JP2005137993A - 酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理方法において、あらかじめ地下の地下水(L)より下方における汚染物質の汚染域(D)を検査し(例えばボーリング等)、その汚染域(D)の周辺に複数の注入井戸(Wa)を汚染域(D)の深さまで掘削すると共に汚染域(D)中に少なくとも1つの揚水井戸(Wb)を汚染域(D)の深さまで掘削し、注入井戸(Wa)から水(泥水)を汚染域(D)に注入すると共に揚水井戸(Wb)から揚水して汚染域(D)内に水の流路(F)を形成し、次いで注入井戸(Wa)から酸化鉄混入水を注入して揚水井戸(Wb)から揚水して汚染域(D)に酸化鉄混入水を充填し、もって汚染域(D)の揮発性有機化合物を浄化する。
【選択図】 図3
Description
その主な手段としては熱で分解する例(特許文献1参照。)や、薬品等での分解(特許文献2参照。)や活性炭による吸着も知られている。
また、活性炭でVOCを吸着する場合には、VOCを吸着した活性炭は、再生しようとするとダイオキシンが発生するので、産廃処理にはその高価な活性炭をリサイクルなしで高温で完全に焼却しなければならず、コスト的に、また全体的な作業効率の面でも非効率であった。
これに対して、従来の還元鉄粉によるVOC分解の欠点である分解反応の速度を上昇させるものとして、粒子の細かい酸化鉄粉粒体、特にマグネタイト(Fe3O4)をベースとしたものが、有害な中間生成物を作る事無くVOCを分解する反応速度が比較的に早いことが解った。
また、酸化鉄が微粒子のため、水中において分散性が高く均一に拡散するので好都合である。
なお、酸化鉄粉粒体により浄化された地下水は、そのままであると黒色の濁液状態を呈していることから、下水等に排水するにあたってはSS処理が必要になるが、「膜分離槽」をシステム内に組み入れることにより、酸化鉄を効率よく回収でき、リサイクルできコスト低減が可能なことがわかった。
しかしながら、これらの技術は、設備費や使用電力量が膨大なものとなって何れもコスト的に問題であった。
(a)本発明によれば、酸化鉄を用いて効果的に土中の汚染物質であるVOCを比較的多量かつ連続的に除去できて従来に比較して短工期で施工できる。
(b)また、汲上げられた汚染された地下水や発生した汚染されたVOCガスを連続的に処理でき、使用する酸化鉄の消耗の少なくし、産廃処理が必要で高価な活性炭の使用を少なくできる。
図1〜図5は、本発明の酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理方法の第1実施形態を示している。
図1は、汚染物質を含んだ汚染域Dが地下水Lより下方に存在している現地の状態を示していて、最初に、地上Sからボーリング等によって汚染域Dの位置を検査し確認する。
また、揚水井戸Wb、揚水ロッドQに通じる揚水ポンプは、エアーリフトポンプ、真空ポンプ、レシプロポンプ等でかつ、いずれも磁石を使用しない形式のポンプが必要である。
なお、符号Bvは、汚染域DからのVOCの拡散を防止するための地中壁である。
また、工事のすべてが現地で連続的に行うことができて、計画的な施工ができ、工期のぶれが生じない。
地盤G中に掘削された孔H内に、2重管で形成されているロッドRdが回転及び上下動が可能に配置されている。ロッドRdの先端部に固化材スラリーWhを高圧水で水平方向に噴射するノズルと、そのノズルの半径方向の周囲に設けられて酸化粉粒体末Afをエアと共に噴射するノズルが設けられている。
孔Hにスラリーを貯蔵する地上の貯蔵設備20に連通する管L20が配置され、管L20にはスラリーポンプP1が介装されている。
固化材スラリーと、Wh酸化粉粒体末Afとエア、の噴射によって地盤Gを切削し攪拌し、流動状にして、孔H及び管L20を介してスラリーポンプP1によってスラリーを貯蔵設備20に吸引する。
なお、層Cの固化に要する時間と、貯蔵設備20でのVOCの分解に要する時間とを同じにして無駄時間を生じないようにするとよい。
従って、汚染域(D)にVOCを浄化した土壌を置換させるので、地上で浄化を確認して地中に戻すことができ、外他部への汚染土壌の拡散がない。
地盤G中に掘削された孔H内に、3重管で形成されているロッドRtが回転及び上下動が可能に配置されている。
ロッドRtの先端部に酸化粉粒体末と水の混合液Wfを高圧で水平方向に噴射するノズルと、そのノズルの半径方向の周囲に設けられて高圧エアAirを噴射するノズルが設けられている。
孔Hにスラリーを貯蔵する地上の貯蔵設備20に連通する管L20が配置され、管L20にはスラリーポンプP1が介装されている。
