JP2005118027A - 芝草育成用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 芝生を造成しようとする床土に固定するだけで特別な手間をかけることなく芝草の発芽及び苗の育成を簡単に行える芝草育成用シートを提供する。
【解決手段】 少なくとも芝草の種子2を保持し且つ種子2からの根が貫通できる支持シート7を有する種子層3と、通気穴5を設けた非透水性の被覆シート6とを結合して一体化する。
【選択図】 図1
【解決手段】 少なくとも芝草の種子2を保持し且つ種子2からの根が貫通できる支持シート7を有する種子層3と、通気穴5を設けた非透水性の被覆シート6とを結合して一体化する。
【選択図】 図1
Description
本発明は芝草育成用シートに関する。
芝生は、道路沿い等の法面の保護、美観向上及び環境保全、庭園、ゴルフ場等諸々の場所での緑化、景観の向上その他の目的のために、ひろく造成されている。
芝生を造成する場合、従来の工法としては、床土を整えた後、芝草の種子を蒔き、その上をビニールシートのような非透水性のシートで覆って、苗が定着するまで、即ち、発芽から必要な若い葉が生えるまでの間、強雨、強風、乾燥等から保護するようにしている。また、前記の乾燥への対策として、例えば、特開平9−140272号公報中に従来技術として、ポリエチレン製フィルムに穴を開けたものを芝生の上に覆う工法が記載されている。
特開平9−140272号公報
このような従来工法によると、前述したように、床土に芝草の種子を蒔く作業及びその上をビニールシート等で覆う作業を個別に行わなければならず、また、床土に芝草の種子を蒔く際には種子を均等に配置しなければならないこと、種蒔きの際に種子が風によって飛散するのを防止する作業が伴うこと、また、その上をビニールシート等で覆う際にも、ビニールシートと床土との間に風が吹き込んで種子や種子にかけた土が飛散するのを防止する必要があること、このように種子が飛散したり配置が片寄ったりしたときは、種子を蒔きなおさなければならないこと等の作業も伴っていた。そのため、芝生を造成するための最初の段階で多大な労力がかかって、施工上の作業効率が非常に悪いという問題があった。
更に、前述のようなシートを被覆しただけでは、1)種子を蒔いた床土の表面状態の十分な安定が得にくいため、発芽不良又は苗の生育不良、発芽又は発芽後の苗の生育のばらつきが生じ、2)芝生が定着する前に大雨、大風等があると、特に法面を構成している表土が大量に流出して種子又は成長期の芝草も共に流出して失われ、3)種子、根部の温度が安定しないため、発芽直後に種子が枯れ死を起こしたり、発芽後の成長不良を招き、4)直射日光の当たる施工場所は極端な高温になって、種子が死滅してしまい、5)芝草が暖地型の場合に、発芽後植物が充分に生長していない段階では、冬期に枯れ死して越冬できないことが多い等の問題を生じていた。また、従来の工法においては、種蒔き、発芽促進資材の施工、雨等による法面の種子の流失防止の作業、芝草の生育環境の安定化の作業等には多大な労力を要するうえ、前記シートが地面との適正な距離を完全に保つことが困難であるため種子又は苗の生育にばらつきが出る、という問題もあった。
本発明は、前述のような諸問題の全部又は一部を解決すべくなされたもので、その目的とするところは、第一に、芝生を造成しようとする床土に固定するだけで特別な手間をかけることなく芝草の発芽及び苗の育成を簡単に行える芝草育成用シートを提供することにある。第二に、前記第一の目的に加えて、手間をかけずに芝草が良好に発芽し生育する芝草育成用シートを提供することにある。第三に、前記第一の目的に加えて、手間をかけずに芝草がより良好に発芽し生育する芝草育成用シートを提供することにある。第四に、簡単な構造でありながら、芝生を造成しようとする床土に固定するだけで手間をかけることなく芝草の苗の育成を簡単に行え、芝草が良好に発芽し生育する芝草育成用シートを提供することにある。
前記の目的を達成するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。即ち、請求項1に係る発明の芝草育成用シートは、少なくとも芝草の種子を保持し且つ前記種子からの根が貫通できる支持シートを有する種子層と、通気穴を設けた非透水性の被覆シートとを結合して一体化したことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の芝草育成用シートにおいて、前記種子と前記被覆シートとの間に、前記種子と前記被覆シートとを離隔させる空気層を設けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の芝草育成用シートにおいて、前記種子層の下側に、前記芝草を良好に生育させるための生育補助材を保持し且つ前記種子からの根が貫通できる補助材支持シートを有する機能層を結合して一体化したことを特徴とする。
