JP2005153614A - 昇降ドアガラスの保護構造 - Google Patents

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侑村 南
Masahiro Nozaki
政博 野崎
Yoshitaka Sugiyama
義隆 杉山
Koji Kawamatsu
浩司 川松
Kentaro Yamagishi
健太郎 山岸
Toshio Fujiwara
利雄 藤原
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Abstract

【課題】 ドアフレームとドアガラスの間に、異物が挟まれた場合でも、確実にそれを検知して、異物、ドアフレーム、ガラスラン等の破損を防止するものである。
【解決手段】 ガラスラン10内を、ドアガラス4が昇降する昇降ドアガラスの保護構造において、ガラスラン10の少なくとも車内側側壁12の先端部13bに一体に形成したセンサーカバー部19を設け、センサーカバー部19と先端部の間にセンサー保持孔18を設け、センサー保持孔に接触型センサー30を取り付け、センサーカバー部19をスポンジ材で形成し、少なくとも車内側側壁の先端部13bをソリッド材で形成し、スポンジ材とソリッド材の境界面を、車外側側壁11の先端部と車内側側壁13の先端部を結んだ線と略平行に形成したドアガラスの昇降を制御する昇降ドアガラスの保護構造である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車用ドアのドアガラスがドアフレームの内周のドアガラス開口部内をモーター等の駆動手段によって昇降する場合に、ドアガラスとドアフレームとの間の異物等の挟み込みを防止する保護構造に関するものである。
自動車のドアにおいて、ドアガラスを昇降させるには、ドア内に設けられたモーター等の昇降駆動手段により自動で行われている。このように、駆動手段によりドアガラスを昇降させる場合には、ドアガラスとドアのベルトラインよりも上に設けられたドアフレームの上辺部との間に異物が挟まると、異物やドアガラス、ドアフレーム、及びドアフレーム内に取付けられたガラスラン等が破損したり、駆動するモーター等に過負荷がかかり、モーターや他の駆動機構が破損する恐れがあった。
そこで、昇降するドアガラスによって異物が挟まったり、過負荷がかかった場合にドアガラスの昇降を制御することが行われている。例えば、図4と図5に示すように、ドアフレーム20の上辺部21、即ちドアガラス4が最も上昇し、ドアガラス4が閉じる直前の部分に接触型センサー130を設けることがなされている(例えば、特許文献1参照)。
ドアフレーム20の上辺部21は、その断面が下側に開口した断面略U字形をなし、その上辺部に取付けられたガラスラン110も断面略U字形をなし、車外側側壁111、底壁112と車内側側壁113からなり、車内側側壁113の開口側の先端には、接触型センサー130が一体的に取付けられている。
接触型センサー130は、内部に空間を隔てて上下に導電性部材が設けられ、その導電性部材は非導電性の弾性材料で保持されている。
ドアガラス4がドアフレーム20の上辺部21の近くまで上昇して来たときに、ドアガラス4とドアフレーム20の間に異物が存在すると、ドアガラス4の上昇につれて、その異物がガラスラン110の先端に設けられた接触型センサー130を押し、その導電性材料同士が接触して、異物の存在を検知する。そして電気信号を出してモーターを制御してドアガラス4の上昇を止め、下降させる。
このようにして、ドアガラス4の上昇時に、異物がドアガラス4の上縁とドアフレーム20の上辺部との間に挟まれても、それを検知して、それ以上のドアガラス4の上昇を止め、逆に下降させることにより、異物や駆動機構等を破損することを防止している。
また、ドアフレーム20とドアガラス4の間に異物が挟まれなくても、ドアガラス4に異常な負荷がかかったときは、その負荷を駆動機構が検知して、ドアガラス4の上昇を止める機構も開発されている。
ドアフレーム20の縦辺部が垂直である場合や、垂直でなく少し傾いていてもドアガラス4の移動方向と平行である場合は、ドアガラス4の側端は常にドアフレーム20の縦辺部に取付けられたガラスラン110の内部に収納されて、隙間がないため、ドアフレームの縦辺部において、ガラスラン110とドアガラス4の間に異物が挟まることがない。
