JP2005144616A - マイクロ構造体のスティッキング防止方法、マイクロ構造体およびその製造方法 - Google Patents

マイクロ構造体のスティッキング防止方法、マイクロ構造体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 構造体と基板との貼り付きを防止する新規なスティッキング防止方法を提供すること、ならびに構造体の貼り付きを防止することによって、不良率を減少し、かつ信頼性を向上するマイクロ構造体およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 基板1の表面上に所定のギャップを介して構造体2を形成する方法において、前記構造体2をリリースエッチングした後に、前記基板1の露出面4にエッチング液に可溶である金属膜片3を形成し、この金属膜片3をエッチング液により溶解することにより、前記基板1の露出面に面荒れを起こさせる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ構造体の基板への貼り付きを防止するためのスティッキング防止方法、ならびにそのマイクロ構造体およびその製造方法に関する。
MEMS(微小電気機械システム)あるいはマイクロ構造体と呼ばれるものは、通常、シリコン基板を用い、その基板上に静電引力により変位する可動部分を持つ構造体を形成する構成となっており、マイクロレゾネータ、共振子、アクチュエータ、センサなどとして多方面で利用されている。
このようなマイクロ構造体における問題点のひとつに、構造体がその支持基板であるシリコン基板に固着(スティッキング)する問題がある。すなわち、シリコン基板上に構造体を作り込む際には最終的にリリースエッチング(シリコン基板と構造体の間に介在する絶縁膜をエッチングで除去することにより構造体をシリコン基板から切り離すこと)を行い、構造体とシリコン基板の間に介在する犠牲層(りんガラス等の酸化膜)を選択的にエッチング除去するのであるが、この犠牲層除去後の構造体および支持基板の対向面はきわめて平滑な面となっている。そのため、エッチング後の乾燥プロセスあるいは実際の動作において、この平滑な面同士が外乱等により接触する機会があると、接触面の面積と乖離力のバランスによっては接触面同士のファンデルワールス力(分子間力)が勝り、貼り付いたまま離れなくなることがある。このようなスティッキングが生じると可動部分は動けなくなり、マイクロ構造体の動作不良を生じることになる。
スティッキング防止対策の従来技術としては、構造体のシリコン基板と対向する面に小突起を設ける方法がある(例えば、特許文献1参照)。この方法では、上記犠牲層に小突起を構成することになる凹部を予め形成しておくものである。
この構成によれば、万一、構造体がシリコン基板と接触するようなことが後のプロセスや実際の動作で起きても、小突起により接触面積を最小限にとどめ、貼り付きを防ぐことができる。
米国特許第5537083号明細書
しかしながら、マイクロ構造体の製造方法では、上記特許文献1にも開示するように、構造体を作製するのに、特に半導体プロセスで用いられるポリシリコン膜を用いることが多いが、ポリシリコン膜の形成方法の限界により最大の厚さが2μm程度と制限があり、そのため比較的厚みのある構造体を作製するのは困難である。
構造体を厚くするにはSOI(Silicon On Insulator)基板を用いるのが適している。しかし、上記のような小突起によるスティッキング防止方法はSOI基板には採用できない。なぜなら、SOI基板の場合は、活性層とベース基板の間に存在する埋め込み絶縁層をエッチングで選択的に除去する必要があるが、突起を設ける場所がウェハに埋もれているためにそのような方法はとれないからである。
さらに、突起を設ける方法では構造体とベース基板の間のギャップが突起の分だけ狭くなるため、構造体を基板に対して垂直方向に変位させるものでは短絡の可能性が高くなるという問題もある。
したがって、本発明の課題は、構造体と基板との貼り付きを防止する新規なスティッキング防止方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、構造体の貼り付きを防止することによって、不良率を減少し、かつ信頼性を向上するマイクロ構造体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、シリコン基板のシリコン面にエッチング液のフッ酸に溶けるメタルを取り付け、そのメタルをエッチング液で溶出させると、シリコン面が適度の面荒れを起こすことを見出したものである。したがって、以下の発明はこの知見に基づくものである。
