JP2005108757A - 燃料電池システム及びその起動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】円滑な起動が可能な燃料電池システム及びその起動方法を提供する。
【解決手段】高分子膜の両面にガス拡散電極を接合した膜電極複合体とガス拡散電極に反応ガスを供給する為のガス流路を備えたセパレータとを積層してなる並設積層構造体と、並設積層構造体の上下両端にそれぞれ隣接して配置された電流取り出し部とを有する燃料電池本体と、少なくとも一方の電流取り出し部に電流を流す電気回路とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システム及びその起動方法に係り、特に、起動時に燃料電池本体を昇温する加熱機構を有する燃料電池システム及びその起動方法に関する。
近年、高効率のエネルギー変換装置として、燃料電池が注目を集めている。特に、電解質としてプロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池は、コンパクトな構造で高出力密度が得られ、かつ簡略なシステムで運転が可能なことから、定置用分散電源だけでなく自動車用や家庭用などの電源として注目されている。また、固体高分子電解質膜以外のプロトン伝導性を有する膜を用いた燃料電池や、直接メタノール型燃料電池なども合わせて脚光を浴びている。その中でも自動車用の燃料電池は、世界規模でのアライアンスが組まれるなどグローバルな開発競争が展開されている。
固体高分子型燃料電池は、一般的に、燃料ガス及び酸化剤ガスを反応させて発電する燃料電池本体がその周辺システム及び周辺機器と一体となった燃料電池システムとして構成されている。燃料電池本体は、固体高分子電解質膜の両面に燃料極並びに酸化剤極に相当する2枚のガス拡散電極を配置した膜電極複合体が燃料極及び酸化剤極に燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ供給する為のガス流路を備えたセパレータ及び冷却媒体である不凍液が流通する冷却板を介して複数積層されてなる並設積層構造体を有する。
燃料電池システムを氷点下から起動するには、熱源により予め燃料電池本体(スタック)を温めなければならない。従来から、燃料ガスを酸化剤ガスと共に燃焼させてその反応熱で不凍液を加熱すると同時に燃料ガスが燃焼した後の燃焼廃ガスをガス拡散電極に供給することによりスタックを直接温めて氷点下から円滑に燃料電池システムを起動する技術が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
特開2000−164233号公報(段落[0031]〜[0032]など)
しかしながら、特許文献1では、燃料電池本体の両端部付近には並設積層構造体(単位電池)に比べて熱容量の大きい電流取り出し部が配置されているため、燃焼廃ガスにより単位電池を直接温めたとしても、電流取り出し部が十分に昇温されずに燃料電池本体の両端部付近の単位電池の性能が低下してしまう。
本発明の第1の特徴は、高分子膜の両面にガス拡散電極を接合した膜電極複合体とガス拡散電極に反応ガスを供給する為のガス流路を備えたセパレータとを積層してなる並設積層構造体と、並設積層構造体の両端にそれぞれ隣接して配置された電流取り出し部とを有する燃料電池本体と、少なくとも一方の電流取り出し部に電流を流す電気回路とを備える燃料電池システムであることを要旨とする。
本発明の第2の特徴は、第1の特徴に係る燃料電池システムの起動する方法であって、この燃料電池システムの起動方法が、少なくとも一方の電流取り出し部に電流を流す段階と、電流を流した後に燃料電池本体の発電を開始する段階とを有することを要旨とする。
本発明によれば、円滑な起動が可能な燃料電池システム及びその起動方法を提供することができる。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一あるいは類似部分には同一あるいは類似な符号を付している。
[第1の実施の形態]
(構成)
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムは、燃料電池本体5と、燃料電池本体5に接続された外部負荷7及び電力供給手段(例えば、2次電池)9と、燃料電池本体5と電力供給手段9の間の接続の有効無効を切替える接続切替え手段10とを有する。燃料電池本体5は、複数の単位電池を積層してなる並設積層構造体1と、並設積層構造体1の両端にそれぞれ隣接して配置された電流取り出し部(電流取り出し板)2a、2bと、電流取り出し板2a、2bの外側に隣接して配置された絶縁板3a、3bと、絶縁板3a、3bの外側に隣接して配置された締付板4a、4bとを有する。
外部負荷7は、電流取り出しケーブル6aにより電流取り出し板2aに接続され、電流取り出しケーブル6bにより電流取り出し板2bに接続されている。2次電池9は電流取り出し部2a、2bに接続されている。具体的には、2次電池9の陽極9aは、電流線8a、8cにより接続切替え手段10を介して電流取り出し板2a、2bの一端に接続されている。2次電池9の陰極9bは、電流線8b、8dにより接続切替え手段10を介して電流取り出し板2a、2bの他端に接続されている。接続切替え手段10は、電流線8a〜8d上に配置され、2次電池9の陽極9a及び陰極9bと電流取り出し板2a、2bとの間のオン/オフを制御する。即ち、接続切替え手段10は、必要に応じて電流線8a、8cと2次電池9の接続の有効無効を切替えるように制御される。
