JP2005134581A - 三次元立体像表示装置および三次元立体像表示方法 - Google Patents

三次元立体像表示装置および三次元立体像表示方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 奥行き(三次元的広がり)がある三次元像をフルカラーで表示できる三次元立体像表示装置を得る。
【解決手段】 立体像表示部2Aは、所定の三原色と、所定の三原色を重ね合わせることによって表示可能な色とは異なる色とを少なくとも表示可能とし、これら四色を表示しない場合には透明である(所定の波長領域を有する光(可視光)が透過する)。また、立体像表示部2Aには、色表示制御部3Aによって発光、光の吸収、光の散乱を起こし、観察者に色を感知させる材料(以下、呈色材という)、または、機械的または光学的シャッターなどが含まれており、本発明の三次元立体像表示装置1Aは、このような呈色材を発光、光の吸収または光の散乱の少なくともいずれかを用いることによって所望の色を表示する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、立体像を表示可能な三次元立体像表示装置および三次元立体像表示方法に関する。
近年、より実世界に近い表示ができる表示装置への要望から、立体像の三次元的表示を行う表示装置およびその表示方法の開発が急速に進められている。例えば、パララックス・バリアー法によって観察者の右眼と左眼に別々の画像を見せ、人間の視角特性である視差を利用することにより、携帯電話などの平面ディスプレイに表示された像を擬似的に三次元像(立体像)として想起させる表示方法を用いた二次元画像表示装置が実用化されている。
しかし、この二次元画像表示装置のディスプレイが平面であるため、表示された像は、立体感を観察者に与えるが、あくまで擬似的な立体感に過ぎない。したがって、観察者は、表示された像を実世界の立体像と同様に捕らえることができないし、実世界の立体像のようにすべての角度から観察することはできない。
このようなディスプレイが平面であるために生じる上記問題を解決するべく、近年、ディスプレイ自体を立体化した三次元立体像表示装置の開発が進められている。
この三次元立体像表示装置とは、現実の三次元物体の各構成部分と1対1に対応した立体像を三次元空間上に表示し、この構成部分の立体像の集合体として真に三次元的な広がりを有した三次元立体像を表示する表示装置である。一方、上記二次元画像表示装置は人間が持つ視差を利用することによって二次元画像を擬似的な三次元像として表示するのに対し、三次元立体像表示装置は人間が持つ視差を利用するのではなく、実際に三次元空間上に真の三次元像(すなわち三次元的広がりを有する像)を表示する点で、上記二次元画像表示装置と三次元立体像表示装置とは根本的に異なっている。この三次元立体像表示装置が用いる表示方法には、平面走査方式と体積表示方式の2種類の方式がある。
平面走査方式とは、画像表示面を高速走査させながら表示画像を変えていくことにより、立体像を表示する方式である。半円形状の面上に二次元画像を表示し、これを回転させながら、表示画像を変えることにより、立体画像を表示する三次元立体像表示装置が開発されている(例えば、Actuality Systems(社名)のPerspecta(登録商標)および非特許文献1に開示されている三次元立体像表示装置)。
しかし、この表示方法では、画像表示面を走査していることが感知されるため、観察者に違和感を与えるとともに、画像表示面の高速走査が機械的に表示装置に大きな負担を与えるため、表示装置が壊れやすいものであった。
次に、体積表示方式とは、光を三次元空間にて走査することにより三次元像を作る方式である。例えば、この体積表示方法を用いる三次元立体像表示装置が特許文献1に開示されている。この三次元立体像表示装置では、以下のように立体像が作られる。まず、少なくとも2本のレーザ光ビームの光路を制御する手段によってこれらレーザ光ビームを三次元空間上の所望の領域に同一時間に交差させる。これにより所望の領域に存在する発光材料をアップコンバージョン法により励起し、それを発光させる。次いで、これらレーザ光ビームの光路を制御し、レーザ光ビームの交差部分を次の所望の位置に更新させる。このようにレーザ光ビームの交差部分を所望の位置に次々と更新していくことにより、それぞれの所望の位置に生じた発光点は立体的な軌道を描く。この発光点からの光はカラーフィルタを通り、これによりフルカラーの三次元立体像が作られる。
しかし、この表示方法では、観察者の視点がカラーフィルタに対する所定の視野角からずれると、観察される立体像が変わるという問題があった。
この問題を解決するために、カラーフィルタを用いない別の従来技術が、例えば、非特許文献2、特許文献2および特許文献3それぞれに開示されている。これらの三次元立体像表示装置では、少なくとも2本のレーザ光ビームを同一時間に交差させる三次元空間の所望の領域に呈色材を配置し、これらレーザ光ビームの交差部分を、所望の位置に配置された呈色材に照射することにより、所望の位置に配置された呈色材を呈色させ、これによりフルカラーの三次元立体像を作る。すなわち、このような三次元立体像表示装置は、少なくとも表示する像の各部の色を三次元立体像表示装置の三次元空間に再現(表示)することによってフルカラーの立体像を形成する。
この場合の色の表示方法としては、加法混色法および減法混色法が用いられている。
加法混色法とは、三原色の光を重ね合わせて色を作る方法である。通常は光の3原色と呼ばれる赤、緑、青の三原色が用いられ、これらを重ね合わせると明度が上がり、等しい光量で重ね合わせると白色になる。現在、テレビジョンやパーソナルコンピュータのモニターでの色の表示はこの方法を用いている。即ち、発光しない状態で黒を表示し、赤、緑、青の各色の光をそれぞれ発光する発光手段により、それぞれ適切な光量で発光させ、これらを重ね合わせることにより多種の色を表示している。
減法混色法とは、光を吸収して色をなす色料を3種類重ね合わせて色を作る方法である。通常は色の3原色と呼ばれるシアン、マゼンタ、イエローの三原色が用いられ、これらを重ね合わせると明度が下がり、等しい量で重ね合わせると黒色になる。シアン、マゼンタ、イエローと赤、緑、青はそれぞれ補色の関係にあるため、シアンの色料は赤を吸収し、シアンの色料の量を変えることにより赤の吸収量を変えることができる。これと同様に、マゼンダの色料により緑、イエローの色料により青の吸収量を変えることができる。現在、写真や印刷での色の表示はこの方法を用いている。即ち、着色していない状態で白色を表示し、シアン、マゼンタ、イエローの色料により、それぞれ適切な量で着色し、これらを重ね合わせることにより多種の色を表示している。ただし、シアン、マゼンタ、イエローにより作成される黒色は完全な黒にならないため、実際の写真・印刷の色の表示では、シアン、マゼンタ、イエローに加えて黒の色料を別に用いている。
