以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を適用した冷菓製造装置SMの一部縦断斜視図、図2は冷菓製造装置SMのミックス供給に関する構成図、図3は図2のミックス原料袋5周辺の部品の分解構成図、図4は冷菓製造装置SMの電気回路のブロック図を示している。
実施例の冷菓製造装置SMは、ソフトクリームやシャーベット(シェーク)等の冷菓(実施例ではソフトクリームを製造するものとする)を製造販売するための装置であり、図1において本体1の上部には、ソフトクリームの原料ミックス(ソフトクリームやシャーベットなどの冷菓原料となるミックス)を収納したミックス原料袋5(図1では図示しない。)を貯蔵保冷するための断熱性の保冷庫2が設けられている。この保冷庫2の庫内2Aは前面が開口しており、この前面開口は回動自在の断熱扉3にて開閉自在に閉塞され、ミックス原料袋5の交換時等にはこの断熱扉3が開放される。尚、33はこの断熱扉3の開閉を検知するための保冷庫開閉スイッチである。
一方、保冷庫2の庫内2A天井部には図示しない保冷庫冷却器と送風機が配設されており、保冷庫2の背部には保冷庫コンプレッサ18Aや図示しない保冷庫用凝縮器が設置されて前記保冷庫冷却器と周知の冷媒回路を構成している。この保冷庫コンプレッサ18Aが運転されると保冷庫冷却器が冷却作用を発揮する。そして、この保冷庫冷却器により冷却された冷気が送風機により庫内2Aに循環されて保冷庫2内のミックス原料袋5や後述する周辺部品は所定の温度に保冷される。
ミックス原料袋5は袋ケース31内に納出自在に収納保持され、その状態で保冷庫2の庫内2Aに収納されて装填される。尚、本実施例において冷菓製造装置SMは、後述する如き冷却シリンダ8を2つ備え、二種のミックス原料により冷菓を製造可能とするものである。そのため、本実施例では、保冷庫2の庫内2Aにそれぞれのミックス原料袋5を収納した袋ケース31、31が二つ並置されるものとする。この袋ケース31はワイヤーにて網状に構成された上下二部品から構成されている。
一方、保冷庫2の後部内壁には袋ケース31の後部を保持し、それを前側に低く斜めにするための図示しない支持部が形成されていると共に、保冷庫2の前部内壁には、袋ケース31の前部を保持するための係止部材79が左右に渡って設けられている。また、保冷庫2の内壁からは図1に示す如く袋加圧通路を構成する袋加圧パイプ7の接続部7Aと、空気供給通路としてのエアー回路51の接続部51Aが設けられている。更に、保冷庫2の庫内2A底壁には後述する冷却シリンダ8のミックス入口9が開口して設けられている。尚、本実施例では、上述した如く二種のミックス原料により冷菓を製造可能とするものであるため、袋加圧パイプ7の接続部7A、エアー回路51の接続部51A及び冷却シリンダ8、ミックス入口9は、それぞれ二つ設けられている。
ここで、ミックス原料袋5は例えば熱溶着された可撓性を有する樹脂製の袋本体21と、この袋本体21の一面に取り付けられ、袋本体21内と外部とを連通する硬質樹脂製の出口部材22と、袋本体21の他面に周囲を溶着され、当該袋本体21と同素材から成る可撓性の外層体23と、この外層体23と袋本体21の間の後述する非接着部分に連通するように袋本体21の一面に取り付けられた硬質樹脂製の連通口部材24とから構成されている(図2)。
前記外層体23と袋本体21とは当該外層体23の周囲以外は非接着状態とされており、これにより、外層体23と袋本体21間には密閉空間が構成可能とされている。そして、前記連通口部材24はこの外層体23と袋本体21との間(密閉空間)と外部とを連通する。また、ミックス(図2にMで示す)はこの袋本体21内に収納されると共に、外層体23と袋本体21との間の密閉空間には圧縮空気(図2にAIで示す)が供給可能とされている。
上述した如くミックスを収納したミックス原料袋5を、袋ケース31内に収納した状態で保持し、保冷庫2の庫内2Aに収納する。この状態では、袋ケース31及びミックス原料袋5は前部がやや低く傾斜した状態で、その下方に十分なる空間を存して係止される。この状態で、出口部材22に予め取り付けられているミックス原料チューブ34(ミックス供給通路を構成する)を後述する如くY型混合器57(経路構成部品)に接続し、連通口部材24と接続部7Aとの間を袋加圧パイプ7にて連通接続する。また、接続部51AとY型混合器57との間をエアー回路51により連通接続する。
前記ミックス原料チューブ34は柔軟性を有した軟質合成樹脂チューブから構成されており、予めミックス原料袋5の出口部材22に接続されている。ミックス原料チューブ34の先端(他端)は当初熱溶着されて封止され、外部と接触しないようにミックス原料チューブ34内の通路は衛生的に保持されており、Y型混合器57に接続する際に切断されて開口されることになる。
