JP2005123139A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 自動車にも搭載可能な簡便で安価な燃費計測で、運転状態(ガス漏れ)も検知できる機能を備えた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 第1燃料消費量算出手段20Aは、燃料電池本体11の供給及び排出される酸素状態に基づいて燃料電池本体11での酸素消費量を算出し、この酸素消費量に基づく燃料電池本体11の第1燃料消費量を算出する。一方、第2燃料消費量算出手段20Bは、燃料電池本体11の発電情報に基づく第2燃料消費量を算出する。そして、燃料消費状態監視手段20Eは、これらの燃料消費量に基づいて燃料電池本体11のガス漏れ状態を診断し、燃料電池制御手段20Fにより燃料電池本体11の状態を制御する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池システムを搭載した燃料電池車では、燃料消費量を測定する方法がまだ確立されていない。
従来、法規で定められている試験モード(日本では10−15モード燃費)ではカーボンバランス法が国際標準として用いられている。このカーボンバランス法は、内燃機関の自動車に採用されているが、近年、地球環境問題から研究開発が盛んな燃料電池車には適用が困難であり、燃料電池車の燃費測定方法が鋭意検討されている。
その技術は、非特許文献1又は非特許文献2にて記載されているように、(1)水素燃料タンクの重量を測定する重量法、(2)水素燃料タンク内の圧力を測定する圧力法、(3)水素燃料タンクからの流量を測定する流量法、及び(4)燃料電池の発電電流から求める電流法が主に検討されている。
黒田英二、他3名、「水素燃料電池自動車の燃費計測手法の検討」、2003 JSAE Annual Congress、社団法人 自動車技術会、2003年5月21、No.19-03、p.5−8 黒田英二、他3名、「水素直接形燃料電池自動車の燃費計測手法の検討」、自動車研究、2002年10月、第24巻、第10号、p.49−55
しかしながら、この従来技術では自動車に搭載される水素燃料タンクを測定対象物にすることが困難なため、前述の(1)〜(3)のいずれの方法も別に設けた専用水素燃料タンクを測定対象物としなければならず、試験自動車に専用水素燃料タンクを接続させる必要がある。すなわち、自動車側に接続機構および燃料供給ライン切り替え機構を備えなければならない。これは、自動車のコストアップ、重量アップを招くだけでなく、信頼性や安全性の低下を招く恐れがある。
前述の(4)については、自動車を大幅に改造することなく車載可能な方法であるが、発電に使用された燃料分しか測定できず、燃料電池本体内部で漏れ出る燃料や燃料の一部を外部に排出する燃料電池システムでは、その分誤差を生じ正しい燃費計測ができないという問題がある。
本発明は、このような問題に着目してなされたもので、自動車にも搭載可能な簡便で安価な燃費計測で、さらには運転状態(ガス漏れ)も検知できる機能を備えた燃料電池システムを提供することを目的とする。
そのため本発明では、燃料電池に供給される酸素の状態と、燃料電池から排出される酸素の状態と、これらの酸素状態に基づいて燃料電池での酸素消費量とを算出し、この酸素消費量に基づく燃料電池の燃料消費量を算出する一方、燃料電池の発電情報に基づく燃料消費量を算出する。
本発明によれば、比較的簡便な構成で燃料消費量が測定できるとともに、酸素消費量に基づく燃料消費量と、燃料電池の発電情報に基づく燃料消費量とを比較したりすることで、燃料電池の状態(ガス漏れ等)を監視できるという効果がある。特に、燃料電池車両の場合、その効果は大きい。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システム1の基本構成を示す図である。図2は、燃料電池システム1の供給酸素状態測定手段100及び排出酸素状態測定手段200を説明する図である。
水素(燃料)及び酸素を消費して動力を発生する燃料電池10には、燃料源としての水素タンク2と、大気中の酸素等の酸素源3とが配管を介して接続され、これらから水素及び酸素が供給されるように構成している。
燃料電池10は、供給された水素及び酸素の電気化学反応によって電力を得て、これを出力する。
燃料電池10にて水素及び酸素を消費した後のガスが、排気管4から排出される。
ここで、酸素源3と燃料電池10との間に供給酸素状態測定手段100を、燃料電池10の下流位置に排出酸素状態測定手段200を、それぞれ配設している。これらの測定手段100,200の時間遅れを補正するガス検出タイミング位相補正機能を持った酸素消費量演算回路300と、酸素消費量から燃料消費量(水素消費量)に変換する燃料消費量演算回路400とを配設している。
酸素消費量演算回路300は、供給酸素状態測定手段100と排出酸素状態測定手段200との検出タイミング位相差分を、供給酸素量または燃料電池10の負荷の少なくとも一方に応じて補正する。燃料消費量演算回路400の演算結果は、図示しないデジタル出力部および/またはアナログ出力部に出力される。
次に、図2の燃料消費量算出フローチャートを用いて、この構成における作用について説明する。
ステップ1(図には「S1」と示す。以下同様)では、供給酸素状態測定手段100にて供給酸素量QO2-INを測定する。
ステップ2では、排出酸素状態測定手段200にて排出酸素量QO2-EXを測定する。
ステップ3では、酸素消費量演算回路300にて供給酸素量QO2-INから排出酸素量QO2-EXを差し引いて酸素消費量QO2(=QO2-IN−QO2-EX)を算出する。これにより燃料電池10にて消費された酸素量を算出する。