しかし、ドアフレーム20の縦辺部が垂直でなく、下方に向けて広がり、傾斜する場合は、ドアガラス4が下降したときに、ドアフレーム20の縦辺部の傾斜部と、それに対応するドアガラス4の側端部の傾斜部との間、及びドアフレーム20の縦辺部の垂直部と、ドアガラス4の側端部の傾斜部との間には、隙間が生ずる。
この隙間に異物が挟まると、ドアガラス4の上昇につれてドアフレーム20の縦辺部とドアガラス4の傾斜部の隙間は徐々に狭まり、異物が挟まれることとなる。このとき、ドアフレーム20の縦辺部には、従来、接触型センサー130が設けられていないため、異物が挟まれたことを検知することができない。
また、ドアガラス4に異常な負荷がかかったときは、その負荷を駆動機構が検知して、ドアガラス4の上昇を止める機構を有する場合でも、ドアフレーム20の傾斜はドアの水平方向に対して大きいため、ドアの上昇方向に対しては傾斜角が小さく、ドアガラス4とドアフレーム20の間に挟まれた異物によるドアガラス4への負荷の分力は水平方向に大きく、垂直方向には小さくなる。また、ドアフレーム20の縦辺部の垂直部と、ドアガラス4の側端部の傾斜部との間においても同様に負荷の分力は水平方向に大きく、垂直方向には小さくなる。このため、ドアガラス4の駆動機構にかかる負荷は少ないため、駆動機構が検知することが困難な場合があり、ドアガラス4の上昇が止まらず、駆動機構が破損する場合もある。
なお、上記の接触型センサー130では、非導電性材料部分がガラスラン本体のソリッドゴムと同じ材料で形成されており、剛性が高く、変形するのに方向性が生じ、鉛直方向に対しては容易に変形するが、斜め方向に対しては、このソリッドゴムが変形の阻害となっている。
特開平7−96740号公報(第3−4頁、第5図)
このため本発明は、ドアフレームの上辺部あるいは縦辺部と、ドアガラスの上端あるいは側端に、異物が挟まれた場合でも、確実にそれを検知して、異物、ドアフレーム、ガラスラン及びドアガラスの駆動機構等の破損を防止する昇降ドアガラスの保護機構を提供するものである。
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、自動車用ドアの上部の上辺部と、上辺部から縦方向下方に延びる縦辺部とを有するドアフレームと、ドアフレームのドアガラス開口側から嵌め込まれたガラスランとを有し、ガラスラン内をドアガラスが昇降する昇降ドアガラスの保護構造において、ガラスランは、車外側側壁、底壁と車内側側壁からなる断面略U字形をなし、少なくとも車内側側壁の先端部に一体に形成したセンサーカバー部を設け、センサーカバー部と先端部の間にセンサー保持孔を設け、センサー保持孔に接触型センサーを取り付け、センサーカバー部をスポンジ材で形成し、少なくとも車内側側壁をソリッド材で形成して先端部の剛性を高くするとともに、スポンジ材とソリッド材の境界面を、車外側側壁の先端部と車内側側壁の先端部を結んだ線と略平行に形成したドアガラスの昇降を制御する昇降ドアガラスの保護構造である。
請求項1の本発明では、ガラスランは、車外側側壁、底壁と車内側側壁からなる断面略U字形をなし、少なくとも車内側側壁の先端部に一体に形成したセンサーカバー部を設け、センサーカバー部と先端部の間にセンサー保持孔を設け、センサー保持孔に接触型センサーを取り付けたため、ドアガラスが昇降し、ガラスランの開口部から出入りするドアガラスの先端にもっとも近いところである側壁の先端部に接触型センサーを設けることができ、ドアガラスの昇降時にドアガラスにより異物が挟まれるとすぐに異物を検知することができる。
接触型センサーの異物の検知により、ドアガラスの昇降を制御するため、接触型センサーとドアガラスの駆動機構を連動させて、接触型センサーが圧力を検知すると自動的に直ちにドアガラスの上昇を止め、ドアガラスを下降させることができ、異物、ドアフレーム、ガラスランやドアガラスの昇降駆動機構の破損を未然に防止することができ、異物を直ちに取り除くことができる。
センサー保持孔をガラスランの側壁の先端部に設けたため、ガラスランを成形するときに同時にセンサー保持孔を形成することができ、成形が容易であり、コストも低減することができる。
センサー保持孔に接触型センサーを取り付けたため、ガラスランをドアフレームに嵌め込むと、ドアガラスとドアフレームの間に異物が挟まれるとすぐに異物が接触型センサーにより検知されるので、異物、ドアフレーム、ガラスランが破損されることがなく、ドアガラスの駆動機構に過負荷がかかることがない。