マイクロ構造体のスティッキングを防止するための第1の解決手段は、請求項1に記載するように、基板の表面上に所定のギャップを介して構造体を形成する方法において、前記構造体をリリースエッチングした後に、前記基板の露出面にエッチング液に可溶である金属膜片を形成し、この金属膜片をエッチング液により溶解することにより、前記基板の露出面に面荒れを起こさせることを特徴とするマイクロ構造体のスティッキング防止方法である。
請求項1に記載の発明では、構造体のリリ−スエッチング後に、エッチング液に可溶であるAlなどの金属膜片を基板の露出されたシリコン面に形成し、その金属膜片をエッチング液で溶解させることにより、基板の露出面に面荒れを起こさせるものである。
請求項1に記載の発明によれば、基板のシリコン面を適度の面粗さにすることができるため、構造体がその後のプロセスや動作において基板の表面に接触するようなことがあっても、接触面積が極めて小さいため、貼り付き、すなわちスティッキングは生じない。
マイクロ構造体のスティッキングを防止するための第2の解決手段は、請求項2に記載するように、ベース基板と活性層とを埋め込み絶縁層を介して積層してなるSOI基板の前記活性層から構造体を形成する方法において、前記埋め込み絶縁層の一部をエッチング除去し、これにより露出した前記ベース基板の露出面にエッチング液に可溶である金属膜片を形成し、この金属膜片を前記構造体のリリースエッチングと同時に溶解することにより、前記ベース基板および構造体の両方の対向面に面荒れを起こさせることを特徴とするマイクロ構造体のスティッキング防止方法である。
請求項2に記載の発明は、特にSOI基板からマイクロ構造体を作製する際のスティッキング防止方法である。この場合は、構造体のリリースエッチング前に、エッチング液に可溶である金属膜片をベース基板の露出されたシリコン面に形成しておき、リリースエッチングと同時にこの金属膜片を溶解させるものである。この方法では、ベース基板および構造体の両方の対向面が面荒れの状態となる。したがって、請求項1の発明と同様にマイクロ構造体のスティッキングを防止できる効果がある。なお、SOI基板を用いても、シリコン基板と同様に構造体のリリ−スエッチング後に、金属膜片をベース基板の露出面に形成してもよい。ただし、この場合はベース基板の露出面のみが面荒れの状態となる。
請求項3に記載の発明は、前記面荒れを起こさせる基板の対象面以外は、エッチング保護膜により前記基板を保護することを特徴とする請求項1記載のマイクロ構造体のスティッキング防止方法である。
また、請求項4に記載の発明は、前記面荒れを起こさせるベース基板の対象面以外は、エッチング保護膜により前記ベース基板を保護することを特徴とする請求項2記載のマイクロ構造体のスティッキング防止方法である。
金属膜片は、基板のシリコン面のどこに付けてもよいが、その場合には面荒れを必要としない、あるいは、望ましくない基板面も面荒れの状態となる。したがって、請求項3または4に記載の発明では、面荒れを起こさせたい基板面のみを対象として金属膜片を取り付け、面荒れを必要としない、あるいは、望ましくない基板面はエッチング保護膜で保護することにしている。
請求項5に記載の発明は、基板の表面上に所定のギャップを介して変位可能な構造体を形成するマイクロ構造体において、前記基板および構造体のいずれか一方または両方の対向面が、前記基板の露出面に形成されたエッチング液に可溶である金属膜片をエッチング液により溶解することにより、粗面となっていることを特徴とするマイクロ構造体である。
請求項5に記載の発明によれば、少なくとも基板の露出面が適度の面粗さの粗面となるので、動作中においてスティッキングの発生がなく、信頼性が向上する。
請求項6に記載の発明は、前記粗面の面粗さは、前記構造体と基板の間のギャップ距離の1/10〜1/50であることを特徴とする請求項5記載のマイクロ構造体である。
