JP2005105057A - フッ素含有ポリマーおよび摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 摺動性のみならず荷重負荷時の耐摩耗性をも改良したフッ素含有ポリマーおよび摺動部材を提供する。
【解決手段】 過冷却状態下で電子線照射(1000kGy)した場合に、該照射による結晶化温度の低下が、相対値で70℃以下であるフッ素含有ポリマーを摺動面に用いて、摺動部材を作製する。
【選択図】 図4
【解決手段】 過冷却状態下で電子線照射(1000kGy)した場合に、該照射による結晶化温度の低下が、相対値で70℃以下であるフッ素含有ポリマーを摺動面に用いて、摺動部材を作製する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、各種材料との摺動性、耐摩耗性を始めとする種々の物性に優れるフッ素含有ポリマー、および該ポリマーを用いた摺動部材に関する。
本発明のフッ素含有ポリマーは、リジッド表面−ポリマー表面が対向する摺動部を含む摺動部材に好適に使用可能であるが、その金属またはセラミックに対する良好な摺動性、耐摩擦性および耐荷重性を活かして、金属またはセラミック製の骨頭を有する人工関節用寛骨臼に特に好適に使用可能である。
本発明のフッ素含有ポリマーの用途、使用法は特に制限されないが、説明の便宜の観点から、摺動部材の一種である人工関節分野に関連する従来技術について先ず説明する。
従来より、フッ素含有ポリマーは、その低い摩擦係数を利用して、軸受け等の摺動部材としての利用がなされている。他方、フッ素含有ポリマー単体では、摺動環境下で容易に摩耗してしまう欠点があるため、実際には、炭素繊維やガラス繊維の短繊維を数十%添加して混合して成型した材料が摺動部材に用いられている。しかしながら、これらの成型した材料は、フッ素含有ポリマーに添加した材料の構成成分によって、摺動の相手材料を容易に摩耗させる傾向を有するため、半導体製造プラント等の非常にクリーンな環境下におけるフッ素含有ポリマーを利用した摺動部材の使用には注意が必要であった。
一方、フッ素系ポリマーに架橋構造を導入して、特に耐摩耗性を向上させるために、特定の条件下でフッ素系ポリマーに電離性放射線を照射する方法が提案されている(特許文献1および特許文献2)。具体的には、フッ素含有ポリマーの融点より高い温度で、酸素不在下でフッ素含有ポリマーに電離性放射線を照射することにより、このような架橋構造の導入は達成される。しかしながら、この方法においては、常に融点より高い温度に試料(フッ素含有ポリマー)温度を保持する必要があり、また、高温度では、放射線と熱による相乗効果によって、ポリマー分解も非常に多く起きるため、得られる材料の材料強度は充分なものではなかった。
他方、従来より、人工股関節、人工膝関節等の人工関節の寛骨臼用の素材として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の種々の高分子材料が検討されてきた。しかしながら、これらの材料は荷重下に人工骨頭との摺動により摩耗し、摩擦が著しく増大するのみならず、該摩耗により生じた「屑」が生体の免疫反応を惹起し炎症反応を引き起こす傾向が強いという致命的な問題点があることが判明した。その後、人工関節用材料の耐摩耗性の改良が進み、現在では分子量が250万〜600万と極めて大きい超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が従来の材料と比較して格段に耐摩耗性に優れている事が判明し、人工関節の素材として使用されている。
しかしながら、現在、臨床的に使用されているUHMWPE製寛骨臼にも、以下のような幾つかの問題点が指摘されている。すなわち、UHMWPE製寛骨臼を長期間、特に体重の数倍の荷重がかかり、動きの激しい人工膝関節に使用した場合には摩耗が特に激しくなり、炎症反応等を惹起する頻度が増える。
また、UHMWPEを用いて寛骨臼を製造する場合には、圧縮成型した後に機械切削するか、押出成型により丸棒を作りそれを機械切削する方法が取られている。上述したように、耐摩耗性を向上させるためにUHMWPEの分子量は極端に高く250万〜600万であるため、このようなUHMWPEについて成型加工時の流動性の目安であるメルトインデックスは測定が困難である。換言すれば、UHMWPEの成型時には高温、高圧、長時間を必要とし、酸化分解防止剤やステアリン酸塩、グラファイト等の内部潤滑剤、流動パラフィン等の外部潤滑剤の添加が不可欠である。更には、UHMWPEを製造するための高分子量化に必要なSiO2等の触媒残査も、結果として得られたUHMWPE中に含まれることとなる。これらのUHMWPE中に含有される種々の添加物は、生体内に移植された時に溶出し生体反応を惹起し副作用を引き起こすことが知られている。
