JP2005114428A - 標的検出用基材及びその製造方法 - Google Patents

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哲夫 河野
Tomohiro Kodama
知啓 児玉
Shintaro Washisu
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Abstract

【課題】 病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を高価な測定装置等を用いることなく、高温条件下であっても、少ない測定誤差で簡便かつ迅速にしかも極めて高感度で効率的に検出可能な標的検出装置及び標的検出方法を提供すること。
【解決手段】 光を照射する光照射手段と、標的と相互作用して前記光照射手段により照射された光の干渉光の波長を変化可能な光干渉手段と、前記干渉光の進路に設けられ前記光干渉手段により放射される前記干渉光の波長変化を検出する波長変化検出手段とを有してなり、
前記光干渉手段が、基材と、標的と相互作用可能であり、かつ、糸状体を有する標的相互作用層とを少なくとも有する標的検出用基材であって、
該標的相作用層が、前記基材の少なくとも一部の表面に、前記糸状体と親和性のある親糸状体部を形成し、該親糸状体部に前記糸状体を非溶解の状態で相互作用させることによって形成する標的相互作用層形成工程を含む製造方法によって製造されることを特徴とする標的検出装置である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高温条件下であっても、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を効率よく確実にかつ簡便にしかも好感度に検出可能な標的検出装置及び標的検出方法に関する。
従来、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を検出する各種の方法が検討されてきており、例えば、ELISA等のエンザイム・イムノ・アッセイ法などが知られている。しかし、これらにおいては、高価な蛍光標識や危険な放射線マーカー等を使用しなければならない等の問題があった。
近時、蛍光標識や放射線マーカーを使用せずに、前記各種標的を検出する検出層による干渉光の干渉色変化等を検知することにより、前記各種標的を検出する装置や方法が提案されてきている。例えば、非特異性蛋白質層の膜厚変化を干渉色変化としてエリプソメータ等により測定する装置が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。また、核酸鎖による光反射表面における厚み変化を干渉色変化として検出することが提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。また、光源から発した光を偏光子を介して試料表面に照射し、その反射光を偏光変調器により反射させ、偏光子を介して検出する装置が提案されている(例えば、特許文献6〜9参照)。また、非特異性蛋白質層の膜厚変化を干渉光の干渉色変化としてエリプソメータ等により測定すると共に該干渉光を偏光子を介して検出する装置が提案されている(例えば、特許文献10参照)。
しかしながら、これらの場合、前記非特異性蛋白質層(標的相互作用層)の表面のみで相互作用が起こる結果、前記標的との反応面積が小さくなり、簡便かつ迅速な測定ができず、測定ノイズを拾い易く、測定誤差が大きく、測定感度が十分でないという問題がある。また、前記標的と前記標的相互作用層との前記相互作用では、該標的相互作用層自体の膜厚は変化しないため、前記相互作用後の膜厚増加が、前記標的の大きさに依存してしまい、膜厚変化を任意の膜厚に制御することにより、測定誤差が抑制され、測定感度を向上させることが困難であるという問題がある。また、前記標的相互作用層が耐熱性に劣るため、一度高温下に置かれると再び使用できないという問題がある。更には定量ができないという問題もある。したがって、前記膜厚の変化を任意の膜厚となるように制御することにより、病原物質、生体物質、有毒物質等の前記各種標的を高価な測定装置等を用いることなく、高温条件下であっても、少ない測定誤差で簡便かつ迅速にしかも極めて高感度で効率的に検出可能である標的検出装置及び標的検出方法は未だ提供されていないのが現状であり、これらの開発が切に望まれている。
特開2002−122603号公報 特開2002−116208号公報 特公平7−32720公報 特開平10−288616号公報 特開2001−235473号公報 特開昭61−34442号公報 特開平4−78122号公報 特公昭62−57936号公報 米国特許明細書第4,332,476号明細書 特開2002−122603号公報
本発明は、前記要望に応え、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を高価な測定装置等を用いることなく、高温条件下であっても、少ない測定誤差で簡便かつ迅速にしかも極めて高感度で効率的に検出可能な標的検出装置及び標的検出方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 光を照射する光照射手段と、標的と相互作用して前記光照射手段により照射された光の干渉光の波長を変化可能な光干渉手段と、前記干渉光の進路に設けられ前記光干渉手段により放射される前記干渉光の波長変化を検出する波長変化検出手段とを有してなり、
前記光干渉手段が、基材と、標的と相互作用可能であり、かつ、糸状体を有する標的相互作用層とを少なくとも有する標的検出用基材であって、
該標的相作用層が、前記基材の少なくとも一部の表面に、前記糸状体と親和性のある親糸状体部を形成し、該親糸状体部に前記糸状体を相互作用させることによって形成する標的相互作用層形成工程を含む製造方法によって製造されることを特徴とする標的検出装置である。該<1>に記載の標的検出装置では、前記光照射手段が光を照射する。前記標的相互作用層形成工程により製造された光干渉手段により、前記光照射手段により照射された光の干渉光の波長が変化する。前記波長変化検出手段が、該波長が変化した干渉光を検出することにより、前記標的が少ない測定誤差で簡便かつ確実に、しかも迅速かつ好感度に検出される。
<2> 光照射手段が、線状の光束を照射可能である前記<1>に記載の標的検出装置である。該<2>に記載の標的検出装置では、前記光照射手段により照射される光の前記光干渉手段への入射角の制御が容易であり、また、前記光干渉手段における、前記光照射手段により照射される光の受光面の面積を小さく設計することができ、また、該光干渉手段による干渉光の波長変化を検出する前記波長変化検出手段における受光面の面積を小さく設計することができ、測定ノイズを抑制することができ、測定誤差が小さい。
<3> 光照射手段が、レーザー光照射器である前記<1>から<2>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<4> 光干渉手段が、耐熱性を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の標的検出装置である。該<4>に記載の標的検出装置では、前記光干渉手段が耐熱性を有するため、高温条件下であっても、前記波長変化検出手段が、該波長が変化(波長シフト)した干渉光を検出することにより、前記標的が少ない測定誤差で簡便かつ確実に、しかも迅速かつ極めて高感度に検出される。
<5> 親糸状体部の形成が、前記基材の表面をカップリング剤により表面処理することにより行われる前記<1>から<4>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<6> 糸状体の一部と、前記表面処理がされた基材の表面とが、共有結合形成反応及びイオン結合形成反応の少なくともいずれかによって結合される前記<5>に記載の標的検出装置である。該<6>に記載の標的検出装置では、前記表面処理された基材の表面と前記糸状体の一部とが、共有結合形成反応及びイオン結合形成反応の少なくともいずれかにより強固に結合される。
<7> 糸状体が、親水性部及び親油性部を有する両親媒性である前記<1>から<6>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<8> 糸状体の一部を親水性及び親油性のいずれかの溶媒で溶解させ、該溶媒の表面に存在させた状態で、前記基材と相互作用させる前記<1>から<7>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<9> 親水性の溶媒が、水、低級アルコール、ジアルキルアミド誘導体及びスルホキサイド誘導体から選択される少なくとも1種である前記<8>に記載の標的検出装置である。
<10> アルコール類が、メチルアルコール、エチルアルコール、及びイソプロピルアルコールから選択される少なくとも1種である前記<9>に記載の標的検出装置である。
<11> 親糸状体部が親水性であり、前記糸状体における末端の親水性部を前記親糸状体部と共有結合形成反応及びイオン結合形成反応の少なくともいずれかの反応をさせる前記<7>から<10>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<12> 親糸状体部が親油性であり、前記糸状体における親油性部の末端を前記親糸状体部と共有結合形成反応及びイオン結合形成反応の少なくともいずれかの反応をさせる前記<7>から<10>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<13> 糸状体が、糸状有機分子である前記<1>から<12>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<14> 糸状体が、下記構造式(1)表される前記<1>から<13>に記載の標的検出装置である。
Figure 2005114428
<15> 糸状体中の親水性部の一部が、シリル化剤によりシリル化される前記<7>から<14>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<16> 糸状体の重量平均分子量(Mn)が、7,000〜100,000である前記<1>から<15>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<17> 糸状体の分子量分布(Mw/Mn)が、1.0〜6.0である前記<1>から<16>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<18> 糸状体のI/O値が、0.2〜1.5である前記<1>から<17>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<19> 糸状体が、標的と相互作用可能な標的相互作用部を有する前記<1>から<18>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<20> 標的がアビジンであり、標的相互作用部がビオチンである前記<19>に記載の標的検出装置である。
