JP2005131369A - 水頭症患者の脳脊椎液流の調整方法および装置 - Google Patents

水頭症患者の脳脊椎液流の調整方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】水頭症患者の脳室の容積変化に対応する過剰の脳脊椎液の排液速度を調節することによって上記患者の脳脊椎液流を調整する方法および装置を提供する。
【解決手段】水頭症患者10の脳脊椎液流を調整する調節可能な排液システムにおいては、排液速度が上記患者の脳室の容積変化に応じて調整される。上記システムは、調節可能な弁40と、脳室の容積変化が生じたとき、または仮に生じた場合を確認する患者あるいは主治医によって外部システム制御装置60で定期的に作動させることができる容積センサ50を含むものである。上記システムは、脳室の目標容積を達成できるように、ユーザーが上記制御装置を用いて脳室の容積変化に応じて上記弁の抵抗値を調節することを可能にする。また、この発明の上記システムを用いて、上記患者の頭蓋内腔から脳脊椎液を連続的に排液する方法も提供されている。
【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
該当出願なし。
米国政府の支援研究に関する陳述
該当研究なし。
発明の分野
この発明は、患者の水頭症を管理する方法および装置に関するものである。より詳細には、この発明は、水頭症患者の脳室キャビティーの容積変化に応じた速度で、上記患者の脳脊椎液を排液する方法および装置に関するものである。さらに詳細には、この発明は、調節可能な抵抗弁と、容積変化を受けている脳室キャビティー内の脳脊椎液の排液を調整するための容積センサとを有するバイパス形成システムを用いて、正常圧水頭症に苦しむ患者達の脳脊椎液を管理する方法に関するものである。
発明の背景
水頭症は、自身の生体経路を経由して脳脊椎液流を調整できない患者が苦しむ容態のことである。脳脊椎液(CSF)は、脳の脈絡叢によって通常生成されており、上記液が脳室系を経由して循環するときに脳の種々の部位へ必須栄養素、ホルモン類および他の細胞成分を運ぶものである。上記経路をたどって、また、上記CSFは、この液が脳および脊椎全体に拡散するときに上記脳への衝撃を吸収するのに役立ちかつ上記脳を保護するものである。再循環されない脳脊椎液は、体の静脈系によって本来的に吸収される矢状静脈洞にやがて流れ込む。水頭症に苦しむ患者では、上記CSF吸収速度は、本来のCSF経路に沿う閉塞のため、あるいはCSF形成を増加させる脈絡叢の減少のせいで、生成速度に遅れる。吸収されない、すなわち過剰のCSFは患者の脳室内に蓄積し、脳圧上昇に至る。仮に未処置のままであれば、脳圧上昇は、昏睡および/または死亡のような潜在的な結果を伴う、脳組織の圧迫や脳への血流の減少等の医学的に重篤な容態につながる可能性がある。
水頭症患者に対する従来の治療法は、脳室から流れる過剰の脳脊椎液を排液するステップと、腹膜または血管系等の患者体内の他の領域へ上記過剰の脳脊椎液を送り直すステップとを含んでいた。一般にバイパス形成術と呼ばれる移植可能な排液システムは、脳脊椎液の移動を実行しかつ上記患者における脳脊椎液の生成と吸収との間の均衡を取り戻すのにしばしば用いられる。上記バイパス形成システムを導入するためには、頭皮切開がなされ、頭骨に小穴が開けられる。患者の脳の脳室キャビティー内には、近位部に脳室カテーテルが導入される一方、過剰の脳脊椎液が導入され直されるべき場合、患者体内の一部には遠位部に排液カテーテルが導入される。
上記バイパス形成システムの近位端と遠位端との間で脳脊椎液の流れを調整するために、バイパス形成システムの本体は通常ポンプまたは一方向制御弁を含むものである。一般に、バイパス形成システムは、一度だけ脳脊椎液の液圧がある閾値レベルに達したら、脳脊椎液の流れを許すことによって操作する弁機構を含むものである。すなわち、脳脊椎液は、その液圧が上記弁機構の開放抵抗を越えたときだけ、上記弁に入る。ある弁機構は、脳脊椎液が流れ始める開放圧力レベルを非侵襲的に調整するか、あるいはプログラミングすることを可能にする。これらの受動安全弁は、概ね、2つのカテゴリのうち1つに入るものとみなすことができる。差圧弁は、上記バイパス形成システムの端から端までの差圧、すなわちバイパス形成システムの近位端と遠位端とで捕捉された圧力の差を調整するものである。可変抵抗弁は、弁の抵抗を変化させることによって、すなわち弁の端から端までの差圧と上記弁を経由した脳脊椎液流との比を調整することによってバイパス形成システムを経由した脳脊椎液流を調整するものである。
脳脊椎液を連続的に排液する弁機構を有するバイパス形成システムは、開放圧力および/または患者の脳脊椎液の排液速度を制御および/または調整する弁を有するものとして、周知である。先天的な水頭症患者(すなわち水頭症に生まれつき罹患している)および特に小児患者では、そのような現バイパス形成装置は脳脊椎液流を調整するのに好結果となることが証明されていた。しかしながら、これら同様のバイパス形成装置は、人生の後期に通常後天的に罹患した水頭症の一種である突発性の正常圧水頭症に苦しむ患者に対しては有効ではなかった。患者の脳における脳室はそれ自体が「正常」圧を有するものとして登録される可能性があるにもかかわらず、正常圧水頭症は、その脳室の膨張によって特徴づけられる。正常圧水頭症自体はしばしば老年期の発症によるが、典型的には中年期から初老期までの人に罹患する傾向がある。典型的な症状は、痴呆、歩行不安定および尿失禁を含むものである。上記疾患が「正常」圧測定値を示すので、診断は、脳室キャビティー内の圧力を検出するのではなく、CT(コンピュータ断層撮影法)および/またはMRI(磁気共鳴イメージング法)で脳室の大きさと患者の症状とを互いに関係づけることによってなされる。正常圧水頭症では、察するに、その脳室内圧は脳室を膨らせるのに十分な時であった。ひとたび脳室が膨張すれば、脳室内の脳脊椎液の圧力は「正常」圧に戻った。老年の患者では、脳室の容積弾性係数は減少し、そのような脳室はもはや元来の大きさ、すなわち適当な時間に容積に収縮して戻ることができない。結果として、脳室は膨張状態のままとなり、患者は拡張し過ぎた脳室によって脳の隣接部位の圧迫のせいで神経学的な機能不全に苦しむことになる。