請求項4に係る発明の芝草育成用シートは、少なくとも芝草の種子を保持し且つ前記種子からの根が貫通できる支持シートと、通気穴を設けた非透水性の被覆シートとを、前記種子の径を超える高さの空気層を介して、結合して一体化したことを特徴とする。
請求項1の発明に係る芝草育成用シートは、少なくとも芝草の種子を保持し且つ前記種子からの根が貫通できる支持シートを有する種子層と、通気穴を設けた非透水性の被覆シートとを結合して一体化したことにより、芝生を造成しようとする床土に固定するだけで芝生の造成を簡単に行えるので、芝生造成作業における労力を大幅に軽減できるという効果を奏する。
請求項2の発明に係る芝草育成用シートは、請求項1に記載の芝草育成用シートにおいて、前記種子層と前記被覆シートとの間に、前記種子層と前記被覆シートとを離隔させる空気層を設けたことにより、請求項1による効果に加えて、施工場所に設置した後、そのままで芝草が良好に発芽し生育するので、芝草の生育のための諸々の管理作業が不要となるという効果を奏する。
請求項3の発明に係る芝草育成用シートは、請求項1又は2に記載の芝草育成用シートにおいて、前記種子層の下側に、前記芝草を良好に生育させるための生育補助材を保持し且つ前記種子からの根が貫通できる補助材支持シートを有する機能層を結合して一体化したことにより、請求項1又は2による効果に加えて、施工場所に設置した後、そのままで芝草がより良好に発芽し生育するので、芝草の生育のための諸々の管理作業がより確実に不要となるという効果を奏する。
請求項4の発明に係る芝草育成用シートは、少なくとも芝草の種子を保持し且つ前記種子からの根が貫通できる支持シートと、通気穴を設けた非透水性の被覆シートとを、前記種子の径を超える高さの空気層を介して、結合して一体化したことにより、芝生を造成しようとする床土に固定するだけで芝生の造成を簡単に行えるので、芝生造成作業における労力を大幅に軽減できるうえ、施工場所に設置した後、そのままで芝草が良好に発芽し生育するので、芝草の生育のための諸々の管理作業が不要となるという効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1から図3を参照しながら、本発明の実施の形態1について説明する。図1は本発明の実施の形態1における芝草育成用シートの断面図、図2は前記芝草育成用シートを構成する種子層の部分省略平面図、図3は被覆シートの部分省略平面図である。図面はいずれも本発明の理解のために概念的に描いたもので、実際の芝草育成用シートにおける各部の寸法、比率等を再現したものではない。下記の図4以降の図についても同様である。
図に示すように、芝草育成用シート1は、少なくとも芝草の種子2を保持する種子層3と、種子層3を被覆する、通気穴5を設けた非透水性の被覆シート6とを結合して一体化して構成したものである。詳しく述べると、種子層3は、この実施の形態においては、芝草の種子2と、種子2を保持した即ちサンドイッチ状に挟んで付着させた図中下側と上側の2枚の透水性の支持シート7,8とからなっている。この種子2は、芝生を造成しようとする場所、気候等の条件に合った草種のものを使用する。例えば、この実施の形態に特に適した種子としては、耐暑性、耐塩性、耐旱性に強い品種であるティフ・ブレア等が挙げられる。
一方、支持シート7,8の素材としては、環境対策をも考慮して、例えば、生分解性を有する透水性の紙、綿、シート状物等を使用することがのぞましい。ここで、前記「生分解性」とは、紫外線や微生物により分解し最終的に土に戻って環境汚染を起こさないような性質をいう。そのような透水性の紙として、いわゆるトイレットペーパーのような紙質のものは、使用に適するものの一つである。また、支持シート7,8は、施工した場所での透過光(自然光)の明暗度の制御をする場合、種子がクローバー等のように嫌光性である場合、他の雑草の生長を阻害する必要がある場合等必要に応じて、色を白色か黒色かに適宜使い分ける。更に、支持シート7,8は、それぞれ、種子2から生える芽、根が貫通できるような密度、強度のものを使用するが、素材の性質によっては微小な貫通穴を予め設けておくこともできる。
