JP2005114682A - 光ポンピング核スピン偏極装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 半導体以外の物質でも核スピン偏極できる光ポンピング核スピン偏極装置を提供する。
【解決手段】 被核スピン偏極物質2を搭載する半導体3と、半導体3上に被核スピン偏極物質2を搭載した構造体4に、半導体3のバンドギャップエネルギーに相当する波長をもつ単色円偏光9を照射する単色円偏光光源5と、構造体4に静磁場10を印加する静磁場発生装置6と、構造体4に静磁場10と直交する方向に高周波磁場11a,11bを印加する二つの高周波磁場発生装置7,8とを有し、光ポンピングにより半導体原子の核スピン偏極率を高めると共に、核スピン交差分極により、半導体原子の核スピン偏極を被核スピン偏極物質2の核スピンに転写する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、微量な物質中に含まれる微量原子の核スピン偏極率を劇的に増大させる光ポンピング核スピン偏極装置に関する。
核スピンの測定、制御及び応用は、今後の科学技術の発展にとって極めて重要な位置を占めるようになってきている。
核磁気共鳴(NMR)法(非特許文献1参照)は、分子や固体の性質をその物質の原子の核磁気モーメントを通して調べる分析法であり、静磁場中での核磁気モーメントの高周波磁場の共鳴吸収を利用する分析法である。周期律表にある元素のうち約90%の核が核磁気モーメントを有していることから、NMR法は、極めて広範囲の物質を守備範囲とすることができ、化学、生化学、医学、物質科学など様々な分野で必要不可欠な研究手段となっている。特に、タンパク質をはじめとする有機化学の分野では、炭素や水素などの結合や分子の立体的構造に関する情報が非破壊的に得られるため、構造解析の切り札として重用されている。また、磁気共鳴画像診断(MRI)装置は、なくてはならない医療診断装置として活用されているが、この装置の動作原理はNMR法に基づくものである。
またNMR法は文字通り原子の大きさの分解能を持つため、ナノ構造物質の特性の分析技術としての期待も高く、近年、NMR顕微鏡(非特許文献2参照)が注目されている。NMR顕微鏡とは、NMRの原理を走査型探針顕微鏡技術(STM、AFM等)と融合させた次世代の顕微鏡であり、究極的には単一の核からの信号の計測を目標としており、磁気共鳴顕微鏡(MRFM)と呼ばれることもある。
また、核スピンの応用として量子計算機(非特許文献3参照)がある。量子計算機は、量子力学の原理に基づく全く新しい概念の計算機であり、量子暗号、量子テレポーテーションなどと並ぶ量子情報技術の一つである。1985年にアメリカのノーベル賞物理学者R.ファインマンによって提唱され、技術的な観点からは、現在の計算機素子のナノ領域への微細化による、量子現象の顕在化の問題を打破するための必然的なパラダイムシフトとして位置づけられている。量子計算機では、従来のデジタル計算機のビットを量子力学的な状態である量子ビットで置き換え、その状態の重ね合わせを利用することにより超並列計算を行う。この超並列性のために、従来型計算機では事実上解けない問題を短時間で解くことが可能となる。最も重要な応用例は、従来型計算機では不可能だった暗号解読が可能になることであり、そのため、高度情報化社会に於ける安全保障上の重要な次世代技術として注目されている。
近年、量子計算を実現するための種々の構成の量子計算機が提案されているが、その中にはNMR量子計算機(非特許文献4参照)がある。NMR量子計算機とは、量子ビットを磁場中におかれた核スピンに基づく核磁気モーメントで実現したものであり、核磁気モーメントの外界からの隔離性の良さや高度に発達したNMR技術の存在から、現在最も有望な量子計算機とみなされている。実用上不可欠とされる量子ビット数は100 ビットであるが、2003年現在で7ビットのNMR量子計算機が実現されている。
