JP2005110594A - ウイルスベクター発現用dna断片およびその利用 - Google Patents

ウイルスベクター発現用dna断片およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 植物に任意の有用タンパク質を生産させるために使用するDNA断片およびその利用法を提供する。
【解決手段】 任意の有用タンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターのcDNAにリボザイム配列を連結させたDNA断片を細胞に導入することにより、細胞内でcDNAから転写されたウイルスRNAの3’末端に付加された余分な配列をリボザイムが切断し、大幅にウイルスRNAの蓄積を増加させることが可能となった。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ウイルスベクター発現用DNA断片およびその利用に関するものである。
より具体的には、任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターのcDNAの3‘末端にリボザイム配列を結合したDNA断片、当該DNA断片を含むベクター、および上記DNA断片またはベクターを用いて得られる形質転換体に関するものである。
現在、植物における有用タンパク質の生産は、形質転換植物を用いる方法と、ウイルスベクターを植物に感染させる方法のいずれかで行われている。前者は、植物を栽培するだけで生産が可能であり、大規模化に適している。しかし、ウイルスベクター系に比べ、一細胞あたりの生産効率は著しく低い。一方、植物ウイルスベクターは高い生産効率を得ることができるが、接種作業およびウイルスの外界への飛散等が大規模化の問題となっている。
本発明者らは、上記両者の利点、すなわち大規模生産能力、高い生産効率および安全性を併せ持つ新しいタンパク質合成系(高効率mRNA誘導増幅系)を既に開発している。この高効率mRNA誘導増幅系の特徴は、ウイルスの複製酵素遺伝子と、それにより増幅される有用タンパク質遺伝子とを、共に植物の染色体に組み込むことであり、さらに、その組み換え植物での複製酵素の発現を制御することにより、有用タンパク質の合成を制御する点である(非特許文献1)。
さらに、本発明者らは、植物のサイレンシング反応に対するサプレッサーを持つウイルスを利用することにより、上記高効率mRNA誘導増幅系の改良を行っている(非特許文献2)。
一方、発明者らはリボザイム配列をウイルスcDNAの3‘末端に組み込み、タバコ植物体で形質転換体を作製し、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターによって転写させた結果、リボザイムなしの場合に比べウイルスRNA増殖が増加したことを報告している(非特許文献3)。また、タバコ植物において、リボザイム配列を3‘末端に付加したタバコモザイクウイルスcDNAをアグロバクテリウムを用いた方法でトランスフェクションしたところ、感染効率が2倍程度に増加したことが報告されている(非特許文献4)。
Mori, M., Fujihara, N., Mise, K. and Furusawa, I. (2001) Inducible high-level mRNA amplification system by viral replicase in transgenic plants. Plant J 27(1), 79-86. 石川県農業短期大学附属農業資源研究所平成13年度年報 No.10 2001、p.14-15. (発行日:平成14年9月25日) Kaido, M., Mori, M., Mise, K., Okuno, T. and Furusawa, I. (1997) Auto-cleavable ribozyme sequence attached to brome mosaic virus cDNAs enhances accumulation of viral RNAs transcribed in vivo from the cDNAs. Ann. Phytopathol. Soc. Jpn. 63, 95-98. Turpen, T.H., Turpen, A.M., Weinzettl, N., Kumagai, M.H. and Dawson W.O. (1993) Transfection of whole plants from wounds inoculated with Agrobacterium tumefaciens containing cDNA of tabacco mosaic virus. J. Virol. Methods. 42(2-3), 227-239.