ここで、供給酸素量QO2-INと排出酸素量QO2-EXとには、主にガス輸送遅れに起因した時間(位相)遅れが存在する。この時間遅れは、定常状態(燃料消費量が変動しない状態)での運転時には問題無いが、過渡状態(燃料消費量が変動する状態)での運転時には、大きな誤差要因となるため、的確な補正を実施する必要がある。
そして、検出タイミング(位相)遅れがガス流量に強く依存することから、供給酸素量QO2-INの情報を酸素消費量演算回路300に入力し、予め求めておいた供給酸素量及び検出タイミング(位相)遅れ量の関係マップから補正している。なお、関係マップに代えて関係式を用いて補正量を算出してもよい。これにより、燃料電池10で消費された酸素消費量QO2をリアルタイムに測定する。
ステップ4では、燃料消費量演算回路400にて酸素消費量QO2から燃料消費量QFUELを算出する。
この算出実行例として、燃料電池車の場合は、2H2+O2→2H2Oの反応式に基づき、次式で求められる。
FUEL(g/sec)=QO2(g/sec)× 2× Kmr <式1>
ここで、2は反応係数、Kmrは水素/酸素の分子量比(1/16)であるから、次式にて表される。
FUEL(g/sec)=QO2(g/sec)× 0.125 <式2>
例えば、従来の内燃機関(化石燃料)の場合は、CmHn+(m+n/2)・O2→m・CO2+(n/2)・H2Oの反応式に基づき、次式で求められる。
FUEL(g/sec)=QO2(g/sec)×(m+n/2)× KCH <式3>
ここで、mは燃料の平均炭素原子数、nは燃料の平均水素原子数、KCHは燃料量に変換する変換係数であり、これらを予め求めておけば、燃料電池車の場合と同様に、酸素消費量QO2から燃料消費量QFUELが求められる。
なお詳細については後述するが、燃料消費量演算回路400は、燃料電池10の発電電流値に基づく燃料消費量も算出する。
図3は、本発明の第1の実施形態を示す図である。なお図1の燃料電池システム1の基本構成と同じ構成・作用部は同一符号を付してその説明を省略する。そして、酸素消費量演算回路300及び燃料消費量演算回路400を省略して示している。
前述の供給酸素状態測定手段100は、供給空気流量計110と、この近傍の第1酸素濃度センサ120と第1水分濃度センサ130とから構成されており、これらが酸素源3から燃料電池10の間に、順に配設されている。
供給空気流量計110は、例えばラミナーフロメータ等の高精度の空気流量計や、熱式空気流量計などであり、質量流量を応答良く検出する。第1酸素濃度センサ120は、酸素濃度を検知する手段として酸素イオン伝導性固体電解質体の濃度計、例えばジルコニア式酸素濃度計を用いる。第1水分濃度センサ130は、空気(供給ガス)中の水分濃度(空気中の水分量:%)を検知可能である。
なお、酸素源3から燃料電池10に供給される空気の温度および湿度が管理されている状態であれば、マップなどを用いることで、供給空気中の酸素濃度C1-WETおよび水分濃度Kc1が予め算出でき、第1酸素濃度センサ120および第1水分濃度センサ130を用いる必要がなくなる。
また前述(図1)の排出酸素状態測定手段200は、排水素燃焼器210と、この近傍の第2酸素濃度センサ220と第2水分濃度センサ230とから構成されており、これらが燃料電池10から排気の流れ方向に、順に配設されている。
排水素燃焼器210は、燃料電池10から排出された排出ガスを燃焼することで、排出ガス中に未燃燃料が存在する場合でも燃料を消費(酸化)させることで、仕事をしないで排出される燃料も燃料消費分とカウントすることができる。
第2酸素濃度センサ220は、酸素濃度を検知する手段として酸素イオン伝導性固体電解質体の濃度計、例えばジルコニア式酸素濃度計を用いる。第2水分濃度センサ230は、排気ガス中の水分濃度(%)を検知可能である。なお、第2酸素濃度センサ220は、プロトン伝導性固体電解質体の濃度計、例えば水素イオン伝導性固体電解質体の濃度計を用いてもよい。第2酸素濃度センサ220としてこれらを用いることで燃料電池車両において実績があり、高信頼性及び低コストを図るためである。そして燃料電池でも使用されている固体高分子膜は比較的低温(250℃以下)でも作動することが可能であり、高い安全性が確保できる。
次に、図4の供給酸素状態算出フローチャートを用いて、この構成における作用について説明する。
ステップ11では、供給空気流量計110の出力信号に基づいて供給空気流量QAIR-WET(g/sec)を算出する。
ステップ12では、第1酸素濃度センサ120の出力信号に基づいて供給酸素濃度(第1酸素濃度)C1-WET(%)を算出する。
ステップ13では、第1水分濃度センサ130の信号に基づいて、供給空気中の水分濃度Kc1(%)を算出する。
ステップ14では、燃料電池10への供給酸素量QO2-IN(mol/sec)を次式により算出する。
O2-IN=Km-O2×C1-WET / 100 <式4>
なお、Km -O2は、質量流量からモル流量に変換する変換係数である。
ステップ15では、第1水分濃度センサ130の測定値Kc1(%)を用いて、供給ガスが基準水分濃度(供給ガス中の水分を低減させた後の水分濃度)、すなわち乾燥状態である場合の供給空気量QAIR-DRY(mol/sec)を次式により算出する。
AIR-DRY=Km-AIR×QAIR-WET / (100−Kc1) <式5>
なお、Km-AIRは質量流量からモル流量に変換する変換係数である。
ステップ16では、水分濃度Kc1を用いて、供給ガスが乾燥状態である場合の供給酸素濃度C1-DRY(%)を次式により算出する。
C1-DRY=C1-WET / (100−Kc1) <式6>
