本発明は、画像表示装置、特に、画像信号に応じて変調されたレーザ光を走査させることによって画像を表示する画像表示装置の技術に関するものである。
従来、画像信号に応じて変調されたレーザ光を走査させることにより、画像を表示する画像表示装置が提案されている。画像信号に応じて変調されたレーザ光を用いる場合、レーザ光の供給を停止することにより、画像の黒色を表示する。レーザ光の供給を停止して黒色を表示可能であると、理論上コントラストを無限大にすることができることから、高コントラストな画像を表示できる。また、レーザ光は指向性が高いことから、投写光学系を簡略にするか、又は投写光学系を不要とすることが可能である。このため、画像表示装置を小型かつ簡易な構成にできる。さらに、赤色レーザ光と、緑色レーザ光と、青色レーザ光とを用いることにより、カラー画像を容易に表示可能である。レーザ光は単色性が高いことから、色純度が高いカラー画像を表示することもできる。
レーザ光を用いて画像を表示する場合、画像表示装置は、レーザ強度ごとの安全基準に従い、観察者の安全を確保可能な構成とする必要がある。画像表示装置の安全を確保するための技術としては、例えば、特許文献1に提案されているものがある。
しかしながら、特許文献1に提案されている技術は、センサにより投写レンズ近傍に物体があることが感知されたときに、レーザ光の出力を遮断する制御を行うものである。このように安全を確保するために複雑な制御経路を経る必要があると、制御経路の故障時においては、レーザ光を遮断できないことが考えられる。制御経路の故障によりレーザ光を遮断できない場合、大きい強度のレーザ光が観察者の眼に入射する事態が起こることもあり得る。従って、特許文献1の技術によると、観察者の安全を確保できない場合があるという問題がある。
また、走査部から観察者の位置までの空間的間隔が大きく隔てられるほど、観察者の位置で走査するレーザ光の強度は分散され、瞳に入射するレーザ光の強度は小さくなる。このため、走査部の位置から、レーザ光の強度が十分小さくなる位置までの空間的領域を筐体で覆うことにより、複雑な制御経路等を用いなくても安全を確保できると考えられる。しかし、走査部の位置から、レーザ光の強度が十分に分散されるような位置までを筐体で覆うこととなると、筐体は、レーザ光の射出方向の長さを大きくする必要が生じる。従って、レーザ光を用いることにより画像表示装置を小型にできる利点があるにもかかわらず、大型の筐体によって画像表示装置が大型になってしまうという問題が生じる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、小型で、観察者の安全を確保可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、ビーム状の光を供給する光源部と、光源部からの光を二次元方向に走査する走査部と、光源部の光、又は走査部で走査された光を画像信号に応じて変調する変調部と、走査部からの光の光路を変換する光路変換部と、少なくとも、光源部と、走査部と、光路変換部とを収納する筐体と、を有し、変調された光により形成される画像を表示する画像表示装置であって、筐体には、光路変換部により光路を変換された光を筐体の外部に射出する射出部が形成され、射出部は、走査部により走査される光が、所定領域において、少なくとも所定値以下の強度で入射するような位置に設けられ、光路変換部は、光路変換部を経由した光の、走査部から所定距離だけ離れた位置における走査領域の面積が、光路変換部が設けられていない場合に走査部から所定距離だけ離れた位置における他の走査領域の面積に比較して大きくなるような位置に設けられていることを特徴とする画像表示装置を提供することができる。
レーザ光を走査させるとき、レーザ光の強度は、レーザ光が走査する二次元方向の領域全体に分散される。観察者の瞳の位置を直接レーザ光が走査する場合、瞳の位置における二次元方向の走査領域全体にレーザ光の強度が分散されている。そして、瞳には、レーザ光の走査領域全体に対する瞳の領域に相当する強度のレーザ光が入射することとなる。本発明の画像表示装置は、走査するレーザ光が、所定領域である瞳の領域において、少なくとも所定値以下の強度で入射するような位置に、射出部が設けられている。ここで、レーザ光の強度の所定値を、走査しているレーザ光が瞳に入射した場合であっても、まばたき等の嫌悪反応によって眼の保護がなされ、安全を確保できる強度とする。このようにして射出部を設けると、走査しているレーザ光によって眼の保護を十分に行えない程度にレーザ光の強度が集中している空間的領域は、射出部より走査部側、即ち、筐体の内部に密閉される。また、筐体の外部においては、走査しているレーザ光が観察者の眼に入射する場合であっても眼を保護可能な程度にレーザ光の強度が分散され、複雑な制御経路等を用いなくても安全を確保できる。
本発明の画像表示装置は、光路変換部によって、走査部からの光の光路を射出部の方向へ変換する。ここで、光路変換部の領域に対してレーザ光を大きくねかせた角度で入射させるとする。レーザ光を大きくねかせた角度で入射させると、光路変換部上において広い領域にレーザ光が走査する。そして、レーザ光の光路は、光路変換部上の広い領域において折り曲げられる。このように、光路変換部を経由した光の、走査部から所定距離だけ離れた位置における走査領域の面積は、光路変換部の領域に応じた大きさにすることができる。これに対して、光路変換部を設けず光路を変換しない場合、走査領域の面積は、走査部からの距離に比例して大きくなるにとどまる。従って、レーザ光を光路変換部に経由させる構成とすると、光路変換部を設けない場合と比較して、走査部から同じ所定距離だけ離れた位置における走査領域の面積を大きくすることができる。
このようにして、光路変換部を設けることにより、走査部から射出部までの光路の長さに関係なく、射出部の位置における各色光の走査領域を大きくすることができる。レーザ光の走査領域の面積が光路の長さに依存しないことから、走査部から光路変換部まで、及び光路変換部から射出部までの空間的間隔を小さくすることができる。従って、小型な筐体を用いて、射出部の領域を大きくすることができる。また、射出部の領域を大きくできることにより、安全を確保可能となるような位置に射出部を設けることができる。これにより、小型で、安全を確保可能な画像表示装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様によれば、射出部の射出側に設けられた表示部と、表示部の、射出部側の面に設けられた反射部と、を有し、表示部は、反射部と射出部とが重なり合うような第1の位置と、反射部と射出部とが所定の角度をなすような第2の位置と、に移動可能に設けられ、反射部は、表示部が第2の位置にあるときに、射出部からの光を反射させることが望ましい。