植物に有用な任意のタンパク質を生産させるため、上記改良した高効率mRNA誘導増幅系を用いてタバコ培養細胞であるBY2細胞を形質転換したところ、ウイルスが増幅された細胞は最高5%であった。多くの細胞でウイルスの増幅が認められなかった一因としては、細胞内でcDNAから転写されるウイルスRNAの3’末端にターミネータ−由来の配列とポリA配列が付加されていることが考えられた。したがって、当該高効率mRNA誘導増幅系をさらに改良し、細胞内でcDNAから転写されるウイルスRNAの3’末端に付加されている余分な配列を取り除く工夫が必要である。
上記細胞内でcDNAから転写されるウイルスRNAの3’末端に付加されている余分な配列を取り除く工夫の一例として、前述の非特許文献3および4に記載されているリボザイムの利用が考えられる。しかし、非特許文献3は単にウイルスRNAの増殖に関してリボザイムの有無による効果の違いを検討したものであり、外来タンパク質の発現を目的としたものではなく、転写誘導プロモーターを用いたものでもない。また、非特許文献4は、形質転換体を作製したものではなく、アグロバクテリウムを用いたcDNAからの一過性の感染の結果である。この報告の結果はリボザイム付加による感染効率の増加は2倍程度に留まっており、その後現在までタバコモザイクウイルスの属するトバモウイルス属のウイルスベクターにおいてはリボザイム配列の効果は限定的であり、トバモウイルスベクターにタンパク質を生産させる目的でリボザイム配列を付加することは有効でないと考えられていた。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記高効率mRNA誘導増幅系をさらに改良し、形質転換細胞において任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターを転写誘導により効率よく複製させる系を実現することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、従来リボザイムの付加が有効でないと考えられていたトバモウイルス属に属するトマトモザイクウイルスベクターを用いた場合でも、リボザイム配列を付加することにより細胞内でトマトモザイクベクターcDNAから転写されるウイルスRNAの3’末端に付加されている余分な配列が切断され、大幅にウイルスRNAの蓄積が増加し、トマトモザイクベクターに挿入した緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子を発現する細胞の割合が10倍以上に増加することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は細胞に任意のタンパク質を生産させるために使用するDNA断片であって、RNAを遺伝子とするウイルスに任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターのcDNAと、上記ウイルスベクターのcDNAの3’末端に結合したリボザイム配列とを有することを特徴とする。
上記ウイルスベクターは一本鎖プラス鎖RNAを遺伝子とするウイルス由来であることが好ましく、植物ウイルス由来であることがより好ましい。さらに上記ウイルスベクターは植物のサイレンシングを抑制する因子を持つ植物ウイルス由来のウイルスベクターであることが特に好ましい。このようなベクターとしては、トバモウイルス属に属するウイルス由来のベクターが適しており、中でもタバコモザイクウイルスベクターまたはトマトモザイクウイルスベクターが好適である。また、リボザイム配列は肝炎デルタウイルスまたはサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列であることが好ましい。
上記任意のタンパク質をコードする遺伝子は、ウイルスの外被タンパク質をコードする遺伝子のプロモーター下流に挿入されることが好ましい。任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターおよびその3‘末端に結合したリボザイム配列は、その上流に配置された転写誘導可能なプロモーターにより転写制御されることが好ましく、このような転写制御を行うためには、本ベクターが転写誘導可能なプロモーターの転写を制御するための転写因子をコードする遺伝子を有することが必要である。転写制御にはステロイドホルモンまたはエストロジェンを好適に用いることができる。具体的には、ステロイドホルモンで転写誘導活性化される転写因子としてGVGを用い、活性化されたGVGにより転写誘導されるプロモーターとして6XUASGal4を用いることができる。
本発明に係るベクターは、上記DNA断片を含み、かつ細胞のゲノムに組み込まれる性質を有することことを特徴とする。このような性質を有するベクターとして、Tiプラスミドを好適に用いることができる。
本発明に係る植物細胞形質転換用キットは、少なくとも上記本発明に係るDNA断片または当該DNA断片を含み細胞のゲノムに組み込まれる性質を有するベクターを含むことを特徴とする。
また、上記DNA断片、ベクターまたは上記植物細胞形質転換用キットを用いることにより得られる形質転換体も本発明に含まれる。形質転換体としては以下に示すものを挙げることができる。
1)ウイルスベクターを転写発現する形質転換体であって、任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターの3’末端にリボザイム配列を結合したDNA断片または当該断片を含むベクターを用いて得られる形質転換体。
