以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置の構成例を示し説明する。図1に示されるように、撮像装置1は、撮影光学系としての、ズームレンズ2及びフォーカスレンズ3を有している。光線は、これらレンズ2,3、絞り4を通過して、CCD等の撮像素子5の受光面に結像される。この撮像素子5で光電変換された信号は、撮像回路6に入力され、当該撮像回路6により映像信号が生成される。そして、この映像信号は、A/D変換器7によってデジタルの映像信号(画像データ)に変換され、メモリ8に一時的に記憶される。メモリ8に格納された画像データは、所定の画面レート(例えば1/30秒)で読み出され、D/A変換器9でアナログの映像信号に変換される。液晶表示素子(以下、LCDと略記する)10では、このアナログの映像信号に基づく被写体像の表示がなされる。
操作スイッチ(以下、操作SWと略記する)24に含まれるレリーズスイッチを操作して記録操作を行った場合には、メモリ8の画像データは圧縮/伸張回路11の圧縮回路で圧縮された後、記録用メモリ12に記憶される。また、再生操作が行われた場合には、記録用メモリ12に圧縮されて記憶されたデータは、圧縮/伸張回路11の伸張回路で伸張された後、メモリ8に一時的に記憶され、D/A変換器9でアナログの映像信号に変換される。LCD10では、このアナログの映像信号に基づく再生画像の表示がなされる。
ここで、LCD10では、その表示画面上に、三角測距が可能な視野を示す指標201と測距領域を示す指標202を併せて表示する(図2参照)。即ち、LCD10では、撮影光学系のズームレンズ2のズーム値に応じて変化する三角測距可能な視野を示す指標201を、CCD5で撮像された画像と重ねて表示することができるので、当該指標201により、三角測距可能な領域を容易に確認することができる。仮に、操作SW24等の操作により、三角測距が可能な視野を示す指標201の外(測距が不能な領域)に、測距領域が指示された場合には、所謂山登り方式に基づきAFがなされる。
A/D変換器7によってA/D変換された画像データは、オート露出処理回路(以下、AE処理回路と略記する)13とオートフォーカス処理回路(以下、AF処理回路と略記する)14に入力される。AE処理回路13は、1フレーム(1画面)分の画像データの輝度値を算出する等して被写体の明るさに対応したAE評価値を算出し、CPU15に出力する。また、AF処理回路14は、1フレーム(1画面)分の画像データの輝度成分に高周波成分をハイパスフィルタ等で抽出して、累積加算値を算出する等して高域側の輪郭成分等に対応したAF評価値を算出し、CPU15に出力する。
一方、撮影光学系の光軸と基線長Lだけ隔てて配置されたオートフォーカス専用の光学系(以下、AF光学系と称する)であるフォーカスレンズ102を経た光線は、絞り103を通過して、CCD等の撮像素子104に被写体像を結ぶ。この撮像素子104で光電変換された信号は撮像回路105に入力され、当該撮像回路105により、映像信号が生成される。そして、この映像信号は、A/D変換器106によってデジタルの映像信号(画像データ)に変換され、メモリ107に一時的に格納される。
AF処理回路108では、上記撮影光学系に基づき得られ上記メモリ8に記憶されている画像データと、上記AF光学系に基づき得られ上記メモリ107に記憶されている画像データを用いて、所謂三角測距の原理に基づき測距領域選択回路113により選択された被写体までの距離を求める。この測距領域選択回路113は、カメラの操作者により手動で選択するものでも、公知の視線検出装置により選択するものでもよい。上記三角測距の原理に基づき得られた被写体距離情報を基に撮影光学系のフォーカスレンズ102を合焦位置に駆動した後、被写体に対する合焦精度を高める為に必要に応じて又は毎回のフォーカスレンズ102の合焦駆動の度に、最終的なピント位置の調整を所謂山登り方式により行う。この為に、AF処理回路108は、1フレーム(1画面)分の画像データの輝度成分における高周波成分をハイパスフィルタ等で抽出して、累積加算値を算出する等して高域側の輪郭成分量等に対応したAF評価値を算出し、CPU100に出力する。
CPU100には、タイミングジェネレータ(以下、TG回路と略記する)109から画面レートに同期した所定のタイミング信号が入力される。CPU100は、このタイミング信号に同期して、各種の制御動作を行う。また、このTG回路109のタイミング信号は、撮像回路105にも入力される。また、TG回路109は、所定のタイミングでCCD104を駆動するように、CCDドライバ110を制御する。
CPU15には、TG回路16から画面レートに同期した所定のタイミング信号が入力される。CPU15は、このタイミング信号に同期して、各種の制御動作を行う。このTG回路16のタイミング信号は、撮像回路6にも入力される。撮像回路6は、このタイミング信号に同期して、色信号の分離等の各種処理を行う。また、このTG回路16は、所定のタイミングでCCD5を駆動するようにCCDドライバ17を制御する。
CPU15は、第1乃至第3のモータドライブ回路18乃至20のそれぞれを制御することで、第1乃至第3のモータ21乃至23を介して、絞り4、フォーカスレンズ3、ズームレンズ2の駆動を制御する。つまり、CPU15は、AE評価値を基に、第1のモータドライブ回路18を制御して、第1のモータ21を回転駆動して、絞り4の絞り量を適正な値に調整する、即ちオート露出制御を行う。
また、CPU15は、CPU100と接続され、当該CPU100から三角測距の原理に基づく距離データを受信して、この距離データに基づき、第2のモータドライブ回路19を制御して第2のモータ22を回転駆動して、フォーカスレンズ3を駆動して、合焦状態に設定する。しかしながら、一般的には、撮像素子5のコントラストが最大になる位置にフォーカスレンズ3を駆動する山登り方式に基づき制御した方が精度が向上する。そこで、上記三角測距の原理に基づきフォーカスレンズを駆動した後に、必要に応じて、AF評価値を基に、第2のモータドライブ回路19を制御して第2のモータ22を回転駆動して、AF処理回路14からのAF評価値を得る。そして、こうして得られたAF評価値に基づき、CPU15は、そのAF評価値が最大となるレンズ位置にフォーカスレンズ3を駆動して、合焦状態に設定する、即ちオートフォーカスを行う。
但し、上記山登り方式の制御には比較的時間がかかるので、上記山登り方式に基づくフォーカスレンズ3の駆動は省略してもよいことは勿論である。
また、CPU15には、例えば電気的に書換可能で不揮発性の読み出し専用メモリとしてのEEPROM25が接続されており、このEEPROM25にはCPU15を介して各種の制御等を行うプログラムや、各種の動作を行うのに使用されるデータや、後述する撮像素子5と撮像素子104の結像位置の関係を知るための情報や、撮像素子5と撮像素子104の撮像面の明るさを補正する為の情報等が格納されている。これら情報は、撮像装置1の電源がONされた場合等に読み出されて使用される。尚、CPU15は、電池26の電圧を検出して、所定の電圧値以下になった事を検出した場合、電池26の残量が少ない旨の表示や電池の充電或いは交換等を促す表示をLCD10にて行う。
尚、撮像素子104の撮像面サイズは撮像素子5の撮像面サイズに比べて小さくてもよく、撮像素子104の画素数は撮像素子5の画素数に比べて少なくてもよい。これによれば、AF用に安価な撮像素子を用いることができるので、コストが安くなる。
また、撮影光学系を三角測距に兼用するのでパララックスが発生することがなく、任意の領域の被写体に正確に焦点を合わせることができる。
ここで、図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る焦点検出装置に関連する測距原理を説明する。これは、後述する実施の形態にも共通する。
図3において、撮影光学系M1とAF光学系M2は、基線用Lだけ隔てて配設されている。撮影光学系M1の撮像素子5に対する焦点距離はf1、AF光学系M2の撮像素子104に対する焦点距離はf2である。更に、被写体Oの像の撮影光学系M1の光軸からのずれはΔL1であり、AF光学系の光軸からのずれはΔL2であり、被写体Oまでの距離はRである。このような場合、次式(1)が成立する。