電流取り出しケーブル6a、6bは、電流取り出し板2a、2bを介して燃料電池本体5で発電された電力を取り出し、外部負荷7へこの電力を供給する。2次電池9、接続切替え手段10及び電流線8a〜8dは、電流取り出し部2a、2b内に電流を流してジュール熱を発生させる電気回路を構成する。
図2に示すように、燃料電池本体5は、複数の単位電池を電気的直列に積層した並設積層構造体(スタック)1と、並設積層構造体1の上下両端部に隣接して配置された電流取り出し板2a、2bと、絶縁板3a、3bと、締付板4a、4bと、並設積層構造体1、電流取り出し板2a、2b、絶縁板3a、3b、及び締付板4a、4bを挟持するための締付治具(締付スタッド33、スプリング34、ナット35)と、燃料ガスを並設積層構造体1へ供給する燃料ガス入口配管36aと、燃料ガスを並設積層構造体1から排出する燃料ガス出口配管37aと、酸化剤ガスを並設積層構造体1へ供給する酸化剤ガス入口配管36bと、酸化剤ガスを並設積層構造体1から排出する酸化剤ガス出口配管37bと、冷媒を並設積層構造体1へ供給する冷媒入口配管36cと、冷媒を並設積層構造体1から排出する冷媒出口配管37cとを有する。
電流取り出し板2a、2bの一部は並設積層構造体1の側面より突出している。この電流取り出し板2a、2bの突出部には、電流取り出しケーブル6a、6bがそれぞれ配線され、外部負荷7に接続されている。
並設積層構造体1全体を均等に締付けるために、締付板4a、4bにはある程度の剛性が要求される。また、燃料電池本体5の端部に位置する電流取り出し板2a、2b及び締付板4a、4bの熱容量は、並設積層構造体1に比べて大きく、電流取り出し板2a、2b及び締付板4a、4bからの放熱は大きい。なお、燃料電池本体5は、通常、積層方向を水平として並設積層構造の状態で発電を行う。
図3に示すように、並設積層構造体1は、燃料ガスと酸化剤ガスを反応させて発電する膜電極複合体21と、膜電極複合体21の両面に隣接して配置されたセパレータ22a、22bとを備える単位電池26を複数積層して成る。膜電極複合体21及びセパレータ22a、22bの同一の位置には貫通孔23bがそれぞれ形成されている。膜電極複合体21及びセパレータ22a、22bを重ね合わせることにより、貫通孔23bが1直線上に配置される。
1つの膜電極複合体21から生じる起電力(電圧)は1V以下と小さいため、複数の単位電池26を積層して電気的直列に接続して並設積層構造体1を構成することにより、並設積層構造体1の起電力(電圧)を高くする。
図4に示すように、単位電池26には、1つの膜電極複合体21と、2つのセパレータ22a、22bとが含まれる。膜電極複合体21は、プロトン伝導性を有する高分子膜20と、高分子膜20の両面に接合されたガス拡散電極21a、21bと、高分子膜20に形成された貫通孔23bの周囲に配置されたパッキン27とを有する。ガス拡散電極21a、21bは、高分子膜20の第1の表面に接合された燃料極21aと、第1の表面に対向する第2の表面に接合された酸化剤極21bとを有する。
セパレータ22a、22bは、ガス拡散電極21a、21bに反応ガスを供給する為のガス流路24a、24bを備える。具体的には、セパレータ22aの表面のうち燃料極21aに接する部分には凸状の燃料ガス側リブ部25aが形成され、燃料ガス側リブ部25aの間に燃料ガスが流通する凹状の燃料ガス流路24aが形成される。セパレータ22bの第1の表面のうち酸化剤極21bに接する部分には凸状の酸化剤ガス側リブ部25bが形成され、酸化剤ガス側リブ部25bの間に酸化剤ガスが流通する凹状の酸化剤ガス流路24bが形成される。セパレータ22bの第1の表面に対向する第2の表面には凸状の冷媒側リブ部25cが形成され、冷媒側リブ部25cの間に冷媒が流通する凹状の冷媒流路24cが形成される。
膜電極複合体21、セパレータ22a、22bの同一の位置に貫通孔23bが重なるように形成されている。貫通孔23bは、セパレータ22bの酸化剤ガス流路24bに酸化剤ガスを供給するための集合管である。図4には示さないが、セパレータ22a、22bの燃料ガス流路24a、冷媒流路24cに燃料ガス及び冷媒を供給するための集合管としての貫通孔23a、23cが同様にして存在する。なお、このような貫通孔23a〜23cはマニホールドと呼ばれるが、貫通孔という仕様に限らず、セパレータ22a、22bの外部を覆うように存在する空間を有する囲い部品とする場合もある。貫通孔23a〜23cを流通する燃料ガス、酸化剤ガス、冷媒は、パッキン27によりシールされる。凸状の燃料ガス側リブ部25a及び酸化剤ガス側リブ部25bが膜電極複合体21と接触してセパレータ22a、22bが膜電極複合体21で発生する電気を集める集電体としての機能を果たす。
セパレータ22a、22bは2種類の反応ガスを混合させないため、ガスが透過しにくい材料であることが好ましく、導電性も必要であるため、例えば金属やカーボンを主体とした材料が用いられる。セパレータ22bの片面には酸化剤ガス用の流路24bが設けられ、セパレータ22bのもう片面には酸化剤極21bにおける電気化学反応で生じた熱を冷却するための冷媒用の流路24cが設けられている。無論、片面のみに流路が形成されている形状でも構わない。また、冷媒は純水や純水に不凍液成分を添加したものが用いられる。
図5に示すように、セパレータ22bの中央部には複数の酸化剤ガス側リブ部25bがストライプ状に配置され、酸化剤ガス側リブ部25bの間に酸化剤ガス流路24bが形成されている。セパレータ22bの外周部には各貫通孔23a〜23cが2つづつ概略対角の位置に配置されている。図5においては、貫通孔23bが酸化剤ガス流路24bに接続されている。図5には示さないが、セパレータ22bの第2の表面には、冷媒側リブ部25c及び貫通孔23cに接続された冷媒流路24cが形成され、セパレータ22aの表面には、燃料ガス側リブ部25a及び貫通孔23aに接続された燃料ガス流路24aが形成されている。