2)トバモイルス属由来のウイルスベクターを転写発現する形質転換体であって、任意のタンパク質コードする遺伝子を挿入したトバモイルス属由来ウイルスベクターの3’末端にリボザイム配列を結合したDNA断片または当該断片を含むベクターを用いて得られる形質転換体(植物体または培養細胞)。
3)ウイルスベクターを転写誘導できる形質転換体であって、任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターの3’末端にリボザイム配列を結合し、かつウイルスベクターを転写誘導可能なDNA断片または当該断片を含むベクターを用いて得られる形質転換体。
さらに、上記形質転換体を用いるタンパク質の生産方法も本発明に含まれる。
本発明に係るDNA断片は、任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターのcDNAとその3’末端に結合したリボザイム配列とを有するため、細胞内でcDNAから転写されるウイルスRNAの3’末端に付加されているターミネーター由来の配列およびポリA配列を、リボザイムを用いて切断することができ、大幅にウイルスRNAの蓄積を増加させることができるという効果を奏する。また、植物のサイレンシングを抑制する因子を持つ植物ウイルス由来のウイルスベクターを用いることにより、増幅の後半にmRNAが分解される現象を抑制できるという効果を奏する。さらに転写誘導可能なプロモーターを用いることにより発現を制御することが可能となり、安全性の面で非常に優れた効果を奏する。
すなわち、本発明に係るDNA断片、ベクター、形質転換体およびタンパク質の生産方法は、植物に任意の有用タンパク質を生産させるため、大規模生産能力、高い生産効率および安全性を併せ持つタンパク質合成系を構築することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る植物細胞形質転換用キットは本発明に係るベクターを含むものであり、任意の有用タンパク質を生産可能な植物を簡易に作製することができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
(1)高効率mRNA誘導増幅系
植物に任意の有用タンパク質を生産させるため、発明者らは大規模生産能力、高生産効率および安全性を併せ持つタンパク質合成系である、高効率mRNA誘導増幅系を構築した。以下に、発明者らが構築したブロムモザイクウイルスを用いた高効率mRNA誘導増幅系の概略を説明する(非特許文献1参照)。ブロムモザイクウイルスは非常に高い複製能力を持つウイルスで、一本鎖プラス鎖RNAを遺伝子とし、複製酵素の1aおよび2aタンパク質をそれぞれコードするRNA1およびRNA2、細胞間および全身移行に必要な3aと外被タンパク質をコードするRNA3からなる。外被タンパク質はRNA3のマイナス鎖からウイルスの複製酵素により合成されるサブゲノムmRNAから翻訳される。そこで、RNA1のcDNA、RNA2のcDNAおよび外被タンパク質遺伝子を有用タンパク質をコードする遺伝子で置換したキメラRNA3のcDNAとをそれぞれ植物細胞に導入し、3種のウイルスRNA遺伝子を持つ形質転換植物を作製した。RNA2およびキメラRNA3はカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターを用いて恒常的に発現させ、RNA1はステロイドホルモンで転写誘導されるプロモーターにより発現を制御した。これにより、ステロイドホルモンで処理した場合のみウイルスの複製酵素が形成され、有用タンパク質のmRNAが増幅される、高効率mRNA誘導増幅系が構築できた。
この高効率mRNA誘導発現系の特徴は以下のとおりである。
1)非常に効率よく有用タンパク質のmRNAを発現できる。
2)有用タンパク質の発現は、誘導制御できる。
3)発現制御が可能なことにより、植物の生長に毒性を持つタンパク質の合成を可能にする。
4)圃場等の開放系では発現を抑制し、工場などの閉鎖系で誘導生産できることから、高い安全性を持つ。
5)導入された増幅可能なウイルス遺伝子は、外被タンパク質を持たないため、他の植物への感染能力がなく、さらに粒子化できないことから安全である。
しかし、ブロムモザイクウイルスの系では増幅の後半にmRNAの分解が顕著に認められる。これは、ブロムモザイクウイルスが、植物が有するウイルス抵抗性(サイレンシング)に対するサプレッサーを持たないことに起因すると考えられる。そこで発明者らはサイレンシングのサプレッサーを持ち、かつ複製能力の高い一本鎖プラス鎖RNAウイルスであるトマトモザイクウイルス(以下適宜「ToMV」と略記する。)を用いて高効率mRNA誘導増幅系の構築を行った。ここで「サイレンシング」とは植物が有するウイルス防御機構の一つで、外来遺伝子の発現が抑制される現象を意味する。
ブロムモザイクウイルスをトマトモザイクウイルスに変更することにより、増幅の後半にmRNAが分解されるという現象は解消された。しかしながら、ToMVを用いた高効率mRNA誘導増幅系をタバコ培養細胞であるBY2細胞に構築することを試みたところ、ウイルスベクターが増幅された細胞は最高5%であり、多くの細胞でウイルスベクターの増幅が認められなかった。この現象の一因としては、細胞内でcDNAから転写されるウイルスRNAの3’末端にターミネータ−由来の配列とポリA配列が付加されていることが考えられた。そこで発明者らは、ウイルスベクターのcDNAの3’末端にリボザイム配列を付加したDNA断片を構築した。「リボザイム」とは酵素活性を有するRNA分子を意味し、本明細書においては自己切断反応を触媒するRNAをいう。本ベクターを用いることにより、細胞内でcDNAから転写されるウイルスRNAの3’末端に付加された余分な配列が切断され、ウイルスRNAが増幅される細胞の割合が大幅に増加する。
(2)本発明に係るDNA断片および当該DNA断片を含むベクター