<21> 標的相互作用部が、標的を捕捉可能な標的捕捉体である前記<19>から<20>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<22> 標的捕捉体が、糸状体におけるヒドロキシル基とエステル結合により結合してなる前記<21>に記載の標的検出装置である。
<23> 標的捕捉体が、糸状体における0.5〜20mol%のヒドロキシル基とエステル結合により結合してなる前記<21>から<22>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<24> 標的捕捉体が、酵素、補酵素、酵素基質、酵素阻害剤、ホスト化合物、金属、抗体、抗原、微生物、寄生虫、細菌、ウイルス、ウイルス粒子、細胞、細胞破砕物、代謝産物、核酸、ホルモン、ホルモンレセプター、レクチン、糖、生理活性物質、生理活性物質受容体、アレルゲン、タンパク質、血液タンパク質、組織タンパク質、核物質、神経伝達物質、ハプテン、薬物、環境物質、化学種及びこれらの誘導体から選択される少なくとも1種である前記<21>から<23>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<25> ホスト化合物が、単分子系ホスト化合物、多分子系ホスト化合物、高分子系ホスト化合物及び無機系ホスト化合物から選択され、
該単分子系ホスト化合物が、シクロデキストリン、クラウン化合物、シクロファン、アザシクロファン、カリックスアレーン、シクロトリペラトリレン、スフェランド、キャビタンド、及び環状オリゴペプチドから選択され、
該多分子系ホスト化合物が、尿素、チオ尿素、デオキシコール酸、ペルヒドロトリフェニレン、トリ−o−チモチドから選択され、
該高分子系ホスト化合物が、セルロース、デンプン、キチン、キトサン及びポリビニルアルコールから選択され、
該無機系ホスト化合物が、層間化合物、ゼオライト及びHofmann型錯体から選択される前記<24>に記載の標的検出装置である。
<26> 相互作用が物理吸着及び化学吸着の少なくともいずれかである前記<1>から<25>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<27> 標的相互作用層が、単分子膜、及び積層膜の少なくともいずれかにより形成される前記<1>から<26>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<28> 単分子膜が、ラングミュア−ブロジェット法(LB法)により形成される前記<27>に記載の標的検出装置である。
<29> 基材が、半導体、セラミックス、金属、ガラス、石英ガラス及びプラスチックスから選択される少なくとも1種で形成された前記<1>から<28>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<30> 標的相互作用層における糸状体が、液状物と接触すると立設し、該立設した状態で前記糸状体における前記標的相互作用部が前記標的と相互作用する前記<19>から<29>のいずれかに記載の標的検出装置である。該<30>に記載の標的検出装置では、前記糸状体が前記液状物と接触することにより立設される。この状態で前記標的と前記標的相互作用部とが相互作用することにより、前記液状物と接触する前においては、標的相互作用層の内部に存在し、表面に現われていなかった前記標的相互作用部も、前記液状物に接触した後においては、前記標的と相互作用可能となり、前記標的と前記標的相互作用部とが相互作用することにより、前記液状物を除去した後においても、該標的相互作用層における厚みの収縮が抑制され、前記光照射手段により照射された光の干渉光の波長が変化(波長シフト)する。前記波長変化手段が、該波長が変化(波長シフト)した干渉光を検出することにより、前記標的が少ない誤差で簡便かつ確実に、しかも迅速にかつ極めて好感度に検出される。
<31> 標的相互作用層の屈折率が、基材の屈折率と異なる前記<1>から<30>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<32> 液状物が、極性溶媒を含有する前記<30>から<31>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<33> 極性溶媒が、水、低級アルコール、ジアルキルアミド誘導体及びスルホキサイド誘導体から選択される少なくとも1種である前記<32>に記載の標的検出装置である。
<34> 波長変化検出手段が、特定波長の光のみを透過可能であり、該特定波長の光が透過したことを検知可能である前記<1>から<33>のいずれかに記載の標的検出装置である。該<34>に記載の標的検出装置では、前記波長変化検出手段が、特定波長の光のみを透過可能であることにより、該波長変化検出手段は、前記標的が前記光干渉手段と相互作用して前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過不能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過可能とすることにより、あるいは、前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過可能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過不能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該波長変化検出手段が前記干渉光の透過を検出したことをもって、前記干渉光の波長変化を検出し、前記光干渉手段が前記標的と相互作用したことを少ない測定誤差で簡便かつ確実に、しかも迅速かつ極めて高感度に検出される。
<35> 波長変化検出手段が、干渉フィルタ及び該干渉フィルタを透過した透過光を検知可能な光検知センサーである前記<1>から<34>のいずれかに記載の標的検出装置である。該<35>に記載の標的検出装置では、前記干渉フィルタを、前記標的が前記光干渉手段と相互作用して前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過不能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過可能とすることにより、あるいは、前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過可能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過不能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該波長変化検出手段が前記干渉光の透過を検出したことをもって、前記干渉光の波長変化を検出し、前記光干渉手段が前記標的と相互作用したこと、即ち該標的を少ない測定誤差で簡便かつ確実に、しかも迅速かつ極めて高感度に検出される。その結果、極僅かな波長変化が生じた場合であっても、それを前記干渉光の透過光として前記光検知センサーが検出可能であるため、極めて高感度である。また、前記干渉フィルタを、前記標的が前記光干渉手段と相互作用した後においては、波長変化した特定波長の前記干渉光を透過可能とした場合に、あるいは、前記標的が前記光干渉手段と相互作用する前においては、特定波長の前記干渉光を透過可能とした場合には、該干渉光の透過光量を前記光検知センサーが測定することにより、前記標的の定量を行うことができる。
<36> 波長変化検出手段が、干渉光の波長変化前におけるスペクトルと、干渉光の波長変化後におけるスペクトルとを測定し、その差スペクトルを測定可能である前記<1>から<35>のいずれかに記載の標的検出装置である。該<36>に記載の標的検出装置では、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、前記波長変化検出手段が、前記干渉光の波長変化の前後におけるスペクトル差、即ち差スペクトルを測定するので、それぞれブロードなスペクトル曲線ではなく、極めてシャープなスペクトル曲線が得られ、増幅が可能となる。そして、該干渉光の波長変化をスペクトル強度に変換することができ、任意にその増幅が可能である。その結果、極僅かな波長変化があった場合であっても、それを増幅し、スペクトル強度として検出することができるので高感度であり、しかもスペクトル強度の強弱によって前記標的の定量も行うことができる。
<37> 波長変化検出手段が、差スペクトルをスペクトル強度に変換し、該スペクトル強度を増幅可能である前記<36>に記載の標的検出装置である。該<37>に記載の標的検出装置においては、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、前記波長変化検出手段が、それぞれブロードなスペクトル曲線を単に測定するだけではなく、極めてシャープなスペクトル曲線を得ることができ、更に、該干渉光の波長変化をスペクトル強度に変換することができるので、任意にその増幅が可能である。その結果、極僅かな波長変化があった場合であっても、それを増幅し、スペクトル強度として簡便にかつ迅速に検出することができ、しかも高感度であり、しかもスペクトル強度の強弱によって前記標的の定量も容易に行うことができる。
<38> 波長変化検出手段が、分光光度計である前記<1>から<37>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<39> 光干渉手段に対して光を照射し、該光干渉手段における標的相互作用層を液状物と接触させ、標的と該標的相互作用層とを相互作用させて、該照射した光を干渉光として放射させる光照射工程と、前記干渉光の波長変化を検出する波長変化検出工程とを含むことを特徴とする標的検出方法である。該<39>に記載の標的検出方法においては、前記光照射工程において、前記標的が存在しない場合には、前記液状物と接触することにより増加した前記標的相互作用層の厚みが、前記液状物を除去することにより収縮される。前記標的が存在する場合には、前記標的と前記標的相互作用層とが相互作用して、該標的相互作用層の厚みが増加され、前記液状物を除去した場合であっても該膜厚の収縮が抑制される。この結果、前記標的が存在する場合には、前記膜厚が変化する結果、前記照射された光の干渉光は、前記膜厚の変化前後で波長変化(波長シフト)し、前記波長変化検出工程において、該波長変化(波長シフト)した前記干渉光を検出することにより、前記標的が検出される。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、本発明は、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を高価な測定装置等を用いることなく、高温条件下であっても、少ない測定誤差で簡便かつ迅速にしかも極めて高感度で効率的に検出可能な標的検出装置及び標的検出方法を提供することができる。
(標的検出装置)
本発明の標的検出装置は、光照射手段と、光干渉手段と、波長変化検出手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
<光照射手段>
前記光照射手段は、光を照射する機能を有する限り特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ハロゲンランプ(例えばキセノンランプ)等の光源、レーザー光照射器、などが挙げられる。