特開平9−265055 特開2000−105350 特開2000−338900 G. Favalora, R.K. Dorval, D.M. Hall, M. Giovinco, J. Napoli "Volumetric three−dimensional display system with rasterization hardware" Proceedings of SPIE Vol.4297A Photonic West (San Jose, CA), 2001 Science Vol.273 pp。1185〜1189
本発明者らは、上記発光および光の吸収による色の表示方法それぞれを、体積表示方式による3次元立体像表示装置に適応することを考えた。
上記従来の3次元立体像表示装置では、3次元立体像として奥行きが存在するため、透明な領域が存在し、透明な状態も表示しなければならない。ところが、上記発光および光の吸収による色の表示方法をそのまま3次元立体像表示装置に適応しても、透明な状態を表示する手段がない。
そこで、加法混色による色の表示の場合は発光させない状態を透明な状態として設定し、また、減法混色による色の表示の場合は着色させない状態を透明な状態として設定することを考える。しかし、それでもなお問題がある。即ち、加法混色による色の表示の場合、三つの色で発光している光の強度をどのように調節し、重ね合わせても「黒」を表示することができない。他方、減法混色の場合、三つの色で着色している着色の量をどのように調節し、重ね合わせても「白」を表示することができない。
したがって、3次元立体像表示装置では、2次元画像表示装置の色表示手段に加えて、透明な状態を表示する手段、または、加法混色による色の表示の場合は黒、減法混色による色の表示の場合は白を表示する手段が必要となるが、非特許文献2では、3色による表示方法しか記載されておらず、上記した白および黒の無彩色を表示することについて言及されていない。また、特許文献2および3でも、具体的な色の重ねあわせについて記載されておらず、上記した白および黒の無彩色を表示することについて言及されていない。
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、ディスプレイ自体を立体とした3次元立体像表示部に三次元立体像を表示する表示色に、少なくとも白および黒の無彩色を含むことにより、三次元的広がりを持つ立体像をより明瞭に立体表示できる三次元立体像表示装置および三次元立体像表示方法を提供することを目的とする。
本発明の三次元立体像表示装置は、三次元的広がりを有する立体像表示部と、該立体像表示部内の複数の所望の領域(所定の領域)それぞれに所望の色を表示することによって立体像を表示するように該色の表示を制御する色表示制御部とを備えた三次元立体像表示装置において、該立体像表示部は、該立体像表示部が色を表示する場合には、所定の三原色と、該所定の三原色を重ね合わせることによって得られる混合色と、当該混合色とは異なる無彩色とをそれぞれ発生可能な材料を有しているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における立体像表示部の材料は、前記所定の三原色および混合色を表示可能とする発光材料と、可視域のほぼ全ての波長を吸収して前記無彩色を表示可能とする吸収材料とを有する。
あるいは、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における立体像表示部の材料は、前記所定の三原色および混合色を表示可能とする吸収材料と、可視域の全ての波長光を発光して前記無彩色を表示可能とする発光材料および、該可視域の全ての波長光を散乱して前記無彩色を表示可能とする散乱材料のいずれかとを有する。
さらに、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における立体像表示部に含まれる材料は、多光子励起によって色を表示可能とする材料である。
さらに、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における色表示制御部は、前記三次元立体像表示部が色を表示しない場合を透明状態として表示制御する。
さらに、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における色表示制御部は、前記立体像表示部内に色表示された立体像の内側を黒色に表示するように、該立体像表示部の色表示を制御する。
さらに、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における色表示制御部は、光源と、該光源から放射される光の光路を制御する光路制御手段と、該光源から放射される光の強度を変調する強度変調手段とを有する。
さらに、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における光路制御手段は、前記光源から放射される少なくとも2本の光の光路を前記立体像表示部の所望の領域にて交差させることにより、該2本の光の光路を交差させた所望の領域で所望の色を発生させるように該光源からの光路を制御する。
さらに、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における光路制御手段は、前記光源から遠い所望の領域から近い所望の領域の順に前記光路を交差させるように制御することにより、前記立体像表示部内の所望の領域に色表示し、これらの色表示した所望の領域の集合体として立体像を形成する。また、この光路制御手段は、前記光源から遠い所望の領域から近い所望の領域の順に前記光路を交差させるように走査制御することにより、前記立体像表示部内の所望の領域で順次に色表示し、これらの色表示した所望の領域の集合体として立体像を形成するようにしてもよい。
また、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における立体像表示部の材料は、熱励起によって色を表示可能とする呈色材を有し、前記色表示制御部は、熱源と、該熱源から放射される熱線の方向を制御する熱線制御手段と、該熱源に対して該熱線の強度を変調する熱線強度変調手段とを有する。
また、好ましくは、本発明の三次元立体像表示装置における立体像表示部は、電気的な励起によって色を表示可能とする呈色材を有し、前記色表示制御部は、透明電極と、該透明電極の電圧を制御する電圧制御手段とを有する。