これにより、供給空気中の水分濃度(第1水分濃度)に基づいて供給酸素濃度を補正する。
ステップ17では、供給空気量QAIR-DRY(mol/sec)と、供給酸素濃度C1-DRY(%)とを乗算することで、すなわち次式により水分濃度補正後の供給酸素量QO2-IN-DRY(mol/sec)を算出する。
O2-IN-DRY=QAIR-DRY×C1-DRY <式7>
次に、図5の排出酸素状態算出フローチャートを用いて、この構成における作用について説明する。
ステップ21では、第2酸素濃度センサ220の信号に基づいて排出酸素濃度C2-WET(%)を算出する。
ステップ22では、第2水分濃度センサ230の信号に基づいて排出ガス中の水分濃度Kc2(%)を算出する。
ステップ23では、Kc2を用いて、排出ガスが乾燥状態である場合の排出酸素濃度C2-DRY(%)を次式により算出する。
C2-DRY=C2-WET / (100−Kc2) <式8>
これにより、排出空気中の水分濃度(第2水分濃度)に基づいて排出酸素濃度を補正する。
ステップ24では、排出酸素濃度C2-DRYと、ステップ14にて算出した供給空気流量QAIR-DRY(mol/sec)とを乗算することで、すなわち次式により、排出ガスが基準水分濃度(排出ガス中の水分を低減させた後の水分濃度)、すなわち乾燥状態にある場合の排出酸素量QO2-EX-DRY(mol/sec)を算出する。
O2-EX-DRY=C2-DRY×QAIR-DRY <式9>
以上述べたようにして供給酸素量QO2-IN-DRYと排出酸素量QO2-EX-DRYとが算出される。そして、前述の通り、酸素消費量演算回路300にて酸素消費量QO2-DRY(=QO2-IN-DRY−QO2-EX-DRY)を算出し、燃料消費量演算回路400にて燃料消費量QFUELを算出する。
なお、前述の供給酸素濃度C1-DRYと排出酸素濃度C2-DRYとは、それぞれ次式にて表わされる。
C1-DRY=QO2-IN-DRY /QAIR-DRY <式10>
C2-DRY=(QO2-IN-DRY−QO2)/ (QAIR-DRY −QO2) <式11>
そして、<式10>及び<式11>式からQAIR-DRYを消去して酸素消費量QO2-DRYを次式にて求めてもよい。
O2-DRY=QO2-IN-DRY×(C1-DRY − C2-DRY)/ (C1-DRY×(1− C2-DRY)) <式12>
ここで燃料電池システム1の場合は、供給酸素濃度C1-DRY及び排出酸素濃度C2-DRYと、供給空気量QAIR-DRYとを同一の水分濃度レベル(最も好ましいのは水分を除去したドライ状態)に換算して扱うことで、水分濃度の影響を排除できる。
このように供給空気流量計110の測定値QAIR-WET (g/sec)、第1酸素濃度センサ120の測定値C1-WET (%)、第1水分濃度センサ130の測定値Kc1(%)、第2酸素濃度センサ220の測定値C2-WET (%)、第2水分濃度センサ230の測定値Kc2(%)から酸素消費量QO2-DRYが求められ、さらに前述の<式2>あるいは<式3>にて、燃料消費量QFUELが求められる。
次に図6に示す燃料電池システム1について説明する。
燃料電池本体(スタック)11は、吸気側から空気が供給され正極として作用する空気極11cと、水素タンク2から水素が供給され負極として作用する燃料極11aと、これらの極11a、11cの間に介在する電解質からなる反応体11bとから構成されている。燃料極11aと空気極11cとは、電気負荷12を介して接続されている。
空気極11cには、コンプレッサ111を介して吸気側から必要な量の空気が供給可能である。空気極11cに供給される空気量は、供給空気流量計110により検出する。一方、燃料極11aには、水素タンク2から水素が必要な量だけ供給可能である。
燃料電池本体11は、ガス(空気及び水素)の供給を受けると、反応体11bの電気化学反応により発電する。これにより発生電力を外部に取り出し、電気負荷12を作動する。
また空気極11cは排気管4に接続されており、燃料電池本体11と第2酸素センサ220との間の排気管4には排水素燃焼器210が接続されている。この排水素燃焼器210と燃料電池本体11の空気極11cとの間の排気管4には、水回収管4aが接続されており、この水回収管4aに配置された水回収器14により燃料電池本体11の発電時に生成される水の一部を空気極11cの入口側に戻す。空気ラインは、排気管4から空気極11cの入口側に戻された水以外を、排水素燃焼器210を経由し、燃料電池システム1の外に排出する。
一方、燃料ラインは、燃料である水素が循環されるように構成されている。この燃料循環ラインの途中に水素パージ弁13aが介装され、図示しないパージ制御回路によって適宜駆動され、循環内のガスを排水素燃焼器210に排出している。水素パージ弁13aは、燃料電池本体11の状態に応じて開閉することにより、燃料電池内部の水つまりや、空気極11cから燃料極11aへの空気のリークによる出力低下および効率低下を防止するために使用するものである。
この排水素燃焼器210の下流位置に第2酸素濃度センサ220を取り付けている。この第2酸素濃度センサ220は、酸素イオン伝導性固体電解質体であるジルコニア式酸素センサを用いている。なお第2酸素濃度センサ220は、プロトン伝導性固体電解質体である固体高分子式酸素センサを用いることもでき、例えば水素イオン伝導性固体電解質体を用いてもよい。
次にこの構成の作用について説明する。
供給空気流量計110によって検出される供給空気(質量)流量QAIRから求められる供給酸素量QO2-INと、第2酸素濃度センサ220の測定値を加えて求められる排出酸素量QO2-EXとから燃料電池システム1で消費した酸素消費量QO2が得られ、この酸素消費量QO2は、前述の通り燃料消費量QFUELに変換される(図1,2参照)。これが第1燃料消費量算出手段に相当する。