一方、図1において8は、前記ミックス入口9から流入するミックスを回転するビータ10により撹拌して冷菓を製造する前述した冷却シリンダであり、その周囲にはシリンダ冷却器11が取り付けられている。ビータ10はビータモータ12、駆動伝達ベルト、減速機13及び回転軸を介して回転される。製造された冷菓は、冷却シリンダ8の前面開口を開閉可能に閉塞するフリーザドア14に配設された取出レバー15を操作することにより、プランジャー16が上下動し、図示しない抽出路が開放されると共に、ビータ10が回転駆動されることにより、取り出される。上記フリーザドア14や取出レバー15、プランジャー16により冷菓抽出部が構成されている。
前記フリーザドア14は透明ガラス、若しくは、透明硬質樹脂にて構成されて透視部を構成する。このフリーザドア14を通して冷却シリンダ8内は前方から透視可能とされている。このフリーザドア14の本体1側の面には永久磁石36が埋め込まれており、この永久磁石36に対応する位置の本体1前面にはリードスイッチ37が取り付けられている。そして、フリーザドア14が本体1に取り付けられ、冷却シリンダ8の前面開口を閉塞したときに、このリードスイッチ37は永久磁石36によって接点が閉じられ、フリーザドア14が取り外されて冷却シリンダ8の前面開口が開放されたときは、リードスイッチ37の接点が開放されるよう構成されている。
また、冷菓抽出部を構成する取出レバー15の下方に対応する位置の本体1前面には近接スイッチ(近接センサ)38が取り付けられている。この近接スイッチ38は赤外線や音波を用いて取出レバー15の下側に冷菓を盛るコーンや紙カップなどの容器が宛われたことを検出する。
更に、図1に示す如く保冷庫2の内壁には洗浄用ホース接続口39が設けられている。この洗浄用ホース接続口39には冷却シリンダ8内の洗浄の際に洗浄用水を冷却シリンダ8内に吐出するための洗浄用ホース(図示せず)が接続されるものであり、側面に引き出された洗浄用水配管41に連通している。この洗浄用水配管41は図示しない水道管に接続され、更に、洗浄用水配管41の途中には開閉栓42が介設されて、本体1の前面に配設されている。この開閉栓42は常には洗浄用水配管41を閉じており、冷却シリンダ8を洗浄する際にはこれを回して洗浄用水配管41を開くものである。
上記本体1の下部には冷却装置Rを構成するコンプレッサ18や凝縮器20、四方弁19等が収納設置されている。尚、この四方弁19は前記シリンダ冷却器11に高温冷媒を流して解凍・殺菌などを行わせるためのものである。
次に、図2において27は加圧装置を構成するエアーポンプであり、このエアーポンプ27の吐出パイプ28は分配器46に接続されている。そして、この分配器46には前記袋加圧パイプ7の他端が接続される。尚、袋加圧パイプ7は前述した接続部7Aを介した複数部品で構成される。更に、この分配器46には圧力検出手段を構成するエアー回路内センサー(圧力センサー)47と排気パイプ49が接続され、この排気パイプ49には排気手段を構成するエアー回路内排気電磁弁48(エアーポンプの保護とエアー回路の排気用)が接続される。
更にまた、分配器46には空気供給通路としての前記エアー回路51の一端が接続され、これにより、分配器46を介して袋加圧パイプ7、エアー回路51、エアーポンプ27、エアー回路内センサー47及び排気パイプ49は分岐接続されたかたちで相互に連通されている。このエアー回路51も接続部51Aを介した複数部品で構成され、そこには流路開閉手段としてのエアー回路開閉電磁弁52とエアーフィルタ53と逆止弁56が介設されている。このエアーフィルタ53はエアー回路51内に流入する圧縮空気中の異物や雑菌を捕獲して除去するものである。
そして、前記エアー回路51の他端は経路構成部品である合流部材としての前記Y型混合器57の他方の入口57B(図12)に着脱可能に接続される。更に、このY型混合器57の出口は逆止弁54を介して冷却シリンダ8のミックス入口9に着脱可能に連通接続される。上記逆止弁54は冷却シリンダ8の方向、逆止弁56はY型混合器57の方向が順方向とされている。また、これらミックス原料袋5、ミックス原料チューブ34、エアー回路51の逆止弁56より下流側の他端部、袋加圧パイプ7の一端部及びY型混合器57は保冷庫2の庫内2Aに位置し、保冷されることになる。
ここで、袋加圧パイプ7も柔軟性を有する軟質合成樹脂チューブにて構成され、ワンタッチ継手61によりミックス原料袋5の連通口部材24に着脱可能に接続される。また、ミックス原料チューブ34の一端(基部)はチューブ取付部品により前述した如くミックス原料袋5の出口部材22に予め接続されている。そして、このミックス原料チューブ34の先端(他端)は本発明の接続具67によりY型混合器57の一方の入口57Aに着脱可能に接続される。
