JP2005137547A - 超音波治療装置及びその補助具並びに制御方法 - Google Patents

超音波治療装置及びその補助具並びに制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】深部温度上昇値を直接的に設定できるようにする超音波治療装置を提供する。
【解決手段】豚を疑似試料とする実験から得られた変換情報であって、皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて超音波信号の強度を決定するための変換情報を記憶した変換情報記憶部17と、皮下の深部組織の深度と、温度上昇指示値を入力するための入力部14と、入力された深度及び温度上昇指示値に基づいて、変換情報記憶部17に記憶された情報を用い、超音波信号の強度を決定する制御部13と、超音波プローブ2から、決定された強度に応じた超音波信号を出力する超音波信号出力制御部12とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波信号を表皮上から照射し、皮下の深部組織の温度を上昇させることで治療を行う際に用いて好適な超音波治療装置及びその補助具並びに制御方法に関する。
生体に対して超音波治療をすることは、生体の所定の部位(所定の深部組織)を所定の温度に上昇させることを意味する。深部組織の温度上昇値は、超音波信号の強度、照射時間、超音波信号の周波数等によって変化する。従来の超音波治療装置では、治療者が、超音波信号の周波数、強度(実効出力)、治療時間等を設定することで、治療部位の深部温度の上昇値を調整するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−258897号公報(第5−6頁、第2図)
特許文献1に示すような従来の超音波治療装置にあっては、調整の目的とするものが深部組織の温度上昇値であるのに対して、温度上昇値そのものを設定値とすることはしていなかった。すなわち、周波数、強度、治療時間等の超音波信号の照射条件を設定することで、間接的に温度上昇値の調整を行っていた。
しかしながら、出力周波数、強度、治療時間等の設定値は、治療者の推測や治療経験から決められることが多かった。そのため、治療者側に経験が求められる場合があったり、設定値を決定する際の判断に時間が掛かる場合があったりしていた。また、場合によっては、設定値が最適とはならず、治療部位の温度上昇値が所望のものからはずれ、超音波治療の治療効果が曖昧になってしまうということも考えられた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、深部温度上昇値を直接的に設定できるようにする超音波治療装置及びその補助具並びに制御方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて超音波信号の強度を決定するための変換情報を記憶した変換情報記憶手段と、皮下の深部組織の深度を入力するための深度入力手段と、皮下の深部組織の温度上昇指示値を入力するための温度上昇指示値入力手段と、入力された深度及び温度上昇指示値に基づいて、変換情報記憶手段に記憶された情報を用い、超音波信号の強度を決定する超音波信号出力決定手段と、超音波プローブから、決定された強度に応じた超音波信号を出力する超音波信号出力手段とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記変換情報記憶手段が、皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて、超音波信号の強度に加え、超音波信号の周波数又は出力時間の少なくとも一方を決定するための変換情報を記憶し、前記超音波信号出力決定手段が、入力された深度及び温度上昇指示値に基づいて、変換情報記憶手段に記憶された情報を用い、超音波信号の強度と、周波数又は出力時間の少なくとも一方とを決定し、前記超音波信号出力手段が、超音波プローブから、決定された出力条件に応じた超音波信号を出力することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記変換情報記憶手段には、豚を疑似試料とする実験から得られた変換情報が記憶されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記超音波プローブの移動速度に対応した情報を報知するための報知手段をさらに備えていることを特徴とする。請求項5記載の発明は、前記報知手段が、前記超音波プローブの超音波信号照射面の概ね二倍の移動長さに対応する案内用開口部を有する型板を用いて超音波プローブを移動させる際の時間間隔で、超音波プローブの移動速度に対応した情報を報知することを特徴とする。