他方、従来より、フッ素含有ポリマーの中でも特にポリテトラフロロエチレンは人工心臓弁、人工血管、各種のカテーテル類の素材等汎く医療用材料として臨床において長年使用され、その優れた生体適合性が実証されて来た。しかしながら、上述したように、ポリテトラフロロエチレンを人工関節の寛骨臼の素材に使用すると耐摩耗性に大きな問題があることが判明している。
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消したおよび摺動部材を提供することにある。
本発明の他の目的は、摺動性のみならず荷重負荷時の耐摩耗性をも改良したフッ素含有ポリマーおよび摺動部材を提供することにある。
本発明者は鋭意研究の結果、フッ素含有ポリマーの荷重負荷時の耐摩耗性が、該ポリマーの過冷却状態における電子線照射後の特性により好適に評価できることを見出した。
本発明者は更に研究を進めた結果、フッ素含有ポリマーに対して、過冷却状態における電子線照射後の特定の特性を付与することが、上記目的の達成のために極めて効果的なことを見出した。
本発明のフッ素含有ポリマーは上記知見に基づくものであり、より詳しくは、過冷却状態下で電子線照射(1000kGy)した場合に、該照射による結晶化温度の低下が、相対値で70℃以下であるものである。
本発明によれば、荷重負荷時の耐摩耗性が改良されたフッ素含有ポリマーが提供される。このような荷重負荷時の耐摩耗性改良に基づき、例えば、本発明のフッ素含有ポリマーを生体内の材料(例えば、人工関節部におけるポリマー材料)として使用した際の生体適合性も良好なものとなる。
更に、本発明によれば、現在、汎く臨床的に使用されているUHMWPE製寛骨臼の耐摩耗性、摺動性、耐荷重性、および生体適合性が向上し、且つ成型加工に付随する問題点も解決することができる。
本発明において上述した効果が得られる理由は、本発明者らの知見によれば、放射線等による架橋処理時の分子鎖の分解が適度に抑制されているためと推定される。
本発明では上述したように、フッ素系ポリマー(ポリテトラフロロエチレン等)を架橋(すなわち超高分子量化)することによってフッ素系ポリマーの優れた生体適合性および良好な滑り特性を実質的に維持しつつ、耐摩耗性を格段に向上できる。分子量を増大させる方法としてUHMWPEのようにポリエチレン鎖長を伸ばす方法と架橋構造を導入して分子鎖間を結合することによって高分子量化する方法があるが、本発明では後者が好適に使用される。
架橋構造を付与して高分子量化する方法の有利な点は、架橋前にポリマーを成型加工し、その後に該成型物に架橋構造を導入可能なことである。このような本発明の態様によれば、先行技術におけるような超高分子量のUHMWPEの成型加工の困難さ、および成型加工用の添加剤使用が必須でなくなる。
特に、本発明では電離性放射線を成型加工物に照射することによって何らの添加剤を加えることなく架橋構造を付与可能な点が重要である。これに対して、従来のフッ素系ポリマーに電離性放射線を照射して架橋する方法(特許文献2;特許第3317452)では、照射温度とともに分解も非常に多く起き、架橋構造による材料特性の改善効果を低下させていたことが、本発明者の知見により判明している。
本発明の好ましい態様では、この放射線照射時の温度の条件について、再結晶化温度以上の「過冷却状態」で放射線照射することによってポリマー分解の抑制をはかり、かつ改質された性質が摺動部材(特に人工関節の寛骨臼)の素材として好適であることが見出されている。
本発明の架橋構造を付与したフッ素系ポリマー(特にポリテトラフロロエチレン)の耐磨耗性は従来、汎く臨床使用されてきた人工関節用寛骨臼素材である超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)よりも格段に優れており、今日、臨床上問題になっている摩耗屑によって引き起こされる炎症反応の防止にも有効である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
