JP2005102119A - トランスバーサル型弾性表面波フィルタ - Google Patents

トランスバーサル型弾性表面波フィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】 デュアルトラック型のトランスバーサル型弾性表面波フィルタであって、シミュレーション時の特性とは異なる所望でないリップルが通過帯域内に現れることを抑制でき、それによって通過帯域内偏差の改善を図ることができるトランスバーサル型弾性表面波フィルタを提供する。
【解決手段】 圧電基板2上において、並列に接続された第1,第2のチャネルを備え、第1のチャネルが、第1の入力変換器3及び第1出力変換器4を有し、第2チャネルが、第2入力変換器5及び第2出力変換器6を有し、入出力変換器3〜6の少なくとも一つが、その内部において弾性表面波の音速が異なる部分を有しており、第1入力変換器3−第1出力変換器4の電極指中心間距離L1と、第2入力変換器−第2出力変換器6の電極指中心間距離L2とが、表面波の波長λとしたときに、0.015λ〜0.035λ異ならされている、トランスバーサル型弾性表面波フィルタ1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、第1,第2のチャネルが並列に接続された構造を有するデュアルトラック型のトランスバーサル型弾性表面波フィルタに関する。
従来、第1,第2のチャネルが並列接続されたデュアルトラック型のトランスバーサル型の弾性表面波フィルタが知られている。例えば、下記の特許文献1には、図9に示す弾性表面波フィルタが開示されている。弾性表面波フィルタ101では、第1の入力変換器T1U及び第1の出力変換器T2Uからなる第1のチャネルと、第2出力変換器T1L及び第2の出力変換器T2Lを有する第2のチャネルとが構成されている。第1入力変換器T1U及び第2入力変換器T1Lは電気的に接続されており、第1出力変換器T2U及び第2出力変換器T2Lが電気的に接続されている。すなわち、第1,第2チャネルは、それぞれが、トランスバーサル型弾性表面波フィルタにより構成されており、かつ第1,第2チャネルが並列に接続されている。
この弾性表面波フィルタでは、第1,第2のチャネルの伝達関数が、フィルタの通過帯域では同相であり、阻止帯域では逆相とされている。それによって、弾性表面波フィルタの寸法を減少させることができ、かつ阻止域における減衰量の拡大が図られる。
また、下記の特許文献2にも同様の構成を備えた弾性表面波フィルタが開示されている。
特開2000−77974号公報 特開2001−053581号公報
CDMA方式などの携帯電話やデジタル衛星ラジオ用チューナーのIF用フィルタでは、小型であり、かつ選択度が優れていることが強く求められている。特許文献1,2に記載のような第1,第2のチャネルを並列してなるデュアルトラック型の弾性表面波フィルタでは、小型化及び選択度の向上を図り得るとされている。
しかしながら、この種のデュアルトラック型弾性表面波フィルタを実際に試作すると、シミュレーション時には認められなかったリップルが通過帯域内に生じるという問題があった。本願発明者は、このようなリップルの原因について検討した結果、デュアルトラック型弾性表面波フィルタにおいては、第1,第2のチャネル単独の特性に現れるリップルの位置が、シミュレーション時と実際に製作されたデュアルトラック型弾性表面波フィルタとでは異なることを見出した。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解決し、第1,第2のチャネルが並列接続された構成を有するトランスバーサル型弾性表面波フィルタにおいて、小型でありかつ選択度に優れているだけでなく、通過帯域内に現れる所望でないリップルの発生を抑制することができ、良好な帯域内特性を得ることを可能とするトランスバーサル型弾性表面波フィルタを提供することにある。