請求項6記載の発明は、前記超音波プローブに一体となるように設けられ、皮膚表面から得られる情報を測定するための測定手段をさらに備え、前記超音波信号出力手段の出力がその測定手段の測定結果に応じて制御されることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて超音波信号の強度を決定するための変換情報を記憶した変換情報記憶手段と、皮下の深部組織の深度を入力するための深度入力手段と、皮下の深部組織の温度上昇指示値を入力するための温度上昇指示値入力手段と、入力された深度及び温度上昇指示値に基づいて、変換情報記憶手段に記憶された情報を用い、超音波信号の強度を決定する超音波信号出力決定手段と、超音波プローブから、決定された強度に応じた超音波信号を出力する超音波信号出力手段を備える超音波治療装置を使用する際に用いられる補助具であって、超音波プローブの超音波信号照射面の概ね二倍の移動長さに対応する案内用開口部を有する型板からなることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、皮下の深部組織の深度を入力するための深度入力手段と、皮下の深部組織の温度上昇指示値を入力するための温度上昇指示値入力手段とを用いて入力された深度及び温度上昇指示値に基づき、皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて超音波信号の強度、周波数又は出力時間の少なくとも一つを決定するための変換情報を記憶した変換情報記憶手段に記憶された情報を用いて超音波信号の強度、周波数又は出力時間の少なくとも一つを決定する超音波出力決定過程と、超音波プローブから、決定された出力条件で超音波信号を出力する超音波信号出力過程とを有することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて超音波信号の強度を決定するための変換情報を記憶した変換情報記憶手段と、皮下の深部組織の深度を入力するための深度入力手段と、皮下の深部組織の温度上昇指示値を入力するための温度上昇指示値入力手段と、入力された深度及び温度上昇指示値に基づいて、変換情報記憶手段に記憶された情報を用い、超音波信号の強度を決定する超音波信号出力決定手段と、超音波プローブから、決定された強度に応じた超音波信号を出力する超音波信号出力手段とを設けたので、深部温度上昇値を直接的に設定でき、操作性や治療効率を向上させることができる。
以下、本発明による超音波治療装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本実施の形態の超音波治療装置の構成を示すブロック図であり、図2はその外観図である。図1に示す超音波治療装置は、本体部1と、超音波信号を出力する超音波プローブ2(超音波トランスデューサー)とから構成されている。本体部1には、1MHz(深部用)と3MHz(浅部用)の交流信号を切り替えて発振する発振部11と、発振部11の出力信号を増幅して照射強度0.1〜2.0W/cm2の超音波信号を超音波プローブ2から出力する超音波信号出力制御部12とが設けられている。ここで、照射強度0.1〜2.0W/cm2は、超音波プローブ2の有効照射面積(ERA)における単位面積当たりの出力値で表している。発振部11と、超音波信号出力制御部12は、制御部13によって制御される。超音波プローブ2の有効照射面積は例えば5cm2程度であることが望ましく、また良好なBNR(ビーム不均等率)を備えていることが望ましい。
制御部13は、CPU(中央処理装置)とRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)等の半導体記憶装置とからなり、所定のプログラムを実行することで、本体部1内の各部11、12、14〜17を制御する。例えば、制御部13からは、発振部11の1MHzと3MHzの発信周波数の切替指示、超音波信号出力制御部12による超音波の出力値や出力開始・停止の指示、出力信号をパルス状の繰り返し信号とする指示などが出力される。制御部13は、また、例えば30分までの1分毎のタイマー機能を有していて、超音波信号の出力継続時間を制御できるようになっている。
入力部1は、図2に示すように、本装置の電源スイッチや超音波信号の出力・停止スイッチをなす各操作子14aと、表示部15に一体として形成されているタッチパネルとから構成されている。表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示装置とその駆動装置とから構成されていて、制御部13の制御に従って文字や画像を表示する。