前記の適度の面粗さとは、構造体と基板の間のギャップ距離の1/50〜1/10である。通常、ギャップ距離は最大2μm程度であるので、40nm〜200nm程度の面粗さとなる。この面粗さは基板の研磨精度、構造体および絶縁膜の成膜精度(通常、十数nm以下)よりも大きい。また、この面粗さの制限理由は、ギャップ距離の1/50未満ではスティッキング防止の効果が上がらないからであり、ギャップ距離の1/10を超えると基板の強度が低下し、また構造体がエッチングによって基板から分離する可能性が高くなるからである。
請求項7に記載の発明は、前記基板は、シリコン基板またはSOI基板であることを特徴とする請求項5または6記載のマイクロ構造体である。
本発明が適用される対象となる基板はシリコン基板またはSOI基板である。
請求項8に記載の発明は、前記構造体は、互いに噛み合い状態に設けられた櫛歯状の可動電極と固定電極を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のマイクロ構造体である。
櫛歯状の可動電極および固定電極はいずれもスティッキングを起こす可能性があるので、本発明によりスティッキング防止の対象となる。
請求項9に記載の発明は、前記構造体は、基板面に平行または垂直な方向に変位可能であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載のマイクロ構造体である。
請求項10に記載の発明は、基板の表面上に所定のギャップを介して変位可能な構造体を形成する方法において、前記基板と構造体の間に形成された絶縁膜を含む犠牲層をエッチング除去する工程と、前記基板の露出面にエッチング液に可溶である金属膜片を形成する工程と、この金属膜片をエッチング液により溶解する工程とを有することを特徴とするマイクロ構造体の製造方法である。
この製造方法により、スティッキングを防止できるため、不良率が減少し、信頼性の高いマイクロ構造体が得られる。
請求項11に記載の発明は、ベース基板と活性層とを埋め込み絶縁層を介して積層してなるSOI基板の前記活性層から変位可能な構造体を形成する方法において、前記構造体のパターンエッチングにより前記埋め込み絶縁層の一部が除去された前記ベース基板の露出面にエッチング液に可溶である金属膜片を形成する工程と、前記構造体のリリースエッチングと同時に前記金属膜片を溶解する工程とを有することを特徴とするマイクロ構造体の製造方法である。
この製造方法により、SOI基板からマイクロ構造体を効率よく製造することができ、かつ信頼性の高いマイクロ構造体が得られる。また、SOI基板を用いることにより、スティッキングを起こさないような設計寸法上の制約が少なくなり、また構造体の厚さを厚くすることができるなどが可能となるため、設計の自由度が高くなる。
請求項12に記載の発明は、前記構造体が対向する前記基板の対象面以外は、前記基板にエッチング保護膜を形成する工程と、このエッチング保護膜を除去する工程とをさらに有することを特徴とする請求項10記載のマイクロ構造体の製造方法である。
エッチング保護膜は、前述のように、面荒れを必要としない、あるいは、面荒れが望ましくない基板面を保護するためのものである。したがって、最終的にはこのエッチング保護膜は除去される。
請求項13に記載の発明は、前記構造体が対向する前記ベース基板の対象面以外は、前記ベース基板にエッチング保護膜を形成する工程と、このエッチング保護膜を除去する工程とをさらに有することを特徴とする請求項11記載のマイクロ構造体の製造方法である。
SOI基板に対するエッチング保護膜も請求項12の発明と同様の目的で形成され、かつ除去される。
請求項14に記載の発明は、前記エッチング保護膜は、フォトレジスト膜であることを特徴とする請求項12または13記載のマイクロ構造体の製造方法である。
エッチング保護膜としては、フォトレジスト膜が適当である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明のマイクロ構造体のスティッキング防止方法の作用原理を説明するための模式図である。