ところで、NMR法による測定においては、測定感度を高めるために、高周波磁場を印加する前に、印加する静磁場方向に核スピンを整列させる必要がある。また、NMR量子計算機による計算においては計算に先立って、量子ビットの初期化、すなわち印加する静磁場方向に核スピンを整列させる必要がある。ところが、核スピンに基づく核磁気モーメントは極めて小さく、例えば電子スピンの磁気モーメントと比べても3桁以上小さい。このため、核スピンのゼーマンエネルギーは極めて小さく、ボルツマン分布から定まる核スピン偏極率、すなわち一定方向の静磁場を印加した場合にその磁場方向へ核磁気モーメントが整列する割合は、室温程度では極めて小さい値にとどまる。例えば、最も磁気モーメントが大きい水素原子核の場合でも、温度300Kで10Tの磁場を印加しても10-5程度である。このため従来は、十分な偏極率を確保するために、核スピンのゼーマンエネルギー程度まで温度を低下させる必要があり、例えば10Tの磁場中では通常1mK(ミリケルビン)以下まで温度を低下させる必要がある。その実現には、複雑な装置と多大な手間を必要としている。
このため、極低温を使用せずに核スピン偏極率を高める、光ポンピングNMR法(非特許文献5、特許文献1参照)が提案されている。この方法によれば、半導体のバンドギャップエネルギーに相当する波長をもつ単色円偏光を半導体に照射すると価電子帯の電子は伝導帯に励起されるが、その際、光の円偏光性により角運動量を保存するある一方向のスピンをもつ電子が選択的に励起され、これにより電子スピンの高い偏極率が達成される。この高い偏極率の電子スピンは、超微細相互作用を介して半導体を構成する原子の核スピンに転写され、半導体を構成する原子の核スピンは高い偏極率で偏極される。従って光ポンピングNMR法を用いれば、半導体を構成する原子の核磁気モーメントを利用するNMR測定においては容易に測定感度を高めることができ、また、半導体を構成する原子の核磁気モーメントを利用する量子計算機においては、容易に初期化することができる。
しかしながら、光ポンピング法は被測定物質が半導体に限られ絶縁体等には適用できないという課題があった。NMR測定、特にNMR顕微鏡においては、半導体に限らず、絶縁体等でも測定できることが好ましく、また、NMR量子計算機を構成する物質も半導体に限らず、絶縁体等でも構成できることが好ましい。
特願2002−26158号 C. P. Slichter, "PrinciplesofNuclear Magnetism", Springer Series of Solid-State Sciences, Springer Verlag, 1989 Berlin; 邦訳「磁気共鳴の原理」益田義賀訳シュプリンガーフェアラーク東京 1998 D. Rugar, C. S. Yannoni and J. A. Sidles, "Mechanicaldetection of magneticresonance"Nature 360563(1992) 数理科学(サイエンス社)10(1998) 北川勝浩 「NMR量子コンピュータ」数理科学10(1998)p43 G. Lampel, Phys. Rev. Lett. 20(1968)491 R. R. Ernst and G. Bodenhausen and A. Wokaun, "PrinciplesofNuclear Magnetic Resonance in One and Two Dimensions" International Series of Monographs on Chemistry-14, Oxford University Press 1987, Oxford, Section 4.5; 邦訳「2次元NMR」永山国昭、藤原敏道、内藤晶、赤坂一之 共訳、吉岡書店1991年4.5.章
このように光ポンピング法は円偏光励起による電子のスピン偏極を利用するため、極低温を使用せずに容易に核スピン偏極率を高めることができるが、核スピン偏極率を高めることができる物質が半導体に限られ、半導体以外の物質、例えば絶縁体等では核スピン偏極ができないという課題があった。