本発明の三次元立体像表示方法は、立体像表示部内の所望の領域それぞれに所定の三原色および無彩色のいずれかを表示することにより、該立体像表示部内に立体像を表示する三次元立体像表示方法であって、該第1の光および該第2の光の強度を、該所定の三原色および無彩色のいずれかに対応する所定の強度に変調して放射する放射工程と、該所望の領域それぞれに該第1の光および該第2の光が交差するように該第1の光および該第2の光の光路を走査制御することにより該立体像を表示する光路走査制御工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
上記構成により、以下、その作用を説明する。
三次元的広がりを持つ立体像を立体表示するために必要な透明な状態は、加法混色による色の表示の場合は発光しない状態、また減法混色による色の表示の場合は着色をさせない状態を透明な状態として設定することによって表示可能となる。
しかし、加法混色法および減法混色法のいずれかを単に用いただけの三次元立体像表示装置では、加法混色による色の表示の場合は発光しない状態、また減法混色による色の表示の場合は着色をさせない状態を透明な状態として設定する方法によって透明な状態を表示しても、「黒」または「白」のいずれかの無彩色を表示できない。加法混色法では、三原色で発光している光の強度をどのように調節し、重ね合わせても黒色を表示することができなくなり、また、減法混色法では、三原色で着色している着色の量をどのように調節し、これらを重ね合わせても白色を表示することができなくなるからである。この結果、三次元立体像表示装置では、三次元的広がりを持つ立体像をより明瞭に表示することはできない。
したがって、本発明の三次元立体像表示装置が、三次元的広がりを持つ立体像を表示するためには、色表示手段が加法混色法を用いる場合には黒色を表示する表示手段が必要となり、色表示手段が減法混色法を用いる場合には白色を表示する手段が必要となる。
そこで、本発明においては、立体像表示部は、立体像表示部が色を表示する場合に、所定の三原色と、この所定の三原色を重ね合わせることによって得られる混合色と、当該混合色とは異なる無彩色とをそれぞれ発生可能な材料を有している。これによって、ディスプレイ自体を立体とした立体像表示部に立体像を表示する表示色に、三原色およびこれらの混合色の他に白または黒の無彩色を含むことにより、三次元的広がりを持つ立体像をより明瞭に立体表示可能となる。
本発明によれば、三原色およびこれらの混合色の他に白または黒の無彩色を含む色を表示することにより、三次元的広がりを持つ立体像をより明瞭に立体表示できる。しかも、これに加えて、色表示させない状態を透明な状態として表示することにより、三次元的広がりを持つ立体像を更に明瞭に立体表示できる。
三原色を表示する発光材料を用いて、加法混色により黒色以外のすべての色(白色を含む)を表示でき、さらに、可視域のほぼすべての波長を吸収する吸収材料を含むため、黒色も表示でき、全ての色を表示できる三次元立体像表示装置を得ることができる。
また、三原色を表示する光を吸収する材料を用いて、減法混色により白色以外の全ての色を表示でき、さらに、可視域のすべての波長光を散乱または発光する材料を有するため、白色も表示できて、全ての色を表示できる三次元立体像表示装置を得ることができる。
発光材料の発光により像を作る三次元立体像表示装置において、表示すべき像の内側を黒色に表示することにより、透けた像にならずかつコントラストを上げることができる。
上記発光または光の吸収あるいは光の散乱は、光源から放射された光線に含まれる二つの光子に励起されることにより起きるため、二つの光子で励起する領域、即ち、呈色領域を選択できる。
上記二つの光子による励起を2本の光線で励起すれば、その2本の光線の交差する領域を選択することで励起する領域、即ち、呈色領域を容易に選択できる。
上記2本の光線が交差する領域を、光源から遠い領域から近い領域の方向に順に走査することにより、表示された像により光線が遮られることを防ぐことができる。
色表示操作を光線だけでなく、熱も用いることにより、光源の数を減らすことができ、光路制御が単純化される。
色表示操作を光線だけでなく、電気エネルギーをも用いることにより、光源の数を減らすことができ、光路制御が簡単化される。
以下、本発明の三次元立体像表示装置の実施形態1,2について図面を参照しながら具体的に説明するが、その前に、本発明の三次元立体像表示装置の基本構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の三次元立体像表示装置の基本構成を示すブロック図である。
図1において、本発明の三次元立体像表示装置1は、その全体の基本構成として、三次元的(立体的)広がりを有する立体像表示部2と、立体像表示部内に立体像を表示するように立体像表示部内の色表示を制御する色表示制御部3とを有している。
立体像表示部2は、所定の三原色と、所定の三原色を重ね合わせることによって表示可能な色とは異なる色とを少なくとも表示し、これら少なくとも四色を表示しない場合には、透明表示が為される。この透明表示は、所定の波長領域を有する光(例えば可視光)が立体像表示部2を透過するものである。立体像表示部2には、色表示制御部3によって発光、光の吸収、光の散乱を起こし、観察者に色を感知させる、即ち色を表示する材料(以下、呈色材という)、または、機械的または光学的シャッターなどが含まれている。本発明の三次元立体像表示装置1では、立体像表示部2が色を表示する場合、この呈色材は、色表示制御部3により、例えば、発光、光の吸収または光の散乱の少なくともいずれかをさせることによって所望の色を表示する。一方で、この呈色材は、立体像表示部2が色を表示しない場合には、透明を表示する。即ち、可視域のほぼ全ての波長光を透過する状態ということができる。なお、「呈色」とは、「発光、発色および着色」のことをいう。
色表示制御部3は、立体像表示部2の色表示を光、電気、熱などにより制御する手段である。立体像表示部2に含まれる材料が光の照射により呈色する呈色材であれば、色表示制御部3は、光源31と、この光源31から放射される光の光路を制御する光路制御手段32と、光の強度を変調する光強度変調手段33とを有している。このような呈色材には、光路制御手段32からの光線の照射により、材料中の電子を高エネルギー準位に励起し、高エネルギー準位に励起された電子が緩和過程で可視域の光を放射することで発光する呈色材と、電子が高エネルギー準位に励起されることにより、分子の構造が変化し、この結果エネルギー準位の間隔が変化することによって吸収波長が変化する呈色材および散乱状態が変化する呈色材とがある。いずれの呈色材も、光の強度を変えることによって発光強度、吸光度および散乱度を制御されている。