現在利用可能なバイパス形成装置の大部分は、近位圧、遠位圧および/または大気圧の変化に応答するように構成されており、換言すれば上記バイパス形成装置は近位圧および遠位圧および/または大気圧の変化に対応する。上記バイパス形成装置が先天的な水頭症患者の脳脊椎液を調整するのに有効であるのに対して、上記バイパス形成装置は、調整された開放圧力レベルが排液されている脳室キャビティーの容積変化の理由を説明するものではないので正常圧水頭症患者に有効であるとは証明されなかった。正常圧水頭症患者は、脳室内圧の変化よりもより顕著な脳室キャビティー内の容積変化を体験するので、現在利用可能な受動安全弁は、了解済みの容積変化に基づいて調整された排液速度を必要とする患者には有効ではない。したがって、所望の排液速度を達成するためには、脳室キャビティー内の圧力変化と同様に、脳室の容積変化に対応する上記排液速度または弁抵抗を調節することができるバイパス形成システムと、このバイパス形成システムを用いて正常圧水頭症患者の脳脊椎液流を管理する方法が必要である。
この発明の目的は、水頭症患者の脳室の容積変化に対応する過剰の脳脊椎液の排液速度を調節することによって上記患者の脳脊椎液流を調整する方法および装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明は、水頭症患者の脳脊椎液流を調整する方法であって、上記患者の脳室キャビティーを出入りする脳脊椎液流を調整する調節可能な抵抗弁を有しかつ上記脳室キャビティーの生理機能的特徴を測定するセンサ素子を含む移植可能なバイパス形成システムと、上記移植可能なバイパス形成システムと通信するために選択的に操作可能な外部システム制御装置とを用意するステップと、上記移植可能なバイパス形成システムを上記外部システム制御装置で作動させるステップと、上記センサ素子によって測定された脳室キャビティーの生理機能的特徴の値を検出するステップと、上記生理機能的特徴に関する所定目標値と測定値を比較するステップと、上記生理機能的特徴に関する所定目標値を達成するために所望の抵抗値を決定するステップと、上記所望の抵抗値を達成するために上記弁の現抵抗値を調節するステップとを含み、上記外部システム制御装置はこの装置が上記患者に適用されたときに上記弁の抵抗調節を成し遂げるように構成されたものである。
この発明の請求項2記載の発明は、水頭症患者の脳脊椎液流を調整する装置であって、上記患者の脳室キャビティーを出入りする脳脊椎液流を調整する調節可能な抵抗弁を有しかつ上記脳室キャビティーの生理機能的特徴を測定するセンサ素子を含む移植可能なバイパス形成システムと、上記移植可能なバイパス形成システムと通信するために選択的に操作可能な外部システム制御装置とを含み、上記外部システム制御装置はこの装置が上記患者に適用されたときに上記弁の抵抗調節を成し遂げるように構成されており、上記センサ素子は上記脳室キャビティー内の容積変化を検出する容積センサとされたものである。
この発明によれば、特に正常圧水頭症に苦しむ患者の脳室キャビティーの容積変化に応じた速度で、患者の脳脊椎液を排液して調整することができる脳脊椎液流の調整方法および装置を提供することができるという効果がある。
発明の概要
この発明は、排液速度が水頭症患者の脳室の容積変化に対応して調整される場合に患者の脳脊椎液流を調整するための調節可能な排液システムを提供することによって前述した目的を達成するものである。このシステムは、調節可能な抵抗弁と、脳室の容積変化が生じたとき、または仮に生じた場合を確認する患者あるいは主治医によって外部システム制御装置で定期的に作動させることができる容積センサを含むものである。上記システムは、脳室の目標容積を達成できるように、ユーザーが上記制御装置を用いて脳室の容積変化に応じて上記弁の抵抗値を調節することを可能にする。また、この発明の上記システムを用いて、上記患者の頭蓋内腔から脳脊椎液を連続的に排液する方法も提供されている。
1つの実施の形態では、この発明は水頭症患者の脳脊椎液流を調整する方法を提供する。この方法は、上記患者の脳室キャビティーを出入りする脳脊椎液流を調整する調節可能な抵抗弁を有しかつ上記脳室キャビティーの生理機能的特徴を測定するセンサ素子を含む移植可能なバイパス形成システムを用意するステップを含むものである。また、この方法は、上記移植可能なバイパス形成システムと通信するために選択的に操作可能な外部システム制御装置を提供するものである。手術中に、上記外部システム制御装置は、この装置が上記患者に適用されたときに上記センサ素子からの情報を受信しかつ上記弁の抵抗調節を成し遂げるように構成されている。