本発明は上記課題に鑑み、半導体以外の物質でも核スピン偏極できる光ポンピング核スピン偏極装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の光ポンピング核スピン偏極装置は、被核スピン偏極物質を搭載する半導体と、半導体上に被核スピン偏極物質を搭載した構造体に、半導体のバンドギャップエネルギーに相当する波長をもつ単色円偏光を照射する単色円偏光光源と、構造体に静磁場を印加する静磁場発生装置と、構造体に静磁場と直交する方向に高周波磁場を印加する二つの高周波磁場発生装置とから成り、単色円偏光の光ポンピングにより半導体原子の核スピン偏極率を高めると共に、半導体原子の核スピン偏極を、静磁場と二つの高周波磁場による核スピン交差分極により、被核スピン偏極物質に転写することを特徴とする。
この構成によれば以下のように動作する。
すなわち、静磁場発生装置により静磁場を印加すると共に、円偏光光源により単色円偏光を半導体に照射すると価電子帯の電子は伝導帯に励起されるが、その際、光の円偏光性により角運動量を保存するある一方向のスピンをもつ電子が選択的に励起され、これにより電子スピンの高い偏極率が達成される。この高い偏極率の電子スピンは、超微細相互作用を介して半導体を構成する原子の核スピン、即ち半導体核スピンに転写され、高い偏極率の半導体核スピンが実現される。高い偏極率の半導体核スピンは半導体と被核スピン偏極物質との界面を介して被核スピン偏極物質の核スピン、即ち被偏極核スピンに転写される。ここで、半導体と被核スピン偏極物質のそれぞれを構成する核の種類が異なる場合、互いのゼーマンエネルギーが異なっており、エネルギー保存則のために自動的にはスピン偏極の転写が進まない。
ところで、異なる核種同士を熱接触させ、核スピン偏極率を高める方法は、交差分極法(非特許文献6参照)と呼ばれており、固体の高分解能NMR測定で使用されている。この方法は、それぞれの核のラーマー周波数で回転する回転座標系で両者のゼーマンエネルギーを一致させる手法で、動的核偏極の代表的手法である。例えば、有機物固体中の13C核スピンは、その小さい核スピン磁気回転比のために核スピン偏極率を高めることは容易ではないが、有機物固体中の 1H核スピンとゼーマンエネルギーを一致させることによって、13C核スピンを短時間で高い核スピン偏極率にすることができ、その結果、高分解能な固体NMR測定を可能にしている。本発明では、この交差分極法を半導体と被核スピン偏極物質との界面でのスピン転写に用いる。
すなわち、二つの高周波磁場発生装置により、静磁場方向に垂直な面内に磁場方向を有する二つの高周波磁場を界面に印加する。一つの高周波磁場の周波数は、半導体核スピンのラーモア(Larmor)周波数に一致させ、他の一つの高周波磁場の周波数は被偏極核スピンのラーモア周波数に一致させる。これによって、半導体核スピン及び被偏極核スピンの各々の回転座標系で、半導体核スピン及び被偏極核スピンの各々が章動運動を行う。さらに、二つの高周波磁場の磁場強度を調節することによって、二つの章動運動の周波数を一致させる。章動運動周波数はゼーマンエネルギーに比例するので、半導体核スピンと被偏極核スピンのゼーマンエネルギーが一致し、高い偏極率の半導体核スピンが被偏極核スピンに転写される。界面で転写された被核スピン偏極物質の核スピン偏極は、核スピン拡散によって被核スピン偏極物質内部へと拡散してゆく。このようにして、被核スピン偏極物質の高い核スピン偏極率が達成される。
光ポンピング法と交差分極法はともに公知の技術であるが、本発明は、これらの手法を組み合わせることにより、従来、光ポンピングによる核スピン偏極が不可能であった物質、例えば絶縁体等でも高い核スピン偏極を実現できるようにしたものである。
好ましくは、半導体は、基板上に略直立した複数の半導体ナノワイヤーからなる。複数のナノワイヤーの側面の間隙に被核スピン偏極物質を埋め込み、複数のナノワイヤーの上端部から単色円偏光を照射する。
この構成によれば、半導体と被核スピン偏極物質との接触面積が大幅に増大し、また、単色円偏光を照射する照射面が確保できるので、被核スピン偏極物質の核スピン偏極率を劇的に増大させることができる。例えば、微量な物質中に含まれる微量の核スピンの偏極率を劇的に増大させることができる。
また好ましくは、半導体は、半導体から成るグレーティング構造を有する。複数のグレーティング溝に被核スピン偏極物質を埋め込み、複数のグレーティングの上端部から単色円偏光を照射する。