センサー保持孔により、接触型センサーをセンサー保持孔に挿入するのみで接触型センサーを簡単に取付けることができ、製造が容易である。
センサーカバー部をスポンジ材で形成し、車外側側壁又は車内側側壁の先端部をソリッド材で形成したため、センサー保持孔の略外周はスポンジゴムで形成され、軟らかく変形しやすく、異物の接触圧力が小さくても、容易に変形して接触型センサーを働かせることができ、検知感度を向上させることができる。車外側側壁又は車内側側壁の先端部をソリッド材で形成し先端部の剛性を高めたため、異物が接触型センサーを押圧したときに、ソリッド材の部分で接触型センサーを保持し、支えることができ、ソリッド材自身はスポンジ材のように凹んだりすることがないため、接触型センサーを確実に作動させることができる。
スポンジ材とソリッド材の境界面を、車外側側壁の先端部と車内側側壁の先端部を結んだ線と略平行に形成したため、異物がドアガラスとドアフレームに装着されたガラスランとの間で挟まれたときに、異物が接触型センサーを押すが、このときに、異物はガラスランの車外側側壁の先端部と車内側側壁の先端部の両方に接触しつつ、ドアガラスの先端で押し付けられる。そのため、異物はスポンジ材とソリッド材の境界面と略平行になって接触型センサー方向に移動することとなる。このため、接触型センサーは、スポンジ材とソリッド材の境界面に対して直角に押されて、凹むことがないソリッド材の境界面により支えられる。したがって、接触型センサーを確実に作動させ、異物を検知することができる。
請求項2の本発明は、ドアガラスは、少なくとも一方の縦辺部の上部に下方に向けて広がる傾斜部を有し、ドアフレームは、ドアガラスの傾斜部と対応するドアフレーム傾斜部を有し、接触型センサーは、ドアフレーム傾斜部を有する側のドアフレーム縦辺部のガラスランの車内側側壁の先端部に取付けた昇降ドアガラスの保護構造である。
請求項2の本発明では、ドアガラスは、少なくとも一方の縦辺部の上部に下方に向けて広がる傾斜部を有し、ドアフレームは、ドアガラスの傾斜部と対応するドアフレーム傾斜部を有し、ドアフレームは、ドアガラスの傾斜部と対応するドアフレーム傾斜部を有し、接触型センサーは、ドアフレーム傾斜部を有する側のドアフレーム縦辺部のガラスランの車内側側壁の先端部に取付けているため、ドアフレームの縦辺部とドアガラスの間にドアガラスの昇降により隙間ができるが、この隙間に異物が挟まると、接触型センサーがガラスランの車内側側壁の先端部に取付けたため容易に異物を検知することができる。
また、車内側に接触型センサーを設けることにより、車内側から侵入する異物を素早く、的確に検知することができる。
接触型センサーは、ガラスランの車内側側壁の先端部に取付けたため、ガラスランの車外側側壁を小さく、薄くすることができ、ドアガラスを車外側にシフトすることができ、ドアガラスとドアフレームの車外側の面の段差を小さくすることができ、見栄えも良く、風切り音等も低減できる。車内側側壁が車外側側壁よりもガラスランの開口部の外方に突出しているため、ドアガラスが上昇したときに、すぐに検知することができる。
請求項3の本発明は、接触型センサーは、ドアフレームの上辺部に嵌め込まれたガラスランに取付けられた昇降ドアガラスの保護構造である。
請求項3の本発明では、接触型センサーは、ドアフレームの上辺部に嵌め込まれたガラスランに取付けられたため、ドアフレームの上辺部とドアガラスの上端との間に異物が挟まれたときに、直ちに異物を検知して、ドアガラスの上昇を止め、下降させることができ、異物、ドアフレーム及びガラスランが破損されることがなく、ドアガラスの駆動機構に過負荷がかかることがない。
請求項4の本発明は、ガラスランの車内側側壁の先端部のスポンジ材とソリッド材の境界面は、車内側が高く車外側が低くなる斜面である昇降ドアガラスの保護構造である。
請求項4の本発明では、ガラスランの車内側側壁の先端部のスポンジ材とソリッド材の境界面は、車内側が高く車外側が低くなる斜面であるため、ドアガラスとガラスランの間に異物が挟まれたとき、異物は、ドアガラスの先端を上にして、ガラスランの側壁を下にして斜めに接触型センサーに押圧されることが多く、この場合には、異物はスポンジ材とソリッド材の境界面に対して直角に近い角度で押圧されるため、接触型センサーを確実に押すことができる。