これらの中でも、線状の光束を照射可能であるものが好ましく、レーザー光照射器などが好適に挙げられる。この場合、該光照射手段より照射される光の前記光干渉手段への入射角の制御が容易であり、また、該光照射手段より照射される光の前記光干渉手段における受光面の面積を小さく設計することができ、更に該光干渉手段による干渉光の波長変化を検出する前記波長変化検出手段における受光面の面積を小さく設計することができ、測定ノイズを抑制することができ、測定誤差を小さくすることができる点で有利である。
なお、本発明においては、前記波長変化検出手段として、UV−VIS測定装置等の分光光度計を使用する場合には、該光照射手段として、該分光光度計に内蔵された光源を使用することができる。
<光干渉手段>
前記光干渉手段は、標的と相互作用することにより、前記光照射手段により照射された光の干渉光の波長を変化させることができる手段である。
前記光照射手段は、基材と、標的と相互作用可能であり、かつ、糸状体を有する標的相互作用層とを少なくとも有する標的検出用基材であって、
標的相互作用層形成工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む製造方法によって製造される。
−標的相互作用層形成工程−
前記標的相互作用層形成工程は、前記基材の少なくとも一部の表面に、前記糸状体と親和性のある親糸状体部を形成し、該親糸状体部に前記糸状体を相互作用させることにより、前記標的相互作用層を形成する工程である。
−基材−
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光干渉層を有する基材、基板等が挙げられる。
前記光干渉層としては、照射された光を干渉光として放射可能である限り、特に制限はなく、例えば、異屈折率膜又は同屈折率膜を少なくとも1層有するものなどが好適に挙げられる。
前記異屈折率膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記標的相互作用層の屈折率とは異なる屈折率を有する膜が好ましい。また、前記異屈折率膜の数も2以上であってもよく、2以上の場合にはそれぞれの該異屈折率膜の屈折率が互いに異なっていてもよい。前記異屈折率膜の具体例としては、誘電体膜、酸素化合物を含む膜などが挙げられる。
前記酸素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属酸化物、非金属酸化物、などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Ta、TiO、SiO、などが好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
前記非金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記異屈折率膜の厚み(物理膜厚)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.01〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがより好ましく、0.01〜5.0μmが特に好ましい。前記厚みが、0.01μm未満であると、前記標的検出用基材の干渉光を測定する際に、前記干渉光の波長変化に対する透過率のグラフにおいてリップルが発生しないことがあり、100μmを超えると、前記リップルが多く発生し過ぎることがある。
前記異屈折率膜の密度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1.0〜3.0g/cmが好ましく、1.2〜2.6g/cmがより好ましく、1.4〜2.6g/cmが特に好ましい。前記密度が、1.0g/cm未満であると、前記異屈折率膜が脆くなる結果、前記光干渉基材自体の耐久性が劣ることがあり、3.0g/cmを超えると、前記リップルの発生する数が不適切となることがある。
前記異屈折率膜(前記光干渉層)を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基板の表面に、EB(電子線)蒸着法、イオンアシスト法、イオンプレーティング法、などにより製膜する方法等が挙げられる。
前記光干渉層における前記異屈折率膜の層数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、該異屈折率膜が1層である場合が好ましい。前記異屈折率膜が、1層であったとしても照射された光を干渉して干渉光として放射し、該干渉光の波長変化に対する透過率のグラフにおいて、リップルを生じさせ、該リップルを利用した波長変化に基づく検出を高価な測定装置等を用いることなく、少ない測定誤差で簡便かつ迅速にしかも極めて高感度で効率的に検出可能であり、本発明の標的検出用基材を低コストで量産することができる点で有利である。また、前記干渉光の波長を可視光域に容易に調整することができ、前記酸化膜の厚みや材質によっては、該光干渉層による干渉光が干渉色を示すことがあり、この場合、「プレカラード基材」として使用することもできる。
前記同屈折率膜としては、標的相互作用層の屈折率と略同等屈折率を有している限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。但し、この場合には、前記標的相互作用層及び前記同屈折率膜とは異なる層(例えば、基板等)と異屈折であることが必要である。
前記基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半導体、セラミックス、金属、ガラス、石英ガラス、プラスチックス、などで形成されたものが好適に挙げられる。
前記基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、板状であることが好ましい。
前記基板としては、アニール処理がなされているものが好ましい。
前記アニール温度としては、特に制限はないが、例えば、700〜1,200℃が好ましい。
−親糸状体部−
前記親糸状体部は、前記「糸状体」と親和性を有し、相互作用可能な部位である。
前記親糸状体部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材の表面をカップリング剤により表面処理する方法、前記基材の表面をパターニングすることにより親糸状体部を形成する方法、などが挙げられ、これらの中でも、前記基材の表面をカップリング剤により表面処理する方法が好ましい。前記親糸状体部の形成方法が、前記基材の表面をカップリング剤により表面処理する方法であると、前記糸状体の一部と前記基材とが、好ましくは前記糸状体の一端とが、共有結合及びイオン結合のいずれかで強固に結合されることにより、耐熱性に優れる点で好ましい。
前記親糸状体部の単位面積当たりに相互作用する糸状体の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1×10〜1×1030個/cmが好ましく、1×1010〜1×1027個/cmがより好ましい。1×10個/cm未満であると、検出感度が低下することがあり、1×1030個/cmを超えると、反応の際、基板の色変化が遅くなり反応が完結しないことがある。
前記親糸状体部は、親水性であってもよいし、親油性であってもよい。前記親糸状体部が親水性である場合には、後述する糸状体の親水性部と結合可能であり、前記親糸状体部が親油性である場合には、後述する糸状体の親油性部と結合可能な点で好ましい。更に、前記糸状体が、後述する両親媒性であって、前記親糸状体部が親水性である場合には、前記糸状体の末端の親水性部と前記親糸状体部とが結合するため、結合していない前記糸状体の末端の親油性部と、前記親水性の親糸状体部とが反発するため、前記糸状体が液状物と接触した際に立設しやすくなる点で好ましい。一方、前記糸状体が、後述する両親媒性であって、前記親糸状体部が親油性である場合には、前記糸状体の末端の親油性部と前記親糸状体部とが結合するため、結合していない前記糸状体の末端の親水性部と、前記親油性の親糸状体部とが反発するため、前記糸状体が液状物と接触した際に立設しやすくなる点で好ましい。
前記カップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、などが挙げられる。
前記シランカップリング剤は、下記式(2)で表される。
Figure 2005114428
式中、ORaはアルコキシ基を示し、aは2又は3を示す。前記シランカップリング剤中のアルコキシシリル基(−Si−ORa)は加水分解すると、シラノール基を生成し、前記基材の表面のヒドロキシル基と脱水縮合反応することにより、前記基材の表面処理が行われる。Xは、アルキル基、アリール基を示し、これらは更に置換基で置換されていてもよく、例えば、ビニル、メタクリロキシプロピル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル、3−グリシジルプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、3−アミノプロピル、N−フェニル−3−アミノプルピル、3−メルカプトプロピル、3−クロロプロピル、などが挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、などが挙げられる。これらの中でも、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
前記基材の表面を前記カップリング剤で表面処理する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ溶液中で、前記基材と前記カップリング剤とを反応させる方法等が挙げられる。
前記基材と前記カップリング剤とを反応させる温度としては、特に制限はないが、例えば、0℃〜室温が好ましい。前記基材と前記カップリング剤とを反応させる際の前記カップリング剤の添加量としては、特に制限はないが、0.5〜5質量%が好ましい。
前記基材の表面をパターニングすることにより親糸状体部を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。この場合には、前記基材の表面に所望のパターニングを行うことにより、前記糸状体の一端を前記基材の表面に結合させた際に、所望の標的相互作用層を形成することが可能である点で好ましい。
−糸状体−
前記糸状体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、糸状有機分子、糸状無機分子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。これらの中でも、前記標的と相互作用しやすく、分子の加工が容易などの観点から前記糸状有機分子が好ましい。
前記糸状有機分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖状高分子、螺旋状高分子などが挙げられる。
前記螺旋状高分子としては、特に制限はないが、例えば、α−ヘリックス・ポリペプチド、DNA、アミロースなどが好適に挙げられる。
