JP2005149942A - 電気光学装置、その製造方法、および電子機器 - Google Patents

電気光学装置、その製造方法、および電子機器 Download PDF

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JP2005149942A JP2003386779A JP2003386779A JP2005149942A JP 2005149942 A JP2005149942 A JP 2005149942A JP 2003386779 A JP2003386779 A JP 2003386779A JP 2003386779 A JP2003386779 A JP 2003386779A JP 2005149942 A JP2005149942 A JP 2005149942A
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Abstract

【課題】 表示される画像の変更に要するコストを低減する。
【解決手段】 電気光学装置100は、基材10の板面上にマトリクス状に配列されて各
々がOLED素子15を有する複数の単位素子Uと、単位素子Uごとに設けられて受光量
に応じた電気エネルギを当該単位素子UのOLED素子15に供給する複数の光電変換素
子4とを有する。各光電変換素子4の光電変換効率は、表示画像の階調に応じて単位素子
Uごとに適宜に選定されている。
【選択図】 図2


Description

本発明は、電流の供給や電圧の印加といった電気的な作用を輝度(階調)や透過率の変
化といった光学的な作用に変換する電気光学素子を用いて画像を表示する技術に関する。
有機発光ダイオード(以下「OLED(Organic Light Emitting Diode)」という)素
子などの電気光学素子を用いて画像を表示する装置は、マトリクス状に配列された画素に
より多様な画像を表示するドットマトリクス型と、特定の画像を固定的に表示するセグメ
ント型とに大別される。このうちセグメント型の電気光学装置においては、例えば特許文
献1に示されるように、表示されるべき画像の形状となるようにパターニングされた電極
によって電気光学素子が駆動される。
特開2001−244081(段落0027および第1図)
しかしながら、このセグメント型の電気光学装置においては、電極をパターニングする
ためのフォトマスクを表示されるべき画像ごとに作成する必要があるため、画像が異なる
電気光学装置を新たに製造するために多大なコストを要するという問題がある。本発明は
、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示される画像の変更に要
するコストを低減することにある。
この目的を達成するために、本発明に係る電気光学装置の第1の特徴は、面状に配列さ
れて各々が電気光学素子を有する複数の単位素子と、単位素子ごとに設けられて受光量に
応じた電気エネルギを当該単位素子の電気光学素子に供給する複数の光電変換素子であっ
て、一の光電変換素子の光電変換効率と他の光電変換素子の光電変換効率とが異なる複数
の光電変換素子とを具備することにある。なお、本発明における電気光学素子は、電流や
電圧といった電気エネルギを輝度(発光量)や透過率といった光学的特性の変化に変換す
る素子である。電気光学素子の典型的な例は、有機EL(ElectroLuminescent)や発光ポ
リマーなどの有機発光ダイオード(OLED)素子である。もっとも、本発明における電
気光学素子としては、OLED素子に代表される自発光型の素子(すなわち自らが発光す
る性質を有する素子)に限られず、入射光を電気エネルギに応じた透過率にて透過させる
非自発光型の素子(例えば液晶)も採用され得る。一方、本発明における光電変換素子は
、受光した光を電気エネルギに変換する素子である。光電変換素子の典型的な例は、シリ
コンなどの半導体のpn接合部に対する光照射によって起電力を発生する素子(太陽電池
)である。
本発明においては、単位素子ごとに設けられた光電変換素子にて発生した電気エネルギ
に応じて電気光学素子が駆動される構成のもとで、一の光電変換素子の光電変換効率(換
言すれば発電効率)と他の光電変換素子の光電変換効率とが異なっている。この構成によ
れば、仮に各光電変換素子の受光量が等しい場合であっても電気光学素子からの出射光量
は光電変換素子の光電変換効率に応じて単位素子ごとに異なるから、各光電変換素子の光
電変換効率を適宜に選定することによって所望の画像が複数の階調にて表示されることと
なる。すなわち、それぞれ異なる画像を表示する電気光学装置を製造する場合であっても
各単位素子の構成自体は共通化されるから、例えば電気光学素子に電気エネルギを供給す
るための電極など種々の構成要素をパターニングするためのフォトマスクを画像ごとに作
成する必要はない。したがって、本発明によれば、それぞれ異なる画像を表示する電気光
学装置を製造するために要するコストを低減することができる。
本発明に係る電気光学装置においては、単位素子ごとに設けられた光電変換素子の光電
変換効率を表示画像に応じて選定する構成のほか、総ての光電変換素子の光電変換効率を
略同一としたうえで各単位素子の光制御部の光学的特性を異ならせる構成も採用され得る
。すなわち、本発明に係る電気光学装置の第2の特徴は、面状に配列されて各々が電気光
学素子を有する複数の単位素子と、単位素子ごとに設けられて受光量に応じた電気エネル
ギを当該単位素子の電気光学素子に供給する複数の光電変換素子と、単位素子の配列面に
垂直な方向からみて複数の光電変換素子のうち1以上の光電変換素子と重なるように設け
られて入射光の特性を変化させる光制御部とを具備することにある。もっとも、この構成
においても上記第1の特徴に係る電気光学装置と同様に、一の光電変換素子の光電変換効
率と他の光電変換素子の光電変換効率とを異ならせてもよい。
この構成においては、複数の単位素子のうち1以上の単位素子に対応するように光制御
部が設けられるから、光制御部が設けられた単位素子において当該光制御部を透過したう
えで光電変換素子に到達する光の特性(例えば光量)と、光制御部が設けられていない単
位素子において光電変換素子に到達する光の特性とは異なる。加えて、光制御部が設けら
れた単位素子の電気光学素子から出射して当該光制御部を透過したうえで観察者に視認さ
れる光の特性と、光制御部が設けられていない単位素子の電気光学素子から出射して光制
御部を透過することなく観察者に視認される光の特性とは異なる。そして、光制御部が設
けられた単位素子からの出射光の特性と光制御部が設けられていない単位素子からの出射
光の特性との相違は観察者によって表示画像の階調の相違として認識されるから、複数の
単位素子のうち表示画像に応じて選択された単位素子に対して選択的に光制御部を設ける
ことにより、所望の画像を表示し得る電気光学装置が得られる。したがって、この構成に
あっても、例えば電気光学素子に電気エネルギを供給するための電極など種々の構成要素
をパターニングするためのフォトマスクを画像ごとに作成する必要はないから、電気光学
装置を製造するために要するコストを低減することができる。
上記第2の特徴に係る電気光学装置において、各々が単位素子と重なるように設けられ
た複数の光制御部のうち一の光制御部の光学的特性と他の光制御部の光学的特性とを異な
らせれば、電気光学素子から観察側への出射光量を多様化することができるから、より多
くの階調からなる画像を表示することが可能となる。このように各光制御部の光学的な特
性を異ならせる構成としては以下の構成が考えられる。例えば、入射光の一部を透過させ
る光フィルタ層を光制御部として採用した場合には、複数の光制御部のうち一の光制御部
の光フィルタ層と他の光制御部の光フィルタ層とで透過率を異ならせればよい。また、照
射光の一部を透過させて他の一部を反射する第1および第2の半透過反射層の間に、照射
光を透過させる透光層を介挿してなる光干渉層を光制御部として採用した場合には、複数
の光制御部のうち一の光制御部の光干渉層における透光層と他の光制御部の光干渉層にお
ける透光層とで膜厚を異ならせればよい。さらに、入射光を屈折させるレンズを備えたレ
ンズ層を光制御部として採用した場合には、複数の光制御部のうち一の光制御部のレンズ
層におけるレンズと他の光制御部のレンズ層におけるレンズとで焦点距離を異ならせれば
よい。もっとも、光制御部としてこれ以外の構成を採用してもよいことはもちろんである
。また、例えば、光フィルタ層、光干渉層、レンズ層、およびその他の構成を有する層の
なかから選択された2以上の層を積層することによって光制御部を構成してもよい。
上記第1および第2の特徴を有する電気光学装置の他の態様においては、複数の単位素
子のうち1以上の単位素子において光電変換素子から電気光学素子に至る給電経路上に抵
抗体が設けられる。この構成によれば、抵抗体の有無に応じて各単位素子における電気光
学素子からの出射光量を異ならせることができるから、より多くの階調からなる多様な画
像の表示が実現される。また、単位素子ごとに抵抗体の抵抗値を適宜に選定すればさらに
多くの階調からなる画像を表示することができる。本発明の他の態様においては、単位素
子の配列面に垂直な方向からみて複数の単位素子のうち1以上の単位素子における電気光
学素子と重なるように絶縁体が設けられる。この態様によっても、絶縁体の有無に応じて
各単位素子における電気光学素子からの出射光量を異ならせることができるから、多数の
階調からなる画像の表示が実現される。また、この態様において、絶縁体が電気光学素子
と重なる面積を適宜に選定すれば、画像の階調をさらに多様化することができる。
本発明に係る電気光学装置は、携帯電話機など各種の電子機器の表示装置として用いら
れる。この表示装置の表示領域のうち一部の領域のみに本発明が適用された構成も好適で
ある。すなわち、表示領域のうち第1の領域においてはドットマトリクス型の表示方式に
よって種々の画像が表示される一方、第1領域とは異なる第2領域においては本発明の適
用によって固定的な画像が表示される。
また、本発明に係る製造方法の第1の特徴は、各々が電気光学素子を有する複数の単位
素子を平板状の基材の板面上に形成する工程と、受光量に応じた電気エネルギを単位素子
の電気光学素子に供給する光電変換素子を単位素子ごとに基材の板面上に形成する工程で
あって、これらの光電変換素子のうち一の光電変換素子の光電変換効率と他の光電変換素
子の光電変換効率とが異なるように複数の光電変換素子を形成する工程とを有することに
ある。この方法によれば、光電変換素子の光電変換効率を単位素子ごとに適宜に異ならせ
ることによって複数の階調からなる所望の画像を表示する電気光学装置が得られるから、
表示すべき画像ごとに異なるフォトマスクを作成する必要はない。したがって、本発明に