次に、上記接続具67の具体的構造並びにそれを用いたY型混合器57へのミックス原料チューブ34の接続作業について図7〜図17を参照して説明する。この接続具67は何れも硬質合成樹脂から構成された一対の接続部材91、92(91を第1の接続部材、92を第2の接続部材とする)と、C形のバネ部材93(付勢手段)等より構成されている。両接続部材91、92は外方に突出して形成された連結部91A、92Aをそれぞれ有し(図8、図9)、それら以外の形状は略面対称の形状とされている。そして、これら連結部91A、92Aがピン94により回動自在に結合され、これにより、両接続部材91、92は相互に回動自在に連結される。そして、両接続部材91、92が連結されて成る接続具67は、全体としては一端側(図では上部)が窄まって両端(図では上下)が開放した略円筒の形状を呈している(図7)。
両接続部材91、92の内面一端側(図では上部内面)には相対向する位置にそれぞれ挟持部91B、92Bが突出形成されている。両挟持部91B、92Bは断面矢尻状を呈しており(図11)、両接続部材91、92の対向面(それらの内面)に沿って円筒の軸に直交する方向(図では水平方向)に直線状に延在している。また、各挟持部91B、92Bの両端部には逃げ部91C、92Cがそれぞれ凹陥形成されている。また、両接続部材91、92の他端部内面(図では下端内面)には相対向する位置にそれぞれ係合部91D、92Dが突出形成されている。両係合部91D、92Dは両接続部材91、92の湾曲した内面形状に沿って突出しており、一端に向けて内面が拡開するように傾斜した断面矢尻形状となっている(図8、図9、図11)。
両接続部材91、92の外面中央部には溝91E、92Eが形成されており、両接続部材91、92が連結された状態で、この溝91E、92Eに前記バネ部材93が外側から着脱可能に取り付けられて接続具67は完成することになる。
次に、以上の構成の接続具67を使用してミックス原料チューブ34をY形混合器57の一方の入口57Aに接続する手順を説明する。尚、この場合、Y形混合器57の入口57A及び57Bの周囲には鍔部97が突出形成されており、一方の入口57Aのフランジ57Cより先端側には、中央に円形の透孔96Aが形成されたシール材96(軟質ゴム等から成る)が着脱可能に取り付けられている。
先ず、接続具67にはバネ部材93を取り付けない。その状態でピン94を中心として両接続部材91、92を回動させて対向面を離間させ、開放しておく。そして、先端が熱溶着により封止された状態のミックス原料チューブ34を、両接続部材91、92の中央で挟み込む。このとき、ミックス原料チューブ34は接続具67の挟持部91B、92B側の一端から入り、係合部91D、92D側の他端から少許突出させた状態で挟み込むものとする。
そして、バネ部材93を溝91E、92Eに外側から嵌合させて着脱可能に取り付ける。このバネ部材93は両挟持部91B、92Bが相互に近接する方向、即ち、ミックス原料チューブ34側に常時付勢すると共に、係合部91D、92Dも相互に近接する方向に常時付勢する。両挟持部91B、92Bはこのとき所定の間隔を存して相互に正対する。このときの両挟持部91B、92B間の間隔は、ミックス原料チューブ34の肉厚の二倍より少許小さい間隔とされており、これにより、ミックス原料チューブ34は図14及び図15に示す如く両挟持部91B、92Bにより押し潰され、内部の通路は封止される。押し潰された部分のミックス原料チューブ34は逃げ部91C、92Cにはみ出す。
このようにしてミックス原料チューブ34に接続具67を取り付け、ミックス原料チューブ34を接続具67の挟持部91B、92Bにより押し潰して内部の通路を封止した状態で、当該接続具67から突出している部分のミックス原料チューブ34を切断し、先端を開放する。このとき、ミックス原料チューブ34内の通路は挟持部91B、92Bで封止されているので、袋本体21内のミックスが漏出することは無い。
次に、ミックス原料チューブ34の先端をY形混合器57の一方の入口57Aに取り付けられたシール材96の透孔96A内に挿通して入口57A内に挿入していく。この過程で接続具67の両接続部材91、92の係合部91D、92Dは鍔部97の開口57A側に当接し、係合部91D、92Dの傾斜に沿ってバネ部材93に抗し、両接続部材91、92が離間されることで係合部91D、92Dは鍔部97を乗り越え、バネ部材93の付勢力によって反対側に着脱可能に係合する。即ち、バネ部材93は両係合部91D、92DをY型混合器57に常時係合する方向に付勢する。