この発明の移植されたバイパス形成システムを備えた水頭症患者では、上記移植されたバイパス形成システムを作動させるために患者に上記装置を適用することによって、上記患者または主治医のどちらかが選択的に外部システム制御装置を操作することができる。上記外部システム制御装置は、センサ素子によって測定されるような脳室キャビティーの生理機能的特徴の値を検出するように構成されている。生理機能的特徴の測定値は上記生理機能的特徴に関する所定目標値と比較される。上記所定目標値は患者の臨床的評価を通じて決定することができ、したがって特定の患者ごとに合わせて設定変更されている。この目標値は、その後、外部システム制御装置に予め設定しておく。外部システム制御装置が測定値と目標値との差(すなわち上記測定値が目標値より高いかあるいは低い)を検出したとき、あるいは仮に検出したならば、それに応じて、上記装置は上記弁にその抵抗値を増減するように命令するのに用いることができる。例えば、弁の抵抗値は仮に測定容積が目標容積より高い場合には減らされ、逆に抵抗値は仮に測定容積が目標容積より低い場合には増やされる。仮に測定値が目標値の許容範囲内にあれば、変更せずに現抵抗値が維持される。このフィードバック機構は、ある期間にわたって生理機能的特徴の目標値を維持するのに役立つ。
外部システム制御装置の操作(すなわちこの装置が患者に適用されかつ移植可能なバイパス形成システムが作動したときに)中に、上記装置と移植可能なバイパス形成システムとの間でデータが交信される。センサ素子は上記生理機能的特徴の測定値を代表するデータを上記外部システム制御装置に送る。外部システム制御装置は、患者に関する測定値を目標値と比較し、それに応じて弁に対してその抵抗値を調節する命令を伝える。例えば、外部システム制御装置は、生理機能的特徴の測定値についてのデータを含むセンサ素子から生成される入力信号を受信することによってセンサ素子によって測定された生理機能的特徴の値を検出することができる。ひとたび受信した場合に、外部システム制御装置は、測定値が患者の目標値の許容範囲より高いのか、低いのか、あるいはその範囲内にあるのかを決定する単純な演算方式を実行する。この決定に基づいて、上記装置からの出力制御信号を生成しかつその信号を上記弁に送り、それに応じて弁に対してその抵抗値を調節するように命令することによって、上記測定値が上記目標値より高いか、低いか、あるいは本質的に同一であるか否かに依存して、上記弁の抵抗値は、増やされるか、減らされるか、あるいは全く変更を加えずに上記と同一の抵抗値に維持される。
この発明の1つの局面では、測定されるべき生理機能的特徴は脳室の容積であり、上記センサ素子は脳室キャビティーの容積を測定するように構成された容積センサである。したがって、この発明の方法は、脳室の容積変動によって特徴づけられた正常圧水頭症に苦しめられた患者の脳脊椎液流を管理するのに特に有用である。この発明の方法は、患者が正常圧水頭症を発症したときに、すなわち発病したときに、または苦痛あるいは見当識障害を体験したときに実行することができるものと考えられる。また、この発明の方法は、患者が発症するか、あるいは発病したときはいつも繰り返すことができる。したがって、患者の症状が表面化したとき、あるいは発病したときには、外部システム制御装置は脳室のいかなる容積変化をも検出するために患者に適用することができる。仮に上記容積がこの患者に関して決定される目標容積と違っており、上記装置で予め設定されていた場合には、その後、この発明の方法は、上記脳室の容積をその目標容積に戻す試みにおいて上記弁の抵抗値を調節するように実行することができる。
この発明の他の局面では、この発明の方法は、脳室キャビティーの他の生理機能的特徴の値を検出するステップを含むものである。例えば、移植可能なバイパス形成システムは、他の生理機能的特徴を測定する第2のセンサ素子を含めることができる。上記第2のセンサ素子を例えば圧力センサとすることができ、上記他の生理機能的特徴を脳圧とすることができる。したがって、この発明の方法は、脳室容積または脳圧のいずれか一方または双方を検出するステップおよび、上記弁の抵抗値を調節する場合には上記生理機能的特徴のいずれか一方または双方の変化を評価するステップを含めることができる。
また、この発明は、水頭症患者の脳脊椎液流を調整する装置を提供するものである。この装置は、上記患者の脳室キャビティーを出入りする脳脊椎液流を調整する調節可能な抵抗弁を有しかつ上記脳室キャビティーの生理機能的特徴を測定するセンサ素子を含む移植可能なバイパス形成システムを含むものである。上記センサ素子は上記弁に接続することができ、あるいは上記弁自体から離間して配置することができる。また、この装置は、上記移植可能なバイパス形成システムと通信するために選択的に操作可能な外部システム制御装置を含むものである。手術中に、上記外部システム制御装置はこの装置が上記患者に適用されたとき(すなわち上記システムが外部システム制御装置によって作動したとき)に、上記弁の抵抗調節を成し遂げるように構成されている。1つの実施の形態では、上記センサ素子は上記患者の脳室キャビティー内の容積変化を検出する容積センサである。
この発明の装置における移植可能なバイパス形成システムおよび外部システム制御装置は、手術中に(すなわち上記装置が患者に適用されかつ移植可能なバイパス形成システムが作動されたときに)互いにデータを交信するように構成されている。例えば、外部システム制御装置は、上記センサ素子を作動し、このセンサ素子から生成され生理機能的特徴の測定値を代表する入力信号を受信するように構成されている。1つの局面では、生理機能的特徴は患者の脳室キャビティーの測定容積である。また、外部システム制御装置は、抵抗弁にその抵抗値を調節するように命令する出力制御信号を生成しこの信号を上記弁に送るように構成されている。