信号音発生部16は、図2に示すように本体部1の前面開口部に取り付けられているスピーカと、スピーカを駆動して信号音を発生する発生装置とから構成されている。信号音発生部16は、制御部13の制御に従って所定周波数(例えば1kHz)の信号音を所定周期(例えば2Hz)で間欠的に発生する。
変換情報記憶部17は、ROMあるいは、書き換え可能な不揮発性半導体記憶装置から構成されていて、超音波信号の照射目標である皮下の深部組織の深度および温度上昇指示値に基づいて超音波信号の強度や、周波数、照射時間を決定するための変換情報を記憶している。この変換情報は、屠殺した豚の肩とももの組織を疑似試料とする実験に基づいて作成された変換情報が記憶されている。
図3は、周波数1MHzの超音波信号を豚の組織に照射したときの皮膚表面と、皮膚表面からの深さが1cm、2cm、3cm、4cm、および5cmの深部組織の温度上昇値を実測した結果を表している。各温度上昇値は、超音波信号を10分間照射した後の測定値である。超音波信号の照射強度は0.1〜1.5W/cm2で変化させている。超音波信号を照射する際には、超音波プローブ2を、図4に示すようなテンプレート(型板)3の開口部3aを案内として鎖線で示す矢印方向に所定の時間間隔で繰り返し移動している。図3の実測値は、2Hz、すなわち1分間に120回の時間間隔で2×Dの半分の距離(D)を左右交互に移動させながら測定したものである。ここでDは、図2に示すように超音波プローブ2の照射面の直径である。それらの測定を同一条件で複数回行い、その平均値と標準偏差値を図3にまとめている。
なお、図4に示すテンプレート3は、超音波プローブ2を動かす範囲のガイドとなる補助具であって、例えば超音波プローブ2の直径Dとほぼ同じ幅で、ほぼ2倍の長さの長円状の貫通した開口部3aを有するシートである。この開口部3aに沿って超音波プローブ2を移動させることで、超音波信号の照射領域をほぼ正確に超音波プローブ2の超音波照射面積2個分に調節することが可能となる。例えば、2倍以上なら、この範囲で超音波プローブ2を動かすと、超音波信号が全然照射されない期間が必ず生じる。一方、2倍以下だと、常時照射される領域(例えば右端に寄せても左端に寄せても重なる領域)を生じ、その部分の温度が過剰となって組織が破壊されるおそれが発生する場合が考えられる。したがって、開口部3aの長辺の長さを、超音波プローブ2の超音波信号照射面の概ね二倍の移動長さに対応するようにすることで、超音波信号の照射状態をより安定させることができる。尚、長辺の長さを二倍以上として単位時間当たりの超音波照射量をさらに少なくしても良い。
なお、テンプレート3は、所定の厚みが必要となる。なぜならば、超音波プローブ2と生体との密着性を確保するために塗るジェルを保持する厚みを確保する必要があるからである。材質としては、ポロプロピレン等のプラスチック(高分子化合物)を用いることができる。また、テンプレート3の裏に粘着テープを貼っておくなどによって、生体へ容易に着脱できるようにすればさらに使い易くすることができる。
さて、図3に示すような実測を、周波数、照射時間等の測定条件を変化させながら複数行うことで、超音波信号の強度、周波数、照射時間等の各設定値と、皮下の深部組織の深度および温度上昇との関係を得ることができる。そして、必要に応じて各設定値間を直線あるいは曲線補間して、必要とする範囲の変換情報を求めることができる。
実験から得られるデータは、各周波数において、強度(出力)と、照射時間と、深さとの関係を表すものとなる。深さは、ターゲット組織の位置(例:皮下3cm)であり、強度と時間との関係は、各深さに依存する。したがって例えば0〜5cmでの各値(0,1,2,3,4,5cm)において、強度と時間との関係式を作成する。強度と時間との関係は、ほぼ反比例の関係にある。つまり、短時間で大きな温度上昇を得ようとすれば、出力は強くなる。但し、出力の上限と下限を設定し、さらに生体反応を考慮すると、単純な直線関係にはならない。実測値からは、例えば2次回帰曲線または3次回帰曲線を求めることが可能である。
このように本実施の形態では、人の生体における特性を得るために、疑似試料として死んでいる豚の組織を使い、周波数、時間、所定深さにおける温度上昇値とを調べる。そして、この疑似試料における実測値を、人の生体の所定深さでの温度上昇値に換算する。ただし、生体の場合は、血流による冷却作用があるため、疑似試料における実測値と全く同様な温度上昇値は得られない。そこで、このような生体反応を考慮した補正を行うようにする。また、換算においては、人の年齢や性別により、あるいは、脂肪質か筋肉質か骨ばっているかなどにより係数を乗じることも可能である。死んだ豚の組織を用いた本検討と、他の動物や被験者の生体を使用した同様の検討との比較から、死んだ豚の組織に対する血液循環による冷却効果に対する補正は、温度上昇の平均値をそのまま用いるよりも、平均値から標準偏差値を差し引いた値を使用することで可能であることが分かった。