R/L1=f1/ΔL1
R/L2=f2/ΔL2
L=L1+L2
L/R=(1/f1)・(ΔL1+(f1/f2)・ΔL2) ・・・(1)
即ち、この(1)式より、像Oの撮影光学系M1の光軸からのずれΔL1及びAF光学系M2の光軸からのずれΔL2、上記両光学系M1,M2の焦点距離f1,f2、及び基線長Lが定まれば、被写体までの距離Rが求まることが分かる。
以下、図4のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置の動作を詳細に説明する。
操作SW24に含まれるパワースイッチがオンされ、電源投入されると、CPU15やCPU100がパワーオンリセットされ、本動作に入ることとなる。
先ず、AE処理回路13は、1フレーム(1画面)分の画像データの輝度値を算出する等して被写体の明るさに対応したAE評価値を算出し、当該AE評価値をCPU15に出力する(ステップS1)。続いて、CPU15は、操作SW24に含まれるレリーズスイッチの初段の第1のレリーズ(以下、1stレリーズと称する)が行われたかどうかを判断し、それが行われるのを待つ待機状態となる(ステップS2)。
このステップS2で1stレリーズが行われていれば、CPU100は、測距領域選択回路113により選択された測距領域の位置を読み込む(ステップS3)。
次いで、CPU100は、サブルーチン“三角測距AF”をコールし、三角測距の原理に基づき被写体までの距離を求める(ステップS4)。尚、このサブルーチン“三角測距AF”による三角測距の動作については、図5を参照して後述する。
このステップS4で被写体までの距離が求まると、CPU15は、この被写体までの距離に基づいてフォーカスレンズ3を合焦位置まで駆動する(ステップS5)。
続いて、CPU15は、1stレリーズが解除されたかどうかを判断し、それが行われるのを待つ待機状態となる(ステップS6)。1stレリーズ解除されたならば、CPU15は、操作SW24に含まれるレリーズスイッチの次段の第2のレリーズ(以下、2ndレリーズと称する)が行われたかどうかを判断し(ステップS7)、2ndレリーズが行われてなければJ1に分岐する。一方、上記ステップS7で、2ndレリーズが行われていれば、次にCPU15はAE評価値を基にオート露出制御を行い(ステップS8)、こうして一連の撮影動作を終了する。
次に、図5のフローチャートを参照して、図4のステップS4で実行されるサブルーチン“三角測距AF”について詳細に説明する。
撮影光学系のフォーカスレンズ3の位置が合焦位置から大きくはずれていると、絞り開口が大きくなるほど像がボケるため正確にズレ量を求めるのが難しくなる。
この為に、CPU15は、ズレ量の演算に先立ち、撮影光学系の絞り4を予め決めた所定の値に絞り込む(ステップS11)。撮影レンズが合焦位置から大きく外れていても、比較的鮮明な画像が結像されるので、正確にズレ量を求める上で効果的である。
また、撮影光学系の絞り値は、AF光学系の絞り103と等しいことが望ましい。
これは、撮影光学系により結像される像とAF光学系により結像される像のぼけと照度分布を等しくして、ズレ量を正確に求める為である。すなわち、このように撮影光学系の絞り値を設定すれば、撮影光学系により結像される像とAF光学系に結像される像のぼけと照度分布が近似するので、正確にズレ量を求める上で効果的である。
次いで、CPU15,100は、AE処理回路13で求めたAE評価値を基に撮像素子5と撮像素子104の露光を行い、画像データを取得する(ステップS12)。
そして、CPU100は、サブルーチン“ΔL1,ΔL2演算”により、撮影光学系により結像された測距領域の画像の撮影光学系の光軸中心からのズレであるΔL1と、AF光学系に結像された上記測距領域の画像に対応する画像のAF光学系の光軸中心からのズレであるΔL2を演算するようにAF処理回路108を制御する(ステップS13)。このサブルーチン“ΔL1,ΔL2演算”については、図14を参照して後に詳述する。こうして、CPU100は、上記(1)式(図3参照)に基づいて被写体までの距離Rを演算し(ステップS14)、このサブルーチン“三角測距AF”からリターンする。
ここで、図6,7を参照して、像のズレ量を求める相関演算の原理について説明する。
先ず、図6(a)は、測距領域選択回路113によって選択された第1測距領域の撮像素子5の画素の配列を示す。1つの画素のサイズはH1×W1とする。この第1測距領域内の所定範囲P1の像を基準像とする。この基準像の重心位置から撮影光学系の光軸までの距離をΔL1とする。そして、上記基準像の撮影光学系の光軸から基線長方向にi番目の画素の出力をS(i)とする。
一方、図6(b)は、上記第1測距領域に対応するAF光学系によって結像される像の第2測距領域の画素の配列を示す。1つの画素のサイズはH2×W2とする。この第2測距領域の中に上記基準像と同じ画素数からなる参照像P2を設定し、この参照像のAF光学系の中心から基線長方向にj番目の出力をC(j)とする。
そして、対応する画素の出力の差の絶対値の和をとり、これをA(m)とし、相関量とする。この場合、次式(2)が成立する。
ここで、iとは基準部の最初の画素の番号であり、jは参照部の最初の画素の番号である。また、kは基準部及び参照部の最初の画素から数えてk番目の画素を意味する。
参照部はj+nに、更に左右に±m程度の余裕を見込む。
ここで、参照部のデータに付いているmはCPU15の内部で、基準部のデータ番号は固定し、参照部のデータ番号を1個ずつ送っていく操作の為に付けられている。
そして、mを順次1からpまで変えながら上記相関量A(m)を求め、当該相関量A(m)が最小値をとるとき基準部と参照部の像が一致するものとして、基準部と参照部の像の相対的な距離を求める。尚、上記相関量A(m)は最小1画素毎の値である為、基準部と参照部の像の相対的な距離の精度も1画素が限界となる。
そこで、図7に示すように、相関量A(m)が最小値をとる前後の相関量の幾何学的な関係から補間により1画素ピッチ以下の高い精度の相対的な距離を求める。この補間によると、経験的に1/10画素以下の高い精度で基準部と参照部の像の相対的な距離を求めることが可能である。尚、この補間演算自体は公知のものであるが、以下、簡単に説明すると、図7において、相関量A(m)の3番目に小さな値A(1)と最小値A(2)を直線で結び、この直線と水平線のなす角度θが、相関量A(m)の2番目に小さな値A(3)を通る直線と上記水平線となす角度θと等しくなるようにしたとき、上記2つの直線の交差する点のズレ量mを求めるものである。
ところで、本願発明の第1の実施の形態において、基準像と参照像とで相関演算を行い精度の高いズレ量を求めるためには、以下の「第1乃至第3の条件」を満たす必要がある。
これは、他の実施の形態についても共通する考え方である。
より詳細には、「第1の条件」とは、基準像の基線長方向の中心線を被写体上に投影したラインと参照像の基線長方向の中心線を被写体上に投影したラインとが一致することである。そして、「第2の条件」とは、単位画素の光電変換部に投影される被写体面上の面積及び形状が同じであることである。更に、「第3の条件」とは、同一被写体に対応する画像データのレベルが同じであることである。以下、これら第1乃至第3の条件を満たす為の具体的解決手段について更に詳細に述べる。
(第1の条件)
第1の条件を満たすための具体的解決手段について説明する。
撮影光学系の光軸上の無限大の位置にスポット光(光源)を配置する。撮影光学系の焦点距離と絞り値をそれぞれf1、F1の値に設定し、このときの撮像素子5の画素データを読み出して上記スポット光が撮像素子5の撮像面に結像する座標位置P1(Px1,Py1)を検出する。同様に、撮像素子104の画素データを読み出して上記スポット光が撮像素子104の撮像面に結像する座標位置P2(Px2,Py2)を検出し、上記P1とP2の座標位置を1組のデータとしてEEPROM25に記録する。
以上では、撮影光学系の光軸上の無限大の位置のスポット光に対応する1組のデータを記録したが、撮影光学系の光軸周辺の無限大の位置の複数点にスポット光を配置し、この複数点のスポット光が結像する撮像素子5と撮像素子104のそれぞれの撮像面上の座標位置をEEPROM25に記録してもよい。この場合、撮影光学系、AF光学系の撮影倍率が変化しても結像位置が変化しないので、撮像素子5の結像面上に結像する被写体が上記撮像素子104の結像面上のどの位置に結像しているかを容易に求めることができることになり、基準像と参照像の相関演算を容易に行うことができる。