請求項5の本発明は、車外側側壁又は車内側側壁の先端部のスポンジ材とソリッド材の境界面は、ドアガラス側と外側が同じ高さの水平面である昇降ドアガラスの保護構造である。
請求項5の本発明では、スポンジ材とソリッド材の境界面は、ドアガラス側と外側が同じ高さの水平面であるため、ガラスランの車外側側壁と車内側側壁の長さが略同じ場合には、異物がガラスランとドアガラスの間に挟まれたときは、異物は、ガラスランの開口に対して直角に接触型センサーに押し圧されることが多く、この場合には、異物はスポンジ材とソリッド材の境界面に対して直角に近い角度で押圧されるため、接触型センサーを確実に押すことができる。
請求項6の本発明は、接触型センサーとセンサー保持孔が設けられたガラスラン側壁の先端部は、肉厚に形成され、ソリッドゴムまたは合成樹脂である昇降ドアガラスの保護構造である。
請求項6の本発明では、接触型センサーとセンサー保持孔が設けられたガラスラン側壁の先端とガーニッシュの先端は、肉厚に形成され、ソリッドゴムまたは合成樹脂で形成されたため、スポンジゴムからなるセンサーカバー部が接触型センサーを押しても、肉厚に形成されて、接触型センサーを確実に保持する先端部が大きく、接触型センサーを安定して保持することができ、ソリッドゴムまたは合成樹脂で形成されているため先端部が変形し難く、接触型センサーが圧力を確実に検知することができる。
本発明は、ドアフレームに取付けられたガラスランの車内側側壁の先端部に接触型センサーを取り付け、その接触型センサーをカバーするセンサーカバー部をスポンジ材で形成し、車内側側壁の先端部をソリッド材で形成し、スポンジ材とソリッド材の境界面を、車外側側壁の先端部と車内側側壁の先端部とを結んだ線と略平行に形成したため、ドアガラスの昇降時にガラスランとドアガラスとの間に異物が挟まれても、異物を確実に検知することができ、異物、ドアフレーム、ガラスランやドアガラス昇降機構が破損することがない。
本発明の実施の形態を図1〜図4に基づき説明する。図4は自動車の側面図である。自動車の側面にはフロントドア1とリヤドア2が設けられている。フロントドア1とリヤドア2の上部はドアガラス4が昇降自在に取付けられており、ドアガラス4は、フロントドア1とリヤドア2の上部に設けられたドアフレーム20により保持され、ドアフレーム20内を昇降する。
本発明について、リヤドアを例にとり、リヤドア2のドアフレーム20とドアガラス4との間の保護構造について、即ち、ドアフレーム20の上辺部21とドアガラス4の上端との間、及びドアフレーム20の後縦辺部23がドアフレーム傾斜部24を有する場合のその縦辺部23とドアガラス4の側端の間について説明するが、本発明は、リヤドア2の前縦辺部22、フロントドアの前縦辺部あるいは後縦辺部が傾斜部を有する場合にも、同様に実施することができる。
図4の例では、リヤドア2においては、ドア上部にドアフレーム20が設けられ、ドアフレーム20の内周にガラスラン10が取付けられている。
ドアフレーム20は、車体のルーフに近接した上辺部21と、その上辺部21のフロント側の先端から下方に延びる前縦辺部22と、その上辺部21のリヤ側の先端から下方に延びる後縦辺部23とから形成される。後縦辺部23は、上辺部21との連結部分から下方に少し、例えば4分の1から2分の1程度の長さがリヤ側に傾斜しているドアフレーム傾斜部24を有している。
このドアフレーム傾斜部24は、ドアガラス4のリヤ側側端の傾斜部に対応して形成される。
ドアフレーム20は、その内周にガラスラン10を収納するチャンネル部25を有している。チャンネル部25の断面形状は、図2に示すように、略U字形であり、車外側側部26と、底部27と、車内側側部28から形成され、車外側側部26と車内側側部28の外面には、ドアフレーム20のアウターパネルとインナーパネルが接合している。車内側側壁63の内面にはガラスラン10を保持するチャンネル突条29が設けられている。チャンネル突条29は、車外側側部26に設けてもよい。
チャンネル部25の車外側側壁11と車内側側壁13の先端がガラスラン10を嵌め込む開口部となり、ドアフレーム20の開口部20aを形成する。
図4の例では、フロントドア1では、ドアフレーム20はリヤ側の縦辺部と、フロント側からリヤ側の縦辺部の先端にかけて曲線状に形成された上辺部からなり、ドアフレーム20の内周にガラスランが取付けられている。