この発明の他の局面では、上記外部システム制御装置は、上記容積センサによって検出された測定容積を上記患者の所定目標容積と比較することができるマイクロプロセッサ等の演算処理装置を含めることができる。所定目標値は患者の臨床的評価を通じて確認することができ、したがって特定の患者ごとに合わせて設定変更されている。この目標値は、その後、上記外部システム制御装置に予め設定され、あるいはプログラミングされている。仮に、手術中に、上記外部システム制御装置が測定値と目標値との差を検出した場合には、上記マイクロプロセッサは、ある期間にわたって患者の脳室の目標容積を維持するために、測定容積が目標容積より大きいか、あるいは小さいかに依存して、上記弁の抵抗値を増減するようにプログラミングされている。上記弁を調整するために、上記マイクロプロセッサは現抵抗値を所望の抵抗値に調節するように弁に命令する出力制御信号を生成することができる。しかしながら、仮に測定値が目標値の許容範囲と同一か、あるいはその範囲内に入る場合には、その後に、上記外部システム制御装置は抵抗値レベルを変えないようにプログラミングされている。患者に対して予後の健康被害を生むことになる短時間での弁調節の繰り返し、すなわち過剰な弁調節に対する安全対策として、上記外部システム制御装置は、ユーザーが外部システム制御装置で弁を調節することができる範囲を制限する時間停止機構を含めることができる。例えば、外部システム制御装置の弁調節機能は、予め設定された時間(例えば、1日間、2日間、1週間等)が経過するまで各使用後に作動しないようにして弁調節機能が自動的に再び作動できるように構成することができる。
この発明のさらに他の局面では、上記移植可能なバイパス形成システムは、患者の他の生理機能的特徴を測定する第2のセンサ素子をさらに含めることができる。第1のセンサ素子と同様に、第2のセンサ素子は第2の生理機能的特徴の測定値を示すデータを上記外部システム制御装置に送るように構成することができる。第2のセンサ素子は上記弁に接続することができ、あるいは上記弁自体から離間して配置することができる。1つの実施の形態では、第2のセンサ素子は圧力センサであり、上記他の生理機能的特徴は脳圧である。
この発明の更なる特徴、その本質および種々の利点は、添付した図面および図面と好適な実施の形態の詳細な記述からより明白になるはずである。
この発明は、添付した図面に関連した次の詳細な記述からより完全に理解することができる。
この明細書には、水頭症患者の脳室の容積変化に対応する過剰の脳脊椎液の排液速度を調節することによって上記患者の脳脊椎液流を調整する方法および装置が記述されている。この発明の方法および装置は水頭症患者の頭蓋内腔からの脳脊椎液の排液を調整するものである。上記装置は、調節可能な弁と、脳室の容積変化が発生したときに、あるいは仮に発生した場合に弁抵抗値の補正的な調節がなされるべきか否かを決定する患者あるいは主治医によって定期的に作動させることができる容積センサとを含むものである。
ここで、図面、特に図1に目を向けると、この発明による装置20の1つの実施の形態が図示されている。装置20は、水頭症患者10の体内に移植されているものとして図示されたバイパス形成システム30を含むものである。移植可能なバイパス形成システム30は、患者10の脳室キャビティー12内に導入された近位側の脳室カテーテル32と、患者10の腹膜14内に導入された遠位側の排液カテーテル34とを含むものである。脳室カテーテル32と排液カテーテル34との間には、患者10の脳室キャビティー12を出入りする脳脊椎液流を調整する調節可能な抵抗弁40が延在している。この抵抗弁40は患者の頭蓋骨等のバイパス形成システム30の液路に沿ってどこへでも配置することができる。好ましくは、抵抗弁40は、図示されているように患者10の腹腔14内に配置され、これにより抵抗弁40の制約が最小化される(すなわち、より大きな抵抗弁40は頭蓋骨近傍ではなく、腹膜内に移植することができる)。
また、上記装置20には患者10の生理機能的特徴を測定するセンサ素子50が含まれている。センサ素子50は、弁40に接続することができ、あるいは図1に示されているように弁40から離間して配置することができる。さらに、センサ素子50がバイパス形成システム30の脳脊椎液の流路内に位置決めされているように示されているが、センサ素子50は患者10の脳室キャビティー12内に存在するが上記脳脊椎液の流路の外側に配置することができるものと理解される。1つの実施の形態では、センサ素子50は患者10の脳室キャビティー12内の容積変化を検出するための容積センサである。また、装置20は、移植可能なバイパス形成システム30を作動させかつこのシステムと通信するために選択的に操作可能な外部システム制御装置60を含むものである。手術中に、上記外部システム制御装置60はこの装置60が上記患者に適用されたとき(すなわち上記システム30が外部システム制御装置60によって作動したとき)に、上記弁の抵抗調節を成し遂げるように構成されている。
この発明では、移植可能なバイパス形成システム30および外部システム制御装置60は、手術中に(すなわち上記装置60が上記患者に適用されかつ移植可能なバイパス形成システム30が作動されたときに)互いにデータを交信するように構成されている。例えば、外部システム制御装置60は、上記センサ素子50を作動し、このセンサ素子50から生成され生理機能的特徴の測定値を代表する入力信号を受信するように構成されている。1つの局面では、センサ素子50は容積センサであり、生理機能的特徴は患者10の脳室キャビティー12の測定容積である。また、外部システム制御装置60は、抵抗弁40にその抵抗値を調節するように命令する出力制御信号を生成しこの出力制御信号を上記抵抗弁40に送るように構成されている。