本発明においては、図1(A)に示すように、シリコン基板1の表面上に、例えばカンチレバーのような構造体2が所定のギャップGを介して設けられている場合において、ギャップGを形成した後、すなわち構造体2をリリースエッチングした後、エッチング液に可溶である金属膜片3をシリコン基板1の露出されたシリコン面(露出シリコン面)4に形成するものである。ギャップGは、シリコン基板1の表面上に形成された構造体2の支持部5以外の絶縁膜(犠牲層を含む)6を選択的にエッチング除去することにより、所定の間隔に形成される。しかし、この絶縁膜6をエッチング除去した後のシリコン基板1および構造体2は、そのままではそれぞれの対向面1a、2aがきわめて平滑な面となっているため、この平滑な対向面同士がエッチング後の乾燥プロセスや実際の動作において接触するようなことがあると、前述したようにスティッキングが生じる可能性がある。
このスティッキングを防止するために、本発明では、まず絶縁膜6をエッチング除去した後のシリコン基板1の露出シリコン面4にエッチング液に可溶性の金属膜片3を、マスクを用いて蒸着やスパッタ等で形成する。金属膜片3は、Al、Cr、Tiなど、エッチング液の酸で溶けるものであればどのような金属材料でもよい。
ついで、この金属膜片3をエッチング液で溶解すれば、図1(B)に示すように、シリコン基板1の表面(露出シリコン面4)に適度の面荒れを起こさせることができる。なお、このとき、シリコンからなる構造体2の対向面2aは平滑な面のままとなっている。
このようにシリコン基板1の表面(シリコン面)がエッチングされてしまうメカニズムは次のように考えられる。
(1)まず、シリコンに載っているメタルの溶出によりシリコンが酸化される。
(2)これにより、シリコン面は酸化シリコンとなる。
(3)この酸化シリコンがエッチング液の例えばフッ酸によりエッチングされる。
以上の作用により、シリコン基板1の表面に面荒れを起こさせることができる。また、シリコン面全体が一様に浸食されない理由として、研磨されたシリコン面の結晶構造はダイヤモンド構造をしている部分とそうでない部分とあり、この非ダイヤモンド構造の部分がエッチング液の酸(フッ酸や硝酸など)で浸食され、結果として面荒れの状態になるものと考えられる。
したがって、構造体2がその後のプロセスや実際の動作においてシリコン基板1に接触するようなことがあっても、シリコン基板1の表面が適度な凹凸を有する粗面となっているため、接触面積がきわめて小さくなり、その結果、構造体2の貼り付きを起こすような分子間力(ファンデルワールス力)は働きにくくなりスティッキングを防ぐことができるのである。
金属膜片3はシリコン基板1の表面(シリコン面)のどこに付けてもよい。そのため、シリコン基板1に面荒れを起こさせたい面(対象面)以外の面も同様に粗面となってしまうので、これを避けるためには、図2に示すような処理を行うことが好ましい。すなわち、図2(A)に示すように、金属膜片3を形成する前に、必要な対象面4a以外は、エッチング液に耐性をもつエッチング保護膜7で保護する。エッチング保護膜7は、フッ酸に溶けない金属としては金や白金等があるが、これらの金属は最後に除去するのが困難であるため、除去の必要がない場合にのみ用いられる。一般的にはフォトレジストが用いられる。ただフォトレジストはそのままであるとフッ酸により膨潤することがあるのでべークするなどしてフッ酸への耐性を上げておく必要がある。
その後は、上記と同様に、シリコン基板1の対象面4aに金属膜片3を形成し(図2(B)参照)、この金属膜片3をエッチング液で溶解することにより、対象面4aのみを粗面とすることができる。そして最後に、フォトレジストのエッチング保護膜7をエッチングにより除去する(図2(C)参照)。これにより、シリコン基板1の対象面4a以外の面荒れを起こさせたくない面、例えば裏面を平滑な面とすることができる。
シリコン基板1の面粗さはギャップ距離の1/50〜1/10とするのが適当である。マイクロ構造体のギャップGは最大2μm程度であるので、40nm〜200nm程度の面粗さとなる。面粗さが上記ギャップ距離の1/50未満ではスティッキング防止の効果がなくなり、また上記ギャップ距離の1/10を超えるとシリコン基板1の強度が低下し、場合によってはエッチングによって構造体2がシリコン基板1から分離する可能性があるからである。
また、上記金属膜片3の付着部分はシリコンの粗面形成速度が他の部分よりも遅くなるので、金属膜片3の面積はできるだけ小さいほうが好ましい。さらに、金属膜片3の厚さもこの見地よりできるだけ薄いほうが好ましい。したがって、金属膜片3は小さくて薄いものを複数配置するのが好ましい。
