濃度依存的に低くなった。シュクロースは先の実験から、膜の曲率を凹に変化させる化合物であり、この膜の変化がArgオリゴマーの膜透過性を抑制させたと考えられる。実験データを図10に示す。
文献(Biochimica et BiophysicaActa (BBA)- BiomembranesVol. 1285, Issue 1, 1996, P109-P122)記載の膜の曲率を負に変化する物質であるシュクロース(Sucrose、蔗糖)を、透過抑制物質として添加した際のArgオリゴマー取り込み効果を検討した。さらに、我々は、細胞膜を構築するリン脂質の主要な構成要素であるレシチン(フォスファチジルコリン)を利用し、レシチン/コール酸ナトリウム系にてキュービック相を構築し、シュクロースを添加することでキュービック相からヘキサゴナル相へ相変化することを確認した(Biochim. Biophys. Acta, 125 (1966) 563-580)。 また、相変化の確認は偏光顕微鏡(polarization microscope)による形状の変化、偏光フィルムによる偏光性の有無(ラメラ相やヘキサゴナル相は偏光性があるので明るく見えるが、キュービック相は暗く見える。)、小角X線散乱(Small Angle X-ray Scattering)により得られるスペクトルパターンの違いから決定した。キュービック相は水22.5wt%、フォスファチジルコリン50.4%、コール酸ナトリウム27.1%の割合で混合し25℃にて形成させた。このキュービック相に3.5wt%以上の割合でシュークロースを添加すると、このキュービック相はラメラ相へと相変化した。この相変化の方向は、膜の曲率が負に変化することで誘導されて起こる事が知られている。即ち、シュクロースが、膜の曲率を負に変化する物質であることが確認された。このレシチン/コール酸ナトリウム系にて膜の曲率を負に変化させるシュクロースを、抑制物質として添加した際のArgオリゴマー取り込み抑制効果を検討した。
皮膚関連細胞(真皮繊維芽細胞)を用い、Argオリゴマーの膜透過抑制効果を評価した。真皮繊維芽細胞(Fibrocell、クラボウ製)を6ウェルプレートに3×104(cells/well)にて播種し、D−MEM培地(Dulbecco’s modified Eagle medium、血清10%含有、ペニシリン 50U/ml、ストレプトマイシン 50μg/ml)にて2日間培養した。2日間培養後、6ウェルプレートの各ウェルから培地を取り除き、シュクロースが2.5mM、5mM、10mMになるように調製したD−MEM培地を添加した。5分間、インキュベート(37℃、5%CO2)した後、Argオリゴマーを1μMになるように各プレートに添加し10分間インキュベートした。10分後、培地を吸引除去し等張リン酸バッファにて2回洗浄した。各ウェルに1% トライトンX−100(500μl)を加え、遮光下室温にて、1時間震とうさせ細胞を溶解させた。ピペッティングにてよく攪拌後、各ウェルから96ウェルブラックセルに200μlづつ移し、蛍光分光器(マイクロプレートリーダー、Wallac 1420 ARVOsx)にて485nmで励起し、535nmの蛍光を測定した。シュクロースを添加していない場合に比べ、シュクロースを添加するとその蛍光強度が2.5mMでは8%、5mMでは19%、10mMでは37%と濃度依存的に低くなった。シュクロースは先の実験から、膜の曲率を凹に変化させる化合物であり、この膜の変化がArgオリゴマーの膜透過性を抑制させたと考えられる。実験データを図10に示す。
<応用例1>
試験例1と同様に評価用赤血球ペレットを調製し、70%低張、等張、130高張リン酸バッファに浮遊させる。被検化合物を0.01〜100μM含む等張リン酸バッファ溶液、70%低張リン酸バッファ溶液、130%高張リン酸バッファ溶液を調整する。被検化合物は化合物ライブラリなどから適宜選択し、また濃度は数種類用意する方が好ましい。被検化合物は検出可能な様態で適宜化学物質(蛍光物質、放射性同位体など)で修飾されていても良く、あるいはNMR、LC−MS/MSなどで直接測定しても良い。
これら低張、等張および高張の評価用赤血球ペレットに、それぞれ、低張、等張、高張の被検化合物溶液を添加し、赤血球内に取り込まれる化合物量、あるいは取り込まれなかった化合物量を測定し逆算することにより、低張、等張あるいは高張の赤血球内への被検化合物の取り込み量を測定する。試験例3でのArgオリゴマーの取り込みの挙動と同様に、低張時に取り込み量が増加し、高張時に低下する化合物が、赤血球膜の曲率を正の方向に傾ける化合物であり、新規細胞膜透過物質の候補化合物であることがわかる。