よれば、それぞれ異なる画像を表示する電気光学装置の製造に要するコストを低減するこ
とができる。
さらに、本発明に係る製造方法の第2の特徴は、各々が電気光学素子を有する複数の単
位素子を平板状の基材の板面上に形成する工程と、受光量に応じた電気エネルギを単位素
子の電気光学素子に供給する光電変換素子を単位素子ごとに基材の板面上に形成する工程
と、基材の板面に垂直な方向からみて複数の光制御部のうち1以上の光電変換素子と重な
るように、入射光の特性を変化させる光制御部をの板面上に形成する工程とを有すること
にある。この方法によれば、複数の単位素子のなかから選択された単位素子に対して選択
的に光制御部を設けることによって所望の画像を表示する電気光学装置が得られるから、
それぞれ異なる画像を表示する電気光学装置の製造に要するコストを低減することができ
る。
なお、上記第1および第2の特徴に係る製造方法において各工程が実施される順番は任
意である。例えば、第1の特徴に係る製造方法においては、光電変換素子を形成した後に
電気光学素子を含む単位素子を形成してもよい。また、第2の特徴に係る製造方法におい
ては、電気光学素子を含む単位素子や光制御部を形成した後に光電変換素子を形成しても
よい。
本発明に係る電気光学装置の各部は液滴吐出法(インクジェット法)によって形成され
得る。この液滴吐出法によれば、液滴の吐出量や着弾位置の制御といった工程の管理が容
易であるとともに、フォトリソグラフィ技術などを用いた工程と比較して製造コストが低
廉であるといった利点がある。例えば、本発明に係る電気光学装置の光電変換素子は液滴
吐出法によって形成され得る。具体的には、光電変換素子となる物質を含む液滴を吐出口
から吐出して基材上に着弾させることによって光電変換素子が形成される。この方法にお
いて、一の光電変換素子と他の光電変換素子とで基材上に着弾させる液滴量を異ならせれ
ば、一の光電変換素子の光電変換効率と他の光電変換素子の光電変換効率とを異ならせる
ことができるから、多くの階調からなる画像を表示する電気光学装置が得られる。
また、光制御部を形成する工程においても液滴吐出法が用いられる。具体的には、光制
御部となる物質を含む液滴を吐出口から吐出して基板上に着弾させることによって光制御
部が形成される。例えば、上述した光フィルタ層、光干渉層における透光層、あるいはレ
ンズ層は液滴吐出法によって形成され得る。この方法においても、一の光制御部と他の光
制御部とで基材上に着弾させる液滴を異ならせれば、一の光制御部の光学的特性と他の光
制御部の光学的特性とを異ならせることができるから、多くの階調からなる画像を表示す
る電気光学装置が得られる。さらに、各単位素子の電気光学素子を液滴吐出法によって形
成してもよい。
図面を参照しながら本発明を実施するための具体的な形態を説明する。以下では、有機
エレクトロルミネッセンス素子や発光ポリマーなどのOLED素子を電気光学素子として
用いた電気光学装置に本発明が適用された形態を例示するが、本発明の適用され得る範囲
をこの装置に限定する趣旨ではない。また、以下に示す各図においては、各構成要素を図
面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは
適宜に異ならせてある。
<A:第1実施形態>
<A−1:電気光学装置の構成>
図1は、本実施形態に係る電気光学装置の構成を示す平面図であり、図2は、この電気
光学装置の構成を示す断面図である。これらの図に示されるように、電気光学装置100
は、平板状の基材10を有する。この基材10は、ガラスやプラスチックなどの光透過性
を有する材料からなる。本実施形態に係る電気光学装置100は、図2に示されるOLE
D素子15から発せられた光が基材10とは反対側(図2における上側)に出射されるト
ップエミッション型のパネルである。
図1に示されるように、基材10の板面上には複数の単位素子UがX方向およびY方向
にわたってマトリクス状に配列されている。基材10の板面に垂直な方向からみると、こ
れらの単位素子Uの各々は略同一の矩形状である。図2に示されるように、各単位素子U
は、基材10の板面上に設けられたOLED素子15と、OLED素子15を挟んで基材
10に対向する第2電極12とにより構成される。第2電極12は、複数の単位素子Uに
わたって連続する単一の電極である。
図2に示されるように、基材10の板面はその全域にわたって単一の第1電極11によ
って覆われている。この第1電極11は、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxi
de)などの光透過性を有する導電性材料により形成される。さらに、第1電極11が設け
られた基材10の板面上には隔壁13が設けられている。この隔壁13は、X方向または
Y方向に相互に隣接する単位素子Uの各間隙と重なるように格子状に設けられて基材10
の板面から突出する。換言すると、複数の単位素子Uの各々は隔壁13によって区分され
ていると捉えることができる。
基材10の板面上には単位素子Uごとに光電変換素子4が設けられている。さらに詳述
すると、各光電変換素子4は、第1電極11の表面上にあって隔壁13により四方を囲ま
れた空間(窪み)に入り込むように設けられる。各光電変換素子4は、受光量に応じた電
圧を発生する素子(すなわち受光した光を電気エネルギに変換する素子)であり、電荷発
生層41と電荷輸送層42とが基材10側からこの順番に積層された構成を有する。この
うち電荷発生層41は、受光によって電荷を発生する膜体であり、上述した第1電極11
と電気的に接続されている。一方、電荷輸送層42は、電界によって電荷の移動を生じさ
せる膜体である。電気光学素子たるOLED素子15は、光電変換素子4の表面上(より
詳細には電荷輸送層42の表面上)にあって隔壁13により四方を囲まれた空間に入り込
むように設けられている。したがって、ひとつの単位素子UのOLED素子15と光電変
換素子4とは基材10の板面に垂直な方向からみて相互に重なり合う。各OLED素子1
5は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層が積層された構造
を有する。
第2電極12は、隔壁13およびOLED素子15が設けられた基材10の板面を覆う
電極であり、OLED素子15の陰極として機能する。本実施形態における第2電極12
は、インジウム錫酸化物などの光透過性を有する導電性材料により形成されている。第2
電極12が形成された基材10の板面はその全域にわたり封止層18によって覆われてい
る。この封止層18は、基材10上に形成された第2電極12などの各要素を保護するた
めの層であり、光透過性を有する。この構成のもと、観察側から入射して封止層18およ
び第2電極12を透過した太陽光や室内照明光などの外光(以下では単に「外光」という
)は、さらにOLED素子15を透過して光電変換素子4に到達する。さらに、本実施形
態においては、第1電極11が光透過性を有するため、基材10側から入射して第1電極
11を透過した外光も光電変換素子4に到達する。光電変換素子4は、こうして照射され
る光に応じた起電力を発生する。
図3は、本実施形態に係る電気光学装置100の電気的な構成を示す回路図である。同
図においては、OLED素子15が便宜的にダイオードの記号によって示されている。同
図に示されるように、この電気光学装置100においては、各単位素子UごとにOLED
素子15と光電変換素子4とが直列接続されるとともに、各OLED素子15の一方の端
子が第2電極12に共通に接続され、各光電変換素子4の一方の端子が第1電極11に共
通に接続されている。この構成のもと、各光電変換素子4に起電力が発生すると、これに
応じた電圧が各単位素子UのOLED素子15に印加される。そして、この電圧に応じた
電流がOLED素子15に流れて発光する。
本実施形態に係る電気光学装置100は特定の画像(以下「対象画像」という)を複数
の階調にて表示する装置である。この表示を実現するために、本実施形態においては、各
光電変換素子4の光電変換効率が単位素子Uごとに適宜に選定されている。より具体的に
は、光電変換素子4の電荷発生層41および電荷輸送層42の膜厚が、対象画像を構成す
る各ドットの階調に応じて単位素子Uごとに異なっている。このように膜厚を異ならせる
ことにより、仮に照射光量が等しい場合であっても各光電変換素子4の起電力は単位素子
Uごとに異なる。例えば、図4に示されるように、明るい階調の背景とこれよりも暗い階
調の文字「ABC」とを含む対象画像を想定する。このような対象画像を表示する電気光
学装置100においては、背景を構成する単位素子Uに対応した光電変換素子4の膜厚が
、文字「ABC」を構成する単位素子Uに対応した光電変換素子4の膜厚よりも厚く設定
される。光電変換素子4の膜厚が大きいほど当該光電変換素子4による起電力は大きくな
るから、背景に対応する単位素子UのOLED素子15の発光量は文字「ABC」に対応
する単位素子UのOLED素子15の発光量よりも大きくなり、この結果として図4に示
される対象画像が表示されるのである。また、図4においては、文字「A」の階調が文字
「B」の階調よりも明るく、文字「B」の階調が文字「C」の階調よりも明るい場合が想
定されている。したがって、文字「B」を構成する単位素子Uの光電変換素子4は、文字
「A」に対応する光電変換素子4の膜厚よりも薄く、文字「C」に対応する光電変換素子
4の膜厚よりも厚く形成されることとなる。
このように本実施形態においては、光電変換素子4の膜厚に応じて対象画像の階調が任
意に選定される。したがって、画素ごとに薄膜トランジスタなどのスイッチング素子が設
けられたアクティブマトリクス型の電気光学装置100と比較して極めて簡易な構成であ
るにも拘わらず、高品位かつ高精細な表示が実現される。
<A−2:電気光学装置の製造方法>
次に、上述した電気光学装置100の製造方法を説明する。
まず、図5(a)に示されるように、基材10の板面上に第1電極11が形成される。
より具体的には、インジウム錫酸化物や酸化インジウム、酸化亜鉛系アモルファスなどの
光透過性を有する導電性材料からなる薄膜を真空蒸着やスパッタリングなどの成膜技術に
よって形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いたパターニング
処理により薄膜の周縁部を除去することによって第1電極11が得られる。なお、アルミ
ニウム、マグネシウム、リチウムまたはカルシウムといった単体金属やこれらを主成分と
する合金など光反射性を有する材料によって第1電極11を形成してもよい。この場合に
は、OLED素子15から観察側とは反対側(図2における下側)に発せられた光を第1
電極11の表面において観察側に反射させることによって表示画像の明るさを向上させる
ことができる。第1電極11はOLED素子51の陽極として機能するため、仕事関数は