次に、本発明を適用したマイクロ構造体の製造方法の一例を説明する。図3はこの製造方法の工程図である。ここでは、SOI基板100からマイクロ構造体を作製する場合について説明するが、シリコン基板を用いてもシリコン酸化膜の上に構造体を形成するためのポリシリコン膜を形成することにより、同様に作製することができる。
SOI基板100は、図3(A)に示すように、シリコンからなるベース基板101と表層部のシリコンからなる活性層102との間にシリコン酸化膜(SiO2)からなる埋め込み絶縁層103を設けた積層構造の基板である。活性層102の厚さは30μm、埋め込み絶縁層103の厚さは2μmとしている。また、ベース基板101の厚さは500μmである。
次に、この活性層102上にフォトレジスト104およびパターニングを施し、開口された窓部を通じてフッ酸(HF)を含むエッチング水溶液により、構造体2の例えば櫛歯状電極(櫛歯状の可動電極および固定電極)21を形成するための溝22をベース基板101の表面が露出するまでエッチングする(図3(B))。
次に、活性層102上のレジスト104をエッチング除去し、その後、面荒れを起こさせたくないベース基板101の領域、例えばベース基板101の裏面にフォトレジストによるエッチング保護膜105を形成する(図3(C))。
次に、ベース基板101の露出シリコン面106に、例えばアルミニウムからなる金属膜片107をマスクを用いて、例えばスパッタ法にて適宜の個数および大きさで形成する(図3(D))。
そして、上記櫛歯状電極21直下の埋め込み絶縁膜103をフッ酸(HF)を含むエッチング水溶液によりリリースエッチングすると同時に、上記金属膜片107を溶解させる(図3(E))。これにより、前述したようにベース基板101の表面を適度の面粗さの粗面にすることができる。そして最後に、エッチング保護膜105をエッチング除去することにより、所望のマイクロ構造体が得られる。
この製造方法によれば、プロセスや実際の動作においてスティッキングを生じることはないので、不良率を減少することができ、かつ信頼性の高いマイクロ構造体を作製することができる。また、特にSOI基板を用いることにより、プロセス上問題になるスティッキングを生じないような構造体の設計寸法にするといった制約がなくなり、構造体の厚さを任意に設計できるなど、設計の自由度が向上する。
次に、本発明を適用したマイクロ構造体の実施形態について説明する。図4はマイクロ構造体をマイクロレゾネータとして構成した実施形態の平面図である。
この実施形態では、SOI基板100の表面上に、所定のギャップを介して、櫛歯状の固定電極201、203と可動電極202、204が相互に噛み合う状態に形成される。すなわち、これらの固定電極201、203と可動電極202、204はSOI基板100より埋め込み絶縁膜の厚さ分だけ浮いた状態となっている。固定電極201、203は、それぞれシリコン酸化膜の埋め込み絶縁膜上に形成されたリード部205、206を介して電極端子部207、208に接続されている。可動電極202と可動電極204は、ビーム209によって連結されており、さらにこの連結ビーム209の中央部の左右両側に配置される1対のサスペンション手段210、211によって支持されている。各サスペンション手段210、211は、SOI基板100の上記埋め込み絶縁膜上に固定されるアンカー部212と、アンカー部212から延び一端がクロスバー部213に結合される第1のサスペンションビーム214と、クロスバー部213から延び一端が各可動電極202、204に結合される第2のサスペンションビーム215とから構成されている。また、アンカー部212を除き、サスペンションビーム214、215およびクロスバー部213はシリコン基板1より浮いた状態に形成されている。アンカー部212はこのマイクロレゾネータのグランド電極端子となっている。
図4において、破線で囲まれた対象領域220は、アンカー部212直下の絶縁膜221の部分を除き、上述したように対象領域220に形成された金属膜片を構造体のリリースエッチングと同時にエッチング液で溶解することにより、シリコン基板1の表面に面荒れを起こさせた部分である。したがって、このマイクロレゾネータの乾燥プロセスや実際の動作において、櫛歯状電極(可動電極202、204および可動電極202、204)やサスペンションビーム214、215などを有する構造体が部分的にシリコン基板1に接触するようなことがあっても、その基板表面は適度の面粗さになっているため、構造体のスティッキングは生じない。