係合部91D、92DがY型混合器57の鍔部97に係合した状態では、両接続部材91、92の内面に鍔部57が当接し、また、係合部91D、92DがY型混合器57の外面に当接することで、両接続部材91、92は図10及び図11の状態よりも少許離間する方向に回動された状態となる(図12、図13)。これにより、両挟持部91B、92Bも少許離間するので、図16、図17の如くミックス原料チューブ34内の通路は開放されるが、挟持部91B、92Bは依然ミックス原料チューブ34の外面に圧接して挟持する。従って、ミックス原料チューブ34が接続具67から抜けることは無い。
これによって、ミックス原料チューブ34の封止は解かれ、ミックス原料袋5の袋本体21内と冷却シリンダ8内とはミックス原料チューブ34及びY型混合器57を介して連通されることになる。また、シール材96の透孔96A内面がミックス原料チューブ34の外面に密接するので、ミックス原料チューブ34及びY型混合器57内は外部からシールされる。更に、状態で接続具67はミックス原料チューブ34に対して回動可能である。これにより、ミックス原料チューブ34の捻れを修正することができるようになる。
他方、前記エアー回路51の他端も接続具69によりY型混合器57の他方の入口57Bに着脱可能に接続する。そして、このY型混合器57の出口はOリング71を介して冷却シリンダ8のミックス入口9に着脱可能に接続する。このように着脱可能に接続することで、ミックス原料チューブ34やY型混合器57などの洗浄が容易となる。
次に、図4において73は制御手段を構成する汎用のマイクロコンピュータであり、このマイクロコンピュータ73の入力には前記保冷庫開閉スイッチ33、エアー回路内センサー47、近接スイッチ38、リードスイッチ37が接続されている。また、マイクロコンピュータ73の入力には、更に本体1のコントロールパネル74に設けられたプルダウンスイッチ(操作スイッチ)76と冷却スイッチ77が接続されている。
更に、マイクロコンピュータ73の出力には前述した冷却装置Rのコンプレッサ18、18Aやビータモータ12などの他、前記エアー回路内排気電磁弁48とエアーポンプ27、エアー回路開閉電磁弁52が接続されている。更にまた、マイクロコンピュータ73の出力には前記操作パネル74に設けられた売り切れ表示ランプ78も接続されている。
以上の構成で、次に動作を説明する。冷菓製造装置SMの図示しない電源プラグが電源に接続されて電源がONされると、マイクロコンピュータ73は先ずリードスイッチ37の接点が閉じているか否か判断する。そして、フリーザドア14が取り付けられて冷却シリンダ8の前面開口を閉じており、永久磁石36がリードスイッチ37の接点を閉じていれば以後の運転の開始を許容するが、フリーザドア14が正常に取り付けられておらず、リードスイッチ37の接点が開いている場合には以後の運転の開始を禁止し、例えば売り切れ表示ランプ78を点滅させて警報を表示する。これにより、フリーザドア14の取り付けを忘れ、或いは、正常に取り付けない状態で運転が開始されることを防止すると共に、フリーザドア14の取り付けを使用者に促す。
次に、図5及び図6のタイミングチャートを参照しながらミックスの供給から冷菓の製造、冷菓の抽出動作について説明する。尚、ミックス原料袋5は前述の如く袋ケース31内に収納した状態で保冷庫2の庫内2Aに納出自在にセットする。その状態で、袋加圧パイプ7、ミックス原料チューブ34、Y型混合器57も前述した如く接続する。但し、プルダウンを始めるこの時点ではエアー回路51をY型混合器57から外しておく。
(1)初期状態
図5における電源ONからの初期状態で、マイクロコンピュータ73は先ず所定期間(実施例では5秒間)エアー回路内排気電磁弁48を開く。その後、前述の如くミックス原料袋5を保冷庫2の庫内2Aにセットするなどした後、断熱扉3が閉じられたことを保冷庫開閉スイッチ33の検出動作に基づいて検出すると、マイクロコンピュータ73はエアーポンプ27を運転する。その後、保冷庫2の断熱扉3が開放された場合、マイクロコンピュータ73は保冷庫開閉スイッチ33の検出動作に基づき、エアーポンプ27を停止すると共に、所定期間(5秒間)エアー回路内排気電磁弁48を開いてエアー回路51や袋加圧パイプ7から排気する。
即ち、マイクロコンピュータ73は保冷庫2の断熱扉3が開放された場合にはエアーポンプ27を停止し、断熱扉3が閉じられている場合のみエアーポンプ27の運転を許容する。これにより、ミックス原料袋5の交換などの際のパイプなどの着脱に際しての安全性が向上する。特に、断熱扉3が開放された際にはエアー回路内排気電磁弁48を開いてエアー回路51や袋加圧パイプ7から圧縮空気を排出するので、パイプの着脱の際に圧縮空気が吹き出す不都合を確実に回避できるようになる。
