JP2005147872A - 酸素濃度センサの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 酸素濃度を検出する車両用の酸素濃度センサの制御装置に関し、酸素濃度センサのインピーダンスを広い範囲で精度良く算出することを可能とする。
【解決手段】 車両などに搭載される酸素濃度センサの制御装置は、装置内のECUが酸素濃度センサのインピーダンスを算出することによって制御を行う。酸素濃度センサの素子インピーダンスは、ADコンバータ1とADコンバータ2の出力電圧に基づいて算出される。酸素濃度センサの素子インピーダンスは、素子温度によって広いレンジで変化する。そこで、酸素濃度センサの制御装置は、複数の回路定数を切り替えて用いることにより、これに対処している。具体的には、算出された素子インピーダンスに基づいて、スイッチSW1又はスイッチSW2のON・OFFを切り替えて抵抗値を変更している。これにより、酸素濃度センサのインピーダンスを広いダイナミックレンジで精度良く算出することができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、酸素濃度を検出する車両用の酸素濃度センサにおいて、酸素濃度センサのインピーダンスを精度良く検出する酸素濃度センサの制御装置に関する。
自動車などにおいては、エンジンから排出される排気ガス中の酸素濃度を、酸素濃度センサなどによって検出し、この検出値に基づいて燃料噴射量や排気浄化用触媒の制御などを行っている。この酸素濃度センサの特性として、その出力電圧の温度依存性が高いことがわかっている。これは、酸素濃度センサの素子インピーダンス(以下、単に「インピーダンス」とも呼ぶ)が、温度によって数十Ω〜数百kΩという広い範囲で変化するためである。したがって、酸素濃度センサを、最適に酸素濃度を検出できる温度(以下、この温度を「活性温度」と呼ぶ)に保つための制御を行う必要がある。一般的には、酸素濃度センサにヒータを付設し、ヒータを制御して酸素濃度センサを活性温度付近に維持している。
ここで、上記のように酸素濃度センサをヒータにて活性温度に維持するためには、酸素濃度センサの温度を検出する必要があるが、酸素濃度センサに温度センサを直接配設すると、酸素濃度センサの大型化やコストアップを招いてしまう。そこで、酸素濃度センサの素子インピーダンスが素子温度に応じて変化することに注目して、素子インピーダンスを検出し、この検出値から素子温度を算出することが行われている。
酸素濃度センサの素子インピーダンスを精度良く検出する方法として、例えば特許文献1に記載された技術では、酸素濃度センサの高温領域と低温領域で幅広く変化するインピーダンスに対して測定精度を確保するために、高温領域ではインピーダンスの逆数であるアドミタンス、低温領域ではインピーダンスを算出するようにしている。高温領域では、温度に対してインピーダンスの変化率が微小になってしまうため、その逆数であるアドミタンスを用いている。
しかし、特許文献1に記載された技術でも、上述したように酸素濃度センサのインピーダンスのダイナミックレンジは非常に広いため、酸素濃度センサの活性温度付近から離れてしまうと、インピーダンス(又はアドミタンス)を精度良く算出することができなかった。また、酸素濃度センサの制御装置を構成する抵抗やコンデンサの抵抗値や電気容量などは、上記の活性温度付近に合わせて選択しているため、インピーダンスを精度良く算出することができるレンジは自ずと限られてしまっていた。
一方、酸素濃度センサのインピーダンスを算出する際に用いるADコンバータに変換誤差があり、これを小さくするのには限界がある。これは、車載用のADコンバータは、コストやプリント基板への実装などの制限があり、精度の高いものを用いることができないからである。このADコンバータの変換誤差が原因で、酸素濃度センサのインピーダンスを精度良く検出することが可能なインピーダンスの範囲は限定されてしまい、その範囲からずれるに従ってインピーダンスの検出精度は低下してしまう。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、酸素濃度を検出する車両用の酸素濃度センサの制御装置において、酸素濃度センサのインピーダンスを広い範囲で精度良く算出することを目的とする。