前記糸状体は、親水性部及び親油性部を有する両親媒性であるものが好ましい。前記糸状体が、親水性部又親水性部を有しない場合には、親水性の溶媒又は親油性の溶媒に、前記糸状体がすべて溶解してしまうため、前記糸状体の一部を、前記基材の表面に結合させることができないことがある。
前記親水性部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、親水基を有する部分、等が挙げられる。
前記親水基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。これらは、前記親水性部に1種単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
前記親油性部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、親油基を有する部分、等が挙げられる。
前記親油基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基等が挙げられる。これらは、前記親水性部に1種単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
前記親水性基を有する糸状体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式(1)で表されるもの、等があげられる。
Figure 2005114428
式中、m及びnは重合度を示す。前記mと前記nとの比(m:n)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、m:n=1:0〜1:9が好ましい。
前記糸状体における親水性基の一部は、シリル化剤によってシリル化されていてもよい。この場合には、前記糸状体の親水性及び親油性を任意に制御できる点で好ましい。
前記シリル化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式(2)、下記構造式(3)、下記構造式(4)で表されるシリル化剤、などが挙げられる。
Figure 2005114428
fは1〜3の整数を示し、gは1〜3の整数を示し、f+gは4である。Xは、反応性基又は加水分解可能な置換基を示し、例えば、−Cl等のハロゲン原子、−CN、−NCO、−NCS、−N、等の擬ハロゲン基、炭素数が1〜8のアルコキシル基、などが挙げられる。
Figure 2005114428
hは3を示し、iは1又は2を示す。Yは、酸素原子、NR 3−i、NHを示す、Rは水素又は炭素数が1〜8のアルキル基を示す。
Figure 2005114428
jは1〜3の整数を示す。Yは、酸素原子、NR 、NHを示す。Rは水素又は炭素数が1〜8のアルキル基を示す。Rは、メチル基、エチル基等のアルキル基;イソ−、n−プロピル基等のプロピル基;t−、n−ブチル基等のブチル基;ネオ−、イソ−、n−ペンチル基等のペンチル基、n−ヘキシル基等のヘキシル基;n−ヘプチル基等のヘプチル基;2−エチル−ヘキシル−、n−オクチル基等のオクチル基;n−デシル基等のデシル基;n−ドデシル基等のドデシル基;n−ヘキサデシル基等のヘキサデシル基;n−オクタデシル基等のオクタデシル基;ビニル−、2−アリル−、5−ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル−、ビフェニル、ナフテニル基等のアリール基;ベンジル−、エチルフェニル−、トルイル−、キシリル基等のアルキルアリール基;3−クロロプロピル−、3,3,3−トリフルオロプロピル、ペルフルオロヘキシルエチル基等のハロゲン化されたアルキル基;クロロフェニル−、クロロベンジル基等のハロゲン化されたアリール基、などが挙げられる。
前記糸状体の重量平均分子量(Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、7,000〜100,000が好ましく、8,000〜50,000がより好ましい。
前記糸状体の分子量分布(Mw/Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1.0〜6.0が好ましく、1.0〜2.0がより好ましい。
前記糸状体のI/O値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.2〜1.5が好ましく、0.5〜1.4がより好ましい。前記I/O値が、0.2未満であっても、1.5を超えても、相互作用の際において前記標的との親和性の低下が起こることがある。
ここで、前記I/O値は、化合物あるいは置換基の親油性/親水性の尺度を表すパラメーターであって、Iは、「無機性」と呼ばれ、主に電気的親和力による物性の程度を示し、Oは、「有機性」と呼ばれ、主にワンデルワールス力による物性の程度を示す。
前記糸状体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシメタクリレート、メチルメタクリレート等のメタクリレートを共重合させる方法等が挙げられる。
前記糸状体は、標的と相互作用可能な相互作用部を有することが好ましい。
前記標的相互作用部としては、前記標的と相互作用可能である限り、特に制限はないが、例えば、前記標的を捕捉可能な標的捕捉体が好ましい。
前記標的捕捉体としては、前記標的を捕捉することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酵素、補酵素、酵素基質、酵素阻害剤、ホスト化合物、金属、抗体、抗原、微生物、寄生虫、細菌、ウイルス、ウイルス粒子、細胞、細胞破砕物、代謝産物、核酸、ホルモン、ホルモンレセプター、レクチン、糖、生理活性物質、生理活性物質受容体、アビジン、ビオチン、アレルゲン、タンパク質、血液タンパク質、組織タンパク質、核物質、神経伝達物質、ハプテン、薬物、環境物質、化学種、これらの誘導体、などが挙げられる。また、前記標的捕捉体は、互いに同一であっても、互いに異なっていてもよい。
前記捕捉の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、物理吸着、化学吸着などが挙げられる。これらは、例えば、水素結合、分子間力(ファン・デル・ワールス力)、配位結合、イオン結合、共有結合、などにより形成され得る。
前記標的としては、前記標的捕捉体がそれぞれ、前記酵素である場合には、例えば該酵素の補酵素であり、前記補酵素である場合には、例えば該補酵素を補酵素とする酵素であり、前記ホスト化合物である場合には、例えば該ホスト化合物のゲスト化合物(包接される成分)であり、前記抗体である場合には、例えば該抗体の抗原としてのタンパク質であり、前記タンパク質である場合には、例えば該タンパク質を抗原とする抗体であり、前記核酸である場合には、例えば該核酸と相補的な核酸、チューブリン、キチン、などであり、前記ホルモンレセプターである場合には、例えば該ホルモンレセプターに受容されるホルモンであり、前記レクチンである場合には、例えば該レクチンに受容させる糖であり、前記生理活性物質受容体である場合には、例えば該生理活性物質受容体に受容される生理活性物質である。
なお、前記標的を含む試料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、糞尿等の排泄物などが挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞や、試験管内での分裂卵細胞の一部を試料とすることもできる。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、これらの組合せ等による細胞破壊処理を予め施したものを使用してもよい。
前記ホスト化合物としては、分子認識能(ホスト−ゲスト結合能)を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、筒状(一次元)の空洞を有するもの、層状(二次元)の空洞を有するもの、かご状(三次元)の空洞を有するもの、などが好適に挙げられる。
前記筒状(一次元)の空洞を有するホスト化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、デオキシコール酸、ジニトロジフェニル、ジオキシトリフェニルメタン、トリフェニルメタン、メチルナフタリン、スピロクロマン、PHTP(ペルヒドロトリフェニレン)、セルロース、アミロース、シクロデキストリン(但し、溶液中では前記空洞がかご状)、などが挙げられる。
前記尿素が捕捉可能な標的としては、例えば、n−パラフィン誘導体などが挙げられる。
前記チオ尿素が捕捉可能な標的としては、例えば、分岐状又は環状の炭化水素などが挙げられる。
前記デオキシコール酸が捕捉可能な標的としては、例えば、パラフィン類、脂肪酸、芳香族化合物、などが挙げられる。
前記ジニトロジフェニルが捕捉可能な標的としては、例えば、ジフェニル誘導体などが挙げられる。
前記ジオキシトリフェニルメタンが捕捉可能な標的としては、例えば、パラフィン類、n−アルケン類、スクアレン、などが挙げられる。
前記トリフェニルメタンが捕捉可能な標的としては、例えば、パラフィン類などが挙げられる。
前記メチルナフタリンが捕捉可能な標的としては、例えば、C16までのn−パラフィン類、分岐状パラフィン類、などが挙げられる。
前記スピロクロマンが捕捉可能な標的としては、例えば、パラフィン類などが挙げられる。
前記PHTP(ペルヒドロトリフェニレン)が捕捉可能な標的としては、例えば、クロロホルム、ベンゼン、各種高分子物質、などが挙げられる。
前記セルロースが捕捉可能な標的としては、例えば、HO、パラフィン類、CCl、色素、ヨウ素、などが挙げられる。
前記アミロースが捕捉可能な標的としては、例えば、脂肪酸、ヨウ素、などが挙げられる。
前記シクロデキストリンは、デンプンのアミラーゼによる分解で生成する環状のデキストリンであり、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンの3種が知られている。本発明においては、前記シクロデキストリンとして、これらの水酸基の一部を他の官能基、例えば、アルキル基、アリル基、アルコキシ基、アミド基、スルホン酸基、などに変えたシクロデキストリン誘導体も含まれる。
前記シクロデキストリンが捕捉可能な標的としては、例えば、チモール、オイゲノール、レゾルシン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン等のフェノール誘導体、サリチル酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等の安息香酸誘導体及びそのエステル、コレステロール等のステロイド、アスコルビン酸、レチノール、トコフェロール等のビタミン、リモネン等の炭化水素類、イソチオシアン酸アリル、ソルビン酸、ヨウ素分子、メチルオレンジ、コンゴーレッド、2−p−トルイジニルナフタレン−6−スルホン酸カリウム塩(TNS)、などが挙げられる。
前記層状(二次元)のホスト化合物としては、例えば、粘土鉱物、グラファイト、スメクタイト、モンモリロナイト、ゼオライト、などが挙げられる。
前記粘土鉱物が捕捉可能な標的としては、例えば、親水性物質、極性化合物、などが挙げられる。
前記グラファイトが捕捉可能な標的としては、例えば、O、HSO 、ハロゲン、ハロゲン化物、アルカリ金属、などが挙げられる。
