JP2005118801A - アーク溶接装置 - Google Patents

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卓秀 平山
Yasuhiro Koga
靖弘 古賀
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Abstract

【課題】アークスタート時に溶接ワイヤの溶断した大きなスパッタを飛散させることなく、アークを確実に発生させる。
【解決手段】溶接ワイヤ4を送給するワイヤ送給手段10と、溶接電流値を検出する溶接電流検出手段12と、溶接電圧を検出する溶接電圧検出手段13とを備える消耗電極式アーク溶接装置において、溶接電流値と溶接電圧値とに基づいてアーク状態を判定するアーク状態判定手段15と、溶接ワイヤ4と被溶接物との接触を検出する接触検出手段14と、アークスタート時に、アーク状態判定手段15と接触検出手段14との結果に応じてワイヤ送給速度を変更するワイヤ送給速度制御手段16とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、消耗電極式ガスシールドアーク溶接電源のアーク溶接装置に関する。
消耗電極式ガスシールドアーク溶接において、アークスタート性能向上のためワイヤ送給速度制御に特徴を有する発明が開示されている。
従来のアーク溶接電源について、図4を用いて説明する。図4は従来のアーク溶接電源のワイヤ送給制御に関する構成図である。アーク溶接電源24のワイヤ送給速度制御手段は、第1ワイヤ送給速度設定手段20、第2ワイヤ送給速度設定手段21、定常ワイヤ送給速度設定手段22、ワイヤ送給速度切替手段23からなる。第1ワイヤ送給速度設定手段20はアークスタート時において溶接ワイヤが被溶接物に接触するまでの第1ワイヤ送給速度を設定する。第2ワイヤ送給速度設定手段21はアークスタート時において、溶接ワイヤが被溶接物に接触してからある所定時間経過までの第2ワイヤ送給速度を設定する。定常ワイヤ送給速度設定手段22は、溶接定常状態でのワイヤ送給速度を設定する。ワイヤ送給速度制御手段23は、前述の第1ワイヤ送給速度、第2ワイヤ送給速度、定常ワイヤ送給速度に、ワイヤ送給速度を順次切替え制御する。
図5はワイヤ送給速度の切り替え制御を表すタイミングチャートである。時刻t0において、溶接開始指令がONすると溶接電源は無負荷電圧を出力すると同時に、第1ワイヤ送給速度V1にて溶接ワイヤの送給を開始する。時刻t1において溶接ワイヤが被溶接物に接触した時点でワイヤ送給速度を第1ワイヤ送給速度V1から第2ワイヤ送給速度V2に切り替え、溶接ワイヤを高速に送給する。同時に溶接電源はスタートパルス電流を流すことでアーク発生を試みる。スタートパルス印加後、予め設定された一定時間が経過した時刻t2において、ワイヤ送給速度を第2ワイヤ送給速度V2から定常ワイヤ送給速度Vfに減速させ、定常溶接状態に移行する。このように、先願の発明のアークスタート制御方法では、溶接ワイヤが被溶接物に接触した時点から予め設定された一定時間経過期間は、ワイヤ送給速度を第2ワイヤ送給速度に切り替え、第1ワイヤ送給速度よりも高速に制御することによりアークスタート性向上を図っていた(例えば、特許文献1)。
このように、従来のアーク溶接装置のアークスタート制御方法では、溶接ワイヤが接触した時点で高速に溶接ワイヤを送給させ、ある一定時間経過後に定常ワイヤ送給速度に切り替えることを特徴としていた。
特開平10−34335号公報
しかしながら、従来のアーク溶接装置のアークスタート制御方法では、アークが発生したか否かに関わらず常に溶接ワイヤが被溶接物に接触した時点でワイヤ送給を高速にするので、アークスタート時に溶接ワイヤを溶断させて大きなスパッタを飛散させるという問題があった。従来のアークスタート制御方法における溶接ワイヤの溶断現象について図6を用いて説明する。図6は従来の発明でのアークスタート時における溶接状態図である。図6(a)は時刻t1における溶接状態を示しており、溶接ワイヤ4が被溶接物5に接触しスタートパルス電流が印加開始された瞬間である。
図6(b)は時刻t1’における溶接状態を示している。時刻t1’では、まだアークが発生していないにもかかわらず、溶接ワイヤ4が第2ワイヤ送給速度V2で高速に送給され続けるため、溶接ワイヤ4が溶融されずに屈曲してしまう。図6(c)は時刻t2における溶接状態であり、溶接ワイヤ4が高速に送給され続けることで屈曲し溶断されることにより、アークが発生する。このように、アークが発生していない状態で溶接ワイヤ4を高速に送給すると、溶接ワイヤ4が屈曲し溶断される量が大きくなり、アークスタート時における多大なスパッタ5発生の一因となる。又、溶接ワイヤ4が被溶接物に接触した時点でアークが発生した場合においても、溶接ワイヤ4を高速に送給すると一旦発生したアークを消弧させることがあり、アークスタート性を悪化させる場合があった。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、アークスタート時に溶接ワイヤの溶断した大きなスパッタを飛散させることなく、アークを確実に発生させることができるアーク溶接装置を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