本発明に係るDNA断片は、細胞に任意のタンパク質を生産させるために使用するDNA断片であり、その構成には少なくとも細胞に生産させようとする任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入した、RNAを遺伝子とするウイルスベクターのcDNAと、その3’末端に結合したリボザイム配列とを有することが必要である。細胞に生産させる任意のタンパク質は特に限定されるものではなく、外来の有用タンパク質であってもよく、当該植物が本来有するタンパク質であってもよい。例えば、医薬品として利用可能なヒトのタンパク質等が好適である。
ウイルスベクターとしては、RNAを遺伝子とするウイルス由来のウイルスベクターであれば特に限定されるものではなく、二本鎖RNAウイルス、一本鎖マイナス鎖RNAウイルス、一本鎖プラス鎖RNAウイルス由来のウイルスベクターを用いることができる。中でも細胞内でcDNAから転写されたRNA自体がmRNAとして機能するという理由から、一本鎖プラス鎖RNAを遺伝子とするウイルス由来のウイルスベクターであることが特に好ましい。また、ウイルスベクターは植物ウイルス由来のウイルスベクターに限定されるものではなく、動物ウイルス、ファージを含むあらゆるRNAウイルス由来のウイルスベクターを用いることが可能である。しかしながら、植物細胞に任意のタンパク質を生産させる目的で使用する場合には、植物ウイルス由来のウイルスベクターであることが好ましく、中でも植物のサイレンシングを抑制する因子(サプレッサー)を持つウイルス由来のウイルスベクターであることが特に好ましい。サイレンシングのサプレッサーを持つウイルスベクターを用いることにより、増幅の後半においてもmRNAが分解される現象が生じない。サイレンシングのサプレッサーを持つ植物ウイルスとしては、例えば、ポティ属(Potyvirus属)ウイルス、ククモウイルス属(Cucumovirus属)ウイルス(例えばキュウリモザイクウイルス(CMV))、ポテックスウイルス属(Potexvirus属)ウイルス(例えばジャガイモXウイルス(PVX))、トンブスウイルス属(Tombusvirus属)ウイルス(例えばトマトブッシースタントウイルス(TBSV)、Cymbidiumu ringspot virus (CymRSV))、カルモウイルス属(Carmovirus属)ウイルス(例えば、Turnip crinkle virus (TCV))、トバモウイルス属(Tobamovirus属)ウイルス(例えば、タバコモザイクウイルス(TMV)、トマトモザイクウイルス(ToMV))が挙げられる。
本発明に係るDNA断片に用いるリボザイム配列としては、任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターのcDNAから転写されたウイルスRNAの3’末端に付加された余分な配列を切断できるものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、肝炎デルタウイルスのリボザイム配列またはサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列を用いることができる。
任意のタンパク質をコードする遺伝子は、ウイルスの外被タンパク質をコードする遺伝子のプロモーターの下流に挿入されることが好ましく、ウイルスの外被タンパク質をコードする遺伝子と置換するように挿入されることが特に好ましい。この部位に挿入することによりウイルスの外被タンパク質が産生されなくなり、増幅されるウイルス遺伝子は粒子化されず他の植物に感染することがなくなるため、ウイルスの外界への飛散という問題を解消することが可能となる。
任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターのcDNAおよびその3’末端に結合したリボザイム配列は、転写誘導可能なプロモーターにより転写が制御されることが好ましい。そのため、本発明に係るDNA断片の構成には転写誘導可能なプロモーターが含まれることが好ましい。したがって、本DNA断片は当該転写誘導可能なプロモーターの下流に任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターのcDNAおよびその3’末端に結合したリボザイム配列が配置される構成となる。転写誘導可能なプロモーターを用いることにより、圃場等の開放系では発現を抑制し、工場などの閉鎖系で誘導生産できる。また、植物の生長に毒性を持つタンパク質の生産も植物が完全に生長した後に生産を誘導することにより可能となる。転写誘導可能なプロモーターとしては特に限定されるものではなく、このような性質を有する公知のプロモーターを使用すればよい。例えば、ステロイドホルモンで転写誘導可能なプロモーターやエストロジェンで転写誘導可能なプロモーターを好適に用いることができる。具体的には、ステロイドホルモンで転写誘導可能なプロモーターとして6XUASGal4、エストロジェンで転写誘導可能なプロモーターとしてOLexA-46、エクジソンで転写誘導可能なプロモーターとしてGREを挙げることができる。