本発明の1つの観点では、酸素濃度を検出する車両用の酸素濃度センサの制御装置は、前記酸素濃度センサのインピーダンスを算出するインピーダンス算出手段を備え、前記インピーダンス算出手段は、複数の回路定数を有しており、前記回路定数を切り替える回路定数切り替え手段を備えていることを特徴とする。
上記の酸素濃度センサの制御装置は、車両などに搭載され、エンジンから排出される排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサの制御を行うことができる。酸素濃度センサの制御は、酸素濃度センサの素子インピーダンスを算出し、この算出結果に基づいて行われる。この素子インピーダンスは、素子温度によって広い範囲で変化する。そこで、酸素濃度センサの制御装置は、インピーダンスを算出するための電気回路の回路定数を複数有しており、いずれか1つを選択して切り替えることができる。これにより、酸素濃度センサのインピーダンスを広いダイナミックレンジで精度良く算出することができる。
上記の酸素濃度センサの制御装置の一態様では、前記回路定数切り替え手段は、前記算出されたインピーダンスに基づいて前記回路定数を切り替える。酸素濃度センサの制御装置は、算出されたインピーダンスに基づいて、インピーダンスを精度良く算出することができる回路定数に切り替えることができる。
上記の酸素濃度センサの制御装置の一態様では、抵抗とコンデンサから構成されるRC回路を備えており、前記回路定数切り替え手段は、前記RC回路の抵抗成分を切り替える。酸素濃度センサの制御装置は抵抗値を変えることにより、簡便に回路定数を切り替えることができる。
上記の酸素濃度センサの制御装置の一態様では、前記酸素濃度センサを駆動するために電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段に接続された第1の抵抗と、前記第1の抵抗の前記電圧印加手段と逆側の端子及び前記酸素濃度センサに接続された第2の抵抗と、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との接点の電圧を検出する第1の電圧検出手段と、前記第2の抵抗と前記酸素濃度センサとの接点の電圧を検出する第2の電圧検出手段と、を備え、前記インピーダンス算出手段は、前記第1の電圧検出手段が検出した電圧と前記第2の電圧検出手段が検出した電圧に基づいて前記インピーダンスを算出する。
この態様では、前記回路定数切り替え手段は、前記算出されたインピーダンスが大きければ、前記第2の抵抗の抵抗値を小さくし、前記算出されたインピーダンスが小さければ、前記第1の抵抗の抵抗値を小さくする。酸素濃度センサにおいては、車両の通常走行時に最適にインピーダンが算出できるように回路定数が設定されているため、酸素濃度センサのインピーダンスが大きいとき又は小さいときには、この回路定数では精度良く算出することができない。そこで、インピーダンスが大きいとき又は小さいときには、上記の第1の抵抗又は第2の抵抗の抵抗値を小さくすることにより回路定数を切り替える。これにより、インピーダンスがこのような領域にあるときも、精度良く算出することができる。
この態様では、前記回路定数切り替え手段は、前記算出されたインピーダンスが大きければ、前記第2の抵抗の抵抗値を小さくし、前記算出されたインピーダンスが小さければ、前記第1の抵抗の抵抗値を小さくする。酸素濃度センサにおいては、車両の通常走行時に最適にインピーダンが算出できるように回路定数が設定されているため、酸素濃度センサのインピーダンスが大きいとき又は小さいときには、この回路定数では精度良く算出することができない。そこで、インピーダンスが大きいとき又は小さいときには、上記の第1の抵抗又は第2の抵抗の抵抗値を小さくすることにより回路定数を切り替える。これにより、インピーダンスがこのような領域にあるときも、精度良く算出することができる。
好適な実施例では、前記回路定数切り替え手段は、前記抵抗を並列配列に切り替える。並列回路に切り替えることにより、酸素濃度センサの制御装置において、容易に抵抗値を小さくすることができる。
他の好適な実施例では、前記抵抗及び前記コンデンサの定数は、前記回路定数切り替え手段による切り替えの前後で前記RC回路が一定の時定数を維持するように決定されている。このように、回路定数を変更したときにも、酸素濃度センサの制御装置を構成するRC回路の時定数を一定に維持することにより、算出されるインピーダンスの値がずれないようにすることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
