JP2005134172A - 水晶振動子による測定方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体ラインにおける物質の吸着量、密度、粘度等あるいはそれらの変化の計測等を正確かつ安価に行い得るようにする。
【課題手段】流体ライン1における被測定系2の前後に同一性能の水晶振動子3,4を挿入し、その両測定共振周波数の差に基づき、被測定系の測定値を得る。例えば、流体にある物質の混入などにより重量変化が生じる場合において、その重量変化を測定するには、両水晶振動子の共振周波数の差を計測することにより、水晶振動子の温度等のノイズによる特性変化を補正することなく、共振周波数差すなわち重量変化を計測することができる。流通ラインとしては、化学プラントライン、食品製造ライン、薬品製造ライン、水(再冷水、純水等)流通ラインなどの各種のラインを挙げることができ、その各ラインにおける薬注入量度合、洗浄度合、汚れ度合(反応による汚れ、バイオファウリングなど)等の測定に採用する。
【選択図】図1
【課題手段】流体ライン1における被測定系2の前後に同一性能の水晶振動子3,4を挿入し、その両測定共振周波数の差に基づき、被測定系の測定値を得る。例えば、流体にある物質の混入などにより重量変化が生じる場合において、その重量変化を測定するには、両水晶振動子の共振周波数の差を計測することにより、水晶振動子の温度等のノイズによる特性変化を補正することなく、共振周波数差すなわち重量変化を計測することができる。流通ラインとしては、化学プラントライン、食品製造ライン、薬品製造ライン、水(再冷水、純水等)流通ラインなどの各種のラインを挙げることができ、その各ラインにおける薬注入量度合、洗浄度合、汚れ度合(反応による汚れ、バイオファウリングなど)等の測定に採用する。
【選択図】図1
Description
この発明は、物理化学分野における、物質の吸着量、密度、粘度等あるいはそれらの変化の計測等に用いられる水晶振動子による測定方法及びその装置に関するものである。
今日、液体、気体などの物質の物理化学的特性を検出する手法として、水晶振動子の共振現象をもとに、その共振周波数等の測定によって被測定物の特性を検出する水晶振動子マイクロバランス法(QCM)がある。
このQCMによる測定において、水晶振動子の共振周波数は、温度、湿度、電源の変動などのノイズより変動する。このため、正確な測定値を得る為には、それらの変動に基づく補正をする必要があり、一般的には、それらのノイズによる共振周波数の変化を実験などにより予め演算しておき、その演算値に基づき測定値を補正することが行われている。
このQCMによる測定において、水晶振動子の共振周波数は、温度、湿度、電源の変動などのノイズより変動する。このため、正確な測定値を得る為には、それらの変動に基づく補正をする必要があり、一般的には、それらのノイズによる共振周波数の変化を実験などにより予め演算しておき、その演算値に基づき測定値を補正することが行われている。
また、腐食性ガスの判定装置においては、上記測定用水晶振動子に加え、基準信号用水晶振動子を設け、その両水晶振動子を同一のノイズ下におき、両水晶振動子の測定共振周波数の差により、腐食性ガスの存在を判定する技術がある(特許文献1、非特許文献1 参照)。
特開平7−225184号公報、段落0020、同0060、図12
センサ基礎用語辞典、南任靖雄 著、工学図書株式会社、平成6年9月20日初版、第79〜80頁、「水晶振動式水分センサ」の項
上記ノイズによる共振周波数の変化を予め設定して、測定共振周波数を補正する手段は、水晶振動子の共振振動数に影響を与える因子が多く、その挙動を正確に把握することは非常に困難である。また、補正用の計算式(演算式)の作成のためのデータ採取に膨大な時間と費用を必要とする。さらに、水晶振動子個々の特性にバラツキがあり、各水晶振動子に応じた的確な補正を得がたい。
上記基準信号用水晶振動子を設けた技術は、温度や湿度などのノイズは両水晶振動子に共に生じるため、その差をとることにより、そのノイズを除去することができる。すなわち、水晶振動子の温度等のノイズによる特性変化を補正することなく、両測定共振周波数の差により腐食性ガスの存在を判定することができる。