ここで、燃料消費量QFUELは、発電に使われた水素消費量QWORKと、発電に使われなかった水素量(燃料量)QNO-WORKとの和であり、次式の関係にある。この式により算出される燃料消費量QFUELが第2燃料消費量に相当する。
FUEL = QWORK+QNO-WORK <式13>
この発電に使われた水素消費量QWORKは、電気負荷12によって取り出した電流と一義的な関係にあることから、容易に検出することができる。発電電流値が大きければ、発電に使われた燃料量(水素量)が大きくなるため、時間を含めたマップ等を用いて水素消費量QWORKを算出する。
<式13>の関係から、発電に使われなかった水素量QNO-WORKが求められることが分かる。この発電に使われなかった水素量QNO-WORKは概ね、燃料電池内部から漏れた量(クロスリーク量)QLEAKと、水素パージ量QPURGEとの和であり、次式のように表せる。
NO-WORK=QLEAK+QPURGE <式14>
水素パージ分は、水素パージ制御に応じ変化し、その量(QPURGE)も予め設定されていることから水素パージ制御ON時と水素パージ制御OFF時とを比較することで、水素パージ制御の良否が判断できる。すなわち、水素パージ制御が正常に実行されれば、パージ制御ON時からOFF時の量を差し引いて、次式により表せる。
PURGE=パージ制御ON時QNO-WORK − パージ制御OFF時QNO-WORK <式15>
このように水素パージ制御タイミングに合わせて、この発電に使われなかった水素量QNO-WORKを測定し、その結果から水素パージ制御状態(正常か/異常か)が判断できることを示している。
次に、水素パージ制御が正常状態のときのQNO-WORKから燃料電池内部からの漏れ状態も定量化できる。例えば、水素パージ制御OFF時のQNO-WORK測定値から燃料電池内部からの漏れ量(QLEAK)を知ることができる。このとき、QNO-WORK=QLEAKとなるからである。
以上により算出した第1燃料消費量(酸素消費量に基づく燃料消費量QFUEL)と第2燃料消費量(燃料電池本体11の発電電流に基づく燃料消費量QFUEL)とを比較することにより、燃料電池本体11のガス漏れ状態を検知する。例えば、第1燃料消費量と第2燃料消費量とが一致する場合には、ガス漏れではないことを示す。また第1燃料消費量が第2燃料消費量より多い場合には、ガス漏れ状態であることを示す。
次に、燃料電池本体11のガス漏れ状態を診断する手段20の構成及び作用について図7を用いてさらに説明する。
ガス漏れ状態診断手段20は、第1燃料消費量算出手段20A、第2燃料消費量算出手段(発電電流検出手段)20B、燃費表示出力手段20C、水素パージ制御情報検知手段20D、燃料消費状態監視手段20E、燃料電池制御手段20F、及び運転者への告知手段20Gから構成されている。
第1燃料消費量算出手段20Aは、前述の燃料消費量算出回路400により、供給空気流量計110による供給酸素量QO2-INと、第2酸素濃度センサ220による排出酸素量QO2-EXとから酸素消費量QO2を算出し、これに基づいて燃料電池本体11の燃料消費量QFUELを算出し、この算出結果QFUELを燃費表示出力手段20C及び燃料消費状態監視手段20Eに出力する。
第2燃料消費量算出手段20Bは、燃料電池本体11の発電電流を検出し、この検出結果に基づいて前述の<式13〜15>により第2燃料消費量QFUELを算出する。発電電流は電気負荷12の発電電流値により検出する。この算出結果QFUELは、燃料消費状態監視手段20Eに出力される。
燃費表示出力手段20Cは、例えばリアルタイムに現在の燃費を出力表示可能である。この燃費は、現在走行中の交通状況や道路状況が考慮されていることから、水素タンク2内の残量から走行可能距離を算出する際、より現状に合った情報を運転者に知らせることが可能となる。なお、燃料電池車のように電気自動車の場合、二次電池によっても走行可能なシステムであるため、二次電池の残容量(一般に言うSOC:State Of Charge)も加味すればさらに正確な走行可能距離が求められることは言うまでも無い。
水素パージ制御情報検知手段20Dは、燃料電池本体11の水素パージ制御情報、すなわち水素パージ制御がON時若しくはOFF時であることを検知し、この検知結果を燃料消費状態監視手段20Eに出力する。なお、水素パージ制御ON時は水素パージ弁13aを開放して水素タンク2から水素を排水素燃焼器210へ供給する一方、OFF時は弁13aを閉じて水素の供給を遮断する。
燃料消費状態監視手段20Eは、第1燃料消費量算出手段20A及び第2燃料消費量算出手段20Bの算出結果と、水素パージ制御情報検知手段20Dとからの検知情報(パージ制御ON若しくはOFF)を同時に受け取り、前述の通り燃料消費状態(ガス漏れ状態およびガス漏れ個所)を監視する。そして、第1燃料消費量QFUELと第2燃料消費量QFUELとを比較して、水素パージ制御ON/OFFのタイミングに合わせてガス漏れの程度及び箇所を検知する。これにより、燃料電池10にガス漏れが生じた場合でも、ガス漏れの量に応じて適切な処理を実施する。
燃料消費状態監視手段20Eの結果は告知手段20Gへ送られランプの点灯等により運転者に知らせると共に、燃料電池制御手段20Fにフィードバックしている。
燃料消費状態監視手段20Eが検知結果を燃料電池制御手段20Fにフィードバックする際や運転者に告知する際は、検知結果に応じて実行するようにしている。
そして燃料消費状態監視手段20Eは、<式13>〜<式15>から次式により燃料電池本体11での発電に使われなかった水素量QNO-WORKを算出する。