前記モンモリロナイトが捕捉可能な標的としては、例えば、ブルシン、コデイン、o−フェニレンジアミン、ベンジジン、ピペリジン、アデニン、グイアニン及びこれらのリポシド、などが挙げられる。
前記ゼオライトが捕捉可能な標的としては、例えば、HOなどが挙げられる。
前記かご状(三次元)のホスト化合物としては、例えば、ヒドロキノン、気体水化物、トリ−o−チモチド、オキシフラバン、ジシアノアンミンニッケル、クリプタンド、カリックスアレーン、クラウン化合物、などが挙げられる。
前記ヒドロキノンが捕捉可能な標的としては、例えば、HCl、SO、アセチレン、希ガス元素、などが挙げられる。
前記気体水化物が捕捉可能な標的としては、例えば、ハロゲン、希ガス元素、低級炭化水素、などが挙げられる。
前記トリ−o−チモチドが捕捉可能な標的としては、例えば、シクロヘキサン、ベンゼン、クロロホルム、などが挙げられる。
前記オキシフラバンが捕捉可能な標的としては、例えば、有機塩基などが挙げられる。
前記ジシアノアンミンニッケルが捕捉可能な標的としては、例えば、ベンゼン、フェノール、などが挙げられる。
前記クリプタンドが捕捉可能な標的としては、例えば、NH4+、各種金属イオン、などが挙げられる。
前記カリックスアレーンは、フェノールとホルムアルデヒドとから適当な条件で合成されるフェノール単位をメチレン基で結合した環状オリゴマーであり、4〜8核体が知られている。これらの内、p−t−ブチルカリックスアレン(n=4)が捕捉可能な標的としては、例えば、クロロホルム、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレン(n=5)が捕捉可能な標的としては、例えば、イソプロピルアルコール、アセトン、などが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレン(n=6)が捕捉可能な標的としては、例えば、クロロホルム、メタノール、などが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレン(n=7)が捕捉可能な標的としては、例えば、クロロホルムなどが挙げられる。
前記クラウン化合物としては、電子供与性のドナー原子として酸素を持つクラウンエーテルのみではなく、そのアナログとして窒素、硫黄などのドナー原子を環構造構成原子として持つ大環状化合物を含み、また、クリプタンドを代表する2個以上の環よりなる複環式クラウン化合物も含まれ、例えば、シクロヘキシル−12−クラウン−4、ジベンゾ−14−クラウン−4、t−ブチルベンゾ−15−クラウン−5、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、18−クラウン−6、トリベンゾ−18−クラウン−6、テトラベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−26−クラウン−6、などが挙げられる。
前記クラウン化合物が捕捉可能な標的としては、例えば、Li,Na、K等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属などの各種金属イオン、NH4+、アルキルアンモニウムイオン、グアニジウムイオン、芳香族ジアゾニウムイオンなどが挙げられ、該クラウン化合物はこれらと錯体を形成する。また、該クラウン化合物が捕捉可能な標的としては、これら以外にも、酸性度が比較的大きいC−H(アセトニトリル、マロンニトリル、アジポニトリルなど)、N−H(アニリン、アミノ安息香酸、アミド、スルファミド誘導体など)、O−H(フェノール、酢酸誘導体など)ユニットを有する極性有機化合物、などが挙げられ、該クラウン化合物はこれらと錯体を形成する。
前記ホスト化合物の空洞の大きさ(径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、安定した分子認識能(ホスト−ゲスト結合能)を発揮し得る観点から、0.1nm〜2.0nmであるのが好ましい。
なお、前記ホスト化合物は、例えば、単分子系ホスト化合物、多分子系ホスト化合物、高分子系ホスト化合物、無機系ホスト化合物、などに分類することもできる。
前記単分子系ホスト化合物としては、例えば、シクロデキストリン、クラウン化合物、シクロファン、アザシクロファン、カリックスアレーン、シクロトリペラトリレン、スフェランド、キャビタンド、環状オリゴペプチド、などが挙げられる。
前記多分子系ホスト化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、デオキシコール酸、ペルヒドロトリフェニレン、トリ−o−チモチド、などが挙げられる。
前記高分子系ホスト化合物としては、例えば、セルロース、デンプン、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、などが挙げられる。
前記無機系ホスト化合物としては、例えば、層間化合物、ゼオライト、Hofmann型錯体、などが挙げられる。
前記抗体としては、抗原と特異的に抗原抗体反応を生じるものであれば、特に制限はなく、例えば、多クローン性抗体であっても、単クローン性抗体であってもよく、更にはIgG、IgM、IgE、IgGのFab’、Fab、F(ab’)なども含まれる。
前記抗原としては、特に制限はなく、前記抗体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、血漿蛋白、腫瘍マーカー、アポ蛋白、ウイルス抗原、自己抗体、凝固・線溶因子、ホルモン、血中薬物、HLA抗原、などが挙げられる。
前記血漿蛋白としては、例えば、免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM,IgD,IgE)、補体成分(C3,C4,C5,C1q)、CRP、α−アンチトリプシン、α−マイクログロブリン、β−マイクログロブリン、ハプトグロビン、トランスフェリン、セルロプラスミン、フェリチン、などが挙げられる。
前記腫瘍マーカーとしては、例えば、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9、CA125、CA15−3、SCC抗原、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、PIVKA−II、γ−セミノプロテイン、TPA、エラスターゼI、神経特異エノラーゼ(NSE)、免疫抑制酸性蛋白(IAP)、などが挙げられる。
前記アポ蛋白としては、例えば、アポA−I、アポA−II、アポB、アポC−II、アポC−III、アポE、などが挙げられる。
前記ウイルス抗原としては、例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)関連抗原、C型肝炎ウイルス(HVC)関連抗原、HTLV−I、HIV、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、などが挙げられる。
前記HCV関連抗原としては、例えば、HCVc100−3リコビナント抗原、pHCV−31リコビナント抗原、pHCV−34リコビナント抗原などが挙げられ、それらの混合物が好ましく使用できる。前記HIV関連抗原としては、ウイルス表面抗原などが挙げられ、例えば、HIV−I
env.gp41リコビナント抗原、HIV−I env.gp120リコビナント抗原、HIV−I gag.p24リコビナント抗原、HIV−II env.p36リコビナント抗原、などが挙げられる。
また、ウイルス以外の感染症としては、MRSA、ASO、トキソプラズマ、マイコプラズマ、STD、などが挙げられる。
前記自己抗体としては、例えば、抗マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体、抗核抗体、リュウマチ因子、抗ミトコンドリア抗体、ミエリン抗体、などが挙げられる。
前記凝固・線溶因子としては、例えば、フィブリノゲン、フィブリン分解産物(FDP)、プラスミノゲン、α−プラスミンインヒビター、アンチトロンビンIII、β−トロンボグロブリン、第VIII因子、プロテインC、プロテインS、などが挙げられる。
前記ホルモンとしては、例えば、下垂体ホルモン(LH、FSH、GH、ACTH、TSH、プロラクチン)、甲状腺ホルモン(T、T、サイログロブリン)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、副腎皮質ホルモン(アルドステロン、コルチゾール)、性腺ホルモン(hCG、エストロゲン、テストステロン、hPL)、膵・消化管ホルモン(インスリン、C−ペプチド、グルカゴン、ガストリン)、その他(レニン、アンジオテンシンI,II、エンケファリン、エリスロポエチン)、などが挙げられる。
前記血中薬物としては、例えば、カルバマゼピン、プリミドン、バルプロ酸等の抗てんかん薬、ジゴキシン、キニジン、ジギトキシン、テオフィリン等の循環器疾患薬、ゲンタマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン等の抗生物質、などが挙げられる。
前記タンパク質としては、多くの重金属、特に亜鉛、カドミウム、銅、水銀、等に高い親和性を示す低分子量(約6000〜13000)のもの、などが好適に挙げられる。これらのタンパク質は、動物の肝臓、腎臓、その他の組織中に存在し、最近では微生物体内にも存在することが見出されている。また、これらのタンパク質は、システイン含有量が多く、芳香族の残基を殆ど含まないアミノ酸分布を呈しており、生体内においてカドミウム、水銀などの解毒化機能を有する物質であるとともに、亜鉛,銅など生体に必須の微量金属の貯蔵と、生体内における分布にも関与している重要な物質である。
前記重金属としては、例えば、アルキル水銀化合物(R−Hg)、水銀又はその化合物(Hg)、カドミウム又はその化合物(Cd)、鉛又はその化合物(Pb)、六価クロム(Cr6+)、銅又はその化合物(Cu)、亜鉛又はその化合物(Zn)、シアン、六価クロム、砒素、セレン、マンガン、ニッケル、鉄、亜鉛、セレン、スズ、などが挙げられる。
前記標的捕捉体は、前記親水基とエステル結合により結合してなることが好ましい。この場合、強固な共有結合で、かつ親水性の官能基で結合している点で好ましい。
前記標的捕捉体が、前記親水性部の親水基とエステル結合している親水基の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜20mol%が好ましく、0.7〜10mol%がより好ましい。前記割合が、0.5mol%未満であると、反応に時間がかかることがあり、20mol%を超えると、前記標的捕捉体の導入反応が完結しないことがある。
前記糸状体の相互作用の方法としては、特に制限はなく、適宜選択した方法を採用することができるが、例えば、液体の表面に前記糸状体を存在させて相互作用させる方法(例えば、LB法)、前記糸状体を液体に非溶解の状態で相互作用させる方法(例えば、両親媒性の前記糸状体を用いる方法)、などが好適に挙げられる。
なお、前記非溶解の状態とは、前記糸状体の総てが溶解していない状態をいい、前記糸状体の一部、例えば、前記糸状体の親水性部のみが溶解しており、前記糸状体の親油部が溶解していない状態、前記糸状体の親油性部のみが溶解しており、前記糸状体の親水性部が溶解していない状態、などを含む。