本発明は、第1,第2チャネルが並列接続されたデュアルトラック型のトランスバーサル型弾性表面波フィルタに関する。すなわち、本発明は、圧電基板と、圧電基板上に形成された第1,第2のチャネルとを備え、前記第1チャネルが、第1の入力変換器と第1の出力変換器とを有し、第1の入力変換器及び第1の出力変換器により第1の伝達関数を有するように重み付けされており、前記第2のチャネルが、第2の入力変換器と第2の出力変換器とを有し、第2の入力変換器及び第2の出力変換器により第2の伝達関数を有するように重み付けされており、第1,第2の入力変換器が電気的に接続されており、第1,第2の出力変換器が電気的に接続されているトランスバーサル型弾性表面波フィルタにおいて、前記入力変換器及び出力変換器の少なくとも一方がSPUDTからなり、入力変換器の電極指のうち最も出力変換器側の電極指の中心と、出力変換器の電極指のうち最も入力変換器側の電極指の中心との距離が、表面波の波長をλとしたときに、第1のチャネルと第2のチャネルとにおいて0.015λ〜0.035λ異なっていることを特徴とする、トランスバーサル型弾性表面波フィルタを特徴とする。
本発明に係るトランスバーサル型弾性表面波フィルタのある特定の局面では、入力変換器の電極指のうち最も出力変換器側の電極指の中心と、出力変換器の電極指のうち最も入力変換器側の電極指の中心との間隔が、第1のチャネルと、第2のチャネルとにおいて、0.02λ〜0.03λ異ならされている。
本発明に係るトランスバーサル型弾性表面波フィルタの他の特定の局面では、前記第1及び第2のチャネルの少なくとも一方において、入力変換器及び出力変換器の少なくとも一方が、単位波長区間に3本あるいは4本の電極指を有する一方向性電極で構成されている。
本発明に係るトランスバーサル型弾性表面波フィルタのさらに別の特定の局面では、前記複数種の電極指幅の電極指を有する入力及び/または出力変換器において、電極指幅が表面波伝搬方向に沿って異なる部分における電極指ピッチが、電極指幅が表面波伝搬方向において変わらない部分の電極指ピッチに対して異ならされている。
本発明に係るトランスバーサル型弾性表面波フィルタでは、第1,第2のチャネルが並列に接続されたデュアルトラック型の構成において、入力変換器−出力変換器の電極指中心間距離が、第1のチャネルと第2のチャネルとの間で異ならされており、その電極指中心間距離の差が0.015λ〜0.035λとされているため、変換器中に表面波の音速が異なる部分の存在による音速差が補正される。従って、実際に製作されたデュアルトラック型のトランスバーサル型弾性表面波フィルタにおいて、シミュレーション時と異なる所望でないリップルを抑圧することができ、通過帯域内偏差が改善される。よって、良好なフィルター特性を確実に得ることが可能となる。
上記入力変換器の電極指のうち最も出力変換器側の電極指の中心と、出力変換器の電極指のうち最も入力変換器側の電極指の中心との間隔が、第1のチャネルと第2のチャネルとにおいて、0.02λ〜0.03λ異ならされている場合には、本発明に従って、より一層効果的に帯域内偏差を改善することができる。
第1及び第2のチャネルの少なくとも一方において、入力変換器及び出力変換器の少なくとも一方が、単位波長区間に3本あるいは4本の電極指を有する一方向性電極で構成されている場合には、電極指幅が異なる部分において表面波の音速差が生じるが、本発明に従って、上記音速差による影響が補正され、帯域内偏差が改善される。
また、複数種の電極指幅の電極指を有する入力及び/又は出力変換器において、電極指幅が表面波伝搬方向に沿って異なる部分における電極指ピッチが、電極指が表面波伝搬方向において変わらない部分の電極指ピッチに対して異ならされている場合には、該電極指ピッチの異ならせ方によっても音速差が補正される。また、電極指ピッチを異ならせることによる音速差の補正に誤差が生じている場合であっても、本発明に従って、音速差による影響を低減でき、より一層通過帯域内における所望でないリップルの発生を抑制し、良好な帯域内特性を得ることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施形態に係るトランスバーサル型弾性表面波フィルタの平面図である。