また、上記スポット光(光源)を撮影光学系の光軸外の有限の距離に設置し、このスポット光が結像する撮像素子5と撮像素子104のそれぞれの撮像面上の座標位置をEEPROM25に記録するようにしてもよいことは勿論である。
このようにしてEEPROM25に記録された上記座標位置P1(Px1,Py2),P2(Px2,Py2)から光軸上の無限大に位置する被写体が結像する撮像素子5の撮像面の位置、及び撮像素子104の撮像面の位置が分かる。
したがって、撮影光学系の光軸外の被写体が結像する撮像素子5と撮像素子104の各撮像面上の座標位置は、計算により簡単に求めることができる。
例えば、撮影光学系の焦点距離をf1、AF光学系の焦点距離をf2とし、撮像素子5の撮像面上の上記EEPROM25に記録された座標位置P1(Px1,Py1)を原点とした座標(x1,y1)の位置に像が結像しているものとする。
この場合、上記(x1,y1)の位置の像に対応する像が結像する撮像素子104上の位置(x2,y2)は、上記EEPROM25に記録された座標位置P2(Px2,Py2)を原点として(x2,y1・f2/f1)となる。x1に対応する値x2は相関演算で求めるものであり、x2=x1・f2/f1であれば被写体距離は無限大であり、被写体が近づく程、x2とx1・f2/f1との差は大きくなる。
この両者の差を求めるのが上記相関演算である。
ここで、図8には、撮像装置1の製造時に上記EEPROM25に上記データを書き込むシステムの構成例を示し説明する。この図8において、書き込み装置801から撮像装置1のCPU15に所定の信号が送られると、CPU15は上記EEPROM25に撮像面上の座標位置に係るデータを書き込むための命令を実行することになる。
以下、図9のフローチャートを参照して、このシステムによる撮像装置1のEEPROM25への座標位置に係るデータの書き込み動作について更に詳細に説明する。
先ず、書き込み装置801により撮像装置1をEEPROM25の書き込みモードに設定し(ステップS21)、撮影光学系の焦点距離を予め定めた焦点距離に設定し(ステップS22)、撮影光学系の絞りを予め決めた絞り値に絞り込む(ステップS23)。
そして、撮像素子5と撮像素子104の画像データを読み出し(ステップS24)、この読み出した画像データに基づいて、上記撮像面上の座標位置P1,P2をEEPROM25に書き込み(ステップS25)、この動作を終了する。
(第2の条件)
第2の条件を満たすための具体的解決手段について説明する。
撮影光学系とAF光学系の撮影倍率や、撮像素子5と撮像素子104の1画素のサイズは異なるので、上記第2の条件を満たす為には、これらを考慮する必要がある。
そこで、撮影光学系とAF光学系の像倍率の比α1/α2を演算する。
尚、α1/α2=f1/f2である。但し、このf1,f2は、図3で先に説明したように、それぞれ撮影光学系の焦点距離とAF光学系の焦点距離である。
次に、図6(a)、図10(a)に示すように、撮影光学系による像を受ける撮像素子5の基線長方向の上記第1測距領域に対応する複数画素を、基線長方向に長さW1毎に等分する。基線長と直角方向の長さをH1として、上記W1×H1を新たな1つの画素とする。そして、上記W1×H1に含まれる元の複数の画素を加算した信号又はその平均値を求め、上記撮像素子5の新たな画素(以下「仮想画素」という)の出力とする。尚、上記仮想画素は、上記W1×H1に含まれる特定のラインを間引いて加算してもよい。
これと同様に、図6(b)、図10(b)に示すように、AF光学系による像を受ける撮像素子104の基線長方向の上記第2測距領域に対応する複数画素を、基線長方向に長さW2毎に等分する。基線長と直角方向の長さをH2として、上記W2×H2を新たな1つの画素とする。そして、上記上記W2×H2に含まれる元の複数の画素の信号を加算した信号又はその平均値を、上記撮像素子104の仮想画素の出力とする。
ここで、上記W1,W2,H1,H2は、
α1/α2=W1/W2=H1/H2
の関係を満たすように設定する。
このように、撮像素子5の単位画素のサイズと撮像素子104の単位画素のサイズの比が、撮影光学系の倍率とAF光学系の倍率の比に等しくなるようにすれば、撮像用の光学系(撮影光学系)及び撮像素子5を兼用して簡単な構成で被写体の広い領域に迅速に焦点を併せることが可能となる。尚、上記単位画素のサイズとは、複数の画素をまとめて、仮想的な1つの画素(即ち、上記仮想画素)とみなしたものである。
次に、上述した基本的な考え方を基に仮想画素のサイズを具体的に設計してみる。
上記(1)式より、AF光学系の検出誤差dΔL2と測距誤差dRの関係は、
dR=−dΔL2・R2/(L・f2) ・・・(3)
となる。
一方、撮影レンズの被写界深度は、
被写界深度=−F・δ・R2/f12 ・・・(4)
F:撮影光学系の絞り値、δ:許容錯乱円
となる。
ここで、測距誤差が撮影レンズの被写界深度内に収まっていれば、ピントが合ったといえる。この為には、
|測距誤差| < |被写界深度|
ということになり、上記(3)式、(4)式から
dΔL2・R2/(L・f2)<F・δ・R2/f12
が成立する。
従って、
dΔL2<F・δ・L・f2/f12 ・・・(5)
が成立する。
いま、設計値として、F=1、δ=1/30mm、L=40mm(撮影光学系の光軸中心の測距誤差を求めるものとし、L2=Lとした)、f2=10mm、f1=30mmとすると、
dΔL2<15 (μm)
となる。
この例では、AF光学系が設計通りに製作されていたと仮定すると、撮像素子104の基線長方向の画素ピッチが15μm以下のピッチであれば、既述の補間によらない相関演算により必要な精度が得られることになる。
しかしながら、既述の補間法により最終的なズレ量を演算するものとし、これにより1画素ピッチの1/10の精度を確保できるとすると、画素ピッチは150μm以下であれば必要な精度が得られることになる。撮像素子104の基線長方向の画素ピッチを10μmとすると、十分な精度が得られることになる。
そこで、上記補間演算をすることを条件に、上記(5)式を修正して、
dΔL2<10・F・δ・L・f2/f12 ・・・(6)
とする。
撮影光学系がズームレンズであり、そのズーム倍率が大きくなると、上記(6)式から明らかなように、AF精度及び測距可能な範囲に制約が出てくる。
図11は、このような関係を示したものである。即ち、図11(b)では、撮影光学系の視野1101bとAF光学系の視野1102bが一致しており、AF精度も上記具体的な数値で示した精度が確保されているものとする。しかし、撮影光学系の焦点距離が短くなり像の倍率が大きくなると(広角側)、撮影光学系の視野1101aに比べてAF光学系の視野1102aは狭くなる(図11(a)参照)。この場合、上記(5)式から明らかなように、AF光学系のズレ量の誤差の許容値は、図11(b)に比べて大きくなり、十分な精度が得られる。一方、撮影光学系の焦点距離が長くなり像の倍率が小さくなると(望遠側)、撮影光学系の視野1101cに比べてAF光学系の視野1102cは広くなる(図11(c)参照)。この場合、AF光学系のズレ量の誤差の許容値は、図11(b)に比べて小さくなり、十分な精度が得られなくなる場合がある。
ここで、撮像素子5(撮像兼AF用)の撮像面の有効サイズを18.5mm(H)×13.5mm(v)、水平方向の画素ピッチを10μm、撮像素子104(AF専用)の撮像面の有効サイズを7.4mm(H)×5.94mm(V)、水平方向の画素ピッチを10μm、AF光学系の焦点距離をf2=10mm、撮影光学系の焦点距離f1を10mmから100mmまで10mmステップで変えた場合の、撮影光学系の水平方向視野Hv1に対するAF光学系の水平方向視野Hv2の視野比(f1・Hv2/(f2・Hv1))を求めた結果は表1に示される通りである。尚、撮像素子104のサイズが撮像素子5のサイズに比べて小さくしたのは、一般に撮像素子104は画素数が多く大きなサイズの高価なものであるのに対し、撮像素子104はそれに比べて安価な比較的画素数の少ないものを使う為である。また、上記(6)式を用いて、AF光学系の許容測距誤差を撮像素子104の画素数を単位として求めた結果は表1に示される通りである。