NO-WORK=QFUEL−QWORK+QLEAK+QPURGE <式16>
この式は、パージ制御OFF時(QPURGE=0)に燃料電池本体内部からの漏れがある場合には、発電に使われなかった水素量QNO-WORKが増加することを示している。このため、発電に使われなかった水素量QNO-WORKが所定量以上であれば燃料が漏れていると判断して、燃料電池本体11を自動的に安全側に導く運転に切り替えるように燃料電池制御手段20Fに適切な処理を実施するよう信号を出力するようにしてもよい。
燃料電池制御手段20Fは、燃料消費状態監視手段20Eから信号を受け、燃料電池本体11への水素供給を遮断、及び/または水素パージ弁13aを開いて水素を排出するようにして燃料電池本体11を制御する。これにより、燃料電池本体11を自動的に安全側に導く運転に切り替え、燃料電池本体11の状態に応じて燃料電池内部の水つまりや、空気極11cから燃料極11aへの空気のリークによる出力低下および効率低下を防止する。
なお一般に用いられているように異常レベルを段階的に設定しておいてもよい。最も異常レベルが高いときは、燃料電池本体11への燃料供給を瞬時に遮断する等により燃料電池本体11の状態を制御することとしているが、それ以外の場合は異常レベルの程度と燃料電池本体11の状態とに応じた制御を実行すれば良い。
また燃料消費状態監視手段(ガス漏れ状態診断手段)20Eは、供給空気流量計110及び第2酸素濃度センサ220から算出された第1酸素消費量QFUELが、発電電流から算出された第2酸素消費量QFUELより所定値以上多い場合に、水素パージ制御ON/OFFのタイミングに合わせて燃料電池本体11のガス(燃料)漏れ状態であるガス漏れの程度及び箇所を検知する。これは<式13>に示すように、第1酸素消費量QFUELが第2酸素消費量QFUELより所定値以上多い場合には、発電に使われなかった水素量QNO-WORKが大きくなり、燃料電池本体11から燃料漏れが生じているためである。
ガス漏れの程度は、発電に使われなかった水素量QNO-WORKが多い場合にはガス漏れが多いことを示しており、この場合には、燃料電池制御手段20F若しくは告知手段20Gによって運転者へ知らせることで、素早く安全性を確保する。
また水素パージ制御ON時QNO-WORKと水素パージ制御OFF時QNO-WORKとのガス漏れ量の差QPURGEが予め設定された水素パージ量と一致する場合は、燃料電池本体内部からのガス漏れと判断し、一致しない場合は、燃料電池本体外部からのガス漏れと判断する。そして、ガス漏れ箇所を告知手段20Gによって運転者へ知らせ、ガス漏れ個所の修復作業(システム復帰)においても素早く安全にできる。
以上、燃料電池車の燃費をオンボードで測定可能となるとともに、この燃費情報は、燃料電池のガス漏れ検知にも活用できることを説明してきたが、水素パージが排出空気ラインに合流しないシステムの場合ではパージ分を見過ごすこととなる。ただし、前述した通りパージ量が予め設定されるか/あるいはパージ時間と頻度等から推定することができる場合は、同様に燃費測定が可能である。
本実施形態によれば、燃料電池10に供給される酸素の状態を測定する供給酸素状態測定手段100と、燃料電池10から排出される酸素の状態を測定する排出酸素状態測定手段200と、供給酸素状態測定手段100及び排出酸素状態測定手段200の測定結果QO2-IN、QO2-EXに基づいて燃料電池10での酸素消費量QO2を算出する酸素消費量算出手段300と、酸素消費量算出手段300の算出結果に基づく燃料電池10の燃料消費量QFUELを算出する第1燃料消費量算出手段20Aと、燃料電池10の発電情報(電気負荷12)に基づく燃料消費量QFUELを算出する第2燃料消費量算出手段20Bと、を備える。このため、比較的簡便な構成で燃料消費量QFUELが測定できるとともに、酸素消費量に基づく燃料消費量QFUELと、燃料電池10の発電情報に基づく燃料消費量QFUELとを比較したりすることで、燃料電池10の状態(ガス漏れ等)を監視できる。特に、燃料電池車両の場合、その効果は大きい。
また本実施形態によれば、供給酸素状態測定手段100は、燃料電池10への供給ガス量QAIRを検知する供給ガス量検知手段110と、供給ガス中の酸素濃度C1を検知する第1酸素濃度検知手段120と、を有し、供給ガス量QAIR及び第1酸素濃度C1に基づいて供給酸素量QO2-INを算出する(ステップ17)。このため、比較的安価で簡便な構成で実現できるという効果がある。具体的には、供給ガス量検知手段110としては、ラミナーフロメータ等の高精度空気流量計や、熱式空気流量計などを用いることができ、酸素濃度検知手段も一般に知られるジルコニア式酸素濃度計、また水分濃度補正手段も安価な温湿度センサを用いることができる。
また本実施形態によれば、供給酸素状態測定手段100は、更に供給ガス中の水分濃度Kc1を検知する第1水分濃度検知手段130を有し、供給ガス量QAIR-WET、第1酸素濃度C1-WET及び第1水分濃度Kc1に基づいて基準水分濃度(供給ガス中の水分を低減させた後の水分濃度)での供給酸素量QO2-IN-DRYを算出する(ステップ17)。このため、供給ガス中の水分濃度を考慮して正確な供給酸素量QO2-IN-DRYの測定ができる。
また本実施形態によれば、第1酸素濃度検知手段120及び第1水分濃度検知手段130は、供給ガスが空気である場合に、空気の温度および湿度から空気中の酸素濃度C1-WETおよび水分濃度Kc1を算出する。このため、供給空気の温度および湿度が管理されている場合には、酸素濃度検出器(酸素濃度センサ)120と水分濃度検出器(湿度センサ)130を省くことができ、さらに簡便で安価な構成で良いという効果がある。