まず、本発明の理解を容易にするために、酸素濃度センサの制御装置によるインピーダンス算出の基本原理について説明する。
酸素濃度センサ(以下、「空燃比センサ」とも呼ぶ)は、車両のエンジンから伸びた排気管に取り付けられており、電圧の印加に伴い排気ガス中の酸素濃度に比例した電流が流れる。酸素濃度センサは、通常、ジルコニア素子の内外面に白金がコーティングされている装置が用いられている。この酸素濃度センサは、センサの内外面の酸素濃度差によって電力が発生する仕組みを利用している。つまり、センサ内部に導入されている大気(酸素を多く含む)とセンサ外部に当たる排気ガス(酸素をそれほど含まない)の酸素の濃度差が大きいほど電圧差が生じ、酸素の濃度差がない場合には電圧差が生じない。酸素濃度センサを流れる電流に対応する電圧値などの電気信号は車両内にあるECU(Engine Control Unit)に供給され、ECUは、この検出結果に基づいて燃料噴射量などの制御を行う。
ここで、酸素濃度センサの素子温度と素子インピーダンスの関係を、図8を用いて説明する。図8は、横軸に酸素濃度センサの素子温度を示し、縦軸に素子インピーダンスを示している。酸素濃度センサは、特性Nで示すように、素子温度に応じて素子インピーダンスが著しく変化する特性を有している。したがって、酸素濃度センサの出力電圧も素子温度によって差が生じてしまうので、素子温度を適温(即ち、活性温度)に維持する必要がある。図8においては、T1で示す温度は酸素濃度センサが活性し始める温度であり(例えば、400℃)、T2で示す温度は酸素濃度センサの活性温度である(例えば、700℃)。一般的には、酸素濃度センサにヒータを付設し、ヒータを制御して酸素濃度センサが活性温度T2付近に維持されるように制御している。このとき、酸素濃度センサの温度を直接検出するのではなく、図8に示すように酸素濃度センサの素子インピーダンスが素子温度に応じて変化することに注目して、素子インピーダンスを検出し、この検出値から素子温度を算出している。
なお、素子インピーダンスが著しく大きいとき(図8のx1で示す領域)、及び素子インピーダンスが著しく小さいとき(図8のx2で示す領域)においては、素子インピーダンス値を用いて、酸素濃度センサなどの断線やショートの判定を行うことができる。ただしその場合は、x1及びx2のような領域においても、酸素濃度センサの素子インピーダンスを精度良く算出することが必要である。
次に、図1を用いて、酸素濃度センサの制御装置に採用されている電気的構成について説明する。以下では、主に酸素濃度センサのインピーダンスを検出する方法について述べる。
図1に示す酸素濃度センサの制御装置100は、主に車載用のECU(Engine Control Unit)10と、ECU10に駆動される酸素濃度センサ5から構成されている。酸素濃度センサ5は、電源電圧Vcによって駆動される。この電源電圧Vcの直下には、スイッチとして機能するPNP型のトランジスタTpが接続されている。トランジスタTpは、酸素濃度センサ5のインピーダンスRSの測定を行う際にONにされ、酸素濃度センサ5などに電圧を印加する。なお、トランジスタTpは、ECU10によって制御される。
トランジスタTpには抵抗R1が接続され、抵抗R1を介して抵抗R2が接続されている。また、抵抗R2には酸素濃度センサ5が接続されており、酸素濃度センサ5はグランドに接続されている。この酸素濃度センサ5の素子インピーダンスをRSと表記する。そして、抵抗R2の両端にはADコンバータ1とADコンバータ2が接続されており、これらの出力値はECU10に取り込まれる。ECU10は、これらの出力値に基づいて酸素濃度センサ5内のインピーダンスRSを算出する。
一方、抵抗R1と抵抗R2の接続部には、コンデンサC1が接続され、コンデンサC1からグランドに接続されている。コンデンサC1は、ADコンバータ1及び2で検出する電圧などを安定させるために用いられている。さらに、抵抗R1と抵抗R2の接続部には、抵抗RDを介してNPN型のトランジスタTnが接続され、トランジスタTnからグランドに接続されている。トランジスタTnは、酸素濃度センサ5のインピーダンスの測定の終了時又は開始直後にONにされ、コンデンサC1などにたまった電荷を放電するために用いられる。このトランジスタTnも、ECU10によって制御される。