図6に示す膜電極複合体21において、高分子膜20の両面には燃料極21a並びに酸化剤極21bに相当するガス拡散電極が配置されている。高分子膜20は燃料極21aと酸化剤極21bに供給される反応ガスの混合を防ぐ役割もあるため、高分子膜20の面積は燃料極21aと酸化剤極21bの面積より大きい。なお、図4のパッキン27の図示は省略している。高分子膜20の外周部には各貫通孔23a〜23cが2つづつ概略対角の位置に配置されている。高分子膜20としては、パーフルオロカーボンスルホン酸膜などが用いられる。このような高分子膜20を白金などの触媒を有する一対のガス拡散電極すなわち燃料極21aと酸化剤極21bとで狭持し、膜電極複合体21を構成する。
図7に膜電極複合体21の断面図を示す。上記のように高分子膜20、燃料極21a、酸化剤極21bはシート状又は薄板状に形成され、膜電極複合体21を構成する。膜電極複合体21から電流(電子:e-)を取り出すためには、反応ガスである燃料ガス(水素を主成分とするガス)及び酸化剤ガス(酸素を含有するガス。例えば、空気)を燃料極21a、酸化剤極21bにそれぞれ供給する必要がある。燃料ガスは、一般的には都市ガスなどの炭化水素系燃料を改質したものを利用することが多く、水素を主成分としている。燃料極21aでは、(1)式に示す化学反応が生じる。
2 → 2H+ + 2e- ・・・(1)
燃料極21a内部を拡散してきた燃料ガス中に存在する水素(H2)が燃料極(触媒)に到達し、そこで電子(e-)を手放してプロトン(H+)となる。プロトンは高分子膜20の内部を燃料極21a側から酸化剤極21b側に移動することができるが、電子(e-)は高分子膜20内部を移動できないために、図7のように外部回路(負荷)を通って酸化剤極21bに移動する。
自動車用の燃料電池に関しては、近年、純水素(H2)を燃料極21aへ供給することが多いが、メタノールやガソリンなどの炭化水素系燃料を改質して得られた水素リッチな燃料ガスを供給することも少なくない。
一方、酸化剤極21bでは、上記のように外部回路(負荷)を通ってきた電子(e-)が加わり、(2)式に示す化学反応が生じる。
2H+ + 2e- + 1/2O2 → H2O ・・・(2)
燃料極21aから高分子膜20内を通過してきたプロトン(H+)と、外部回路(負荷)を移動してきた電子(e-)と、酸化剤ガス(空気)内の酸素(O2)が反応して水(H2O)ができる。これを生成水と呼ぶ。生成水はその大部分が未反応ガス中に蒸発しそのまま排出される。その際、各ガス拡散電極21a、21bの内部には水分が溜まりやすく、その水分により反応ガスの拡散が阻害されて燃料電池の性能の低下をもたらすので、水が溜まりにくい構造や反応ガスが拡散しやすい構造が必要である。
第1の実施の形態に係る燃料電池システムは、上述した燃料電池本体5である固体高分子型燃料電池に加えて、燃料電池本体5で発電が行えるようにその周辺システムや周辺機器を備える。例えば、周辺システムとしては、熱・水回収システム、生じた電力を制御するパワーコンディショニングシステムなどがある。また、周辺機器としては、空気を供給するためのブロア(またはコンプレッサー)、冷媒を循環するための冷媒ループやポンプなどが挙げられる。
なお、絶縁板3a、3bや締付板4a、4bの形状や位置は、図2に示した一例に限定されることなく、他の形状或いは位置であっても構わない。また、電流線8a〜8dはそれぞれ2本ずつ使用しているが、3本以上であっても構わない。電力供給手段は2次電池9に限らず、電源やキャパシタ、他の燃料電池本体など別の手段を使用しても構わない。
(起動方法)
図8を参照して、図1に示した燃料電池システムの起動方法を説明する。先ず、S01段階において、燃料電池システムを起動する。そして、接続切替え手段10を操作して電流線8a〜8dと電流取り出し部2a、2bとの接続が有効であることを確認した後、S02段階において、電流取り出し部(電流取り出し板)2a、2bのそれぞれに図1に示す方向に電流(i)を流す。電流取り出し板2a、2bに所定時間電流を供給した後、S03段階において、燃料電池本体5において発電を開始する。以上の手順を経て燃料電池システムの起動が完了する。
なお、S02段階における電流取り出し板2a、2bに電流を供給する期間は、上記のように所定時間で一律に規定する替わりに、電流取り出し板2a、2bに接続された温度センサーを用いて、電流取り出し板2a、2bが所定温度に到達するまでの間であっても構わない。
(作用効果)
2次電池9からの電力により電流線8a〜8dを介して電流取り出し板2a、2bに電流を流すことにより、電流取り出し板2a、2bがジュール熱により温まる。そのため、電流取り出し板2a、2bそのものに限らず、燃料電池本体5における単位電池26の並設積層構造体1で電流取り出し板2a、2bと接している両端部の単位電池26にも上記ジュール熱が伝わる。したがって、氷点下において燃料電池システムを起動して燃料電池本体5で発電を開始する場合、電流取り出し板2a、2bが冷えているといった熱容量の影響を受けて上記両端部の単位電池26の出力が低下することがなくなる。また、接続切替え手段10により接続の有効無効を切替えられるので、電流線8a〜8dに流す電流を任意に制御できる。
第1の実施の形態によれば、特に寒冷地などの氷点下において、ヒーター等の熱源を使用せずに円滑に起動し発電に移行することができ、スペースやコスト的にも省力化を図ることができる。換言すれば、低温起動性に優れ、かつシンプルで省力化を図った燃料電池システム並びにその起動方法を提供することができる。