上記基準信号用水晶振動子を設けた技術は、温度や湿度などのノイズは両水晶振動子に共に生じるため、その差をとることにより、そのノイズを除去することができる。すなわち、水晶振動子の温度等のノイズによる特性変化を補正することなく、両測定共振周波数の差により腐食性ガスの存在を判定することができる。
この発明は、上記基準信号用水晶振動子を設けた技術に基づき、流体ラインにおける上記物理化学分野における、物質の吸着量、密度、粘度等あるいはそれらの変化の計測等を行い得るようにすることを課題とする。
上記課題を解決するために、この発明は、流体ラインにおける被測定系に測定用の水晶振動子を挿入すると共に、その測定用水晶振動子に加えて、その被測定系の前に同一性能の水晶振動子を挿入して、その両水晶振動子の共振周波数を測定し、その両測定共振周波数の差に基づき、被測定系の測定値を得るようにしたのである。
このとき、「被測定系に測定用の水晶振動子を挿入する」とは、水晶振動子をその被測定系内そのものに挿入する場合のみならず、その直後及び測定に支障がない後段ラインの任意位置への挿入の全てを含む。
このとき、「被測定系に測定用の水晶振動子を挿入する」とは、水晶振動子をその被測定系内そのものに挿入する場合のみならず、その直後及び測定に支障がない後段ラインの任意位置への挿入の全てを含む。
上記基準信号用水晶振動子を設けた技術は、基準用水晶振動子をいずれに設けるかが明瞭にされておらず、これに対し、この発明は、被測定系の前段に設け、その被測定系に入る前と後の測定共振振動数の差に基づき、被測定系の物理変化などの所要の測定値を得るものである。すなわち、その共振周波数の差が、測定用水晶振動子の物理的変化などによる共振周波数の変化量となる。例えば、流体にある物質の混入などにより重量変化が生じる場合において、その重量変化を測定するには、両水晶振動子の共振周波数の差を計測することにより、水晶振動子の温度等のノイズによる特性変化を補正することなく、共振周波数差すなわち重量変化を計測することができる。
この発明は、以上のように、被測定系の前後に水晶振動子を挿入し、その両水晶振動子の測定共振周波数の差に基づき、被測定系の所要の測定値を得るようにしたので、水晶振動子の特性変化を考慮することなく、精度の高い測定を行うことができる。
具体的には、図1に示すように、各種の流体が流れる流体ライン1において、その被測定系2に流体を流通させてその被測定系の物理的変化を、その被測定系に挿入した測定用水晶振動子3の共振周波数の変化により測定する際、前記被測定系2に流入する前の流体内(ライン1内)に前記測定用水晶振動子3と同一性能の基準用水晶振動子4を挿入して、その基準用水晶振動子4の共振周波数を測定し、その両測定共振振動数を制御器5に入力し、この制御器5において、両測定共振周波数の差を演算し、その演算値に基づき、前記物理変化を測定する。
例えば、図2に、銅メッキにより水晶振動子の表面に銅を付着させた場合の温度と水晶振動子の共振振動数との関係を示すが、これにより、同一流体の場合には、銅付着(ヨゴレ付着)の度合に関係なく、ほぼ同一の変化曲線を描く。
このため、図1に示す実施形態の同一ラインにおいて、被測定系2を銅の付着系とすれば、その各水晶振動子3,4による両測定共振周波数の差により、その銅の付着量を得ることができる。
このため、図1に示す実施形態の同一ラインにおいて、被測定系2を銅の付着系とすれば、その各水晶振動子3,4による両測定共振周波数の差により、その銅の付着量を得ることができる。
上記流通ラインとしては、化学プラントライン、食品製造ライン、薬品製造ライン、水(再冷水、純水等)流通ラインなどの各種のラインを挙げることができ、その各ラインにおける薬注入量度合、洗浄度合、汚れ度合(反応による汚れ、溶存有機物を栄養源にして微生物が増殖し、膜面等に付着する生物的汚れであるバイオファウリングなど)等の測定にこの発明は採用できる。
上記化学プラントラインにおいて、被測定系が化学プラントの一反応系であっては、その反応系に入る流体に基準用水晶振動子を挿入し、反応系には測定用水晶振動子を挿入した構成とする。