表示部が、反射部と射出部とが所定の角度をなすような第2の位置にあるとき、射出部からの光を反射部からスクリーン等の方向に反射させることができる。このようにして、スクリーン等に画像を表示することができる。また、表示部において、スクリーン等に表示される画像とは別に、画像を表示する構成とすることができる。これにより、スクリーン等、及び、表示部において画像を表示可能な画像表示装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示部は、走査部からの光以外の光によって、画像、及び他の画像の少なくとも一方を表示することが望ましい。
走査部からの光以外の光によって表示部に画像を表示する構成とすることにより、スクリーン等における画像表示と、表示部における画像表示とを同時に行うことができる。表示部における画像表示に、スクリーン等における画像表示に用いる画像信号と同一の信号を用いると、スクリーン等と、表示部とにおいて、略同一の画像を同時に表示することができる。また、表示部における画像表示に、スクリーン等における画像表示に用いる画像信号以外の信号を用いることにより、スクリーン等と、表示部とにおいて、スクリーン等の画像とは異なる画像を同時に表示することができる。これにより、スクリーン等と、表示部とにおいて同一又は異なる画像を同時に鑑賞可能な画像表示装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様としては、表示部は、表示部が第1の位置にあるときに、走査部により走査される光によって、画像を表示することが望ましい。
表示部が第1の位置にあるときに、走査部により走査される光によって表示部に画像を表示する。また、表示部が第2の位置にあるときにおいて、走査部により走査される光によってスクリーン等に画像を表示する。このように、反射部の位置を移動させることにより、スクリーン等における画像表示と、表示部における画像表示とを切り換える構成とすることができる。さらに、スクリーン等における画像表示と、表示部における画像表示との切り換えが可能であるから、単独の光源部からの光を用いて、スクリーン等と、表示部とに画像を表示することができる。単独の光源部からの光を用いることができることから、画像表示装置を簡易な構成とすることもできる。これにより、簡易な構成で、スクリーン等と、表示部とにおける画像表示を切り換えて鑑賞可能な画像表示装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様としては、表示部は、走査部からの光を透過することによって画像を表示することが望ましい。走査部により走査される光は、画像信号に応じて変調されている。これにより、表示部に画像を表示することができる。
また、本発明の好ましい態様としては、表示部は、走査部からの光の光量に応じて発光することによって画像を表示することが望ましい。表示部を、制御光の光量に応じて発光する構成とする。走査部により走査される光は、画像信号に応じて変調されている。このため、走査部からの光を制御光として用いると、画像信号に応じて表示部の駆動を制御することができる(光アドレッシング)。これにより、表示部に画像を表示することができる。
また、本発明の好ましい態様としては、反射部は、射出部からの光の入射角度に応じて、射出部からの光を反射及び透過する反射透過膜であって、反射透過膜は、表示部が第1の位置にあるとき、射出部からの光を透過し、表示部が第2の位置にあるとき、射出部からの光を反射することが望ましい。
表示部が第1の位置にあって反射透過膜と射出部とが重なり合うとき、反射透過膜は、射出部からの光を透過する。反射透過膜が射出部からの光を透過することにより、走査部からの光を用いて、表示部に画像を表示することができる。また、表示部が第2の位置にあって反射透過膜と射出部とが所定の角度をなしているとき、反射透過膜は、射出部からの光を反射する。反射透過膜が射出部からの光をスクリーン等の方向へ反射することにより、スクリーン等に画像を表示することができる。これにより、スクリーン等と、表示部とにおける画像表示を切り換えて鑑賞可能な画像表示装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様としては、反射透過膜は、表示部が第2の位置にあるときに反射する光の光量が、表示部が第1の位置にあるときに透過する光の光量に比較して大きくなるような特性を有することが望ましい。
スクリーン等にレーザ光を照射させて画像を表示する場合、観察者は、スクリーン等における反射光を観察する。これに対して、表示部に画像を表示する場合、観察者は、表示部からの光を直視することにより画像を観察する。このため、表示部に画像を表示する場合に比較して、スクリーン等に画像を表示する場合のほうが周囲の明るさの影響を受け易い。表示画像の明るさと、スクリーン等の明るさとの差が小さいと、スクリーン等の画像は不鮮明になってしまう。これとは逆に、スクリーン等に画像を表示する場合に必要な強度のレーザ光をそのまま表示部の画像表示に用いると、光量が大きすぎるために画像が不鮮明になる場合がある。従って、単独の光源部からのレーザ光を用いる場合、スクリーン等に画像を表示する場合と、表示部に画像を表示する場合とにおいて、レーザ光の強度を調節する必要が生じる。
そこで、表示部が第2の位置にあるときに反射する光の光量が、表示部が第1の位置にあるときに透過する光の光量より大きくなるような反射透過膜を設ける。例えば、レーザ光を反射透過膜に透過させる場合は、入射するレーザ光の一部のみを透過させる構成とする。そして、レーザ光を反射透過膜で反射させる場合は、入射するレーザ光の略全てを反射させる構成とする。このようにして、表示部に画像を表示する場合より、スクリーン等に画像を表示する場合のレーザ光の光量を大きくすることができる。これにより、表示部の画像、及びスクリーン等の画像を適切な光量で表示することができる。
さらに、本発明の好ましい態様によれば、表示部の位置を検知するセンサを有し、センサが、表示部が第1の位置にあることを検知した場合、光源部は、供給するビーム状の光の光量を最大値とし、センサが、表示部が第2の位置にあることを検知した場合、光源部は、供給するビーム状の光の光量を、最大値より小さい値とすることが望ましい。