そして、上記許容測距誤差以下となるように、撮像素子104の仮想画素の横、即ち基線長方向のサイズW2を撮像素子104の画素数を単位として適宜表1のように選択すると、撮像素子5の仮想画素の横方向のサイズW1は、既に述べたようにf1/f2=W1/W2の関係から自動的に決まり、画素数を単位として表1のようになる。
表1において、撮影光学系の焦点距離が10mmにおいては許容測距誤差135画素に比べて、W2が10画素となっており、他の撮影光学系と比べてやや過剰な精度になっているが、これはW2をなるべく統一してアルゴリズムを簡単にするためであり、理論上はW2は135画素以下であればよい。
この表1からも明らかなように、撮影光学系の焦点距離に応じて測距可能な範囲が変化する。そこで、本願発明においては、図11に示すように撮影光学系の焦点距離に応じて三角測距に基づく測距が可能な視野を表示する。また、測距領域も表示する。
一方、撮影光学系の焦点距離が長くなるほど許容測距誤差は小さくなり望遠側では精度を確保できなくなる可能性がある。そこで、後述する第2の実施の形態においては、撮影光学系のズーム値に応じてAF光学系のズーム値を変えるようにしている(これについての詳細は後述する)。
仮想画素の基線長と直角方向のサイズH1,H2についてもf1/f2=H1/H2の関係を満たすように適宜決めればよい。
(第3の条件)
第3の条件を満たすための具体的解決手段について説明する。
撮影光学系とAF光学系の構成や、撮像素子5と撮像素子104の感度が異なることから、撮像素子5の画像データの値と撮像素子104の画像データの値は異なる。
従って、以下のように、カメラの製造時に補正のためのデータをEEPROM25に記録しておき、相関演算を行う前に撮像素子5の画像データと撮像素子104の画像データを正規化し、同一被写体に対応する画像データの出力レベルを実質的に同じにする。
即ち、撮影光学系により結像される第1像と、AF光学系により結像される第2像のそれぞれ同一の像の領域の信号レベル又はその比をEEPROM25に記憶しておき、この情報を基に、出力レベルを補正する。これによれば、基準像に対応する参照像の画像信号のレベルを合わせることができる。以下、詳述する。
いま、撮影光学系の絞りを所定の値に絞り込んだ状態で撮像素子5の撮像面に被写体の領域A1の像Im1が結像しているものとする。同時に、撮像素子104の撮像面に被写体の領域A1の像Im2が結像しているものとする。
このときの上記Im1に対応する撮像素子5の画素データの平均値Vm1と撮像素子104の画素データの平均値Vm2の比である、
K=Vm1/Vm2
をEEPROM25に記録する。
尚、被写体を広い拡散板にして、このときの撮像素子5の複数画素の出力の平均値と撮像素子104の複数画素の出力の平均値の比をKとしてもよい。また、上記Vm1とVm2をEEPROM25に記録しておき、両者の比は後で計算してもよい。また、上記撮影光学系の絞りを撮影光学系の焦点距離に応じた所定の絞り値に設定して、この焦点距離毎に上記係数Kを求めてEEPROM25に記憶してもよい。
相関演算の前に撮像素子104の画像データをK倍することにより、基準像と参照像の明るさを実質的に同じにすることができる。
ここで、図12には、撮像装置1の製造時に上記EEPROM25に上記データを書き込むシステムの構成例を示し説明する。ここでは、図8と同一構成については同一符号を付している。書き込み装置1201から撮像装置1のCPU15に所定の信号が送られると、CPU15はEEPROM25にデータを書き込むための命令を実行する。
以下、図13のフローチャートを参照して、上記EEPROM25へのデータの書き込み動作の流れを更に詳細に説明する。書き込み装置1201により撮像装置1をEEPROM25の書き込みモードに設定する(ステップS31)。次いで、撮影光学系の焦点距離を予め定めた焦点距離に設定し(ステップS32)、撮影光学系の絞りを予め決めた絞り値に絞り込む(ステップS33)。そして、撮像素子5と撮像素子104のデータを読み出し(ステップS34)、この読み出した画像データに基づいて上記係数KをEEPROM25に書き込み(ステップS35)、本動作を終了することになる。
以上が第1乃至第3の条件を満たす為の具体的解決手段の説明である。
次に、図14のフローチャートを参照して、図5のステップS13で実行されるサブルーチン“ΔL1,ΔL2演算”について詳細に説明する。このサブルーチンでは、測距領域の画像の光軸中心からのズレ量ΔL1、ΔL2を演算する。
先ず、CPU100は、測距領域選択回路113により選択された測距領域を読み込む(ステップS41)。次いで、CPU100は、基準像の重心位置(ΔL1)を演算する為に、上記測距領域の中から適宜基準像を選択する。この基準像の位置は、上記測距領域と等しくてもよく、上記測距領域の中から相関演算に適した所定のコントラストを有する小領域を選択したものでもよいことは勿論である。そして、CPU100は、この基準像の重心位置を求めて撮影光学系の光軸からのズレ量をΔL1とし(ステップS42)、上記基準像の重心位置に対応する参照像の重心位置を求める(ステップS43)。
次いで、CPU100は、表1から得られる撮影光学系の焦点距離f1と撮像素子5と撮像素子104のそれぞれの仮想画素サイズ(W1,W2,H1,H2)をテーブル表としてEEPROM25に記憶しておき、このテーブル表を参照して、基準像と参照像の各仮想画素の出力を演算する。尚、仮想画素の出力値は、元の複数画素の出力の平均値とする(ステップS44)。次いで、EEPROM25に記憶した既述の係数Kを基に基準像と参照像のそれぞれに対応する仮想画素出力のレベルを正規化する(ステップS45)。
そして、CPU100の制御の下、AF処理回路108は、既述の相関演算式、即ち上記(2)式を基にして、基準像と参照像の相関演算を行う。この相関演算は、AF光学系の光軸からの参照像のズレ量ΔL2を求めるものであるので、基準像の重心位置がAF光学系の光軸上にあるものとして相関演算を行い、上記ズレ量ΔL1,ΔL2を基に被写体までの距離を演算し(ステップS46)、図5の処理にリターンする。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、撮像用の光学系(撮影光学系)及び撮像素子5を兼用して、簡単な構成で被写体の広い領域に迅速に焦点を合わせることが可能となる。また、撮影光学系とAF光学系の倍率が異なっても任意の領域の被写体に対して精度良く測距を行うことが可能となる。
[第2の実施の形態]
図15には、本発明の第2の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置の構成を示し説明する。ここでは、説明の簡略化の為、前述した図1と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明を省略し、両者の相違点を中心に説明する。
撮影光学系のズームレンズ2のズーム値と、AF光学系のズームレンズ101のズーム値が大きくかけ離れていると、撮影光学系による像の視野とAF光学系による像の視野が大きく異なり、その結果、被写体距離の演算誤差が大きくなり、被写体の広い視野に対して被写体距離を求めることができなくなるおそれがある。
このような点に鑑みて、この第2の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置では、上記撮影光学系のズームレンズ2のズーム値を読み込み、上記ズーム値に応じてAF光学系のズームレンズ101のズーム値を所定の値に設定するように、CPU200が第5モータドライブ111を制御して、モータ112を駆動する。尚、ズームレンズ101のズーム値は段階的に所定の値に設定するようにしてもよいことは勿論である。
このように、ズームレンズ101のズーム値を段階的に所定の値に設定するのは、AF光学系のズームレンズ101のズーム値を撮影光学系のズームレンズ2と同様に連続的に変えるようにすると、装置が大掛かりになりコストが高くなるからである。
上記のように、ズームレンズ101のズーム値を段階的に所定の値に設定することにより、途中のズーム値については精度を確保する必要がないので簡単な構成でよく、また段階的なズーム値の精度を高めることが可能となる。