この支持シート7,8に種子2を保持する方法としては、例えば、支持シート7,8のうち図中下側のシート7に例えば水溶性で種子2の発芽、生育を妨げないような糊を塗布し、その上に種子2を図2に示すように間隔をおいて均一な分布で必要数付着させる。支持シート7,8の素材によっては、前述のような糊を使用せず、種子2を支持シート7上に置いて水を霧吹き散布すれば、支持シート7の繊維と種子2とがからみあって付着する。或いは、種子は、下側の支持シート7に置くだけでも、上側の支持シート8の端部8Aが後述するように接着された状態のもとでは、支持シート7,8の繊維とからまって、付着した状態となる。そして、種子を挟んで、下側の支持シート7の上側に、同様な素材からなる上側の支持シート8が重ねられている。この上側の支持シート8は、前述のように透水性を有するから、種子2と被覆シート6との間で、その厚さに相当する高さの空気層としても機能するもので、種子2と被覆シート6とを離隔させている。また、下側の支持シート7の下面は、芝生を造成しようとする床土に接することとなる。
このように種子2を付着させた支持シート7,8は被覆シート6と結合して一体化する。被覆シート6の役割の一つは、次の通りである。即ち、前記上側の支持シート8が前述のように空気層としても機能することによって、土壌から排出され、蒸発した水分は被覆シート6の裏側で再び水に戻るが、その水を支持シート8を介して循環させ、土壌との間の環境を安定させて地球大気圏と同様な空間を形成することである。そのため、被覆シート6は非透水性の素材からなっている。また、被覆シート6は、剛性が低く柔軟で弾性を有しないような素材から構成することが望ましい。このような素材を用いる目的は、支持シート7,8と一体化して芝草育成用シート1として構成した後に、これを施工現場への運搬、市場における流通の便からロール状にしたり、折り畳んだりできるようにするためである。前述の素材としては、ポリエチレン、サトウキビプラスティック、でんぷんシート、紫外線分解プラスティック、生分解フィルム等が好適である。
また、被覆シート6は、光の色に反応する好光性種子(例えば、ティフブレア等)を使用する場合、種子及び苗の生育を良好にするために温度、湿度等の環境を制御する必要がある場合等の状況に応じて、透明のものを使用し又は白色、オレンジ色又はその他の色をつけることがある。例えば、基本的にティフ・ブレアのような好光性種子の場合には、被覆シート6を透明にすると、生育が良好になる。また、真夏(気温35度)の施工時は、温度を必要以上に上げないようにするため、被覆シート6は白色のものを使用する。また、オレンジ色その他の色を使用するのは、光の色に反応する種子が存在するためで、例えば、野芝等についてはオレンジ色の被覆シート6を使用することが生育上有好である。
更に、被覆シート6には、図1及び図3に示すように、厚さ方向に貫通する通気穴5を設けてある。通気穴5は、種子2の発芽及び生育を良好にするため、空気は流通するが、雨水等の水は被覆シート6の内部即ち支持シート8側に過剰に流入しないように、大きさ、個数、配列を設定する。通気穴5は、その大きさとしては、一つあたりの面積を、被覆シート6における後述する接合用の端部を除いた部分の面積に対して適切な比率で設定することにより、前述した空気の流通と雨水等の水の流入とを好ましい状態に制御することができる。実験したところ、そのような通気穴5として、例えば、被覆シートに面積約1平方mmの穴を縦方向に15mm間隔で横方向に20mm間隔で設けたときに、前記制御をすることができた。
そして、支持シート7,8と被覆シート6とは、被覆シート6が最上部に位置するようにして、両者の前後左右の各端部6A,7A,8A同士を例えば接着剤10によって接着して結合し(上側の支持シート8と被覆シート6とを接合する接着剤は図示されていない)、芝草育成用シート1として一体化する。また、支持シート7,8と被覆シート6とは、芝草育成用シート1としての取り扱いをしやすくするため、或いは、施工現場で次に述べるように設置した後に、風等により被覆シート6が暴れて支持シート7,8から種子2を離脱させることをなるべく防ぐために、図1中鎖線で示すような適宜の位置に被覆シート6側からホチキス針9を打ち込んで、被覆シート6と種子層3とをとめるようにすることもできる。