立体像表示部2に含まれる材料が熱の付与により呈色する呈色材であれば、色表示制御部3は、熱源と、熱源から放射される熱線を制御する熱制御手段(回路系)とを少なくとも有している。呈色材には、材料内部の電子が熱の付与によって熱励起が生じ、これにより吸収波長が変化する呈色材と、熱の付与により例えば結晶相からアモルファス相へと構造相転移を起こし、光の散乱状態が変わる呈色材がある。この呈色材は、付与する熱量を変えることにより、吸光度、散乱強度を制御される。また、この呈色材に与える熱は光を集光させることによる熱の付与でもよく、この場合は光の照射による呈色材の場合と同じ色表示制御部3になる。
立体像表示部2に含まれる材料が電圧により呈色する呈色材であれば、色表示制御部3は透明電極と、透明電極の電圧を制御する電圧制御手段(回路系)とを少なくとも有している。この呈色材には、電気的励起、例えば、電気化学的な酸化還元反応により、吸収波長を変化させる呈色材がある。この呈色材は、電圧制御手段32を用いて電圧の大きさを変えることによって吸光度を制御する。
立体像表示部2に機械的シャッターまたは液晶などの光学的シャッターが含まれる場合には、色表示制御部2は、これらシャッターのオン・オフ(開閉)を制御する開閉制御手段(図示せず)を有している。この開閉制御手段は、例えば、上記呈色材からの光の遮断を制御することにより、立体像表示部2の領域の呈色を制御する。
以下、立体像表示部2に光の照射によって呈色する呈色材を用いる三次元立体像表示装置1において、三次元的広がりを有する立体像をフルカラーで表示する表示方法について説明する。
立体像表示部2内の所望の領域での所望の色の表示は、光源31および光路制御手段32によって少なくとも四色の呈色を所望の領域で観察者が同時と思われる時間内に起こすこと、かつ、光強度変調手段33によってこれら四色の強度を適切に調整制御することによって実行される。
立体像表示部2内の所望の領域における上記四色の呈色は、以下の通りである。
色表示制御部3は、光源31により、所定の2本の光線(波長λ1とλ2とする)を放射し、光路制御手段32により、放射された光線の光路を立体像表示部2の所望の領域にて交差させる。呈色材は、照射された波長λ1の光線および波長λ2の光線のそれぞれの光子によって呈色材にて生じた電子励起または光化学反応により、波長λ1の光線および波長λ2の光線に対応する所定の色(Aとする)を呈色する。
色表示制御部3は、光源31により、所定の2本の光線(波長λ3とλ4とする)を放射し、光路制御手段32により、放射された光線の光路を立体像表示部2の所望の領域に交差させる。呈色材は、照射された波長λ3の光線および波長λ4の光線のそれぞれの光子によって呈色材にて生じた電子励起または光化学反応により、波長λ3の光線および波長λ4の光線に対応する所定の色(Bとする)を呈色する。
色表示制御部3は、光源31により、所定の2本の光線(波長λ5とλ6とする)を放射し、光路制御手段32により、放射された光線の光路を立体像表示部2の所望の領域に交差させる。呈色材は、照射された波長λ5の光線および波長λ6の光線のそれぞれの光子によって呈色材にて生じた電子励起または光化学反応により、波長λ5の光線および波長λ6の光線に対応する所定の色(Cとする)を呈色する。
色表示制御部2は、光源31により、所定の2本の光線(波長λ7とλ8とする)を放射し、光路制御手段32により、放射された光線の光路を立体像表示部2の所望の領域に交差させる。呈色材は、照射された波長λ7の光線および波長λ8の光線のそれぞれの光子によって呈色材にて生じた電子励起または光化学反応により、波長λ7の光線および波長λ8の光線に対応する所定の色(Dとする)を呈色する。
このように呈色される上記四色A、B、C、Dの各強度はそれぞれ、光強度変調手段33により、光源31から放射される光線の強度を変調することによって適切に調整制御される。
このように、本発明の三次元立体像表示装置1は、少なくとも2本の光線の交差部分を、立体表示部2の三次元空間内において呈色材が配置された複数の領域に次々と更新形成させ、かつ強度変調することにより、複数の領域に所望の色を呈色させ、呈色された複数の領域の集合体として三次元立体像を形成する。この場合、呈色されていない立体表示部2の三次元空間の領域は透明な(即ち可視光を透過する)領域であり、この透明な領域によって立体像の三次元的広がりが示されている。
このように呈色される上記四色A、B、C、Dの強度はそれぞれ、光強度変調手段33により、光源31から放射される光線の強度を変調することによって適切に調整制御される。例えば、光強度変調手段33は、光強度の制御信号としての強度変調信号を光源31(例えばレーザ)に送ることによって光源31から放射される光の強度を調整制御する。これら上記四色A、B、C、Dの強度を調整する強度変調信号それぞれは、光源31(例えばレーザ)に割り振られ、複数の部分が走査される順に時系列的に並べられて構成されている。
表示する立体像が静止表示である場合、本発明の三次元立体像表示装置1は、これらの走査を複数の領域に呈色された色が表示されている寿命に対応した時間間隔で、これらの走査を行うことによって表示する。
表示する立体像が動画表示である場合は、本発明である三次元立体像表示装置1は、静止像を表示させるための強度変調信号群を時間的変化にともなって複数個並べ、これらの走査を観察者が不連続に感じないように十分高速に行えばよい。ただし、色が表示されている寿命がリフレッシュレートの逆数である時間間隔より長い場合は、新しく表示させる像の強度変調信号の前に消去信号が必要である。
なお、以上では、立体像表示部2に含まれる材料が全て光の照射によって呈色する呈色材であり、立体像表示部2内の空間全域に渡って光線を走査する場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限るものではなく、上述した他の呈色材を含む立体像表示部2および色表示制御部3を組み合わせることができる。また、光線を立体像表示部2内に備える画像表示面上に走査し、立体像表示部2内で画像表示面を走査または回転させながら表示画像を変えることにより、三次元立体像を形成する方式を用いてもよい。
以下、立体像表示部2が、所定の三原色および混合色を表示可能とする発光材料と、可視域のほぼ全ての波長を吸収して無彩色を表示可能とする吸収材料とを有する実施形態1と、立体像表示部2が、所定の三原色および混合色を表示可能とする吸収材料と、可視域の全ての波長光を発光して無彩色を表示可能とする発光材料および、可視域の全ての波長光を散乱して無彩色を表示可能とする散乱する散乱材料のいずれかとを有する実施形態2とについて説明する。