この構成によれば、半導体と被核スピン偏極物質との接触面積が大幅に増大し、また、単色円偏光を照射する照射面が確保できるので、核スピンの偏極度を劇的に増大させることができる。例えば、有機物の被核スピン偏極物質を、ゾル化、あるいはゲル化し、グレーティング溝に充填することによって、物質中に微量含まれる13C同位体原子の核スピン偏極率を劇的に増大させることができる。
さらにまた、好ましくは、被核スピン偏極物質が化合物半導体である場合に、半導体は、被核スピン偏極物質の化合物半導体の構成原子の内の少なくとも一つを共通の原子とした他の化合物半導体であり、半導体の化合物半導体と被核スピン偏極物質の化合物半導体とを超格子構造に積層したことを特徴とする。
この構成によれば、共通の原子を介する核スピン拡散により、超格子界面を越えた核スピンの転写が生じ、被偏極核スピンの偏極率が高まる。また、界面での格子のミスマッチにより、価電子体の重いホール軌道と軽いホール軌道の縮退が解けるので、単色円偏光の波長を選択することにより、最大100%の偏極率が可能になる。
また、被核スピン偏極物質及び半導体は、 III−V族半導体であれば好ましい。また特に被核スピン偏極物質及び半導体は、それぞれAlP及びInP、または、それぞれInP及びAlPであれば好ましい。
この構成によれば、P原子の核を介する核スピン拡散により、超格子界面を越えた核スピンの転写が生じ、Alのスピンの偏極率が高まり、または、Inのスピンの偏極率が高まる。また、界面での格子のミスマッチにより、価電子体の重いホール軌道と軽いホール軌道の縮退が解けるので、単色円偏光の波長を選択することにより、最大100%の偏極率が可能になる。
本発明によれば、絶縁物等のように半導体でない物質の核スピン偏極率も容易に高めることができるので、NMR測定やNMR量子計算機に適用できる物質の範囲を広げることができる。また、半導体の電子スピンを介した光ポンピングによるから、実現される偏極率は100%に近く、NMR測定感度を劇的に高めることができ、また、NMR量子計算機の初期化を容易且つ十分に行うことができる。
また、ナノワイヤーやグレーティング構造の半導体を使用すれば、微量物質のNMR測定が可能になり、走査型探針顕微鏡技術(STM、AFM等)と融合させれば、NMR顕微鏡が可能になる。
さらにまた、被核スピン偏極物質が III−V族半導体である場合に、半導体をV族を共通とした他の III−V族半導体とし、被核スピン偏極物質の III−V族半導体と半導体の III−V族半導体とを超格子構造に積層した構造にすれば、被核スピン偏極物質の III−V族半導体の核スピンが容易に高度に偏極されるので、被核スピン偏極物質の III−V族半導体と半導体の III−V族半導体とを超格子構造に積層した構造体をNMR量子計算機の母体材料とすれば、固体多ビット量子計算機の実現に大きく近づく。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の光ポンピング核スピン偏極装置の第一の実施の形態の構成を示す模式図である。図において、本発明の光ポンピング核スピン偏極装置1は、核スピン偏極する被核スピン偏極物質2を搭載する半導体3と、半導体3上に被核スピン偏極物質2を搭載した構造体4に光照射する半導体3のバンドギャップエネルギーに相当する波長をもつ単色円偏光光源5と、構造体4に静磁場を印加する静磁場発生装置6と、構造体4に高周波磁場を印加する二つの高周波磁場発生装置7,8とを有している。なお、黒矢印は単色円偏光光源5が構造体4に照射する単色円偏光9を示し、白矢印は静磁場発生装置6が構造体4に印加する静磁場10を示し、両白矢印は高周波磁場発生装置7または8が構造体4に印加する高周波磁場11aまたは11bを示し、3aは半導体3と被核スピン偏極物質2との界面を示している。
半導体3は半導体物質であれば良く、例えば、Si半導体等の単一元素半導体、GaAsやCdS等の化合物半導体、あるいは有機物半導体でも良い。被核スピン偏極物質2は用途によって異なり、例えばNMR測定を必要とする物質である。搭載方法は、半導体3と被核スピン偏極物質2とが原子層あるいは分子層オーダーの間隔で搭載できる方法であれば何でも良く、例えば、真空蒸着法、メッキが適用できる。高周波磁場発生装置7または8は、周波数可変の高周波磁場発生装置であればよく、静磁場10の印加方向と垂直な面内に磁場ベクトルを有するように配置すればよい。