ここで、第2の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置の前提とする基本原理や主動作は、第1の実施の形態で説明した内容と略同じであるが、図4のステップS4で実行されるサブルーチン“三角測距AF”が大きく異なる。
そこで、以下、図16のフローチャートを参照して、第2の実施の形態によるサブルーチン“三角測距AF”の処理の流れを詳細に説明する。
先ず、CPU200は、CPU15を介して、撮影光学系のズームレンズ2のズーム値を読み込む(ステップS51)。そして、このズーム値に応じて、AF光学系のズームレンズ101のズーム値を所定の値に設定するように、第5モータドライブ111に基づいてモータ112を駆動する(ステップS52)。このようにズームレンズ2のズーム値に応じて、AF光学系のズームレンズ101のズーム値を所定の値に設定するのは、以下の理由による。即ち、前述したように、撮影光学系のズームレンズ2のズーム値と、AF光学系のズームレンズ101のズーム値が大きくかけ離れていると、撮影光学系による像の視野とAF光学系による像の視野が大きく異なり、被写体距離の演算誤差が大きくなり、被写体の広い視野に対して被写体距離を求めることができなくなるからである。
ここで、ズームレンズ101のズーム値は、段階的に所定の値に設定するようにしてもよいことは勿論である。このようにズームレンズ101のズーム値を段階的に所定の値に設定するのは、以下の理由による、即ち、AF光学系のズームレンズ101のズーム値を撮影光学系のズームレンズ2と同様に連続的に変えるようにすると、装置が大掛かりになりコストが高くなるからである。このようにズームレンズ101のズーム値を段階的に所定の値に設定すれば、途中のズーム値については精度を確保する必要がないので簡単な構成でよく、また段階的なズーム値の精度を高めることが可能となる。
続いて、CPU15は、撮影光学系の絞り4を予め決めた所定の値に絞り込んだ後(ステップS53)、AE処理回路13で画像データを取得する(ステップS54)。尚、このステップS53,S54の詳細については、図5のステップS11,S12と同じであるので、これ以上の説明は省略する。次いで、CPU200はAF処理回路108を制御して、撮影光学系により結像された第1測距領域の画像の光軸中心からのズレであるΔL1と、AF光学系に結像された上記第2測距領域の画像に対応する画像の光軸中心からのズレであるΔL2を演算する(ステップS55)。尚、このサブルーチン“ΔL1,ΔL2演算”については図14で、前述した通りであるので、ここでは重複説明を省略する。
こうして、CPU200は、AF処理回路108により上記(1)式(図3参照)に基づいて被写体までの距離Rを演算し(ステップS56)、リターンする。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、撮像用の光学系(撮影光学系)及び撮像素子5を兼用して簡単な構成で被写体の広い領域に迅速に焦点を合わせることが可能となる。
[第3の実施の形態]
これは、第1又は第2の実施の形態の改良例として位置付けられるものである。
本発明の第3の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置の構成は図1又は15と同じであるので、ここでは当該図面を参照しつつ、相違点を中心に説明する。
上述した三角測距は、AF光学系の機械的な誤差や相関演算に伴う誤差が発生する可能性がある。一方、撮影レンズを駆動しながら撮像素子に結像する画像信号の高周波成分が最大になる位置にレンズを駆動する所謂山登り方式は、撮像信号そのものを用いて合焦させるので理想的である。しかしながら、合焦位置から撮影レンズが大きく離れていると十分なコントラストが得られず、合焦までに時間がかかるという問題がある。
かかる点に鑑みて、第3の実施の形態では、先ず最初に三角測距の原理に基づき撮影レンズを駆動した後、最後は山登り方式に基づき撮影レンズを合焦位置に駆動する。
以下、図17のフローチャートを参照して、本発明の第3の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置による主動作を詳細に説明する。
ここでは、図1の構成を適宜参照しつつ説明を進める。
ステップS61,S62は、図4のステップS1,S2と同じであるので、説明を省略する。次いで、CPU100は、測距領域選択回路113により選択された測距領を読み込み(ステップS63)、この選択された上記視野領域が三角測距による測距が可能な領域かどうか(図3参照)を判断し(ステップS64)、三角測距が可能な領域であれば、三角測距を行う(ステップS65)。尚、このサブルーチン“三角測距AF”については、図5又は図16で説明したのと同じであるので説明を省略する。
次いで、CPU15は、三角測距により求めた被写体距離と現在の撮影光学系のフォーカスレンズ3のピント位置を比較する(ステップS66)。
尚、現在の撮影光学系のフォーカスレンズのピント位置は、フォーカスレンズ3の駆動部材にエンコーダを設けて、フォーカスレンズ3の駆動位置を検出するという公知の方法により知ることができる。これについては、説明を省略する。
そして、CPU15は、フォーカスレンズ3が合焦点近傍であると判断したときは(ステップS67)、直ちに所謂山登り方式によりフォーカスレンズ3を駆動する(ステップS69)。一方、合焦点近傍でないと判断すると、CPU15は、上記三角測距で求めた距離情報に基づきフォーカスレンズ3を駆動した後(ステップS68)、所謂山登り方式によりフォーカスレンズ3を駆動する(ステップS69)。ステップS70〜S72は、図4のステップS6〜S8と同様であるので、重複した説明は省略する。
ここで、図18は横軸にフォーカスレンズ3の駆動位置を縦軸に時間を示したものである。同図に示されるように、第3の実施の形態では、時間t1までは三角測距に基づいて撮影レンズを駆動し、t1〜t2の間は所謂山登り方式により駆動する。
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態によれば、撮像用の光学系(撮影光学系)及び撮像素子5を兼用して簡単な構成で被写体の広い領域に迅速に焦点を合わせることが可能となる。さらに、例えば、撮影光学系の撮影レンズが合焦位置から大きく離れている場合でも、短時間で焦点を合わせることが可能となる。
[第4の実施の形態]
これは、第1の実施の形態の改良例として位置付けられるものである。
本発明の第4の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置の構成は図1と同じであるので、ここでは当該図面を参照しつつ、相違点を中心に説明する。
この第4の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置では、三角測距の原理に基づくAF方式と所謂山登り方式に基づくAF方式を併用し、状況に応じていずれかの方式を優先的に採用することを特徴とする。
より具体的には、AF光学系を通過する被写体光の明るさが所定値より明るいと判断した場合には三角測距AFを優先的に行い、AF光学系を通過する被写体光の明るさが所定値より暗いと判断した場合は、所謂山登り方式によるAFを優先的に行うものである。
但し、上記判断すべき状況は、明るさには限定されない。
以下、図19のフローチャートを参照して、本発明の第4の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置による主動作を詳細に説明する。
ステップS81,S82は、図4のステップS1,S2と同じであるので、説明を省略する。次いで、CPU100は、測距領域選択回路113により選択された測距領域を読み込む(ステップS83)。そして、CPU100は、AF光学系を通過した像の明るさB1を検出する(ステップS84)。より具体的には、撮像素子104の出力信号を読み出し被写体の比較的広い領域の平均的な明るさを求める。次に、上記被写体の平均的な明るさB1の値が所定値αより小さいか否かを判断する(ステップS85)。