前記糸状体の親水性部のみが溶解しており、前記糸状体の親油性部が溶解していない状態の場合、及び、前記糸状体の親油性部のみが溶解しており、前記糸状体の親水性部が溶解していない状態の場合には、前記糸状体が、前記溶媒の表面に存在した状態になるため、ラングミュア−ブロジェット法(LB法)等により、前記標的相互作用層を好適に形成できる点で好ましい。
前記糸状体の一部を溶解させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、親水性の溶媒又は親油性の溶媒に溶解させる方法等が挙げられる。
前記親水性の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、低級アルコール、ジアルキルアミド誘導体、スルホキサイド誘導体、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
前記アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
前記親油性の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホルム等が挙げられる。
−標的相互作用層−
前記標的相互作用層形成工程において形成された前記標的相互作用層としては、特に制限はないが、例えば、前記標的相互作用層における前記糸状体が、液状物と接触すると立設し、該立設した状態で前記糸状体における前記標的相互作用部が前記標的と相互作用する標的相互作用層が好ましい。この場合には、前記標的相互作用層の内部に存在し、表面に現れていなかった前記標的相互作用部も、前記液状物に接触した後においては、前記標的と相互作用可能となる。更に、前記標的と前記標的相互作用部とが相互作用することにより、前記液状物を除去した後においても、前記標的相互作用層の厚みの収縮が抑制される。この結果、前記標的を少ない測定誤差で簡便かつ確実に、しかも迅速かつ極めて高感度に検出することができ有利である。
前記液状物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、極性溶媒、無極性溶媒、などが挙げられる。
前記極性溶媒としては、極性である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、低級アルコール、ジアルキルアミド誘導体、スルホキサイド誘導体、などが挙げられる。
前記無極性溶媒としては、無極性である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン、四塩化炭素、などが挙げられる。
前記標的相互作用層は、前記糸状体の単分子膜であってもよいし、該単分子膜の積層膜であってもよい。
前記単分子膜又は該単分子膜による前記積層膜は、例えば、公知の塗布法によって、又は、ラングミュア−ブロジェット法(LB法)に従って形成することができ、後者の場合、公知のLB膜形成装置(例えば、日本レーザー&エレクトロニクス・ラボラトリーズ社製のNL−LB400NK−MWCなどが好適に挙げられる)を使用することができる。
前記標的相互作用層との親和性の観点から、前記糸状体のI/O値が1を超える場合には、前記液状物は前記極性溶媒であることが好ましく、前記糸状体のI/O値が1未満である場合には、前記液状物は前記無極性溶媒であることが好ましい。また、前記糸状体のI/O値が1である場合には前記液状物は前記極性溶媒であってもよいし、前記無極性溶媒であってもよい。これらの場合には、前記標的相互作用層の膜厚が増加される点で好ましい。
<波長変化検出手段>
前記波長変化検出手段は、前記干渉光の進路に設けられ、前記干渉光の波長変化を検出する機能を有する。
前記波長変化検出手段としては、前記機能を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)特定波長の光のみを透過可能であり、該特定波長の光が透過したことを検知可能であるもの、(2)前記干渉光の波長変化前におけるスペクトルと、干渉光の波長変化後におけるスペクトルとを測定し、その差スペクトルを測定可能であるもの、(3)前記干渉光の波長変化に対する透過率のグラフにおいて、該グラフにおけるリップル又は主波長を用いることにより波長変化を測定するもの、(4)目視により前記干渉色の変化を測定するもの、などが好適に挙げられる。
これらの中でも、前記(1)のものの場合には、前記波長変化検出手段が、特定波長の光のみを透過可能であることにより、該波長変化検出手段は、前記標的が前記光干渉手段と相互作用して前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過不能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過可能とすることにより、あるいは、前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過可能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過不能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該波長変化検出手段が前記干渉光の透過を検出したことをもって、前記干渉光の波長変化を検出し、前記光干渉手段が前記標的と相互作用したこと、即ち試料等中における該標的の存在が容易にかつ簡便にしかも極めて高感度に検出される。
更に、透過光量の大小(透過光の強度)によって前記標的の定量も行うことができる。即ち、前記干渉光の透過光量(透過光の強度)と、前記光干渉手段による前記標的の捕捉量との関係を示す検量線を予め作成しておき、前記標的を含有する試料について該標的の含有量を測定した時に、前記干渉光の透過光量(透過光の強度)を測定すれば、前記検量線から前記光干渉手段により捕捉された前記標的の量を定量することができる。
また、前記(2)のものの場合には、該波長変化検出手段が、干渉光の波長の変化前後におけるスペクトル差、即ち差スペクトルを測定するので、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合及び前記干渉光における透過率のグラフにおいて主波長としてのピークが形成されていない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該波長変化をスペクトル強度に変換することができ、任意にその増幅が可能である。その結果、極僅かな波長変化であり、かつ、前記グラフにおいて主波長としてのピークが形成されていない場合であっても増幅したスペクトル強度として検出することができ、高感度であり、簡便にかつ迅速にしかも高感度な検出を行うことができる。
更に、スペクトル強度を測定することによって前記標的の定量も行うことができる。即ち、前記干渉光の透過光量(透過光の強度)と、前記光干渉手段による前記干渉光の波長変化(ピークシフト)の差スペクトルにおける波長強度との関係を示す検量線を予め作成しておき、また、該差スペクトルの波長強度と、前記光干渉手段(前記標的検出用基材)により捕捉された前記標的の量との関係を示す検量線とを予め作成しておき、前記標的を含有する試料について該標的の含有量を測定した時に、前記干渉光の波長変化(ピークシフト)の差スペクトルの波長強度を測定すれば、前記検量線から前記光干渉手段により捕捉された前記標的の量を定量することができる。
前記(1)のものの具体例としては、干渉フィルタと、該干渉フィルタを透過した透過光を検知可能な光検知センサーとの組合せ、などが好適に挙げられる。この場合、該干渉フィルタを、前記光干渉手段と相互作用して前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過不能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過可能とすることにより、あるいは、前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過可能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過不能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該波長変化検出手段が前記干渉光の透過を検出したことをもって、前記干渉光の波長変化を検出し、前記光干渉手段が前記標的と相互作用したこと、即ち試料等中における該標的の存在が容易にかつ簡便にしかも極めて高感度に検出可能であり、前記光検知センサーが前記干渉フィルタを透過した前記干渉光を検出したことをもって、前記干渉光の波長変化が検出され、前記光干渉手段が前記標的と相互作用したこと、即ち試料等中における該標的の存在が容易にかつ簡便にしかも極めて高感度に検出される。その結果、極僅かな波長変化が生じた場合であり、かつ、前記グラフにおいて主波長としてのピークが形成されていない場合であっても、前記干渉光の透過光を前記光検知センサーが検出することができ、極めて高感度である。また、前記干渉フィルタを、前記光干渉手段における前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過不能とし、あるいは、前記標的相互作用層の厚みが増加された後では前記干渉光を透過可能とした場合に、該干渉光の透過光量を前記光検知センサーが測定することにより、前記標的の定量を行うことができる。
前記干渉フィルタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、市販品を使用してもよい。
前記干渉フィルタは、特定の波長の入射光のみを干渉する。該特定の波長以外の波長の入射光は透過可能である。
前記光検知センサーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CdSセル、フォトダイオード、光電管、焦電センサー、CCDセンサー、PSDセンサー、などが挙げられる。
前記(2)のものの具体例としては、公知の分光光度計などが好適に挙げられる。
本発明の標的検出装置では、前記光照射手段が光を照射する。前記光干渉手段により、前記光照射手段により照射された光の干渉光の波長が変化する。前記波長変化検出手段が、該波長が変化した干渉光を検出することにより、前記標的が少ない測定誤差で簡便かつ確実に、しかも迅速かつ好感度に検出される。したがって、本発明の標的検出装置は、各種分野において使用することができ、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を効率よくしかも確実にかつ簡便に検出することができ、更にはこれらの定量も行うことができ、診断装置、分析装置、定量装置等として好適に使用することができる。また、前記光干渉手段が耐熱性を有するため、高温条件下でも使用することができる。
<標的検出装置の使用方法>
以下において本発明の標的検出装置の使用方法を説明する。なお、本発明の標的検出方法は、該標的検出装置を用いて好適に行うことができるため、該標的検出装置の使用方法を通じて、本発明の標的検出方法を説明する。
本発明の標的検出方法は、光照射工程と、波長変化検出工程とを含む。