また本実施形態によれば、排出酸素状態測定手段200は、燃料電池10からの排出ガス中の酸素濃度C2-WETを検知する第2酸素濃度検知手段220を有し、供給ガス量QAIR-DRY及び第2酸素濃度C2に基づいて排出酸素量QO2-EXを算出する(ステップ24)。このため、比較的簡便な構成で排出酸素量QO2-EXが測定できる。
また本実施形態によれば、排出酸素状態測定手段200は、更に排出ガス中の水分濃度Kc2を検知する第2水分濃度検知手段230を有し、供給ガス量QAIR-DRY、第2酸素濃度C2-WET及び第2水分濃度Kc2に基づいて基準水分濃度(排出ガス中の水分を低減させた後の水分濃度)での排出酸素量QO2-EX-DRYを算出する(ステップ24)。このため、更に排出ガス中の水分濃度を補正することで水分による影響(気相←→液相の相変化)を抑え、測定精度を大幅に向上させることができる。
また本実施形態によれば、第2酸素濃度検知手段220は、酸素イオン伝導性固体電解質体を用いる。このため、自動車用センサとして適切であり、高信頼性と低コストとが容易に実現できる。
また本実施形態によれば、第2酸素濃度検知手段220は、プロトンイオン伝導性固体電解質体を用いる。このため、燃料電池でも用いられている固体高分子膜は比較的低温(250℃以下)でも作動することが可能で、高い安全性が確保できる。
また本実施形態によれば、酸素消費量算出手段300は、供給酸素状態測定手段100と排出酸素状態測定手段200との検出タイミング位相差分を、供給酸素量QO2-INまたは燃料電池10の負荷の少なくとも一方に応じて補正する。このため、供給酸素量小(低負荷)から供給酸素量大(高負荷)の広い範囲で的確に検出タイミングの位相差分を補正できる。よって、定常状態だけでなく、過渡状態での燃費も精度良くリアルタイムに測定できる。
また本実施形態によれば、更に、第1燃料消費量QFUEL及び第2燃料消費量QFUELに基づいて燃料電池10のガス漏れ状態を診断するガス漏れ状態診断手段20、20Eを備える。このため、更に、燃料電池10のガス漏れ状態を監視できる。
また本実施形態によれば、ガス漏れ状態診断手段20、20Eは、燃料電池11の水素パージ制御情報を検知する水素パージ制御情報検知手段20Dと、燃料電池11の水素パージ制御情報と第1及び第2燃料消費量QFUELとに基づいて燃料電池11での燃料消費状態を監視する燃料消費状態監視手段20Eと、燃料消費状態監視手段20Eの監視結果を運転者に告知する告知手段20Gと、燃料消費状態監視手段20Eの監視結果に基づいて燃料電池11を安全側に導く運転に切り替える制御手段20Fと、を備える。このため、簡便な構成で、燃料電池11の運転状態(ガス漏れ)を、運転しながら(走行しながら)常時監視できる。
また本実施形態によれば、ガス漏れ状態診断手段20、20Eは、第1燃料消費量QFUELが第2燃料消費量QFUELより所定値以上多い場合、水素パージ制御ON/OFFのタイミングに合わせてガス漏れの程度及び箇所を検知する。このため、燃料電池10にガス漏れが生じた場合でも、ガス漏れの量に応じて適切な処理を実施することができる。
また本実施形態によれば、ガス漏れ状態診断手段20、20Eは、水素パージ制御ON時と水素パージ制御OFF時とのガス漏れ量の差が予め設定された水素パージ量と一致する場合は、燃料電池内部からのガス漏れと判断し、一致しない場合は、燃料電池外部からのガス漏れと判断する。このため、ガス漏れ量と水素パージ量とに基づいてガス漏れ状態を判断できる。
次に、本発明の第2の実施形態について図8を用いて説明する。
前述のように供給空気流量計110より上流に、供給空気の温度および湿度を所定の状態に維持する手段(図示せず)を設けており、これによりマップ等を用いることで、前述の供給空気中の酸素濃度(第1酸素濃度)C1および水分濃度Kc1(%)を算出する。
このため、図示の通り、供給側には供給空気流量計110のみを取り付けてあり、第1の実施形態(図3)にて示した第1酸素濃度センサ120および第1水分濃度センサ130を省略している。
本実施形態では、排出側には、第1燃焼器210を通過した後の排出ガスを分流するためのラインとして、排出ガス分流管5を排気管4に接続し、この分流管5に、第2燃焼器211、排出ガス冷却器240、及び第2酸素濃度センサ220をそれぞれ上流から順に配設している。
第2燃焼器211は、第1燃焼器210による燃焼が十分でなく、無視できない未燃燃料が排出された場合でも、その分を燃焼させる。なお燃焼器211は、分流ガス分の未燃ガスを燃焼させるだけで良く、比較的小さい燃焼器でよい。
排出ガス冷却器240は、第2燃焼器211から排出されたガスを所定温度(例えば100℃)以下に冷却する。ここでは、排出ガス冷却器240により排出ガス温度を100℃以下にしている。これは、排出ガス中の水分を凝縮させ、飽和水蒸気状態とすることで、水分濃度をガス温度で観ることができるからである。なお、排出ガス冷却器240による冷却を強力にして、10℃以下にまで下げれば、水分濃度は一定量と見做すことができ、リアルタイムに水分濃度を検知しなくても良い構成となる。
第2酸素濃度センサ220は、排出ガスの排出酸素濃度C2を検知可能であり、排出ガス温度が所定温度以下に下がった部位に配置されている。
次に、図9の供給酸素状態算出フローチャートを用いて、この構成における作用について説明する。
ステップ31では、供給空気の温度および湿度を所定の値に制御する。これにより、空気中の酸素濃度も不変であるので、酸素濃度センサや水分濃度センサは不要になる。なお、供給空気の湿度は、水分による影響を少なくするために乾燥状態にすることが好ましい。
ステップ32では、供給空気流量計110の出力信号に基づいて供給空気流量QAIR-DRY(g/sec)を算出する。