尚、この初期状態においてエアーポンプ27が運転された後、3分経過してもエアー回路内センサー47が分配器46で連通された袋加圧パイプ7(袋加圧パイプ7に連通しているミックス原料袋5の袋本体21と外層体23との間の密閉空間を含む)やエアー回路51内の圧力上昇を検出しない場合にはエアーポンプ27を停止し、売り切れ表示ランプ78を点滅させて警報する。
(2)プルダウンモード
次に、使用者がプルダウンスイッチ76をONする(2秒未満押す)と、マイクロコンピュータ73はプルダウンモードに入りプルダウンを開始する。このプルダウンモードではマイクロコンピュータ73はエアーポンプ27を運転し、分配器46で連通された袋加圧パイプ7(袋加圧パイプ7に連通しているミックス原料袋5の袋本体21と外層体23との間の密閉空間を含む)やエアー回路51(プルダウンモードではエアー回路開閉電磁弁52は閉じている)内に圧縮空気を供給する。
そして、エアー回路内センサー47が検出する空気圧力が設定値まで上昇した場合、マイクロコンピュータ73は当該エアー回路内センサー47の出力に基づいてエアーポンプ27を停止する。その後、マイクロコンピュータ73は自らの機能として有する3分タイマ(3分に限定されない所定)のカウントを開始する。
袋加圧パイプ7から圧縮空気がミックス原料袋5の外層体23と袋本体21との間の密閉空間に送り込まれることにより、袋本体21には外側から一定の圧力が印加される。これにより、外層体23と袋本体21との間の密閉空間の容積が拡大することで、袋本体21内のミックスは出口部材22からミックス原料チューブ34へと押し出されていく。ミックス原料チューブ34に押し出されたミックスはそこを通過した後、Y型混合器57、逆止弁54を経てミックス入口9から冷却シリンダ8内に流入する。このとき、エアー回路51は外されているので、冷却シリンダ8内の空気はY型混合器57の他方の出口57Bから出ていく。これにより、ミックスも冷却シリンダ8内へ円滑に流入していく。
ミックス原料袋5からミックスが流出することで、外層体23と袋本体21間の密閉空間の容積が拡大するので、袋加圧パイプ7から分配器46に至るパイプ内の空気圧力も低下する。そして、エアー回路内センサー47が所定の下限値まで圧力が低下したことを検出した場合、マイクロコンピュータ73はエアーポンプ27を運転して圧縮空気の供給を再開する。これを繰り返してマイクロコンピュータ73はエアー回路内センサー47が検出する空気圧力(ミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間の空気圧力)を設定値と下限値の間(設定値と下限値の範囲における所定圧力)に維持する。
その後、3分タイマのカウントが終了するまでこれを継続し、冷却シリンダ8内にミックスを送給していく。これにより、冷却シリンダ8内にはミックスが貯溜されていく。3分タイマのカウントが終了した時点で、マイクロコンピュータ73はエアーポンプ27の運転を停止し、エアー回路内排気電磁弁48を5秒間開放して圧縮空気を一旦排出する。使用者は透明なフリーザドア14を介して冷却シリンダ8内のミックスの液位を確認し、所定液位に満たない場合にはプルダウンスイッチ76を今度は押し続ける(2秒以上ON)。
マイクロコンピュータ73はプルダウンスイッチ76が連続してONされると、エアーポンプ27を運転して再び圧縮空気の供給を開始し、前述の如くエアー回路内センサー47が検出する空気圧力(ミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間の空気圧力)を設定値に維持する。これにより、ミックス原料袋5からは再びミックスが冷却シリンダ8内に送給されていく。そして、使用者が冷却シリンダ8内のミックスが所定液位まで貯溜されたことを目視により確認し、プルダウンスイッチ76から手を離すと(OFF)、マイクロコンピュータ73はエアーポンプポンプ27を停止し、エアー回路内排気電磁弁48を開放してミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間の空気圧縮を排出する。これにより、ミックスの送給は停止され、冷却シリンダ8内には所定液位までミックスが貯溜される。
マイクロコンピュータ73にこのようなプルダウンモードを設けることで、開店時に円滑に冷却シリンダ8内にミックスを貯溜することができるようになる。特に、プルダウンスイッチ76を設けてプルダウンの開始を手動で行うことができるので、使用性も良好となる。