(実施形態1)
図2は、図1の本発明の基本構成において、光の照射によって呈色する呈色材が三原色を表示する発光材料および無彩色を表示する吸収材料を有する三次元立体像表示装置の実施形態1を示す斜視図である。発光材料とは、発光することによって呈色する呈色材をいい、吸収材料とは、光の吸収波長が変化する(所定の波長を有する光を吸収する)ことによって呈色する呈色材をいう。
図2において、本実施形態1の三次元立体像表示装置1Aは、三原色を表示する発光材料および無彩色を表示する吸収材料を含む立体像表示部2Aと、この立体像表示部2Aの色表示を制御する色表示制御部3Aとを有している。
立体像表示部2Aは、発光および光を吸収していない状態では透明を表示する。即ち、透明表示とは、所定の波長の光(例えば可視光)が透過することをいう。
色表示制御部3Aは、光源31Aおよび31A’と、光源31Aおよび31A’から放射される光線を制御する光路制御手段32Aおよび32A’と、光線の強度を制御する光強度制御手段(図示していないが、光強度変調手段33に対応)とを有している。
ここで、光源31Aおよび31A’について詳細に説明する。
光源31Aおよび31A’は、各呈色材を呈色させるための光線を放射する。これらの光線としてはレーザ光が望ましいが、レーザとしては固体レーザ、ガスレーザまたは半導体レーザの種類は問わない。
光源31Aおよび31A’が半導体レーザのように小型なレーザであれば、三次元立体像表示装置1Aも小型とすることができる。光源31Aおよび31A’がNd:YAGレーザなどの高調波を発生しやすいレーザであれば、1台のレーザ(レーザ装置)で基本波1064nmと第2高調波532nmと第4高調波266nmなどの複数の波長の光を放射できるため、レーザ装置を多く備えずに済む。
また、各波長λ1〜λ8の組み合わせを、
λ1=λ2=(λ3またはλ4)=(λ5またはλ6)=(λ7またはλ8)
とすれば、レーザ装置の数を少なくすることができる。あるいは、
λ1=λ2かつ、λ3=λ4かつ、λ5=λ6かつ、λ7=λ8
という組み合わせなどでもよい。これら波長の組み合わせは、四色を呈色する呈色材の反応エネルギーに合わせて選択する。
本実施形態1では、光源31Aおよび31A’から放射される上記光の波長の組み合わせが
λ1=λ2=λ3=λ5=λ7
の組み合わせである場合の表示方法について、以下に説明する。
図2のx軸上にλ2、λ4、λ6およびλ8の各波長をそれぞれ有する光線7、8、9および10をそれぞれ放射する光源31Aであるレーザが間隔dでN個並んでいる。また、図2のy軸上にλ1の波長の光線6を放射する光源2’が間隔dでM個並んでいる。光源31Aは、一つの波長の光線を放射するレーザ装置であってもよいし、複数の波長の光線を放射するレーザでもよいが、光線6と光線7、8、9、10が同時に交差できる配置としている。
本実施形態1では光源31Aおよび31A’から放射される光線はすべて平行光とするが、集光光学部品を備え、立体像表示部2Aの所望の領域に対して集光する光としてもよい。
次に、光路制御手段32Aおよび32A’について詳細に説明する。
光路制御手段32Aおよび32A’はそれぞれ、微小ミラー5が間隔dでニ次元的にxy面およびyz面上に並べられた集合体である。即ち、光路制御手段32Aは、図2に示された微小ミラー列をy軸方向に並べた集合体であり、光路制御手段32A’は、図2に示された微小ミラー列をx軸方向に並べた集合体である。光路制御手段32Aおよび32A’は、微小ミラー5によって光源31Aおよび31A’からの光線の光路を制御する。光路制御手段32Aおよび32A’は、例えばDMD(Digital Micromirror Device;デジタルマイクロミラーデバイス)、ガルバノミラー、ポリゴンミラーなどを用いることができる。
上記構成により、本実施形態1の三次元立体像表示装置1Aによる立体像表示のための光路制御方法について説明する。
まず、y軸上の1番目からM番目までの光源31A’から放射されている光線6は、yz面のL列目の微小ミラー列により反射されて光路を90°変え、立体像表示部2Aに導かれる。一方、x軸上の1番目からN番目までの光源31Aから放射されている4本の波長の光線7、8、9、10はそれぞれ、xy面のM列目の微小ミラー列により反射されることによって光路を90°変え、立体像表示部2Aに導かれる。その後、M−1列目の微小ミラー列により反射されて光路を90°変え、立体像表示部2Aに導かれる。これを1列目の微小ミラー列まで順々に行うことにより、これらの光線が交差した領域でのみ呈色が起き、表示する立体像のうち、z=L×dの面上の表示が完了する。この間、他の微小ミラーはすべて光線を反射しない状態になっている。なお、図2では、光路制御方法をわかりやすくするため、x軸およびy軸上のある光源31Aおよび31A’から放射される1組の光線6および7、8、9、10と、これら光線に関わる微小ミラー列しか図示していない。
次に、y軸上の1番目からM番目までの光源31A’から放射されている光線6は、yz面のL−1列目の微小ミラー列により反射されて光路を90°変え、立体像表示部2Aに導かれる。一方、x軸上の1番目からN番目までの光源31Aから放射されている4本の波長の光線7、8、9、10はそれぞれ、xy面のM列目の微小ミラー列により反射されて光路を90°変え、立体像表示部2Aに導かれる。その後、M−1列目の微小ミラー列により反射されて光路を90°変え、立体像表示部2Aに導かれる。これを1列目の微小ミラー列まで順々に行っていくことにより、これらの光線が交差した領域でのみ呈色が起き、表示する立体像のz=(L−1)×dの面上の表示が完了する。この間、他の微小ミラー5はすべて光線を反射しない状態になっている。
このような光線制御をz=L×d、(L−1)×d、(L−2)×d・・・1×dの面に対して順々に行い、かつ十分高速に行うことにより、立体像が表示できる。また、表示された像により光線がさえぎられることがないよう、これらの光路制御は、上述のように光源31A,31A’より遠い位置にある微小ミラー列で反射させてから、順々に近い位置にある微小ミラー列で反射させるのが望ましい。
また、表示する立体像のコントラストを上げるために、表示された立体像の内側の領域を黒に呈色させることが望ましい。これにより、立体像をある方向から観察したとき、手前で呈色している領域が透けることによってこの呈色している領域の奥に位置する領域の呈色が観察されることを防ぐことができ、かつ立体像のコントラストを上げることができる。