ステップ33では、供給空気流量QAIR-DRYに基づいて供給酸素量QO2-IN-DRY(mol/sec)を求める。ここでは、マップまたは前述の式7を用いることにより供給酸素量QO2-IN-DRYを算出する。
本実施形態によれば、第2酸素濃度検知手段220は、燃料消費後の排出ガスを分流させたライン(排気ガス分流管5)に設けた分流ガス燃焼手段(第2燃焼器)211の下流位置に配置する。このため、排出ガス中に未燃の燃料が存在する場合でも、分流ガス分だけを燃焼させれば良く、小さな燃焼器でも成立させることができ、大幅なコストアップもなく精度向上ができるという効果がある。
また本実施形態によれば、第2酸素濃度検知手段220は、排出ガス温度が所定温度以下に下がった部位に配置するため、水分濃度検知を高応答な温度検出器ででき、過渡運転時の燃費測定の精度向上が図れるという効果がある。
また本実施形態によれば、第2酸素濃度検知手段220は、排出ガス温度を10℃以下に下げる冷却器240の下流位置に配置するため、排出ガス中の水分の影響を小さくすることができ、さらに精度向上ができるという効果がある。
図10は、本発明の第3の実施形態を示す図である。
本実施形態では、排気管4に配置された燃焼器210の下流に、排出ガス中の酸素濃度(第2酸素濃度)を検知手段として第2酸素濃度センサ220及び第3酸素濃度センサ221を設けている。そして、これらの酸素濃度センサ220、221との間に、排出ガスを希釈する希釈ガス供給管250を接続し、排気管4に流入する希釈ガスの供給量を測定する希釈ガス流量計251を設けている。
そして、第2酸素濃度センサ220が希釈ガス供給前の排出ガス中の酸素濃度C2を測定し、第3酸素濃度センサ221が希釈ガス供給後の排出ガス中の酸素濃度C3を測定する。
供給酸素量QO2-IN-DRYは、第2の実施形態と同じく算出する(図9参照)。
排出酸素量QO2-EX-DRYは、以下のようにして求める。先ず、供給空気流量計110の信号に基づき算出された供給空気流量QAIR-DRY(g/sec)に基づいて希釈酸素量q3(mol/sec)を次式により算出する。
q3=Km-DRY×QAIR-DRY×0.2095 <式17>
ここで、0.2095は乾燥空気中の酸素分圧、Km-DRYは質量流量からモル流量に変換する変換係数である。
この希釈酸素量q3、第2酸素濃度センサ220の測定値C2-WET (%)、第3酸素濃度センサ221の測定値C3-WET (%)、及び排出酸素量QO2-EX-DRYには、次式の関係がある。
C2-WET=QO2-EX-DRY / QAIR-DRY <式18>
C3-WET=(QO2-EX-DRY+q3)/(QAIR-DRY+q3) <式19>
以上のようにC2-WET、C3-WETの濃度をそれぞれの流量比と考えることで、<式18>及び<式19>より、以下の式が導かれる。
O2-EX-DRY= C2-WET・q3(C3-WET−1)/(C2-WET−C3-WET) <式20>
以上のようにして排出酸素量QO2-EX-DRYが求められる。
よって、酸素消費量QO2-DRYは、供給酸素量QO2-IN-DRYから排出酸素量QO2-EX-DRYを差し引いて(QO2-IN-DRY−QO2-EX-DRY)算出され、前述の<式3>によって、燃料消費量QFUEL が求められる。
以上、消費量の単位を瞬時値としてg/secで説明してきたが、この瞬時値を積分すれば、消費量g、あるいはモード燃費(km/g、km/L) 等のデータに変換できる。
本実施形態によれば、燃料消費後の排出ガス中に外部から希釈ガスを供給する希釈ガス供給手段250と、希釈ガス供給手段250により供給される希釈ガス量q3を検知する希釈ガス供給量検知手段と、を備え、排出酸素状態測定手段200は、第2酸素濃度検知手段として、希釈ガス供給手段の上流及び下流にて酸素濃度を検知する手段220,221を有し、希釈ガス供給量q3と希釈ガス供給手段の上流及び下流の酸素濃度C2,C3とから排出酸素量QO2-EX-DRYを算出する。このため、化石燃料を燃焼させて動力を得る内燃機関のように、供給(空気)ガス量と燃焼後の排出ガス量が異なる場合でも、燃焼後の排出ガス量を個別に求めれば、排出ガス中の酸素量が測定できる。すなわち、直接水素形燃料電池だけでなく、改質形燃料電池や内燃機関(爆発燃焼)にも本発明が適用できる。
燃料消費量測定装置の基本構成を示す図 供給酸素状態測定手段及び排出酸素状態測定手段を説明する図 第1の実施形態の構成を示す図 供給酸素状態算出フローチャート 排出酸素状態算出フローチャート 燃料電池システムを示す図 ガス漏れ状態診断手段の構成を示す図 第2の実施形態の構成を示す図 供給酸素状態算出フローチャート 第3の実施形態の構成を示す図
符号の説明
1 燃料電池システム
2 水素タンク
3 酸素源
10 燃料電池
11 燃料電池本体
100 供給酸素状態測定手段
120 第1酸素濃度センサ
130 第1水分濃度センサ
200 排出酸素状態測定手段
210 排水素燃焼器
220 第2酸素濃度センサ
221 第3酸素濃度センサ
230 第2水分濃度センサ
240 排出ガス冷却器
250 希釈ガス供給管
251 希釈ガス流量計
300 酸素消費量演算回路
400 燃料消費量演算回路

Claims (17)

  1. 燃料電池に供給される酸素の状態を測定する供給酸素状態測定手段と、
    燃料電池から排出される酸素の状態を測定する排出酸素状態測定手段と、
    前記供給酸素状態測定手段及び前記排出酸素状態測定手段の測定結果に基づいて燃料電池での酸素消費量を算出する酸素消費量算出手段と、
    前記酸素消費量算出手段の算出結果に基づく燃料電池の燃料消費量を算出する第1燃料消費量算出手段と、