ECU10は、上述したようにADコンバータ1とADコンバータ2からの出力値に基づいて酸素濃度センサ5のインピーダンスRSを算出する。さらに、このインピーダンスRSから酸素濃度センサ5の素子温度を算出し、酸素濃度センサ5に付設された図示しないヒータなどを制御する。また、ECU10は、酸素濃度センサ5に流れる電流から排気ガス中の酸素濃度を算出して、空燃比フィードバック制御なども行う。ECU10は、その他にもトランジスタTp及びTnの制御や、車両全体の種々の制御を統括して行うことができる。
ここで、電源電圧Vcの電圧値をVc、ADコンバータ1の出力電圧値をADC1、ADコンバータ2の出力電圧値をADC2、抵抗R1の抵抗値をR1、抵抗R2の抵抗値をR2、酸素濃度センサ5のインピーダンス値をRS、コンデンサC1の電気容量をC1、と表記して、ECU10にてRSの算出の際に用いられる演算式について説明する。
トランジスタTpをONにしたときに、酸素濃度センサ5に印加される電圧はADC2になり、酸素濃度センサ5に流れる電流は(ADC1−ADC2)/R2になる。したがって、酸素濃度センサ5のインピーダンス値RSは、
RS=ADC2/((ADC1−ADC2)/R2) (式1)
となる。式1より、算出されるRSは、ECU10に入力される(ADC1−ADC2)とADC2の影響を受けることがわかる。したがって、ADC1とADC2の差が微小である場合、又はADC2が微小である場合には、回路公差や、ADコンバータ1及び2にて生じるAD変換のばらつきの影響を特に受けやすくなってしまい、RSの算出精度は落ちてしまう。
RS=ADC2/((ADC1−ADC2)/R2) (式1)
となる。式1より、算出されるRSは、ECU10に入力される(ADC1−ADC2)とADC2の影響を受けることがわかる。したがって、ADC1とADC2の差が微小である場合、又はADC2が微小である場合には、回路公差や、ADコンバータ1及び2にて生じるAD変換のばらつきの影響を特に受けやすくなってしまい、RSの算出精度は落ちてしまう。
上記のようなADC1、ADC2、及びRSの関係を、具体的に図3に示す。図3は、横軸に酸素濃度センサ5のインピーダンスRSを示し、縦軸にADコンバータ1及びADコンバータ2の出力電圧ADC1とADC2を示している。横軸において、右にいくほどRSの値は大きくなり、左にいくほどRSの値は小さくなる。図3において、RSがa1で示す領域にある場合は、ADC1とADC2の電圧の差が生じており、且つADC2の値も微小ではないので、算出されるRSの精度は高い。一般的には、インピーダンス値RSが酸素濃度センサ5の温度に対して取りうるダイナミックレンジの内、車両の通常走行時に使用する温度(例えば、700℃)付近での算出精度が高くなるようにR1、R2、及びC1などの定数を設定している。
しかし、RSが大きい場合(a2で示した領域)、ADC1とADC2の電圧値の差が小さくなり、算出されるRSはばらつきの影響を受けやすくなる。また、RSが小さい場合(a3で示した領域)、ADC2が微小になってしまい、算出されるRSはばらつきの影響を受けやすくなる。上述のように車両の通常走行時に使用する温度付近にて回路定数を設定したため、精度良くインピーダンスRSを算出することができる領域からずれてしまうと、回路公差やAD変換のばらつきの影響をRSは受けやすくなってしまうからである。
酸素濃度センサ5の実際のインピーダンス値とECU10にて算出されたインピーダンス値の関係を図6に示す。図6は、横軸に酸素濃度センサ5の実際のインピーダンス値を示し、縦軸にECU10にて算出された酸素濃度センサ5のインピーダンス値を示す。なお、横軸及び縦軸はログ(対数)スケールで表示をしている。直線Lは理論値であり、e11及びe21は測定されたインピーダンス値の上限と下限を示す線である。図6より、実際のインピーダンス値がy1で示す範囲内にあるときしか、精度良く酸素濃度センサ5のインピーダンスを算出することができないことがわかる。
次に本発明に係る酸素濃度センサ5のインピーダンスの算出方法について説明する。
まず、図2に示した本発明の実施例に係る電気的構成図を用いて、酸素濃度センサ5のインピーダンスの算出方法について説明する。図2に示す酸素濃度センサの制御装置200は、算出された酸素濃度センサ5のインピーダンスRSに基づいて、インピーダンスRSを算出するための電気回路の回路定数を切り替えることによって、広いレンジでのインピーダンスRSの算出精度向上を図っている。