上記の各噴射ノズルによって地盤Gを切削し攪拌し、流動状にして、孔H及び管L20を介してスラリーポンプP1によってスラリーを貯蔵設備20に吸引する。
なお、層Cの固化に要する時間と、貯蔵設備20でのVOCの分解に要する時間とを同じにして無駄時間を生じないようにするとよい。
従って、汚染域(D)にVOCを浄化した土壌を置換させるので、地上で浄化を確認して地中に戻すことができ、外他部への汚染土壌の拡散がない。
処理装置A1は、汚染域Dのある地盤Gに掘削された孔Hに回転及び上下動が可能に配置された2重管構造のロッドRdと、地面Sに建てられたスラリー貯蔵装置20とで主要構成がなされている。
なお、第1及び第2の噴射ノズルの機能または配置の組合せは、上記以外にも自在に決めることができる。
第2のノズルNaは、地上のエアコンプレッサ26に第2の配管ラインL26によって連通されていて、エアコンプレッサ26は高圧エアの供給源に通じている。
なお、酸化鉄と固化材の混合物を噴射する組合わせがあってもよく、その組み合わせは自在にできる。
処理装置A2は、汚染域のある地盤Gに掘削された孔Hに回転及び上下動が可能に配置された3重管構造のロッドRtと、地面Sに建てられたスラリー貯蔵装置20とで主要構成がなされている。
第2の噴射ノズルNaは、地上のエアコンプレッサ26に第2の配管ラインL26によって連通されていて、エアコンプレッサ26は高圧エアの供給源に通じている。
なお、酸化鉄と固化材の混合物を噴射する組合わせがあってもよく、その組み合わせは自在にできる。
なお、第1、第2及び第3の噴射ノズルの機能または配置の組合せは、上記以外にも自在に決めることができる。
処理装置A5は、反応槽4と、分離手段5と、活性炭槽6とで主要構成がなされている。
反応槽4に第3のポンプPaを介装した配管ラインLaが装着され、分離手段5に連通されている。
分離手段5の透過膜5a前の高圧側に第1のポンプPcを介装した第1のラインL1が装着され、反応槽4の上部に連通されている。
第2のポンプPaと、第1のポンプPcは非磁性材で構成されている。
注入口1からVOCで汚染した地下水の原水が反応槽4に注入され、弁V1で適宜の量に調整された酸化粉粒体末が反応槽4に注入されて混水液12となり、攪拌機3によって攪拌される。
大部分のVOCを除去された処理水は、分離手段5で未反応の酸化鉄と処理水に分離され、VOCを除去され汚濁を分離された処理水は活性炭槽6に向かう。
これによって、酸化鉄が回収され再利用されると共に、高価な活性炭の使用が限定されてVOC処理全体のコストが低減される。
処理装置A6は、2つの曝気槽11、21と、2つの活性炭槽15、35と、2つのブロワ10、14とで主要構成がなされている。
第1のガスラインL3は、槽内の混水液12の低位部分に位置する部位に複数の開口13が設けられ液中に曝気するように構成されている。
たとえば低温揮発処理法で汚染物質から発生したVOCガスを吸気ライン25から第1のブロワ10で吸引して第1の曝気槽11に導くと共に、第2の曝気槽21で発生したVOCガスを第1の曝気槽11に導く。
曝気したVOCガスは、酸化鉄混水液12の酸化鉄によって大部分のVOCを分解され、ほぼ浄化ガスとして第2のブロワ14で吸引され第1の活性炭槽15に送られる。
また、エアラインL6から曝気用のエアが第2の曝気槽21に注入される。
大部分のVOCが分解された汚染原水は第2の活性炭槽35に送られ、残余のVOCが吸着され完全に浄化された処理水として外部に送られる。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
L・・・地下水
P・・・周辺
F・・・流路
S・・・地面
Wa・・・注入井戸
Wb・・・揚水井戸
H・・・孔
Rd、Rt・・・ロッド
C・・・固化材の層
B・・・ブリージング層
1・・・地下水の注入口
2・・・酸化鉄の注入口
3・・・攪拌機
4・・・反応槽
5・・・分離手段
6・・・活性炭槽
L1・・第1のライン
L2・・第2のライン
10・・第1のブロワ
11、21・・第1、第2の曝気槽
L3・・ガスライン
12・・混水液
13、23・・開口
14・・第2のブロワ
15、35・・第1、第2の活性炭槽
20・・(スラリー)貯蔵設備
21・・スラリーポンプ
28・・高圧ポンプ
29・・グラウトポンプ
30・・(酸化粉粒体末の)貯蔵体
Claims (6)
- 酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理方法において、あらかじめ地下水より下方における汚染物質の汚染域を検査し、その汚染域の周辺に複数の注入井戸を汚染域の深さまで掘削すると共に汚染域中に少なくとも1つの揚水井戸を汚染域の深さまで掘削し、注入井戸から水を汚染域に注入すると共に揚水井戸から揚水して汚染域内に水の流路を形成し、次いで注入井戸から酸化鉄混入水を注入して揚水井戸から揚水して汚染域に酸化鉄混入水を充填し、もって汚染域の揮発性有機化合物を浄化することを特徴とする酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理方法。