また、燃料電池システムを氷点下から円滑に起動するために、発電に必要な燃料ガスの一部を燃焼させて消費する必要が無くなり、また、燃焼廃ガスを燃料電池本体に供給しないため、ガス拡散電極表面に燃焼廃ガスに含まれる一酸化炭素が吸着して発電開始時の電圧が著しく低下してしまうおそれも無い。更に、燃焼廃ガスに含まれる二酸化炭素の残留により同様に反応ガスの拡散不良が生じて発電開始時に電圧が低くなってしまうおそれも無い。
更に、高効率化を図るために並設積層構造体1の周囲に断熱材を巻く必要もなくなる。
[第2の実施の形態]
(構成)
図9に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムは、燃料電池本体5と、燃料電池本体5に接続された外部負荷7及び電力供給手段(例えば、2次電池)9と、接続切替え手段10とを有する。燃料電池本体5は、並設積層構造体1と、電流取り出し板2a、2bと、絶縁板3a、3bと、締付板4a、4bとを有する。2次電池9の陽極9aは、電流線8a、8cにより接続切替え手段10を介して電流取り出し板2a、2bの一端に接続されている。2次電池9の陰極9bは、電流線8b、8dにより接続切替え手段10を介して電流取り出し板2a、2bの他端に接続されている。2次電池9、接続切替え手段10及び電流線8a〜8dは、電流取り出し部2a、2b内に電流を流してジュール熱を発生させる電気回路を構成する。
図9に示す燃料電池システムを図1に示した燃料電池システムと比較すると、外部負荷7が、2本の電流取り出しケーブル6a、6cにより電流取り出し板2aに接続され、2本の電流取り出しケーブル6b、6dにより電流取り出し板2bに接続されている点が異なり、他の構成は殆ど同じである。即ち、図9において、電流取り出し板2a、2bには、それぞれ2本ずつ合計4本の電流取り出しケーブル(6a、6b、6c、6d)が接続されている。
図10は、図9の燃料電池本体5を斜投影図として表示している。電流取り出しケーブル6a〜6d並びに電流線8a〜8dは、各電流取り出し板2a、2bにおける概略対角の位置に設けられた突出部11a、11b、11c、11d(11dは図示せず)にそれぞれ配線されている。具体的には、突出部11a、11bは、並設積層構造体1の側面より突出した電流取り出し板2aの一部分であり、突出部11aと突出部11bは電流取り出し板2aの概略対角の位置に配置されている。同様に、突出部11c、11dは、並設積層構造体1の側面より突出した電流取り出し板2bの一部分であり、突出部11cと突出部11dは電流取り出し板2bの概略対角の位置に配置されている。突出部11aには電流取り出しケーブル6a及び電流線8aが接続され、突出部11bには電流取り出しケーブル6c及び電流線8bが接続され、突出部11cには電流取り出しケーブル6b及び電流線8cが接続され、突出部11dには電流取り出しケーブル6d及び電流線8dが接続されている。なお、突出部11並びに電流線8は1つの電流取り出し板2a、2bに対して2つ以上設けても構わない。
(起動方法)
図8に示す燃料電池システムの起動方法と同じであり、説明を省略する。
(作用効果)
各電流取り出し板2a、2bにおける概略対角の位置に設けた突出部11a〜11dに電流線8a〜8dを配線したことにより、電流取り出し板2a、2bの広域に電流を流してジュール熱を発生させることができる。したがって、第1の実施の形態に比してより効率的に電流取り出し部2a、2b及びその隣接する単位電池26が温められ、燃料電池システム起動の円滑性が増す。
2次電池9からの電力により電流線8a〜8dを介して電流取り出し板2a、2bに電流を流すことにより、電流取り出し板2a、2bがジュール熱により温まる。そのため、電流取り出し板2a、2bそのものに限らず、燃料電池本体5における単位電池26の並設積層構造体1で電流取り出し板2a、2bと接している両端部の単位電池26にも上記ジュール熱が伝わる。したがって、氷点下において燃料電池システムを起動して燃料電池本体5で発電を開始する場合、電流取り出し板2a、2bが冷えているといった熱容量の影響を受けて上記両端部の単位電池の出力が低下することがなくなる。また、接続切替え手段10により接続の有効無効を切替えられるので、電流線8a〜8dに流す電流を任意に制御できる。
第2の実施の形態によれば、特に寒冷地などの氷点下において、ヒーター等の熱源を使用せずに円滑に起動し発電に移行することができ、スペースやコスト的にも省力化を図ることができる。換言すれば、低温起動性に優れ、かつシンプルで省力化を図った燃料電池システム並びにその起動方法を提供することができる。
また、燃料電池システムを氷点下から円滑に起動するために、発電に必要な燃料ガスの一部を燃焼させて消費する必要が無くなり、また、燃焼廃ガスを燃料電池本体に供給しないため、ガス拡散電極表面に燃焼廃ガスに含まれる一酸化炭素が吸着して発電開始時の電圧が著しく低下してしまうおそれも無い。更に、燃焼廃ガスに含まれる二酸化炭素の残留により同様に反応ガスの拡散不良が生じて発電開始時に電圧が低くなってしまうおそれも無い。
更に、高効率化を図るために並設積層構造体1の周囲に断熱材を巻く必要もなくなる。
[第3の実施の形態]
(構成)
図11に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池システムは、燃料電池本体5と、燃料電池本体5に接続された外部負荷7及び電力供給手段(例えば、2次電池)9と、接続切替え手段10と、2次電池9に接続された電気抵抗部(固定抵抗)8e、8fとを有する。燃料電池本体5は、並設積層構造体1と、電流取り出し板2a、2bと、絶縁板3a、3bと、締付板4a、4bとを有する。