センサにより表示部が第2の位置にあることが検知されたときにレーザ光の光量を最大とする。このとき、最大光量のレーザ光を用いてスクリーン等に画像を表示することができる。また、センサにより表示部が第1の位置にあることが検出されたときに、レーザ光の光量を、最大値より小さい値とする。このとき、スクリーン等に画像を表示する場合より小さい光量のレーザ光を用いて、表示部に画像を表示することができる。これにより、表示部の画像、及びスクリーン等の画像を適切な光量で表示することができる。さらに、光源部からのレーザ光の光量を調節する構成とすることにより、画像形成に寄与しないレーザ光を低減できる。
また、本発明の好ましい態様としては、光路変換部は、走査部からの光を反射する反射ミラーであることが望ましい。光路変換部として反射ミラーを設けると、走査部からの光を反射させることによって、光路を変換させることができる。特に、反射ミラーの領域に対してレーザ光を大きくねかせた角度で入射させると、光路を変換させた後のレーザ光の走査領域を大きくすることができる。このため、大型の筐体を用いなくても、射出部の位置におけるレーザ光の二次元方向の走査領域を大きくすることができる。これにより、小型で、安全を確保可能な画像表示装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様としては、光路変換部は、走査部からの光を屈折するホログラム素子であることが望ましい。光路変換部としてホログラム素子を用いると、走査部からの光を屈折させることによって、光路を変換させることができる。特に、ホログラム素子の領域に対してレーザ光を大きくねかせた角度で入射させると、光路を変換させた後のレーザ光の走査領域を大きくすることができる。このため、大型の筐体を用いなくても、射出部の位置におけるレーザ光の二次元方向の走査領域を大きくすることができる。これにより、小型で、安全を確保可能な画像表示装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様としては、変調部は、空間光変調装置であることが望ましい。変調部として空間光変調装置を用いることにより、画像信号に応じて光源部からのレーザ光を変調することができる。これにより、表示部及びスクリーン等に画像を表示することができる。
また、本発明の好ましい態様としては、光源部を駆動する電源部と、電源部と光源部とを電気的に接続する導電部と、を有し、導電部は、射出部と一体に設けられ、射出部が筐体から取り外されるとき、導電部が同時に取り外されることによって、電源部と光源部との電気的な接続を遮断することが望ましい。
筐体は、走査しているレーザ光によって眼の保護を十分に行えない程度にレーザ光の強度が集中している空間的領域を、内部に密閉している。射出部が筐体から取り外される場合、例えば、筐体内部を覗き込むことによって大きい強度のレーザ光が眼に入射することが起こり得る。そこで、電源部と光源部との間に導電部を接続させ、さらに導電部と射出部とを一体に設ける。射出部が取り外された場合、射出部と一体の導電部も同時に取り外されることによって、電源部と、光源部との電気的な接続が遮断される。電源部との接続が遮断されることにより、光源部は、レーザ光の供給を停止する。このようにして、射出部が取り外された場合に、直接的にレーザ光の供給を停止することができ、大きい強度のレーザ光が眼に入射する事態を回避することができる。これにより、安全な画像表示装置を得られる。
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1−1は、本発明の実施例1に係る画像表示装置である携帯電話100の概略構成を示す。携帯電話100は、略直方体の筐体110を構成する1つの面に、矩形領域に画像を表示する表示部120と、操作部150とを有する。操作部150の操作キーによる携帯電話としての機能は従来技術のものと同様である。このため、操作部150についての説明は省略し、以下、画像を表示するための構成についてのみ説明を行う。
表示部120は、矩形領域の操作部150側の一辺を軸として回動可能に設けられている。図1−1に示す状態から表示部120を回動させると、図1−2に示すように表示部120の下に、射出部である透明平板107を確認することができる。透明平板107としては、光学的に透明な硝子部材や、樹脂部材が用いられる。図1−1は、表示部120と透明平板107とがなす角度が略ゼロ度である状態を示す。図1−1に示すように表示部120が閉じられた状態では、外部から透明平板107を確認することはできない。また、図1−2に示すように表示部120を開けた状態では、外部から透明平板107を確認することができる。
表示部120を閉じた状態から、表示部120の、矩形領域の操作部150側の部分と、透明平板107とを引き離す方向に、表示部120を開いていく。このようにして表示部120を開いていくと、表示部120の矩形領域の面と、透明平板107の平面とが所定の角度θとなる位置に、表示部120を固定することができる。所定の角度θは、例えば45度とすることができる。図1−2は、表示部120と透明平板107とが角度θをなす位置において表示部120が固定されている状態を示す。
まず、表示部120と透明平板107とが角度θとなる位置に表示部120が固定されている場合について説明する。図2は、図1−2に示す状態の筐体110の内部を、筐体110の側面側から見た構成を示す。筐体110は、レーザ光源101と、ビーム整形光学系102と、走査部であるガルバノミラー103と、光路変換部である反射ミラー105とを収納している。レーザ光源101は、ビーム状の光である赤色レーザ光(以下、「R光」という。)と、緑色レーザ光(以下、「G光」という。)と、青色レーザ光(以下、「B光」という。)とを、それぞれ画像信号に応じて変調して供給する。レーザ光源101としては、レーザ光を変調するための変調部を設けた半導体レーザや、固体レーザを用いることができる。このように、レーザ光源101は、レーザ光を供給する光源部の機能と、レーザ光を画像信号に応じて変調する変調部の機能とを有する。
レーザ光源101からの各色光は、ビーム整形光学系102に入射する。ビーム整形光学系102は、各色光を、指向性の高い略平行光、例えば、直径0.5mmのビーム形状に整形する。ビーム整形光学系102で指向性の高いビーム形状に整形された各色光は、ガルバノミラー103に入射する。ガルバノミラー103は、互いに直交する所定の2軸を中心として回動することによって、各色光を二次元方向に走査する。ガルバノミラー103で反射された各色光は、反射ミラー105に入射する。