次に、光ポンピング核スピン偏極装置1の動作を説明する。
構造体4に静磁場10を印加すると共に、単色円偏光9を照射する。これにより、半導体3の価電子帯の電子が伝導帯に励起され、その際、単色円偏光9の円偏光性により角運動量を保存するある一方向のスピンをもつ伝導電子が選択的に励起され、電子スピンは高い偏極率の状態となる。この高い偏極率の電子スピンは、電子スピンと核スピンとの超微細相互作用を介して半導体3を構成する原子の核スピン、即ち半導体核スピンに転写され、高い偏極率の半導体核スピンが実現される。高い偏極率の半導体核スピンは半導体3と被核スピン偏極物質2との界面3aを介して被核スピン偏極物質2の原子の核スピン、即ち被偏極核スピンに転写される。ここで、半導体と被核スピン偏極物質のそれぞれを構成する核の種類が異なる場合、互いのゼーマンエネルギーが異なっており、エネルギー保存則のために自動的にはスピン偏極の転写が進まない。このため以下に説明するように、交差分極法を用いてゼーマンエネルギーを一致させ、高い偏極率の半導体核スピンを被偏極核スピンに転写する。
図2は本発明の光ポンピング核スピン偏極装置の交差分極法による動作を示す図である。図において、Z軸は静磁場10の印加方向にとった実験室系の座標軸である。X’及びY’は、半導体原子の核スピンに基づく磁気モーメント、即ち核磁気モーメントμS の回転座標系の座標軸であり、X”及びY”軸は、被核スピン偏極物質3の原子の核スピンに基づく磁気モーメント、即ち核磁気モーメントμR の回転座標系の座標軸であり、X’軸とY’軸、及びX”軸とY”軸はZ軸に直交している。Z軸方向に静磁場10を印加することによって、核磁気モーメントμs はZ軸の回りに半導体原子の核磁気回転比γs と静磁場10の大きさH0 の積で定まる周波数のラーモア歳差運動を行う。ラーモア歳差運動の周波数の高周波磁場11aを印加すると、核磁気モーメントμs は、X’軸とY’軸で形成される面内の一方向、例えば図のX’軸の回りに、周波数ωS の章動運動を行う。同様に、核磁気モーメントμR はZ軸の回りに、被核スピン偏極物質3の原子の核磁気回転比γR と静磁場10の大きさH0 の積で定まる周波数のラーモア歳差運動を行い、このラーモア歳差運動周波数の高周波磁場11b を印加すると、核磁気モーメントμR は、X”軸とY”軸で形成される面内の一方向、例えば図のY”軸の回りに周波数ωR の章動運動を行う。高周波磁場11aの磁場強度をH1Sとすると、ωS =γs H1Sとなり、高周波磁場11bの磁場強度をH1Rとすると、ωR =γR H1Rとなる。H1S/H1R=γR /γs となるように磁場強度H1SとH1Rを調節すれば、ωS =ωR となる。この条件は、ハルトマン・ハーン条件と呼ばれており、この条件の下では、半導体3の原子のゼーマンエネルギーと被核スピン偏極物質2の原子のゼーマンエネルギーとが等しくなることからエネルギー交換が可能になり、両核スピンは熱平衡状態となる。半導体3の原子の核磁気モーメントμs は光ポンピングにより静磁場10方向に極めて高く偏極されており、即ち極めて低温であるので、被核スピン偏極物質2も冷やされ、即ち被核スピン偏極物質2の核スピン偏極率が高められる。
このように、界面3aで半導体3の核スピン偏極が被核スピン偏極物質2の核スピン偏極に転写され、転写された核スピン偏極は、核スピン拡散によって被核スピン偏極物質2の内部に拡散する。
以上のように、本発明の光ポンピング核スピン偏極装置によれば、物質の形態、即ち半導体、絶縁体といった形態によらず、核スピンを有する物質であればどのような物質でも核スピン偏極することができる。
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。
NMR測定においては、極微量しか存在しない同位体原子の核スピンを利用することが物質の構造に関する情報を得る上で必要となることがある。極微量物質の核スピンからNMR信号を得るためには極めて高い核スピン偏極率を必要とする。本発明の第二の実施形態は、このような場合にも適応できる光ポンピング核スピン偏極装置である。