電流取り出しケーブル6a、6bは共に分岐し、分岐した一方は外部負荷7に、もう一方は電力供給手段である2次電池9の陽極9a、陰極9bにそれぞれ接続されている。また、電流線8b、8dには固定抵抗8e、8fがそれぞれ配置されており、電流回路に流れる電流量を抑えている。
2次電池9の陽極9aは、電流線8a、8cにより接続切替え手段10を介して電流取り出し板2a、2bの一端に接続されている。2次電池9の陰極9bは、電流線8b、8dにより接続切替え手段10及び固定抵抗8e、8fを介して電流取り出し板2a、2bの他端に接続されている。更に、2次電池9の陽極9aは、電流取り出しケーブル6aにより直接、電流取り出し板2aに接続され、2次電池9の陰極9bは、電流取り出しケーブル6bにより直接、電流取り出し板2bに接続されている。2次電池9、接続切替え手段10、電流線8a〜8d及び固定抵抗8e、8fは、電流取り出し部2a、2b内に電流を流してジュール熱を発生させる電気回路を構成する。
(起動方法)
燃料電池システムが起動する際には2次電池9からの電力により電流線8a〜8dを介して電流取り出し板2a、2bに電流を流してジュール熱を発生させる(S02)。所定時間電流を流した後に接続切替え手段10により接続を無効とし、燃料電池本体5において発電を開始する(S03)。発電中において、外部負荷7が急激に増大した場合などは2次電池9が放電して燃料電池本体5の出力を補う。また、外部負荷7が比較的小さい場合、2次電池9は燃料電池本体5からの電力により充電される。つまり、第3の実施の形態において2次電池9は、燃料電池本体5からの出力に応じて充放電する電力貯蔵手段として機能する。電力貯蔵手段であれば2次電池9の仕様は問わず、キャパシタ等でも構わない。
(作用効果)
電流取り出し板2a、2b及び電流線8a〜8dに流す電流を固定抵抗8e、8fにより抑えることができ、更に外部負荷7に応じて2次電池9を充放電できる。即ち、燃料電池本体5と2次電池9のハイブリッド方式の燃料電池システムを構築することができる。したがって、第3の実施の形態によれば、安全で負荷応答性にも優れたシンプルで省力化を図った燃料電池システムを提供することができる。
2次電池9からの電力により電流線8a〜8dを介して電流取り出し板2a、2bに電流を流すことにより、電流取り出し板2a、2bがジュール熱により温まる。そのため、電流取り出し板2a、2bそのものに限らず、燃料電池本体5における単位電池26の並設積層構造体1で電流取り出し板2a、2bと接している両端部の単位電池26にも上記ジュール熱が伝わる。したがって、氷点下において燃料電池システムを起動して燃料電池本体5で発電を開始する場合、電流取り出し板2a、2bが冷えているといった熱容量の影響を受けて上記両端部の単位電池の出力が低下することがなくなる。また、接続切替え手段10により接続の有効無効を切替えられるので、電流線8a〜8dに流す電流を任意に制御できる。
第3の実施の形態によれば、特に寒冷地などの氷点下において、ヒーター等の熱源を使用せずに円滑に起動し発電に移行することができ、スペースやコスト的にも省力化を図ることができる。換言すれば、低温起動性に優れ、かつシンプルで省力化を図った燃料電池システム並びにその起動方法を提供することができる。
また、燃料電池システムを氷点下から円滑に起動するために、発電に必要な燃料ガスの一部を燃焼させて消費する必要が無くなり、また、燃焼廃ガスを燃料電池本体に供給しないため、ガス拡散電極表面に燃焼廃ガスに含まれる一酸化炭素が吸着して発電開始時の電圧が著しく低下してしまうおそれも無い。更に、燃焼廃ガスに含まれる二酸化炭素の残留により同様に反応ガスの拡散不良が生じて発電開始時に電圧が低くなってしまうおそれも無い。
更に、高効率化を図るために並設積層構造体1の周囲に断熱材を巻く必要もなくなる。
[第4の実施の形態]
(構成)
図12に示すように、本発明の第4の実施の形態に係る燃料電池システムは、燃料電池本体5と、燃料電池本体5に接続された外部負荷7及び電力供給手段(例えば、2次電池)9と、接続切替え手段10と、2次電池9に接続された電気抵抗部(固定抵抗)13e、13fとを有する。燃料電池本体5は、並設積層構造体1と、電流取り出し板2a、2bと、絶縁板3a、3bと、締付板4a、4bとを有する。
外部負荷7は、2本の電流取り出しケーブル12a、12bにより電流取り出し板2aに接続され、2本の電流取り出しケーブル12c、12dにより電流取り出し板2bに接続されている。即ち、電流取り出し板2a、2bには、それぞれ2本ずつ合計4本の電流取り出しケーブル(12a〜12d)が接続されている。
電流取り出しケーブル12a〜12dは途中でそれぞれ分岐しており、分岐した先は電流線13a、13b、13c、13dとなっている。電流線13b、13dには固定抵抗13e、13fがそれぞれ配置され、電流回路に流れる電流量を抑えている。電流線は電流取り出しケーブルよりも細いが、その線の太さは問わない。電流線13a、13cは電力供給手段である2次電池9の陽極9aに接続切替え手段10を介して接続され、電流線13b、13dは2次電池9の陰極9bに接続切替え手段10及び固定抵抗13e、13fを介して接続されている。電力供給手段は2次電池9に限らず、電源やキャパシタ、他の燃料電池本体など別の手段を使用しても良い。接続切替え手段10では、必要に応じて電流線13a、13cと2次電池9の接続の有効無効を切替えるように制御される。2次電池9、接続切替え手段10、電流線13a〜13d、電流取り出しケーブル12a〜12d及び固定抵抗13e、13fは、電流取り出し部2a、2b内に電流を流してジュール熱を発生させる電気回路を構成する。