4.5eV以上であることが望ましく、さらに好ましくは4.5eV以上かつ5.5eV
以下とされる。
次に、図5(b)に示されるように、第1電極11が形成された基材10の板面上に隔
壁13が形成される。具体的には、ポリイミドやアクリル、ポリアミドといった感光性の
有機材料を基材10上に塗布した後に加熱により硬化させ、この有機膜に対して所定のフ
ォトマスクを用いた露光と現像とを施すことによって格子状の隔壁13が得られる。さら
に、隔壁13に対してCF、SiFまたはBFなどのガスを反応ガスとしたプラズ
マ処理が施されて、その表面が撥液性(例えば撥水性)を呈するように改質される。なお
、隔壁13の表面を改質するのではなく、隔壁13の形成に用いられる有機材料に弗化物
を添加することによって隔壁13自体が撥液性を呈するようにしてもよい。
次いで、図5(c)に示されるように、隔壁13により区画された多数の領域(以下「
単位領域」という)Auの各々に電荷発生層41と電荷輸送層42とが順次に形成されて
光電変換素子4が得られる。この形成には液滴吐出法が用いられる。すなわち、図5(c
)に示されるように、各単位領域Auの上方に吐出口51を移動させたうえで、この吐出
口51から電荷発生層41となる物質を含む液滴を吐出して基材10の板面上に着弾させ
る。これを総ての単位領域Auについて繰り返したうえで乾燥させることによって電荷発
生層41が得られる。この後、電荷輸送層42となる物質を用いて同様の工程を繰り返す
ことによって電荷輸送層42が得られる。この電荷発生層41および電荷輸送層42の各
々を形成する工程においては、各層が対象画像の階調に応じた膜厚となるように、基材1
0上に着弾させる液適量が調整される。具体的には、吐出口51から一回に吐出される液
滴量や液滴を吐出する回数を適宜に選定することにより、対象画像の階調に応じた膜厚の
電荷発生層41および電荷輸送層42が得られる。
電荷発生層41は、例えば、チタニル・フタロシアニンや銅・フタロシアニンといった
金属フタロシアニン類やペリレン類など各種の材料によって形成され得る。また、電荷輸
送層42は、例えば、ヒドラゾン類やアリーアミン類、あるいはオキサゾール類などの材
料によって形成され得る。電荷発生層41となる材料に対して電荷を増倍させる作用を持
った材料(例えば酸化チタンなど)を添加して電荷発生層41を形成すれば、光電変換効
率の高い光電変換素子4が得られる。これらの低分子材料をバインディングポリマーによ
ってコーティングしたうえで溶媒に溶解または分散媒に分散させることによって、吐出口
からの吐出に適したインクを作成することができる。また、バインディングポリマーとし
て加熱により溶解するものを用いれば、基材10上に吐出された液滴を加熱して溶媒また
は分散媒を蒸発させることによって光電変換素子4が得られる。
さて、以上の工程により光電変換素子4が形成された後、図5(d)に示されるように
、単位領域Auごとに光電変換素子4を覆うようにOLED素子15が形成される。この
形成にも液滴吐出法が用いられる。すなわち、図5(d)に示されるように、各単位領域
Auの上方に吐出口52を移動させたうえで、この吐出口52から電気光学物質を含む液
滴を吐出して基材10の板面上(より詳細には電荷輸送層42の表面)に着弾させる。こ
れを総ての単位領域Auについて繰り返したうえで乾燥させることによってOLED素子
15が得られる。なお、OLED素子15の正孔輸送層は、例えば、ポリチオフェン誘導
体やポリピロール誘導体、あるいはこれらにドーピングを施した材料により形成される。
より具体的には、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを溶媒としてのポリスチレン
スルフォン酸に分散させたうえで水を加えた分散液(PEDOT/PSSの分散液)が吐
出口52から吐出されて正孔輸送層が形成される。また、OLED素子15の発光層は、
例えば、ポリフルオレン誘導体(PV)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)
、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカ
ルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン(PDAF)
、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール(PFBT)、ポリアルキルチオフェン(PAT
)、あるいはポリメチルフェニルシラン(PMPS)など公知である各種の材料により形
成される。また、これらの高分子材料に対し、ペリレン系色素、クマリン系色素またはロ
ーダミン系色素といった高分子材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアン
トラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6またはキナクリドンと
いった低分子材料をドープした材料によっても発光層は形成され得る。
上述したように隔壁13の表面は撥液性を呈するから、図5(c)の工程において電荷
発生層41および電荷輸送層42となる液滴や、図5(d)の工程においてOLED素子
15となる液滴は、隔壁13により囲まれた空間(窪み)内に効率よく滞留する。なお、
隔壁13により仕切られた空間の底部に液滴を効率よく滞留させるという観点からすると
、親液性を呈する第1層と撥液性を呈する第2層とを基材10側からみてこの順番に積層
することによって隔壁13を形成する方法も好適である。あるいは、SiOなどの無機
材料からなる第1層とアクリルやポリイミドなどの有機材料からなる第2層とを基材10
側からみてこの順番に積層することによって隔壁13を形成し、この隔壁13に対してプ
ラズマ処理を施す方法も採用され得る。この方法によれば、第1層と第2層とで表面の改
質の程度が異なる(第2層が第1層よりも高い撥液性を呈する)から、液滴を効率的に滞
留させることができる。
続いて、図5(e)に示されるように、基材10の全面を覆うように(すなわち隔壁1
3とOLED素子15とを覆うように)第2電極12が形成される。この第2電極12は
、上述した第1電極11と同様の工程を経て、インジウム錫酸化物や酸化インジウム、酸
化亜鉛系アモルファスなどの光透過性を有する導電性材料によって形成される。第2電極
12はOLED素子51の陰極として機能するため、仕事関数は3.5eV以下であるこ
とが望ましい。この後、図2に示されるように、基材10の全面を覆うように封止層18
が形成されて電気光学装置100が得られる。この封止層18は、各種の無機化合物によ
り形成されるものであり、好ましくは珪素化合物、すなわち珪素窒化物や珪素酸窒化物、
珪素酸化物などによって形成される。ただし、これ以外の材料、例えばアルミナや酸化タ
ンタル、酸化チタン、さらには他のセラミックスなどによって封止層18が形成されても
よい。このように封止層18が無機化合物により形成されれば、特に第2電極12が無機
化合物により形成される場合に封止層18と第2電極12との密着性が高まり、これによ
り封止層18が欠陥のない緻密な層となって酸素や水分に対するバリア性がより良好にな
る。
また、上述した各種の珪素化合物のなかから選択された異なる材料からなる複数の層を
積層することによって封止層18を形成してもよい。より具体的には、珪素化合物からな
る層と珪素酸窒化物からなる層とを第2電極12側からみてこの順番に積層し、あるいは
珪素酸窒化物からなる層と珪素酸化物からなる層とを第2電極12側からみてこの順番に
積層することによって封止層18を形成することが望ましい。トップエミッション型の電
気光学装置100においては封止層18が光透過性を有する必要がある。このため、封止
層18の材質や膜厚を適宜に調整することにより、封止層18に可視光領域に属する光を
照射したときの光透過率を80%以上とすることが望ましい。また、基材10の全面を覆
うように封止部材(図示略)が不活性ガス雰囲気中にて貼り合わされた構成としてもよい
。この構成のもとで封止部材と基材10とにより囲まれた密閉空間にOLED素子15を
配置すれば、OLED素子15を大気中の酸素や水分から隔離することができる。
このように本実施形態によれば、各単位素子Uに対応する光電変換素子4の膜厚を適宜
に選定することにより、複数の階調からなる所望の対象画像を表示する電気光学装置10
0が得られる。この製造工程のうち第1電極11や第2電極12、OLED素子15とい
った各要素を形成する工程は対象画像の内容に拘わらず共通である。特に、第1電極11
および第2電極12を形成するためのフォトマスクを対象画像の内容に応じて変更する必
要はない。したがって、本実施形態によれば、対象画像の内容に応じたフォトマスクを用
いて電気光学装置を製造する場合と比較して、各々が異なる対象画像を表示する電気光学
装置の製造に要するコストが著しく低減される。換言すると、製造コストを増大させるこ
となく、利用者の要望に応じた種々の対象画像を表示し得る電気光学装置100を作成す
ることができる。また、本実施形態においては、光電変換素子4が液滴吐出法により形成
されるから、電荷発生層41および電荷輸送層42の膜厚を容易かつ高精度に制御するこ
とができ、しかも、フォトリソグラフィ技術などにより光電変換素子4を形成する場合と
比較して製造コストを低減することができる。
<A−3:他の構成例>
(1)第1の態様
本実施形態においては、総ての単位素子Uにわたって連なる共通の電極が第1電極11
として採用された構成を例示したが、図6に示されるように、第1電極11が単位素子U
ごとに別個に設けられた構成も採用され得る。この構成のもとでは、OLED素子15と
光電変換素子4とが第1電極11を介して直列に接続される一方、OLED素子15の一
方の端子と光電変換素子4の一方の端子とが第2電極12に対して共通に接続される。こ
の構成によっても、図2に示した構成と同様の効果が得られる。
(2)第2の態様
本実施形態に係る構成に加え、図7に示されるように、容量素子(キャパシタ)45を
光電変換素子4と並列に設けてもよい。すなわち、この構成においては、OLED素子1
5に対して直列に接続された光電変換素子4のうち一方の端子と他方の端子との間に容量
素子45が設けられる。この構成によれば、光電変換素子4にて発生した起電力が容量素
子45によって保持されるから、仮に電気光学装置100に対する照射光が一時的に遮ら
れて光電変換素子4による光電変換が停止したとしても、容量素子45に保持された電圧
をOLED素子15に供給することによって発光を維持することができる。
(3)第3の態様
図8に示されるように、上記第1および第2の態様を組み合わせた構成も採用され得る
。すなわち、この構成においては、OLED素子15と光電変換素子4とが単位素子Uご
