JP2005144311A - 汚泥の電解装置 - Google Patents

Abstract

【課題】電極への毛髪や厨芥片、スカムなどの付着や蓄積を防止し、通電の妨げによる電解装置の能力低下を防止するとともに、攪拌機の設置を不要にすることができる汚泥の電解装置を提供すること。
【解決手段】減容化処理槽１に導入した余剰汚泥Ａに直流電流を通電することにより、余剰汚泥Ａ中の微生物を殺菌するもので、複数の円形の電極板２２の中心部に回転軸２３を貫設し、各電極板２２を駆動装置２１により回転軸２３を中心に回転させる。
【選択図】図１

Description

本発明は、汚泥（本明細書において汚水を含む）の電解装置に関し、特に、電極への毛髪や厨芥片、スカムなどの付着や蓄積を防止し、通電の妨げによる電解装置の能力低下を防止するとともに、攪拌機の設置を不要にすることができる汚泥の電解装置に関するものである。

汚泥の電解装置は、例えば、下水等の排水処理を行う施設で発生する余剰汚泥の減量化や殺菌、液体中のリンや窒素の除去、脱水処理前の汚泥の調質等に用いられている。
従来の汚泥の電解装置は、攪拌機が設置された処理槽に複数枚の矩形の電極板を固定し、攪拌機で攪拌しながら電極間に通電して汚泥を電解するようになっている。

このため、この従来の汚泥の電解装置は、余剰汚泥中の微生物の殺菌を行う際に、攪拌された毛髪や厨芥片、スカムなどが電極に付着して蓄積し、通電を妨げて電解装置の能力を低下させるという問題があった（例えば、特許文献１〜２参照）。

特公平０７−１１５０３９号公報 特公平０６−１０４２４０号公報

本発明は、上記従来の汚泥の電解装置が有する問題点に鑑み、電極への毛髪や厨芥片、スカムなどの付着や蓄積を防止し、通電の妨げによる電解装置の能力低下を防止するとともに、攪拌機の設置を不要にすることができる汚泥の電解装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明の汚泥の電解装置は、処理槽に導入した汚泥に直流電流を通電することにより、汚泥中の微生物を殺菌する汚泥の電解装置において、電極板の中心部に回転軸を設け、該電極板を駆動装置により回転軸を中心に回転させるようにしたことを特徴とする。

この場合において、前記電極板を円形にすることができる。

また、前記回転軸に、極性の異なる複数の電極板を軸方向に交互に並設することができる。

また、処理槽側から電極板付近にスクレーパを延設し、電極板の回転により付着物を除去することができる。

本発明の汚泥の電解装置によれば、処理槽に導入した汚泥に直流電流を通電することにより、汚泥中の微生物を殺菌する汚泥の電解装置において、電極板の中心部に回転軸を設け、該電極板を駆動装置により回転軸を中心に回転させることから、毛髪や厨芥等の夾雑物やスカムを、遠心力によって電極板の間やその側面から外周方向へ発散することができ、これにより、電極板への夾雑物やスカムの付着を防止し、さらに、電極板自体が回転することによって、処理槽を攪拌するための攪拌機の設置を不要にすることができる。

この場合、前記電極板を円形にすることにより、隣り合う相反する極の電極板を同形状にするとともに、夾雑物やスカム等の付着を好適に防止し、また電極板の回転を安全に行うことができる。

また、前記回転軸に、極性の異なる複数の電極板を軸方向に交互に並設することにより、陰極と陽極とを適当な間隔で配設し、効率的な電解効果を得ることが可能となる。

また、処理槽側から電極板付近にスクレーパを延設し、電極板の回転により付着物を除去することにより、電極板の回転によるゴミの付着防止効果に加え、さらに、電極板のクリーニングを行うことができる。

以下、本発明の汚泥の電解装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。

図１〜図２に、本発明の汚泥の電解装置の一実施例を示す。
この汚泥の電解装置は、減容化処理槽１に導入した余剰汚泥Ａに直流電流を通電することにより、余剰汚泥Ａ中の微生物を殺菌するもので、複数の円形の電極板２２の中心部に回転軸２３を貫設し、各電極板２２を駆動装置２１により回転軸２３を中心に回転させるようにしている。

回転軸２３には、極性の異なる複数の電極板２２が軸方向に交互に並設されており、また、この並設された電極板２２の間には、処理槽１側からくし歯状のスクレーパ３が延設され、電極板２２の回転により付着物を除去するようになっている。
電解装置の電解作用は、陰極及び陽極の２極間で生じるが、この回転する円形の電極板２２を、複数枚回転軸方向に設置し、効率的な電解効果を得ている。
また、電極板２２の回転により電極板２２へのゴミの付着を十分低減できるが、さらに、ゴム又は樹脂といった絶縁性の高い素材のスクレーパ３を回転する電極板２２の間隙に設置し、このスクレーパ３により電極板２２のクリーニングを行うことができる。