反射ミラー105は、ガルバノミラー103からの各色光を、透明平板107に対して略垂直な方向に進行させるような反射特性を有する。従って、反射ミラー105を反射した各色光は、透明平板107に対して略垂直な方向から透明平板107に入射する。このようにして、反射ミラー105により、ガルバノミラー103からの各色光の光路は、透明平板107の方向に略90度折り曲げられる。また、反射ミラー105は、ガルバノミラー103からの各色光が、反射ミラー105の矩形領域の垂線に対して大きく傾いた角度で入射するように設けられている。反射ミラー105に対して大きくねかせた角度で各色光を入射させると、各色光は、反射ミラー105の領域の全面に走査され、反射ミラー105上の略全面において光路を略90度折り曲げられる。このため、各色光を反射ミラー105で反射させることにより、ガルバノミラー103から所定距離だけ離れた位置における走査領域の面積を、反射ミラー105の領域に応じた大きさにすることができる。
透明平板107に入射した各色光は、透明平板107を透過して、反射部である反射膜130の方向に進行する。反射膜130は、表示部120の、透明平板107側の面に設けられている。このため、表示部120が図2に示す位置にあるとき、反射膜130と透明平板107とは、角度θをなしている。反射膜130と透明平板107が角度θをなす表示部120の位置を、第2の位置とする。なお、反射膜130と、透明平板107とは、表示部120の矩形領域と略同一の矩形領域をなしている。従って、図1−1に示す状態において、反射膜130と、透明平板107とは、それぞれの領域の略全体が重なり合っている。反射膜130と透明平板107とが重なり合うときの表示部120の位置を、第1の位置とする。
図2に戻って、反射ミラー105は、反射ミラー105の矩形領域を透明平板107に垂直に投影した領域と、反射膜130の矩形領域を透明平板107に垂直に投影した領域とが略同一となるように設けられている。また、上述のように、反射ミラー105で反射された各色光は、透明平板107の領域に対して略垂直な方向に進行して、透明平板107を透過する。従って、反射ミラー105の領域の略全体にガルバノミラー103からの各色光を走査させることにより、反射膜130の領域の略全体に各色光が走査される。そして、反射膜130で反射された各色光は、スクリーン200の方向に進行する。
このように、反射膜130と透明平板107とが所定の角度θとなる第2の位置に表示部120を固定することにより、スクリーン200に画像を表示することができる。なお、反射膜130からの光により画像表示を行う対象物は、各色光の照射領域と略同一、又はそれ以上の大きさの領域を有する平面状の物体であれば良く、スクリーン200に限られない。例えば、反射膜130からの光を壁面に照射させることによって画像を表示することもできる。
ここで、観察者の安全を確保するための構成について説明する。本実施例の携帯電話100において、透明平板107から射出されるレーザ光が直接眼に入る事態が起こる場合が考えられる。レーザ光を用いるレーザ製品は、JIS C 6802に定められるレーザ強度ごとの安全基準に従うことによって、安全を確保する必要がある。例えば、必要に応じてレーザ光の供給を自動で停止するインターロック等の取り付けを不要とするためには、使用するレーザ光が、レーザクラス2レベル以下の強度であることを要する。レーザクラス2レベルのレーザ光は、例えば、ガルバノミラー103によって走査させて瞬間的に瞳を通過した場合の危険性について考慮を要しないものである。
各色光であるレーザ光をガルバノミラー103によって走査させて画像を表示する場合、レーザ光の強度は、レーザ光が走査する二次元方向の領域全体に分散される。観察者の瞳の位置を直接レーザ光が走査する場合、瞳の位置における二次元方向の走査領域全体にレーザ光の強度が分散されている。そして、瞳には、レーザ光の走査領域全体に対する瞳の領域に相当する強度のレーザ光が入射することとなる。携帯電話100は、走査されるレーザ光が、瞳の領域に、少なくともレーザクラス2レベル以下の強度で入射するような位置に、透明平板107が設けられている。例えば、透明平板107の矩形領域の対角線長さが3インチである場合を考える。このとき、レーザ光源101からのレーザ光の出力を70mW以下とすることにより、瞳の領域に入射するレーザ光の強度をレーザクラス2レベル以下とすることができる。
このようにして透明平板107を設けると、走査しているレーザ光によって眼の保護を十分に行えない程度にレーザ光の強度が集中している空間的領域は、透明平板107よりガルバノミラー103側、即ち、筐体110の内部に密閉される。また、筐体110の外部においては、走査しているレーザ光が観察者の眼に入射する場合であっても眼を保護可能な程度にレーザ光の強度が分散され、複雑な制御経路等を用いなくても安全を確保することができる。
各色光を反射ミラー105で反射させることにより、ガルバノミラー103から所定距離だけ離れた位置における走査領域の面積を、反射ミラー105の領域に応じた大きさにすることができる。これに対して、反射ミラー105である光路変換部を設けず光路を屈折させない場合、各色光の走査領域の面積は、ガルバノミラー103からの距離に比例して大きくなるにとどまる。従って、各色光を反射ミラー105に経由させる構成とすると、反射ミラー105を設けない場合と比較して、ガルバノミラー103から同じ所定距離だけ離れた位置における走査領域の面積を大きくすることができる。
反射ミラー105により各色光の光路を屈折させない場合、各色光の走査領域の面積は、ガルバノミラー103からの距離に比例して大きくなる。このとき、反射ミラー105を設ける場合の走査領域と略同一の面積の走査領域を透明平板107の位置で実現するためには、ガルバノミラー103から各色光の光路の方向へ空間的間隔を大きく隔てた位置に透明平板107を設ける必要がある。ガルバノミラー103と透明平板107との間の空間的間隔が大きくなると、筐体110が大型になる。このため、小型の携帯電話100を用いてスクリーン200に画像を表示することは困難となる。これに対して、上述のように反射ミラー105を設けると、ガルバノミラー103から透明平板107までの光路の長さに関係なく、透明平板107の位置における各色光の走査領域を大きくすることができる。各色光の走査領域の面積が光路の長さに依存しないことから、ガルバノミラー103から反射ミラー105まで、及び反射ミラー105から透明平板107までの空間的間隔を小さくすることができる。従って、小型な筐体110を用いて、透明平板107の領域を大きくすることができる。