フロントドア1のドアガラス4は、ドアフレーム20のリヤ側の縦辺部のガラスラン内をガイドされつつ昇降し、ドアガラス4が最上部まで上昇すると、ドアガラス4の上端が上辺部のガラスラン内に収納される。従って、上辺部のガラスランに接触型センサーが設けられたり、ドアガラス4の駆動機構にトルク検出機を設けて、異物の挟み込みを防止している。
図1は、ガラスラン10の正面図である。リヤドア2のドアフレーム20に取付けられるガラスラン10は、ドアフレーム20の形状に対応して形成され、ガラスラン上辺部10aと、ガラスラン上辺部10aのフロント側先端から下方に略垂直に延びるガラスラン前縦辺部10bと、リヤ側先端から下方に延びるガラスラン後縦辺部10cからなる。
ガラスラン上辺部10aとガラスラン後縦辺部10cには、接触型センサー30が取付けられている。
まず、ガラスラン後縦辺部10cと、そこに取付けられた接触型センサー30とについて説明し、ガラスラン上辺部10aと、そこに取付けられた接触型センサー30とについての説明は後述する。
ガラスラン後縦辺部10cは、ドアフレーム20のドアフレーム傾斜部24に対応する部分が下方に向けて広がり、リヤ側に傾斜したガラスラン傾斜部10dを有している。ガラスラン傾斜部10dの長さは、ガラスラン後縦辺部10cの長さの略4分の1から2分の1程度である。ドアガラス4の側端の形状に対応してドアフレーム20の後縦辺部23が形成され、その形状に合わせてガラスラン傾斜部10dの長さが定められる。
リヤ側においては、ガラスラン後縦辺部10cは後述する接触型センサー30を有するセンサー部10gと接触型センサー30を有しない非センサー部10hの2つの部分から形成される。ガラスラン後縦辺部10cの上部にあるセンサー部10gは、ガラスラン傾斜部10dとガラスラン傾斜部10dから下方に略垂直に若干延びるガラスラン垂直部10eからなり、押出成形により略直線状に形成される。ドアフレーム20に取付けるときにガラスラン傾斜部10dとガラスラン垂直部10eの間で若干曲げて取付けられる。この断面形状については後述する。
ガラスラン上辺部10aとガラスラン前縦辺部10bは押出成形により直線状に形成され、コーナー部において型成形により形成された接合部10fにより接合される。
ガラスラン上辺部10aは、ドアフレーム20の上辺部21の略全長にわたり取付けられ、ガラスラン上辺部10aの全長にわたり接触型センサー30が取付けられている。
非センサー部10hは、通常のガラスランの断面形状で押し出し成形により直線状に形成される。ガラスラン上辺部10aと、ガラスラン後縦辺部10cのセンサー部10gと非センサー部10hは、それぞれ型成形により形成された接合部10fにより接合される。この型成形時に、ガラスラン傾斜部10dとガラスラン垂直部10eの間の曲げ部分を加熱等によりくせ付けして、曲げ加工をしても良い。
ガラスラン傾斜部10dは、ドアガラス4の後側端が全長にわたり傾斜部をなす場合には、ガラスラン後縦辺部10cの全長にわたりガラスラン傾斜部10dとなる。
ガラスラン傾斜部10dは、ドアガラス4が下降して、ドアフレーム後縦辺部23のガラスラン10とドアガラス4の側端との間に隙間ができ、その隙間に異物が挟まれた場合に、ガラスラン傾斜部10dの傾斜角度が小さいと、異物はドアガラス4の側端の傾斜部を転がり、上方に移動しやすくガラスラン後縦辺部10cとドアガラス4の間で挟まれ難く、ガラスラン上辺部10aとドアガラス4の上端で挟まれやすい。このときは、ガラスラン上辺部10aに接触型センサー30等を取付けることにより対応することができる。
しかし、ガラスラン傾斜部10dの傾斜角度が水平方向に対して45度以上になると、ドアガラス4の上昇につれて異物は、ドアフレーム20の後縦辺部23のガラスラン10とドアガラス4の側端に挟まれやすくなる。ガラスラン10のガラスラン傾斜部10d又はガラスラン垂直部10eとドアフレーム20の後縦辺部23間に挟まれた場合には、異物によるドアガラス4への負荷の分力は水平方向に大きく、垂直方向には小さくなる。このため、ドアガラス4の駆動機構にかかる負荷は少ないため、ドアガラス4が上昇しやすく、異物を挟む全体の力は大きくなるが、ドアフレーム傾斜部24に接触型センサー30が設けられているため、異物を容易に検知することができる。