上記転写誘導可能なプロモーターを用いて転写を制御する場合、転写誘導物質により活性化される転写因子が必要である。したがって、本発明に係るDNA断片の構成には転写誘導物質により活性化される転写因子をコードする遺伝子が必要である。転写因子は用いるプロモーターに適したものを選択して使用すればよい。例えば、ステロイドホルモンで転写誘導可能なプロモーターである6XUASGal4を用いる場合には、転写因子としてはGVGが選択され、エストロジェンで転写誘導可能なプロモーターであるOLexA-46を用いる場合には、転写因子としてはXVEが選択され、エクジソンで転写誘導可能なプロモーターとしてGREを用いる場合には、転写因子としてはエクジソンレセプターGR Act and DBDとヘルペスウイルストランスアクチベーションドメインHecR LBDのキメラタンパク質が選択される。転写因子をコードする遺伝子は、植物に広く使用されているプロモーター、例えばカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流に配置することが好ましい。この位置に配置することにより、転写因子は恒常的に発現するが、常に不活性化された状態で存在する。この状態においてステロイドホルモン等の誘導剤で処理を施すと不活性化されていた転写因子が活性化され、プロモーター下流の遺伝子が転写される。
本発明に係るベクターは、上記構成を有するDNA断片を含み、かつ細胞のゲノムに組み込まれる性質を有することを特徴とする。ゲノムに組み込まれることにより、細胞分裂後の娘細胞にもベクターの構成に含まれる遺伝子を確実に伝達することが可能となり、タンパク質の生産効率を維持することが可能となる。ゲノムは染色体(核ゲノム)に限定されるものではなく、ミトコンドリアゲノムや葉緑体ゲノムも含まれる。上記DNA断片以外のベクター配列としてはゲノムに組み込まれる性質を有する公知のベクターを使用すればよく、特に限定されるものではない。植物細胞のゲノムに組み込まれる性質を有するベクターとして、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のTiプラスミドを挙げることができる。
なお、上記DNA断片およびベクターの構築方法は特に限定されるものではなく、公知の遺伝子工学的手法を用いればよい。
(3)植物細胞形質転換用キット
上記DNA断片およびベクターは有用な任意のタンパク質を生産する細胞を作製するために利用できるものである。したがって、上記DNA断片またはベクター、および細胞の形質転換に必要な試薬、器具等をキット化しておけば、利用者は上記DNA断片またはベクターを導入した形質転換体を簡便に作製することが可能となる。
本発明に係る形質転換用キットは、少なくとも上記DNA断片またはベクターを含むものであればよく、他にどのような構成を有していてもよい。DNA断片またはベクター以外のキット構成としては、例えば、細胞、培地、制限酵素、修飾酵素類、転写誘導用化学物質(ステロイドホルモン、エストロジェン等)、培養フラスコ、アグロバクテリウム(植物細胞の場合)等を挙げることができる。
(4)形質転換体およびタンパク質生産方法
本発明に係る形質転換体は、上記DNA断片またはベクターを植物細胞に導入することにより、または上記植物細胞形質転換用キットを使用することにより得られる形質転換体である。当該形質転換体を得ることにより、目的の有用タンパク質を生産することが可能となる。
形質転換方法は特に限定されるものではなく、宿主となる細胞の種類に応じた適切な形質転換方法を用いればよい。特別なベクター配列を有しないDNA断片を用いる場合には、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、リン酸カルシウム法等を用いることができる。植物由来細胞への一般的な形質転換法としては、アグロバクテリウムを用いた形質転換法(アグロバクテリウム法)を挙げることができ、本発明でもアグロバクテリウム法を好適に用いることができる。アグロバクテリウム法を用いて形質転換する場合には、本発明にかかるDNA断片を含むTiプラスミドを構築する必要がある。
宿主となる細胞の種類は特に限定されるものではなく、動物由来細胞であっても植物由来細胞であってもよい。目的のタンパク質を生産するために適した細胞を適宜選択して用いればよい。また、形質転換体は培養細胞でもよく、個体(動物個体、植物個体)であってもよい。植物において、好適に形質転換体を得ることが可能な培養細胞としてはタバコ由来のBY2細胞を挙げることができ、植物個体としてはタバコを挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。ここでBY2細胞は、植物培養細胞株として世界中で最も広く用いられているものであり、最も増殖速度が速いこと、遺伝子操作が容易なこと、大量培養を容易に行うことができること等の特徴を持つ(Toshiyuki nagata, Yasuyuki Nemoto, and Seiichiro Hasezawa “Tobacco BY-2 Cell Line as the “Hela” Cell in the Cell Biology of Higher Plants” International Review of cytology, vol.132, p.p. 1-30 (1992) 、および http://wwwriken.go.jp/r-wprld/info/release/press/2003/030620/ 参照)。
本発明に係る形質転換体が有する、従来にない特徴を以下に示す。
A)ウイルスベクターを転写発現する形質転換培養細胞においてリボザイム配列を用いた点。
B)トバモウイルス属由来のウイルスベクターを転写発現する形質転換体(培養細胞および植物個体)においてリボザイム配列を用いた点。
C)ウイルスベクターを転写誘導できる形質転換体においてリボザイム配列を用いた点。
発明者らが構築した本発明に係る形質転換細胞は、上記、従来にない特徴を併せ持つものである。すなわち、外来遺伝子を挿入したトバモウイルス属由来のToMVベクターにリボザイム配列を結合し、ステロイドホルモンで転写誘導可能なプロモーターの下流に配置したDNA断片を含むベクターで形質転換したBY2細胞である。植物培養細胞を用いて有用タンパク質を生産する場合の利点、特に植物個体を用いる場合との比較における利点を以下に示す。