筐体110を小型にできることから、小型の携帯電話100を用いてスクリーン200に画像を表示することができる。また、透明平板107の領域を大きくできることにより、安全が確保可能となるような位置に透明平板107を設けることができる。これにより、小型の携帯電話100を用いてスクリーン200に画像を表示でき、かつ安全を確保することができるという効果を奏する。
なお、反射ミラー105によって各色光の光路を屈折させる方向としては、透明平板107に対して略垂直な方向に限られない。透明平板107の位置における各色光の走査領域が安全を確保可能であって、かつスクリーン200に画像を表示可能であれば、透明平板107に対して略垂直な方向以外の方向に各色光を進行させる構成としても良い。
表示部120は、反射膜130と透明平板107とが所定の角度θをなすような第2の位置に移動可能である。表示部120を第2の位置に固定することにより、透明平板107からの光を、反射膜130からスクリーン200の方向に反射させることができる。これにより、画像をスクリーン200に表示することができるという効果を奏する。例えば、スクリーン200に画像を表示することにより、複数人により画像を鑑賞することができる。なお、スクリーン200に表示される画像は、各色光の進行方向を調節することにより、拡大、及び縮小を自在に行うこともできる。
次に、表示部120が第1の位置にあるときの画像表示について説明する。図1−1の携帯電話100は、表示部120が第1の位置にある状態を示している。このとき、反射膜130と、透明平板107とが互いの略全面を重ね合わせている状態であるため、透明平板107から各色光は射出されない。透明平板107から各色光が射出されないため、スクリーン200には画像は表示されない。さらに後述のように、表示部120における画像表示には、レーザ光源101からの各色光を用いない。このため、表示部120が第1の位置にあるとき、レーザ光源101から各色光の供給を遮断する構成としても良い。
表示部120は、レーザ光源101から供給される各色光とは別の光源からの光を用いて画像を表示する。このため、反射膜130と透明平板107とがなす角度が略ゼロ度であるとき、表示部120において画像を表示することができる。表示部120は、例えば、エレクトロ・ルミネッセンス(以下、「EL」という。)素子等の自発光素子を用いる構成や、液晶とバックライトとを組み合わせた構成とすることができる。例えばEL素子を用いる場合、表示部120は、各EL素子に画像信号に応じた電圧を印加することによって各EL素子を発光させる。画像信号に応じて各EL素子を発光させることにより、表示部120に画像を表示することができる。
表示部120は、レーザ光源101とは別の光源からの光を用いるため、スクリーン200における画像表示と同時に、表示部120に画像を表示することができる。また、表示部120における画像表示には、レーザ光源101で各色光を変調するときに用いられる画像信号を用いることができる。スクリーン200の表示画像と同一の画像信号を用いると、表示部120には、スクリーン200に画像を表示するときと略同一の画像が表示される。従って、スクリーン200と、表示部120とにおいて、略同一の画像を同時に表示することができる。スクリーン200と、表示部120とで表示される略同一の画像としては、同一の画像信号を用いて表示可能な、相似形の画像や、色調のみが異なる画像も含まれる。
また、表示部120は、レーザ光源101で各色光を変調するときに用いられる画像信号以外の信号を用いる構成としても良い。スクリーン200の表示画像と異なる画像信号を用いると、表示部120に、スクリーン200とは異なる画像が表示される。従って、スクリーン200と、表示部120とにおいて、異なる画像を同時に表示することができる。これにより、スクリーン200と、表示部120とにおいて同一又は異なる画像を同時に鑑賞することができるという効果を奏する。例えば、表示部120の画像を、スクリーン200に拡大表示して鑑賞することも可能である。
なお、スクリーン200と、表示部120とにおいて同時に画像を表示する構成に限らず、スクリーン200における画像表示と、表示部120とにおける画像表示とを切り換え可能な構成としても良い。例えば、表示部120を開いたときに表示部120における画像表示を停止し、スクリーン200のみにおいて画像表示を行うこととすることも可能である。これにより、表示部120の開閉によって、スクリーン200と、表示部120とにおける画像表示を切り換える構成にすることができるという効果を奏する。
図3−1、図3−2を用いて、本発明の実施例2に係る携帯電話300の概略構成を示す。上記実施例1の携帯電話100と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例の携帯電話300は、レーザ光源101からの各色光を用いて、スクリーン200及び表示部320に画像を表示することを特徴とする。表示部320の、透明平板107側の面には、反射透過膜330が設けられている。反射透過膜330は、透明平板107から射出される各色光の入射角度に応じて、透明平板107からの各色光を反射及び透過する。
まず、図3−1を用いて、レーザ光源101からの各色光を用いて表示部320に画像を表示する構成について説明する。図3−1に示す携帯電話300は、表示部320が第1の位置にある状態である。表示部320が第1の位置にあるとき、透明平板107と反射透過膜330とは、互いの領域の略全体が重なり合っている。反射ミラー105から透明平板107に入射した各色光は、透明平板107を透過して、反射透過膜330に入射する。
このとき反射ミラー105から透明平板107に入射する各色光は、透明平板107の領域に対して略垂直な方向に進行している。反射透過膜330は、反射透過膜330の領域に対して略垂直な方向から入射する各色光を、透過する特性を有する。このようにして、表示部120が第1の位置にあるとき、反射透過膜330は、透明平板107から、透明平板107の領域に対して略垂直な方向に進行する各色光を透過させる。反射透過膜330を透過した各色光は、表示部320に入射する。表示部320は、反射透過膜330からの各色光を拡散光に変換して射出する。表示部320には、例えば、すり硝子からなる平行基板を用いることができる。そして、表示部320を透過した各色光によって、表示部320の射出面に画像を表示することができる。
次に、図3−2を用いて、レーザ光源101からの各色光を用いて表示部320に画像を表示する構成について説明する。図3−2に示す携帯電話300は、表示部320が第2の位置にある状態である。このとき、反射透過膜330と透明平板107とは、角度θをなしている。反射ミラー105から透明平板107に入射した各色光は、透明平板107を透過した後、反射透過膜330に入射する。このとき反射透過膜330に入射する各色光は、反射透過膜330の領域に対して、角度90−θの方向に進行している。
