JP2005108502A - 仏具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ロウソクやお香の熱による周囲への影響が小さく、ロウソクを最後までほぼ一定の大きさの炎で完全に燃焼させることができる仏具を提供する。
【解決手段】 熱伝導率が黄銅よりも低いシルジン青銅により成形された、燭台10、香炉26、仏飯器42などの仏具である。燭台10は、ロウソクを立てる皿状の受け皿部12と、受け皿部12の中心にロウソクの下端穴に差し込まれる針14とが、シルジン青銅で一体成形されている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、燭台や香炉、仏飯器等の仏具に関する。
従来、仏壇などにおいてロウソクを立てる燭台は、例えば図5に示すようにロウソク1の下に位置する皿状の受け皿部2を有し、受け皿部2の中央に、ロウソク1の下端穴3に差し込む針4が取り付けられている。受け皿部2の中央には、雌ねじ5が貫通して形成され、針4の基端部には雄ネジ6が形成され、針4の雄ネジ6と受け皿部2の雌ねじ5が互いに螺合され、針4が受け皿部2に固定されている。この受け皿部2と針4は黄銅により形成されている。
図5に示すように、ロウソク1の下端部が受け皿部2に当接しない状態で針4に立てられている場合、燭台は、ロウソク1が燃焼して短くなったとき、ロウソク1の炎の熱が針4から受け皿部2に大量に奪われて、針4回りの残余のロウソク1が溶けにくくなり、炎は極端に小さく、消えやすくなる。また、受け皿部2の材料は熱伝導率が高いため、全体的に低めの温度に加温されるに過ぎず、受け皿部2の上面に垂れ落ちたロウ7は固まってしまう。固まったロウ7はロウソク1の芯に吸い上げられることがなく、受け皿部2上に燃焼しないロウ7が残存して無駄となり、外観もよくない。
これを防ぐため、特許文献1に示す燭台は、針の構成材料を、燭台の受け皿部である燭台本体の構成材料に対して熱伝導率の低いものにしている。例えば、燭台本体2は銅と亜鉛の合金である黄銅で作られ、針4は黄銅よりも熱伝導率が低いステンレスや鉄で作られている。針の熱伝導率が燭台本体の熱伝導率より低く、針は蓄熱性が高いため、ロウソク1の燃焼の終盤において、針が外部から見え始めるに至ったとき、炎の熱は針から燭台本体に奪われ難く、針に蓄熱される。このため針の回りのロウソクはその蓄熱によりよく溶け続け、一定の炎の大きさを維持可能となる。
特開平8−293212号公報
上記図5や特許文献1に示す燭台は、受け皿部2と針4が別体であるため、受け皿部2に落下した液体のロウ7が受け皿部2と針4の隙間から下にもれることがあった。このため、たれ落ちたロウ7が燭台の下に位置する仏壇や盆を汚すことがあった。
この発明は、上記従来の技術の課題に鑑みてなされたものであり、ロウソクやお香の熱による周囲への影響が小さく、ロウソクを最後までほぼ一定の大きさの炎で完全に燃焼させることができる仏具を提供することを目的とする。
本発明は、熱伝導率が黄銅よりも低い銅合金により成形されている仏具である。上記仏具は、例えば、燭台、香炉、仏飯器などである。また、上記銅合金はシルジン青銅である。
また、ロウソクを立てる皿状の受け皿部と、上記受け皿部の中心にロウソクの下端穴に差し込まれる針が、シルジン青銅で一体成形された燭台である。
燭台の針は、ロウソクの下端穴よりも小さく形成され、ロウソクは針に嵌合してその下端部が燭台本体に当接するため、ロウソクが残り少なくなっても芯がロウを吸い上げ、完全に燃焼させるものである。
本発明の仏具は、ロウソクやお香の熱が伝わりにくいため、熱が逃げにくく、熱による仏壇やお盆への悪影響を少なくし、載せたものをいためることを防ぐ。また、ロウソクは最後までほぼ一定の炎の大きさを保ち、完全に燃焼させることができる。
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1、図2は、この発明の第一実施形態を示すものであり、この実施形態の仏具は、ロウソクを立てる燭台10である。
燭台10は、皿状の受け皿部12を有し、受け皿部12の中央には、受け皿部12からほぼ直角に上方へ突出する針14が一体に設けられている。針14は、後述するロウソク16の下端穴17の内径及び長さと、略同一又は小さく形成されている。燭台10は熱伝導率が黄銅よりも低い素材、例えばシルジン青銅で作られている。シルジン青銅は、Cu−Si−Zn(銅−珪素−亜鉛)系の銅合金で、珪素黄銅ともいう。シルジン青銅は、耐食性と鋳造性に優れている。熱伝導率は0.07cal/cm・s・degであり、従来から仏具に使用される黄銅が0.22〜0.35cal/cm・s・degであることに比べて大幅に低いものである。
燭台10の使用方法は、針14にロウソク16の下端穴17を差し込んで、ロウソク16を立設する。次に、ロウソク16の芯18に火をつける。時間が経過すると、ロウソク16が短くなり、芯18と炎20が針14と受け皿部12に近付く。針14と受け皿部12は、熱伝導率が低く蓄熱性が高いため、炎20の熱は針14と受け皿部12に蓄熱される。このため、針14回りの残余のロウソク16はその蓄熱により良く溶け続け、芯18にしみ込み、一定の炎20の大きさを維持可能とする。