以下に、本発明の標的検出装置の使用方法の一例について、図1を参照しながら説明する。前記光干渉手段(前記標的検出用基材)は、保管時(乾燥時)においては光干渉層40の表面上に糸状有機分子10の一方の一端が接着され、該糸状有機分子10は横倒されてなる。この状態においては、糸状有機分子10の側鎖に設けられた標的相互作用部10aはその一部が表面に現われ、他の部分は内部に存在する。次に、光干渉手段(前記標的検出用基材)を前記液状物としての水に接触させると、糸状有機分子10と水との親和性から糸状有機分子10の一方の一端を光干渉層40に支持したまま略立設され、前記標的相互作用層の厚みが増加すると共に、前記内部に存在していた標的相互作用部10aも標的20と相互作用可能となる。更に、前記水中に標的20が存在している場合には、標的20と標的相互作用部10aとが相互作用し、前記水を乾燥した後においても、糸状有機分子10が略立設したままの状態が維持され、その結果、前記標的相互作用層の増加した膜厚の収縮が抑制される。
このため、標的20が存在しない場合には、前記標的相互作用層の増加した膜厚は、前記水の蒸発と共に収縮され元の状態に戻るが、標的20が存在する場合には、前記標的相互作用層の増加した膜厚は、その収縮が抑制される。その結果、前記光照射手段から照射された光の干渉光の波長が、前記膜厚の増加により変化(波長シフト)される。
前記干渉光の放射は、前記光干渉手段(前記標的検出用基材)に光を照射することにより、該光干渉手段が光を反射又は透過することにより行われる。
以上が、本発明の標的検出方法における光照射工程である。該光照射工程は、前記標的検出用基材に対して光を照射し、該標的検出用基材おける標的相互作用層(標的相互作用部)と前記標的とを相互作用させ、該照射した光を干渉光として放射させる工程である。
前記干渉光の波長変化の検出は、前記標的検出装置における前記波長変化検出手段に関する説明として上述した通りであり、前記波長変化検出手段が、特定波長の光のみを透過可能であることにより、該波長変化検出手段は、前記標的が前記光干渉手段と相互作用して前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過不能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過可能とすることにより、あるいは、前記標的相互作用層の厚みが増加される前では前記干渉光を透過可能とし、かつ、前記標的相互作用層の厚みが増加した後では前記干渉光を透過不能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該波長変化検出手段が前記干渉光の透過を検出したことをもって、前記干渉光の波長変化を検出し、前記光干渉手段が前記標的と相互作用したこと、即ち試料等中における該標的の存在が容易にかつ簡便にしかも極めて高感度に検出される。
更に、透過光量の大小(透過光の強度)によって前記標的の定量も行うことができる。即ち、前記干渉光の透過光量(透過光の強度)と、前記光干渉手段(前記標的検出用基材)による前記標的の捕捉量との関係を示す検量線を予め作成しておき、前記標的を含有する試料について該標的の含有量を測定した時に、前記干渉光の透過光量(透過光の強度)を測定すれば、前記検量線から前記光干渉手段(前記標的検出用基材)により捕捉された前記標的の量を定量することができる。
また、該波長変化検出手段が、干渉光の波長の変化前後におけるスペクトル差、即ち差スペクトルを測定するので、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合及び前記干渉光における透過率のグラフにおいて主波長としてのピークが形成されていない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該波長変化をスペクトル強度に変換することができ、任意にその増幅が可能である。その結果、極僅かな波長変化であり、かつ、前記グラフにおいて主波長としてのピークが形成されていない場合であっても増幅したスペクトル強度として検出することができ、高感度であり、簡便にかつ迅速にしかも高感度な検出を行うことができる。
更に、スペクトル強度を測定することによって前記標的の定量も行うことができる。即ち、前記干渉光の透過光量(透過光の強度)と、前記光干渉手段(前記標的検出用基材)による前記干渉光の波長変化(ピークシフト)の差スペクトルにおける波長強度との関係を示す検量線を予め作成しておき、また、該差スペクトルの波長強度と、前記光干渉手段(前記標的検出用基材)により捕捉された前記標的の量との関係を示す検量線とを予め作成しておき、前記標的を含有する試料について該標的の含有量を測定した時に、前記干渉光の波長変化(ピークシフト)の差スペクトルの波長強度を測定すれば、前記検量線から前記光干渉手段(前記標的検出用基材)により捕捉された前記標的の量を定量することができる。
以上が、本発明の標的検出方法における波長変化検出工程である。該波長変化検出工程は、前記干渉光の波長変化を検出する工程である。
本発明の標的検出方法においては、前記光干渉手段として前記標的検出用基材を用いることにより、前記標的と前記標的相互作用層との相互作用により、該標的相互作用層の膜厚を増加させ、スペクトル曲線の極めてシャープな干渉光を放射することができ、簡便かつ確実に、しかも迅速かつ極めて高感度に検出することができる点で有利である。また、本発明の標的検出方法は、各種分野において使用することができ、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を効率よくしかも確実にかつ簡便に検出することができ、更にはこれらの定量も行うことができ、また、前記光干渉手段が耐熱性を有するため、高温条件下における診断方法、分析方法、定量方法等として好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−光干渉手段−
−−糸状体の合成−−
窒素気流下、ヒドロキシエチルメタクリレート15.6gと、メチルメタクリレート12.0gとを温度65℃でイソプロピルアルコール30mlに溶解させ、更にアゾビスバレロニトリル30mgを1時間ごとに3回加えた。上層をデカントして除去した後、得られた固形分を温メタノール200mlに溶解させ、酢酸エチル1.2lにゆっくりと滴下した。その後、生じた沈殿を濾過し、減圧下において乾燥させ、20.5gの下記構造式(1)で表されるポリマーAを得た。
得られたポリマーの重量平均分子量(Mn)は、60,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、5.28であり、I/O値は、1.00であった。なお、仕込み値から計算したm:nは1:1である。
Figure 2005114428
−−糸状体と前記標的捕捉体としてのビオチンとの結合−−
前記糸状体と前記標的捕捉体としてのビオチンとは以下の方法により結合させた。即ち、前記得られたポリマーA 2.3gをピリジン30mlに室温で溶解させ、更に、酸クロリド化したビオチン0.05gを添加して8時間反応させた。反応液を減圧濃出した後、トルエンを10ml添加し、減圧濃縮を3回繰り返すことによりピリジンを除去した。得られた反応物質をイソプロピルアルコール/メタノール=1/1(体積比)の溶液80mlに溶解させ、n−ヘキサン800mlにゆっくりと滴下した。その後、生じた沈殿を濾過し、減圧かにおいて乾燥させ前記ビオチンを結合させた糸状体を得た。なお、このとき、前記糸状体中のヒドロキシル基の4%がビオチンに代わった。
−−光干渉手段の作製−−
950℃で4時間アニール処理したシリコン基板(厚み:650μm、三菱マテリアル社製)を、カップリング剤として、1質量%のシランカップリング剤100g(信越化学社製、KBM603)により27℃で表面処理を行った。
次いで、前記表面処理を行った基板上に、前記糸状体と、前記溶媒として、親水性の溶媒である水とメタノールとの混合溶媒(水:メタノール=7.5:2.5)とからなる濃度26μmol/lの混合溶液(このとき、前記糸状体の親水性部のみ溶解した状態であり、前記糸状体は前記溶媒表面に存在していた)を用いて、単分子膜を、室温で1時間かけてL−B膜形成装置(日本レーザー&エレクトロニクス・ラボラトリー社製、NL−LB400NK−MWC)を使用して形成し、該単分子膜上に、同様にして単分子膜の積層膜を形成して、光干渉手段を作製した。このときの積層圧は、7mNであり、積層数は10層であった。また、前記基板と前記糸状体中の親水性部のヒドロキシル基が結合していた。
−波長変化検出−
前記光照射手段として、UV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における光源を用いた。前記表面処理を行った基板、及び前記光干渉手段への入射角が10度になるようにして、光(キセノンランプ光)を照射した。
そして、該光照射手段より照射された光の前記表面処理を行った基板、及び光干渉手段による反射光(干渉光)の進路に、波長変化検出手段としてのUV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における受光部を配置して、該反射光(干渉光)のスペクトル波長を測定したところ、前記表面処理を行った基板の基準ピークは、666nm付近に観られ、前記光干渉手段の基準ピークは、676nm付近に観られた。このとき、基準ピークのシフト量は、10nmであり、前記表面処理を行った基板上に、前記標的相互作用層が形成されたことが判り、光干渉手段が作製できたことが判る。
−前記光干渉手段と前記標的としてのアビジンとの相互作用−
前記光干渉手段を、前記標的として、アビジンの水溶液(1.5μM)中に35℃の温度で3時間浸漬させて、該アビジンと前記光干渉手段における前記標的捕捉体としてのビオチンとを相互作用(吸着反応)させた。その後、前記光干渉手段を純水にて洗浄し、乾燥した。
−波長変化検出−
前記光照射手段として、UV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における光源を用いた。前記光干渉手段へ入射角度が10度になるようにして、光(キセノンランプ光)を照射した。
そして、該光照射手段より照射された光の前記光干渉手段による反射光(干渉光)の進路に、波長変化検出手段としてのUV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における受光部を配置して、該反射光(干渉光)のスペクトル波長を測定したところ、基準ピークは、681nm付近に観られた。したがって、前記アビジン水溶液に浸漬させる前の前記光干渉手段における基準ピーク(676nm)からは、5nmのピークシフトが観られ、前記光干渉手段と前記標的としてのアビジンとが相互作用したことが判る。
(実施例2〜5及び比較例1〜8)
−光干渉手段の作製−
実施例1の光干渉手段の作製における溶媒及び表面処理の条件を、表1に記載の条件に代えた以外は実施例1と同様にして、前記表面処理を行った基板及び前記光干渉手段の反射光(干渉光)のスペクトル波長を測定した。結果を表1に示す。なお、実施例2〜5、比較例1〜3、5〜6及び8の溶媒は親水性の溶媒であるため、該溶媒中では、前記糸状体の親水性部のみが溶解した状態であり、比較例1〜3の溶媒は親水性及び親油性の混合溶媒であるため、前記糸状体は完全に溶解した状態であった。また、比較例4及び7では、UVスペクトルが測定できなかった。