それぞれの光線の光強度変調は、レーザ直後に強度変調手段33を備えて行ってもよいし、レーザの励起源に強度変調手段33を備えて行ってもよい。本実施形態1の場合、光線7、8、9、10の光強度を変調すればよく、光線6は変調しなくてもよい。
このように呈色される三原色および黒色の光強度は、光強度変調手段33により、光源31Aおよび32A’から放射される光線の強度を変調することによって適切に調整される。例えば光強度変調手段33は、強度変調信号を光源(例えばレーザ)に送ることによって光源2から放射される光の強度を調整制御する。立体像が微視的に分割された複数の部分の色を3原色と黒色の重ね合わせで表すときの各色の強度を調整する強度変調信号それぞれは、光源31A,31A’(例えばレーザ)に割り振られ、これらの複数の部分が走査される順に時系列的に並べて構成される。
表示する立体像が静止表示である場合、本発明の三次元立体像表示装置1Aは、これらの走査を複数の領域に呈色した色が表示されている寿命に対応した間隔で、これらの走査を行うことによって表示される。
表示する立体像が動画表示である場合は、本実施形態1の三次元立体像表示装置1Aは、静止像を表示させるための強度変調信号群を時間的変化にともなって複数個並べ、これらの走査を観察者が不連続に感じないよう十分高速に行えばよい。ただし、呈色材に色が表示されている寿命がリフレッシュレートの逆数である時間間隔より長い場合は、新しく表示させる像の強度変調信号の前に消去信号が必要である。
次に、図2の三次元立体像表示装置1Aとは別の構成例について、以下に、説明する。
図3は、図2に示された光路制御手段32A,32A’とは異なる光路制御手段を有する本発明の三次元立体像表示装置の斜視図である。
図3に示す三次元立体像表示装置1Bでは、二つの光路制御手段32B,32B’がxy平面およびyz平面に対してそれぞれ斜めに配置されているのに対し、図2に示す三次元立体像表示装置1Aでは、二つの光路制御手段32Aおよび32A’がxy平面およびyz平面に対してそれぞれ平行に配置されているという点のみで異なっている。なお、図3に示された三次元立体像表示装置1Bの各部材が図2の三次元立体像表示装置1Aの各部材と、作用効果の点で同一である場合、この同一の部材には同一の参照符号によって表示することにする。
本実施形態1の三次元立体像表示装置1Bでは、光路制御手段32B(32B’)がxy(yz)平面に対して斜めである場合には、光源31B,31B’からの光線の照射範囲を、全微小ミラーを照射できる範囲にまで広げることが可能であれば、x(y)軸上の光源31B(31B’)から放射される光線を微小ミラーに順次反射させることなく、1度に全ての微小ミラーに光線を反射させることによってz=L×d、(L−1)×d、(L−2)×d・・・1×dの面を表示させることができる。このような構成では、表示する立体像を大きくするために立体像表示部2Bを三次元的に大きくした場合にも光源の大きさを大きくする必要はなく、これにより三次元立体像装置1Bの小型化が可能になる。
光路制御手段32Bおよび32B’としてガルバノミラーやポリゴンミラーを用いる場合は、xy面、yz面でマトリックス状に設置し、上記の使用方法をしてもよいし、1列ずつ設置し、光線の反射角を変えて走査させてもよい。
ここで、立体像表示部2Aおよび2Bについて、以下に更に詳細に説明する。
立体像表示部2A,2Bは、図2および図3に示されているように本実施形態1では、直方体とするが、半球など他の形状であってもよい。この立体像表示部2A,2Bは、少なくとも4種の呈色材を有している。
立体像表示部2A,2Bは、呈色材そのものをマトリックス状にするか、マトリックス状の媒体に1種づつの呈色剤をドープすることによって表示単位を設け、これら表示単位の集合体としてもよいし、呈色材を媒体に均一にドープしたものをそのまま用いてもよい。媒体は、フォトポリマーやガラスなどを用いれば簡単に作成できるが、その他の材料であってもよい。
各呈色材は、光線を照射しない状態では透明であり、光源31Aおよび31A’または31Bおよび31B’から放射される所定の2本の光線が、それぞれ光路制御手段32A,32A’または32B,32B’によって同一時間に交差し、照射されることで、それぞれ赤、緑、青、黒の4色を呈色する。なお、本実施形態1では、光線の照射により発光する材料を呈色材とする場合について説明するが、本発明の範囲はこれに限られず、光線の照射により吸収波長が変化する呈色材、他の熱、電気の付与による呈色材を併用してもよいことは言うまでもない。
光線の交差部分が照射された立体像表示部2A,2B内の所望の領域が呈色するメカニズムとしては、多光子吸収や和周波・差周波発生や多段階励起によって呈色材に生じる発光である。これら多光子吸収や和周波・差周波発生や多段階励起はいずれも複数の光子により励起されるため、本発明ではこれらをまとめて多光子励起と呼ぶことにする。
以下に、この多光子励起による呈色材の発光原理について詳細に説明する。
多光子吸収による発光とは、呈色材中の電子が、照射される光線の光子を複数吸収することにより、高エネルギー準位に励起され、ついで、この電子がエネルギー緩和するエネルギー緩和過程で可視域の光を放射して発光するという原理である。このような過程は、光強度が非常に強い部分でのみ起こるため、照射される光線の光強度が所定の閾値以上となる領域の呈色材のみが発光する。この光強度が閾値以上となる領域は、光線を適度に集光することによって、または2本の光線を交差させることによって選択できる。したがって、光線の集光領域、または2本の光線を交差させる領域を移動させることにより、次々と呈色反応を起こさせることができる。
和周波・差周波発生による発光とは、複数の異なる波長のレーザ光のそれぞれ単独では励起されないが、混合により発生する和周波または差周波レーザ光によって励起され、緩和過程で可視域の光を放射して発光するという原理である。このような過程は、2本の光線を交差させることによって起こる。したがって、2本の光線を交差させる領域を移動させることにより、次々と呈色反応を起こすことができる。
多段階励起による発光とは、呈色材中の電子が、照射される光線の光子を吸収することにより、中間的なエネルギー準位に励起され、このエネルギー準位に存在するうちにもう一つの光子を吸収することにより、高エネルギー準位に励起されるという過程が多段階的に起こり、ついで、この電子がエネルギー緩和するエネルギー緩和過程で可視域の光を放射して発光するという原理である。このような過程は、2本の光線を交差させることによって起こる。したがって、2本の光線を交差させる領域を移動させることにより、次々と呈色反応を起こすことができる。