さらに、この発明の移植可能なバイパス形成システム30は、患者の他の生理機能的特徴を測定するための第2のセンサ素子52を含めることができる。第1のセンサ素子50と同様に、第2のセンサ素子52は、上記他の生理機能的特徴の測定値を代表するデータを上記外部システム制御装置60に送るように構成することができる。第2のセンサ素子52は上記抵抗弁40に接続することができ、あるいは上記抵抗弁40自体から離間して配置することができる。1つの実施の形態では、第2のセンサ素子52は圧力センサであり、上記他の生理機能的特徴は患者10の脳圧である。
この発明のバイパス形成システム30および外部システム制御装置60は、移植片と受信装置との間で生理学的データ(例えば、温度、圧力等)を通信する医療遠隔計測システムのものと同様の電子回路を備えることができる。例えば、センサ素子50は、デジタル信号に電子的に変換された後に、外部システム制御装置60へ無線周波数(RF)によって送られる、アナログデータ信号を生成するように構成することができる。当業者の一人は、上記構成が単にこの発明に適した遠隔通信手段の例示に過ぎないものであり、かつ他の非侵襲性の通信手段がこの発明の範囲から逸脱することなく利用することができるものと認識するはずである。
この発明の他の局面では、外部システム制御装置60は、この装置60がセンサ素子50によって検出された測定容積を患者10の所定目標容積と比較することを可能にする演算処理装置(例えばマイクロプロセッサ)を含めることができる。所定目標値は患者10の臨床的評価を通じて確認することができ、したがって特定の患者ごとに合わせて設定変更されている。この目標値は、その後、外部システム制御装置60に予め設定され、あるいはプログラミングされている。手術中に、外部システム制御装置60はバイパス形成システム30を作動し、生理機能的特徴の測定値を検出するものである。外部システム制御装置60は、測定値が目標値より高いか、低いか、あるいは目標値の許容範囲内にあるか否かを確認する演算方式に従って動作する。この評価に基づいて、上記演算方式は、その後、患者10の脳室の目標容積を達成するために、抵抗値を増減し、あるいは維持するか否かを決定することになる。例えば、弁40の抵抗値は仮に測定容積が目標容積より高い場合には減らされ、逆に弁40の抵抗値は仮に測定容積が目標容積より低い場合には増やされる。上記マイクロプロセッサは現抵抗値を所望の抵抗値に調節するように弁40に命令するための出力制御信号を生成することができる。仮に、測定値が目標値の許容範囲と同一か、あるいはその範囲内に入る場合には、現抵抗値はその後に維持され、変更されない。
この発明の1つの実施の形態によれば、調節可能な抵抗弁40は、図2Aおよび図2Bに示されているようにアクチュエータ42を含むものである。アクチュエータ42は抵抗弁40の流量抵抗を選択することが可能である。アクチュエータ40は、少なくとも1つの穴46aを有する円板46を含む選択機構44に接続されており、上記穴46aは円板46の長軸Lに平行な方向にその円板46の周囲部近傍に円板46を横断するものである。さらに、抵抗弁40は複数腔抵抗カテーテル48を含み、このカテーテル48はその一端において遠位側の排液カテーテルに接続されかつその他端において選択機構44に接続されている。複数腔抵抗カテーテル48は一式の抵抗体48aを含み、各抵抗体48aは異なる流量抵抗を規定しかつ円板46およびカテーテル48の長軸Lに平行な方向に延在する通路またはチャンネルとして構成されている。
概ね、抵抗弁40の抵抗値は、選択機構44の円板46の穴46aを抵抗体48aと一直線にするために、アクチュエータ42を回転させることによって調節される。すなわち、アクチュエータ42は、穴46aと上記抵抗システム48の抵抗体48aの1つとの軸合わせをするための円板46の回転運動によって上記抵抗システム48を基準にして選択気候44の相対的な位置決めを可能にする。円板46は、脳脊椎液流が穴46aおよび抵抗体48aを横切り抵抗弁40を経由して排出することを可能にするように位置決めされている。アクチュエータ42は、カテーテル48を基準として円板46を回転運動させるために円板46に接続されたモータを含めることができる。穴46aの大きさは抵抗体48aの抵抗を制限しないように選択されるべきである。
図2Aおよび図2Bに示されているように、選択機構44およびカテーテル48は共に本質的に円筒形状をなしている。カテーテル48内には、複数の抵抗体48aが互いにかつカテーテル48および円板46の長軸と平行な一式の通路を形成するように配置されている。抵抗体48aの開口部は円板46の通路46aの循環路に面している。種々の抵抗値を有する一式の抵抗体48aを設けるために、複数の抵抗体48aはそれぞれ同一の長さで異なる内径を有するように構成されている。抵抗体48aは詰まる傾向を減らすために相対的に大きな内径を有するように構成することができる。抵抗体48aがその構造上の完全性を与えるカテーテル48内に包含されているので、各抵抗体48aの長さは所望の抵抗値を達成するのに必要な長さと同じ程度の長さとすることができる。カテーテル48の抵抗体48aは円板46の通路46aの循環路に面するように円形経路上に配置されている。