試験例1と同様に評価用赤血球ペレットを調製し、70%低張、等張、130高張リン酸バッファに浮遊させる。被検化合物を0.01〜100μM含む等張リン酸バッファ溶液、70%低張リン酸バッファ溶液、130%高張リン酸バッファ溶液を調整する。被検化合物は化合物ライブラリなどから適宜選択し、また濃度は数種類用意する方が好ましい。被検化合物は検出可能な様態で適宜化学物質(蛍光物質、放射性同位体など)で修飾されていても良く、あるいはNMR、LC−MS/MSなどで直接測定しても良い。
これら低張、等張および高張の評価用赤血球ペレットに、それぞれ、低張、等張、高張の被検化合物溶液を添加し、赤血球内に取り込まれる化合物量、あるいは取り込まれなかった化合物量を測定し逆算することにより、低張、等張あるいは高張の赤血球内への被検化合物の取り込み量を測定する。試験例3でのArgオリゴマーの取り込みの挙動と同様に、低張時に取り込み量が増加し、高張時に低下する化合物が、赤血球膜の曲率を正の方向に傾ける化合物であり、新規細胞膜透過物質の候補化合物であることがわかる。
<応用例2>
本発明を用いた応用例として、以下のものが考えられる。
1.透過性薬効物質としてのインシュリンのArgオリゴマー結合体(薬剤)を配合した舌下錠を用事一定量の水に溶解し低張性浸透薬液とし、糖尿病患者の食後血糖値制御の目的で、効率的に必要濃度のインシュリンを舌下粘膜から吸収させることができる。溶液中での薬剤の安定化が不要であるとともに、携帯にも便利である。
2.透過性薬効物質としてのインシュリンのArgオリゴマー結合体(薬剤)に透過促進物質としてのアシルグルタミン酸塩を配合した薬剤を、糖尿病患者の食後血糖値制御の目的で、食前ないし食後に皮膚に直接塗布ないし媒体に浸透させて貼付し、効率的に必要濃度のインシュリンを経皮吸収させることができる。
本発明を用いた応用例として、以下のものが考えられる。
1.透過性薬効物質としてのインシュリンのArgオリゴマー結合体(薬剤)を配合した舌下錠を用事一定量の水に溶解し低張性浸透薬液とし、糖尿病患者の食後血糖値制御の目的で、効率的に必要濃度のインシュリンを舌下粘膜から吸収させることができる。溶液中での薬剤の安定化が不要であるとともに、携帯にも便利である。
2.透過性薬効物質としてのインシュリンのArgオリゴマー結合体(薬剤)に透過促進物質としてのアシルグルタミン酸塩を配合した薬剤を、糖尿病患者の食後血糖値制御の目的で、食前ないし食後に皮膚に直接塗布ないし媒体に浸透させて貼付し、効率的に必要濃度のインシュリンを経皮吸収させることができる。
Claims (22)
- 膜と膜透過性物質が接触する局所における膜の曲率を変化させることを含む、膜透過性物質の膜の透過性を制御する方法。
- 膜と膜透過性物質が接触する局所における膜の曲率を、膜透過性物質供与側に対し凸となる方向に変化させることを特徴とする膜の透過性を促進する方法。
- 膜と膜透過性物質が接触する局所における膜の曲率を、膜透過性物質供与側に対し凹となる方向に変化させることを特徴とする膜の透過性を抑制する方法。
- 浸透圧、温度、電磁場およびpHから成る群より選ばれる1又は2以上の要素を変化させることにより膜の曲率を変化させることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 膜の曲率を変化させる物質を膜透過性物質を含有する組成物に添加することを含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 膜の曲率を変化させる物質が、水溶性物質、油溶性物質、および両親媒性物質から成る群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の方法。
- 膜の曲率を変化させる物質が、膜の曲率を凸にする物質であって、チオシアン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、1,3-ブタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の方法。
- 膜の曲率を変化させる物質が、膜の曲率を凹にする物質であって、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール400、グリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の方法。
- 膜が生体膜であり、かつ、細胞膜、核膜、細胞小器官を囲む膜、網膜、角質層中の脂質膜、腸管膜、血液脳関門、血管内膜、血管中膜、および血管外膜から成る群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 細胞膜が、繊維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、毛母細胞、毛乳頭細胞、神経細胞、色素細胞、表皮角化細胞、ランゲルハンス細胞およびメルケル細胞からなる群より選ばれる少なくもとも1つの細胞を構成する膜である、請求項9に記載の方法。