(起動方法)
図8に示す燃料電池システムの起動方法と同じであり、説明を省略する。
(作用効果)
2次電池9からの電力により電流取り出しケーブル12a〜12d及び電流線13a〜13dを介して電流取り出し板2a、2bに電流を流すことにより、電流取り出し板2a、2bがジュール熱により温まる。そのため、電流取り出し板2a、2bそのものに限らず燃料電池本体5における単位電池26の並設積層構造体1で電流取り出し板2a、2bと接している両端部の単位電池26にも上記ジュール熱が伝わる。したがって、氷点下において燃料電池システムを起動して燃料電池本体5で発電を開始する場合、電流取り出し板2a、2bが冷えているといった熱容量の影響を受けて上記両端部の単位電池26の出力が低下することがなくなる。
また、固定抵抗13e、13fにより電流取り出し板2a、2b及び電流線13a〜13dに流れる電流を抑えることができる。
また、電流線13a〜13dの一部を電流取り出しケーブル12a〜12dとして共有化しているため、スペースメリットが生まれると共に省力化を図れる。
また、第4の実施の形態では電流線13a〜13dよりも電流取り出しケーブル12a〜12dの方が太いので、電流線13a〜13dを直接電流取り出し板2a、2bに接続するよりも電気抵抗が少ない。したがって、より多くの電流が電流取り出し板2a、2b流れ、直接電流取り出し板2a、2bで発生するジュール熱が増加する。
また、接続切替え手段10により接続の有効無効を切替えられるので、電流線13a〜13dに流す電流を任意に制御できる。
第4の実施の形態によれば、特に寒冷地などの氷点下において、ヒーター等の熱源を使用せずに円滑に起動し発電に移行することができる。即ち、低温機動性に優れ、安全かつシンプルでより効果的に省力化を図った燃料電池システム並びにその起動方法を提供することができる。
[第5の実施の形態]
(構成)
図13に示すように、本発明の第5の実施の形態に係る燃料電池システムは、燃料電池本体5と、燃料電池本体5に接続された外部負荷7及び電力供給手段(例えば、2次電池)9と、接続切替え手段10と、燃料電池本体5に隣接して配置された加湿部17とを有する。燃料電池本体5は、並設積層構造体1と、電流取り出し板2aと、絶縁板3aと、締付板4a、14bとを有する。複数の単位電池の並設積層構造体1の一端に電流取り出し板2a、絶縁板3a、締付板4aが配置され、並設積層構造体1の他端には電流取り出し機能を有する締付板14bが配置されている。加湿部17は、締付板14bに隣接して配置されている。
外部負荷7は、2本の電流取り出しケーブル15a、15bにより電流取り出し板2aに接続され、2本の電流取り出しケーブル15c、15dにより締付板14bに接続されている。即ち、電流取り出し板2a、締付板14bには、それぞれ2本ずつ合計4本の電流取り出しケーブル(15a〜15d)が接続されている。
電流取り出しケーブル15a、15bは途中でそれぞれ分岐しており、分岐した先は電流線16a、16bとなっている。電流線は電流取り出しケーブルよりも細いが、その線の太さは問わない。電流線16aは2次電池9の陽極9aに接続切替え手段10を介して接続され、電流線16bは2次電池9の陰極9bに接続切替え手段10を介して接続されている。2次電池9、接続切替え手段10、電流線16a、16b及び電流取り出しケーブル15a〜15dは、電流取り出し部2a内に電流を流してジュール熱を発生させる電気回路を構成する。なお、締付板14bに、電気回路は接続されていない。
加湿部17は、燃料電池本体5に供給する燃料ガスや酸化剤ガスといった反応ガスを加湿するためのユニットである。加湿部17には水分及びヒーター等の加熱手段が含まれる。加湿部17は、燃料改質システム(図示せず)で炭化水素系の燃料ガスを改質するための加湿部であっても構わない。また、電力供給手段は2次電池9に限らず、電源やキャパシタ、他の燃料電池本体など別の手段を使用しても構わない。接続切替え手段10は、必要に応じて電流線16a、16bと2次電池9の接続の有効無効を切替えるように制御される。
(起動方法)
図14を参照して、図13に示した燃料電池システムの起動方法を説明する。先ず、S11段階において、燃料電池システムを起動する。そして、S12段階において、加湿部17を加熱手段により昇温させる。所定温度まで昇温し、接続切替え手段10を操作して電流線16a、16bと電流取り出し板2aとの接続が有効であることを確認した後、S13段階において、電流取り出し板2aに図13に示す方向に電流(i)を流す。電流取り出し板2aに所定時間電流を供給した後、S14段階において、燃料電池本体5において発電を開始する。以上の手順を経て燃料電池システムの起動が完了する。
なお、S13段階における電流取り出し板2aに電流を供給する期間は、上記のように所定時間で一律に規定する替わりに、電流取り出し板2aに接続された温度センサーを用いて、電流取り出し板2aが所定温度に到達するまでの間であっても構わない。
(作用効果)
2次電池9からの電力により電流線16a、16bを介して電流取り出し板2aに電流を流すことにより、一方の電流取り出し板2aがジュール熱により温まる。そのため、電流取り出し板2aそのものに限らず燃料電池本体5における単位電池26の並設積層構造体1で電流取り出し板2aと接している単位電池26にも上記ジュール熱が伝わる。また、加湿部17の昇温により、もう一方の電流取り出し部である締付板14bが温まるために、同様に締付板14bと接している単位電池26にも熱が伝わる。従って、氷点下において燃料電池システムを起動して燃料電池本体5で発電を開始する場合、電流取り出し板2aや締付板14bが冷えているといった熱容量の影響を受けて上記両端部の単位電池26の出力が低下することがなくなる。