図3は、本発明の第二の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置20の構成を示す模式図である。なおこの図は、第二の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置20の内、半導体22のみ、及び半導体22に被核スピン偏極物質23を搭載した構造体24のみを示しているが、静磁場発生装置、光ポンピングのための単色円偏光光源、及び交差分極法のための高周波磁場発生装置等を有することは図1と同様である。また、この図は、半導体の一部、及び構造体の一部を切り出して示している。
図3(a)は第二の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置20の半導体22の形状を示す斜視図であり、(b)は半導体22に被核スピン偏極物質23を搭載した構造体24を示す斜視図である。
図3(a)に示すように、第二の実施形態の半導体22は、基板21上に形成した複数の半導体ナノワイヤー22からなる。ナノワイヤー22の形状は、例えば高さが200nm、直径が50nmの円筒状であり、ナノワイヤー22の間隔は、例えば200nmである。図3(b)に示すように、ナノワイヤー22の間隔に被核スピン偏極物質23を充填する。この状態で、図1及び図2で説明したように、光ポンピング法と交差分極法により被核スピン偏極物質23の核スピン偏極率を高める。
この構成によれば、半導体であるナノワイヤー22の側面22aと被核スピン偏極物質23が接触するので界面の面積が大幅に増大し、また、単色円偏光9を照射する照射面22bが確保できるので、被核スピン偏極物質23の核スピン偏極率を劇的に増大させることができる。例えば、被核スピン偏極物質23として自然存在比7.28%の47Ti核スピンや、自然存在比5.51%の49Ti核スピンなど、自然存在比が少ないために通常観測が困難な核スピンのNMR測定が可能になる。
第二の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置の構造体20は、例えば以下のようにして作製することができる。Al基板上にAl2 O3 を約200nmの厚さでメッキし、Al2 O3 表面を陽極化成することにより、直径が約50nmの円筒状の穴を、穴と穴の間隔が約200nmとなる密度で形成する。その後、Gaのヒ酸溶液中でメッキ処理することによって、Al2 O3 に囲まれた平均高さ200nm、平均直径50nmのGaAsナノワイヤー22を成長させる。続いて、酸によってGaAsからなるナノワイヤー22間のAl2 O3 を除去することにより、整然と並んだGaAsのナノワイヤー22が作製される。
また、被核スピン偏極物質23が自然存在比7.28%の47Ti核スピンや、自然存在比5.51%の49Ti核スピンである場合には、同様にメッキ法によって、TiO2 をGaAsナノワイヤーの側壁22aにメッキし、ナノワイヤー22間をTiO2 で埋める。
界面で転写された核スピン偏極は核スピン拡散方程式に従って拡散する。界面からの被核スピン偏極物質23中の深さxにおける核スピン偏極率pは、p=pi exp(x/(DT1 )0.5 )で与えられる。ここで、pi は界面における核スピン偏極率であり、T1 は被核スピン偏極物質23のスピン−格子緩和時間であり、拡散定数Dは、W2 a(Wは同種核間の核双極子相互作用による遷移確率であり、aは格子定数である。)で与えられる。T1 として固体の平均的な値103 秒を仮定し、Dとして固体の平均的な値10-13 cm2 /sを用いると、拡散距離δは約100nmとなる。光ポンピング核スピン偏極装置20の複数のナノワイヤー22の間隔は100nmのオーダーであるから、光ポンピング核スピン偏極装置20を用いれば、被核スピン偏極物質23の全体の核スピン偏極率を界面の核スピン偏極率の約80%以上にすることができる。
次に本発明の第三の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置を説明する。