トランスバーサル型弾性表面波フィルタ1は、矩形板上の圧電基板2を有する。圧電基板2は、例えば、LiTaO3などの圧電端結晶または圧電セラミックスにより構成される。圧電基板2上には、第1入力変換器3と、第1入力変換器3と表面波伝搬方向に隔てられた第1出力変換器4とが形成されており、第1入力変換器3及び第1出力変換器4により第1チャネルが構成されている。また、圧電基板2上には、第1のチャネル2の側方において、第2のチャネルが構成されている。第2のチャネルは、第2の入力変換器5と、第2の入力変換器5と表面波伝搬方向に隔てられて設けられた第2出力変換器6とを有する。
第1のチャネルは、第1入力変換器3及び第1出力変換器4により第1の伝達関数を有するように重み付けされており、他方、第2のチャネルは、第2入力変換器5及び第2出力変換器6により、第1の伝達関数と異なる第2の伝達関数を有するように重み付けされている。
すなわち、第1,第2のチャネルは、それぞれ、トランスバーサル型弾性表面波フィルタとして構成されている。また、本実施形態では、第1入力変換器3と第2入力変換器5の各一方のバスバーが共通化されている。そして、第1入力変換器3の他方のバスバーと、第2入力変換器5の他方のバスバーとが共通接続されている。すなわち、第1,第2入力変換器3,5が電気的に接続されている。同様に、第1出力変換器4と第2出力変換器6も電気的に接続されている。
従って、第1,第2チャネルは並列接続されている。
本実施形態の弾性表面波フィルタは、上記のように並列接続された第1,第2チャネルを有するデュアルトラック型のトランスバーサル型弾性表面波フィルタである。
第1入力変換器3、第1出力変換器4、第2入力変換器5及び第2出力変換器6は、いずれも数本の電極指を有するインターデジタルトランスデューサー(IDT)により構成されている。
また、第1入力変換器3、第1出力変換器4及び第2入力変換器5及び第2出力変換器6は、いずれも、SPUDTにより構成されている。もっとも、本発明においては、第1入力変換器3、第1出力変換器4、第2入力変換器5及び第2出力変換器6のうち少なくとも1つがSPUDTにより構成されていればよい。
上記第1入力変換器3は、より具体的には、図2(a)及び(b)に示す電極構造3A,3Bを備えるEWC型(Electrode Width Controlled)のSPUDT(Single Phase Unidirectional Transduser)により構成されている。また、第1出力変換器4、第2入力変換器5及び第2出力変換器6も、同様に、EWC型のSPUDTにより構成されている。
図2(a)に示す電極構造3Aは、単位波長区間に3本の電極指11〜13を有する。電極指11の幅は3λ/8、電極指12,13の幅及び電極指間ギャップはλ/8とされている。もっとも、EWC型SPUDTにおける電極指の幅や電極指間ギャップは、上記特定の値に限定されるものではなく適宜変更し得るものである。
EWC型SPUDTは、他のSPUDTの場合と同様に、SPUDTの中心と、反射中心とが異なる、一方向性のIDTである。
第1入力変換器3は、図2(a)で示す一方向性の電極構造3Aを有するだけでなく、図2(b)に示す方向性を有しない電極構造3Bをも含む。なお、図2(b)に示す、方向性を有しない電極構造3Bでは、単位波長区間に、複数本の電極指14〜17が配置されている。電極指14〜17の電極指の幅はいずれもλ/8、電極指間ギャップはλ/8とされている。
図1に戻り、本実施形態の弾性表面波フィルタ1では、第1入力変換器3と第1出力変換器4との間、及び第2入力変換器5と第2出力変換器6との間の圧電基板2上において、シールド電極7が形成されている。
なお、上記各変換器3〜6及びシールド電極は、例えばAlなどの適宜の金属材料により構成される。
さらに、圧電基板2上においては、表面波伝搬方向外側に、ダンピング材8,9が形成されている。
本実施形態の弾性表面波フィルタ1の特徴は、第1入力変換器3と、第1出力変換器4との電極指中心間距離をL1、第2の入力変換器5と第2出力変換器6との電極指中心間距離をL2としたときに、L1とL2とが、表面波の波長をλとしたときに0.015λ〜0.035λ異なっていることにある。
なお、距離L1,L2は、隣接し合う電極指中心間距離である。すなわち、距離L1を例にとると、第1入力変換器3の複数本の電極指のうち、最も第1の出力変換器4に近い側の2本の電極指の中心と、第1出力変換器4の複数本の電極指のうち、最も第1入力変換器3に近い側の2本の電極指の中心との間の距離である。