このステップS805にて、上記被写体の平均的な明るさB1の値が所定値αより小さいときは、三角測距不能としてステップS87の所謂山登りAFの処理に進む。このようなケースとしては、例えば撮影時に撮影者がAF光学系を手で遮っていることが考えられる。一方、上記ステップS85において、上記被写体の平均的な明るさB1の値が所定値αより大きいときは、CPU100は、次にサブルーチン“三角測距AF”により三角測距によるAFを行う(ステップS86)。尚、このサブルーチン“三角測距AF”については、図6で説明したのと同じであるので説明を省略する。
続いて、CPU15は、第2モータドライブ19を制御して、所謂山登り方式によりフォーカスレンズ3を駆動する(ステップS87)。これ以降のステップS88〜S90までの動作は、図4のステップS6からステップS8までの動作と同じであるので、ここでは重複した説明を省略する。以上で、一連の処理を終了する。
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態によれば、撮影レンズが合焦位置近傍にあるかどうかを三角測距AFによらず簡便な方法で検出することにより、合焦位置近傍にあるときは三角測距AFを省略して高速且つ精度よく合焦させることができる。
[第5の実施の形態]
これは、第1又は第2の実施の形態の改良例として位置付けられるものである。
本発明の第5の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置の構成は図1又は図15と同じであるので、ここでは図1等を参照しつつ、相違点を中心に説明する。
図20には、本発明の第5の実施の形態に係る焦点検出装置を採用した撮像装置としてのカメラの外観構成を示し詳細に説明する。
この図20に示すように、撮影光学系(撮影レンズ204)とAF専用光学系203の光軸を結ぶライン(基線長方向)は、カメラ本体の水平方向に対して傾いている。
被写体までの距離は、図3で前述したように、2つの撮像素子の撮像面に結像する対応する2像の基線長方向の相対的なズレ量に基づいて求められることになるので、従来の手法を用いて被写体までの距離を求めるには、撮像素子5と撮像素子104のそれぞれの画素の読み出し方向(長辺方向又は短辺方向)を基線長方向に一致させた方が、前述したようなズレ量計算の処理が簡単になることは容易に推察される。
しかしながら、このような配置は、撮影に用いる撮像素子5がカメラ本体に対して傾くので採用することができない。このような問題を解決するために、上記基線長方向をカメラ本体の水平方向にすると、撮影者がカメラを把持するときAF光学系が手によって遮られる可能性が高いので設計上好ましくない。このような観点から、第5の実施の形態に係るカメラでも、図20の外観図に示すように、上記基線長方向がカメラ本体の水平方向と所定の角度をもって配置されるように構成している。
この場合、撮影光学系の結像位置に配置される撮像素子5とAF専用光学系203の結像位置に配置される撮像素子104を図22に示されるように構成すると、撮像素子5が受ける像面上に設定した基準像2201に対応する、撮像素子104が受ける像面上の上記基準像に対応する参照像2202の位置を演算するときに、上記参照像2202が上記基準像に対して基線長方向にずれるので、参照像2202を上記基線長方向に所定ピッチずつずらしながら既述の上記(2)式に基づく相関量を演算して、上記基準像と一致する参照像の位置を求める。そうすると、撮像素子104の画素の読み出し方向が、通常の撮像素子の読み出し方向と異なり、通常の読み出し方向に対して斜めになるので、参照像の設定のために、比較的複雑な演算が必要になると共に演算に時間がかかる。
この場合であっても基準像はずらす必要ないので図22の構成でもよい。
しかしながら、第5の実施の形態では、更に図21に示すように撮像素子104の配置のみを基線長方向に傾けることで、撮像素子104の画素信号の読み出し方向を基線長方向に一致させた。第5の実施の形態では、このような配置にすることで、上記相関量の演算を簡単なものとし、高速の相関演算を可能としている。
次に、図21に示すように撮像素子の配置したときの、撮像素子5と撮像素子104の仮想画素の生成方法について詳細に説明する。先ず、撮像素子5の仮想画素の配列方向と基線長方向が一致するように撮像素子5の画素のアドレス変換を行う。
以下、図23を参照してこのアドレス変換について説明する。
図23は、細線で示される原画を、θ(カメラの水平方向と基線長方向のなす角度)だけ回転して斜め走査による太線画像を得る際のアドレス位置関係を示している。図中、白丸はメモリ8に記憶された実画素を示し、黒丸はメモリ8から読み出す仮想画素を示している。各アドレス位置P(00),P(10),P(20),P(01),P(11),P(21),P(02),P(12),P(22)に対応する画素データがメモリ8に書き込まれており、これらアドレス位置の画素データを用いて、位置P(0、0)を中心にしてθだけ回転した後の太線で示す対応アドレス位置Q(10),Q(20),Q(01),Q(11),Q(21),…を求め、アドレス信号Addとしてメモリ8に送出する。
例えば、図23におけるアドレス位置Q(10),Q(20),Q(01),Q(11)の仮想画素アドレスは、図示の関係から次のようにして求まる。
Q(10) x…P(00)+cosθ
y…P(00)+sinθ
Q(20) x…P(00)+2cosθ
=P(10)+2cosθ−1
y…P(00)+2sinθ
=P(10)+2sinθ
Q(01) x…P(00)−sinθ
y…P(00)+cosθ
Q(11) x…P(00)−sinθ+cosθ
=P(01)−sinθ+cosθ
y…P(00)+cosθ+sinθ
=P(01)+cosθ+sinθ−1
図24には、図23に示すアドレス変換原理図をθ=30度回転した場合のアドレス変換図が示されている。(XST,YST)を原点のアドレスとする。
図24では、
XST=0 XW=0.866 X0=−2.4×0.5
YST=0 YW=0.5/2.4 Y0=0.866
であり、図24からも明らかなように、画素数m、ライン数nにおけるXアドレスXmnとYアドレスYmnを表す一般式は、次のようになる。
Xmn=XST+m・XW+n・X0
Ymn=YST+m・YW+n・Y0
例えば、0ライン目(n=0)のアドレス(座標)は、(XY)=(0,0),(0.866,0.208),(1.732,0.417),…、1ライン目(n=1)では、(XY)=(−1.2,0.866),(−0.334,1.074),(0.532,1.28),…となる。ここで、各アドレスの整数部がアドレスAddを、少数部が補間係数Kを示していることは図から明らかである。
上記補間処理は、例えば図25に示すような4点加重方式を用いるのが好ましい。
メモリ8から読み出すべきアドレス位置Qは、図25に示すように、X1とX2を定めると、周囲の4点P(11),P(21),P(12),P(22)のデータを、同一の符号を用いて、それぞれP(11)、P(21)、P(12)、P(22)と定義すると、これらの加重平均を用いて、下式により求める。
Q=(1−Ky)X1+Ky・X2
X1=(1−Kx)P(11)+KxP(21)
X2=(1−Kx)P(12)+KxP(22)
したがって、
Q=(1−Kx)(1−Ky)P(11)+Kx(1−Ky)P(21)
+Ky(1−Kx)P(12)+Kx・Ky・P(22) ・・・(7)
この(7)式の演算は、1サイクル内に4画素アドレスのデータであるP(11),P(21),P(12),P(22)を読み出すことにより実現することができる。
以上説明したように第5の実施の形態では、上記のようにしてアドレス変換後の各アドレスの画素データの値を演算し、これらの新しいアドレスの画素データを複数合成して既述のとおりの仮想画素データを生成する。上述のとおり、座標を回転したときの新しいアドレス上の画素データを求めるには比較的複雑な演算を必要とする。しかし、第5の実施の形態においては、撮像素子104は基線長方向に対して傾きが零であり、撮像素子5のみ基線長方向に対して傾けて配置するので、座標変換の演算量が少なくて済む。