(フッ素含有ポリマー)
本発明のフッ素含有ポリマーは、過冷却状態下で電子線照射(1000kGy)した場合に、該照射による結晶化温度の低下が、相対値で70℃以下であることが特徴である。この結晶化温度の低下は、更には75℃以下、特に80℃以下であることが好ましい。
(結晶化温度低下の測定方法)
本発明において、上記した「電子線照射による結晶化温度の低下」は、以下の方法により好適に測定可能である。
<結晶化温度の測定方法>
結晶化温度を測定すべき試料について、示差走査型熱量分析計(DSC)により熱分析を行う。測定用試料(円板状)を約10mg秤量し、アルミニウム製の試料パン(サイズ:φ5.5mm)に入れてAlふたをしたあと円周をつぶして加工した後、DSC(パーキンエルマー製DSC−7)を用い、昇温および降温速度10℃/minまたは20℃/minで走査して、結晶化温度、結晶化熱量を求める。その他のDSC条件は、以下の通りである。
<DSC詳細条件>
当初温度:150℃〜360℃の温度範囲を20℃/minまたは10℃/minのスキャン速度で昇温、降温各2回測定する。
(フッ素含有ポリマー)
本発明のフッ素含有ポリマーは、過冷却状態下で電子線照射(1000kGy)した場合に、該照射による結晶化温度の低下が、相対値で70℃以下であることが特徴である。この結晶化温度の低下は、更には75℃以下、特に80℃以下であることが好ましい。
(結晶化温度低下の測定方法)
本発明において、上記した「電子線照射による結晶化温度の低下」は、以下の方法により好適に測定可能である。
<結晶化温度の測定方法>
結晶化温度を測定すべき試料について、示差走査型熱量分析計(DSC)により熱分析を行う。測定用試料(円板状)を約10mg秤量し、アルミニウム製の試料パン(サイズ:φ5.5mm)に入れてAlふたをしたあと円周をつぶして加工した後、DSC(パーキンエルマー製DSC−7)を用い、昇温および降温速度10℃/minまたは20℃/minで走査して、結晶化温度、結晶化熱量を求める。その他のDSC条件は、以下の通りである。
<DSC詳細条件>
当初温度:150℃〜360℃の温度範囲を20℃/minまたは10℃/minのスキャン速度で昇温、降温各2回測定する。
測定後、融解温度(Tm)、融解熱量、結晶化温度(Tc)、結晶化熱量を求める。求め方は、TmとTcは、ピーク温度とした。熱量は、ピークエリアの面積(ベースライン上に形成される)。
<結晶化温度低下の測定条件>
結晶化温度低下を測定すべきフッ素含有ポリマーの試料(パウダー状)の結晶領域化温度(Tc)を、予め上記したDSCで測定する。
<結晶化温度低下の測定条件>
結晶化温度低下を測定すべきフッ素含有ポリマーの試料(パウダー状)の結晶領域化温度(Tc)を、予め上記したDSCで測定する。
次いで、該フッ素含有ポリマー試料を、φ100×10cmmの円筒状の金型(SUS304製)に入れて室温で、プレス機を用いて400kgf/cm2の圧力で予備成形を行った後、電気炉を用いて350℃で5時間焼成して成形する。得られた成形物を、ワイヤーソーを用いて厚さ0.5mm(サイズ:φ100mm×0.5mm)円板状シートに切り出す。このシート状試料に対して、下記の条件で電子線放射を行い架橋構造を付与した試料を作製する。
上記のフッ素含有ポリマー試料を窒素ガス雰囲気の照射用容器(SUS304製、高温照射容器、サイズ=約25×80cm)に入れ、上記結晶化温度(Tc)より約25℃高い温度(例えば、試料としてTc=320℃のPTFEを用いた場合には、約354℃)に加熱して該試料を完全に溶融させた後、Tcと同じ温度(上記PTFEの場合には、約320℃)に試料温度を冷やし、試料フッ素含有ポリマーが再結晶化していない状態(以下、「過冷却状態」と呼ぶ)において、3MeVの加速エネルギーの電子加速器((静電型加速器:日新ハイボルテージ(株)))を用いて1000kGyの電子線照射(照射時間:約15分間)を行い、架橋フッ素含有ポリマー試料を得る。このようにして得た架橋フッ素含有ポリマー試料について、上記と同様に結晶化温度(Td)を、予め上記したDSCで測定して、これらの結晶化温度の差(Tc−Td)を計算する。
なお、ここで用いた架橋条件(1000kGyの電子線照射)は、本発明において好適に使用可能なフッ素含有ポリマーを規定するためにのみ用いられるものであり、本発明のポリマーの製造および/又は使用条件、その他の用途等を何ら限定するものではない。
(フッ素含有ポリマー)