以下に、赤、緑、青、黒の呈色を示す4種の呈色材によって所望の色を表示する表示方法を説明する。
本実施形態1においては、呈色材として発光材料を用いるため、色の表示には加法混色を用いる。即ち、発光材料を呈色材として用いることにより、赤、緑、青の三つの色の重ね合わせで黒以外のすべての色を表示できる。ただし、赤、緑、青の三つの色の重ね合わせで黒を表示できないため、四つ目の呈色材により黒を表示する。例えば、黒色は、可視域(可視光領域)のほぼすべての波長を吸収する吸収材料によって表示される。また、複数の呈色材を用いてそれぞれ赤、緑、青、黒を表示させてもよい。これらの呈色材の色は黒以外の三原色は重ね合わせて白になれば、どのように選んでもよい。
この発光材料としては、例えば、プラセオジウム(Pr3+)により赤の発光、エルビウム(Er3+)により緑の発光、ツリウム(Tm3+)により青の発光を得る。黒を表示する呈色材としては、例えば調光ガラスなどに用いられる硝酸銀を用いることができる。これらは互いに吸収波長が違うため、それぞれ別々に励起することができる。これらはガラスにドープして用いるのが望ましい。
また、熱の付与により呈色するサーモクロミズムを利用してもよく、この場合は、光の照射により熱を付与してもよいし、立体像表示部2A,2Bに熱線を設け、所望の領域に熱を与えるようにしてもよい。色表示操作を光線だけでなく、光線と熱とすることにより、光源の数を減らすことができ、制御が簡単化される。
また、電圧変化の付与により呈色するエレクトロクロミズムを利用してもよい。この場合は、立体像表示部2A,2Bに透明電極を設け、所望の領域に電圧変化を与えるようにすればよい。色表示操作を光線だけでなく、光線と電圧とすることにより、光源の数を減らすことができ、制御がより単純化される。
これらの呈色材は、呈色時間が短ければそれに対応した動画を表示することが容易になり、呈色時間が長ければ静止画表示に用いることができる。また、呈色時間が長くても、光・熱などでこの呈色を消去できれば、動画にも用いることができて動画を容易に表示できる。
なお、これらの呈色材・呈色方法は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
以上、本実施形態1として、三原色を表示する呈色材として発光材料を用いる場合について説明したが、本発明はこの範囲に限らない。
(実施形態2)
以下に、図2および図3に示すように、本実施形態2の三次元立体像表示装置1C,1Dとして、立体像表示部2C,2Dに含まれる材料が2本の光線の照射によって光の吸収波長が変化する呈色材である場合について説明する。
本実施形態2の三次元立体像表示装置1C,1Dでは、光の吸収波長が変化する呈色材(吸収材料)を三原色を表示する呈色材として用いるのに対し、上記実施形態1の三次元立体像表示装置1A,1Bでは、発光材料を三原色を表示する呈色材として用いるという点と、可視域の全ての波長光を発光して前記無彩色を表示可能とする発光材料および、該可視域の全ての波長光を散乱して前記無彩色を表示可能とする散乱材料のいずれかを、無彩色を表示する呈色材として用いるのに対し、上記実施形態1の三次元立体像表示装置1A,1Bでは、可視域のほぼ全ての波長を吸収して前記無彩色を表示可能とする吸収材料を、無彩色を表示する呈色材として用いるという点において、本実施形態2の三次元立体像表示装置1C,1Dと上記実施形態1の三次元立体像表示装置1A,1Bとはその構成が異なっている。なお、本実施形態2の三次元立体像表示装置1C,1Dの構成および光路制御方法については、上記実施形態1の三次元立体像表示装置1A,1Bの構成(図2および図3参照)および光路制御方法と同様である。
本実施形態2の三次元立体像表示装置1C,1Dにおける立体像表示部2C,2Dは、少なくとも4種類の呈色材を含んでいる。各呈色材は、光線を照射されない状態では透明であり(すなわち所定の波長領域の光(例えば可視光)が透過する)、所定の波長を有する2本の光線が、それぞれ光路制御手段によって同一時刻に交差し、照射されることで、それぞれ赤、緑、青、白の色を呈する。本実施形態2では、光線の照射により吸収波長が変化する吸収材料を呈色材とする場合について説明するが、本発明はこの範囲に限らず、他の熱、電気の付与による呈色材を用いてもよいことは言うまでもない。
光線の交差部分が呈色するメカニズムは、光化学反応で起こる構造変化が吸収波長を変化させることによるものであり、減法混色法を用いることによって様々な色を表示できる。
光化学反応で起こる構造変化による吸収波長の変化とは、呈色材中の分子が、照射される光線の光子を少なくとも二つ吸収することにより、光化学反応を起こして、その構造が変化する。この構造変化に伴い、呈色材中の電子準位が変化するため、吸収波長が変化するという原理である。
以下、赤、緑、青、白の呈色を示す少なくとも4種の呈色材により、色を表示する表示方法を説明する。
本実施形態2においては、減法混色を用いる。即ち、赤、緑、青の三つの色の重ね合わせで白以外のすべての色を表示できる。ただし、白を表示できないため、四つ目の呈色材により白を表示する。例えば、白色は、可視光領域のほぼすべての波長を発光する発光材料、または可視光領域のほぼすべての波長を散乱する散乱材料を用いることによって表示される。また、複数の呈色材を用いてそれぞれ赤、緑、青、白を表示させてもよい。これらの呈色材の色は白以外の三原色は重ね合わせて黒になれば、どのように選んでもよい。
この吸収波長の変化が起きる材料としては、ジアリールエテンにより赤、ビス(2−メチル−6−ニトロ−1−ベンゾチオフェン−3−イル)ペルフルオロシクロペンテンにより緑、スピロベンゾピランにより青を表示できる。白を表示する呈色材・および呈色方法としては、上記実施形態1で示した発光材料を用いて白に発光させる方法がある。
また、熱の付与により結晶状態からアモルファス状態に相変化させることにより、アモルファス状態で光を散乱させ、白を表示する方法もある。
また、熱の付与により呈色するサーモクロミズムを利用してもよく、この場合は、光の照射により熱を付与してもよいし、立体像表示部に熱線を設け、所望の領域に熱を与えるようにしてもよい。色表示操作を光線だけでなく、光線と熱とすることにより、光源の数を減らすことができ、制御がより単純化される。
また、電圧変化の付与により呈色するエレクトロクロミズムを利用してもよい。この場合は、立体像表示部2C,2Dに透明電極を設け、所望の領域に電圧変化を与えるようにすればよい。色表示操作を光線だけでなく、光線と電圧とすることにより、光源の数を減らすことができ、制御がより単純化される。