とに独立した第1電極11を介して直列に接続されるとともに、光電変換素子4と並列に
容量素子45が設けられる。この構成によっても、電気光学装置100に対する光照射が
一時的に停止したとしても画像の表示は維持される。
<B:第2実施形態>
上記第1実施形態においては、光電変換素子4の光電変換効率を適宜に調整することに
よって複数の階調からなる対象画像を表示する構成を例示した。これに対し、本実施形態
においては、複数の単位素子Uのなかから対象画像の内容に応じて選択された各単位素子
Uに対して光制御部が設けられ、各光制御部によって単位素子Uごとの階調が制御される
ようになっている。この光制御部は、照射光の特性(特に光量)を変化させる部材である
。本実施形態においては、観察側から入射して光電変換素子4に向かう光量を光制御部に
よって制御し、これにより各光電変換素子4による起電力を適宜に設定することでOLE
D素子15の発光量が単位素子Uごとに調整されるようになっている。
以下では、対象画像の階調に応じて、多数の単位素子Uを制御対象素子U1と非対象素
子U0とに区分する。光制御部は、多数の単位素子Uのうち制御対象素子U1のみに対して
選択的に設けられる。制御対象素子U1は、太陽光や室内照明光などの外光の光量を変化
させたうえで光電変換素子4に到達させるべき単位素子Uである。これに対し、非対象素
子U0は、制御対象素子U1以外の単位素子Uであって、外光の光量を変化させることなく
光電変換素子4に到達させるべき単位素子Uである。例えば図4において、外光がそのま
ま照射されたときに光電変換素子4にて発生した起電力によってOLED素子15が発光
したときの表示階調が背景の階調であるとすれば、背景に対応する単位素子Uは非対象素
子U0に分別されて光制御部は設けられない。一方、文字「ABC」は背景よりも暗い階
調にて表示されるべきであるから、この文字「ABC」に対応する単位素子Uの光電変換
素子4に向かう外光の光量は低減される必要がある。したがって、文字「ABC」に対応
する単位素子Uは制御対象素子U1に分別されて光制御部が設けられることとなる。本実
施形態においては、光制御部の具体的な態様として光フィルタ層と光干渉層とレンズ層と
を例示する。なお、以下では、総ての光電変換素子4の光電変換効率が略同一である(す
なわち光電変換素子4の膜厚が略同一である)場合を想定する。また、以下に示す各態様
の構成要素のうち上記第1実施形態と同様の作用を営むものについては共通の符号を付し
てその詳細な説明を省略する。
<B−1:第1の態様>
<第1の態様の構成>
まず、光制御部として光フィルタ層が採用された態様を説明する。図9は、本態様に係
る電気光学装置の構成を示す断面図である。同図に示されるように、この電気光学装置1
00においては、総ての単位素子Uのうち各制御対象素子U1には光制御部たる光フィル
タ層21が設けられる一方、各非対象素子U0に光フィルタ層21は設けられていない。
この光フィルタ層21は、照射光(すなわち、観察側から電気光学装置100に入射する
外光や、OLED素子15から出射して観察側に向かう光)の一部を選択的に透過させる
膜体であり、図9に示されるように、基材10の板面に垂直な方向からみて制御対象素子
U1のOLED素子15と重なるように第2電極12の表面上に形成される。この構成に
おいては、観察側から入射して光フィルタ層21を経由したうえで光電変換素子4に向か
う光量は、光フィルタ層21によって光量の一部が吸収される分だけ、光フィルタ層21
を経由することなく光電変換素子4に向かう光量よりも少なくなる。したがって、制御対
象素子U1に対応する光電変換素子4の起電力は非対象素子U0に対応する光電変換素子4
の起電力よりも小さくなるから、制御対象素子U1のOLED素子15の発光量は非対象
素子U0のOLED素子15の発光量よりも少なくなる。加えて、制御対象素子U1のOL
ED素子15からの出射光量の一部は光フィルタ層21の透過に伴なって吸収されたうえ
で観察側に出射するのに対し、非対象素子U0のOLED素子15からの出射光は光フィ
ルタ層21による吸収を経ることなく観察側に出射する。こうして生じた制御対象素子U
1と非対象素子U0との出射光量の差異は、観察者によって階調(輝度)の相違と認識され
る。この結果、制御対象素子U1からの出射光量に対応する階調と、非対象素子U0からの
出射光量に対応する階調とからなる対象画像が表示されるのである。
さらに、各制御対象素子U1における光フィルタ層21の光学的特性は、対象画像を構
成する各ドットの階調に応じて異なる。より具体的には、各OLED素子15からの出射
光に対する光フィルタ層21の光透過率(すなわち入射光量に対する出射光量の割合)は
、対象画像を構成する各ドットの階調に応じて適宜に選定されている。図4を例に採れば
、文字「A」を構成する制御対象素子U1における光フィルタ層21(文字「A」に対応
する光フィルタ層21)の光透過率は文字「B」に対応する光フィルタ層21の光透過率
よりも高く、文字「B」に対応する光フィルタ層21の光透過率は文字「C」に対応する
光フィルタ層21の光透過率よりも高くなっている。この結果、図4に示されるように、
文字「A」は文字「B」よりも明るい階調(ただし、非対象素子U0と比べると暗い階調
)にて表示され、文字「B」は文字「C」よりも明るい階調にて表示されるのである。こ
のように各光フィルタ層21の光透過率を異ならせるための構成としては、各光フィルタ
層21の膜厚を異ならせる構成(図9の構成)と、吸光係数が異なる材料によって各光フ
ィルタ層21を形成した構成とが考えられる。このうち前者に係る構成においては、光フ
ィルタ層21の膜厚を大きくするほど制御対象素子U1の表示階調が暗くなり、後者に係
る構成においては、光フィルタ層21を吸光係数が大きい材料によって形成するほど制御
対象素子U1の表示階調が暗くなる。このように本態様においては、光フィルタ層21の
有無および各フィルタ層21の光透過率が適宜に選定されることにより、複数の階調から
なる対象画像が表示される。
<第1の態様の製造方法>
本態様に係る電気光学装置100は、上記第1実施形態に係る電気光学装置100の製
造方法のうち図5(e)の第2電極12を形成する工程の後に光フィルタ層21を形成す
る工程を実施し、これを覆うように封止層18を形成することによって製造される。そこ
で、以下では光フィルタ層21を形成する工程のみを説明し、その他の要素を形成する工
程については説明を省略する。
図5(e)に示した工程に続き、図10に示されるように、隔壁13により区画された
多数の単位領域Auのうち画像構成素子U1に対応する単位領域Auに対して選択的に光フ
ィルタ層21が形成される。この形成には液滴吐出法が用いられる。すなわち、図10に
示されるように、多数の単位領域Auのうち画像構成素子U1に対応する単位領域Auの上
方に吐出口53を移動させたうえで、この吐出口53から光吸収性を有する物質を含有す
る液滴を吐出して単位領域Auに着弾させる。これを総ての画像構成素子U1について繰り
返したうえで乾燥させることによって光フィルタ層21が得られる。
上述したように、各光フィルタ層21の光透過率は、その膜厚や材料を適宜に選定する
ことによって調整される。膜厚に応じて各光フィルタ層21の光透過率が調整される場合
、各単位領域Auに着弾する液滴の量(例えば吐出口53から吐出される液滴量や液滴が
吐出される回数)は、光フィルタ層21が対象画像の階調に応じた膜厚となるように適宜
に選定される。一方、材料の吸光係数に応じて各光フィルタ層21の光透過率が調整され
る場合には、各単位領域Auに吐出される溶液の種類(あるいは染料・顔料の含有量)は
、光フィルタ層21が対象画像の階調に応じた光透過率を呈するように適宜に選定される
光フィルタ層21は、例えば染料や顔料などの色材を含む樹脂材料によって形成される
。より具体的には、インジゴ系やアゾ系といった水溶性の染料が混合された樹脂材料や、
フタロシアニンやペリレンといった顔料が分散された樹脂材料によって光フィルタ層21
が形成され得る。なお、水溶性を持たない色材や水に分散しにくい色材を用いる場合であ
っても、これらの色材の分子をバインディングポリマーによってコーティングしたうえで
溶媒と混合することによって、吐出口53からの吐出に適した溶液を作成することができ
る。また、各種の色材に側鎖を形成することによって溶媒に対する溶解性を持たせてもよ
い。
また、吐出口53から吐出される溶液にバインダ成分を添加してもよい。ここで、液滴
吐出法においては、吐出口53からの吐出後に液滴の溶媒を除去する必要があるため、バ
インダ成分としては熱や光といったエネルギの作用によって硬化する物質(例えば感光性
樹脂や熱硬化型樹脂)を用いることが望ましい。これらの物質をバインダ成分として添加
すれば、吐出後の液滴に対して加熱または光照射を施すことによって溶媒を除去するとき
に、バインダ成分を硬化させて光フィルタ層21が形成される。バインダ成分としては、
フェノール樹脂や尿素樹脂、エポキシ樹脂といった各種の熱硬化性樹脂材料や、ポリビニ
ルベンザルアセトフェノンなど各種の感光性(架橋)樹脂材料が採用され得る。また、ビ
ニル化合物などの材料を画素に塗布した後に重合開始剤を塗布することにより架橋させ、
これにより光フィルタ層21を形成してもよい。
<B−2:第2の態様>
<第2の態様の構成>
次に、光制御部として光干渉層が採用された態様を説明する。図11は、本態様に係る
電気光学装置の構成を示す断面図である。同図に示されるように、多数の単位素子Uのな
かから対象画像の内容に応じて選択された制御対象素子U1には光干渉層22が設けられ
ている。この光干渉層22は、OLED素子15からみて基材10とは反対側(すなわち
表示に供される光が向かう側)に設けられ、照射光の一部を透過させて他を反射させる第
1半透過反射層と、同じく照射光の一部を透過させて他を反射させる第2半透過反射層2
22と、第1半透過反射層と第2半透過反射層222との間に介在して照射光を透過させ
る透光層223とを有する。ただし、図11においては、第1半透過反射層がOLED素
子15の陰極たる第2電極12として兼用されている場合が例示されている。したがって
、本態様における第2電極12は、照射光の一部を透過させて他を反射する電極である。
第1半透過反射層たる第2電極12と第2半透過反射層222とは、制御対象素子U1お
よび非対象素子U0の双方を含む総ての単位素子Uにわたって連続するように設けられて
いる。また、第2半透過反射層222は、照射光の一部を透過させて他を反射させる役割
のほか、基材10上に形成された各要素を保護する役割(すなわち上記第1実施形態にお
ける封止層18と同様の役割)を担っている。このため、本態様に係る電気光学装置10
0は封止層18を持たない。
一方、透光層223は、多数の単位素子Uのうち制御対象素子U1のみに対して選択的