本発明に使用可能なフッ素含有ポリマーとしては、テトラフロロエチレン系重合体(以下PTFEという)、テトラフロロエチレン−パーフロロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(以下PFAという)、またはテトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン系共重合体(以下FEPという)等が挙げられる。上記PTFEの中にはパーフロロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフロロプロピレン、(パーフロロアルキル)エチレン等の共重合性モノマーを0.2モル%以下含有するものも含まれる。
(架橋)
本発明においては、上記した好適な特性が得られる限り、フッ素含有ポリマーの架橋方法および/又は条件は特に制限されない。
(電離性放射線)
本発明における電離性放射線としては、γ線、電子線、X線、中性子線、高エネルギーイオン等が使用可能である。
(フッ素含有ポリマー)
本発明に使用可能なフッ素含有ポリマーとしては、テトラフロロエチレン系重合体(以下PTFEという)、テトラフロロエチレン−パーフロロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(以下PFAという)、またはテトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン系共重合体(以下FEPという)等が挙げられる。上記PTFEの中にはパーフロロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフロロプロピレン、(パーフロロアルキル)エチレン等の共重合性モノマーを0.2モル%以下含有するものも含まれる。
(架橋)
本発明においては、上記した好適な特性が得られる限り、フッ素含有ポリマーの架橋方法および/又は条件は特に制限されない。
(電離性放射線)
本発明における電離性放射線としては、γ線、電子線、X線、中性子線、高エネルギーイオン等が使用可能である。
電離性放射線の照射は、放射線酸化およびラジカル保護の観点からは、通常は酸素不在下で実施することが好ましい。その照射線量は、通常は1kGy〜10MGy、好ましくは10kGy〜2MGy、より好ましくは、50kGy〜300kGyである。吸収線量が、1kGy以下では、架橋密度が不充分な傾向がある。他方、吸収線量10MGy以上では、架橋反応と同時に解重合反応が生じ、重量が大幅に減少する傾向がある。吸収線量の測定は、CTAフィルム線量計(放射線利用振興協会(旧放射線照射振興協会)下線量測定研究委員会編「工業照射用の電子線量計測、172〜212頁(地人書籍)1990年)を用いて決定した。
電離性放射線の照射温度は、フッ素含有ポリマーの融点(融解温度)近傍の−20℃〜+30℃の範囲であることが好ましい。更に好ましくは、フッ素含有ポリマーを一旦、結晶融点より高い温度に昇温して溶解し、非晶質と成した後、温度を下げて再結晶化する温度(結晶化温度)以上0〜20℃の範囲(すなわち、フッ素含有ポリマーが過冷却状態にある温度範囲)で上記した電離性放射線の照射を行うことが好ましい。
(フッ素含有ポリマーの溶融特性の例)
例えば、図1に示す溶融特性を有するPTFEを上記フッ素含有ポリマーとして用いた場合には、示差走査熱量分析計(DSC)によるPTFEの熱曲線の融解温度は327℃であり結晶化温度は、310℃であるので、本発明の「過冷却」状態で照射を行う態様における温度は、一度溶解したのち、310℃〜330℃の範囲で照射することがより好ましい。
(フッ素含有ポリマーの溶融特性の例)
例えば、図1に示す溶融特性を有するPTFEを上記フッ素含有ポリマーとして用いた場合には、示差走査熱量分析計(DSC)によるPTFEの熱曲線の融解温度は327℃であり結晶化温度は、310℃であるので、本発明の「過冷却」状態で照射を行う態様における温度は、一度溶解したのち、310℃〜330℃の範囲で照射することがより好ましい。
また、結晶融点と結晶化温度がそれぞれ約310℃と約278℃であるPFAを用いた場合には、照射温度は、一度溶解したのち、278℃〜300℃の範囲で照射することがより好ましい。
更に、結晶融点と結晶化温度がそれぞれ約270℃と約243℃であるFEPを用いた場合には、照射温度は、一度溶解したのち、243℃〜265℃の範囲で照射することがより好ましい。