食品製造ラインにおいて、洗浄水を流通させてそのラインを洗浄する際、その洗浄度合をその洗浄後の洗浄水に挿入した測定用水晶振動子の共振周波数の変化により測定する場合においては、前記洗浄前の洗浄水に前記測定用水晶振動子と同一性能の基準用水晶振動子を挿入して、その基準用水晶振動子の共振周波数を測定し、その両水晶振動子の共振周波数の差に基づき、洗浄度合を測定する構成とする。
上記各測定装置に使用する水晶振動子からなる両測定プローブは、従来周知のものを適宜に採用すればよいが、例えば、ケーシングに開口を形成し、その開口に水晶振動子を水密に取付け、前記ケーシングに、前記水晶振動子のケーシング内側の面を含む密封空間を形成し、その密封空間に予め前記水晶振動子が耐え得る圧力を印加したものとすることができる。
このようにすれば、測定プローブが被測定物に浸されて水晶振動子の外面に被測定物の圧力を受けても、その内面には予め圧力が印加されており、水晶振動子の表裏の圧力差が小さくなるだけであるので、被測定物の圧力が幾分高くなっても、水晶振動子は破損しない。
このようにすれば、測定プローブが被測定物に浸されて水晶振動子の外面に被測定物の圧力を受けても、その内面には予め圧力が印加されており、水晶振動子の表裏の圧力差が小さくなるだけであるので、被測定物の圧力が幾分高くなっても、水晶振動子は破損しない。
他の手段としては、前記密封空間の圧力を調整可能とすることができる。このようにすれば、前記水晶振動子の表裏面の圧力差を自在に緩和できるので、さらに高圧の被測定物にも使用することができる。このとき、表裏面の圧力を常に平衡に維持することとしてもよい。
さらに、他の測定プローブとしては、ケーシングに設けた水晶振動子に蓋を被せ、その蓋を前記ケーシングに固定することにより、前記水晶振動子をケーシングと蓋の間に支持固定し、前記蓋の開口を介して被測定物を前記水晶振動子に接触させてその性状を測定するものであり、前記蓋をケーシングに固定した際、前記水晶振動子の介在スペースは不変となってその水晶振動子には前記蓋の固定による所要の押圧力が作用している構成のものも採用できる。
その「固定した際」とは、例えば、蓋をケーシングにねじ止めする際、蓋がケーシングの一部に当接し、そのねじをそれ以上ねじ込もうとしても、ケーシングに対し蓋が動き得ない状態をいう。また、「介在スペースが不変」とは、前記固定状態となることにより、機械的なそのスペース(クリアランス)が変わらない状態になることをいう(後述の具体的形態参照)。介在スペースが不変となれば、例えば、Oリングを介した水晶振動子の押圧力(締め付け力又は挟持力)は一定となる。
この構成において、上記蓋をケーシングに固定した際、蓋がケーシングにその固定方向において当接して、上記水晶振動子の介在スペースが不変とされるものとし得る。
その不変とする手段としては、上記蓋とケーシングの間にその両者に当接するスペーサを介在し、そのスペーサにより、上記水晶振動子の介在スペースを不変とする等が考えられる。このとき、水晶振動子取付部のシール性は、その水晶振動子と蓋及びケーシングの間にOリング等を介在することに担保する。
その不変とする手段としては、上記蓋とケーシングの間にその両者に当接するスペーサを介在し、そのスペーサにより、上記水晶振動子の介在スペースを不変とする等が考えられる。このとき、水晶振動子取付部のシール性は、その水晶振動子と蓋及びケーシングの間にOリング等を介在することに担保する。
蓋をケーシングに固定する手段としては、蓋の水晶振動子周りに複数のボルトを周方向等間隔にねじ通し、そのボルトを上記固定方向にねじ込む等が考えられる。この等間隔のねじ込みによれば、各ボルトの締め付け力を均一にすることにより、水晶振動子の周り全周に亘って均一な締め付け力を付与することができる。
水晶振動子の締め付け力(押圧力)は、液漏れが生じることなく、かつ水晶振動子が十分に振動して測定がし得るように、実験等により適宜に決定する。その締め付け力は、例えば、水晶振動子の電気的等価回路の共振抵抗でもって一定の値を得るようにする。