に設けられ、非対象素子U0には設けられていない。ここで、第2電極12によって覆わ
れた隔壁13の頂上面には、この隔壁13と重なる格子状の透光層形成用隔壁225が設
けられている。制御対象素子U1の透光層223は、隔壁13および透光層形成用隔壁2
25の双方によって囲まれた空間(窪み)に入り込むように設けられている。なお、上述
した第2半透過反射層222は透光層形成用隔壁225を覆うように設けられている。
ここで、第2半透過反射層222を透過して第1半透過反射層(第2電極12)に向か
う光や、第1半透過反射層のうち第2半透過反射層222と対向する面において反射した
光、第1半透過反射層を透過して第2半透過反射層222に向かう光、および、第2半透
過反射層222のうち第1半透過反射層と対向する面において反射した光は、第1半透過
反射層と第2半透過反射層222との間において相互に干渉して光干渉層22から出射す
る。この干渉の程度(条件)は第1半透過反射層と第2半透過反射層222との間隔に応
じたものとなる。この結果、光干渉層22が設けられた制御対象素子U1からの出射光量
と光干渉層22が設けられていない非対象素子U0の出射光量とを異ならせることができ
る。さらに、本態様においては、各制御対象素子U1における透光層223の膜厚が、対
象画像を構成する各ドットの階調に応じて適宜に選定されている。このように第1半透過
反射層(第2電極12)と第2半透過反射層222との間隔を制御対象素子U1ごとに異
ならせることにより、第1半透過反射層と第2半透過反射層222との間を進行する光同
士の干渉の程度が任意に調整される。この結果、観察側から入射して光干渉層22を透過
したうえで光電変換素子4に到達する光量、および、光電変換素子4による起電力によっ
てOLED素子15から発せられて観察側に出射する光量は、各制御対象素子U1におけ
る透光層223の膜厚に応じたものとなる。このように本態様においては、光干渉層22
の有無および各光干渉層22における透光層223の膜厚が適宜に選定されることにより
、複数の階調からなる対象画像が表示される。
<第2の態様の製造方法>
本態様に係る電気光学装置100は、上記第1の態様に係る電気光学装置100の製造
方法のうち図10の光フィルタ層21を形成する工程に代えて、光干渉層22を形成する
工程を実施することによって製造される。このため、以下では光干渉層22を形成する工
程のみを説明し、その他の要素を形成する工程については説明を省略する。
図5(d)に示したOLED素子15を形成する工程に続き、図12(a)に示される
ように、第1半透過反射層を兼ねる第2電極12が形成される。より具体的には、光透過
性および光反射性を兼ね備える導電性材料からなる薄膜を真空蒸着やスパッタリングなど
の成膜技術によって形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いた
パターニング処理により薄膜の周縁部を除去することによって第2電極12が得られる。
第2電極12の材料としては、インジウム錫酸化物や酸化亜鉛系アモルファス材料(例え
ばIZO(登録商標))などが採用され得る。また、アルミニウム、マグネシウムまたは
銀といった単体金属やこれらの金属を主成分とする合金など光反射性を有する材料を極薄
い膜状に形成することにより、照射光の一部を透過させる機能を持たせることができる。
次に、図12(b)に示されるように、第2電極12によって覆われた隔壁13の頂上
面に透光層形成用隔壁225が形成される。具体的には、ポリイミドやアクリル、ポリア
ミドといった感光性の有機材料を基材10の全面を覆うように塗布した後に加熱により硬
化させ、この有機膜に対して所定のフォトマスクを用いた露光と現像とを施すことによっ
て格子状の透光層形成用隔壁225が得られる。この透光層形成用隔壁225は、上述し
た隔壁13と同様に撥液性を呈することが望ましい。透光層形成用隔壁225の表面に撥
液性を持たせるための方法としては、上記第1実施形態において隔壁13について説明し
た方法が採用され得る。
次に、図12(c)に示されるように、隔壁13および透光層形成用隔壁225により
区画された多数の単位領域Auのうち制御対象素子U1に対応する単位領域Auに対して選
択的に透光層223が形成される。この形成には液滴吐出法が用いられる。すなわち、図
12(c)に示されるように、多数の単位領域Auのうち制御対象素子U1に対応する単位
領域Auの上方に吐出口54を移動させたうえで、この吐出口54から光透過性を有する
物質を含有する液滴を吐出して単位領域Au(より詳細には第2電極12の表面)に着弾
させる。これを総ての制御対象素子U1について繰り返したうえで乾燥させることによっ
て光干渉層22の透光層223が得られる。この工程において吐出口54から吐出される
液滴の量は、透光層223が対象画像の階調に応じた膜厚となるように適宜に調整される
透光層223は、光透過性を有する各種の材料によって形成される。より具体的には、
ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
、ポリ塩化ビニル樹脂、メラニン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂などによって透
光層223が形成され得る。なお、本態様における透光層223は液滴吐出法によって形
成されるから、透光層223を形成するための材料は、水などの溶媒に対する溶解性を有
する材料や溶媒に分散する材料であることが望ましい。これらの材料としては、多価アル
コール(例えばポリビニルアルコール)、アクリル樹脂(例えばポリ酢酸ビニルやポリア
クリル酸ビニル)、有機珪素化合物(例えばテトラエトキシシラン(TEOS)やアニノ
プロピルトリメトキシシラン)などが挙げられる。もっとも、水溶性を持たない材料や水
に分散しにくい材料であっても、これらの材料の分子をバインディングポリマーによって
コーティングしたうえで水に混合させることによって、吐出口54からの吐出に適した溶
液を得ることができる。また、これらの材料に側鎖を形成することによって溶媒に対する
溶解性を持たせてもよい。
また、液滴吐出法においては、吐出口54からの吐出後に液滴の溶媒を除去する必要が
あるため、熱や光といったエネルギの作用によって硬化する材料(例えば感光性樹脂や熱
硬化性樹脂)によって透光層223を形成することが望ましい。これらの材料を溶媒に含
有させたものを吐出口54から吐出させて透光層223を形成すれば、吐出後の液滴に対
して加熱または光照射を施すことによって溶媒を除去するとときに透光層223を硬化さ
せることができる。したがって、透光層223は、フェノール樹脂や尿素樹脂、エポキシ
樹脂といった各種の熱硬化性樹脂材料や、ポリビニルベンザルアセトフェノンなど各種の
感光性(架橋)樹脂材料によって形成されることが望ましい。また、ビニル化合物などの
材料を画素に塗布した後に重合開始剤を塗布することにより架橋させ、これにより透光層
223を形成してもよい。
さて、以上の工程により透光層223が形成された後、図12(d)に示されるように
、基材10の全面を覆うように第2半透過反射層222が形成される。この第2半透過反
射層222は第1半透過反射層たる第2電極12と同様の材料によって共通の工程を経て
形成され得る。なお、第2電極12または第2半透過反射層222と透光層223との境
界において光を反射させるために、第2電極12または第2半透過反射層222の屈折率
と透光層223の屈折率とは相違する必要がある。より具体的には、以上に例示した透光
層223の材料は屈折率が1.6程度であるため、第2電極12および第2半透過反射層
222はこれよりも屈折率が大きい材料によって形成されることが望ましい。
<他の構成例>
図11においては第2電極12が光干渉層22の第1半透過反射層を兼ねるとともに第
2半透過反射層222が封止層18を兼ねる構成を例示したが、図13に示されるように
、これらの各部が別個に形成された構成も採用され得る。同図に示された電気光学装置1
00においては、第2電極12を覆うように第1半透過反射層221が形成されるととも
に、第2半透過反射層222を覆うように封止層18が形成されている。
<B−3:第3の態様>
<第3の態様の構成>
次に、光制御部としてレンズ層が採用された態様を説明する。図14は、本態様に係る
電気光学装置100の構成を示す断面図である。同図に示されるように、多数の単位素子
Uのなかから対象画像の内容に応じて選択された制御対象素子U1にはレンズ層23が設
けられる一方、非対象素子U0にはレンズ層23が設けられていない。このレンズ層23
は、OLED素子15からみて基材10とは反対側(すなわち表示に供される光が向かう
側)に設けられ、OLED素子15とは反対側に向かって凸であるレンズ231(凸レン
ズ)を有する。また、図14に示されるように、第2電極12の表面上にはレンズ層形成
用隔壁235が設けられている。このレンズ層形成用隔壁235は、隔壁13の内壁と頂
上面とを覆うように設けられた膜体である。各制御対象素子U1のレンズ層23は、隔壁
13およびレンズ層形成用隔壁235によって囲まれた空間(窪み)に入り込むように形
成されている。詳細は後述するが、レンズ層形成用隔壁235は、レンズ層23を液滴吐
出法によって形成する工程においてレンズ層23となる液滴を基材10上に効率よく滞留
させる役割を担っている。
ここで、図15(a)は、非対象素子U0のOLED素子15から発せられた光の経路
を示す図であり、同図(b)は、制御対象素子U1のOLED素子15から発せられた光
の経路を示す図である。同図(a)および(b)においては、電極や隔壁13など電気光
学装置100を構成する各要素の図示が適宜に省略されている。図15(a)および(b
)に示される基板6は、本態様に係る電気光学装置100の観察側に配置された光透過性
を有する板状部材である。この基板6は、例えば電気光学装置100を搭載した電子機器
の筐体に配置されて電気光学装置100を保護する役割を担っている。なお、以下では説
明の便宜のために、基板6のうち観察側とは反対側の板面と発光素子またはレンズ層23
との間隙が当該基板6と略同一の屈折率を有する物質によって満たされているものと仮定
する。
図15(a)に示されるように、非対象素子U0のOLED素子15から出射角θ1にて
出射した光は基板6の観察側の板面と観察側の空間との境界面61に対して入射角θ1に
て到達する。ここで、入射角θ1が臨界角よりも大きい角度であるとすれば、この光は境
界面61において観察側とは反対側に全反射するから、観察側に出射して表示に供される
ことはない。つまり、非対象素子U0にあっては、境界面61における臨界角よりも小さ
い出射角にてOLED素子15から出射した光のみが観察側に出射して表示に供されるこ
ととなる。これに対し、制御対象素子U1のOLED素子15から出射角θ1にて出射した