このように構成した芝草育成用シート1によれば、種子層3及び被覆シート6が一体になっているから、使用に当たって、従来のように種子、ビニールシート等個別の材料を取り揃える必要がなく、芝草育成用シート1を必要量だけそのまま施工現場に簡単に運搬することができる。また、この芝草育成用シート1は、芝生を造成する場所の床土上に種子支持シート7を床土に接触させ、被覆シート6を最上部になるように置いて、前記端部6A,7A,8Aの部分のほか、適宜の個所から、床土内に達する止めピンを打ち込んで、固定するだけでよいから、芝生造成面への設置作業をごく簡単に行うことができる。
この状態で、種子2は時間の経過とともに、発芽し、苗となっていくが、芽及び根はそれぞれ支持シート7,8を突き破って、床土に進入して定着する一方、芽が生えて苗として生育していき、葉は成長するにつれ被覆シート6を押し上げていく。そして、苗が一定段階に生育した段階で、例えば3〜5葉期になったときに、被覆シート6を取り外せばよい。このとき、前述のホチキス針9は被覆シート6と共に取り除かれるので、床土に残ることはない。また、支持シート7,8は生分解性を有しているので、時間の経過とともに分解して土中に吸収され、そのため、取り除く作業をする必要がなく、従って、環境汚染を生じない。
そして、その間、1)被覆シート6によって、大雨、大風のもとでも種子2が流出するということがなく確実に床土に定着し、2)種子2を支持シート7,8で保持し被覆シート6で覆っているから、床土の表面状態に影響されることなく、良好な発芽及び苗の生育が可能となり、3)被覆シート6及びその下側に支持シート7,8が存在するため、直射日光の当たる施工場所でも床土が極端な高温にならず、また、冬期でも保温がされるので、芝草が暖地型の場合、種子2の発芽、発芽後の苗の生育が良い、4)種子2は、上側の支持シート8によって被覆シート6に接触せず、且つ、支持シート8は透水性を有するため、被覆シート6の内側即ち支持シート8側の面に結露した場合でも、その水は支持シート8に吸収されて、直接種子2にかかったり種子2を水浸しにしたり床土の水分を異常に高めないから、種子2自体が腐ったり根腐れなどを生じない、5)被覆シート6には空気のみ流通し、雨等の水を過剰に通過させない通気穴5が設けられているから、被覆シート6と床土との間には適切な温度、湿度が保たれて、床土の表面の乾燥が防止されるとともに、種子、根部の温度が安定して、発芽直後に種子が枯れ死を起こしたり、発芽後の成長不良を招くことがない。
これらの点から、芝草の発芽から被覆シート6を取り除くまでの間、従来行われていた芽、苗の生育状態を管理する作業が不要となり、芝生造成のための作業量が大幅に軽減される。
なお、この実施の形態1において、前述の上側の支持シート8は、透水性の材質からなっているから、空気層としての機能をも果たしている。従って、支持シート8の厚さを調整することにより、即ち、これを空気層として機能する面から見たときの高さを変えることにより、被覆シート6と種子2との間の湿度を変えることができる。そのため、例えば、前記厚さを小さくすると、前記湿度が高くなるから、種子2として前述のティフ・ブレア等を使用すれば、砂漠等の湿度の低い乾燥地域で芝生を造成するのに具合がよい。
また、前述の被覆シート6を生分解性の素材から構成した場合には、時間の経過とともに自然に分解するので、前述のような除去作業は不要となる。この場合には、前述の支持シート7,8と被覆シート6とをとめる部材は前述のホチキス針9に代えて生分解性の素材によるものを使用すればよい。
図4から図6を参照しながら、本発明の実施の形態2について説明する。図4は実施の形態2における芝草育成用シートの断面図、図5は前記芝草育成用シートを構成する支持シートの部分省略平面図、図6は空気層を形成するための簾状の藁を示す部分省略平面図である。この実施の形態2において前記実施の形態1と同一の要素については同一の符号を付し、原則として説明を省略する。後述する実施の形態3以降についても同様とする。
図4に示すように、実施の形態2における芝草育成用シート11は、芝草の種子2その他の要素及びこれらを保持した支持シート7からなる種子層12と、通気穴5を設けた被覆シート6との間に次に述べる空気層13を設けた構成となっている。より詳しく述べると、支持シート7には、図5においても示すように、種子2のほかに、保水材14及び肥料15を実施の形態1で述べた種子2の付着方法と同様な方法で保持させてある。種子2と保水材14と肥料15は、種子2の発芽及び苗の生育が均一になるようにするため、支持シート7上に相互の片寄りがないように均一に配置することが望ましい。この保水材14及び肥料15は、芝生造成場所の気候環境、土質、草種等を考慮して適宜選択する。保水材14は、例えば商品名「サーモゲル」で市販されている吸水性(保水性)ポリマーを使用する。この保水材14は、気温が下がると吸水し、気温が上がると吸水した水を吐き出す性質を持っている。この吸水性ポリマーは、芝草育成用シート11を現場に設置した後に、気温が急上昇したときに水を吐き出して水自体により又はその水の蒸発により種子2等の温度を下げるように、吸水性(保水性)が温度によって極端に違うタイプのものが望ましい。