- 酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理方法において、汚染域に向けて孔を削孔し、その孔に固化材と高圧水と空気と酸化粉粒体末とを水平方向外方に噴射するロッドを挿入し、そのロッドを上方に引上げながらロッドを回転させて固化材と高圧水と空気と酸化粉粒体末とを噴射して、汚染域は攪拌し、その間スラリーを前記孔から吸引し、攪拌した汚染域の下部に固化材の層を形成し、そして上部にブリージングによるブリージング層が形成され、吸引したスラリーを酸化鉄により処理し、処理したスラリーを前記ブリージング層に再充填することを特徴とする酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理方法。
- 請求項2の酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理装置において、汚染物質の存在する汚染域のある地盤に削孔された孔に回転継手を有して回転及び上下動可能に配置された2重管構造のロッドと、そのロッドの先端部に配置された水平方向外方に噴射する第1の噴射ノズルと、第1の噴射ノズルに第1のラインを介して連通する高圧ポンプと、前記第1の噴射ノズルの半径方向外方に設けられて水平方向外方に噴射する第2の噴射ノズルと、第2の噴射ノズルに第2のラインを介して連通するエアコンプレッサと、第2のラインに連通して設けられた酸化粉粒体末の貯蔵体と、汚染物質の存在する汚染域のある地盤に通じる配管ラインと、その配管ラインに介装されたスラリーポンプと、前記配管ラインの端部に設けられたスラリー貯蔵設備とで構成されていることを特徴とする酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理装置。
- 請求項2の酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理装置において、汚染物質の存在する汚染域のある地盤に削孔された孔に回転継手を有して回転及び上下動可能に配置された3重管構造のロッドと、そのロッドの先端部に配置された水平方向外方に噴射する第1の噴射ノズルと、第1の噴射ノズルに第1のラインを介して連通する高圧ポンプと、前記第1の噴射ノズルの半径方向外方に設けられて水平方向外方に噴射する第2の噴射ノズルと、第2の噴射ノズルに第2のラインを介して連通するエアコンプレッサと、第1及び第2の噴射ノズルよりロッドの下部に設けられて水平方向外方に噴射する第3の噴射ノズルと、第3の噴射ノズルに第3のラインを介して連通するグラウトポンプと、汚染物質の存在する汚染域のある地盤に通じる配管ラインと、その配管ラインに介装されたスラリーポンプと、前記配管ラインの端部に設けられたスラリー貯蔵設備とで構成されていることを特徴とする酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理装置。
- 酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理装置において、汚染した地下水の注入口と酸化鉄の注入口と攪拌機とを有する反応槽を有し、その反応槽で処理した酸化鉄を含む地下水を酸化鉄と地下水とに分離する分離手段を有し、その分離手段からの酸化鉄を含む地下水を前記反応槽に再注入するための第1のラインと、分離手段で分離した地下水を活性炭槽に送る第2のラインとを具備していることを特徴とする酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理装置。
- 酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理装置において、汚染物質から発生した揮発性有機化合物のガスを吸引する第1のブロワと、その第1のブロワからのガスを曝気槽に導くガスラインとを備え、その曝気槽には酸化鉄の混水液が充填されており、前記ガスラインはガスを混水液中に放出する開口を備え、前記曝気槽からのガスを吸引する第2のブロワとその第2のブロワで吸引されたガスが処理される活性炭槽とを備えていることを特徴とする酸化鉄を用いた揮発性有機化合物の処理装置。
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