(a)増殖速度が速く、形質転換細胞を短期間で増殖することができる。また大規模化、大量生産も容易である。
(b)生育させるための広大なスペース、施設(畑、温室)等を必要としない。また培養装置を容易に大型化することが可能である。
(c)カルスから植物個体を分化させる工程、花を咲かせて種子をとる工程、該種子を蒔いて増殖させるという工程が無いため、形質転換体の作成、スクリーニング、タンパク質生産の期間を著しく短縮することができる。
(d)化学物質等の誘導物質によるタンパク質誘導発現が簡便に行うことができる。植物個体の場合は、化学物質等を塗布、散布等の方法によって、植物個体全体に均一に投与する必要があり、非常に手間と時間がかかる。一方、植物由来細胞を宿主とした場合は、細胞培養の際に、誘導物質等を培地中に添加するだけで足り、全細胞に対して、同時かつ均一に誘導をかけることが可能となる。
(e)植物個体は、蒸散作用等によって厳密な表面温度の管理が困難であるが、液体培地中で生育する培養細胞の場合は、温度管理等が容易である。環境条件の変化等による種々のストレスに感受性の高いプロモーターを用いた際に、安定的にタンパク質の生産が行うことが可能である。
(f)種々の組織からなる植物個体とは異なり、培養細胞は均質であるため、組織特異的な影響が無く、タンパク質の発現コントロールが容易である。
(g)細胞周期を高度に同調化できるため、厳密なタンパク質発現をコントロールすることが可能となる。
(h)液体培養であるため、分泌型タンパク質を培地中に分泌させることによって、タンパク質の回収、精製が容易である。また、目的タンパク質が、分泌型タンパク質でない場合であっても、分泌型のタグを目的タンパク質に付加することによって、同様の効果が得られる。
(i)培養細胞は生育に光を必要としないため、照明設備、および照明にかかるコストを削減することが可能である。また、光に感受性なタンパク質を発現させる場合にも有利である。
(j)培地中に種々の化学物質等を添加することによって、生産するタンパク質を化学修飾することが可能である。例えば、放射性同位元素を添加することによって、放射性標識がされたタンパク質を容易に作成することが可能となる。
(k)形質転換体が外界に漏出した場合であっても、植物個体とは異なり自生することができず、死滅するために安全である。このことにより、植物個体、種子、花粉等の飛散防止、安全性試験、遺伝子組み換え生物に対するリスク管理に要する設備、費用、時間が軽減できる。
さらに、植物培養細胞を用いた系では、同じ真核型である動物培養細胞を用いた系と比較して場合、培地作成費用が非常に安価であり、大規模化に適する。
なお、RNAを遺伝子とする植物ウイルスは人為的な接種あるいは形質転換によって、酵母など植物以外の真核細胞でも増殖することが示されていることから、本発明を応用すればBY2細胞以外の植物培養細胞はもとより、他の真核細胞でも同様の誘導ウイルスベクター系を構築することが可能である。
また、本発明には上記形質転換体を用いてタンパク質を生産する方法が含まれる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔使用ベクター〕
本実施例においては、発現させるタンパク質を緑色蛍光タンパク質(以下GFPと略記する。)とし、GFPをコードする遺伝子(以下GFP遺伝子と記載する。)を挿入したToMVベクターを含むベクターを使用した。図1Aに肝炎デルタウイルスのリボザイム配列を付加したベクターの模式図を示し、図1Bにサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列を付加したベクターの模式図を示した。ベクターの構築に用いたリボザイム配列(DNA配列)については、肝炎デルタウイルスのリボザイム配列を配列番号1に、サテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列を配列番号2に示した。配列番号1に示した配列は、肝炎デルタウイルスのゲノム配列(GenBank accession No. X77627他)のアンチゲノミックリボザイム配列に基づいて改変したものであり、配列番号2示した配列は、サテライトタバコリングスポットウイルスのゲノム配列(GenBank accession No. M17439)のリボザイム配列に基づいて改変したものである。リボザイム配列はいずれもToMVベクターのcDNAの3’末端に連結した。リボザイム配列以外の構成はいずれのベクターも同一である。図1A中、H-Rzは肝炎デルタウイルスのリボザイム配列を表し、図1B中、S-Rzはサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列を表す。図1Aおよび図1Bに共通して、6XUASGal4はステロイドホルモンで転写誘導されるプロモータ−、ToMV-GFP cDNAはGFP遺伝子を挿入したトマトモザイクウイルスのcDNA、3AはエンドウrbcS-3Aポリアデニル化配列、Hygrはハイグロマイシン耐性遺伝子、E9はエンドウrbc-E9ポリアデニル化配列、GVGはステロイドホルモンで活性化される転写因子、P35Sはカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター、ハサミの印はリボザイムにより切断される位置をそれぞれ表す。