これらの呈色材は、呈色時間が短ければそれに対応した動画を表示することができ、呈色時間が長ければ静止画表示に用いることができる。また、呈色時間が長くても、光・熱などでこの呈色を消去できれば、動画にも容易に用いることができて、動画を表示することができる。
以上により、本実施形態1,2によれば、立体像表示部2A〜2Dは、所定の三原色と、所定の三原色を重ね合わせることによって表示可能な色とは異なる色とを少なくとも表示可能とし、これら四色を表示しない場合には透明である(所定の波長領域を有する光(可視光)が透過する)。また、立体像表示部2A〜2Dには、色表示制御部3A,3Bによって発光、光の吸収、光の散乱を起こし、観察者に色を感知させる材料(以下、呈色材という)、または、機械的または光学的シャッターなどが含まれており、本発明の三次元立体像表示装置1A〜1Dは、このような呈色材を発光、光の吸収または光の散乱の少なくともいずれかを用いることによって所望の色を表示する。これによって、奥行き(三次元的広がり)がある三次元像を白黒(無彩色)を含むフルカラーで表示できる三次元立体像表示装置を得ることができる。
なお、これら呈色材は例示に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
また、立体像表示部2C,2Dは、呈色材そのものをマトリックス状にして用いる方法でもよいし、媒体に均一にドープして用いてもよい。媒体は、フォトポリマーやガラスなどを用いれば簡単に作成できるが、その他の材料でもよい。
さらに、立体像表示部2C,2D内に表示された立体像を暗い環境下でも観察できるように、立体像表示部2C,2D全体を照明する照明光を設けてもよい。
以上、本実施形態2として、三原色を表示する呈色材として吸収材料を用いる場合について説明したが、本発明はこの範囲に限らない。
なお、本発明の三次元立体像表示装置は、立体像をモノクロで表示してもよい。立体像をモノクロのみで表示する場合には、立体像表示部2C,2Dに含まれる呈色材は、無彩色を表示する二種類の呈色材のみでよい。
なお、以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、立体像を表示可能な三次元立体像表示装置およびその表示方法の分野において、三次元的広がりを有する立体像を白黒(無彩色)を含むフルカラーで明瞭に立体表示することができる。
本発明の三次元立体像表示装置の基本構成を示すブロック図である。 本発明の三次元立体像表示装置の実施形態1,2の一例を示す斜視図である。 本発明の三次元立体像表示装置の実施形態1,2の他の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1、1A〜1D 三次元立体像表示装置
2、2A〜2D 立体像表示部
3、3A〜3B 光路制御部
31、31A、31A’、31B、31B’ 光源
32、32A、32A’、32B、32B’ 光路制御手段
33 強度変調手段
5、5B 微小ミラー
6〜10 光線

Claims (12)

  1. 三次元的広がりを有する立体像表示部と、該立体像表示部内の複数の所望の領域それぞれに所望の色を表示することによって立体像を表示するように該色の表示を制御する色表示制御部とを備えた三次元立体像表示装置において、
    該立体像表示部は、該立体像表示部が色を表示する場合には、所定の三原色と、該所定の三原色を重ね合わせることによって得られる混合色と、当該混合色とは異なる無彩色とをそれぞれ発生可能な材料を有している三次元立体像表示装置。
  2. 前記立体像表示部の材料は、前記所定の三原色および混合色を表示可能とする発光材料と、可視域のほぼ全ての波長を吸収して前記無彩色を表示可能とする吸収材料とを有する請求項1に記載の三次元立体像表示装置。
  3. 前記立体像表示部の材料は、前記所定の三原色および混合色を表示可能とする吸収材料と、可視域の全ての波長光を発光して前記無彩色を表示可能とする発光材料および、該可視域の全ての波長光を散乱して前記無彩色を表示可能とする散乱材料のいずれかとを有する請求項1に記載の三次元立体像表示装置。
  4. 前記立体像表示部に含まれる材料は、多光子励起によって色を表示可能とする材料である請求項1〜3のいずれかに記載の三次元立体像表示装置。
  5. 前記色表示制御部は、前記三次元立体像表示部が色を表示しない場合を透明状態として表示制御する請求項1に記載の三次元立体像表示装置。
  6. 前記色表示制御部は、前記立体像表示部内に色表示された立体像の内側を黒色に表示するように、該立体像表示部の色表示を制御する請求項1または5に記載の三次元立体像表示装置。
  7. 前記色表示制御部は、光源と、該光源から放射される光の光路を制御する光路制御手段と、該光源から放射される光の強度を変調する強度変調手段とを有する請求項1に記載の三次元立体像表示装置。
  8. 前記光路制御手段は、前記光源から放射される少なくとも2本の光の光路を前記立体像表示部の所望の領域にて交差させることにより、該2本の光の光路を交差させた所望の領域で所望の色を発生させるように該光源からの光路を制御する請求項7に記載の三次元立体像表示装置。
  9. 前記光路制御手段は、前記光源から遠い所望の領域から近い所望の領域の順に前記光路を交差させるように制御することにより、前記立体像表示部内の所望の領域に色表示し、これらの色表示した所望の領域の集合体として立体像を形成する請求項7または8に記載の三次元立体像表示装置。
  10. 前記立体像表示部の材料は、熱励起によって色を表示可能とする呈色材を有し、前記色表示制御部は、熱源と、該熱源から放射される熱線の方向を制御する熱線制御手段と、該熱源に対して該熱線の強度を変調する熱線強度変調手段とを有する請求項1に記載の三次元立体像表示装置。
  11. 前記立体像表示部は、電気的な励起によって色を表示可能とする呈色材を有し、前記色表示制御部は、透明電極と、該透明電極の電圧を制御する電圧制御手段とを有する請求項1に記載の三次元立体像表示装置。
  12. 立体像表示部内の所望の領域それぞれに所定の三原色および無彩色のいずれかを表示することにより、該立体像表示部内に立体像を表示する三次元立体像表示方法であって、
    該第1の光および該第2の光の強度を、該所定の三原色および無彩色のいずれかに対応する所定の強度に変調して放射する放射工程と、
    該所望の領域それぞれに該第1の光および該第2の光が交差するように該第1の光および該第2の光の光路を走査制御することにより該立体像を表示する光路走査制御工程とを有する三次元立体像表示方法。
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