このように冷却シリンダ8内に所定液位までミックスを貯溜した後、断熱扉3を開き、保冷庫2の庫内2Aにおいてエアー回路51をY型混合器57の他方の入口57Bに接続し、断熱扉3を閉じる。断熱扉3が開放された時点で前述の如くマイクロコンピュータ73はエアーポンプ27を停止し、エアー回路内排気電磁弁48を開いて圧縮空気を排出するが、エアー回路51の接続後、断熱扉3が閉じられれば再びエアーポンプ27を運転してエアー回路内センサー47が検出する空気圧力(ミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間を含む袋加圧パイプ7や分配器46及びエアー回路51内のエアー回路開閉電磁弁52までの空気圧力)を設定値まで上昇させる。
エアー回路内センサー47が検出する空気圧力が設定値まで上昇したら、マイクロコンピュータ73はエアー回路開閉電磁弁52を所定期間(例えば5秒)開き、Y型混合器57に至るエアー回路51内に圧縮空気を送り込む。このエアー回路51からY型混合器57を経て冷却シリンダ8内に流入する圧縮空気の圧力により、ミックス原料チューブ34から冷却シリンダ8へのミックスの流入は阻止されることになる。
このときに冷却シリンダ8内に流入する圧縮空気の量によって冷菓のオーバーラン(冷菓中に空気が混入して嵩が増える状態)が得られることになるが、前述の如く冷却シリンダ8内に貯溜するミックスの液位はプルダウンスイッチ76の操作や液位センサの位置によって所定の液位に規定できるので、冷却シリンダ8内の空気量も規定できることになり、これにより、冷菓のオーバーラン量を正確に設定することができるようになる。
また、このときに冷却シリンダ8内に流入する圧縮空気はエアフィルタ53を通過したものであるので、この空気に含まれる異物や雑菌はエアフィルタ53に捕獲される。これにより、冷却シリンダ8内に圧縮空気と共に異物や雑菌が混入する不都合を回避することができるようになり、衛生管理を確実に行うことが可能となる。
更にまた、以上のようにY型混合器57にてミックス原料チューブ34とエアー回路51とを一旦合流させた後、ミックス入口9から冷却シリンダ8内に連通させているので、冷却シリンダ8へのミックスの供給とオーバーラン用の空気の供給の双方を単一のミックス入口9から行うことができるようになり、冷却シリンダ8の構造の簡素化が図れる。
以上でプルダウンモードは終了する。この状態で冷却スイッチ77の操作を待つ。尚、マイクロコンピュータ73は最初にプルダウンスイッチ77が操作された時点から前述の如く冷却シリンダ8内に所定液位までミックスを貯溜するに要したプルダウン時間をカウントして保持している。この場合、前述の如く目視によりプルダウンスイッチ77を操作して所定液位までミックスを貯溜する場合には、最終的にプルダウンスイッチ77を離した時点でプルダウン時間のカウントを終了し、前述の如く液位センサで所定液位までミックスを貯溜する場合には、当該液位センサがミックスの所定液位を検出した時点でプルダウン時間のカウントを終了することになる。
(3)通常販売モード
次に図6に移って、使用者により冷却スイッチ77がON(押す)されると、マイクロコンピュータ73は前述の如くフリーザドア14が正常に取り付けられて閉じていることを条件として、冷却装置Rのコンプレッサ18を運転して冷却運転を開始する。コンプレッサ18が運転されると、凝縮器20で凝縮された冷媒が図示しない減圧装置を経てシリンダ冷却器11に供給され、そこで蒸発することで冷却作用を発揮する。また、コンプレッサ18も運転され、前述の如く保冷庫冷却器4により保冷庫2の庫内2Aのミックス原料袋5のミックスは保冷される。更に、庫内2Aにあるミックス原料チューブ68やエアー回路51の他端部、及び、Y型混合器57などの部品(図2に二点鎖線で囲まれた部分)も保冷されるので、後述する如く冷却シリンダ8内に流入するミックスや圧縮空気がこれらを通過する過程で温度上昇することもなくなる。
一方、冷却シリンダ8内ではシリンダ冷却器11によってミックスは冷凍温度に冷却されると共に、マイクロコンピュータ73はビータモータ12によりビータ10を回転させるので、これにより、冷却シリンダ8内では半硬化状態の冷菓(ソフトクリーム)が製造される。以後、販売待機状態となる。
この状態で、使用者が例えばコーン(容器)を取出レバー15の下方に宛い、近接スイッチ38に近接させると近接スイッチ38が当該コーンを検出してONする(販売検知)。マイクロコンピュータ73は近接スイッチ38がONした場合、自らがその機能として有する販売検知3秒(3秒に限らない所定期間)タイマのカウントを開始する。そして、当該状態が3秒間継続してタイマのカウントが終了した場合、即ち、近接スイッチ38がコーンを3秒間継続して検出している場合、マイクロコンピュータ73はビータ10を回転させる。そして、使用者が取出レバー15を操作すれば、前述の如くプランジャー16が上がるので、ビータ10により図示しない抽出路に冷菓(ソフトクリーム)が押し出され、コーンに抽出されることになる。