本発明の請求項1記載のアーク溶接装置は、溶接ワイヤを送給するワイヤ送給手段と、溶接電流値を検出する溶接電流検出手段と、溶接電圧を検出する溶接電圧検出手段とを備える消耗電極式アーク溶接装置において、前記溶接電流値と前記溶接電圧値とに基づいてアーク状態を判定するアーク状態判定手段と、前記溶接ワイヤと被溶接物との接触を検出する接触検出手段と、アークスタート時に、前記アーク状態判定手段と前記接触検出手段との結果に応じてワイヤ送給速度を変更するワイヤ送給速度制御手段とを備えることを特徴とするものである。
本発明の請求項2記載のアーク溶接装置は、前記ワイヤ送給速度制御手段は、前記接触検出手段で接触が検出された後、前記アーク状態判定手段でアーク発生と判定されるまでは、ワイヤ送給速度を定常速度より小さくすることを特徴とするものである。
本発明の請求項3記載のアーク溶接装置は、前記ワイヤ送給速度制御手段は、前記接触検出手段で接触が検出された後、前記アーク状態判定手段でアーク発生と判定されるまでは、ワイヤ送給速度を1m/分以下、または、ワイヤ送給を停止することを特徴とするものである。
本発明のアーク溶接装置によると、溶接ワイヤが被溶接物に接触し短絡している間はワイヤ送給速度を遅くし、過剰に溶接ワイヤを送給しないので、確実にアークを点弧させることができ、溶接ワイヤの溶断した大きなスパッタを飛散させることなく、確実にアークスタートさせることができる。
以下、本発明の具体的実施例を図に基づいて説明する。
図1は、本発明のアーク溶接装置の構成図である。
溶接ワイヤ4は、ワイヤ送給手段10により溶接トーチ2へ送給される。溶接ワイヤ4は、溶接トーチ2の先端から被溶接物3へ送り出され、アーク溶接を実行する。また、溶接時の溶接電流値は、溶接電流検出手段12で検出される。同様に、溶接電圧値は、溶接電圧検出手段13で検出される。
接触検出手段14は、溶接ワイヤ4が被溶接物3に接触すると、溶接電圧値が低下することによって接触を検出する。または、溶接電流が流れることにより、接触を検出する。接触検出手段14は、接触を検出した場合、ワイヤ送給速度制御手段16に接触を通知する。
アーク状態判定手段15は、溶接電流検出手段12と溶接電圧検出手段13の検出した溶接電流値及び溶接電圧値を元に、アークの発生を判定する。
以下に、発明の時系列的な変化を説明する。
図2に本発明によるワイヤ送給速度の切り替え制御を表すタイミングチャートを示す。時刻t0において、溶接開始指令がONするとアーク溶接電源は無負荷電圧を出力すると同時に、第1ワイヤ送給速度V1にて溶接ワイヤ4の送給を開始する。時刻t1において溶接ワイヤ4が被溶接物3に接触した時点でワイヤ送給速度を第1ワイヤ送給速度V1から第2ワイヤ送給速度V2に切り替え、溶接ワイヤ送給を減速させる。同時にアーク溶接電源24はスタートパルス電流を流すことでアーク発生を試みる。スタートパルス電流は300A以上のパルス波形である。スタートパルス電流印加後、アーク状態判定手段15によりアークが発生したかを監視し、アークが発生するまでワイヤ送給速度は第2ワイヤ送給速度で減速した状態を保持する。時刻t2においてアークが発生すると、ワイヤ送給速度を第2ワイヤ送給速度V2から定常ワイヤ送給速度Vfに加速させ、定常溶接状態に移行する。
図3に本発明のアークスタート制御方法による溶接状態図を示す。図3(a)は時刻t1における溶接状態を示しており、溶接ワイヤ4が被溶接物3に接触しスタートパルス電流が印加開始された瞬間である。図3(b)は時刻t1’における溶接状態を示している。時刻t1’では、ワイヤ送給速度を第2ワイヤ送給速度V2に減速しているため、溶接ワイヤ4が過剰に送給されることなく屈曲していない。図3(c)は時刻t2における溶接状態であり、溶接ワイヤ4が屈曲され溶断されることなく、アークが発生している。
尚、具体的には、第1ワイヤ送給速度V1は3m/分以下、第2ワイヤ送給速度V2は1m/分以下が最適であることを実験より確認した。
このように、本発明のアーク溶接装置では、溶接ワイヤが被溶接物に接触した時点でワイヤ送給を第2ワイヤ送給速度に減速させ、アークが発生したことを確認してから定常ワイヤ送給速度に切り替えるので、溶接ワイヤを溶断させることなく確実にアークを発生させることができ、アークスタート性を向上させることができる。
本発明の第2の実施例では、第1の実施例において第2ワイヤ送給速度V2を0に設定することを特徴とするものである。すなわち、溶接ワイヤが被溶接物に接触し短絡した瞬間に、ワイヤ送給を停止させスタートパルス電流を印加し、アークが発生し所定時間経過後にワイヤ送給速度を定常ワイヤ送給速度に切替える。
このように、本発明の第2の実施例では、溶接ワイヤが被溶接物に接触した時点でワイヤ送給を停止させ、アークが発生したことを確認してから定常ワイヤ送給速度に切り替えるので、溶接ワイヤを溶断させることなく確実にアークを発生させることができ、アークスタート性をさらに向上させることができる。
本発明は、消耗電極式ガスシールドアーク溶接電源のアーク溶接装置に有用である。
本発明の制御ブロック図 本発明の実施例を示すアークスタート制御のタイミングチャート 本発明のアークスタートの状態図 従来のアーク溶接電源のワイヤ送給制御に関するブロック図 従来のアークスタート制御のタイミングチャート 従来のアークスタート失敗の状態図
符号の説明
2:溶接トーチ3:被溶接物
4:溶接ワイヤ
10:ワイヤ送給手段
12:溶接電流検出手段
13:溶接電圧検出手段
14:接触検出手段
15:アーク状態判定手段
16:ワイヤ送給速度制御手段