測定プローブに組み込む水晶振動子は、その中央部に振動エネルギーが閉じ込められるものを採用するとよい。その振動エネルギーが閉じ込められるものとしては、ATカットした水晶振動子素板の周縁を面取りしたもの(図7参照)、同コンベックス形状としたもの(図8参照)などが考えられる。コンベックス形状には、一面のみコンベックス形状(片面コンベックス)のものと、両面がコンベックス形状(両面コンベックス)のものを使用し得る。
それら形状の水晶振動子素板は、図9(a)に示すように、中央部が振動領域(斜線部分)となり、同(b)に示すように、径方向中央に向かって振動幅が大きくなっている。すなわち、主振動モードは、電荷分布に小さな波状変動の重畳がなくなって周縁では減衰し、きれいなsinカーブ状電荷分布となる。このため、この水晶振動子素板の周縁を強い力で挟持しても、その振動特性に大きな影響を与えないことが分る。このことは、 図9で示す円形、図7、8で示す角形などの水晶振動子の外形形状は影響しない。
上記測定プローブを組み込んだ測定装置のより具体的な態様を図3〜図6に示し、その図3及び図4に示す水晶振動子用測定装置は、被測定物に浸たされる水晶振動子用測定プローブ20と圧力調整器40及び検出回路30とからなる。その圧力調整器40は、測定用と基準の両水晶振動子3、4の測定プローブ20、20にそれぞれ設けてもよいが、支障がない限り、共用するとよい。
水晶振動子用測定プローブ20は、ケ−シング21、その蓋22及びケーシング取付用フランジ23で構成され、そのケーシング21内は密封空間24と回路用空間25及び被測定物空間26の3つの空間を有し、それぞれ一端に開口24a,25a,26aを、他端にはフランジ23を貫通する水密な孔24b,25b,26bを有している。前記密封空間24の開口24aには、水晶振動子31が耐水密性、耐薬品性のあるOリング27を表裏面に介して蓋22で固定され、この固定により、水晶振動子31はその周りを両Oリング27、27で挟持された状態で開口24aに水密に取り付けられて、その内側に水密な空間が形成される。上記被測定物空間26は、その開口26aが圧力取入用に開放されており、この測定プローブ20を被測定物に浸すと、その開口26aから被測定物空間26に被測定物が入り込む。
上記蓋22は周壁22aを有してその周壁22aの周方向等間隔にボルト28が挿通可能となっており、ケーシング21に蓋22をステンレス等の金属製アジャスター29を介して嵌めてボルト28をねじ込むことにより固定する。この固定により、水晶振動子31はその周りに均一かつ所定の締め付け力(押圧力)でもって取付けられる。このとき、周壁端面22bがケーシング端面21bに当接してケーシング21に対し蓋22が位置決めされ、上記Oリング27の装填溝27aの大きさ(スペース)が決定される(不変となる)。このため、その当接度合を、周壁22aの高さ、アジャスター29の厚みを適宜に選択することにより、装填溝27aの大きさを調整することができ、これにより、Oリング27の押圧力、すなわち水晶振動子31への押圧力(挟持力)が決定される。その押圧力により、水晶振動子31の振動特性が決定されるため、上述の等価回路の共振抵抗を測定することにより、所要の振動特性となるようにその押圧力を設定する。図中、28aはボルト28と蓋22間に介在されるガスケット、29aはケーシング21と蓋22の間をシールするOリングである。
上記水晶振動子31には電極(図示せず)が蒸着され、その電極には信号ケーブル32が接続されている。その信号ケーブル32は、回路用空間25を通って前記孔25bからケーシング21外に引き出され、検出回路30へ接続されている。その検出回路30はさらに、外部インピーダンス計測装置に接続される。この検出回路30及び外部インピーダンス計測装置は制御器5に組み込むと良い。
圧力調整器40は、その内部に3つの空間41,42,43を有し、その中程の空間42にピストン44が嵌入され、その両側が液室42aと液室42bとなって複動式シリンダーを構成している。その一方の液室42aは、前記密封空間24の孔24bから引き出されたチューブからなる密封空間加圧ライン33が接続されて、このライン33により密封空間24の圧力P(この圧力Pは、圧力計52で見ることができる。)が液室42aに印加する。他方の液室42bには、前記被測定物空間26の孔26bから引き出されたチューブからなる被測定物加圧ライン34が接続されて、このライン34により被測定物の圧力Q(この圧力Qは、圧力計51で見ることができる。)が液室42bに印加する。