反射透過膜330は、反射透過膜330の領域に対して角度90−θをなす斜め方向から入射する各色光を、スクリーン200の方向へ反射する特性を有する。例えば、反射透過膜330と透明平板107とがなす角度θが45度であるとき、反射透過膜330は、透明平板107から反射透過膜330へ45度の斜め方向から入射する各色光を、スクリーン200の方向へ反射する。このようにして、表示部320が第2の位置に固定されているとき、反射透過膜330は、透明平板107からの各色光をスクリーン200の方向へ反射する。そして、スクリーン200の方向へ進行した各色光により、スクリーン200に画像を表示することができる。
表示部120が第1の位置にあるとき、各色光は、反射透過膜330を透過して表示部320に入射する。表示部320は、反射透過膜330からの各色光を透過することにより、画像を表示する。また、表示部120が第2の位置にあるときに、各色光は、反射透過膜330を反射してスクリーン200の方向へ進行する。このように、表示部120の位置を第1の位置と、第2の位置とに移動させることにより、表示部320における画像表示と、スクリーン200における画像表示とを切り換える構成とすることができる。
さらに、表示部320における画像表示と、スクリーン200における画像表示との切り換えが可能であるから、単独のレーザ光源101からの各色光を用いて、表示部320と、スクリーン200とに画像を表示することができる。単独のレーザ光源101からの各色光を用いることができることから、携帯電話300、特に表示部320を簡易な構成とすることもできる。これにより、携帯電話300を簡易な構成とし、かつ、スクリーン200と、表示部320とにおける画像表示を切り換えて鑑賞することができるという効果を奏する。
次に、表示部320の画像と、スクリーン200の画像とを適切な光量で表示するための構成について説明する。反射透過膜330は、透明平板107から反射透過膜330への方向、例えば45度の斜め方向から入射する各色光の略全てを、スクリーン200の方向へ反射する特性を有する。このため、表示部120が第2の位置にあるとき、レーザ光源101からの各色光を最大限に利用して、スクリーン200における画像表示を行うことができる。また、反射透過膜330は、反射透過膜330の領域に対して略垂直な方向から入射する各色光の一部、例えば入射する各色光の数パーセントのみを透過する特性を有する。このため、表示部320に画像を表示する場合、スクリーン200における画像表示を行う場合に比較して、少ない光量のレーザ光を用いる構成とすることができる。
スクリーン200にレーザ光を照射させて画像を表示する場合、観察者は、スクリーン200における反射光を観察する。これに対して、表示部320に画像を表示する場合、観察者は、表示部320からの光を直視することにより画像を観察する。このため、表示部320に画像を表示する場合に比較して、スクリーン200に画像を表示する場合のほうが周囲の明るさの影響を受け易い。表示画像の明るさと、スクリーン200の明るさとの差が小さいと、スクリーン等の画像は不鮮明になってしまう。従って、スクリーン200に画像を表示する場合、レーザ光源101からの各色光を最大限に利用することが好ましい。
これとは逆に、スクリーン200に画像を表示する場合に必要な強度のレーザ光をそのまま表示部320の画像表示に用いると、光量が大きすぎるために画像が不鮮明になる場合がある。従って、表示部320に画像を表示する場合、スクリーン200における画像表示を行う場合に比較して、少ない光量のレーザ光を用いることが好ましい。反射透過膜330は、表示部120が第1の位置にあるときに透過する光の光量に対して、表示部120が第2の位置にあるときに反射する光の光量が大きくなる特性を有する。
このように、単独のレーザ光源101を用いても、反射透過膜330によって、スクリーン200に画像を表示する場合と、表示部320に画像を表示する場合とにおいて、各色光の強度を調節することができる。これにより、表示部320の画像と、スクリーン200の画像とを適切な光量で表示することができるという効果を奏する。また、反射透過膜330を用いることのみによって光量を調節することから、簡易な構成により各色光の強度を調節することができる。
次に、図4−1、図4−2を用いて、実施例2の変形例に係る携帯電話400について説明する。実施例2の携帯電話300と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。実施例2の携帯電話300は、反射透過膜330の特性によって、表示部320で画像を表示する場合の各色光の光量より、スクリーン200で画像を表示する場合の各色光の光量を大きくする構成とする。これに対して、本変形例に係る携帯電話400は、センサ470が表示部320の位置を検知することにより、レーザ光の光量を調節することを特徴とする。なお、本変形例に特徴的な部分を明確にするために、図4−1、図4−2においては、各色光の光路を省略して構成を示している。
携帯電話400には、表示部320の位置を検知するセンサ470が設けられている。図4−2に示すように、表示部320が第2の位置状態にあることをセンサ470が検出した場合、レーザ光源101は、各色光の光量を最大値とする調節を行う。各色光の光量を最大値とすることにより、表示部120が第2の位置にあるときに、最大光量のレーザ光を用いてスクリーン200に画像を表示することができる。また、図4−1に示すように、表示部120が第1の位置状態にあることをセンサ470が検出した場合、レーザ光源101は、各色光の光量を、最大値より小さい値、例えば、最大値の数パーセントに減じる調節を行う。
最大光量より小さい光量の各色光を用いて表示部320の画像を表示可能であることから、表示部120が第1の位置にあるときに、適切な光量で表示部320に画像を表示することができる。レーザ光源101からの各色光の光量を調節は、例えば、レーザ光源101の駆動回路に接続された可変抵抗(不図示)の抵抗値を変化させることによって行うことができる。これにより、表示部320の画像と、スクリーン200の画像を適切な光量で表示することができるという効果を奏する。さらに、本変形例の構成によると、レーザ光源101からの各色光の光量を調節する構成とすることにより、画像形成に寄与しないレーザ光を低減できる。