なお、電極板２２には、直流電源装置２４から、電源ケーブル２５、スリップリング２６及び回転軸（回転給電軸）２３を介して給電される。
また、減用化処理槽１で電解装置２により殺菌処理された殺菌汚泥Ｃは、水処理系へ返送される。
なお、電源装置は、直流電源装置に限定されず、交流電源装置を備え、電極板により電解作用を生じるようにした電解装置にも適用可能である。

次に、本実施例の汚泥の電解装置の作用について説明する。
汚泥減容化処理に用いる電解処理方法は、余剰汚泥Ａに、塩化ナトリウムＢを添加し、減容化処理槽１に送泥する。塩化ナトリウムＢの添加は減容化処理槽１で行うようにしてもよいが、減容化処理槽１へ流入する前に添加するのが望ましい。

減容化処理槽１に流入した余剰汚泥Ａは塩化ナトリウムＢを含有するため、電解装置２の電極板２２間で汚泥内に次亜塩素酸が発生し、余剰汚泥Ａを構成する微生物が殺菌される。
この殺菌作用は、電解装置２の電極板２２間のみで作用するため、電極板２２間に、電解処理がされていない電解未処理の汚泥を常に流入させる必要がある。

電極板２２間に常時汚泥を流入させるためには、従来では強力な攪拌装置を減容化処理槽１に設置していたが、本実施例では、電極板２２自体が回転するため、電極板２２を設置する処理槽１内に攪拌機を設置する必要はなくなる。

電解効果は、陰陽２極の電極板２２の間で発生するが、これらの電極板２２間には、毛髪等の繊維状夾雑物や厨芥片等の夾雑物、あるいは電極板２２間で発生した微細な気泡によるスカム等が付着し蓄積する。
このような夾雑物やスカムの電極板２２への付着により、電解効果は著しく低下するが、電極板２２自体の回転による遠心力によって、電極板２２の外周方向にこれらの夾雑物やスカムを発散し、電解効果の低下を防止することができる。
下水等の夾雑物や汚泥等を含有する施設で、従来の電解装置を用いた場合は、夾雑物やスカムが電極板間へ蓄積し電極板の側部に付着したため、短時間で電解効果が低減し、また、維持管理に多大な労力を要していたが、本実施例により、長期間安定した汚泥の電解装置の運転が可能となり、かつ維持管理が容易になった。

また、電極板２２の間に、絶縁性の高いゴムや樹脂等のくし歯状のスクレーパ３を設置することにより、電極板２２の回転力を用いクリーニングを行うことも可能である。このスクレーパ３は、電極板２２接触させるのが望ましいが、電極板２２間の蓄積物除去の目的は接触せずとも達せられる。
さらに、電極板２２の設置方向は、図１に示すように、水面に対し垂直に近い角度で設置してもよいし、図２で示すように、水面に対し水平に近い角度で設置してもよく、この角度は特に限定されるものではない。

以上、本発明の汚泥の電解装置について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。

以上、本発明の汚泥の電解装置は、電極への毛髪や厨芥片、スカムなどの付着や蓄積を防止し、通電の妨げによる電解装置の能力低下を防止するとともに、攪拌機の設置を不要にするという特性を有していることから、電解装置を用いた殺菌及び有害物質の除去、脱水処理前の汚泥の調質等に用いることができ、特に、下水等の有機性の汚水を処理する施設の汚泥処理工程で使用することができる。

本発明の汚泥の電解装置の一実施例を示す断面図である。 本発明の汚泥の電解装置の他の実施例を示す断面図である。

符号の説明

１ 減容化処理槽
２ 電解装置
２１ 駆動装置
２２ 電極板
２３ 回転軸
２４ 電源装置
２５ 電源ケーブル
２６ スリップリング
３ スクレーパ
Ａ 余剰汚泥
Ｂ 塩化ナトリウム
Ｃ 殺菌汚泥

Claims (4)

1. 処理槽に導入した汚泥に直流電流を通電することにより、汚泥中の微生物を殺菌する汚泥の電解装置において、電極板の中心部に回転軸を設け、該電極板を駆動装置により回転軸を中心に回転させるようにしたことを特徴とする汚泥の電解装置。
2. 前記電極板を円形にしたことを特徴とする請求項１記載の汚泥の電解装置。
3. 前記回転軸に、極性の異なる複数の電極板を軸方向に交互に並設したことを特徴とする請求項１又は２記載の汚泥の電解装置。
4. 処理槽側から電極板付近にスクレーパを延設し、電極板の回転により付着物を除去するようにしたことを特徴とする請求項１、２又は３記載の汚泥の電解装置。

Images