このため、前記被測定物の圧力が上昇し、その被測定物空間26の圧力が増大すると、液室42bにその被測定物の圧力Qが加わり(Q>P)、ピストン44が上に押されるので、スプリング46の弾性力に抗して弁45a,45bが図1の破線のごとく押し上げられる。この押し上げにより、弁45aが開放され、圧縮空気ボンベ47から供給された空間41内の圧縮空気が液室42aに流入する。液室42aは、密封空間加圧ライン33を介して前記密封空間24に連通しているため、この流入した圧縮空気により密封空間24が加圧され、密封空間圧力Pが被測定物圧力Qと平衡する。
逆に、前記被測定物の圧力が減少し、その被測定物空間26の圧力が減少すると、液室42bの被測定物圧力Qが下がり(Q<P)、ピストン44が下に押されるので、弁45bが開放され、液室42a内の空気が導管42cを通って空間43に流れて外部に排出される。この空気の排出により、液室42aと密封空間加圧ライン33を介して連通している密封空間24が減圧され、被測定物圧力Pが密封空間圧力Qと平衡する。このようにして、被測定物圧力Pと密封空間圧力Qが平衡するので、前記水晶振動子31の表裏面には常に同じ圧力が加わる。この密封空間24や液室42aに封入する気体は、空気に代えて、窒素等の不活性ガスを用いてもよい。
この水晶振動子用測定プローブ20を、例えば化学プラントの反応缶, 配管などのライン中及びその前段ラインに浸し、その壁Hにフランジ23でもって取付けると、水晶振動子31の外表面が蓋22の開口22cを介してそのライン中の被測定物たる流体に触れるとともに、前記被測定物空間26には被測定物が流入する。
この状態で水晶振動子31を振動させて測定する際、この圧力調整器40により被測定物の圧力に応じて、前記密封空間24側の圧力が調整され、水晶振動子31の表裏面の圧力の平衡が保たれる。これにより、どのような圧力下の被測定物であっても、前記圧力調整器40の機能の範囲内であれば正確に計測することができる。例えば、特に、化学プラントの反応缶での使用の場合には、おおむね10kgf/cm2 (9800hPa)以上の圧力下での使用となるが、この水晶振動子用測定装置は、水晶振動子31の押圧力を調整してその表裏面の圧力を調整することにより、この反応缶の圧力下においても使用可能である。もちろん、圧力調整機能を有しているので、高圧の被測定物のみならず、低圧の被測定物でも計測可能であり、圧力が変動する被測定物も計測可能である。
一方、前記密封空間24と被測定物の圧力差がそれほど大きくない場合には、上記の圧力調整器40を用いずに、前記密封空間24に予め前記水晶振動子31が耐え得る圧力を印加しておくことができる。例えば、この水晶振動子用測定プローブ20において、予め密封空間24に圧力Bを印加すれば、この水晶振動子31の強度が耐え得る表裏面の圧力差がAであるとき、この水晶振動子用測定プローブ20は、被測定物の圧力がB−AからB+Aの範囲にある場合に計測できる。この範囲内であれば、外面に接する被測定物の圧力が増大した場合でもそのまま圧力調整をせずに計測が可能であり、水晶振動子用測定プローブ20の構造を簡略化できる。
このように圧力調整器40の機能を用いない場合、水晶振動子31の表裏面に圧力差が生じると、共振周波数等の測定値に変化が生じるため、そのままでは被測定物の特性の解析が不正確となる場合がある。しかし、この発明では、測定用水晶振動子3と基準用水晶振動子4の共振周波数の差を検出値(測定値)とするため、その問題はない。
上記Oリング27、27による水晶振動子31の押圧力を決定する態様としては、上述の以外に種々のものが考えられる。例えば、図5に示すように、ボルト28をその締め代が決まったものとし、そのボルト28を完全にねじ込んだ時点で、ケーシング21に対し蓋22が所要量動くようにし、その許容移動量のスペース27aにOリング27を装填することにより、Oリング27の弾力でもって、水晶振動子31を所要の押圧力で挟持する。また、図6に示すように、ケーシング21と蓋22の間にOリング27の押え板60を介在し、この押え板60がケーシング21の端面に当接することにより、Oリング27のスペースを不変なものとする等である。