このように、近接スイッチ38を用いてビータ10の回転を制御するので、従来の如くプランジャー16の上下動に連動するアームを用いた取出スイッチを設ける必要が無くなり、部品点数の削減が図れると共に、機構が簡素化されるので故障も発生し難くなる。また、所定期間(3秒)継続してコーンを検出している場合にビータ10を回転させるようにしているので、誤って近接スイッチ8の近くに手をかざした場合などに生じる誤作動も防止できる。
尚、取出レバー15を戻せばプランジャー16が降下して抽出路は塞がれる。また、コーンを近接スイッチ38から離せばマイクロコンピュータ73はビータ10を停止させる。これにより、冷菓の抽出は停止する。冷却シリンダ8内から冷菓が抽出されることで圧力が低下するため、ミックス原料袋5の袋本体21内からミックス原料チューブ34、逆止弁54、Y型混合器57を経てミックス入口9から冷却シリンダ8内にミックスが流入し、補充されることになる。
この場合、エアー回路51には逆止弁56が設けられているので、このときにミックス原料チューブ34からY型混合器57に入るミックスがエアー回路51側に流入する不都合は回避される。従って、逆止弁56より上流のエアー回路51内を洗浄する必要が無くなる。
一方、マイクロコンピュータ73は販売検知からa秒(遅延時間)後にb秒間(所定期間)エアー回路開閉電磁弁52を開放する。このエアー回路開閉電磁弁52によるエアー回路51の開放により、エアー回路51からY型混合器57を経て冷却シリンダ8内に流入する圧縮空気の圧力により、ミックス原料チューブ34から冷却シリンダ8へのミックスの流入は阻止され、前述同様に停止することになる。即ち、冷却シリンダ8からの冷菓の抽出開始から遅延してエアー回路開閉電磁弁52を開くことで、ミックス原料チューブ34から冷却シリンダ8内にミックスを補充できる。
尚、図6の実施例では連続してb秒間エアー回路開閉電磁弁52を開いているが、a秒後に複数回間欠的にエアー回路開閉電磁弁52を開閉するようにしてもよい。
ここで、このときのミックスの補充量は係るa秒間の遅延時間によって決定されるが、この遅延時間中に冷却シリンダ8内に流入するミックスの量は、当該ミックスの粘性によって違ってくる。即ち、同じ遅延時間ではミックスの粘性が高い場合には補充量が少なくなり、粘性が低い場合には補充量は多くなる。一方、ミックスの粘性が高い場合には前述したプルダウンに要する時間(プルダウン時間)が長くなり、低い場合には短くなる。
そこで、マイクロコンピュータ73は前述した如くカウントして保持しているプルダウン時間に基づき、当該プルダウン時間が長い場合にはa秒間の遅延時間を延長し、プルダウン時間が短い場合には短縮する。これにより、冷菓の抽出に伴って冷却シリンダ8内へ補充されるミックスの量を、当該ミックスの粘性に関わらず常に略一定にすることができるようになり、冷却シリンダ8へのミックスの過剰補充と冷却シリンダ8内におけるミックス不足の双方を回避できるようになる。
ここで、マイクロコンピュータ73はエアー回路内センサー47が検出する圧力を前述した設定値に維持するようにエアーポンプ27をON−OFF制御している。上述のような冷菓の抽出に伴ってミックス原料袋5からミックスが流出し、また、エアー回路51からも空気が冷却シリンダ8内に流入することでエアー回路内センサー47が検出する圧力は徐々に低下していくが、略5回の抽出で圧力は下限値に低下し、エアーポンプ27は運転される。
そのため、連続して6回以上抽出が行われるなどの極希な状況を除く殆どの場合、前述したb秒間のエアー回路開閉電磁弁52の開放中にエアーポンプ27は運転されていない。従って、このb秒間の間はミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間内の圧縮空気が袋加圧パイプ7及び分配器46を経由してエアー回路51内に入り、エアー回路開閉電磁弁52、エアフィルタ53及びY型混合器57を経て冷却シリンダ8内に流入することになる。
このミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間内の圧縮空気は、保冷庫2の庫内2Aにて冷やされている空気である。即ち、冷却シリンダ8内には温度の低い圧縮空気がエアー回路51から供給されることになるので、体積が嵩張らず、オーバーランに有利なものとなる。