光はレンズ層23のレンズ231表面において屈折するため、角度θ1よりも小さい角度
θ2にて境界面61に到達することとなる。この角度θ2が臨界角よりも小さい角度である
とすれば、この光は境界面61において反射することなく観察側に出射して表示に供され
る。換言すると、制御対象素子U1にあってはOLED素子15からの出射光がレンズ2
31によって集光されるため、境界面61における臨界角よりも大きい出射角にてOLE
D素子15から出射した光も観察側に出射させて表示に供することができるのである。し
たがって、OLED素子15からの出射光量が制御対象素子U1と非対象素子U0とで略同
一であったとしても、実際に観察側に出射する光量は制御対象素子U1と非対象素子U0と
で異なる。より具体的には、OLED素子15からの出射光を屈折させるレンズ231が
設けられた制御対象素子U1から観察側に出射する光量は、非対象素子U0から観察側に出
射する光量よりも多くなるのである。さらに、レンズ層23のレンズ231表面における
屈折により、制御対象素子U1に観察側から入射して光電変換素子4に到達する光量は、
非対象素子U0に入射して光電変換素子4に到達する光量よりも多くなる。したがって、
光電変換素子4による起電力さらにはOLED素子15による発光量は、非対象素子U0
よりも制御対象素子U1の方が大きくなる。そして、各単位素子Uから観察側への出射光
量の差異は観察者によって階調の相違として認識される。なお、上述した光フィルタ層2
1を用いた態様においては制御対象素子U1の表示階調が非対象素子U0の表示階調よりも
低く(暗く)なるのに対し、本態様においては制御対象素子U1の表示階調が非対象素子
U0の表示階調よりも高く(明るく)なる。
さらに、各制御対象素子U1におけるレンズ層23の光学的特性は、対象画像を構成す
る各ドットの階調に応じて異なる。より具体的には、各制御対象素子U1のレンズ層23
におけるレンズ231の焦点距離は、対象画像を構成する各ドットの階調に応じて適宜に
選定されているのである。さらに詳述すると、明るい階調を表示すべき制御対象素子U1
のレンズ231ほど観察側への出射光量が大きくなり、暗い階調を表示すべき制御対象素
子U1のレンズ231ほど観察側への出射光量が小さく(ただし非対象素子U0の出射光量
よりは大きく)なるように、各制御対象素子U1のレンズ231の焦点距離が調整されて
いる。このように各レンズ層23におけるレンズ231の焦点距離を異ならせるための構
成としては、各レンズ231の表面形状(特に曲率)を対象画像の階調ごとに異ならせる
構成と、屈折率が異なる材料によって各レンズ231を形成した構成とが考えられる。こ
のように本態様においては、レンズ層23の有無および各レンズ層23におけるレンズ2
31の焦点距離が適宜に選定されることにより、複数の階調からなる対象画像が表示され
る。
<第3の態様の製造方法>
本態様に係る電気光学装置100は、上記第1の態様に係る電気光学装置100の製造
方法のうち図10の光フィルタ層21を形成する工程に代えて、レンズ層23を形成する
工程を実施することによって製造される。このため、以下ではレンズ層23を形成する工
程のみを説明し、その他の要素を形成する工程については説明を省略する。
図5(e)に示した第2電極12を形成する工程に続き、図16(a)に示されるよう
に、第2電極12のうち隔壁13を覆う部分にレンズ層形成用隔壁235が形成される。
このレンズ層形成用隔壁235の表面は撥液性を呈する。このようなレンズ層形成用隔壁
235は、隔壁13について上記第1実施形態にて説明したのと同様に、ポリイミドやア
クリルなどの有機材料からなる薄膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングした後
、この薄膜の表面に撥液性を持たせるためにプラズマ処理を施すことによって得られる。
ただし、この工程においては、有機材料からなる薄膜のパターニングに用いられる溶剤が
既に形成されているOLED素子15に付着して損傷を与える可能性がある。このような
不具合を回避するために、レンズ層形成用隔壁235は図17に示される工程によって形
成されることが望ましい。すなわち、同図(a)に示されるように、まず、レンズ層形成
用隔壁235となる膜体572を平板状の基板571の板面上に形成する。この膜体57
2は、例えば弗化物が添加された有機材料により形成された薄膜を隔壁13と重なるよう
な形状(格子状)にパターニングすることにより得られたものである。したがって、膜体
572は撥液性を有する。次いで、図17(b)に示されるように、第2電極12によっ
て覆われた隔壁13の頂上面に膜体572が接触するように基板571と基材10とを対
向させ、この状態で膜体572に対して熱や光などのエネルギが付与される。例えば、基
板571を介して膜体572に紫外線やレーザ光が照射される。この工程により膜体57
2が基板571の板面から剥離されて隔壁13上に転写され、撥液性を有するレンズ層形
成用隔壁235が得られる。このように、基板571上に別途に形成された膜体572を
基材10上に転写してレンズ層形成用隔壁235を形成する方法によれば、溶剤によるO
LED素子15の損傷は原理的に生じ得ない。
さて、以上の工程にてレンズ層形成用隔壁235が形成されると、図16(b)に示さ
れるように、隔壁13およびレンズ層形成用隔壁235により区画された多数の単位領域
Auのうち制御対象素子U1に対応する単位領域Auに対して選択的にレンズ層23が形成
される。この形成には液滴吐出法が用いられる。すなわち、図16(b)に示されるよう
に、多数の単位領域Auのうち制御対象素子U1に対応する単位領域Auの上方に吐出口5
6を移動させたうえで、この吐出口56から光透過性を有する物質を含有する液滴を吐出
して単位領域Auに着弾させる。これを総ての制御対象素子U1について繰り返したうえで
乾燥させることによってレンズ層23が得られる。ここで、レンズ層23が形成される単
位領域Auは撥液性を有するレンズ層形成用隔壁235によって囲まれているため、単位
領域Auに着弾した液滴は基材10と反対側に向けて突起した状態で硬化してレンズ23
1となる。上述したように、各レンズ層23におけるレンズ231の焦点距離は、その表
面形状や材料を適宜に選定することによって調整される。例えば、各単位領域Auに着弾
する液適量(例えば吐出口56から吐出される各液滴の量や液滴が吐出される回数)を適
宜に選定することによって、所望の表面形状を有するレンズ231が得られる。より具体
的には、各単位領域Auに着弾する液適量が多ければ曲率の大きいレンズ231が得られ
る一方、液適量が少なければ曲率の小さいレンズ231が得られるといった具合である。
また、各単位領域Auに吐出される液滴の材料を屈折率が異なる複数の材料のなかから適
宜に選定することによって、所望の焦点距離を有するレンズ231が得られる。
レンズ層23は、光透過性を有する各種の材料によって形成される。より具体的には、
ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
、ポリ塩化ビニル樹脂、メラニン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂などによってレ
ンズ層23が形成され得る。なお、本態様におけるレンズ層23は液滴吐出法によって形
成されるから、レンズ層23を形成するための材料は、水などの溶媒に対する溶解性を有
する材料や溶媒に分散する材料であることが望ましい。これらの材料としては、多価アル
コール(例えばポリビニルアルコール)、アクリル樹脂(例えばポリ酢酸ビニルやポリア
クリル酸ビニル)、有機珪素化合物(例えばテトラエトキシシラン(TEOS)やアニノ
プロピルトリメトキシシラン)などが挙げられる。もっとも、水溶性を持たない材料や水
に分散しにくい材料であっても、これらの材料の分子をバインディングポリマーによって
コーティングしたうえで水に混合させることによって、吐出口56からの吐出に適した溶
液を得ることができる。また、これらの材料に側鎖を形成することによって溶媒に対する
溶解性を持たせてもよい。
また、液滴吐出法においては、吐出口からの吐出後に液滴の溶媒を除去する必要がある
ため、熱や光といったエネルギの作用によって硬化する材料(例えば感光性樹脂や熱硬化
性樹脂)によってレンズ層23を形成することが望ましい。これらの材料を溶媒に含有さ
せたものを吐出口56から吐出させてレンズ層23を形成すれば、吐出後の液滴に対して
加熱または光照射を施すことによって溶媒を除去するとときにレンズ層23を硬化させる
ことができる。したがって、レンズ層23は、フェノール樹脂や尿素樹脂、エポキシ樹脂
といった各種の熱硬化性樹脂材料や、ポリビニルベンザルアセトフェノンなど各種の感光
性(架橋)樹脂材料によって形成されることが望ましい。また、ビニル化合物などの材料
を画素に塗布した後に重合開始剤を塗布することにより架橋させ、これによりレンズ層2
3を形成してもよい。
以上の各態様に示したように、本実施形態においては、各単位素子Uにおける光制御部
の有無および各制御対象素子U1における光制御部の光学的特性を適宜に選定することに
より、複数の階調からなる所望の対象画像を表示する電気光学装置100が得られる。こ
の電気光学装置100の製造工程のうち第1電極や第2電極12、光電変換素子4、OL
ED素子15といった各要素を形成する工程は対象画像の内容に拘わらず共通である。し
たがって、本実施形態によれば、対象画像の内容に応じたフォトマスクを用いて電気光学
装置100を製造する場合と比較して、各々が異なる対象画像を表示する電気光学装置1
00の製造に要するコストが低減される。加えて、本実施形態においては、光制御部(よ
り具体的には光フィルタ層21と光干渉層22の透光層223とレンズ層23)が液滴吐
出法により形成されるから、その形状や膜厚を所期の光学的特性が得られるように容易か
つ高精度に制御することができる。しかも、液滴吐出法によれば、フォトリソグラフィ技
術などにより光制御部が形成される場合と比較して、対象画像の変更に要する製造コスト
が低減されるという利点がある。
<C:変形例>
以上に説明した実施形態はあくまでも例示である。この形態に対しては本発明の趣旨か
ら逸脱しない範囲で種々の変形が加えられ得る。具体的には、以下のような変形例が考え
られる。
<C−1:変形例1>
上記各実施形態においては、光電変換素子4の光電変換効率や光制御部の光学的特性を
調整することによって各単位素子Uによる表示階調を制御する構成を例示した。これに加
えて以下の各態様を採用すれば、各単位素子による表示階調をさらに多様化することがで
きる。なお、以下では第1実施形態に係る電気光学装置100に本変形例が適用された構
成を例示するが、第2実施形態に係る電気光学装置100にも同様の構成が採用され得る