図10には、食品製造ラインの所要部位の洗浄度合を推測するものであり、温水タンク11と洗浄水タンク12から、ポンプ13により、ロータメータ14を介して前記製造ライン配管の一部に相当するサンプルSにその温水又は洗浄水が選択的に送られるようになっている。サンプルSからはストレーナ15を通って温水又は洗浄水が各タンク11、12に戻る。この循環ラインには適宜に開閉弁16が設けられており、この各開閉弁16が適宜に開閉されて温水又は洗浄水が選択的に循環する。
サンプルSの前後にはこの発明に係わる水晶振動子3,4が挿入(介設)され、その測定共振周波数が制御器5に入力しており、この制御器5において、その両測定共振周波数の差が演算されて、洗浄度合が測定(検出)される。すなわち、洗浄と共に差が徐々に無くなり、やがて許容できる値になれば、洗浄作業を終了する。このとき、両測定共振周波数の差によるため、ライン内の温度変化や圧力変化等のノイズは打ち消されて測定値誤差は極力少なくなり、適切な洗浄度合を把握できる。図中、黒塗り開閉弁16が閉止状態、白抜きが開放状態を示す。この実施形態では、サンプルSをライン配管の一部としたが、タンクの一部等とライン内の適宜な位置を任意に選択し得る。サンプルSは循環ラインから取り外しが自在となっている。
この実施形態は、食品製造ラインの所要部位の洗浄度合を推測する設備であるが、実際の食品製造ラインの定置洗浄(CIP)の所要の洗浄度測定部位の前後にこの測定装置を挿入することにより、その洗浄度合を測定し得ることは勿論である。
1 流体ライン
2 被測定系
3 測定用水晶振動子
4 基準用水晶振動子
5 制御器
11 温水タンンク
12 洗浄水タンク
13 ポンプ
20 測定プローブ
21 ケーシング
21a ケーシング端面
21c ケーシング開口
22 蓋
22a 蓋周壁
22b 蓋周壁端面
22c 被測定物印加用開口
27 Oリング
27a Oリング装填溝(水晶振動子介在スペース)
31 水晶振動子
S サンプル
2 被測定系
3 測定用水晶振動子
4 基準用水晶振動子
5 制御器
11 温水タンンク
12 洗浄水タンク
13 ポンプ
20 測定プローブ
21 ケーシング
21a ケーシング端面
21c ケーシング開口
22 蓋
22a 蓋周壁
22b 蓋周壁端面
22c 被測定物印加用開口
27 Oリング
27a Oリング装填溝(水晶振動子介在スペース)
31 水晶振動子
S サンプル
Claims (11)
- 被測定系2に流体を流通させてその被測定系の物理的変化を、その被測定系2に挿入した測定用水晶振動子3の共振周波数の変化により測定する方法において、
上記被測定系2に流入する前の流体内に上記測定用水晶振動子3と同一性能の基準用水晶振動子4を挿入して、その基準用水晶振動子4の共振周波数を測定し、その両水晶振動子3、4の共振周波数の差に基づき、上記物理的変化を測定することを特徴とする水晶振動子による測定方法。 - 上記被測定系2が化学プラントの一反応系であって、その反応系に入る流体に基準用水晶振動子4を挿入し、反応系には測定用水晶振動子3を挿入したことを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子による測定方法。
- 食品製造ラインに洗浄水を流通させてそのラインを洗浄する際、その洗浄度合をその洗浄後の洗浄水に挿入した測定用水晶振動子3の共振周波数の変化により測定する方法において、
上記洗浄前の洗浄水に上記測定用水晶振動子3と同一性能の基準用水晶振動子4を挿入して、その基準用水晶振動子4の共振周波数を測定し、その両水晶振動子3、4の共振周波数の差に基づき、上記洗浄度合を測定することを特徴とする水晶振動子による洗浄度合測定方法。 - 被測定系2に流体を流通させてその被測定系の物理的変化を、その被測定系2に挿入した測定用水晶振動子3の共振周波数の変化により測定する装置において、