図4は、本発明の第三の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置の構成を示す模式図である。なおこの図は、第三の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置30の内、半導体31のみ、及び半導体31に被核スピン偏極物質33を搭載した構造体34のみを示しているが、静磁場発生装置、光ポンピングのための単色円偏光光源、及び交差分極法のための高周波磁場発生装置等を有することは図1と同様である。また、この図は、半導体、及び構造体の一部を切り出して示している。
図4(a)は第三の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置30の半導体31を示す斜視図であり、(b)は半導体31に被核スピン偏極物質33を搭載した構造体34を示す斜視図である。
図4(a)に示すように、第三の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置30は、グレーティング状に加工した半導体31からなる。グレーティングの幅及び深さは約1μmであり、断面が矩形状のグレーティングである。図4(b)に示すように、被核スピン偏極物質33をグレーティングの溝31aに充填する。この状態で、図1及び図2で説明したように、光ポンピング法と交差分極法により、被核スピン偏極物質33の核スピン偏極率を高める。
この構成によれば、半導体31が被核スピン偏極物質33と、グレーティングの側面31bを介して接触するので界面の面積が大幅に増大し、また、単色円偏光を照射する照射面31cが確保できるので、核スピン偏極率を劇的に増大させることができる。例えば、有機物はInP等の半導体との濡れ性が良いので、ゾル化、あるいはゲル化した有機物を加熱してグレーティング溝31aに充填することによってInP等の半導体と十分に接触させることができ、有機物質中に微量含まれる13C同位体原子の核スピン偏極率を劇的に増大させることができる。
次に、本発明の第四の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置を説明する。
図5は、本発明の第四の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置40の構成を示す模式図である。なおこの図は、第四の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置40の内、半導体41と被核スピン偏極物質42を搭載した構造体43の部分のみを示しているが、静磁場発生装置、光ポンピングのための単色円偏光光源、及び交差分極法のための高周波磁場発生装置等を有することは図1と同様である。また、この図は構造体の一部を切り出して示している。
図に示すように、構造体43は、被核スピン偏極物質42が III−V族半導体である場合に、半導体41がV族を共通とした他の III−V族半導体であり、被核スピン偏極物質の III−V族半導体42と半導体の III−V族半導体41とを超格子構造に搭載した構成である。
この構成によれば、V族原子の核を介する核スピン拡散が存在するので、光ポンピングよって高い偏極率を有した半導体41の核スピンは、交差分極法を用いなくとも超格子界面を越えて転写され、被核スピン偏極物質42の核スピン偏極率が高まる。また、交差分極法も併用すれば、極めて高い核スピン偏極を実現できる。また、界面での格子のミスマッチにより、価電子体の重いホール軌道と軽いホール軌道の縮退が解け、重いホール軌道と軽いホール軌道はそれぞれ異なったスピン状態を有するので、単色円偏光の波長を選択することにより、重いホール軌道、または軽いホール軌道の価電子のみを励起することにより、最大100%の偏極率が可能になる。
例えば、被核スピン偏極物質42がInPであり、半導体41がAlPである場合には、InP内の31P核からAlPの31P核への核スピン拡散が生じる。さらにこの場合には、AlPの31P核から27Al核(I=5/2 )への自然交差分極も生じるので、交差分極法を用いなくとも、極めて高い核スピン偏極率を実現できる。