また、接続切替え手段10により接続の有効無効を切替えられるので、電流線16a、16bに流す電流を任意に制御できる。
第5の実施の形態によれば、特に寒冷地などの氷点下において、燃料電池本体5そのものにヒーター等の熱源を使用せずに円滑に起動し発電に移行することができる。即ち、低温起動性に優れ、かつシンプルで省力化を図った燃料電池システム並びにその起動方法を提供することができる。
[第6の実施の形態]
(構成)
図15に示すように、本発明の第6の実施の形態に係る燃料電池システムは、燃料電池本体5と、燃料電池本体5に接続された外部負荷7及び電力供給手段(例えば、2次電池)9と、接続切替え手段10と、2次電池9に接続された電気抵抗部(固定抵抗)13e、13fと、燃料電池本体5上に配置された温度センサー18a、18bと、温度センサー18a、18bからの計測値を元に接続切替え手段10を制御する制御システム19とを有する。燃料電池本体5は、並設積層構造体1と、並設積層構造体1の両端に隣接して配置された電流取り出し機能を有する締付板14a、14bとを有する。締付板14a、14bには温度センサー18a、18bがそれぞれ組み込まれている。
外部負荷7は、2本の電流取り出しケーブル12a、12bにより締付板14aに接続され、2本の電流取り出しケーブル12c、12dにより締付板14bに接続されている。即ち、締付板14a、14bには、それぞれ2本ずつ合計4本の電流取り出しケーブル(12a〜12d)が接続されている。
電流取り出しケーブル12a〜12dは途中でそれぞれ分岐しており、分岐した先は電流線13a、13b、13c、13dとなっている。電流線13b、13dには固定抵抗13e、13fがそれぞれ配置され、電流回路に流れる電流量を抑えている。電流線は電流取り出しケーブルよりも細いが、その線の太さは問わない。電流線13a、13cは電力供給手段である2次電池9の陽極9aに接続切替え手段10を介して接続され、電流線13b、13dは2次電池9の陰極9bに接続切替え手段10及び固定抵抗13e、13fを介して接続されている。電力供給手段は2次電池9に限らず、電源やキャパシタ、他の燃料電池本体など別の手段を使用しても良い。接続切替え手段10では、必要に応じて電流線13a、13cと2次電池9の接続の有効無効を切替えるように制御される。2次電池9、接続切替え手段10、電流線13a〜13d、電流取り出しケーブル12a〜12d及び固定抵抗13e、13fは、締付板14a、14b内に電流を流してジュール熱を発生させる電気回路を構成する。温度センサー18a、18bの信号を受けた制御システム19は、その信号に応じて接続切替え手段10における接続の有効無効を制御する。
(起動方法)
図8に示す燃料電池システムの起動方法と同じであり、説明を省略する。
(作用効果)
2次電池9からの電力により電流取り出しケーブル12a〜12d及び電流線13a〜13dを介して締付板14a、14bに電流を流すことにより、締付板14a、14bがジュール熱により温まる。そのため、締付板14a、14bそのものに限らず燃料電池本体5における単位電池26の並設積層構造体1で締付板14a、14bと接している両端部の単位電池26にも上記ジュール熱が伝わるので、氷点下において燃料電池システムを起動して燃料電池本体5で発電を開始する場合、締付板14a、14bが冷えているといった熱容量の影響を受けて上記両端部の単位電池26の出力が低下することがなくなる。
また、固定抵抗13e、13fにより締付板14a、14b及び電流線13a〜13dに流れる電流を抑えることができる。
また、電流線13a〜13dの一部を電流取り出しケーブル12a〜12dとして共有化しているため、スペースメリットが生まれると共に省力化を図れる。
また、第6の実施の形態では電流線13a〜13dよりも電流取り出しケーブル12a〜12dの方が太いので、電流線13a〜13dを直接締付板14a、14bに接続するよりも電気抵抗が少ないために多くの電流が流れ、締付板14a、14bで発生するジュール熱が増加する。
更に、電流取り出し機能を有する締付板14a、14bとして2つの部品を共有化したので、部品数が減り簡素化された構造の燃料電池本体5となる。
更に、温度センサー18a、18b、制御システム19、及び接続切替え手段10により、締付板14a、14bの温度に応じて接続の有効無効を任意に制御することができる。
第6の実施の形態によれば、特に寒冷地などの氷点下において、ヒーター等の熱源を使用せずに円滑に起動し発電に移行することができる。即ち、低温起動性に優れ、安全かつシンプルでより効果的に省力化を図った燃料電池システム並びにその起動方法を提供することができる。
上記のように、本発明は、第1乃至第6の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 図1に示した燃料電池本体の構成及び燃料電池本体と外部負荷との接続関係を示す断面図である。 図2に示した並設積層構造体の構成を示す断面図である。 図3に示した単位電池の構成を示す断面図である。 図4に示したセパレータの第1の表面を示す平面図である。 図4に示した膜電極複合体を示す平面図である。 図6に示した膜電極複合体で生じる化学反応を示す模式図である。 図1に示した燃料電池システムの起動方法を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 図9の燃料電池本体を斜投影図として表示した燃料電池システムのブロック図である。 本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 本発明の第5の実施の形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 図13に示した燃料電池システムの起動方法を示すフローチャートである。 本発明の第6の実施の形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。