上記被測定系2に流入する前の流体内に上記測定用水晶振動子3と同一性能の基準用水晶振動子4を挿入して、その基準用水晶振動子4の共振周波数を測定し、その両水晶振動子3、4の共振周波数の差に基づき、上記物理的変化を測定することを特徴とする水晶振動子による測定装置。 - 食品製造ラインに洗浄水を流通させてそのラインを洗浄する際、その洗浄度合をその洗浄後の洗浄水に挿入した測定用水晶振動子3の共振周波数の変化により測定する装置において、
上記洗浄前の洗浄水に上記測定用水晶振動子3と同一性能の基準用水晶振動子4を挿入して、その基準用水晶振動子4の共振周波数を測定し、その両水晶振動子3、4の共振周波数の差に基づき、上記洗浄度合を測定することを特徴とする水晶振動子による洗浄度合測定装置。 - 請求項4又は5に記載の測定装置において、上記水晶振動子3、4からなるそれぞれの測定プローブ20を、ケーシング21に開口を形成し、その開口に水晶振動子31を水密に取付け、前記ケーシング21に、前記水晶振動子31のケーシング21内側の面を含む密封空間24を形成し、その密封空間24に予め前記水晶振動子31が耐え得る圧力を印加したものとしたことを特徴とする測定装置。
- 請求項4又は5に記載の測定装置において、上記水晶振動子3、4からなるそれぞれの測定プローブ20を、ケーシング21に開口21cを形成し、その開口21cに水晶振動子31を水密に取付け、前記ケーシング21に、前記水晶振動子31のケーシング21内側の面を含む密封空間24を形成し、その密封空間24の圧力を調整可能としたことを特徴とする測定装置。
- 請求項4乃至7のいずれかに記載の測定装置において、上記水晶振動子からなるそれぞれの測定プローブ20が、ケーシング21に設けた水晶振動子31に蓋22を被せ、その蓋22を前記ケーシング21に固定することにより、前記水晶振動子31をケーシング21と蓋22の間に支持固定し、前記蓋22の開口22cを介して被測定物を前記水晶振動子31に接触させてその性状を測定するものであり、前記蓋22をケーシング21に固定した際、前記水晶振動子31の介在スペース27aは不変となってその水晶振動子31には前記蓋22の固定による所要の押圧力が作用していることを特徴とするとしたことを特徴とする測定装置。
- 上記蓋22をケーシング21に固定した際、蓋22がケーシング21にその固定方向において当接して、上記水晶振動子31の介在スペース27aが不変とされることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
- 上記蓋22とケーシング21の間にその両者に当接するスペーサ60を介在し、そのスペーサ60により、上記水晶振動子31の介在スペース27aを不変とすることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
- 上記水晶振動子3、4、31を、その中央部に振動エネルギーが閉じ込まれるものとしたことを特徴とする請求項4乃至10のいずれかに記載の測定装置。
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JP2003368433A JP2005134172A (ja) | 2003-10-29 | 2003-10-29 | 水晶振動子による測定方法及びその装置 |
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JP2010091498A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Toyo Seiki Seisakusho:Kk | インコメータのロール洗浄装置及びロール洗浄方法 |
JP2015530588A (ja) * | 2012-09-27 | 2015-10-15 | マイクロ モーション インコーポレイテッド | 参照温度における流動流体粘度を取得するメータ電子機器及び方法 |
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2003
- 2003-10-29 JP JP2003368433A patent/JP2005134172A/ja active Pending
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