したがって例えば、生体での温度上昇値=(疑似生体(豚)の温度上昇平均値−標準偏差値)±δとして求めることができる。ここで、δ=脂肪層の厚さ×αであり、αは脂肪層の厚さを変えた時に熱伝導の状況変化を表す値であり、実験的に得られる係数である。
次に図5に示すフローチャートを参照して、図1および図2に示す超音波治療装置の動作について説明する。まず治療者(本装置の操作者)は、図4に示すテンプレート3を被治療者の治療部位に貼り付ける等して固定する。次に、所定の操作子14aを操作して本装置を起動する。ここで、表示部15には図6に示すような表示画面が現れる。ここで、表示部15のタッチパネル面上の深部組織の深さの入力部14bと温度上昇指示値入力部14cを指で触れるなどすることで操作して、深部組織の深さと温度上昇指示値入力部とを入力する(ステップS11)。図6は深部組織の深さ2cmと温度上昇指示値3℃を入力した状態を示している。
次に、表示部15に補正情報入力画面が表示されるので(図示せず)、必要に応じて補正情報を入力する(ステップS12)。ここでは例えばBMI(Body Mass Index)や肥満度、皮脂厚、年齢等の情報を入力する。
次に、図1の制御部13が変換情報記憶部17に記憶されている変換情報に基づいて超音波信号の周波数と強度および出力時間を決定する。制御部13は、変換情報に基づき、入力された深部組織の深さと温度上昇指示値に応じて、適切な周波数と強度および照射時間を演算(あるいはあらかじめ用意されたテーブルから選択すること)によって求める。また、ステップS12で入力された補正情報に基づいて、変換情報に含まれる選択先の情報を変更したり、演算結果を補正したりする。
次に制御部13は、操作者が所定の操作子14aを操作して超音波信号の出力を指示した後(ステップS14で「Yes」)、発信部11を制御して所定の周波数を発振させるとともに、超音波信号出力制御部12を制御して所定出力で超音波信号の出力を開始させる(ステップS15)。制御部13はまた、信号音発生部16を制御して所定周期で所定の信号音を繰り返し発生させる(ステップS16)。信号音発生部16は、超音波プローブ2をテンプレート3に沿って移動させる際の時間間隔に合わせて信号音を間欠させて発生する。治療者は、超音波プローブ2を被治療者の治療部位の表皮に密着させ、信号音のリズムに合わせてテンプレート3に沿って超音波プローブ2を所定の時間間隔で繰り返し左右(あるいは上下)に移動させる。
制御部13は、ステップS13で求めた所定時間が経過すると(ステップS17で「Yes」)、発信部11と超音波信号出力制御部12を制御して超音波信号の出力を停止させる(ステップS15)。ここで一回の治療が完了する。
なお、図7および図8に、図3のような実測値を得た際に行った実験結果の一例を示した。図7は、超音波信号の周波数を3MHz、強度を1.0W/cm2、超音波プローブ2の移動距離を有効照射面積ERAの2倍とした場合の皮下の深部組織の温度分布を測定した結果を示している。図7(a)は信号音の発生周期を1分間に60回とした場合の照射時間10分の温度分布の計測結果であり、図7(b)は照射停止5分後の温度分布の計測結果である。図7(c)は信号音の発生周期を1分間に120回とした場合の照射時間10分の温度分布の計測結果であり、図7(d)は照射停止5分後の温度分布の計測結果である。図7(d)は信号音の発生周期を1分間に180回とした場合の照射時間10分の温度分布の計測結果であり、図7(e)は照射停止5分後の温度分布の計測結果である。
また、図8には、超音波信号の周波数を1MHz、強度を1.0W/cm2、信号音の発生周期を1分間に120回とした場合の皮下の深部組織の温度分布を測定した結果を示している。図8(a)は超音波プローブ2の移動距離を有効照射面積ERAの2倍とした場合の照射時間10分の温度分布の計測結果であり、図8(b)は照射停止5分後の温度分布の計測結果である。図8(c)は移動距離を有効照射面積ERAの3倍とした場合の照射時間10分の温度分布の計測結果であり、図8(d)は照射停止5分後の温度分布の計測結果である。図8(d)は移動距離を有効照射面積ERAの4倍とした場合の照射時間10分の温度分布の計測結果であり、図8(e)は照射停止5分後の温度分布の計測結果である。