なお、高分子材料は、分子量が異なると融解温度や結晶化温度が±10℃程度変わる可能性があるため、実際には、分子量に応じて、照射温度を制御することが好ましい。
(照射時の状態)
フッ素含有ポリマーを一度、結晶融点より高い温度で溶解してから、照射するまでの時間は、通常は10時間以内、更には1時間以内であることが好ましい。フッ素含有ポリマーを溶融状態で10時間以上保持すると、熱分解の影響が顕著に顕れる傾向があり、また結晶化温度近傍で長時間保持すると、試料内部で再結晶化がおきる可能性が高まるためである。
(照射時の状態)
フッ素含有ポリマーを一度、結晶融点より高い温度で溶解してから、照射するまでの時間は、通常は10時間以内、更には1時間以内であることが好ましい。フッ素含有ポリマーを溶融状態で10時間以上保持すると、熱分解の影響が顕著に顕れる傾向があり、また結晶化温度近傍で長時間保持すると、試料内部で再結晶化がおきる可能性が高まるためである。
このような「過冷却」範囲より低い温度では、フッ素含有ポリマーは固相状態であるため、主鎖の分子運動が不充分であり、照射により生成したラジカルが架橋反応にせずに分解のみが起き、分子量が低下する傾向がある。他方、該「過冷却」範囲を超える温度では、ラジカル同士の結合により架橋反応は起きるものの解重合反応や分解反応の起きる確率が上昇し、分子鎖の切断および分解が起こり、分子量が低下する傾向がある。
本発明における重要なポイントは、電離性放射線照射による架橋構造の導入によって高分子量化を図った点にあるが、このような電離性放射線照射により得られた架橋構造および密度の測定は、以下の方法で行うことができる。
(架橋構造等の測定)
架橋構造およびその密度の測定は、固体高分解能の核磁気共鳴装置NMR(日本電子社製、CMX−400)を用い、プローブに19Fと13Cを用いた。架橋したフッ素含有ポリマー(PTFE)を19F−NMRにより測定した結果の一例を図2に示す。この図2に示すように、架橋構造を導入することにより、−189ppm付近に架橋点を示すシグナルが検出される。架橋密度、あるいは架橋点の数は、この架橋点を示すシグナルのピーク強度を他の化学構造を示すピーク強度を用いて規格化することで求めることができる。本発明においては、好適な摺動性、耐摩擦性および耐荷重性を有する摺動部材(例えば、人工寛骨臼)が容易に得られる点からは、架橋点の濃度(全フッ素中の架橋に寄与するフッ素の濃度)が0.005%以上、更には0.01%以上、特に0.05%以上存在することが好ましい(このような19F−NMRによる架橋密度ないし架橋点の数を測定する方法の詳細に関しては、例えば文献:Radial.Phys.Chem.Vol 54.165−171,(1999)を参照することができる)。
(架橋構造等の測定)
架橋構造およびその密度の測定は、固体高分解能の核磁気共鳴装置NMR(日本電子社製、CMX−400)を用い、プローブに19Fと13Cを用いた。架橋したフッ素含有ポリマー(PTFE)を19F−NMRにより測定した結果の一例を図2に示す。この図2に示すように、架橋構造を導入することにより、−189ppm付近に架橋点を示すシグナルが検出される。架橋密度、あるいは架橋点の数は、この架橋点を示すシグナルのピーク強度を他の化学構造を示すピーク強度を用いて規格化することで求めることができる。本発明においては、好適な摺動性、耐摩擦性および耐荷重性を有する摺動部材(例えば、人工寛骨臼)が容易に得られる点からは、架橋点の濃度(全フッ素中の架橋に寄与するフッ素の濃度)が0.005%以上、更には0.01%以上、特に0.05%以上存在することが好ましい(このような19F−NMRによる架橋密度ないし架橋点の数を測定する方法の詳細に関しては、例えば文献:Radial.Phys.Chem.Vol 54.165−171,(1999)を参照することができる)。
図2と同様のポリマーを13C−NMRにより測定した結果を図3に示す。架橋構造を導入することにより、145ppm付近に架橋点を示すシグナルが検出される。19F−NMRで求めた方法と同じように、架橋密度、あるいは架橋点の数は、この架橋点を示すシグナルのピーク強度を他の化学構造を示すピーク強度を用いて規格化することで求められる。本発明においては、好適な摺動性、耐摩擦性および耐荷重性を有する摺動部材(例えば、人工寛骨臼)が容易に得られる点からは、架橋点の濃度(全炭素中の架橋に寄与する炭素の濃度)が通常は0.005%以上、更には0.01%以上、特に0.05%以上存在することが好ましい(このような13C−NMRによる架橋密度ないし架橋点の数を測定する方法の詳細に関しては、例えば文献:Radiat.Phys.Chem.Vol 62.39−45(2001)を参照することができる)。