この構造体43によれば、極めて高いNMR感度を得ることができると共に、半導体41を数分子層数とし、被核スピン偏極物質42を数十分子層数とすれば、構造体43は単色円偏光を照射するだけで核スピン偏極が実現される人工結晶と見なすことができ、例えば、NMR量子計算機を実現する母体結晶としても利用できる。
本発明の光ポンピング核スピン偏極装置の第一の実施形態の構成を示す模式図である。 本発明の光ポンピング核スピン偏極装置の交差分極法による動作を示す図である。 本発明の第二の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置の構成を示す模式図である。 本発明の第三の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置の構成を示す模式図である。 本発明の第四の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 第一の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置
2 被核スピン偏極物質
3 半導体
3a 半導体と被核スピン偏極物質の界面
4 半導体に被核スピン偏極物質を搭載した構造体
5 単色円偏光光源
6 静磁場発生装置
7 高周波磁場発生装置
8 高周波磁場発生装置
9 単色円偏光
10 静磁場
11a 高周波磁場
11b 高周波磁場
20 第二の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置
21 基板
22 半導体
22a 半導体の側面
22b 光照射面
23 被核スピン偏極物質
24 半導体に被核スピン偏極物質を搭載した構造体
30 第三の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置
31 半導体
31a グレーティング溝
31b グレーティング側面
31c 光照射面
33 被核スピン偏極物質
34 半導体に被核スピン偏極物質を搭載した構造体
40 第四の実施形態の光ポンピング核スピン偏極装置
41 半導体
42 被核スピン偏極物質
43 半導体に被核スピン偏極物質を搭載した構造体

Claims (6)

  1. 被核スピン偏極物質を搭載する半導体と、この半導体上に被核スピン偏極物質を搭載した構造体に、上記半導体のバンドギャップエネルギーに相当する波長をもつ単色円偏光を照射する単色円偏光光源と、上記構造体に静磁場を印加する静磁場発生装置と、上記構造体に上記静磁場と直交する方向に高周波磁場を印加する二つの高周波磁場発生装置とを有し、
    上記単色円偏光の光ポンピングにより半導体原子の核スピン偏極率を高めると共に、この半導体原子の核スピン偏極を、上記静磁場と二つの高周波磁場による核スピン交差分極により、上記被核スピン偏極物質に転写することを特徴とする、光ポンピング核スピン偏極装置。
  2. 前記半導体は、基板上に略直立した複数の半導体ナノワイヤーからなることを特徴とする、請求項1に記載の光ポンピング核スピン偏極装置。
  3. 前記半導体は、この半導体から成るグレーティング構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の光ポンピング核スピン偏極装置。
  4. 前記被核スピン偏極物質が化合物半導体である場合に、前記半導体は、被核スピン偏極物質の化合物半導体の構成原子の内の少なくとも一つを共通の原子とした他の化合物半導体であり、この化合物半導体と上記被核スピン偏極物質の化合物半導体とを超格子構造に積層したことを特徴とする、請求項1に記載の光ポンピング核スピン偏極装置。
  5. 前記被核スピン偏極物質及び前記半導体は、 III−V族半導体であることを特徴とする、請求項4に記載の光ポンピング核スピン偏極装置。
  6. 前記被核スピン偏極物質及び前記半導体は、それぞれAlP及びInP、または、それぞれInP及びAlPであることを特徴とする、請求項5に記載の光ポンピング核スピン偏極装置。
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