- 膜透過性物質が、グアニジノ側鎖、アミジノ側鎖およびアミノ基からなる群より選ばれる2〜30個の側鎖および/または基を有するペプチドおよび/またはペプトイドであって、アミド結合、ウレタン結合、ポリエステル結合およびポリエーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を有するオリゴマーを含む物質である、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 膜透過性物質がインスリン、GLP−1(3−37)、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、抗体、サイトカイン、酵素から成る群より選ばれるペプチドが付加された物質である、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 膜で囲まれた胞体を分散させた溶媒に被検物質を添加し、その添加の前後における膜で囲まれた胞体の膜の曲率変化及び/又は膜の相変化を検出することによる、膜透過性物質のスクリーニング方法。
- 被検物質を添加後の膜の曲率が添加前の膜の曲率に比べて大きい場合、又は、相変化としてキュービック液晶相の形成が検出された場合に、被検物質は膜透過性があると判断される請求項13に記載の方法。
- 膜で隔てられた第1と第2のチャンバーに溶媒を保持し、第1のチャンバーに被検物質を添加し、その添加の前後における膜の曲率変化及び/又は相変化を検出することによる、膜透過性物質のスクリーニング方法。
- 被検物質の添加後に第1のチャンバー側に凸となるように膜の曲率が変化した場合、又は、相変化としてキュービック液晶相の形成が検出された場合に、被検物質は膜透過性があると判断される、請求項15に記載の方法。
- 膜の曲率の変化を、顕微鏡を用いて検出することを特徴とする請求項13ないし16のいずれかに記載の方法。
- 膜の曲率の変化を、コールターカウンタを用いて検出することを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
- 膜の相変化を、X線回折又は膜の転移温度変化により検出することを特徴とする、請求項13ないし16のいずれかに記載の方法。
- 膜で囲まれた胞体が、リポソーム、赤血球、白血球、リンパ球、皮膚上皮細胞および繊維芽細胞等を含む細胞、細胞核、および細胞小器官から成る群より選ばれる、請求項13または14に記載の方法。
- 膜が脂質二分子膜を構成する生体膜である、細胞膜、核膜、細胞小器官を囲む膜、網膜、角質層中の脂質膜、腸管膜、血液脳関門、血管内膜、血管中膜及び血管外膜並びに人工膜から成る群より選ばれる少なくとも1つである、請求項13ないし16のいずれかに記載の方法。
- 細胞膜が、繊維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、毛母細胞、毛乳頭細胞、神経細胞、色素細胞、表皮角化細胞、ランゲルハンス細胞およびメルケル細胞からなる群より選ばれる少なくもとも1つの細胞を構成する膜である、請求項21に記載の方法。
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---|---|---|---|
JP2004279172A JP2005154413A (ja) | 2003-09-25 | 2004-09-27 | 膜透過性物質の膜透過の制御方法及び膜透過性物質のスクリーニング方法 |
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JP2015001476A (ja) * | 2013-06-17 | 2015-01-05 | 花王株式会社 | 塗膜観察方法 |
JP2015040702A (ja) * | 2013-08-20 | 2015-03-02 | 日本メナード化粧品株式会社 | X線回折を利用した皮膚浸透性評価法 |
JP2018503065A (ja) * | 2014-11-17 | 2018-02-01 | スードダンスク ウニヴァシテーツSyddansk Universitet | 調整可能な生体模倣特性を備えた薬物透過性評価アセンブリ |
WO2021054351A1 (ja) * | 2019-09-17 | 2021-03-25 | 学校法人東京理科大学 | 膜透過促進剤及び膜透過促進方法 |
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-
2004
- 2004-09-27 JP JP2004279172A patent/JP2005154413A/ja not_active Withdrawn
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