Claims (3)

  1. 溶接ワイヤを送給するワイヤ送給手段と、溶接電流値を検出する溶接電流検出手段と、溶接電圧を検出する溶接電圧検出手段とを備える消耗電極式アーク溶接装置において、
    前記溶接電流値と前記溶接電圧値とに基づいてアーク状態を判定するアーク状態判定手段と、
    前記溶接ワイヤと被溶接物との接触を検出する接触検出手段と、
    アークスタート時に、前記アーク状態判定手段と前記接触検出手段との結果に応じてワイヤ送給速度を変更するワイヤ送給速度制御手段とを備えることを特徴とするアーク溶接装置。
  2. 前記ワイヤ送給速度制御手段は、前記接触検出手段で接触が検出された後、前記アーク状態判定手段でアーク発生と判定されるまでは、ワイヤ送給速度を定常速度より小さくすることを特徴とする請求項1記載のアーク溶接装置。
  3. 前記ワイヤ送給速度制御手段は、前記接触検出手段で接触が検出された後、前記アーク状態判定手段でアーク発生と判定されるまでは、ワイヤ送給速度を1m/分以下、または、ワイヤ送給を停止することを特徴とする請求項1乃至2記載のアーク溶接装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101179256B1 (ko) * 2012-01-20 2012-09-03 (주)퍼스트파워일렉트로닉스 가용성 와이어를 이용한 아크 용접기 및 이를 이용한 용접방법

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