手術中に、仮に生理機能的特徴の測定値がその特徴の予め設定された目標値より高いか、あるいは低いことを外部システム制御装置60が検出した場合に、上記装置60は、穴46aを、現に使用された抵抗体48aより高いか、あるいは低い抵抗値を有する選択された抵抗体48aと一直線にするために、円板46を回転させる命令をアクチュエータ42に送る。例えば、仮に測定値が目標値より高い場合に、その後、より低い抵抗値を有する抵抗体48aを選択するように円板46を回転させる。上記選択は、徐々に行うことができる、すなわち円板46は適切な抵抗値に達するまで段階的に回転させることができると共に、外部システム制御装置60は測定値がその患者の目標値に近づきつつあるか、あるいは近づいたことを検出する。この段階的な抵抗調節は、潜在的な問題として、小さな内径を有する抵抗体48aが血球等の特定物質で詰まったとき、その抵抗体48aが使用状態で時が経過したときでさえ、有効に行うことをこの発明に許すものである。この発明が、任意の特定の抵抗体48aの絶対的な大きさや抵抗レベルではなく、動作する各抵抗体48aの相対的な抵抗値または内径に依拠するので、上記カテーテル48はある抵抗体48aが詰まったときでさえ、なお有効である。このことは、ユーザーが上記調節処置中に任意の詰まった抵抗体48aを迂回し(すなわち、徐々に通り越して移動する)、現抵抗値を基準として高い抵抗値あるいは低い抵抗値のいずれかを有する適切な抵抗体48aが検出されるまでカテーテル48を回転させるからである。仮に測定値と目標値との差が検出されない場合には、その後、外部システム制御装置60は抵抗弁40の現抵抗値を変えずに維持するようにプログラミングされている。
概ね、複数腔抵抗カテーテル48の抵抗体48aの内径は、好ましくは約0mmHg/ml/分〜約50mmHg/ml/分の脳脊椎液流の抵抗値範囲を与えるように選択される。例えば、抵抗体48aの内径は約0.30mm〜約0.60mmの範囲とすることができる。抵抗弁40は、円板46を調整することによって抵抗弁40を経由する脳脊椎液流の抵抗値を調節するように構成されている。調節プロセスは、移植後にアクチュエータ42によって非侵襲的に行うことができる。例として、抵抗弁40では、アクチュエータ42の回転が円板46を位置決めすることで、カテーテル48の所望の抵抗体48aが円板46の穴46aと一直線になるときに、脳脊椎液が上記抵抗体48aすなわち通路を通って流れることを可能にする。排液部位の吸収速度に脳脊椎液流の速度を釣り合わせるために、移植後に、抵抗弁40の流量抵抗を非侵襲的に調節する機能は、外科医が患者の生理機能に最適に合わせかつ患者の病理に最適な治療を与えることを容易にする。
また、この発明は、患者の脳室容積の変化に応じて患者の頭蓋腔からの脳脊椎液の排液を調整する方法を提供するものである。この方法は、上記排液速度が脳圧に対応すると共に患者の脳室キャビティーが一定のままになるように移植されたバイパス形成システムの抵抗を調節するステップを含むものである。1つの実施の形態では、上記方法は、この明細書に記述された移植可能なバイパス形成システム30および外部システム制御装置60を用いて水頭症患者の脳脊椎液流を管理するステップを含むものである。
この発明のバイパス形成システム30を移植した水頭症患者10においては、水頭症患者10に外部システム制御装置60を適用して上記バイパス形成システム30を作動させることによって、水頭症患者10あるいは主治医のいずれかが上記外部システム制御装置60を選択的に操作することができる。外部システム制御装置60は、センサ素子50によって測定されるように、脳室キャビティーの生理機能的特徴の値を検出するように構成されている。生理機能的特徴の測定値は、その生理機能的特徴に関する所定の目標値と比較される。所定の目標値は患者の臨床的評価を通じて決定することができることから特定の患者ごとに合わせて設定変更されている。この目標値は、その後、外部システム制御装置60にプログラミングされ、あるいは予め設定される。外部システム制御装置60が測定値と目標値との差を検出するとき、あるいは仮に検出した場合には、外部システム制御装置60は、上記生理機能的特徴に関する所定の目標値を達成するために上記抵抗弁40の抵抗値を上げるべきか、あるいは下げるべきかを決定する。所望の抵抗値を達成するために、外部システム制御装置60を用いて抵抗弁40の現抵抗値が調節される。仮に、本質的に測定値が目標値の許容範囲と同一か、あるいはその範囲内にある場合には、その後、抵抗弁40の抵抗値には何らの変更も加えられない。
外部システム制御装置60の操作中(すなわち、外部システム制御装置60が患者10に適用されかつ移植可能なバイパス形成システム30が作動したとき)、外部システム制御装置60と移植可能なバイパス形成システム30との間でデータが交信される。センサ素子50は生理機能的特徴の測定値を代表するデータを外部システム制御装置60に伝え、外部システム制御装置60は抵抗値を調節する命令を抵抗弁40に伝える。例えば、外部システム制御装置60は、生理機能的特徴の測定値に関するデータを包含するセンサ素子50から生成された入力信号を受信することによって、センサ素子50により測定された生理機能的特徴の値を検出することができる。同様に、外部システム制御装置60は、抵抗弁40に対してその抵抗値を調節する出力制御信号を生成しかつ上記低抗弁40に伝えることによって、上記抵抗弁40の抵抗値を調節することができる。
この発明の1つの局面では、測定されるべき生理機能的特徴は脳室容積であり、センサ素子50は患者の脳室キャビティー12の容積を測定するように構成された容積センサである。したがって、この発明の方法は、脳室容積の変動に特徴がある正常圧水頭症に苦しむ患者の脳脊椎液流を管理するのに特に有効である。この発明の方法は、患者10が正常圧水頭症を発症したときに、すなわち発病したときに、または苦痛あるいは見当識障害を体験したときに実行することができるものと考えられる。また、この発明の方法は、患者10が発症するか、あるいは発病したときはいつも繰り返すことができる。したがって、患者10の症状が表面化したとき、あるいは発病したときには、外部システム制御装置60は脳室のいかなる容積変化をも検出するために患者に適用することができる。仮に上記容積がこの患者10に関して決定される目標容積と違っており、上記装置60で予め設定されていた場合には、その後、この発明の方法は、上記脳室の容積をその目標容積に戻す試みにおいて上記抵抗弁40の抵抗値を調節するように実行することができる。