次にガラスラン10のガラスラン傾斜部10dとガラスラン垂直部10eの断面形状について、図2に基づき説明する。図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。
ガラスラン10は、断面略U字形をなし、側壁車外側11、底壁12と車内側側壁13から形成される。側壁車外側11、底壁12と車内側側壁13は、それぞれチャンネル部25の車外側側部26、底部27と車内側側部28の内面に当接して、ガラスラン10が保持される。車外側側壁11と車内側側壁13の開口側先端の内面には、それぞれ車外側シールリップ16と車内側シールリップ17が、断面U字形の内部に向かって延出されている。車外側側壁11の先端の外面には車外側カバーリップ14が設けられ、車外側カバーリップ14は、ドアフレーム20の車外側側部26の先端をカバーする。
ガラスラン10は、図2に示すように車外側の車外側側壁11と車外側シールリップ16は、車内側側壁13と車内側シールリップ17と比べて小さく形成されている。このため、ドアガラス4は車外側にシフトして位置することができ、ドアガラス4とドアフレーム20の車外側の段差が少なくなり、車体外面の空気抵抗が少なくなり、デザイン的にも優れている。
このため、車内側側壁13の先端部13bが車外側側壁11の先端部よりもドアフレーム20の開口部側に突出している。従って、車内側側壁13の先端部13bに接触型センサー30を設けると、ドアガラス4が上昇したときには、異物を素早く、的確に検知することができる。また、車内側に接触型センサー30を設けることにより、車内側から侵入する異物を素早く、的確に検知することができる。
さらに、車内側側壁13の先端部13bは、ソリッドゴム、熱可塑性エラストマー、合成樹脂等の剛性の高い材料で厚肉に形成することができる。接触型センサー30とセンサー保持孔18が設けられたガラスラン側壁の先端部13bは、ソリッドゴム、熱可塑性エラストマーまたは合成樹脂で剛性が高いため、接触型センサー30を確実に保持することができ、スポンジ材からなるセンサーカバー部19が接触型センサー30を押しても、ソリッドゴム、熱可塑性エラストマーまたは合成樹脂の部分が変形し難く、接触型センサー30が圧力を確実に検知することができる。
車内側側壁13先端の外面には車内側カバーリップ15が設けられ、車内側カバーリップ15は、ドアフレーム20の車内側側部28の先端をカバーする。車外側側壁11と車内側側壁13の外面の底壁12付近には、それぞれ突条が設けられ、この突条がチャンネル部25のチャンネル突条29と係合して、ガラスラン10がドアフレーム20から抜け出ることを防止する。
なお、ドアフレーム20の車外側の面をカバーするためにガーニッシュ5を取付けてもよい。
車内側側壁13の先端部13bには、センサー保持孔18が設けられている。このセンサー保持孔18は、ガラスラン後縦辺部10cのセンサー部10gの部分の全長にわたって設けられている。センサー保持孔18は、スポンジ材で形成されたセンサーカバー部19と車内側側壁13の先端部13bとの間に設けられている。車内側側壁13の先端部13bの開口部側の面は、車内側が高く車外側が低い略傾斜した平面をなしている。即ち、この平面は、ドアガラス4側に傾斜して、車内側側壁13の先端部13bと車外側側壁11の先端部11bを結ぶ線と略平行に形成されている。この平面の両側に、センサーカバー部19が一体的に形成されている。車内側側壁13の先端部13bはその中央付近で接触型センサー30と接して、接触型センサー30を保持している。
センサー保持孔18には、断面円形の接触型センサー30が挿入されている。接触型センサー30は、柔軟性を有しているため、センサー保持孔18に容易に挿入することができるとともに、ガラスラン10がドアフレーム20に取付けられ変形しても、その変形に柔軟に追従することができる。
接触型センサー30は、例えば、中空で押圧力により弾性変形可能な合成樹脂により形成された外皮部と、外皮部の内側に設けられ、外皮部の弾性変形により互いに接触して導通する複数の電極を有するものを使用することができる。このような接触型センサー30を使用すると、圧力を全方向から検知することができ、異物がどのように挟まれても、的確に検知することができる。