次に、本発明の実施例3に係る携帯電話の構成について説明する。本実施例の携帯電話は、表示部の画像表示にガルバノミラーからのレーザ光を用いる点は、上記実施例2の携帯電話300と同様である。本実施例の携帯電話が上記実施例2の携帯電話300と異なる点は、ガルバノミラーからのレーザ光を制御光として用い、レーザ光の光量に応じて表示部を発光させる点である。本実施例の携帯電話は、上記実施例2の携帯電話300とは表示部の部分のみが異なる構成であるから、実施例2の構成を示す図3−1を用いることとし、重複する説明は省略する。
本実施例の携帯電話350の表示部370は、レーザ光の光量に応じて発光する。表示部370としては、例えば、自発光素子であるエレクトロ・ルミネッセンス(以下、「EL」という。)素子を用いることができる。EL素子は、EL層を挟んで設けられた電極間に印加される電圧に応じて発光する。表示部370に用いられるEL素子は、制御光であるレーザ光の光量に応じて印加電圧を変化させることによって、レーザ光の光量に応じて発光する。レーザ光の光量に応じて発光させる構成としては、例えば、レーザ光の光量に応じて電気的な導電率を変化させることができる導電率可変部を、用いることができる。導電率可変部は、レーザ光を入射させないとき、導電率が略ゼロの絶縁体として機能する。また、強度が変調されたレーザ光を導電率可変部に入射させると、導電率可変部の導電率は、レーザ光の光量に応じて変化させることができる。そして、EL素子の電極間に予め一定の電圧を印加することにより、EL層に、レーザ光の光量に応じた電圧を印加することができる。
表示部370には、画素に応じてEL素子が設けられている。そして、画素に応じて設けられているEL素子の導電率可変部にレーザ光を走査させることにより、レーザ光の光量に応じて表示部370を駆動することができる(光アドレッシング)。さらに、EL素子としては、R光を発光するR光用EL素子と、G光を発光するG光用EL素子と、B光を発光するB光用EL素子とを用いることができる。これにより、表示部370にカラーの画像を表示することができる。表示部370が第1の位置にあるとき、表示部370にレーザ光を走査させる構成は、上記実施例2の説明と同様である。光アドレッシングには、各色光のうち、1つの色光、例えば、R光のみを画像信号に応じて変調して用いることができる。画像信号に応じて変調されたR光は、ガルバノミラー103によって表示部370を走査する。なお、光アドレッシングのために1つの色光を用いる構成に限らず、各色光のうち2つ、或いは3つの色光を光アドレッシングに用いる構成としても良い。
このようにして、ガルバノミラー103からのレーザ光を制御光として用いて、画像信号に応じて表示部370の光アドレッシングを行う。これにより、画像信号に応じて表示部370に画像を表示することができるという効果を奏する。なお、表示部370には、EL素子以外の自発光素子や、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いることとしても良い。MEMSを用いる場合は、例えば、他の光源からの光を画像信号に応じて反射させることにより、画像を表示することができる。
また、表示部370として、液晶と、バックライトとを併せて用いることとしても良い。表示部370に液晶を用いる場合、レーザ光の光量に応じて液晶層に印加する電圧を変化させ、バックライトからの光の透過量を変調する。バックライトからの光の光量を画像信号に応じて変調することにより、表示部370に画像を表示することができる。なお、バックライトとしては、ガルバノミラー103によってレーザ光源101からの各色光を供給する構成としても良い。レーザ光源101からの各色光をバックライトとして使用することにより他の光源を不要とし、携帯電話350を簡易な構成にできる。
図5は、本発明の実施例4に係る携帯電話500の概略構成を示す。上記実施例2の携帯電話300と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。上記実施例2の携帯電話300は、光路変換部として反射ミラー105(図3−1、図3−2参照)を備えている。本実施例の携帯電話500は、光路変換部としてホログラム素子506を有することを特徴とする。なお、本実施例の携帯電話500において、表示部320に画像を表示する構成は、上記実施例2の携帯電話300と同一である。従って、本実施例では、表示部320に画像を表示する構成の図示を省略し、スクリーン200に画像を表示する構成を用いて以下の説明を行うものとする。
ガルバノミラー103で反射された各色光は、光路変換部であるホログラム素子506に入射する。ホログラム素子506は、透明平板107の、各色光の入射側の面に設けられている。ホログラム素子506は、透明平板107の矩形領域と略同一の矩形領域をなしている。このため、ホログラム素子506と、透明平板107とは、それぞれの矩形領域の略全体が重なり合っている。ホログラム素子506は、ガルバノミラー103からの各色光を、透明平板107に対して略垂直な方向に屈折させるような光偏向特性を有する。従って、ホログラム素子506で屈折された各色光は、透明平板107に対して略垂直な方向から透明平板107に入射する。透明平板107から射出される各色光を用いてスクリーン200に画像を表示する構成は、上記実施例2の携帯電話300と同一である。
このようにして、ホログラム素子506により、ガルバノミラー103からの各色光の光路は、透明平板107の方向に略90度折り曲げられる。また、ガルバノミラー103からの各色光は、ホログラム素子506の矩形領域の垂線に対して大きく傾いた角度方向から、ホログラム素子506に入射する。ホログラム素子506に対して大きくねかせた角度で各色光を入射させるため、上記実施例1の携帯電話100の反射ミラー105(図2参照)と同様、光路を略90度折り曲げられた後の各色光の二次元方向の走査領域を大きくすることができる。従って、実施例1の携帯電話100と同様に、大型の筐体110を用いなくても、透明平板107の位置における各色光の二次元方向の走査領域を大きくすることができる。これにより、小型で、安全を確保することができるという効果を奏する。
なお、本実施例では、ガルバノミラー103からの各色光を、筐体110内部の中空においてホログラム素子506の方向へ進行させる構成としている。これに限らず、筐体110の内部に、透明な硝子部材や、樹脂部材からなる導光体を設ける構成としても良い。筐体110の内部に導光体を設ける場合、ガルバノミラー103からの各色光は、導光体の内部を透過した後、ホログラム素子506に入射する。