この発明の他の局面では、脳室キャビティー12の他の生理機能的特徴の値も検出することができる。例えば、移植可能なバイパス形成システム30は、他の生理機能的特徴を測定するための第2のセンサ素子を設けることができる。第2のセンサ素子52は、例えば圧力センサとすることができ、第2の生理機能的特徴は脳圧とすることができる。したがって、この発明の方法は、脳室容積または脳圧のいずれか一方または双方を検出するステップおよび、上記抵抗弁40の抵抗値を調節する場合には上記生理機能的特徴のいずれか一方または双方の変化を評価するステップを含めることができる。
この発明の方法の適用例では、患者10は不安および痛みを経験する。バイパス形成システム30が作動されると共に、このバイパス形成システム30から外部システム制御装置60へデータが送られるように、外部システム制御装置60は上記患者10に適用される。外部システム制御装置60は、患者自身またはこの患者の主治医のいずれかによって利用することができる。仮に測定値が目標値の許容範囲と同一か、あるいはその範囲内に入る場合には、その後に、上記外部システム制御装置60は抵抗値レベルを変えないようにプログラミングされている。しかしながら、仮に外部システム制御装置60が脳室の測定容積が脳室の予め設定された目標容積より大きいか、あるいは小さいことを検出する場合に、外部システム制御装置60は、穴46aを、現在使用された抵抗体48aより高い抵抗値あるいは低い抵抗値を有する選択された抵抗体48aと一直線とするために、円板46を回転させる命令をアクチュエータ42に送る。例えば、仮に脳室の測定容積が目標容積より大きい場合には、その後、外部システム制御装置60は、より低い抵抗値を有する抵抗体48aを選択するように流量増加分(increment)を回転させる命令を円板46に与える。その後、患者の生理機能が抵抗弁の新規に設定されている抵抗値に対応することができる十分な時間(例えば、1日間、2日間、1週間等)が経過した後に、患者が未だ不安または痛みを経験しているか、あるいは単に脳室の現容積を確認したい場合には、外部システム制御装置60は再び患者10に適用して脳室の現容積を測定することができる。仮に外部システム制御装置60が先の測定値に対して脳質の現容積の変化を検出しない場合には、外部システム制御装置60は、円板46を他の流量増加分(increment)に回転させることによって抵抗値を減らす他の命令を抵抗弁40に与える。
適切な抵抗値が達成されると共に外部システム制御装置60が脳室の測定容積が上記患者10の脳室の目標容積に近づきつつあるか、あるいは近づいたことを検出するまでは、上記複数のステップを繰り返すことができるものと考えられる。例えば、上記複数のステップは、患者が苦痛や不安を感じ始めたときはいつでも繰り返すことができる。しかしながら、患者に対して予後の健康被害を生むことになる短時間での弁調節の繰り返し、すなわち過剰な弁調節に対する安全対策として、上記外部システム制御装置60は、所定時間内にユーザーが外部システム制御装置60で抵抗弁40を調節することができる範囲を制限する時間停止機構を含めることができる。例えば、外部システム制御装置60の弁調節機能は、予め設定された時間(例えば、1日間、2日間、1週間等)が経過するまで各使用後に作動しないようにして弁調節機能が自動的に再び作動できるように構成することができる。このような安全対策は、患者の生理機能が短時間に急速な脳脊椎液流の変化を招かないように、調節間に十分な時間が経過することを確保するものである。勿論、上記装置60の弁調節機能が有効でないときでさえ、外部システム制御装置60が患者の脳室キャビティーの容積を検出することができるものと考えられる。したがって、患者は、抵抗弁40を調節するステップ間でも外部システム制御装置60を用いて脳室容積を観察し続けることができる。
この発明は正常圧水頭症の治療に関して記述されかつ図示されたが、この明細書に記述された方法および装置は、水頭症の原因となる他の神経学的疾患の治療に対しても同様に適している。この明細書の記述はこの発明の原理の実例に過ぎず、種々の修正はこの発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者によってなされ得ることであると理解されるはずである。この明細書に引用された全ての参考文献は参照によってそっくりそのままこの明細書に特に組み込まれるものとする。
この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
(1)上記生理機能的特徴の値を検出するステップは、上記センサ素子からの生理機能的特徴の測定値を代表するデータを上記外部システム制御装置に送るステップを含む、請求項1記載の方法。
(2)上記送信ステップは、上記外部システム制御装置で上記センサ素子から生成される入力信号を受信するステップを含む、実施態様(1)記載の方法。
(3)現抵抗値を調節するステップは、抵抗値を調節するための上記外部システム制御装置からの命令を上記弁に送るステップを含む、請求項1記載の装置。
(4)現抵抗値を調節するステップは、所定目標値に達するまで繰り返される、請求項1記載の方法。