検討結果は、皮膚表面から深さ5cmまでの組織において調査した目標部位ですべて超音波エネルギーの吸収による温度上昇値が、超音波信号の周波数と、強度と、照射時間に関連していることを表した。そして、本実施の形態では、超音波治療装置において、豚の組織を用いた実測値に基づいて作成し、かつ変換情報記憶部17に記憶した変換情報を用いた演算によって、超音波信号の照射条件を自動的に設定できるようにした。よって、条件の選択を簡単に行うことができるようになった。治療者は、治療目的に従って、目標組織の組織温度の上昇値の期待値と、目標組織の深さをパラメータとして設定することで、本装置のソフトウェア(プログラム)によって被治療者に対して最適な治療強度が自動的に選択される。ただし、周波数や、時間を治療者が選択できるようにしておくことも可能である。この場合、選択されたパラメータを固定にして、他のパラメータが適切な値に決定されるようにしておく。
なお、実測値を求める際には、脂肪層、筋膜、骨といった種々の組織の温度上昇の態様について、周波数と強度の関係を正しく認識するために、少なくとも皮下深さ1.5cmと5cmのそれぞれを含むように、周波数1MHzと3MHzの温度上昇値の測定を行うようにすることが望ましい。
また、超音波プローブ2の移動距離は、有効照射面積(ERA)の約2倍の比較的小さい値とすることが効果的である。例えば、4倍の治療範囲とする場合に比べこの2倍の治療範囲の場合は、明らかにより大きな温度上昇値をより長い時間得ることができる。そこで、本実施の形態で用いた超音波プローブ2の移動のガイドとなるテンプレート3を用いることが有効である。検討に基づくと、治療範囲は、目標組織における最大の温度上昇深さを得るために、有効照射面積(ERA)の2倍に標準化されることが望ましいと考える。
一般的に考えられる超音波信号の定在波(定常波)の形成を避けるために、超音波プローブ2は移動することが望ましい。定在波は、血液細胞(血球)の流れの低速化、停止、過渡的な空洞形成(キャビテーション発生)、マイクロストリーミング現象等を引き起こすおそれがある。超音波プローブ2の移動速度の変化は、組織で見られる温度上昇率に対して影響すると考えられる。例えば信号発生部16による信号発生の周期を制御することで有効な対策を行うことが可能となると考えられる。
超音波プローブ2の最も快適な移動速度は毎分120回である。この速度は、同時に被治療者がホットスポットを感じる確率を最低限にする。この移動速度は、今後の検討や実際の治療において推奨される値である。
また、骨の構造体に非常に近接した目標組織に対しては、0.1〜0.5W/cm2程度強度を低下させるようにすることが適切であることが分かっている。これは骨による超音波信号の反射による影響によるものである。
なお、本発明の実施の形態は上記のものに限られることなく例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、信号発生部16から信号音を発生させることで、超音波プローブ2の移動周期スキャニング周期を知らせるようにしているが、信号音の音質は、純音のような音でなくても、例えばメトロノームような打刻音を用いるようにしてもよい。また、移動時間に関する情報は、信号音に限らず、光学的に報知するものとしたり、両者を併用するものとしたりすることができる。
(2)上記実施の形態では、超音波信号の出力の設定を、組織深さと温度上昇値をパラメータとして入力することで行うようにしたが、従来と同様にして、周波数、強度、照射時間等を手動で設定できるような機能を持たせることもできる。
(3)さらに、超音波プローブ2に一体となるように、患部皮膚温度を検知する温度センサーを設け、これで測定した温度に基づいて超音波信号の出力をフィードバック制御する回路方式を付加するようにしてもよい。この場合、治療部位による違いを容易に補正することができるようになる。
(4)また、治療者によって、治療組織に関する情報を入力して、この情報に基づいて超音波信号の出力を調節できるようにしてもよい。例えば、治療組織の情報としては、脂肪層、筋膜、骨といった情報を用いることができる。
(5)また、超音波治療機装置の治療技術や効果を一定にする為に超音波プローブ2のヘッドに各種センサーを取り付けるようにしてもよい。これらのセンサーによって、プローブヘッドと生体の情報を取り込み、超音波治療機装置を単なる治療機装置としてではなく、治療効果の評価機器としての機能も持たせるようにすることも可能である。例えば、皮膚表面の温度・血流・酸素飽和度や皮膚表面とプローブヘッド間の圧力を測定する為のセンサーをプローブヘッドの周囲に配置する。またこれを着脱式にすることで、必要に応じて利用できるようにするもできる。