その具体的な空燃センサ5のインピーダンスRSの算出方法について説明する。酸素濃度センサの制御装置200内の酸素濃度センサ5は、電源電圧Vcによって駆動される。この電源電圧Vcの直下には、PNP型のトランジスタTpが接続されている。トランジスタTpは、酸素濃度センサ5のインピーダンスRSの測定を行う際にONにされ、酸素濃度センサ5に電圧を印加する。なお、トランジスタTpは、ECU10によって制御される。
トランジスタTpからは、抵抗R1と、スイッチSW1と、スイッチSW1を介してR11と、が接続されている。SW1をONにすると、抵抗R1と抵抗R11の並列回路が形成される。また、抵抗R1及び抵抗R11から、抵抗R2と、スイッチSW2と、スイッチSW2を介して抵抗R22と、が接続されている。スイッチSW2をONにすると、抵抗R2と抵抗R22の並列回路が形成される。なお、スイッチSW1及びスイッチSW2は、ECU10にて制御される。
このように、本実施例に係る酸素濃度センサ5のインピーダンスRSを算出するための電気回路は、スイッチにて抵抗値を切り替えることが可能な構成を採用している。これにより回路定数を切り替えることを可能にしている。なお、上記のスイッチSW1及びスイッチSW2の制御は、ECU10にて算出される酸素濃度センサ5のインピーダンスRSに基づいて行われる。その具体的な制御は、後述する。
また、図2おいて、抵抗R2又は抵抗R22の直下には、酸素濃度センサ5が接続され、酸素濃度センサ5からグランドに接続されている。酸素濃度センサ5は、先に述べた装置と同様のものを用いている。さらに、抵抗R2又は抵抗R22の両端にはADコンバータ1とADコンバータ2が接続されている。これらADコンバータ1と2の出力値はECU10に取り込まれる。ECU10は、これらの出力値に基づいて酸素濃度センサ5内のインピーダンスRSを算出する。
一方、抵抗R1及び抵抗R11と、抵抗R2及び抵抗R22と、の接続部には、コンデンサC1と、抵抗RDと、が接続されている。コンデンサC1は、ADコンバータ1及び2で検出する電圧を安定させるために用いられている。抵抗RDからはNPN型のトランジスタTnが接続されている。トランジスタTnは、酸素濃度センサ5のインピーダンスの測定の終了時又は開始直後にONにされ、コンデンサC1などにたまった電荷を放電するために用いられる。このトランジスタTnも、ECU10によって制御される。なお、コンデンサC1及びトランジスタTnからグランドに接続されている。
ECU10は、上述したADコンバータ1とADコンバータ2からの出力値に基づいて酸素濃度センサ5のインピーダンスRSを算出する。さらに、このインピーダンスRSから酸素濃度センサ5の素子温度を算出し、酸素濃度センサ5に付設された図示しないヒータなどを制御する。また、ECU10は、酸素濃度センサ5に流れる電流から排気ガス中の酸素濃度を算出して、空燃比フィードバック制御なども行う。ECU10は、その他にもトランジスタTp及びTnの制御や、車両全体の種々の制御を統括して行うことができる。
ここで、ADコンバータ1の出力電圧をADC1、ADコンバータ2の出力電圧をADC2、抵抗R1の抵抗値をR1、抵抗R2の抵抗値をR2、酸素濃度センサ5のインピーダンス値をRS、コンデンサC1の電気容量をC1、スイッチSW1をONしたときの抵抗R1と抵抗R11における合成抵抗値をR1’(1/R1’=1/R1+1/R11)、スイッチSW2をONしたときの抵抗R2と抵抗R22における合成抵抗値をR2’(1/R2’=1/R2+1/R22)と表記する。このとき、上記の抵抗R1、抵抗R11、抵抗R2、抵抗R22、コンデンサC1の時定数τは以下の式2を満たすような値に設定するものとする。
τ=(R1’×(R2’+RS))/(R1’+R2’+RS)×C1 (式2)
このようにするのは、スイッチをON・OFFに切り替えて抵抗値を変更したときに算出されるインピーダンスRSの値が、車両の通常走行時に使用する温度(例えば、700℃)付近で、ずれないようにするためである。なお、R1及びR2に関しては、式2のR1’にR1を、R2’にR2を代入したときに満たすべき時定数τになるものとする。