ここで使用するロウソク16は、針4の根元まで芯18が達するように、ロウソク16の下端穴17が針14よりも大きく形成されているものが好ましい。ロウソク16の下端穴17が針14より大きいと、ロウソク16の芯18が受け皿部12に届くため、安定する。また、ロウソク16の下端から、受け皿部12に達する芯18が延出するローソク足が設けられてもよい。
この実施形態の燭台10によれば、受け皿部12と針14が、熱伝導率が低いシルジン青銅で一体に作られているため、ロウソク16が短くなっても熱が逃げず、ロウを効率よく溶かして最後まで無駄がなく燃焼させることができる。これにより、ロウソク16の炎20は最初から最後までいつも同じ明るさ(同じ炎の大きさ)で、最後まで完全に燃焼する。ロウソク16を燃やした後、受け皿部12の上面にはロウが残存せず、掃除も容易である。また、受け皿部12と針14が一体成形されているため、ロウソク16のロウが液体になって受け皿部12内側に溜まるとき下に染み出すことがなく、仏壇やお盆をロウで汚さず、きれいに使用することができる。また、熱が外に逃げないことから、燭台10が載っている仏壇をロウソク16の熱により焦がしたり変色させることがない。シルジン青銅は、環境に配慮した鉛レス素材であり、廃棄しても有害にならない。
なお、この実施形態の燭台10は、図2に示すように受け皿部12の下に燭台本体22が一体に設けられていてもよい。燭台本体22は、受け皿部12から離れるに従い径が大きくなる円錐状で、受け皿部12の下に、受け皿部12から先端にかけての数ヶ所に、凹凸の装飾部24が形成されている。燭台本体22は、中空に形成され、受け皿部12、針14、燭台本体22は、シルジン青銅により一体に成形されて作られている。
このような脚部22を有する燭台10も、ロウソク16を効率よく溶かし液体になったロウ19を最後まで燃焼させることができる。また、受け皿部12と針14が一体成形され、液体のロウ19が下に染み出すことがない。さらに、脚部22を保持して移動させる場合は、熱くないため火傷などの事故を防ぐ。
次に、この発明の第二実施形態について説明する。ここで上記実施の形態と同一の部材は、同一の符号を付して説明を省略する。図3はこの発明の第二実施形態を示すものであり、この実施形態の仏具はお香をたく香炉26である。
香炉26は、浅い壷状の本体28を有し、本体28の開口部は、上方に立上部30が一周して形成され、立上部30の周縁部に、側方に広がるフランジ部32が、一周して形成されている。本体28の底部28aの外側面には、小さい脚部34が下方に突出して一体に設けられている。香炉26は、熱伝導率が黄銅よりも低い素材、例えばシルジン青銅で作られている。
香炉26の使用方法は、本体28の内側に灰36を入れ、火がつけられた火種38を灰36の表面に置く。そして火種38の上に、香の粉40をかける。
この実施形態の香炉26によれば、本体28と脚部34が熱伝導率の低いシルジン青銅で作られているため、火種38が高温になっても脚部34が熱くならず、香炉26が載っている仏壇やお盆を、焦がしたり変色させることがない。また、香炉26を素手で保持しても火傷することがなく、安全である。
次に、この発明の第三実施形態について説明する。ここで上記実施の形態と同一の部材は、同一の符号を付して説明を省略する。図4はこの発明の第三実施形態を示すものであり、この実施形態の仏具は、ご飯を盛り付けて備える仏飯器42である。
仏飯器42は、適度な深みのあるお椀形の本体44が設けられ、本体44の下に一本の脚部46が設けられている。脚部46の下端部には、円板状の台部48が一体に設けられている。脚部46の途中には、装飾部50が設けられている。仏飯器42は、熱伝導率が低い素材、例えばシルジン青銅で作られている。
この実施形態の仏飯器42によれば、熱伝導率が低いので、熱いご飯を入れても本体44が熱くならず、手で触れても熱さを感じない。しかも、鉛を含まないシルジン青銅で作られているため、ご飯に鉛が溶け出さず、供え終わったご飯を食べる場合、安全である。
なお、この発明の仏具は、上記各実施形態に限定されず、各仏具の形状や装飾など、適宜変更可能であり、成形も一体成形のみ成らず、複数の成形体を組み合わせてものでも良い。素材も、シルジン青銅意外に、熱伝導性が低く、加工性が良好なものでも良い。
この発明の第一実施形態の燭台の縦断面図である。 この発明の第一実施形態の燭台の変形例を示す縦断面図である。 この発明の第二実施形態の香炉の正面図である。 この発明の第三実施形態の仏飯器の正面図である。 従来の燭台の縦断面図である。
符号の説明
10 燭台
12 受け皿部
14 針
16 ロウソク
17 下端穴
18 芯
20 炎

Claims (3)

  1. 熱伝導率が黄銅よりも低い銅合金により成形されていることを特徴とする仏具。
  2. 上記銅合金はシルジン青銅であることを特徴とする請求項1記載の仏具。
  3. ロウソクを立てる皿状の受け皿部と、上記受け皿部の中心に立設されロウソクの下端穴に差し込まれる針とが、一体成形された燭台であることを特徴とする請求項2記載の仏具。

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