なお、この実施形態では、SOI基板を用いているが、シリコン基板を用いても同様にマイクロレゾネータを作製することができる。
また、このマイクロレゾネータの動作を簡単に説明すると次のとおりである。一方の固定電極201と可動電極202間にパルス電圧を印加すると、両電極間に静電引力がオン・オフするように働き、この静電引力により可動電極202がシリコン基板1に平行な面内で振動する。この振動はサスペンション手段210、211に伝わるとともに、他方の可動電極204にも連結ビーム209を介して伝達される。そして、サスペンション手段210、211の第1および第2のサスペンションビーム214、215は同様にシリコン基板1に平行な面内でたわみ振動する。他方の可動電極204に伝わる振動はその可動電極204と固定電極203間の電圧信号に変換され出力される。
したがって、特定の周波数帯域の周波数のみを取り出すフィルタとしてこのマイクロレゾネータを利用することができる。
図5乃至図7は本発明を適用して光スイッチを構成した実施形態を示すもので、図5は平面図、図6は断面図、図7は下面図である。
この実施形態では、SOI基板から光スイッチを作製している。反射鏡301はSOI基板の活性層102を利用してつくる。この反射鏡301にはCrの反射膜302が蒸着されている。反射鏡301は、ヒンジ303により周囲の活性層102と結合され、周囲には円弧溝状の開口部304がパターンエッチングにより形成されている。
開口部304のエッチングではベース基板101の表面が露出するまで埋め込み絶縁層103をエッチング除去する。そして、この露出面にエッチング液に可溶な金属膜片を成膜し、反射鏡301のリリースエッチングと同時にその金属膜片をエッチング液で溶解する。これにより、反射鏡301直下の埋め込み絶縁層103が除去されるとともに、反射鏡301の下面およびベース基板101の露出シリコン面105は前述のとおり適度の面粗さをもつ粗面となる。また、ベース基板101は、予め下面からエッチングにより溝305を形成することにより埋め込み絶縁層103を介して左右2つの電極部分306、307に分離されている。また、上記活性層102からなる部分は共通電極部となる。
この光スイッチは、活性層102とベース基板101の一方の電極部分306との間に電圧を印加すると、静電引力により反射鏡301がヒンジ303のねじり強さに抗して図6の破線で示すように傾く。したがって、反射鏡301に垂直に入射する光は反射鏡301の傾斜角度に応じて反射する。また、反射鏡301を反対方向に傾斜させれば、その方向に光を反射させることができる。これにより、光路の切り替えが可能である。
この光スイッチでは、反射鏡301がベース基板101に接触しても、反射鏡301の下面およびベース基板101の露出シリコン面106は共に粗面となっているのでスティッキングを生じることはない。
本発明は、前述した実施形態に限らず、シリコンウエハ上にMEMSを形成するあらゆる構造のマイクロ構造体に利用することができるものである。例えば、加速度センサ等のセンサ類や、アクチュエータ、振動子、フィルタ、マイクロスイッチ等に利用できる。
本発明のマイクロ構造体のスティッキング防止方法の作用原理の説明図。 本発明のスティッキング防止方法の他の処理方法を示す説明図。 本発明のマイクロ構造体の製造方法の一例示す工程図。 本発明を適用したマイクロ構造体の実施形態の平面図。 本発明を適用したマイクロ構造体の他の実施形態の平面図。 図5の断面図。 図5の下面図。
符号の説明
1 シリコン基板、1a シリコン基板の対向面、2 構造体、2a 構造体の対向面、3 金属膜片、4 露出シリコン面、4a 対象面、5 支持部、6 絶縁膜、7 エッチング保護膜、21 櫛歯状電極、22 溝、100 SOI基板、101 ベース基板、102 活性層、103 埋め込み絶縁層、104 フォトレジスト、105 エッチング保護膜、106 露出シリコン面、107 金属膜片、201 固定電極、202 可動電極、203 固定電極、204 可動電極、205 リード部、206 リード部、207 電極端子部、208 電極端子部、209 連結ビーム、210 サスペンション手段、211 サスペンション手段、212 アンカー部、213 クロスバー部、214 第1のサスペンションビーム、215 第2のサスペンションビーム、220 対象領域、221 絶縁膜、301 反射鏡、302 反射膜、303 ヒンジ、304 開口部、305 溝、306 電極部分、307 電極部分