上記ベクターのToMV-GFP cDNA部分には、ToMVの外被タンパク質遺伝子をGFP遺伝子で置換したToMVの変異体のcDNAを用いた。なお、このToMV変異体は30Kタンパク質に変異を持つため、細胞間移行することができない。形質転換用ベクターにはステロイドホルモンで転写誘導されるプロモーター(6XUASGal4)と転写因子(GVG)を持つTiプラスミドpTA7001(Stu)(Laboratory of Plant Molecular Biology, The Rockefeller University、Chua博士より供与を受けた)を用いた。pTA7001(Stu)の6XUASGal4プロモーターの下流に上記ToMV変異体のcDNAを導入し、さらにその3’末端に各リボザイム配列を導入して、図1Aおよび図1Bに示したベクターを作製した。
図1Aに示した塩基配列(配列番号3)は、ToMV-GFP cDNAとH-Rzとの結合遺伝子から転写されたRNAの一部(ToMV-GFP cDNAの3’末端の6塩基およびH-Rzの5’末端の18塩基)である。図1Aにハサミの印で示したように、肝炎デルタウイルスのリボザイム配列の場合は、ToMV-GFP cDNAから転写されたウイルスRNAの3’末端の位置で切断され、余分な配列は付加されないと予想される。図1Bに示した塩基配列(配列番号4)は、ToMV-GFP cDNAとS-Rzとの結合遺伝子から転写されたRNAの一部(ToMV-GFP cDNAの3’末端の6塩基およびS-Rzの5’末端の15塩基)である。図1Bにハサミの印で示したように、サテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列の場合は、ToMV-GFP cDNAから転写されたウイルスRNAの3’末端にgucの3塩基が付加した位置で切断されると予想される。
なお、コントロールベクターとしてリボザイム配列を持たないベクター、すなわち図1AからH-Rz部分のみを除いたベクター(図1BからS-Rz部分のみを除いたベクターでも同じ)を使用した。
〔実験方法〕
図1Aに示したベクターおよび図1Bに示したベクターをタバコ培養細胞であるBY2細胞にアグロバクテリウム法を用いて導入した。すなわち、図1Aに示したベクターおよび図1Bに示したベクターをそれぞれエレクトロポレーション法によってAgrobacterium Tumefacience EHA105系統に導入した。これをカナマイシン(50mg/L)を含むAB sucrose培地で前培養を行った。次にBY2細胞と混合してシャーレに移し、26℃、暗所で42〜48時間静置してBY2細胞を形質転換した。BY2細胞用培地にて洗浄した後、カルベニシリン(100mg/L)およびハイグロマイシン(20mg/L)を含むBY2細胞用固形培地に広げ、形質転換BY2細胞を増殖させた。その結果、約100個の抗生物質耐性カルス(形質転換カルス)を得た。同様にコントロールベクターをBY2細胞に導入し、約50個の形質転換カルスを得た。得られたカルスを液体培養することにより、形質転換BY2細胞を得た。なお、BY2細胞の培養には、370mg/Lリン酸二水素カリウム、1mg/Lチアミン塩酸、3%スクロース、0.2mg/L 2,4-Dを含むMS液体培地を用いた。培養は、暗所、26℃、135回転/分で旋回振盪培養し、一週間ごとに1/100量を継代した。転写誘導は定常期の細胞培養液を30μMのデキサメタゾンを含む液体培地に、その1/20量になるように移すことによって行った。誘導48時間後に実体型蛍光顕微鏡(オリンパス社製)、および正立型蛍光顕微鏡(ニコン社製)を用いてGFP特異的な蛍光を観察した。GFP蛍光が認められる細胞と認められない細胞をそれぞれ計数し、発現率を算出した。
〔結果〕
図2A、BおよびCに形質転換したBY2細胞におけるGFPの誘導発現を観察した画像を示した。図2Aはリボザイム配列を付加していないコントロールベクターで形質転換したBY2細胞、図2Bは肝炎デルタウイルスのリボザイム配列を付加したベクターで形質転換したBY2細胞、図2Cはサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列を付加したベクターで形質転換したBY2細胞のGFPの発現をそれぞれ観察した画像である。図2A、BおよびCから明らかなように、図2Aと比較して図2BおよびCではGFPを発現している細胞の数が顕著に多くなった。
図3にGFPを発現しているBY2細胞の割合を示した。図中の◆はコントロールベクター、■は肝炎デルタウイルスのリボザイム配列を付加したベクター、●はサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列を付加したベクターを用いて改質転換したBY2細胞であることを示す。また、前培養の日数とは継代からステロイドホルモン処理をする日までの培養日数を意味する。図3から明らかなように、コントロールベクターを用いた場合は7日目においてもGFPを発現した細胞の割合は5%未満であるのに対して、肝炎デルタウイルスのリボザイム配列を付加したベクターを用いた場合は約25%、サテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列を付加したベクターを用いた場合は約60%であった。
以上の結果より、リボザイム配列を付加することでGFPを発現した細胞の割合が大幅に増加することが明らかとなった。
本発明は、植物に有用な任意のタンパク質を生産させるために使用するベクター、およびその利用法を提供するものである。したがって、生産された有用タンパク質の用途により、医薬品産業や食品産業等に利用可能である。また、広く農業の発展にも大いに貢献できるものである。