なお、接触型センサー30を、ガラスラン10の後縦辺部10cと併せて上辺部21に設けることができる。この場合は、ガラスラン10の後縦辺部10cと上辺部10aのいずれにおいても異物を検知することができる。また、ガラスラン10の後縦辺部10cと上辺部10aの間のコーナー部に異物が挟まれても的確に検知することができる。
ガラスラン10は、ソリッドゴム、軟質合成樹脂、熱可塑性エラストマー等の材料で、押出成形により成形され、ガラスラン上辺部10a、ガラスラン前縦辺部10bはそれぞれ1本の押出成形品から形成され、ガラスラン後縦辺部10cは、センサー部10gと非センサー部はそれぞれ1本の押出成形品から形成され、同一または同種の材料の接合部10fで接合されている。ガラスラン10のセンサーカバー部19以外はソリッド材で形成され、センサーカバー部19はスポンジ材で形成されている。
次に、図3に示す他の実施の形態を説明する。
この実施の形態は、ガラスラン10の車外側側壁11と車内側側壁13の長さが略同じ場合のものであり、ガラスラン上辺部10aおよび縦辺部10,10cのいずれにも取付けることができる。ガラスラン10は、最初の実施の形態と断面形状が異なり、他の部分は略同様であり、同様の部分の説明は省略する。
ガラスラン10は断面略U字形をなし、車外側側壁11、底壁12および車内側側壁13を有し、側壁車外側11、底壁12と車内側側壁13は、それぞれチャンネル部25の車外側側部26、底部27と車内側側部28の内面に当接して、ガラスラン10が保持される。車外側側壁11と車内側側壁13の開口側先端の内面には、それぞれ車外側シールリップ16と車内側シールリップ17が、断面U字形の内部に向かって延出されている。車外側側壁11の先端の外面には車外側カバーリップ14が設けられ、車外側カバーリップ14は、ドアフレーム20の車外側側部26の先端をカバーする。
車外側側壁11と車内側側壁13および車外側シールリップ16と車内側シールリップ17の断面形状はそれぞれほぼ同じ対象形である。車外側カバーリップ14と車内側カバーリップ15も同様に断面形状はそれぞれほぼ同じ対象形である。
車内側側壁13の先端部13bには、センサー保持孔18が設けられている。このセンサー保持孔18は、図1に示すように、ガラスラン後縦辺部10cのセンサー部10gの部分の全長にわたって設けられている。センサー保持孔18の周りには、スポンジ材で形成された、センサーカバー部19が設けられている。車内側側壁13の先端部13bの開口部側の面は、車外側側壁11と車内側側壁13の先端を結んだ線と平行な、ほぼ水平の平面をなしている。この平面に、センサーカバー部19が一体的に形成されている。車内側側壁13の先端部13bの開口部側の面の一部は、センサー保持孔18に面している。
センサー保持孔18には、断面円形の接触型センサー30が挿入されている。接触型センサー30は、柔軟性を有しているため、センサー保持孔18に容易に挿入することができるとともに、ガラスラン10がドアフレーム20に取付けられ変形しても、その変形に柔軟に追従することができる。
次に、本発明の実施の形態における作用を説明する。
図2の形態において、ドアガラス4が下降して開いているときは、ドアガラス4とドアフレーム20の間には空間ができる。このときドアガラス4とドアフレーム20の間には異物が存在する可能性がある。即ち、ドアフレーム20の上辺部21とドアガラス4の上端との間や、リヤドアの後縦辺部23のように傾斜部24を有する場合は、そのドアフレーム縦辺部23の傾斜部24及び傾斜部24の下部と、ドアガラス4の側端との間に隙間ができ、その隙間に異物が挟まる可能性がある。
ドアガラス4が上昇するときに、その異物がドアガラス4の上昇につれて押されてガラスラン10の車内側側壁13の先端を押すこととなる。ガラスラン10のセンサー部10gの車内側側壁13の先端には、スポンジ製のセンサーカバー部19にカバーされた接触型センサー30が設けられており、その圧力を検知する。接触型センサー30の検知した信号がドアガラス4の昇降駆動機構に伝達され、ドアガラス4の上昇が止まり、下降する。これによって、ドアフレーム傾斜部24とドアガラス4の側端との間に挟まった異物やドアフレーム20やドアガラス4の昇降駆動機構も破損することがない。