しかも、撮像素子5で受ける画像上に上記基準像を設定するので、基準像のみのアドレス変換を行えばよいので、相関量を求めるために基線長方向に像をシフトする必要のある参照像については複雑なアドレス変換を行う必要がないので演算量が極めて少なくて済むというメリットもある。尚、第5の実施の形態では、上記アドレス変換として回転のみについて述べたが、基準像と参照像の基線長方向と垂直方向のアドレス変換についても同様の4点加重方式により簡単に実現できる。これにより、基準像と参照像の基線長方向と垂直方向の画素のずれを補正して精度の高い相関演算を行うこともできる。
[まとめ]
以上、本発明の第1乃至第5実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。例えば、図1及び図15では、三角測距AFを統括するCPUと所謂山登り方式AFを統括するCPUを分けた例を示したが、これに限定されず、一のCPUが両者を統括するようにしても、更なるCPUを用いてもよい。
また、上記第1乃至第5の実施の形態は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラのみならず、カメラ機能付きの携帯電話機、PDA、ノート型パーソナルコンピュータ等といった所謂モバイル機器等にも幅広く適用可能であることは勿論である。
また、上記第1乃至第5の実施の形態の技術的事項の一部又は全部の相互の組み合わせは適宜可能であることは勿論である。
(付記)
(1)被写体の像を記録する為の撮像と焦点検出に兼用する第1光学系及び第1撮像素子と、上記第1光学系及び上記第1撮像素子と所定の基線長隔てて配置された上記第1光学系とは倍率の異なる第2光学系及び第2撮像素子と、上記第2撮像素子から読み出した画像の中に設定された参照像を、基線長方向に所定の単位画素ずつずらしながら、上記第1撮像素子から読み出した画像の中に設定された基準像と一致する上記参照像の位置を演算する相関量演算手段と、上記相関量演算手段の出力に基づき上記基準像に対応する被写体までの距離を検出する距離演算手段とを備え、上記第1撮像素子の単位画素のサイズと上記第2撮像素子の単位画素のサイズの比が、上記第1光学系の倍率と上記第2光学系の倍率の比に等しくなるようにしたことを特徴とする焦点検出装置。この態様によれば撮像用の光学系及び撮像素子を兼用して簡単な構成で被写体の広い領域に迅速に焦点を合わせることが可能になる。
(2)上記第1撮像素子の単位画素のサイズ又は上記第2撮像素子の単位画素のサイズは、複数の画素をまとめて仮想的な1つの画素とみなしたものであることを特徴とする上記(1)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、撮像用の光学系及び撮像素子を兼用して簡単な構成で被写体の広い領域に迅速に焦点を合わせることが可能になる。
(3)上記第1光学系の光路中に配置された第1絞りと、この第1絞りを所定の値に設定する絞り設定手段とを更に有し、上記相関量演算手段は、上記絞り設定手段により上記第1絞りを予め決められた所定の絞り値に絞り込んだ後に撮像された画像データに基づいて上記基準像と一致する上記参照像の位置を演算することを特徴とする上記(1)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、撮影レンズが合焦位置から大きくはずれていても比較的鮮明な画像が結像されるので正確にズレ量を求めることができる。
(4)上記第2光学系の光路中に配置された第2絞りを有し、上記絞り設定手段により設定される第1絞りの絞り値を上記第2絞りの絞り値と等しくすることを特徴とする上記(3)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、第1光学系により結像される像と第2光学系により結像される像のぼけと照度分布が近似するので、ズレ量を正確に求めることができる。
(5)上記第1光学系はズーム値を可変に構成され、上記第1光学系のズーム値に応じて測距が可能な領域が変化する測距可能領域を示す指標を上記第1撮像素子により撮像された画像と重ねて表示する表示手段を更に有することを特徴とする上記(1)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、三角測距に基づく測距が可能な領域を確認することができるので便利である。
(6)被写体の測距領域を指示する測距領域指示手段を有し、測距が不能な領域に上記測距領域を設定するように指示されたときは、山登り方式に基づき撮影レンズを合焦位置に駆動することを特徴とする上記(1)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、山登り方式により焦点検出可能となる。
(7)上記第1光学系は連続的に切り換えが可能であり、上記第2光学系は連続的に変化する上記第1光学系の焦点距離に応じて焦点距離を不連続に切り換えることを特徴とする上記(1)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、撮像用の光学系及び撮像素子を兼用して簡単な構成で被写体の広い領域に迅速に焦点を合わせることが可能になる。
(8)上記第2撮像素子の撮像面サイズは、上記第1撮像素子の撮像面のサイズに比べて小さいことを特徴とする上記(7)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、高価な撮像用の撮像素子に比べて安価な撮像素子を用いるのでコストが安くなる。
(9)上記第2撮像素子の画素数は、上記第1撮像素子の画素数に比べて少ないことを特徴とする上記(1)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、高価な撮像用の撮像素子に比べて安価な撮像素子を用いるのでコストが安くなる。
(10)第1光学系により結像される第1像を受ける第1撮像素子と、上記第1光学系と所定の基線長隔てて配置された第2光学系により結像される第2像を受ける第2撮像素子と、所定の距離に配置された被写体が結像する上記第1撮像素子と記第2撮像素子のそれぞれの撮像面上の座標位置が予め記憶された不揮発性メモリと、上記第1像の中に所定範囲の基準像の領域を設定する基準像領域設定手段と、上記不揮発性メモリに記録された座標位置を基に、上記基準像と一致する像の存在する参照像検索領域を上記第2像の中に設定する参照像検索領域設定手段と、上記参照像検索領域の中から上記基準像と一致する参照像が存在する領域の上記第2光学系の光軸からの基線長方向の距離を演算する演算手段と、上記基準像の上記第1光学系の光軸からの基線長方向の距離、及び上記演算手段により求めた参照像が存在する領域の上記第2光学系の光軸からの基線長方向の距離に基づき被写体までの距離を検出する距離演算手段とを備えたことを特徴とする焦点検出装置。この態様によれば、基準像に対応する参照像の位置を容易に検出することができるので、たとえ第1光学系と第2光学系の倍率が異なっても任意の領域の被写体に対して精度良く測距を行うことが可能となる。
(11)上記第1光学系の光軸上無限大の位置の被写体が結像する上記第1撮像素子の撮像面上の位置を、上記不揮発性メモリに予め記録することを特徴とする上記(10)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、第1光学系又は第2光学系の撮影倍率が変化しても結像位置が変化しないので、上記第1撮像素子の撮像面上に結像する被写体が上記第2撮像素子の撮像面上のどの位置に結像しているかを容易に求めることができ、上記基準像と参照像の相関演算を容易に行うことが可能となる。
(12)上記第1光学系は撮影の対象となる像を結像する撮像用の光学系であり、上記第2光学系は上記第1光学系と対を構成して三角測距の原理に基づき被写体までの距離を検出するためのオートフォーカス用の光学系であることを特徴とする上記(10)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、撮影光学系を三角測距に兼用するのでパララックスが発生することがなく、任意の領域の被写体に正確に焦点を合わせることが可能となる。
(13)上記第1光学系は撮影倍率が可変自在であることを特徴とする上記(10)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、撮影光学系の倍率が変化しても基準像に対応する参照像の位置を容易に検出することができるので、任意の領域の被写体に対して精度良く測距を行うことが可能となる。