Figure 2005114428
*THF テトラヒドロフラン
表1から、実施例1〜5では、基準ピークがシフトしたことから、前記基板上に、前記標的相互作用層が形成されていることが判る。一方、親水性溶媒及び疎水性溶媒からなる混合溶媒を用いた比較例1〜3では、基準ピークシフト量が小さいことから、前記基板上に、前記標的相互作用層が形成されていないことが判る。また、基板の表面処理を行っていない比較例5〜6及び8についても、同様に、前記基板上に、前記標的相互作用層が形成されていないことが判る。
(実施例6〜9)
−加熱処理を行った光干渉手段と、標的としてのアビジンとの相互作用−
実施例1〜5で作製した光干渉手段を、110℃で加熱した。次に、該光干渉手段を、前記標的として、アビジン水溶液(1.5μM)中に室温で3時間浸漬させて、該アビジンと前記光干渉手段における前記標的捕捉体としてのビオチンとを相互作用(吸着反応)させ、その後、前記光干渉手段を純水にて洗浄し、乾燥した。
−波長変化検出−
前記光照射手段として、UV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における光源を用いた。前記光干渉手段へ入射角度が10度になるようにして、光(キセノンランプ光)を照射した。
そして、該光照射手段より照射された光の前記光干渉手段による反射光(干渉光)の進路に、波長変化検出手段としてのUV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における受光部を配置して、該反射光(干渉光)のスペクトル波長を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2005114428
表2から、本発明の標的検出装置では、前記光干渉手段が高温条件に置かれた場合であっても、標的を捕捉する機能は劣ることがないことが判る。
(実施例10)
−光干渉手段−
−−前記標的捕捉体としてのビオチンが結合した糸状体の作製−−
下記合成スキームに従い、前記標的捕捉体としてのビオチンが結合した糸状体である、末端にビオチンを有するポリベンジル−L−グルタメート(PBLG30−bio)を合成した。即ち、下記化13に示すビオチン誘導体を重合開始剤として用い、下記化12に示す合成スキームで合成されたベンジル−L−グルタメート誘導体(BLG−NCA)の重合を行うことにより、重合度が30のポリベンジル−L−グルタメート(PBLG30−bio)を合成した。
Figure 2005114428
Figure 2005114428
−−標的検出用基材の作製−−
950℃で4時間アニール処理したシリコン基板(厚み:650μm、三菱マテリアル社製)を、カップリング剤として、1質量%のシランカップリング剤100g(信越化学社製、KBM603)により27℃で表面処理を行った。
次いで、前記表面処理を行った基板上に、前記糸状体と、前記溶媒としてクロロホルムとからなる混合液(濃度26μM)を用いて、単分子膜を、室温で1時間かけてL−B膜形成装置(日本レーザー&エレクトロニクス・ラボラトリー社製、NL−LB400NK−MWC)を使用して形成し、該単分子膜上に、同様にして単分子膜の積層膜を形成して、標的検出用基材を作製した。このときの積層圧は、7mNであり、積層数は10層であった。
−光干渉手段と、標的としてのアビジンとの相互作用−
前記光干渉手段を、前記標的として、アビジン水溶液(1.5μM)中に室温で3時間浸漬させて、該アビジンと前記光干渉手段における前記標的捕捉体としてのビオチンとを相互作用(吸着反応)させた、その後、前記光干渉手段を純水にて洗浄し、乾燥した。
−波長変化検出−
前記光照射手段として、UV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における光源を用いた。前記光干渉手段へ入射角度が10度になるようにして、光(キセノンランプ光)を照射した。
そして、該光照射手段より照射された光の前記光干渉手段による反射光(干渉光)の進路に、波長変化検出手段としてのUV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における受光部を配置して、該反射光(干渉光)のスペクトル波長を測定したところ、前記アビジン水溶液に浸漬させる前の前記光干渉手段における基準ピークは642nmであり、前記アビジン水溶液に浸漬させた後の前記光干渉手段における基準ピークは648nmであった。したがって、前記アビジン水溶液に浸漬させる前の前記光干渉手段における基準ピーク(642nm)からは、6nmのピークシフトが観られ、前記光干渉手段と前記標的としてのアビジンとが相互作用したことが判る。
(実施例11)
−加熱処理を行った光干渉手段と、標的としてのアビジンとの相互作用−
実施例11で作製した光干渉手段を、110℃で加熱した。次に、該光干渉手段を、前記標的として、アビジン水溶液(1.5μM)中に室温で3時間浸漬させて、該アビジンと前記光干渉手段における前記標的捕捉体としてのビオチンとを相互作用(吸着反応)させ、その後、前記光干渉手段を純水にて洗浄し、乾燥した。
−波長変化検出−
前記光照射手段として、UV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における光源を用いた。前記光干渉手段へ入射角度が10度になるようにして、光(キセノンランプ光)を照射した。
そして、該光照射手段より照射された光の前記光干渉手段による反射光(干渉光)の進路に、前記波長変化検出手段としてのUV−Vis測定装置(日本分光社製、V−560)における受光部を配置して、該反射光(干渉光)のスペクトル波長を測定したところ、前記アビジン水溶液に浸漬させる前の前記光干渉手段における基準ピークは632nmであり、前記アビジン水溶液に浸漬させた後の前記光干渉手段における基準ピークは644nmであった。したがって、前記アビジン水溶液に浸漬させる前の前記光干渉手段における基準ピーク(632nm)からは、12nmのピークシフトが観られ、前記光干渉手段と前記標的としてのアビジンとが相互作用したことが判る。
実施例10〜11の結果を表3に併せて示す。
Figure 2005114428
表3から、本発明の標的検出装置では、前記光干渉手段が高温条件に置かれた場合であっても、標的を捕捉する機能は劣ることがないことが判る。
本発明の標的検出装置は、各種分野において使用することができ、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を効率よくしかも確実にかつ簡便に検出することができ、更にはこれらの定量も行うことができ、また、前記光干渉手段が耐熱性を有するため、高温条件下において使用する診断装置、分析装置、定量装置等としても好適に使用することができる。
本発明の標的検出方法は、各種分野において使用することができ、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を効率よくしかも確実にかつ簡便に検出することができ、更にはこれらの定量も行うことができ、また、前記光干渉手段が耐熱性を有するため、高温条件下における診断方法、分析方法、定量方法等としても好適に使用することができる。
図1は、本発明の標的検出装置の一例を表す概念図である。
符号の説明
10 糸状有機分子(糸状体)
10a 標的捕捉体
20 標的
40 光干渉層
50 基材

Claims (14)

  1. 光を照射する光照射手段と、標的と相互作用して前記光照射手段により照射された光の干渉光の波長を変化可能な光干渉手段と、前記干渉光の進路に設けられ前記光干渉手段により放射される前記干渉光の波長変化を検出する波長変化検出手段とを有してなり、
    前記光干渉手段が、基材と、標的と相互作用可能であり、かつ、糸状体を有する標的相互作用層とを少なくとも有する標的検出用基材であって、
    該標的相互作用層が、前記基材の少なくとも一部の表面に、前記糸状体と親和性のある親糸状体部を形成し、該親糸状体部に前記糸状体を相互作用させることによって形成する標的相互作用層形成工程を含む製造方法によって製造されることを特徴とする標的検出装置。
  2. 親糸状体部の形成が、基材の表面をカップリング剤により表面処理することにより行われ、糸状体の一部と、該表面処理がされた前記基材の表面とが、共有結合形成反応及びイオン結合形成反応の少なくともいずれかによって結合される請求項1に記載の標的検出装置。
  3. 糸状体が、親水性部及び親油性部を有する両親媒性である請求項1から2のいずれかに記載の標的検出装置。
  4. 糸状体の一部を親水性及び親油性のいずれかの溶媒で溶解させ、該溶媒の表面に存在させた状態で、前記基材と相互作用させる請求項1から3のいずれかに記載の標的検出装置。
  5. 親水性の溶媒が、水、低級アルコール、ジアルキルアミド誘導体及びスルホキサイド誘導体から選択される少なくとも1種である請求項4に記載の標的検出装置。
  6. 糸状体が、糸状有機分子である請求項1から5のいずれかに記載の標的検出装置。
  7. 糸状体が、下記構造式(1)表される請求項1から6のいずれかに記載の標的検出装置。
    Figure 2005114428
  8. 糸状体が、標的と相互作用可能な標的相互作用部を有する請求項1から7のいずれかに記載の標的検出装置。
  9. 標的がアビジンであり、標的相互作用部がビオチンである請求項8に記載の標的検出装置。
  10. 標的相互作用層が、単分子膜、及び積層膜の少なくともいずれかにより形成される請求項1から9のいずれかに記載の標的検出装置。
  11. 標的相互作用層の屈折率が、基材の屈折率と異なる請求項1から10のいずれかに記載の標的検出装置。
  12. 波長変化検出手段が、特定波長の光のみを透過可能であり、該特定波長の光が透過したことを検知可能である請求項1から11のいずれかに記載の標的検出装置。
  13. 波長変化検出手段が、干渉光の波長変化前におけるスペクトルと、干渉光の波長変化後におけるスペクトルとを測定し、その差スペクトルを測定可能である請求項1から12のいずれかに記載の標的検出装置。
  14. 波長変化検出手段が、差スペクトルをスペクトル強度に変換し、該スペクトル強度を増幅可能である請求項13に記載の標的検出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010509602A (ja) * 2006-11-13 2010-03-25 サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィーク(セーエヌエールエス) 両親媒性物質による担体上への膜タンパク質の固定
US11745145B2 (en) 2020-05-25 2023-09-05 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Ion-sensitive substance, ion-sensitive membrane using the same, and method for producing the ion-sensitive substance

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