本発明による超音波治療装置の一実施の形態の構成を示すブロック図。 図1の超音波治療装置の外観図。 図1の情報変換記憶部17の記憶情報を作成する際に基準とした一実験結果をまとめた図表。 図1の超音波プローブ2のガイドとなるテンプレート3の外観図。 図1の超音波治療装置の動作を説明するためのフローチャート。 図1の入力部14および表示部15の動作例を示す説明図。 図1の情報変換記憶部17の記憶情報を作成する際の検討の際に測定した豚の組織の温度上昇分布を示す分布図。 図7と異なる条件で測定した、図1の情報変換記憶部17の記憶情報を作成する際の検討の際に測定した豚の組織の温度上昇分布を示す分布図。
符号の説明
1…本体部、2…超音波プローブ、3…テンプレート、11…発振部、12…超音波信号出力制御部、13…制御部、14…入力部、15…表示部、16…信号発生部、17…変換情報記憶部

Claims (8)

  1. 皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて超音波信号の強度を決定するための変換情報を記憶した変換情報記憶手段と、
    皮下の深部組織の深度を入力するための深度入力手段と、
    皮下の深部組織の温度上昇指示値を入力するための温度上昇指示値入力手段と、
    入力された深度及び温度上昇指示値に基づいて、変換情報記憶手段に記憶された情報を用い、超音波信号の強度を決定する超音波信号出力決定手段と、
    超音波プローブから、決定された強度に応じた超音波信号を出力する超音波信号出力手段と
    を備えることを特徴とする超音波治療装置。
  2. 前記変換情報記憶手段が、皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて、超音波信号の強度に加え、超音波信号の周波数又は出力時間の少なくとも一方を決定するための変換情報を記憶し、
    前記超音波信号出力決定手段が、入力された深度及び温度上昇指示値に基づいて、変換情報記憶手段に記憶された情報を用い、超音波信号の強度と、周波数又は出力時間の少なくとも一方とを決定し、
    前記超音波信号出力手段が、超音波プローブから、決定された出力条件に応じた超音波信号を出力する
    ことを特徴とする請求項1記載の超音波治療装置。
  3. 前記変換情報記憶手段には、豚を疑似試料とする実験から得られた変換情報が記憶されていることを特徴とする請求項1又は2記載の超音波治療装置。
  4. 前記超音波プローブの移動速度に対応した情報を報知するための報知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
  5. 前記報知手段が、前記超音波プローブの超音波信号照射面の概ね二倍の移動長さに対応する案内用開口部を有する型板を用いて超音波プローブを移動させる際の時間間隔で、超音波プローブの移動速度に対応した情報を報知することを特徴とする請求項4記載の超音波治療装置。
  6. 前記超音波プローブに一体となるように設けられ、皮膚表面から得られる情報を測定するための測定手段をさらに備え、
    前記超音波信号出力手段の出力がその測定手段の測定結果に応じて制御される ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
  7. 皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて超音波信号の強度を決定するための変換情報を記憶した変換情報記憶手段と、
    皮下の深部組織の深度を入力するための深度入力手段と、
    皮下の深部組織の温度上昇指示値を入力するための温度上昇指示値入力手段と、
    入力された深度及び温度上昇指示値に基づいて、変換情報記憶手段に記憶された情報を用い、超音波信号の強度を決定する超音波信号出力決定手段と、
    超音波プローブから、決定された強度に応じた超音波信号を出力する超音波信号出力手段と
    を備える超音波治療装置を使用する際に用いられる補助具であって、
    超音波プローブの超音波信号照射面の概ね二倍以上の移動長さに対応する案内用開口部を有する型板からなることを特徴とする超音波治療装置用補助具。
  8. 皮下の深部組織の深度を入力するための深度入力手段と、皮下の深部組織の温度上昇指示値を入力するための温度上昇指示値入力手段とを用いて入力された深度及び温度上昇指示値に基づき、皮下の深部組織の深度及び温度上昇指示値に基づいて超音波信号の強度、周波数又は出力時間の少なくとも一つを決定するための変換情報を記憶した変換情報記憶手段に記憶された情報を用いて超音波信号の強度、周波数又は出力時間の少なくとも一つを決定する超音波出力決定過程と、
    超音波プローブから、決定された出力条件で超音波信号を出力する超音波信号出力過程と
    を有することを特徴とする超音波治療装置の制御方法。

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