本実施形態の弾性表面波フィルタ1では、第1,第2のチャネルにおける上記電極指中心間距離L1と、電極指中心間距離L2とが0.015λ〜0.035λ異なっているため、帯域内における所望でないリップルを効果的に抑制することができる。
次に、具体的な実験例に基づき、第1のチャネルにおける電極指中心間距離L1と、第2のチャネルにおける電極指中心間距離L2とが0.015λ〜0.035λ異ならされていることにより、帯域内における所望なリップルを抑圧し得ることを説明する。
本実験例においては、第1,第2入力変換器3,5の電極指の対数を163.5対とし、第1出力変換器4及び第2出力変換器の電極指の対数をいずれも149.5対とした。また、図2(a)に示した方向性を有する電極構造3Aが、第1入力変換器中には87ヶ所、第1出力変換器中には、65ヶ所構成し、すなわち、第1のチャネルでは合計152ヶ所に構成した。他方、第2入力変換器5中には、31ヶ所、第2出力変換器6中には、60ヶ所設け、第2チャネルにおいては、方向性を有する電極構造を合計91ヶ所構成した。但し、出力変換器4,6中の方向性を有する電極構造の方向性は、入力変換器3,5の中の方向性を有する電極構造の方向性とは逆方向とした。
また、図2(a)に示した方向性を有する電極構造3Aと、図2(b)に示した方向性を有しない電極構造3Bとの音速の違いを補正するために、方向性を有する電極構造の単位波長区間の長さは、方向性を有しない電極構造の単位波長区間の長さの0.11%大きくした。
圧電基板2としては、Xカット1112°Y伝搬LiTaO3基板を用い、該圧電基板上に、Alを主成分とした金属薄膜を形成した後パターニングすることにより、上述した電極構造を形成した。さらにその上からSiO2薄膜を720nmの厚みで形成した。
なお、上記シールド電極7の表面波伝搬方向に沿う寸法は300μmとした。
上記のような弾性表面波フィルタ1において、電極指中心間距離L1と電極指中心間距離L2との差ΔL=L2−L1を種々異ならせ、複数種の弾性表面波フィルタを作成し、通過帯域内におけるリップルの有無を評価した。
図3では、ΔLが0の場合、0.02λの場合及び0.04λの場合が示されている。図3から明らかなように、ΔLが0.02λの場合には、ΔL=0及びΔL=0.04λの場合に比べて、通過帯域内偏差、すなわち、リップルの谷部分と山部分との減衰量差が小さいことが分かる。
そこで、ΔLが0.02λの場合に通過帯域内偏差が低減される理由を検討した。これを図4〜図6を参照して説明する。
まず、電極指中心間距離L1=L2=35.0λとした場合の上記弾性表面波フィルタにおける第1チャネル単独の振幅特性及び第2チャネル単独の振幅特性をシミュレーションにより求めた。結果を図4及び図5に破線で示す。そして、実際に試作された弾性表面波装置における第1チャネル単独の振幅特性及び第2チャネルの単独の振幅特性を測定した。結果を図4及び図5に実線で示す。
図5に示すように、第2チャネルでは、帯域内リップルの山谷の周波数位置は、シミュレーション値と実測値との間であまり差がなかった。これに対して、図4に示すように、第1チャネルについては、シミュレーションにより得られた帯域内偏差と、実測による帯域内偏差とに差があることが分かった。
図4に示したように、実測された第1チャネル単独の特性上のリップルと、シミュレーションにより得られた特性上のリップルとがずれているため、シミュレーションの条件を検討した。そして、両者のリップルの周波数位置を合致させる条件を求めたところ図6に示すように、L1=35.02λとすればよいことが分かった。なお、図6の実線は、第1のチャネル単独の実測された特性を示し、破線は、L1=35.02λとしてシミュレーションを行なった場合の第1のチャネル単独の特性を示す。
つまり、何らかの理由により、L1=35.00λで設計したはずの第1のチャネルがシミュレーション上はL1=35.02λとした場合と同等な特性を示している。このため、この差を打ち消すようにL1=34.98λ(ΔL=0.02λ)としてパターニングした場合に、図3に示すように最もリップルが小さくなったものと考えられる。