(14)上記参照像検索領域の中から基準像と一致する参照像を検出できないときは山登り方式に基づき上記撮影光学系のフォーカスレンズを合焦位置に駆動することを特徴とする上記(13)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、撮影光学系とAF光学系のそれぞれの倍率が違いすぎるなどして三角測距が不能となっても山登り方式で焦点検出を行うのでピントがずれた撮影を行うおそれがない。
(15)第1光学系により結像される第1像を受ける第1撮像素子と、上記第1光学系と所定の基線長隔てて配置された第2光学系により結像される第2像を受ける第2撮像素子と、上記所定の距離に配置された被写体が結像する上記第1撮像素子と記第2撮像素子のそれぞれの撮像面上の座標位置、及び上記第1像と上記第2像のそれぞれ同一の像の領域の信号レベル又はその比を予め記憶する不揮発性メモリと、上記第1像の中に所定範囲の基準像の領域を設定する基準像領域設定手段と、上記不揮発性メモリに記録された座標位置を基に上記基準像と一致する像の存在する参照像検索領域を上記第2像の中に設定する参照像検索領域設定手段と、上記基準像と上記参照像検索領域の像のそれぞれの画像信号レベルを、上記不揮発性メモリに記憶された情報を基に補正する補正手段と、上記補正後の画像信号に基づいて、上記参照像検索領域の中から上記基準像と一致する参照像が存在する領域の上記第2光学系の光軸からの基線長方向の距離を演算する相関演算手段と、上記基準像の上記第1光学系の光軸からの基線長方向の距離、及び上記相関演算手段により求めた参照像が存在する領域の上記第2光学系の光軸からの基線長方向の距離に基づき被写体までの距離を検出する距離演算手段とを備えたことを特徴とする焦点検出装置。この態様によれば、基準像に対応する参照像の画像信号のレベルを合わせることができるので参照像検索領域の中から上記基準像と一致する参照像が存在する領域の上記第2光学系の光軸からの基線長方向の距離を相関演算により精度良く求めることができる。
(16)上記第1光学系は撮影の対象となる像を結像する撮影光学系であり、上記第2光学系は上記第1光学系と対を構成して三角測距の原理に基づき被写体までの距離を検出するためのAF光学系であることを特徴とする上記(15)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、撮影光学系を三角測距に兼用するのでパララックスが発生することがなく、任意の領域の被写体に正確に焦点を合わせることが可能となる。
(17)上記第1光学系の光路中に絞り値を可変に設定可能な絞り設定手段を有し、焦点検出の前に上記絞りを予め決められた所定の絞り値に設定することを特徴とする上記(15)に記載の焦点検出装置。この態様によれば、絞り値毎の基準像と参照像の明るさの比を不揮発性メモリに記憶する必要がない。また、絞り値を所定の値に絞り込むことにより鮮明な基準像を得ることができ相関演算の精度を高めることができる。
(18)被写体の像を記録するための撮像と焦点検出に兼用する第1光学系及び第1撮像素子と、上記第1光学系及び上記第1撮像素子と対を構成して、上記第1光学系の光軸と所定の基線長だけ隔てて配置された第2光学系及び第2撮像素子と、上記第1撮像素子の出力信号と上記第2の撮像素子の出力信号を基に三角測距の原理に基づき被写体までの距離を検出して、この検出結果に基づいて上記第1光学系を合焦位置に駆動する第1の焦点検出手段と、上記第1の撮像素子の出力信号の高周波成分が最大になるように上記第1光学系を合焦位置に駆動する第2の焦点検出手段と、上記第2光学系を通過する被写体の明るさを所定値と比較する比較手段と、上記比較手段により上記第2光学系を通過する被写体の明るさが所定値より明るいと判断したときは上記第1の焦点検出手段により優先的に焦点検出を行い、上記比較手段により上記第2光学系を通過する被写体の明るさが所定値より暗いと判断したときは、上記第2の焦点検出手段により優先的に焦点検出を行う制御手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。この態様によれば、被写体の像を記録するための撮像用の撮像素子の出力信号と上記撮像素子と基線長だけ隔てて配置されたAF用の撮像素子の出力信号に基づいて、通常は三角測距の原理に基づいて迅速に被写体にピントを合わせることが可能であると共に上記AF用の撮像素子に導かれる被写体光が何らかの原因で遮られるなどした場合は、三角測距ができないことを検出して誤った焦点検出を未然に防止することができる。
(19)上記比較手段は、上記第2光学系を通過する被写体の明るさと上記第1光学系を通過する被写体の明るさとを比較するものであることを特徴する上記(18)に記載の撮像装置。この態様によれば、撮影レンズである第1光学系により結像する被写体像が記録の対象とするものであるので、この被写体像と異なる被写体像に基づく焦点検出を防止することができる。
(20)撮影に用いる第1の二次元撮像素子で撮像される第1画像と基線長方向がカメラの水平面と所定の角度をもって配置された第2の二次元撮像素子で撮像される第2画像に基づいて三角測距の原理に基づいて焦点を検出するカメラの焦点検出装置であって、上記第1画像の中に設定された参照像を基線長方向に所定ピッチずつずらしながら上記第2画像の中に設定された基準像と一致する上記参照像の位置を演算する相関量演算手段と、上記相関量演算手段の出力に基づき被写体までの距離を検出する距離演算手段とを備え、上記第1の二次元撮像素子の長辺方向を上記カメラの水平面と平行にし、上記第2の二次元撮像素子の長辺方向を上記基線長方向と一致させたことを特徴とするカメラの焦点検出装置。この態様によれば、被写体の任意の位置に簡単に高速に焦点を合わせることが可能である。
(21)上記第2の二次元撮像素子は、カメラの把持部よりも上面に配置されていることを特徴とする上記(20)に記載のカメラの焦点検出装置。この態様によれば、第2の二次元撮像素子に到達する被写体光束が遮られないので、確実に被写体の任意の位置に焦点を合わせることが可能である。
(22)上記基準像に対応する画像データのアドレスを上記基線長方向に回転変換する変換手段を更に有することを特徴とする上記(20)に記載のカメラの焦点検出装置。この態様によれば、被写体の任意の位置に簡単に高速に焦点を合わせることができる。
尚、第1の光学系とは撮影光学系等に相当し、第1の撮像素子とは撮像素子5等に相当し、第2の光学系とはAF光学系等に相当し、第2の撮像素子とは撮像素子104等に相当する。表示手段とはLCD10等に相当する。相関量演算手段、距離演算手段、相関演算手段とは、AF処理回路108及びそれを統括するCPU100等が機能的に備えるものである。絞り設定手段とは、CPU100,200,15等が機能的に備えるものである。そして、測距領域指示手段とは、測距領域選択回路113等に相当し、基準領域設定手段、参照領域設定手段、補正手段とは、CPU100又は200等が機能的に備えるものである。第1の焦点検出手段とはAF処理回路108及びそれを統括するCPU100等に相当し、第2の焦点検出手段とはAF処理回路14及びそれを統括するCPU15等に相当する。比較手段、制御手段とはCPU15及び/又はCPU100,200等に相当する。但し、これらの関係は一例であり、これらに限定されないことは勿論である。
1・・・撮像装置、2・・・ズームレンズ、3・・・フォーカスレンズ、4・・・絞り、5・・・撮像素子、6・・・撮像回路、7・・・A/D変換器、8・・・メモリ、9・・・D/A変換器、10・・・LCD、11・・・圧縮/伸長回路、12・・・記録用メモリ、13・・・AE処理回路、14・・・AF処理回路、15・・・CPU、16・・・TG回路、17・・・CCDドライバ、18〜20・・・第1乃至第3のモータドライバ、21〜23・・・モータ、24・・・操作スイッチ、25・・・EEPROM、26・・・電池、100・・・CPU、101・・・ズームレンズ、102・・・フォーカスレンズ、103・・・絞り、104・・・撮像素子、105・・・撮像回路、106・・・A/D変換器、107・・・メモリ、108・・・AF処理回路、109・・・TG回路、110・・・CCDドライバ、111・・・モータドライバ、112・・・モータ、113・・・測距領域選択回路、200・・・CPU。