実施例において使用したベクターの構成を示した模式図であって、図1Aは肝炎デルタウイルスのリボザイム配列(H-Rz)を付加したベクターの模式図であり、図1Bはサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列(S-Rz)を付加したベクターの模式図である。 形質転換したBY2細胞におけるGFPの誘導発現を蛍光顕微鏡で観察した画像であって、図2Aはコントロールベクターを用いて形質転換した細胞の画像であり、図2Bは肝炎デルタウイルスのリボザイム配列を付加したベクターを用いて形質転換した細胞の画像であり、図2Cはサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列を付加したベクターを用いて形質転換した細胞の画像である。 コントロールベクターを用いて形質転換したBY2細胞、肝炎デルタウイルスのリボザイム配列を付加したベクターを用いて形質転換したBY2細胞、およびサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列を付加したベクターを用いて形質転換したBY2細胞について、GFPを発現している細胞の割合を示したグラフである。

Claims (21)

  1. 細胞に任意のタンパク質を生産させるために使用するDNA断片であって、
    RNAを遺伝子とするウイルスに任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターのcDNAと、
    上記ウイルスベクターのcDNAの3’末端に結合したリボザイム配列とを有することを特徴とするDNA断片。
  2. 上記ウイルスベクターは、一本鎖プラス鎖RNAを遺伝子とするウイルス由来であることを特徴とする請求項1に記載のDNA断片。
  3. 上記ウイルスベクターは植物ウイルス由来であることを特徴とする請求項1または2に記載のDNA断片。
  4. 上記ウイルスベクターは、植物のサイレンシングを抑制する因子を持つ植物ウイルス由来であることを特徴とする請求項3に記載のDNA断片。
  5. 上記ウイルスベクターは、トバモウイルス属に属するウイルス由来であることを特徴とする請求項4に記載のDNA断片。
  6. 上記ウイルスベクターは、タバコモザイクウイルスベクターまたはトマトモザイクウイルスベクターであることを特徴とする請求項5に記載のDNA断片。
  7. 上記リボザイム配列は肝炎デルタウイルスのリボザイム配列またはサテライトタバコリングスポットウイルスのリボザイム配列であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のDNA断片。
  8. 上記任意のタンパク質をコードする遺伝子は、ウイルスの外被タンパク質をコードする遺伝子のプロモーター下流に挿入されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のDNA断片。
  9. 上記任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターのcDNAおよびその3’末端に結合したリボザイム配列は、それらの上流に配置された転写誘導可能なプロモーターにより転写制御されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のDNA断片。
  10. さらに上記転写誘導可能なプロモーターの転写を制御するための転写因子をコードする遺伝子を有することを特徴とする請求項9に記載のDNA断片。
  11. 上記転写制御にはステロイドホルモンまたはエストロジェンを用いることを特徴とする請求項10に記載のDNA断片。
  12. 上記転写制御には、ステロイドホルモンで転写誘導活性化される転写因子としてGVGを用い、活性化されたGVGにより転写誘導されるプロモーターとして6XUASGal4を用いることを特徴とする請求項11に記載のDNA断片。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項に記載のDNA断片を含み、かつ細胞のゲノムに組み込まれる性質を有することを特徴とするベクター。
  14. 上記ベクターはTiプラスミドであることを特徴とする請求項13に記載のベクター。
  15. 少なくとも請求項1ないし12のいずれか1項に記載のDNA断片、あるいは請求項13または14に記載のベクターのいずれかを含むことを特徴とする形質転換用キット。
  16. 請求項1ないし12のいずれか1項に記載のDNA断片、請求項13または14に記載のベクター、請求項15に記載のキットのうち、いずれかを用いることにより得られる形質転換体。
  17. ウイルスベクターを転写発現する形質転換体であって、任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターの3’末端にリボザイム配列を結合したDNA断片または当該断片を含むベクターを用いて得られる形質転換体。
  18. トバモイルス属由来のウイルスベクターを転写発現する形質転換体であって、任意のタンパク質コードする遺伝子を挿入したトバモイルス属由来ウイルスベクターの3’末端にリボザイム配列を結合したDNA断片または当該断片を含むベクターを用いて得られる形質転換体。
  19. 上記形質転換体は植物体または培養細胞であることを特徴とする請求項18に記載の形質転換体。
  20. ウイルスベクターを転写誘導できる形質転換体であって、任意のタンパク質をコードする遺伝子を挿入したウイルスベクターの3’末端にリボザイム配列を結合し、かつウイルスベクターを転写誘導可能なDNA断片または当該断片を含むベクターを用いて得られる形質転換体。
  21. 請求項16ないし20のいずれか1項に記載の形質転換体を用いることを特徴とするタンパク質の生産方法。
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