支持シート7と被覆シート6との間には中間シート16が設けられている。中間シート16は、前記実施の形態1において述べた支持シート7,8と同様な素材により構成されており、且つ、種子2から出る芽及びその後の葉が貫通できるような密度、強度のものを使用するが、微小な貫通穴を予め設けておくこともできる。中間シート16の図中上面側即ち被覆シート6と対向する面に、種子層12と表面シート6とを離隔させる空気層(間隙)の形成部材として例えば藁18が固着されている。
即ち、この藁18は、中間シート16と被覆シート6との間で動いて不均一な並び方にならないように保持する。その方法としては、例えば、水溶性で種子2の発芽、生育を妨げないような接着剤により中間シート16に接着して固定する。そのほかの方法として、中間シート16と被覆シート6とを適当な個所で糸でとめるようにすれば、中間シート16と被覆シート6との間に藁18を単に挟む形でも保持することができる。また、藁18は図6に示すように、ポリエチレン等の紐19で数本ずつを連続的に束ねて簾状にして、ばらけないようにしてあり、且つ、各藁18同士の間には芽や葉が通過できるように間隙20が設けられている。この藁18によって中間シート16を介して種子層12と被覆シート6との間に形成される空間部分が本発明にいう空気層13である。空気層13は、図中上下方向の高さを通常1〜15mm程度に設定するもので、藁18に代えて麻布、椰子、生分解性素材、その他を用いても構成することができる。
そして、前記中間シート16の前後左右の端部16Aは支持シート7及び被覆シート6の各前後左右の端部6A,7Aと例えば接着剤22によって結合して、これら3つのシート6,7,16を一体化する。なお、これらのシート6,7,16は、実施の形態1において述べたような理由から、前記の端部6A,7A,16A以外の部分を例えばホチキス針又は生分解性の糸等で同様にとめるようにすることもできる。
このように構成した芝草育成用シート11は、実施の形態1に述べたところと同様にして床土に固定する。時間の経過につれ、種子2から出た芽は中間シート16を突き破って、空気層13内に進入し、更に藁18の間を通って成長を続け、被覆シート6を押し上げるに至る。
この芝草育成用シート11によれば、実施の形態1において述べた作用効果に加えて、更に、次のような作用効果も得られる。即ち、1)空気層13があるため、中間シート16と被覆シート6との間は、大気圏のように空気、水分、温度が対流するので、種子2の発芽及びその後の生育環境が格段に向上して、そのため、発芽率が非常に高くなるうえ、葉の成長もより良好になる。2)空気層13の存在により、更に、直射日光の当たる施工場所でも、実施の形態1の場合より床土と被覆シート6との距離が更に離れているので、極端な高温となることがより確実に避けられ、また、冬期でも空気層13によって保温力が一層高くなるので、芝草が暖地型の場合、種子2の発芽、発芽後の苗の生育が更に良くなり、3)空気層13の存在により、温度変化によって被覆シート6の内面側に水滴が溜まった場合でも、水滴が藁18、中間シート16に吸収されて、直接種子2にかかったり種子を水浸しにしたり床土の水分を異常に高めないから、種子2の根腐れなどの発芽不全が生じない。4)加えて、この実施の形態においては、支持シート7に保水材14及び肥料15をも付着させているから、芝草の成長がより確実になる。この保水材14は、気温が異常に高くなって種子2、芽、葉及び土壌が高温になった場合は、水を吐き出して、その水の蒸発によって前記芽等が冷やされて適性温度範囲内に戻るので、芽及び苗の生育異常が防止される。
従って、芝草がより均一且つ十分に成長した、より品質の高い芝生を造成することができる。また、藁18は自然の生分解性を有しているので、時間の経過とともに自然分解して土中に吸収されて肥料として土壌を豊かにするとともに、環境汚染を全く招かない。更に、保水材14及び前述した糸も同様に自然分解する。
図7を参照しながら、本発明の実施の形態3について説明する。同図は実施の形態3における芝草育成用シートの断面図である。この実施の形態において前記各実施の形態と同一の要素については、同一の符号を付し、原則として説明を省略する。