また、このようにエアーポンプ27とエアー回路内センサー47を用いてミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間内の空気圧力を封入することで、それらの間の密閉空間の容積を拡大させて袋本体21内に収納されたミックスをミックス原料チューブ34に押し出すので、袋本体21から冷却シリンダ8へのミックスの自動供給を実現することが可能となる。これにより、従来の如くミックス供給パイプを使用する重力に依存したミックスの供給方式を廃して、安定的なミックスの自動供給を実現できるようになると共に、ミックスをミックス原料袋5から直接冷却シリンダ8に供給することで、衛生上の問題も解決することができるようになる。
更に、このようにエアーポンプ27とエアー回路内センサー47を用いてミックス原料袋5の外層体23と袋本体21間の密閉空間内の空気圧力を設定値と前記下限値の間の所定圧力に維持しておき、係る空気圧力によってミックスを袋本体21内からミックス原料チューブ34に押し出して冷却シリンダ8に供給すると共に、エアー回路開閉電磁弁52を開いてエアー回路51からの圧縮空気を流入させることによりミックス原料チューブ34からのミックスの補充を停止するようにしているので、ミックス原料チューブ34側にミックスの供給を制御するための電磁弁などを設ける必要が無くなる。これにより、洗浄作業が極めて容易となる。
(4)売り切れ時
以上のような販売動作が行われ、ミックス原料袋5の袋本体21内のミックスが無くなると、販売検知後に冷菓の抽出が行われても補充されるミックスが無くなるため、エアー回路内センサー47が検出する圧力の変化が生じなくなるか極めて少なくなる。実施例ではマイクロコンピュータ73は販売検知後の圧力変化が無くなった場合、売り切れと判断して売り切れ表示ランプ78を連続して点灯させる(ON)。また、エアーポンプ27の運転も停止する。
(5)袋交換
この売り切れ表示ランプ78の点灯により使用者がミックスの売り切れを確認し、交換のために断熱扉3を開くと、前述同様にマイクロコンピュータ73はエアー回路排気電磁弁48を5秒間開いて圧縮空気を排出する。その後、袋加圧パイプ7やミックス原料チューブ34を外して袋ケース31ごと空となったミックス原料袋5を取り出す。ミックス原料チューブ34をY型混合器57から取り外す際には、接続具67の接続部材91、92をバネ部材93に抗して離間する方向に回動させ、係合部91D、92Dと鍔部97との係合を解除して取り外す。その後、バネ部材93を接続具67から外し、接続部材91、92を回動させて接続具67もミックス原料チューブ34から取り外す。
そして、ミックス原料袋5を袋ケース31から取り出した後、新たなミックス原料袋5を袋ケース31に収納し、前述同様に庫内2Aにセットして前述同様に袋加圧パイプ7やミックス原料チューブ34の接続を行った後、断熱扉3が閉じられると、マイクロコンピュータ73は再びエアーポンプ27を運転してエアー回路内センサー47が検出する空気圧力を設定値まで上昇させ、販売待機状態とするものである。
尚、本実施例では、上述した如く保冷庫2内にミックス原料袋5を収納した袋ケース31を2つ並置する場合について説明しているが、これ以外にも、保冷庫2内にミックス原料袋5を収納した袋ケース31を1つ設ける場合についても上記発明を適用することができる。
(6)接続具に関する他の実施形態等
上述した本発明における接続具67を使用すれば、例えばY型混合器57と接続部材91、92の係合部91D、92D間に所定厚みのワッシャ等を介設することにより、挟持部91B、92Bの間隔を上記実施例よりも広げてミックス原料チューブ34内の通路面積を拡大することができる。これにより、ミックス原料チューブ34内の通路面積を調整可能となるので、当該冷菓製造装置SMにおいて最適となるように冷却シリンダ8へのミックスの流量を調整できるようになる。
また、実施例では接続具67を相互に回動自在に連結された第1及び第2の接続部材91、92とバネ部材93によって構成したが、それに限らず、第1及び第2の接続部材91、92が正対した状態で離接する構成としてもよい。この場合もバネ部材によって常時両接続部材がミックス原料チューブ34側に付勢されるようにする。
更に、例えば接続具自体をバネ性を有する素材(コイルバネ等)によって構成し、一端部でミックス原料チューブ34を挟持するように付勢し(挟持部となる)、他端部でY型混合器57に係合する(係合部となる)構成としてもよい。係る構成とすれば構造の著しい簡素化が図れる。更にまた、実施例では経路構成部品であるY型混合器57に接続具67を係合させるかたちとしたが、例えばエアー回路51をミックス原料チューブ34とは別の入口にて冷却シリンダ8に接続する場合には、Y型混合器57は不要となる。その場合は、実施例のミックス入口9が経路構成部品となり、接続具67の係合部91D、92Dをこのミックス入口9(その場合は、鍔を形成しておく)に着脱可能に係合させることになる。