固体高分解能の核磁気共鳴装置の他に、赤外吸収分光光度計(FT−IR;例えば日本電子社製、商品名JES−6000)を用いても架橋構造は確認することができる。通常は、1671cm−1付近に架橋構造を示すシグナルが得られるので、これを規格化することで、架橋密度や架橋点数を求めることができる。本発明においては、好適な摺動性、耐摩擦性および耐荷重性を有する摺動部材(例えば、人工寛骨臼)が容易に得られる点からは、架橋点の数が0.005%以上であることが好ましい。
(摺動部材)
上記した本発明のフッ素含有ポリマーを用いて、該フッ素含有ポリマーを少なくともその摺動部分に含む摺動部材を作製する方法は、特に制限されない。このような摺動部材としては、典型的には、リジッド表面部と、該リジッド表面と対向するポリマー表面部とを有する摺動部材が挙げられる。このようなリジッド表面部と、該リジッド表面と対向するポリマー表面部とを有する摺動部材としては、例えば軸受け、または人工関節(例えば、寛骨臼)の形状を有する摺動部材が挙げられる。
(摺動部材)
上記した本発明のフッ素含有ポリマーを用いて、該フッ素含有ポリマーを少なくともその摺動部分に含む摺動部材を作製する方法は、特に制限されない。このような摺動部材としては、典型的には、リジッド表面部と、該リジッド表面と対向するポリマー表面部とを有する摺動部材が挙げられる。このようなリジッド表面部と、該リジッド表面と対向するポリマー表面部とを有する摺動部材としては、例えば軸受け、または人工関節(例えば、寛骨臼)の形状を有する摺動部材が挙げられる。
例えば、上記のフッ素含有ポリマーから本発明の摺動部材(例えば人工関節の寛骨臼)を製造する方法として、該フッ素含有ポリマーの粉末を摺動部材用の成型金型に充填し予備成型品を作製した後、焼成、冷却した後、製品を取り出し電離性放射線を照射する方法;フッ素含有ポリマー製の丸棒ブロックを成型し電離製放射線を照射した後に機械切削によって作製する方法;また、電離性放射線によって架橋処理を行ったフッ素含有ポリマーを粉砕して100μm以下のサイズの微粉末化したもの、あるいは予め粉体の状態で架橋処理を施して得た粉末状架橋フッ素含有ポリマーを5wt%以上、好ましくは10wt%以上を未架橋のフッ素含有ポリマーとブレンドして摺動部材用の成型金型に充填し予備成型品を作製した後、焼成、冷却後、製品を取り出す方法;更には、該粉末状架橋フッ素含有ポリマーを未架橋のフッ素含有ポリマーとブレンドして丸棒やブロックを成型し、機械切削によって作製する方法を好適に用いることができる。しかしながら、本発明における摺動部材の作製方法は、上記方法に限定されない。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
実施例1
PTFEモールディングパウダー(フルオンG163、旭硝子フロロポリマーズ株式会社)をφ100×10cmmの円筒状の金型(SUS304製)に入れて室温で、プレス機を用いて400kgf/cm2の圧力で予備成形を行った後、電気炉を用いて350℃で5時間焼成して成形した。得られた成形物を、ワイヤーソーを用いて厚さ0.5mm(サイズ:φ100×0.05mm)のシート状に切り出した。次いで、下記の条件で、得られたシートポリマーに電子線放射を行い、架橋構造を付与した試料を作製した。
PTFEモールディングパウダー(フルオンG163、旭硝子フロロポリマーズ株式会社)をφ100×10cmmの円筒状の金型(SUS304製)に入れて室温で、プレス機を用いて400kgf/cm2の圧力で予備成形を行った後、電気炉を用いて350℃で5時間焼成して成形した。得られた成形物を、ワイヤーソーを用いて厚さ0.5mm(サイズ:φ100×0.05mm)のシート状に切り出した。次いで、下記の条件で、得られたシートポリマーに電子線放射を行い、架橋構造を付与した試料を作製した。