図6は、本発明の実施例5に係る携帯電話600の概略構成を示す。上記実施例2の携帯電話300と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例の携帯電話600は、変調部として、画像信号に応じて各色光を変調する空間光変調装置604を有することを特徴とする。本実施例では、表示部320に画像を表示する構成の図示を省略し、スクリーン200に画像を表示する構成を用いて以下の説明を行うものとする。
実施例2の携帯電話300のレーザ光源101は、各色光を、それぞれ画像信号に応じて変調して供給する。これに対して、本実施例の携帯電話600のレーザ光源601には、画像信号に応じてレーザ光を変調するための変調部が設けられていない。従って、レーザ光源601は、強度が一定の各色光を供給する。ガルバノミラー103からの各色光は、変調部である空間光変調装置604に入射する。空間光変調装置604は、ガルバノミラー103からの各色光を画像信号に応じて変調して、反射ミラー105の方向へ射出する。空間光変調装置604としては、例えば、透過型の液晶画像表示装置を用いることができる。
本実施例の携帯電話600において、反射ミラー105からの各色光を用いてスクリーン200に画像を表示する構成と、表示部320に画像を表示する構成とは、上記実施例2の携帯電話300と同一である。このように、空間光変調装置604を用いることにより、画像信号に応じて各色光を変調することができる。これにより、表示部320及びスクリーン200に画像を表示することができるという効果を奏する。
図7−1は、本発明の実施例6に係る携帯電話700の概略構成を示す。上記実施例1の携帯電話100と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例の携帯電話700において、スクリーンと、表示部120とに画像を表示するための構成は、上記実施例1の携帯電話100と同様である。本実施例の携帯電話700は、射出部である透明平板107と一体に導電部760を設けている点を特徴とする。
図7−1に示す携帯電話700は、表示部120が第2の位置にある状態である。レーザ光源101は、電源部762からの駆動電流により各色光を供給している。導電部760は、透明平板107と一体となるように設けられている。そして、導電部760は、電源部762と、レーザ光源101とを電気的に接続している。導電部760としては、導電性の部材、例えば、導電性の金属部材によって構成することができる。レーザ光源101は、導電部760を介して電源部762と電気的に接続されることにより、駆動することができる。
図7−2に示す携帯電話700は、筐体110から透明平板107が取り外されている状態である。筐体110から透明平板110が取り外されるときとしては、修理、廃棄時や破損時、人為的に取り外される場合等が考えられる。透明平板107が筐体110から取り外されるとき、透明平板107と一体に設けられている導電部760も同時に取り外される。導電部760が取り外されると、電源部762と、レーザ光源101との電気的な接続が遮断される。レーザ光源101は、電源部762との電気的な接続が遮断されることによって、各色光の供給を停止する。このようにして、人為的に、或いは破損等によって、筐体110から透明平板107が取り外れる事態において、レーザ光源101からの各色光の供給が停止される。
上記実施例1において説明したように、透明平板107は、走査している各色光が瞳に入射する場合であっても、瞳に入射する各色光が安全を確保可能な強度となるような位置に設けられている。このため、筐体110の内部には、走査している各色光によって眼の保護を十分に行えない程度に各色光の強度が集中している空間的領域が密閉されている。この状態において筐体110から透明平板107が取り外れる事態が生じたとする。透明平板107が取り外れると、例えば、筐体110の内部を覗き込むことも可能となる。筐体110の内部を覗き込むときにレーザ光源101から各色光が供給されるままであると、大きい強度のレーザ光が眼に入射する事態が起こり得る。
本実施例の携帯電話700は、透明平板107が取り外されると同時にレーザ光源101への駆動電流の供給を停止する。レーザ光源101は駆動電流の供給が停止されることにより、直ちに各色光の供給を停止する。このようにして、透明平板107が取り外される場合に、直接的に各色光の供給を停止することができ、大きい強度のレーザ光が眼に入射する事態を回避することができる。これにより、安全を確保することができるという効果を奏する。
なお、本実施例の携帯電話700は、上記実施例1の携帯電話100を基にする構成のみならず、上記各実施例の携帯電話を基に構成しても良い。上記各実施例の携帯電話のいずれを基に構成しても、本実施例の携帯電話700と同様の効果を得ることができる。また、上記各実施例の携帯電話において、スクリーン等に画像表示にレーザ光源を用いることとしているが、ビーム状の光を用いる構成であれば、これに限られない。例えば、光源としてレーザダイオードを用いる構成としても良い。さらに、上記各実施例では、画像表示装置として携帯電話の構成について説明しているが、他の小型の画像表示装置、例えば、PDAやモバイル型ノートパソコン等としても良い。
以上のように、本発明に係る画像表示装置は、プレゼンテーションにおけるテキスト、静止画像、又は動画像を表示する場合に有用であり、特に、携帯電話等の小型の画像表示装置の表示画像をスクリーン等に表示することに適している。
本発明の実施例1に係る携帯電話の概略構成図。
表示部が第2の位置にある状態の携帯電話の図。
スクリーンに画像を表示するための構成を示す図。
本発明の実施例2、3に係る携帯電話の概略構成図。
スクリーンに画像を表示するための構成を示す図。
実施例2の変形例に係る携帯電話の概略構成図。
表示部が第2の位置にある状態の携帯電話の図。
本発明の実施例4に係る携帯電話の概略構成図。
本発明の実施例5に係る携帯電話の概略構成図。
本発明の実施例6に係る携帯電話の概略構成図。
筐体から透明平板が取り外された状態の携帯電話の図。
符号の説明
100 携帯電話、101 レーザ光源、102 ビーム整形光学系、103 ガルバノミラー、105 反射ミラー、107 透明平板、110 筐体、120 表示部、130 反射膜、150 操作部、200 スクリーン、300 携帯電話、320 表示部、330 反射透過膜、350 携帯電話、370 表示部、400 携帯電話、470 センサ、500 携帯電話、506 ホログラム素子、600 携帯電話、601 レーザ光源、604 空間光変調装置、700 携帯電話、760 導電部、762 電源部、θ 角度