JP2005152385A - 熱可塑性ギプス - Google Patents

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Abstract

【課題】 通気性を有する熱可塑性ギプスを提供する。
【解決手段】 本熱可塑性ギプスは、腕を挿通するための内側筒部1の外側に熱可塑性樹脂層2、外側筒部3の三層構造とされている。内側筒部1、外側筒部3は通気性、伸縮性を有する繊維或いは不織布から成り、熱可塑性樹脂層2は内側筒部1の外側に塗布され、更にその上層として外側筒部3が被着されている。この熱可塑性樹脂層2は多数の孔2aを有するネット模様とされている。使用に際しては、熱可塑性ギプスをオーブン、加熱槽等を介して加熱することにより、熱可塑性樹脂層2を軟化させた後に、固定すべき腕に通し、患部の形状に沿って成型する。そのまま放置すると、熱可塑性樹脂層2の温度が降下して固化し、所望の形状のギプスとなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば骨折等した患部を固定するために装着する熱可塑性ギプス及びその製造方法に関するものである。
従来から、骨折、脱臼、捻挫、肉離れした患部を固定するためにギプスが用いられている。また、患部を固定する以外にも、手術後の安定保持や矯正や義肢・義足を製作する際の型取り等にも用いられている。
従来のギプスは、患部に石膏を含ませたギプス包帯を濡らしながら患部に巻囲することにより石膏を固化して成型している。
また、特許文献1に示すように、石膏を用いずに伸縮性を有する織布にシート状の熱可塑性樹脂を積層した固定手段も知られている。
特開2003−144484号公報
しかしながら、従来の石膏ギプスには、次のような欠点がある。(1)ギプス全体が例えば石膏から成っているため、通気性が乏しく皮膚が蒸れ易い。(2)包帯に石膏が染み込んでいるため、包帯が伸縮性を失ってしまう。(3)石膏が乾燥しないうちに、ギプス包帯を手際よく巻き付ける必要があり、熟練した技術が必要である。(4)石膏が強固に固まり過ぎ、固定時の伸縮性・屈曲性が乏しく、痛みを感ずる場合がある。(5)湿式状態で石膏が皮膚に触れるため、皮膚の弱い患者はかぶれる場合もある。(6)多量の石膏を含んでいるため重量があり、女性等の筋力の乏しい患者には体力的な負担が大きい。(7)取り外す際には電動カッタなどを用いて石膏ギプスを切断する必要があり、患者に恐怖心を与える。
また、特許文献1の熱可塑性樹脂を用いた固定手段は、加熱により柔軟性が生じ常温で固化するので、上述の欠点をかなり解消するものの、熱可塑性樹脂自体が通気性を有しないため蒸れ易く、伸縮性に乏しい問題点がある。
本発明の目的は、上述の課題を解消し、適度の通気性及び伸縮性を得ることのできる熱可塑性ギプスを提供することにある。
上述の目的を達成するための本発明に係る熱可塑性ギプスは、通気性、伸縮性を有する第1の基材上に、多数の孔を形成して成る熱可塑性素材層と、通気性、伸縮性を有する第2の基材とを順次に積層したことを特徴とする。
本発明に係る熱可塑性ギプスによれば、装着が容易であると共に、使用時における適度の通気性を確保することにより皮膚の蒸れを防止することができる。
本発明を図示の実施例により詳細に説明する。
図1は熱可塑性ギプスの一部を切欠した斜視図、図2は断面図である。この熱可塑性ギプスは、例えば腕を挿通するための内側筒部1の外側に、熱可塑性素材層として熱可塑性樹脂層2、外側筒部3を配置した三層構造とされている。内側筒部1、外側筒部3は通気性、伸縮性を有する例えば木綿等の自然繊維や合成樹脂繊維或いは不織布、紙等の繊維材から成り、熱可塑性樹脂層2は内側筒部1の外側に塗布され、更にその上層として外側筒部3が被着されている。
熱可塑性樹脂層2としては、加熱により軟化し常温で固化する例えばオレフィン系樹脂、エチレン−プロピレン系樹脂、ブチル系樹脂、ウレタン系樹脂等の材料が使用可能であり、この熱可塑性樹脂層2は糸状部を斜め方向に交差して張りめぐらし、多数の孔2aを有するネット模様とされている。
図3はこの熱可塑性ギプスを製造する装置の概略図を示しており、円筒状の軸部11がモータ12により回転するようにされている。また、軸部11に対向してノズル13が設けられ、このノズル13は軸部11の軸方向に対して図示しない駆動手段によって往復平行移動するようにされている。更に、このノズル13には図示しないタンクから、溶解した熱可塑性樹脂を供給するためのホース14が接続されている。なお、ノズル13、ホース14、タンクは樹脂を溶融状態に保持するための加熱手段を有している。
先ず、軸部11に内側筒部1を挿通した後に、軸部11を回転し、ノズル13をこの回転軸1に対して平行往復移動しながら、溶解した熱可塑性樹脂をホース14を介してノズル13から内側筒部1の表面に噴射すると、図1に示すように熱可塑性樹脂層2がネット模様に形成される。このようにして、熱可塑性樹脂層2を吹き付けた内側筒部1上に、外側筒部3を挿着することにより熱可塑性ギプスは完成する。
熱可塑性樹脂層2は図1に示すネット模様とは限らず、例えば複数本のノズルを左右運動、円運動を伴って噴射して形成した図4(a)〜(c)に示すような模様でもよい。
この熱可塑性ギプスは、例えばオーブン、加熱槽等を介して加熱することにより、熱可塑性樹脂層2を軟化させた後に、固定すべき腕等に通し、患部の形状に沿って成型する。そのまま安静にして、熱可塑性樹脂層2の温度が降下すると、熱可塑性樹脂層2は固化して所望の形状のギプスとして作用する。
また、熱可塑性樹脂層2はネット模様としたが、格子模様、蜘蛛の巣形状、ハニカム形状、ランダム模様等の多数の孔が穿いた模様であれば、通気性や装着時の伸縮性が得られる。また、孔の形成はノズル13によることもなく、例えば加熱ロールによる印刷等の手段によってもよい。熱可塑性樹脂層2は孔によって分離されることなく、連結していれば、患部の形状に沿って成型した際に、型崩れを生ずることはない。
また、取り外しに際しては、ドライヤ等を用いて熱可塑性樹脂層2を加熱することによって軟化してから取り外せば、このギプスを再使用することができる。この場合には、従来の石膏ギプスのように、電動カッタを用いることもないので、患者に恐怖心を与えることもない。
図5は実施例2の一部を切欠した斜視図を示し、通気性、伸縮性を有する繊維材21、22の間に、同じ大きさ又は異なる大きさの多数の孔23aを規則正しく或いはランダムに水玉模様に設けた熱可塑性樹脂シート23を挟んで、三層に重ね合わせた後に、筒状に縫い合わせて、筒状の熱可塑性ギプスを製造することもできる。
また、三層構造のままロール状に巻回しておき、使用時に必要な長さに断裁してから加熱して軟化させ、患部に直接巻き付けたり、貼り付けて使用することもできる。
実施例2においては、孔23aを穿けた熱可塑性樹脂シート23を用いたが、繊維材21上に実施例1に示すように、熱可塑性樹脂層2をノズルにより吹き付けたり、印刷することもできる。
なお、熱可塑性素材層は実施例で述べた熱可塑性樹脂層2だけでなく、自然界に存在する例えば松脂、琥珀、蝋のような加熱により軟化して、常温で固化する材料を主体とすることもできる。
実施例1の熱可塑性ギプスの一部を切欠した斜視図である。 熱可塑性ギプスの断面図である。 熱可塑性ギプス製造装置の概略図である。 熱可塑性樹脂層の模様の説明図である。 実施例2の熱可塑性ギプスの一部を切欠した斜視図である。
符号の説明
1 内側筒部
2 熱可塑性樹脂層
3 外側筒部
11 軸部
12 モータ
13 ノズル
21、22 繊維材
23 熱可塑性樹脂シート