すなわち、該ポリマー試料を窒素ガス雰囲気の照射用容器(SUS304製高温照射容器サイズ=約25×80cm)に入れ、約345℃で完全に溶融させた後、320℃に試料温度を冷やし、PTFEが再結晶化していない状態(以下、過冷却状態と呼ぶ)において、3MeVの加速エネルギーの電子加速器((静電型加速器:日新ハイボルテージ(株)))を用いて、50KGy、100KGy、200KGy、300KGy、500KGy、1MGy、2MGyの照射を行い、架橋密度の異なる試料RX−50K、RX−100K、RX−200K、RX−300K、RX−500K、RX−1M、RX−1.5M、RX−2M、RX−3Mをそれぞれ作製した(条件1)。
他方、架橋条件の比較例として、試料が溶融した状態の340℃(以下、溶融状態と呼ぶ)において、上記と同様に加速器を用いて50KGy、100KGy、200KGy、300KGy、500KGy、1MGy、2MGyの照射を行い、架橋密度の異なる試料RX−50K、RX−100K、RX−200K、RX−300K、RX−500K、RX−1M、RX−1.5M、RX−2M、RX−3Mをそれぞれ作製した(条件2)。
実施例2
実施例1で作製した各種試料の引張り試験による引張り強度と破断伸び、ヤング弾性率を以下の方法で測定した。得られた結果を、下記の表1に示す。
実施例2
実施例1で作製した各種試料の引張り試験による引張り強度と破断伸び、ヤング弾性率を以下の方法で測定した。得られた結果を、下記の表1に示す。
この引張り強度と破断伸び、ヤング弾性率測定においては、各種の架橋試料をASTM−1822L型ダンベル試験片に切り出し、引っ張り試験機(インストロン4302型)を用い、チャック間距離30mm、試験速度2m/minにより室温で測定した。
表1 各種試料の引っ張り試験結果
表1 各種試料の引っ張り試験結果
上記表1に示すように、PTFEを約345℃で完全に溶融させた後、320℃に試料温度を冷やし、PTFEが再結晶化していない過冷却状態において照射し、架橋させた方(条件1)が、340℃の溶融状態において架橋させたもの(条件2)より、破断伸びの低下および強度の低下が少なく、ヤング弾性率が高いことが判明した。
実施例3
実施例1で作製した各種試料の示差走査型熱量分析計(DSC)による熱分析を以下の方法で測定した。得られた結果を、下記の表2に示す。
実施例3
実施例1で作製した各種試料の示差走査型熱量分析計(DSC)による熱分析を以下の方法で測定した。得られた結果を、下記の表2に示す。
このDSC測定は、上述した方法で行った。
図4および5に示すように、PTFEを約345℃で完全に溶融させた後、320℃に試料温度を冷やし、PTFEが再結晶化していない過冷却状態において照射し、架橋させた方が、340℃の溶融状態において架橋させたものより、結晶融解温度および結晶化温度の低下の度合いが大きく、また、結晶化熱量の低下も大きいことがわかる。
実施例4
実施例2、3の結果をもとに、PTFEモールディングパウダー(フルオンG163、旭硝子フロロポリマーズ株式会社)をφ100×10cmmの円筒状の金型に入れて室温で、400kgf/cm2の圧力で予備成形を行った後、350℃で5時間焼成して成形した後、厚さ2mmのシート状に切り出した。このシート状試料に対して、下記の条件で電子線放射を行い架橋構造を付与した試料を作製した。
実施例4
実施例2、3の結果をもとに、PTFEモールディングパウダー(フルオンG163、旭硝子フロロポリマーズ株式会社)をφ100×10cmmの円筒状の金型に入れて室温で、400kgf/cm2の圧力で予備成形を行った後、350℃で5時間焼成して成形した後、厚さ2mmのシート状に切り出した。このシート状試料に対して、下記の条件で電子線放射を行い架橋構造を付与した試料を作製した。
すなわち、該試料をアルゴンガン雰囲気の照射用容器に入れ、約345℃で完全に溶融させた後、320℃に試料温度を冷やし、PTFEが再結晶化していない過冷却状態において、3MeVの加速エネルギーの電子加速器((静電型加速器:日新ハイボルテージ(株)))を用いて50KGy、100KGy、200KGy、300KGy、500KGy、1MGy、2MGy、4MGyを照射し、架橋密度の異なる試料RX−50K、RX−100K、RX−200K、RX−300K、RX−500K、RX−1M、RX−2M、RX−4Mをそれぞれ作製した。
コントロール試料として未照射PTFE(PTFE(V))および厚さ2mmの超高分子量ポリエチレンシート(UHMWP、ニューライト、作新工業(株)製)から大きさ40mm×40mmの試料を切り出して、試料(UHMWPE)を作製した。
実施例5