符号の説明
1・・・単位電池の並設積層構造体
2a、2b・・・電流取り出し板(電流取り出し部)
3a、3b・・・絶縁板
4a、4b・・・締付板
5・・・燃料電池本体
6a〜6d、12a〜12d、15a〜15d・・・電流取り出しケーブル
7・・・外部負荷
8a〜8d、13a〜13d、16a、16b・・・電流線
8e、8f、13e、13f・・・固定抵抗(電気抵抗部)
9・・・2次電池
10・・・接続切替え手段
11a〜11d・・・突出部
14a、14b・・・(電流取り出し機能付)締付板
17・・・加湿部
18a、18b・・・温度センサー
19・・・制御システム
20・・・高分子膜
21・・・膜電極複合体
21a・・・燃料極
21b・・・酸化剤極
22a・・・燃料ガスセパレータ
22b・・・酸化剤ガスセパレータ
23a〜23c・・・貫通孔(流体用)
24a・・・燃料ガス流路
24b・・・酸化剤ガス流路
24c・・・冷媒流路
25a・・・燃料ガス側リブ部
25b・・・酸化剤ガス側リブ部
25c・・・冷媒側リブ部
26・・・単位電池
27・・・パッキン
33・・・締付スタッド
34・・・スプリング
35・・・ナット
36a・・・燃料ガス入口配管
36b・・・酸化剤ガス入口配管
36c・・・冷媒入口配管
37a・・・燃料ガス出口配管
37b・・・酸化剤ガス出口配管
37c・・・冷媒出口配管

Claims (11)

  1. 高分子膜の両面にガス拡散電極を接合した膜電極複合体と前記ガス拡散電極に反応ガスを供給する為のガス流路を備えたセパレータとを積層してなる並設積層構造体と、前記並設積層構造体の両端にそれぞれ隣接して配置された電流取り出し部とを有する燃料電池本体と、
    少なくとも一方の前記電流取り出し部に電流を流す電気回路
    とを備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記電気回路は、前記電流取り出し部に接続された電力供給手段を有することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記電気回路は、前記電流を調節する為の電気抵抗部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池システム。
  4. 前記電気回路は、前記電流取り出し部と前記電力供給手段の陽極及び陰極との間をそれぞれ接続する2本以上の電流線を有することを特徴とする請求項2又は3記載の燃料電池システム。
  5. 前記電流線は、前記電流取り出し部の概略対角の位置にそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項4記載の燃料電池システム。
  6. 前記電気回路は、前記電力供給手段と前記電流取り出し部との間の接続の有効無効を切替える接続切替え手段を更に有することを特徴とする請求項4又は5記載の燃料電池システム。
  7. 前記電力供給手段は、前記燃料電池本体からの出力に応じて充放電する電力貯蔵手段であることを特徴とする請求項2乃至6何れか1項記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃料電池本体からの出力を取り出すために前記電流取り出し部のそれぞれに接続された2本以上の電流取り出しケーブルを更に有し、前記電流取り出しケーブルの一部が前記電流線と共有化されていることを特徴とする請求項4乃至7何れか1項記載の燃料電池システム。
  9. 前記電流取り出し部は、前記並設積層構造体を締付ける為の締付板であることを特徴とする請求項1乃至8何れか1項記載の燃料電池システム。
  10. 前記電流取り出し部に隣接して配置された温度センサーを更に有することを特徴とする請求項1乃至9何れか1項記載の燃料電池システム。
  11. 高分子膜の両面にガス拡散電極を接合した膜電極複合体と前記ガス拡散電極に反応ガスを供給する為のガス流路を備えたセパレータとを積層してなる並設積層構造体と、前記並設積層構造体の両端にそれぞれ接続された電流取り出し部とを有する燃料電池本体と、
    少なくとも一方の前記電流取り出し部に電流を流す電気回路
    とを備える燃料電池システムを起動する方法において、
    少なくとも一方の前記電流取り出し部に電流を流す段階と、
    電流を流した後に前記燃料電池本体の発電を開始する段階
    とを有することを特徴とする燃料電池システムの起動方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010073962A1 (ja) * 2008-12-26 2010-07-01 株式会社 東芝 燃料電池システム及び燃料電池
JP2019145225A (ja) * 2018-02-16 2019-08-29 パナソニックIpマネジメント株式会社 燃料電池システムと、それに用いられるスタックのエージング方法

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