Claims (14)

  1. 基板の表面上に所定のギャップを介して構造体を形成する方法において、前記構造体をリリースエッチングした後に、前記基板の露出面にエッチング液に可溶である金属膜片を形成し、この金属膜片をエッチング液により溶解することにより、前記基板の露出面に面荒れを起こさせることを特徴とするマイクロ構造体のスティッキング防止方法。
  2. ベース基板と活性層とを埋め込み絶縁層を介して積層してなるSOI基板の前記活性層から構造体を形成する方法において、前記埋め込み絶縁層をリリースエッチングする前に、前記ベース基板の露出面にエッチング液に可溶である金属膜片を形成し、この金属膜片を前記構造体のリリースエッチングと同時に溶解することにより、前記ベース基板および構造体の両方の対向面に面荒れを起こさせることを特徴とするマイクロ構造体のスティッキング防止方法。
  3. 前記面荒れを起こさせる基板の対象面以外は、エッチング保護膜により前記基板を保護することを特徴とする請求項1記載のマイクロ構造体のスティッキング防止方法。
  4. 前記面荒れを起こさせるベース基板の対象面以外は、エッチング保護膜により前記ベース基板を保護することを特徴とする請求項2記載のマイクロ構造体のスティッキング防止方法。
  5. 基板の表面上に所定のギャップを介して変位可能な構造体を形成するマイクロ構造体において、前記基板および構造体のいずれか一方または両方の対向面が、前記基板の露出面に形成されたエッチング液に可溶である金属膜片をエッチング液により溶解することにより、粗面となっていることを特徴とするマイクロ構造体。
  6. 前記粗面の面粗さは、前記構造体と基板の間のギャップ距離の1/10〜1/50であることを特徴とする請求項5記載のマイクロ構造体。
  7. 前記基板は、シリコン基板またはSOI基板であることを特徴とする請求項5または6記載のマイクロ構造体。
  8. 前記構造体は、互いに噛み合い状態に設けられた櫛歯状の可動電極と固定電極を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のマイクロ構造体。
  9. 前記構造体は、基板面に平行または垂直な方向に変位可能であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載のマイクロ構造体。
  10. 基板の表面上に所定のギャップを介して変位可能な構造体を形成する方法において、
    前記基板と構造体の間に形成された絶縁膜を含む犠牲層をエッチング除去する工程と、前記基板の露出面にエッチング液に可溶である金属膜片を形成する工程と、この金属膜片をエッチング液により溶解する工程とを有することを特徴とするマイクロ構造体の製造方法。
  11. ベース基板と活性層とを埋め込み絶縁層を介して積層してなるSOI基板の前記活性層から変位可能な構造体を形成する方法において、前記構造体のパターンエッチングにより前記埋め込み絶縁層の一部が除去された前記ベース基板の露出面にエッチング液に可溶である金属膜片を形成する工程と、前記構造体のリリースエッチングと同時に前記金属膜片を溶解する工程とを有することを特徴とするマイクロ構造体の製造方法。
  12. 前記構造体が対向する前記基板の対象面以外は、前記基板にエッチング保護膜を形成する工程と、このエッチング保護膜を除去する工程とをさらに有することを特徴とする請求項10記載のマイクロ構造体の製造方法。
  13. 前記構造体が対向する前記ベース基板の対象面以外は、前記ベース基板にエッチング保護膜を形成する工程と、このエッチング保護膜を除去する工程とをさらに有することを特徴とする請求項11記載のマイクロ構造体の製造方法。
  14. 前記エッチング保護膜は、フォトレジスト膜であることを特徴とする請求項12または13記載のマイクロ構造体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111134831A (zh) * 2019-12-31 2020-05-12 上海交通大学 基于蜿蜒线的柔性mems可延展传感器及其制备方法

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