    燃料電池の発電情報に基づく燃料消費量を算出する第2燃料消費量算出手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記供給酸素状態測定手段は、
    燃料電池への供給ガス量を検知する供給ガス量検知手段と、
    供給ガス中の酸素濃度を検知する第1酸素濃度検知手段と、を有し、
    前記供給ガス量及び前記第1酸素濃度に基づいて供給酸素量を算出することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記供給酸素状態測定手段は、
    更に供給ガス中の水分濃度を検知する第1水分濃度検知手段を有し、
    前記供給ガス量、前記第1酸素濃度及び前記第1水分濃度に基づいて基準水分濃度での供給酸素量を算出することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 前記第1酸素濃度検知手段及び前記第1水分濃度検知手段は、供給ガスが空気である場合に、空気の温度および湿度から空気中の酸素濃度および水分濃度を推定するものであることを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
  5. 前記排出酸素状態測定手段は、
    燃料電池からの排出ガス中の酸素濃度を検知する第2酸素濃度検知手段を有し、
    前記供給ガス量及び前記第2酸素濃度に基づいて排出酸素量を算出することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  6. 前記排出酸素状態測定手段は、
    更に排出ガス中の水分濃度を検知する第2水分濃度検知手段を有し、
    前記供給ガス量、前記第2酸素濃度及び前記第2水分濃度に基づいて基準水分濃度での排出酸素量を算出することを特徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
  7. 前記第2酸素濃度検知手段は、燃料消費後の排出ガスを分流させたラインに設けた分流ガス燃焼手段の下流位置に配置することを特徴とする請求項5または請求項6記載の燃料電池システム。
  8. 前記第2酸素濃度検知手段は、排出ガス温度が所定温度以下に下がった部位に配置することを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  9. 前記第2酸素濃度検知手段は、排出ガス温度を10℃以下に下げる冷却器の下流位置に配置することを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  10. 前記第2酸素濃度検知手段は、酸素イオン伝導性固体電解質体を用いたことを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  11. 前記第2酸素濃度検知手段は、プロトン伝導性固体電解質体を用いたことを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  12. 燃料消費後の排出ガス中に外部から希釈ガスを供給する希釈ガス供給手段と、
    前記希釈ガス供給手段により供給される希釈ガス量を検知する希釈ガス供給量検知手段と、を備え、
    前記排出酸素状態測定手段は、
    前記第2酸素濃度検知手段として、前記希釈ガス供給手段の上流及び下流にて酸素濃度を検知する手段を有し、
    前記希釈ガス供給量と前記希釈ガス供給手段の上流及び下流の酸素濃度とから排出酸素量を算出することを特徴とする請求項6〜請求項11のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  13. 前記酸素消費量算出手段は、前記供給酸素状態測定手段と前記排出酸素状態測定手段との検出タイミング位相差分を、供給酸素量または燃料電池の負荷の少なくとも一方に応じて補正することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  14. 更に、前記第1燃料消費量及び前記第2燃料消費量に基づいて燃料電池のガス漏れ状態を診断するガス漏れ状態診断手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  15. 前記ガス漏れ状態診断手段は、
    燃料電池の水素パージ制御情報を検知する水素パージ制御情報検知手段と、
    前記燃料電池の水素パージ制御情報と前記第1及び第2燃料消費量とに基づいて燃料電池での燃料消費状態を監視する燃料消費状態監視手段と、
    燃料消費状態監視手段の監視結果を運転者に告知する告知手段と、
    燃料消費状態監視手段の監視結果に基づいて燃料電池を安全側に導く運転に切り替える制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項14記載の燃料電池システム。
  16. 前記ガス漏れ状態診断手段は、前記第1燃料消費量が前記第2燃料消費量より所定値以上多い場合、水素パージ制御ON/OFFのタイミングに合わせてガス漏れの程度及び箇所を検知することを特徴とする請求項15記載の燃料電池システム。
  17. 前記ガス漏れ状態診断手段は、水素パージ制御ON時と水素パージ制御OFF時とのガス漏れ量の差が予め設定された水素パージ量と一致する場合は、燃料電池内部からのガス漏れと判断し、一致しない場合は、燃料電池外部からのガス漏れと判断することを特徴とする請求項15または請求項16記載の燃料電池システム。
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