ことはもちろんである。
(1)第1の態様
複数の単位素子Uのなかから選択された1以上の単位素子Uに抵抗層を設けた構成が採
用され得る。この抵抗層は、所定の抵抗率を有する導電性材料からなる膜体である。より
具体的には、図18に示されるように、基材10の板面に垂直な方向からみてOLED素
子15と重なるように、特定の単位素子Uにおける第2電極12とOLED素子15との
間に抵抗層31が設けられる。この構成によれば、各単位素子UのOLED素子15に印
加される電圧が抵抗層31の有無に応じて異なるから、各OLED素子15の発光量を抵
抗層31の有無に応じて異ならせることができる。抵抗層31を形成すべき単位素子U(
図18においては左側と中央の2つの単位素子U)は、制御対象素子U1および非対象素
子U0の双方を含む総ての単位素子Uのなかから所望の対象画像の階調に応じて適宜に選
定される。なお、図18においては第2電極12とOLED素子15との間に抵抗層31
が設けられた構成を例示したが、この構成に代えてまたはこの構成とともに、光電変換素
子4とOLED素子15との間に抵抗層31を設けてもよい。また、抵抗層31の膜厚や
材料を適宜に選定することにより、抵抗層31の抵抗値を単位素子Uごとに異ならせる構
成も採用され得る。
(2)第2の態様
上記第1の態様における抵抗層31に代えて絶縁層を設けた構成も採用され得る。この
絶縁層は、電気的な絶縁性を有する材料からなる膜体である。より具体的には、図19に
示されるように、基材10の板面に垂直な方向からみてOLED素子15の発光面と重な
るように、特定の単位素子Uにおける第2電極12とOLED素子15との間に絶縁層3
3が設けられる。この構成においては絶縁層33が設けられた単位素子UのOLED素子
15に電流が流れず発光しないから、この単位素子Uにより対象画像の最低階調が実現さ
れる。絶縁層33を形成すべき単位素子U(図19においては左側と中央の2つの単位素
子U)は、制御対象素子U1および非対象素子U0の双方を含む総ての単位素子Uのなかか
ら所望の対象画像の内容に応じて適宜に選定される。なお、絶縁層33は光電変換素子4
とOLED素子15との間に設けられていてもよい。
なお、ここでは特定の単位素子UにおいてOLED素子15の発光面と完全に重なるよ
うに絶縁層33が設けられた構成を例示したが、図20に示されるように、基材10の板
面に垂直な方向からみてOLED素子15の発光面の一部と重なるように部分的に絶縁層
(以下「部分絶縁層」という)34が設けられた構成も採用され得る。この構成によれば
、各OLED素子15から発せられて観察側に出射する光量が、その発光面に占める部分
絶縁層34の面積の割合に応じて調整され得る。したがって、さらに多くの階調からなる
対象画像を表示することができる。
なお、上記第1および第2の態様における抵抗層31、絶縁層33および部分絶縁層3
4の形成には液滴吐出法が用いられる。例えば、所定の抵抗率を有する導電性物質を含む
液滴を吐出口から吐出して基材10上に着弾させることによって抵抗層31が形成され、
絶縁性物質を含む液滴を吐出口から吐出して基材10上に着弾させることによって絶縁層
33または部分絶縁層34が形成される。本変形例によれば、OLED素子15から観察
側への出射光量を光電変換素子4の光電変換効率や光制御部の光学特性に応じて調整する
だけでなく、抵抗層31、絶縁層33または部分絶縁層34の有無やその特性に応じて単
位素子Uごとに調整することができるから、上記各実施形態に係る構成と比較して、より
多くの階調により高精細な表示を行なうことが可能となる。
<C−2:変形例2>
上記各実施形態および変形例においては各単位素子Uによる表示階調のみを異ならせる
ことによってモノクロの対象画像が表示される構成を例示したが、カラー表示が可能な構
成にも本発明は適用され得る。すなわち、この構成にあっては、各単位素子Uの各OLE
D素子15として、例えば赤色、緑色および青色のいずれかの色に対応する波長の光を発
するものが採用される。上記第2実施形態に示したように光制御部が設けられた構成のも
とでカラー表示を行なう場合には、各光制御部の光学的特性がその単位素子UにおけるO
LED素子15の発光色に応じて選定されることが望ましい。詳述すると以下の通りであ
る。
(1)第1の態様
上記第2実施形態の第1の態様において各制御対象素子U1に設けられた光フィルタ層
21は、その制御対象素子U1のOLED素子15から発せられた光を吸収し得る材料に
よって形成されることが望ましい。より具体的には、青色に対応するOLED素子15か
ら発せられる光は波長が440nm(ナノメートル)程度である成分の強度がピークとな
るから、この制御対象素子U1の光フィルタ層21は440nmを含む帯域の光成分を吸
収し得る材料、例えばアゾ系材料によって形成されることが望ましい。同様に、緑色光(
波長550nm程度において強度がピークとなる光)を発するOLED素子15を備えた
制御対象素子U1の光フィルタ層21は、550nmを含む範囲内の波長を有する光成分
を吸収し得る材料、例えばフタロシアニン系材料によって形成されることが望ましい。ま
た、赤色光(波長680nm程度において強度がピークとなる光)を発するOLED素子
15を備えた制御対象素子U1の光フィルタ層21は、680nmを含む範囲内の波長を
有する光成分を吸収し得る材料、例えばフタロシアニン系材料によって形成されることが
望ましい。
(2)第2の態様
上記第2実施形態の第2の態様においては、太陽光や室内照明光などの外光が第1電極
11や第1半透過反射層(第2電極12)の表面にて反射して観察側に至り、表示画像の
コントラストを低下させる原因ともなり得る。そこで、各制御対象素子U1に設けられた
光干渉層22の透光層223は、その制御対象素子U1のOLED素子15から発せられ
た光の波長と補色の関係にある波長の光を吸収し得る材料によって形成されることが望ま
しい。この構成によれば、太陽光や室内照明光などの外光が光干渉層22の内側に到達し
たとしても、OLED素子15から発せられる光の波長と補色の関係にある光は透光層2
23によって吸収されるから、OLED素子15の色に対応する光のみが選択的に観察側
に出射される。したがって、表示画像のコントラストを向上させることができる。さらに
、OLED素子15から発せられる光の一部を吸収し得る材料によって透光層223を形
成すれば、光フィルタ層21を設けた態様と同様に、OLED素子15から発せられて観
察側に出射する光量を透光層223によって調整することができるから、より多くの階調
により高精細な表示が実現される。
<C−3:変形例3>
上記各実施形態および各変形例においては、OLED素子15からみて観察側とは反対
側に光電変換素子4が設けられた構成を例示したが、光電変換素子4の位置はこれに限ら
れない。例えば、OLED素子15からみて観察側に光電変換素子4が設けられた構成も
採用され得る。ただし、この構成においては、光電変換素子4がOLED素子15からの
出射光を透過する性質を有する必要がある。また、この構成のもとで、紫外線の照射によ
り電気エネルギを発生させる光電変換素子4を採用すれば、光電変換素子4によって紫外
線が吸収されるから、紫外線によるOLED素子15の劣化を抑えることができる。また
、OLED素子15の電荷輸送層と光電変換素子4の電荷輸送層42とを共通化してもよ
い。
さらに、上記各実施形態および各変形例においては、第2電極12からみて観察側に光
制御部が設けられた構成を例示したが、光制御部(光フィルタ層21、光干渉層22およ
びレンズ層23)が設けられる位置はこれに限られない。例えば、光制御部が導電性を有
する材料によって形成される場合には、第1電極11とOLED素子15との間またはO
LED素子15と第2電極12との間に介在するように光制御部が設けられてもよい。ま
た、OLED素子15が正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層
といった複数の層からなる場合には、これらの各層の間に(すなわちOLED素子15内
に)光制御部が設けられた構成も採用され得る。要するに、本発明においては、単位素子
Uの配列面(上記各実施形態における基材10の板面)に垂直な方向からみて、光電変換
素子4または各単位素子UのOLED素子15と重なるように光制御部が設けられていれ
ば足り、単位素子Uの積層構造に対する光制御部の位置は不問である。また、上記各実施
形態においてはトップエミッション型の電気光学装置100を例示したが、OLED素子
15からの出射光を基材10側に出射させるボトムエミッション型の電気光学装置にも本
発明は適用され得る。
<C−4:変形例4>
上記各実施形態および各変形例においては、複数の単位素子Uのうち制御対象素子U1
のみに選択的に光制御部を設けた構成と、光制御部の光学的特性を単位素子U(制御対象
素子U1)ごとに異ならせる構成とを兼ね備えた電気光学装置100を例示したが、いず
れか一方のみの構成も採用され得る。例えば、前者に係る構成に着目すると、複数の単位
素子Uのなかから対象画像の内容に応じて選択された総ての制御対象素子U1に対して共
通の光学的特性を有する光制御部が設けられた構成も採用され得る。また、後者に係る構
成に着目すると、総ての単位素子Uに対して光制御部を設けたうえで、各光制御部の光学
的特性を対象画像の内容に応じて適宜に異ならせる構成も採用され得る。
<C−5:変形例5>
上記各実施形態においては、光フィルタ層21、光干渉層22およびレンズ層23を光
制御部として例示したが、光制御部の構成はこれに限られない。すなわち、本発明におけ
る「光制御部」は、OLED素子15からの出射光の特性(特に光量)を変化させる部材
であれば足り、その具体的な構成の如何は不問である。また、上記各実施形態においては
、光フィルタ層21、光干渉層22およびレンズ層23のいずれか一層のみが設けられた
構成を例示したが、これらのうち2以上の層を積層することによって光制御部としてもよ
い。
<C−6:変形例6>
上記各実施形態においては、光電変換素子4、光制御部(より具体的には光フィルタ層
21と光干渉層22の透光層223とレンズ層23)およびOLED素子15を液滴吐出
法により形成する場合を例示したが、これらの各要素の形成方法は任意である。例えば、
上記第2実施形態のように光電変換素子4の光電変換効率を総ての単位素子Uにわたって
略同一とする場合には各々の膜厚を異ならせる必要がないから、総ての単位素子Uに対応
する光電変換素子4をフォトリソグラフィ技術などにより一括に形成してもよい。この場
合、光電変換素子4は有機材料のほか無機材料によっても形成され得る。例えば、アモル
ファスシリコンや単結晶シリコン、アモルファスセレンといった各種の半導体材料によっ
て光電変換素子4が形成される。また、光制御部やOLED素子15は、これを構成する