(5)上記送信ステップは、上記外部システム制御装置からの出力制御信号を上記弁に送るステップを含む、実施態様(3)記載の方法。
(6)所望の抵抗値を決定するステップは、現抵抗値の増減が所定目標値を達成するのに必要か否かを決定するステップを含む、請求項1記載の方法。
(7)現抵抗値を調節するステップは、上記患者にとって、上記弁の現抵抗値に対応するのに十分な期間が経過した後に繰り返される、実施態様(4)記載の方法。
(8)上記生理機能的特徴は容積であり、上記センサ素子は上記脳室キャビティーの容積を測定するように構成されている、請求項1記載の方法。
(9)上記脳室キャビティーの他の生理機能的特徴の値を検出するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
(10)上記移植可能なバイパス形成システムは、上記他の生理機能的特徴を測定する第2のセンサ素子を含む、実施態様(9)記載の方法。
(11)上記第2のセンサ素子は圧力センサであり、上記他の生理機能的特徴は脳圧である、実施態様(10)記載の方法。
(12)正常圧水頭症に苦しむ患者における脳脊椎液流を管理するのに用いられる、請求項1記載の方法。
(13)上記移植可能なバイパス形成システムを作動させるステップは、患者が正常圧水頭症を発症した後に、行う、実施態様(12)記載の方法。
(14)上記患者が正常圧水頭症を発症したときに繰り返される、実施態様(13)記載の方法。
(15)上記患者にとって、上記弁の現抵抗値に対応するのに十分な期間が経過した後に繰り返される、実施態様(14)記載の方法。
(16)上記センサ素子は上記弁に接続されている、請求項2記載の装置。
(17)上記外部システム制御装置は手術中に上記センサ素子から生成される入力信号を受信するように構成されており、上記入力信号は上記脳室キャビティーの測定された容積の代表値である、請求項2記載の装置。
(18)上記外部システム制御装置は手術中に上記抵抗値を調節するように上記弁に命令する出力制御信号を上記弁に送るようにさらに構成されている、実施態様(17)記載の装置。
(19)上記外部システム制御装置は、上記容積センサによって検出された測定容積を上記患者の所定目標容積と比較するマイクロプロセッサを含む、実施態様(18)記載の装置。
(20)上記目標容積は患者の臨床的評価を通じて決定され、上記マイクロプロセッサは患者への上記装置の適用前に、上記目標容積で予め設定されている、実施態様(19)記載の装置。
(21)上記マイクロプロセッサは、上記目標容積を達成する所望の抵抗値を算定するように設定されている、実施態様(19)記載の装置。
(22)上記移植可能なバイパス形成システムは、上記患者の他の生理機能的特徴を測定する第2のセンサ素子をさらに含み、この第2のセンサ素子は上記他の生理機能的特徴の測定値を代表するデータを上記外部システム制御装置に送るように構成されている、実施態様(21)記載の装置。
(23)上記第2のセンサ素子は圧力センサであり、上記他の生理機能的特徴は脳圧である、実施態様(22)記載の装置。
(24)上記調節可能な抵抗弁は上記患者の腹腔内への移植用に構成されている、請求項2記載の装置。
(25)上記外部システム制御装置は、時間停止機構をさらに含む、実施態様(18)記載の装置。
この発明のバイパス形成システムおよび外部システム制御装置を示す斜視図である。 この発明の調節可能な抵抗弁の1つの実施の形態を示す斜視図である。 図2AのA−A線に沿って破断した調節可能な抵抗弁を示す斜視図である。
符号の説明
10 水頭症患者
12 脳室キャビティー
14 腹腔
20 装置
30 バイパス形成システム
32 脳室カテーテル
34 排液カテーテル
40 抵抗弁
42 アクチュエータ
44 選択機構
46 円板
46a 穴または通路
48 複数腔カテーテルまたは抵抗システム
48a 抵抗体
50 センサ素子
52 第2のセンサ素子
60 外部システム制御装置

Claims (2)

  1. 水頭症患者の脳脊椎液流を調整する方法であって、上記患者の脳室キャビティーを出入りする脳脊椎液流を調整する調節可能な抵抗弁を有しかつ上記脳室キャビティーの生理機能的特徴を測定するセンサ素子を含む移植可能なバイパス形成システムと、上記移植可能なバイパス形成システムと通信するために選択的に操作可能な外部システム制御装置とを用意するステップと、上記移植可能なバイパス形成システムを上記外部システム制御装置で作動させるステップと、上記センサ素子によって測定された脳室キャビティーの生理機能的特徴の値を検出するステップと、上記生理機能的特徴に関する所定目標値と測定値を比較するステップと、上記生理機能的特徴に関する所定目標値を達成するために所望の抵抗値を決定するステップと、上記所望の抵抗値を達成するために上記弁の現抵抗値を調節するステップとを含み、上記外部システム制御装置はこの装置が上記患者に適用されたときに上記弁の抵抗調節を成し遂げるように構成されている、調整方法。
  2. 水頭症患者の脳脊椎液流を調整する装置であって、上記患者の脳室キャビティーを出入りする脳脊椎液流を調整する調節可能な抵抗弁を有しかつ上記脳室キャビティーの生理機能的特徴を測定するセンサ素子を含む移植可能なバイパス形成システムと、上記移植可能なバイパス形成システムと通信するために選択的に操作可能な外部システム制御装置とを含み、上記外部システム制御装置はこの装置が上記患者に適用されたときに上記弁の抵抗調節を成し遂げるように構成されており、上記センサ素子は上記脳室キャビティー内の容積変化を検出する容積センサである、調整装置。
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