すなわち、第1,第2のチャネルが並列に接続された上記弾性表面波フィルタ1では、電極指中心間距離L1と電極指中心間距離L2とを異ならせることにより、第1のチャネルにおける第1チャネル単独のシミュレーション特性と実測特性との帯域内偏差との差を抑制し得ることが分かる。そこで、本願発明者は、図3とは別用途用のフィルタに対しても、上記電極指中心間距離L1と電極指中心間距離L2との差ΔLを種々異ならせ、同様にして複数種の弾性表面波フィルタ1を作成し、実測された各特性における帯域内偏差を求めた。結果を図7に示す。
図7から明らかなように、電極指中心間距離の差ΔLが0.015λ〜0.035λの範囲で、帯域内偏差は極小値を示し、良好なフィルター特性の得られることが分かる。
上記のように、シミュレーション特性と実測特性において、帯域内偏差が異なる理由、すなわち、第1チャネルにおけるリップルの山と谷との差が異なる理由は、以下の通りと考えられる。リップルの山の部分の周波数と、谷の部分の周波数は、入力変換器内の励振が最も密な部分と、出力変換器内の励振が最も密な部分との間隔により支配される。第1チャネルと第2チャネルとの間で、電極構造による音速差が全く存在しない場合には、2つのチャネルにおいて表面波の位相がずれない。従って、ΔL=0とすれば、シミュレーション特性通りに、リップルの小さな特性が得られるはずである。
しかしながら、本実施形態の弾性表面波フィルタ1では、方向性を有する電極構造と、方向性を有しない電極構造とを有し、両者の間で音速が異なっている。このような場合、第1,第2のチャネルの重み付けが異なっていると、入力変換器の出力変換器側端部における表面波の位相が第1のチャネルと第2のチャネルとで異なることになる。そのため、ΔL=0として実際に弾性表面波フィルタ1を製作した場合、シミュレーションにより得られた特性とは異なる特性が得られることになる。
もっとも、上記実施形態の弾性表面波フィルタ1では、図2(a)及び(b)に示す電極構造間の音速差を補正するように、前述したように電極指ピッチが異ならされている。この音速差の補正が完全であれば、第1,第2のチャネル間の表面波の位相差は生じない。従って、ΔL=0とした場合、シミュレーション特性と同様の良好な特性が得られるはずである。
しかしながら、音速補正を完全に行なうことは困難であり、特に、上記実施形態の弾性表面波フィルタ1のように、第1,第2のチャネルにおいて、音速差のある電極構造の割合が大きく異なる場合には、音速補正の僅かな誤差が累積される。その結果、第1,第2のチャネル内において表面波の位相差が生じることとなる。この表面波の位相差は、リップルの周波数位置の変化に対応している。従って、上記のようなリップルのずれが生じ、シミュレーション通りの特性が得られていないと考えられる。
これに対して、本実施形態の弾性表面波フィルタ1では、上記のような音速補正の僅かな誤差の累積が、電極指中心間距離L1と電極指中心間距離L2とを異ならせることにより、特にΔLを0.015λ〜0.035λとすることにより効果的に補正されており、それによって、通過帯域内偏差の改善が図られている。
なお、上記実施形態では、EWC型のSPUDTを用いたが、本発明においては、他の形式のSPUDTを用いて入力変換器を構成してもよい。すなわち、入力変換器及び/又は出力変換器中に、電極構造の異なる複数の部分が設けられており、それによって音速差が生じている構造の場合には、本発明に従って、同様に音速差を補正でき、良好な帯域内特性を得ることができる。
他のSPUDT電極構造の一形態として、図8にHunsinger型SPUDTの電極構造を示す。図8(a)に示す構造は、単位波長区間に4本の電極指21〜24を有する。電極指21,23の幅はλ/16,電極指22,24の幅は3λ/16で、電極指間ギャップはλ/8とされている。もっとも、電極指の幅や電極指間ギャップは上記特定の値に限定されるものではなく、適宜変更し得るものである。一方、図8(b)に示されている電極構造は、方向性を有しない通常のスプリット電極である。