このようにするのは、スイッチをON・OFFに切り替えて抵抗値を変更したときに算出されるインピーダンスRSの値が、車両の通常走行時に使用する温度(例えば、700℃)付近で、ずれないようにするためである。なお、R1及びR2に関しては、式2のR1’にR1を、R2’にR2を代入したときに満たすべき時定数τになるものとする。
次に、上記のスイッチSW1又はスイッチSW2をONしたときの、ADコンバータ1の出力電圧ADC1及びADコンバータ2の出力電圧ADC2と、酸素濃度センサ5のインピーダンスRSとの関係について説明する。
図4は、スイッチSW1のみをONしたときの、インピーダンスRSと、ADC1及びADC2の関係を示す。横軸に酸素濃度センサ5のインピーダンスRSを示し、縦軸にADC1とADC2を示す。横軸において、右にいくほどRSの値は大きくなり、左にいくほどRSの値は小さくなる。スイッチSW1をONすると、R1とR11の並列回路になるため、ADコンバータ1の直前の抵抗値(R1’)が小さくなる。そのため、ADコンバータ1の出力電圧ADC1は大きくなり(すなわち、ADC2の増分よりも大きくなる)、ADコンバータ2の出力電圧ADC2との差が顕著になる。したがって、ECU10にて算出されたインピーダンスRSの値が小さいときでも、(ADC1−ADC2)の値を確保することができる(図4において、b1で示した領域)。よって、RS値が大きい場合でも、スイッチSW1をONにすることにより、算出されるRSはばらつきの影響を受けにくくなる。
図5には、スイッチSW2のみをONしたときの、インピーダンスRSと、ADC1及びADC2の関係を示す。横軸、縦軸は図4と同様の値を取ってある。スイッチSW2をONすると、R2とR22の並列回路になるため、ADコンバータ2の直前の抵抗値(R2’)が小さくなる。ここで、式1を変形してADC2について記述すると、式3のようになる。
ADC2=ADC1×RS/(R2’+RS) (式3)
式3より、R2’は小さい値なので、インピーダンスRSが小さい場合でもADC2の値を確保することができることがわかる(図5において、b2で示した領域)。よって、RS値が小さい場合でも、スイッチSW2をONにすることにより、算出されるRSは、ばらつきの影響を受けにくくなる。
式3より、R2’は小さい値なので、インピーダンスRSが小さい場合でもADC2の値を確保することができることがわかる(図5において、b2で示した領域)。よって、RS値が小さい場合でも、スイッチSW2をONにすることにより、算出されるRSは、ばらつきの影響を受けにくくなる。
以上から、算出された酸素濃度センサ5のインピーダンスRSが大きい場合にはスイッチSW1のみをONにし、算出されたインピーダンスRSが小さい場合にはスイッチSW2のみをONにすることが最適である。これにより、酸素濃度センサ5の幅広いダイナミックレンジで精度良くインピーダンスを算出することができる。
次に、図2に示す電気回路を用いて算出された酸素濃度センサ5のインピーダンス値と、実施のインピーダンス値の関係を図7に示す。図7は、横軸に酸素濃度センサ5の実際のインピーダンス値を示し、縦軸にECU10にて算出された酸素濃度センサ5のインピーダンス値を示している。なお、横軸及び縦軸はログスケールで表示をしている。直線Lは理論値であり、e11、e12、e21、及びe22は測定されたインピーダンス値の上限と下限を示す線である。d1で示す領域においては、スイッチSW2のみをONしたときの算出されたインピーダンスを表している。また、d2で示す領域は、スイッチSW1とスイッチSW2の両方ともOFFにしたときの算出されたインピーダンスである。d3で示す領域は、スイッチSW1のみをONにしたときの算出されたインピーダンスである。これらの領域全てにおいて、理論値Lと測定されたインピーダンスが一致することがわかる。したがって、実際のインピーダンス値が図7のy2で示す広い範囲にて、精度良く酸素濃度センサ5のインピーダンスを算出することができる。
このように本発明に係る酸素濃度センサの制御装置では、酸素濃度センサのインピーダンス値が小さいときでも大きいときでも精度良くインピーダンスを算出することができるので、図8に示したx1の領域及びx2の領域にて酸素濃度センサの断線やショートの判定を精度良く行うこともできる。
なお、上述した酸素濃度センサの制御装置200においては、回路定数を並列回路に切替えて抵抗値を変更するというものについて示したが、これには限定しない。例えば、スイッチにて異なる抵抗値を有するものに変更して回路定数を切替えても良い。