図7に示すように、この実施の形態3における芝草育成用シート25は、実施の形態1と同様に芝草の種子2及び種子2を付着させた支持シート7からなる種子層26と被覆シート6との間に、中間シート16に付着させた藁18によって形成した空気層13を設けるとともに、種子層26の図中下側即ち被覆シート6とは反対側に次に述べる機能層27を結合して一体化したものである。
この機能層27は、芝草を良好に生育させるための機能を有する生育補助材としての例えば前記実施の形態2と同様な保水材14及び肥料15を含み、且つ保水材14及び肥料15を下部シート28上に均一に配置して、例えば付着することにより保持して構成したものである。その付着の方法は、実施の形態2と同様である。この下部シート28は支持シート7と同様な素材からなっており、芝草の成長した根が貫通して土中に進入できるようになっている。そして、支持シート7と中間シート16と被覆シート6と下部シート28とを、その前後左右の各端部6A,7A,16A,28A同士を接着剤30により接合して結合することにより、芝草育成用シート25として一体化している。前述の実施の形態と同様に、前記の端部6A,7A,16A,28A以外の部分を例えば糸等でとめるようにすることもできる。
このような構造によれば、前述の実施の形態2に述べたような作用効果が得られることに加えて、次のような作用効果が得られる。即ち、同じ草種の種を使用する場合であっても、施工の場所、時期等によっては保水材14、肥料15を異にする場合があるので、そのような場合に、当該状況に応じて適切な保水材14、肥料15を選択して下部シート28に付着させ、下部シート28を支持シート7に接合して芝草育成用シート25を構成することができる。従って、多様な造成環境に応じて機能を変えた芝草育成用シート25を提供することができるものである。また、この実施の形態においても、下部シート28は時間の経過に伴い生分解して土中に吸収される。
また、前記の機能層27は、前記の実施の形態1において説明した芝草育成用シート1に同様に結合して一体化することも勿論可能である。その場合には、実施の形態1に述べたような作用効果に加えて、前述したような多様な造成環境にも対応しやすくなる。
図8を参照しながら、本発明の実施の形態4について説明する。同図は実施の形態4における芝草育成用シートの断面図である。この実施の形態は前記実施の形態2と重複する構成を有しているので、実施の形態2と同一の要素については、同一の符号を付し、原則として説明を省略する。
この実施の形態による芝草育成用シート32は、畦道に芝生を造成するのに適した構造を備えたもので、図8に示すように、前記実施の形態2と同様に、芝草の種子2その他の要素及びこれらを保持した支持シート7からなる種子層12と、通気穴5を設けた被覆シート6との間に空気層13を設けた構成を有しており、更に、この被覆シート6は、前述したような支持シート7及び中間シート16との接合部に相当する部分6Cより延びた張り出し部6Bを備えている。張り出し部6Bは、図中鎖線で示す畦道33の上面33Aに支持シート7を載置したときに畦道33の側面33Bに垂れ下がって側面33Bを覆うような寸法に設定してある。この張り出し部6Bは、被覆シート6と一体に形成されているが、実施の形態2における芝草育成用シート11の被覆シート6の端部6Aに、別途用意した非透水性シートの断片を付設して構成してもよい。
このような構成によれば、実施の形態2において述べた作用効果に加えて、次のような作用効果がもたらされる。即ち、哇道33に芝生を造成する場合には、畦道33の側面33Bに当たる風雨、直射日光によって畦道33の床土部分の土壌に対する影響が生じ、そのため、床土部分が種子2の発芽から生育にとって必要以上の乾燥、湿潤、温度上昇にさらされたり、凍結したり、或いは側面33Bの部分が崩落したりすることがあるが、畦道33の上面33Aにこの芝草育成用シート32を載置し、張り出し部6Bによって前記側面33Bを覆うようにすると、側面33Bが張り出し部6Bによって保護されるので、このような状況の発生を防ぐことができ、芝草の発芽、生育が良好になる。なお、畦道33に芝生を造成する場合に使用する芝草育成用シートは、この実施の形態によるものに限られず、前述した実施の形態1,3の芝草育成用シート1,25に前述のような張り出し部を設ければ、同様に使用することができる。
図9及び図10を参照しながら、本発明の実施の形態5について説明する。図9は実施の形態5における芝草育成用シートの断面図、図10は前記芝草育成用シートの部分拡大断面図である。この実施の形態は前記実施の形態1,2と同一の要素を有しているので、同一の要素については、同一の符号を付し、原則として説明を省略する。