材料をレーザにより基材10上に転写する方法によっても形成され得る。また、蒸着法や
スピンコート法などの成膜技術によって基材10の全面にわたって連続するOLED素子
15を形成してもよい。このようにOLED素子15が総ての単位素子Uにわたって連続
するように形成された場合であっても、各単位素子Uごとに光電変換素子4の光電変換効
率や光制御部の有無または各光制御部の光学的特性(あるいは上記変形例1に例示した抵
抗層31、絶縁層33または部分絶縁層34の特性や、第1電極11および第2電極12
への印加電圧)を適宜に選定することにより、当該単位素子Uから観察側への出射光量(
すなわち単位素子Uの表示階調)を区別することができる。
<C−7:変形例7>
本発明はOLED素子15以外の電気光学素子を用いた電気光学装置にも適用され得る
。本発明が適用され得る電気光学装置としては、ヘリウムやネオンなどの高圧ガスを電気
光学素子として用いたプラズマディスプレイパネル(PDP)や、蛍光体を電気光学素子
として用いたフィールドエミッションディスプレイ(FED)などが挙げられる。また、
ここでは自らが発光する電気光学素子(いわゆる自発光型の電気光学素子)を例示したが
、自らは発光する性質を持たない非自発光型の電気光学素子(例えば照明装置による照射
光の透過率を配向方向に応じて変化させる液晶など)を用いた電気光学装置にも本発明は
適用され得る。
<D:電子機器>
次に、本発明に係る電気光学装置を表示部として備える電子機器について説明する。図
21は、本発明を適用した電気光学装置100を有する携帯電話機の構成を示す斜視図で
ある。この図に示されるように、携帯電話機1200は、利用者により操作される複数の
操作ボタン1202、他の端末装置から受信した音声を出力する受話口1204、および
他の端末装置に送信される音声を入力する送話口1206のほかに、各種の画像を表示す
る電気光学装置100を有する。この電気光学装置100の表示領域は第1領域101と
第2領域102とに区分される。このうち第1領域101は、ドットマトリクス型の表示
方式により各種の画像が適宜に変化しつつ表示される領域である。一方、第2領域102
は、本発明の適用により対象画像を固定的に表示する領域である。すなわち、第2領域1
02においては、面状に配列された複数の単位素子Uごとに光電変換効率を選定した光電
変換素子4が設けられた構成や、これらの単位素子Uのうち制御対象素子U1のみに光制
御部が設けられた構成や、各光制御部の光学的特性が対象画像の階調に応じて選定された
構成が採用される。
なお、本発明に係る電気光学装置が利用され得る電子機器としては、図21に示される
携帯電話機のほかにも、ノートパソコンや、液晶テレビ、ビューファインダ型(またはモ
ニタ直視型)のビデオレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、
ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備え
た機器等などが挙げられる。
本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示す平面図である。 同電気光学装置の構成を示す断面図である。 同電気光学装置の電気的な構成を示す回路図である。 同電気光学装置による表示例を示す平面図である。 同電気光学装置の製造方法を説明するための工程図である。 同電気光学装置の他の構成例における電気的な構成を示す回路図である。 同電気光学装置の他の構成例における電気的な構成を示す回路図である。 同電気光学装置の他の構成例における電気的な構成を示す回路図である。 本発明の第2実施形態のうち光制御部として光フィルタ層を採用した電気光学装置の構成を示す断面図である。 同電気光学装置の製造方法を説明するための工程図である。 本発明の第2実施形態のうち光制御部として光干渉層を採用した電気光学装置の構成を示す断面図である。 同電気光学装置の製造方法を説明するための工程図である。 同電気光学装置の他の構成例を示す断面図である。 本発明の第2実施形態のうち光制御部としてレンズ層を採用した電気光学装置の構成を示す断面図である。 同電気光学装置のうち制御対象素子と非対象素子とにおける光路を示す図である。 同電気光学装置の製造方法を説明するための工程図である。 同電気光学装置のうちレンズ層形成用隔壁を形成する方法を説明するための工程図である。 変形例に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。 変形例に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。 変形例に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。 本発明に係る電子機器の一例たる携帯電話機の構成を示す斜視図である。
符号の説明
100……電気光学装置、10……基材、11……第1電極、12……第2電極、13…
…隔壁、15……OLED素子、18……封止層、21……光フィルタ層(光制御部)、
22……光干渉層(光制御部)、221……第1半透過反射層、222……第2半透過反
射層、223……透光層、225……透光層形成用隔壁、23……レンズ層(光制御部)
、231……レンズ、235……レンズ層形成用隔壁、31……抵抗層、33……絶縁層
、34……部分絶縁層、4……光電変換素子、41……電荷発生層、42……電荷輸送層
、45……容量素子、51,52,53,54,56……吐出口、U……単位素子、U1
……制御対象素子、U2……非対象素子、Au……単位領域。

Claims (16)

  1. 面状に配列されて各々が電気光学素子を有する複数の単位素子と、
    前記単位素子ごとに設けられて受光量に応じた電気エネルギを当該単位素子の電気光学
    素子に供給する複数の光電変換素子であって、一の光電変換素子の光電変換効率と他の光
    電変換素子の光電変換効率とが異なる複数の光電変換素子と
    を具備する電気光学装置。
  2. 面状に配列されて各々が電気光学素子を有する複数の単位素子と、
    前記単位素子ごとに設けられて受光量に応じた電気エネルギを当該単位素子の電気光学
    素子に供給する複数の光電変換素子と、
    前記単位素子の配列面に垂直な方向からみて前記複数の光電変換素子のうち1以上の光
    電変換素子と重なるように設けられて入射光の特性を変化させる光制御部と
    を具備する電気光学装置。
  3. 各々が前記単位素子に対応するように設けられた複数の前記光制御部のうち一の光制御
    部の光学的特性と他の光制御部の光学的特性とは異なる
    請求項2に記載の電気光学装置。
  4. 前記複数の光制御部の各々は、入射光の一部を透過させる光フィルタ層を有し、
    前記複数の光制御部のうち一の光制御部の光フィルタ層と他の光制御部の光フィルタ層
    とは透過率が異なる
    請求項3に記載の電気光学装置。
  5. 前記複数の光制御部の各々は、照射光の一部を透過させて他の一部を反射する第1およ
    び第2の半透過反射層の間に、照射光を透過させる透光層を介挿してなる光干渉層を有し

    前記複数の光制御部のうち一の光制御部の光干渉層における透光層と他の光制御部の光
    干渉層における透光層とは膜厚が異なる
    請求項3に記載の電気光学装置。
  6. 前記複数の光制御部の各々は、入射光を屈折させるレンズを備えたレンズ層を有し、
    前記複数の光制御部のうち一の光制御部のレンズ層におけるレンズと他の光制御部のレ
    ンズ層におけるレンズとは焦点距離が異なる
    請求項3に記載の電気光学装置。
  7. 前記複数の単位素子のうち1以上の単位素子において前記光電変換素子から前記電気光
    学素子に至る給電経路上に設けられた抵抗体
    を有する請求項1から6のいずれかに記載の電気光学装置。
  8. 前記単位素子の配列面に垂直な方向からみて前記複数の単位素子のうち1以上の単位素
    子における電気光学素子と重なるように設けられた絶縁体
    を具備する請求項1から7のいずれかに記載の電気光学装置。
  9. 前記絶縁体は、前記単位素子の配列面に垂直な方向からみて前記電気光学素子の一部と
    重なるように設けられている
    請求項8に記載の電気光学装置。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の電気光学装置を表示装置として備える電子機器。
  11. 各々が電気光学素子を有する複数の単位素子を平板状の基材の板面上に形成する工程と

    受光量に応じた電気エネルギを前記単位素子の電気光学素子に供給する光電変換素子を
    前記単位素子ごとに前記基材の板面上に形成する工程であって、これらの光電変換素子の
    うち一の光電変換素子の光電変換効率と他の光電変換素子の光電変換効率とが異なるよう
    に前記複数の光電変換素子を形成する工程と
    を有する電気光学装置の製造方法。
  12. 各々が電気光学素子を有する複数の単位素子を平板状の基材の板面上に形成する工程と

    受光量に応じた電気エネルギを前記単位素子の電気光学素子に供給する光電変換素子を
    前記単位素子ごとに前記基材の板面上に形成する工程と、
    前記基材の板面に垂直な方向からみて前記複数の光制御部のうち1以上の光電変換素子
    と重なるように、入射光の特性を変化させる光制御部を前記の板面上に形成する工程と
    を有する電気光学装置の製造方法。
  13. 前記光電変換素子を形成する工程においては、当該光電変換素子となる物質を含む液滴
    を吐出口から吐出して前記基材上に着弾させることによって前記光電変換素子を形成する
    請求項11または12に記載の電気光学装置の製造方法。
  14. 前記光電変換素子を形成する工程においては、一の光電変換素子と他の光電変換素子と
    で前記基材上に着弾させる液滴量を異ならせることにより、前記一の光電変換素子の光電
    変換効率と前記他の光電変換素子の光電変換効率とを異ならせる
    請求項13に記載の電気光学装置の製造方法。
  15. 前記光制御部を形成する工程においては、当該光制御部となる物質を含む液滴を吐出口
    から吐出して前記基板上に着弾させることによって前記光制御部を形成する
    請求項12に記載の電気光学装置の製造方法。
  16. 前記光制御部を形成する工程においては、一の光制御部と他の光制御部とで前記基材上
    に着弾させる液滴を異ならせることにより、前記一の光制御部の光学的特性と前記他の光
    制御部の光学的特性とを異ならせる
    請求項15に記載の電気光学装置の製造方法。
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