1、2 ADコンバータ
5 酸素濃度センサ
10 ECU
100、200 酸素濃度センサの制御装置
R1、R11、R2、R22、RD 抵抗
C1 コンデンサ
Tp、Tn トランジスタ
SW1、SW2 スイッチ
5 酸素濃度センサ
10 ECU
100、200 酸素濃度センサの制御装置
R1、R11、R2、R22、RD 抵抗
C1 コンデンサ
Tp、Tn トランジスタ
SW1、SW2 スイッチ
Claims (7)
- 酸素濃度を検出する車両用の酸素濃度センサの制御装置であって、
前記酸素濃度センサのインピーダンスを算出するインピーダンス算出手段を備え、
前記インピーダンス算出手段は、複数の回路定数を有しており、前記回路定数を切り替える回路定数切り替え手段を備えていることを特徴とする酸素濃度センサの制御装置。 - 前記回路定数切り替え手段は、前記算出されたインピーダンスに基づいて前記回路定数を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃度センサの制御装置。
- 抵抗とコンデンサから構成されるRC回路を備えており、
前記回路定数切り替え手段は、前記RC回路の抵抗成分を切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素濃度センサの制御装置。 - 前記酸素濃度センサを駆動するために電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段に接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗の前記電圧印加手段と逆側の端子及び前記酸素濃度センサに接続された第2の抵抗と、
前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との接点の電圧を検出する第1の電圧検出手段と、
前記第2の抵抗と前記酸素濃度センサとの接点の電圧を検出する第2の電圧検出手段と、を備え、
前記インピーダンス算出手段は、前記第1の電圧検出手段が検出した電圧と前記第2の電圧検出手段が検出した電圧に基づいて前記インピーダンスを算出することを特徴とする請求項3に記載の酸素濃度センサの制御装置。 - 前記回路定数切り替え手段は、
前記算出されたインピーダンスが大きければ、前記第2の抵抗の抵抗値を小さくし、
前記算出されたインピーダンスが小さければ、前記第1の抵抗の抵抗値を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の酸素濃度センサの制御装置。 - 前記回路定数切り替え手段は、前記抵抗を並列配列に切り替えることを特徴とする請求項3及至5のいずれか1項に記載の酸素濃度センサの制御装置。
- 前記抵抗及び前記コンデンサの定数は、前記回路定数切り替え手段による切り替えの前後で前記RC回路が一定の時定数を維持するように決定されていることを特徴とする請求項3及至6のいずれか1項に記載の酸素濃度センサの制御装置。
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JP2003386331A JP2005147872A (ja) | 2003-11-17 | 2003-11-17 | 酸素濃度センサの制御装置 |
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Cited By (2)
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JP2015148472A (ja) * | 2014-02-05 | 2015-08-20 | 株式会社デンソー | 酸素濃度センサの素子インピーダンス検出装置 |
CN110672331A (zh) * | 2019-07-02 | 2020-01-10 | 成都恩吉威汽车技术有限公司 | 宽域氧传感器信号采集和信号仿真控制单元 |
-
2003
- 2003-11-17 JP JP2003386331A patent/JP2005147872A/ja active Pending
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