Claims (7)

  1. 通気性、伸縮性を有する第1の基材上に、多数の孔を形成して成る熱可塑性素材層と、通気性、伸縮性を有する第2の基材とを順次に積層したことを特徴とする熱可塑性ギプス。
  2. 前記第1、第2の基材は布地又は不織布とした請求項1に記載の熱可塑性ギプス。
  3. 前記熱可塑性素材層は熱可塑性樹脂とした請求項1に記載の熱可塑性ギプス。
  4. 前記熱可塑性樹脂は前記第1の基材上に溶解した状態で吹き付けて形成した請求項3に記載の熱可塑性ギプス。
  5. 前記熱可塑性素材層は、ノズルによりネット状に吹き付けた請求項4に記載の熱可塑性ギプス。
  6. 前記熱可塑性素材層は前記第1の基材上に多数の孔を形成した熱可塑性樹脂シートを接着して構成した請求項3に記載の熱可塑性ギプス。
  7. 前記第1の基材、前記熱可塑性素材層、前記第2の基材は、それぞれ筒状に形成した請求項1〜6の何れか1つの請求項に記載の熱可塑性ギプス。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014000185A (ja) * 2012-06-18 2014-01-09 Tatsuhiro Maeda 身体用サポータ
JP2020022802A (ja) * 2013-09-24 2020-02-13 ウーリ マテリアル インコーポレイテッドWoori Material Inc. 優れた変形性と剛性とを有する熱可塑性ギプスおよびその製造方法

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