この実施の形態による芝草育成用シート35は、図9に示すように、少なくとも芝草の種子2を保持した支持シート7と、通気穴5を設けた非透水性の被覆シート6とを、次に述べる空気層37を介して、結合して一体化して構成したものである。より詳しく述べると、支持シート7、被覆シート6については、既に実施の形態1において述べたところと同様に構成すればよい。また、種子2、支持シート7に種子2を保持する方法についても実施の形態1と同様である。この種子2のほか、支持シート7には、実施の形態2において述べたような保水材、肥料を保持するようにしてもよい。
空気層37は、図10に示すように、種子の径H1を超え、被覆シート6と支持シート7との間の高さH2を有する間隙であり、そのような間隙は、実施の形態2と同様に例えば藁18を簾状に編んだものを用い、支持シート7と被覆シート6との間に配設することによって形成する。その場合、この藁18は、実施の形態2において中間シート16と被覆シート6との間に保持したのと同様な方法で保持して、支持シート7と被覆シート6との間で動いて不均一な並び方にならないようにする。また、空気層37を構成するための素材についても、実施の形態2に述べたものを適用することができる。このように空気層37を設けることによって、この実施の形態においても、実施の形態2において述べたように、支持シート7と被覆シート6との間に大気圏のような環境が生成される。支持シート7と被覆シート6との結合方法は、実施の形態1について述べたものと同様に例えば接着剤10を使用すればよい。
このように構成した芝草育成用シート35によれば、少なくとも芝草の種子2を保持した支持シート7と被覆シート6が一体になっているから、前述した各実施の形態と同様に、施工現場への運搬、芝生造成面への設置を極めて簡単に行うことができる。そして、設置された後についても、支持シート7と被覆シート6が結合されて一体になっているところから、実施の形態1について述べたような作用効果が得られ、また、支持シート7と被覆シート6との間に空気層37を有しているところから、実施の形態2において述べたところと同様な作用効果が得られる。そして、この実施の形態5の芝草育成用シートは、二つのシートによって種子等の保持及び空気層を構成するという簡単な構造を有しているため、製造工程が単純になるという利点がある。
1 芝草育成用シート
2 種子
3 種子層
5 通気穴
6 被覆シート
7,8 支持シート
2 種子
3 種子層
5 通気穴
6 被覆シート
7,8 支持シート
Claims (4)
- 少なくとも芝草の種子を保持し且つ前記種子からの根が貫通できる支持シートを有する種子層と、通気穴を設けた非透水性の被覆シートとを結合して一体化したことを特徴とする芝草育成用シート
- 前記種子層と前記被覆シートとの間に、前記種子層と前記被覆シートとを離隔させる空気層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の芝草育成用シート。
- 前記種子層の下側に、前記芝草を良好に生育させるための生育補助材を保持し且つ前記種子からの根が貫通できる補助材支持シートを有する機能層を結合して一体化したことを特徴とする請求項1又は2に記載の芝草育成用シート
- 少なくとも芝草の種子を保持し且つ前記種子からの根が貫通できる支持シートと、通気穴を設けた非透水性の被覆シートとを、前記種子の径を超える高さの空気層を介して、結合して一体化したことを特徴とする芝草育成用シート。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003391403A JP2005118027A (ja) | 2003-10-16 | 2003-10-16 | 芝草育成用シート |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007082409A (ja) * | 2005-09-20 | 2007-04-05 | Totaku Industries Inc | 植生用保水マット及びこれを使用した植生地盤の構造 |
-
2003
- 2003-10-16 JP JP2003391403A patent/JP2005118027A/ja active Pending
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