実施例4で作製した各種試料の摩擦係数と磨耗係数(K)を以下の方法で測定した。得られた結果を表2に示す。
実施例5
実施例4で作製した各種試料の摩擦係数と磨耗係数(K)を以下の方法で測定した。得られた結果を表2に示す。
摩擦摩耗試験はスラスト型摩擦摩耗試験装置(EMF−II−F(株式会社オリエンテック製))を使用し、JIS K7218に準じステンレススチール(SUS−304)製の円筒状リング(粗さRz=0.4〜0.6μm、外径25.6mmφ、内径20.6mmφ)を用いて被試験体に対して2.5kgf/cm2の圧力(P)を加え、速度(V)30m/min、試験時間(T)7時間の条件下で実施した。試験後、被試験体の重量減少を測定し、減少容量に換算し摩耗深さWを算出した。W=K・PV・Tの式から摩耗係数K(m・sec/MPa/m/h×10−6)を求めた。
表2 各種試料の摩擦係数と摩耗係数
表2 各種試料の摩擦係数と摩耗係数
上記表2に示すように、架橋を付与したPTFE試料は照射量が100KGyの時に摩擦係数および摩耗係数が最小値を示し、その値はUHMWPEよりも格段に優れていた。
実施例6
実施例5における測定の結果、架橋PTFE試料の中で最も良好な成績を示したRX−100Kと、最も悪い成績を示したRX−4Mおよびコントロール試料としてUHMWPEとPTFE(V)を選び、下記の条件で摩擦係数および摩耗量の測定を実施した。
実施例6
実施例5における測定の結果、架橋PTFE試料の中で最も良好な成績を示したRX−100Kと、最も悪い成績を示したRX−4Mおよびコントロール試料としてUHMWPEとPTFE(V)を選び、下記の条件で摩擦係数および摩耗量の測定を実施した。
これらの測定は実施例4と同様の方法で行ったが、試料に加える圧力を20Kgf/cm2、速度を10m/minとした。また、試験後の表面粗さについてはレーザー顕微鏡(1LM21DW:レーザーテック(株)製)にて摩耗面および非摩耗面についてそれぞれ測定した。得られた測定結果を表3に示す。
表3 各種試料の摩擦摩耗試験結果
※)ステンレススチール製円筒が試料を貫通したため測定不能
表3からわかるように100KGyの照射量で架橋したPTFE(RX−100K)はUHMWPEと比較して特に耐磨耗性が著しく優れていた。
表3からわかるように100KGyの照射量で架橋したPTFE(RX−100K)はUHMWPEと比較して特に耐磨耗性が著しく優れていた。
Claims (10)
- 過冷却状態下で電子線照射(1000kGy)した場合に、該照射による結晶化温度の低下が、相対値で70℃以下であるフッ素含有ポリマー。
- 架橋構造を有する請求項1に記載のフッ素含有ポリマー。
- 前記フッ素含有ポリマーが、テトラフロロエチレン系共重合体、テトラフロロエチレンパーフロロ(アルキルビニルエテール)系共重合体、またはテトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン系共重合体からなる群から選ばれた1種以上である請求項1または2に記載のフッ素含有ポリマー。
- 前記架橋構造が電離性放射線を照射することによって形成される請求項2に記載のフッ素含有ポリマー。
- 前記架橋構造が酸素不存在のもとで照射線量1kGy〜10MGyの範囲で、且つ過冷却状態で照射された電離性放射線によって形成される請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素含有ポリマー。
- フッ素含有ポリマーを少なくともその摺動部分に含む摺動部材であって、且つ、
該フッ素含有ポリマーが、過冷却状態下で電子線照射(1000kGy)した場合に、該照射による結晶化温度の低下が、相対値で70℃以下であるフッ素含有ポリマーである摺動部材。 - 前記フッ素含有ポリマーが架橋構造を有し、且つ、
該架橋構造が酸素不存在のもとで照射線量1kGy〜10MGyの範囲で、且つ過冷却状態とで照射された電離性放射線によって形成される請求項6に記載の摺動部材。 - リジッド表面部と、該リジッド表面と対向するポリマー表面部とを有する請求項6に記載の摺動部材。
- 軸受け、または人工関節の形状を有する請求項6に記載の摺動部材。
- 人工関節用寛骨臼の形状を有する請求項9に記載の摺動部材。
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-
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