なお、前記のような表面波の音速差が生じる変換器は、第1入力変換器3、第1出力変換器4、第2入力変換器及び第2出力変換器6の少なくとも1つであればよく、それぞれの変換器において、音速差が異なる部分が設けられている必要は必ずしもない。
なお、上記実施形態では、LiTaO3基板により圧電基板2を構成したが、水晶基板、LiNbO3基板あるいはLBO(Li247)などの他の圧電単結晶基板を用いてもよい。もっとも基板の種類や電極の膜厚によっては電極構造による音速変化の符号は逆となることも考えられる。しかしながら、その様な場合であっても、音速差を補正するように、ΔLを0.015λ〜0.035λの範囲とすることにより、上記実施形態と同様に、通過帯域内偏差を効果的に低減することができる。
本発明の一実施形態に係るトランスバーサル型弾性表面波フィルタを示す平面図。 (a),(b)は、図1に示した実施形態において、第1入力変換器内の方向性を有する電極構造と、方向性を有しない電極構造とを示す各模式的平面図。 弾性表面波フィルタにおいて、ΔLを0.02λ及び0.04λとした場合のシミュレーション特性の実測値を示す図。 ΔL=0の場合の第1のチャネル単独の振幅特性のシミュレーション特性及び実測特性を示す図。 ΔL=0の場合の第2のチャネル単独の振幅特性のシミュレーション特性及び実測特性を示す図。 Δ=0.002λ、すなわち、第1のチャネルにおける電極指中心間距離L1を35.02λとした場合の第1チャネルの単独の振幅特性のシミュレーション特性と実測特性とを示す図。 ΔLを種々異ならせた場合の帯域内偏差の変化を示す図。 本発明で用いられる変換器の変形例として、(a),(b)は単位波長区間に4本の電極指を備える、第1入力変換器内の方向性を有する電極構造と、方向性を有しない電極構造を示す各模式的平面図。 従来の弾性表面波フィルタの構成を説明するためのブロック図。
符号の説明
1…弾性表面波フィルタ
2…圧電基板
3…第1入力変換器
4…第1出力変換器
5…第2入力変換器
6…第2出力変換器
7…シールド電極
8,9…ダンピング材
11〜17,21〜24…電極指

Claims (4)

  1. 圧電基板と、
    圧電基板上に形成された第1,第2のチャネルとを備え、
    前記第1チャネルが、第1の入力変換器と第1の出力変換器とを有し、第1の入力変換器及び第1の出力変換器により第1の伝達関数を有するように重み付けされており、前記第2のチャネルが、第2の入力変換器と第2の出力変換器とを有し、第2の入力変換器及び第2の出力変換器により第2の伝達関数を有するように重み付けされており、
    第1,第2の入力変換器が電気的に接続されており、第1,第2の出力変換器が電気的に接続されているトランスバーサル型弾性表面波フィルタにおいて、
    前記入力変換器及び出力変換器の少なくとも一方がSPUDTからなり、入力変換器の電極指のうち最も出力変換器側の電極指の中心と、出力変換器の電極指のうち最も入力変換器側の電極指の中心との距離が、表面波の波長をλとしたときに、第1のチャネルと第2のチャネルとにおいて0.015λ〜0.035λ異なっていることを特徴とする、トランスバーサル型弾性表面波フィルタ。
  2. 入力変換器の電極指のうち最も出力変換器側の電極指の中心と、出力変換器の電極指のうち最も入力変換器側の電極指の中心との距離が、第1のチャネルと、第2のチャネルとにおいて、0.02λ〜0.03λ異ならされている請求項1に記載のトランスバーサル型弾性表面波フィルタ。
  3. 前記第1及び第2のチャネルの少なくとも一方において、入力変換器及び出力変換器の少なくとも一方が、単位波長区間に3本あるいは4本の電極指を有する一方向性電極で構成されている、請求項1または2に記載のトランスバーサル型弾性表面波フィルタ。
  4. 前記複数種の電極指幅の電極指を有する入力及び/または出力変換器において、電極指幅が表面波伝搬方向に沿って異なる部分における電極指ピッチが、電極指幅が表面波伝搬方向において変わらない部分の電極指ピッチに対して異ならされている、請求項3に記載のトランスバーサル型弾性表面波フィルタ。

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