このとき、センサーカバー部19をスポンジ材で形成し、車内側側壁13をソリッド材で形成し、スポンジ材とソリッド材の境界面を、車外側側壁11の先端部と車内側側壁13の先端部を結んだ線と略平行に形成したため、異物がドアガラス4とドアフレーム20に装着されたガラスラン10との間で挟まれたときに、異物が接触型センサー30を押す。このときに、異物はガラスラン10の車外側側壁11の先端部と車内側側壁13の先端部の両方に接触しつつ、ドアガラス4の先端で挟まれて、押し付けられる。そのため、異物はスポンジ材とソリッド材の境界面に対して略平行に接触型センサー20に移動する。このため、異物は、接触型センサー20をスポンジ材とソリッド材の境界面に対して直角に押して、そのとき接触型センサー20は、ソリッド材により支えられることができる。したがって、接触型センサー20を確実に作動させ、異物を検知することができる。
図3の実施の態様においても同様に、ドアフレームの上辺部21とドアガラス4の上端との間に隙間ができ、その隙間に異物が挟まっても、異物は、ガラスラン10の先端と平行に移動して、接触型センサー30を押してガラスラン10の車内側側壁13の先端に取付けられた接触型センサー30が検知して、ドアガラス4の上昇が止まり、下降する。これによって、ドアフレーム傾斜部24とドアガラス4の側端との間に挟まった異物、ガーニッシュ40、ドアフレーム20やドアガラス4の昇降駆動機構が破損することがない。
本発明の実施の態様である、ガラスランの正面図である。 図1のA−A線に沿った断面図である。 本発明の他の実施の態様である図1のA−A線に沿った断面図である。 本発明を実施する自動車の側面図である。 従来の接触型センサー付ガラスランの断面図である。
符号の説明
10 ガラスラン
13 車内側側壁
18 センサー保持孔
19 センサーカバー部
20 ドアフレーム
24 ドアフレーム傾斜部
30 接触型センサー

Claims (6)

  1. 自動車用ドアの上部の上辺部と、該上辺部から縦方向下方に延びる縦辺部とを有するドアフレームと、該ドアフレームのドアガラス開口側から嵌め込まれたガラスランとを有し、該ガラスラン内をドアガラスが昇降する昇降ドアガラスの保護構造において、
    該ガラスランは、車外側側壁、底壁と車内側側壁からなる断面略U字形をなし、少なくとも上記車内側側壁の先端部に一体に形成したセンサーカバー部を設け、該センサーカバー部と上記先端部の間にセンサー保持孔を設け、該センサー保持孔に接触型センサーを取り付け、
    上記センサーカバー部をスポンジ材で形成し、少なくとも上記車内側側壁をソリッド材で形成して上記先端部の剛性を高くするとともに、上記スポンジ材とソリッド材の境界面を、上記車外側側壁の先端部と車内側側壁の先端部を結んだ線と略平行に形成した上記ドアガラスの昇降を制御する昇降ドアガラスの保護構造。
  2. 上記ドアガラスは、少なくとも一方の縦辺部の上部に下方に向けて広がる傾斜部を有し、上記ドアフレームは、上記ドアガラスの傾斜部と対応するドアフレーム傾斜部を有し、上記接触型センサーは、上記ドアフレーム傾斜部を有する側のドアフレーム縦辺部の上記ガラスランの車内側側壁の先端部に取付けた請求項1に記載の昇降ドアガラスの保護構造。
  3. 上記接触型センサーは、上記ドアフレームの上辺部に嵌め込まれた上記ガラスランに取付けられた請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の昇降ドアガラスの保護構造。
  4. 上記ガラスランの車内側側壁の先端部の上記スポンジ材とソリッド材の境界面は、車内側が高く車外側が低くなる斜面である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の昇降ドアガラスの保護構造。
  5. 上記車外側側壁又は車内側側壁の先端部の上記スポンジ材とソリッド材の境界面は、ドアガラス側と外側が同じ高さの水平面である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の昇降ドアガラスの保護構造。
  6. 上記接触型センサーと上記センサー保持孔が設けられた上記ガラスラン側壁の先端部は、肉厚に形成され、ソリッドゴムまたは合成樹脂である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の昇降ドアガラスの保護構造。
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